JP5978634B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車等の車両の操舵輪に舵角を付与する為のステアリング装置の改良に関する。具体的には、このステアリング装置を構成する操舵力伝達軸に関して、操舵力に対する疲労強度の確保と、車両の衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴って加わる衝撃エネルギの吸収性能の確保とを、高レベルで両立できる構造を実現するものである。
図8は、従来から知られているステアリング装置の1例を示している。このステアリング装置は、車体1に支持された円筒状のステアリングコラム2の内径側にステアリングシャフト3を、回転自在に支持している。そして、このステアリングコラム2の後端開口よりも後方に突出した、前記ステアリングシャフト3の後端部分に、ステアリングホイール4を固定している。このステアリングホイール4を回転させると、この回転が、前記ステアリングシャフト3、自在継手5a、中間シャフト6、自在継手5bを介して、ラックアンドピニオン式のステアリングギヤユニット7を構成するピニオン軸8(入力軸)に伝達される。このピニオン軸8が回転すると、前記ステアリングギヤユニット7を構成するラック軸9の両端部に連結された1対のタイロッド10、10が押し引きされて左右1対の操舵輪に、前記ステアリングホイール4の操作量に応じた舵角が付与される。
又、図8に示したステアリング装置は、電動モータ11を補助動力源とする電動アシスト装置12を備えた、電動式パワーステアリング装置としている。この電動アシスト装置12は、前記ステアリングホイール4から入力された操舵力を前記両操舵輪に伝達する為の操舵力伝達経路の一部で、前記ステアリングシャフト3と前記自在継手5aとの間部分に組み付けられている。前記電動アシスト装置12は、前記ステアリングホイール4から前記ステアリングシャフト3にトルクが加わった際に、このトルクの方向及び大きさを検出する。そして、この検出したトルクの方向及び大きさと車速信号とに基づいて補助トルクを発生させる事により、前記自在継手5aを、前記ステアリングホイール4から前記ステアリングシャフト3に入力されたトルクよりも大きなトルクで回転させる。この結果、前記ステアリングホイール4を操作する為に要する力が軽減される。
又、図8に示したステアリング装置の場合、前記ステアリングホイール4の前後位置を調節できる構造と、二次衝突(運転者の身体が前記ステアリングホイール4にぶつかる衝突)時に運転者の保護を図れる構造とを実現する為に、前記ステアリングコラム2及び前記ステアリングシャフト3として、伸縮式のものを使用している。更に、一次衝突(車体の前部が他の車両等の物体にぶつかる衝突)時の衝撃が前記ステアリングシャフト2に伝達されない様にして、前記ステアリングホイール4が運転者に向けて突き上げられる事を防止できる構造を実現する為に、前記中間シャフト6として、伸縮式のものを使用している。尚、図8に示したステアリング装置の場合、前記ステアリングシャフト3を構成する、互いの端部同士をセレーション係合等によりトルク伝達を可能に組み合わされたインナ、アウタ両シャフト13、14と、前記中間シャフト6を構成する、互いの端部同士をセレーション係合等によりトルク伝達を可能に組み合わされたインナ、アウタ両シャフト15、16と、前記ピニオン軸8と、前記ラック軸9と、前記両タイロッド10、10とが、それぞれ特許請求の範囲に記載した「操舵力伝達軸」に相当する。
ところで、上述の様なステアリング装置に関しては、近年に於ける、前記電動アシスト装置12の高出力化に伴い、前記操舵力伝達経路を構成する各部材(特に、この電動アシスト装置12と前記両操舵輪との間部分に存在する各部材)に対する、疲労強度の向上要求が高くなっている。一方、上述の様なステアリング装置を搭載した車両が衝突事故を起こしたり、運転操作の誤りにより操舵輪を縁石に乗り上げたりした場合、この操舵輪の側から前記操舵力伝達経路を構成する各部材に、操舵力(補助トルクを含む)の最大値を超える大きさの、衝撃的な外力(圧縮荷重、引っ張り荷重、曲げモーメント、トルク等)が加わる場合がある。この様な場合にも、操舵機能が喪失してしまう様な破壊が発生する事を防止できる様にする為に、前記ステアリング装置に対する、衝撃エネルギの吸収性能を向上させる要求が高くなっている。
一方、特許文献1には、上述した図8と同様の基本構造を有するステアリング装置に関して、ステアリングギヤユニットを構成するピニオン軸(電動アシスト装置と1対の操舵輪との間部分に存在する操舵力伝達軸)の基端寄り部分に、軸方向に隣接する他の部分に比べて外径寸法が小さくなった小径部(脆弱部)を、切削加工により形成した構造が記載されている。この様な従来構造の場合、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴い、この操舵輪側から前記ピニオン軸に衝撃的なトルクが加わった場合には、前記小径部が、他の部位に優先して捩り変形する。そして、この捩り変形に基づいて、前記操舵輪の側から操舵力伝達経路に入力された衝撃エネルギを吸収できる。この為、舵力伝達経路を構成する各部材のうちで、前記ピニオン軸以外の部材に加わる、衝撃的な外力を緩和できる。
ところが、上述した従来構造の場合には、前記ピニオン軸の小径部に関して、前記衝撃エネルギの吸収性能の確保と、操舵力に対する疲労強度の確保とを、高レベルで両立させる事が難しい。即ち、上述した従来構造の場合、前記ピニオン軸の小径部は、このピニオン軸の基端寄り部分の外径寸法を、単に小さくする事によって形成されている。従って、前記衝撃エネルギの吸収性能を十分に確保すべく、前記小径部の捩り変形量を十分に確保する為に、この小径部の外径寸法を小さくすると、この小径部の疲労強度を確保する事が難しくなる。反対に、この小径部の疲労強度を十分に確保すべく、この小径部の外径寸法を大きくすると、前記衝撃エネルギの吸収性能を確保する事が難しくなる。従って、上述した従来構造の場合には、前記ピニオン軸の小径部に関して、前記衝撃エネルギの吸収性能の確保と、操舵力に対する疲労強度の確保とを、高レベルで両立させる事が難しい。
特開2007−186185号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、複数の操舵力伝達軸のうち、少なくとも1つの操舵力伝達軸に関して、操舵力に対する疲労強度の確保と、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴って加わる衝撃エネルギの吸収性能の確保とを、高レベルで両立できるステアリング装置を実現すべく発明したものである。
本発明のステアリング装置は、ステアリングホイールから入力された操舵力を1対の操舵輪に伝達する為の操舵力伝達経路を構成する、複数の操舵力伝達軸を備える。
特に、本発明のステアリング装置に於いては、これら各操舵力伝達軸のうちの少なくとも1つの操舵力伝達軸は、他の部材と係合せず外部に露出した軸方向一部分(他の部材と係合しない部分)に、軸方向両側に隣接する他の部分よりも外径寸法が小さくなった小径部を有する。又、この小径部に、外径部(外周寄り部分)の硬さを内径部(中心寄り部分)の硬さに比べて高くした態様の硬さ分布が付与されている。又、この硬さ分布は、前記小径部に対し、この小径部を形成した後に、この小径部の外周面に表面硬化処理を施す方法と、前記操舵力伝達軸の軸方向一部分の外周面に表面硬化処理を施した後、当該部分に小径部を形成する方法と、前記操舵力伝達軸の軸方向一部分に、外径部の加工度が内径部の加工度に比べて大きくなる塑性加工を施す事に基づいて、当該部分に前記小径部を形成する方法とのうちから選択される、何れか1つの方法によって付与されたものである。
尚、前記表面硬化処理としては、例えば、ショットピーニング加工を採用できる他、高周波焼入れ、浸炭、窒化等の表面硬化熱処理を採用できる。
又、前記硬さ分布を付与する方法として、前記操舵力伝達軸の軸方向一部分の外周面に表面硬化処理を施した後、当該部分に小径部を形成する方法を採用する場合、この小径部は、何れの加工方法によって形成しても良いが、特に切削加工によって形成する場合には、形成後の小径部の表層部に、前記表面硬化処理によって形成された硬化層の一部が残る様にする。
又、上述した外径部の加工度が内径部の加工度に比べて大きくなる塑性加工としては、例えば、転造による縮径加工を採用できる。
上述の様な本発明を実施する場合には、具体的に、前記小径部を、操舵力の最大値を超える大きさの衝撃的なトルクが加わった場合に、この小径部が形成された操舵力伝達軸の他の部位に優先して捩り変形するものとする。
本発明のステアリング装置を実施する場合に、具体的には、前記小径部の外周面に、この小径部の軸方向に長く、この小径部の外径側から見た形状が直線状である基準線を表示する。
この様な構成を採用した場合には、追加的に、前記小径部の外周面及び前記両他の部分のうちの他の部材と係合せず外部に露出した部分(他の部材と係合しない部分)の外周面に連続した状態で、この小径部の軸方向に長く、この小径部の外径側から見た形状が直線状である基準線を表示する構成を採用する事もできる。
本発明を実施する場合には、追加的に、前記小径部を有する操舵力伝達軸を、前記ステアリングホイールから入力された操舵力を前記両操舵輪に伝達する際に、自身の中心軸を中心として回転する回転軸とする事ができる。
又、本発明のステアリング装置を実施する場合で、前記操舵力伝達経路の一部に、電動モータを補助動力源とする電動アシスト装置を設ける場合に、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記小径部を有する操舵力伝達軸を、前記操舵力伝達経路の一部で前記電動アシスト装置と前記両操舵輪との間部分に設ける。
上述の様に構成する本発明のステアリング装置の場合、車両の衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴い、この操舵輪の側から操舵力伝達経路を構成する各部材に衝撃的な外力(圧縮荷重、引っ張り荷重、曲げモーメント、トルク等)が加わった場合には、操舵力伝達軸に設けた小径部が、他の部位に優先して塑性変形する。そして、この塑性変形に基づいて、前記操舵輪の側から操舵力伝達経路に入力された衝撃エネルギを吸収する。この為、前記操舵力伝達経路を構成する各部材のうちで、前記小径部を有する操舵力伝達軸以外の部材に加わる、衝撃的な外力を緩和できる。
特に、本発明の場合には、前記操舵力伝達軸に設けた小径部に関して、前記衝撃エネルギの吸収性能の確保と、操舵力に対する疲労強度の確保とを、高レベルで両立できる。
即ち、本発明の場合には、前記衝撃エネルギの吸収性能を十分に確保すべく、前記小径部の外径寸法を小さくする場合でも、この小径部には、外径部の硬さを内径部の硬さに比べて高くした態様の硬さ分布が付与されている為、この小径部の疲労強度を十分に確保できる。従って、本発明の場合には、この小径部に関して、衝撃エネルギの吸収性能の確保と疲労強度の確保とを、高レベルで両立できる。
又、本発明の場合、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴い、ステアリング装置を構成する各部材に衝撃的な外力が加わった場合に、加わった事実を運転者が容易且つ確実に認識できる。
即ち、本発明の様に、前記小径部を有する操舵力伝達軸が、ステアリングシャフト、中間シャフト、ステアリングギヤユニットを構成するピニオン軸等の回転軸である場合、この回転軸に衝撃的なトルクが加わると、前記小径部が捩り変形する。又、本発明の技術的範囲からは外れるが、前記小径部を有する操舵力伝達軸が、タイロッド等の変位軸である場合、この変位軸に衝撃的な圧縮荷重や曲げモーメントが加わると、前記小径部が曲げ変形する。そして、この様な捩り変形や曲げ変形が生じる結果、車両を直進状態とする為の、ステアリングホイールの中立状態の姿勢が変化する。この変化は、運転者にとって容易且つ確実に認識できる。この為、運転者に、修理を促す事ができて、損傷した車両の運行を継続する事に伴う危険を回避できる。
又、本発明の場合、前記小径部を有する操舵力伝達軸に衝撃的な外力が加わる事によって、この小径部が捩り変形や曲げ変形すると、この小径部の外周面に表示した基準線の、この小径部の外径側から見た形状が、この小径部の軸方向に長い直線状から、この軸方向に対して傾斜した直線状や非直線状に変化する。この変化は、経験の浅い工員等でも容易に判別できる。この為、車両を修理工場に持ち込みさえすれば、経験の浅い工員でも前記操舵力伝達軸に異常が発生した事を、容易且つ確実に判定できて、適切な修理・交換作業を実施できる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、図8のX−X断面に相当する拡大図。 ステアリングホイールの中立位置を、衝撃的なトルクが加わる前の状態(A)と加わった後の状態(B)とで示す正面図。 小径部の外周面に表示した基準線を、衝撃的なトルクが加わる前の状態(A)と加わった後の状態(B)とで示す、前記小径部を外径側から見た図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、中間シャフトを構成するインナシャフトの部分側面図。 同第3例を示す、ステアリングシャフトを構成するインナシャフトの部分側面図。 本発明に関連する参考例の第1例を示す、タイロッドの平面図。 同第2例を示す、タイロッドの部分側面図。 従来から知られているステアリング装置の1例を示す部分切断側面図。
[実施の形態の第1例]
図1〜3は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、前述の図8に示した従来構造と同様の基本構造を有するステアリング装置に関して、操舵力伝達経路を構成する複数の操舵力伝達軸のうち、電動アシスト装置12(図8参照)と1対の操舵輪との間に存在する回転軸である、ステアリングギヤユニット7aを構成するピニオン軸8aの構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図8に示した従来構造の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分、並びに、図8に示した従来構造で説明しなかった部分を中心に説明する。
図1に示す様に、前記ステアリングギヤユニット7aは、ケーシング17と、前記ピニオン軸8aと、ラック軸9aと、押圧手段18とを備える。このうちのケーシング17は、車体に固定されるもので、前記ラック軸9aを収容する為の第一筒部19(図1の表裏方向に配設された筒状の部位)と、前記ピニオン軸8aを収容する為の第二筒部20と、前記押圧手段18を収容する為の第三筒部21とを、一体に備える。又、前記ラック軸9aは、前記第一筒部19の内径側に、軸方向に関する変位のみ可能に設けられている。又、前記ピニオン軸8aは、先端部及び中間部のみを前記第二筒部20の内径側に挿入した状態で、1対の転がり軸受22a、22bにより、前記第二筒部20に対する回転のみ可能に支持されている。又、この状態で、前記ラック軸9aの前面に形成されたラック歯23と、前記ピニオン軸の外周面の中間部先端寄り部分に形成されたピニオン歯24とを、互いに噛合させている。又、前記押圧手段18は、前記第三筒部21の内径側に設けられた状態で、前記ラック軸9aを、前記ピニオン軸8aに向けて付勢している。これにより、このピニオン軸8aの回転時に、前記ピニオン歯24と前記ラック歯23との噛合部に作用する離反力に拘らず、この噛合部の噛合状態が不適正になるのを防止できる様にしている。この様な押圧手段18に就いては、従来から各種構造が知られており、本例の特徴部分でもない為、詳しい説明は省略する。
又、上述の様に構成するステアリングギヤユニット7aのうち、前記第二筒部20の外部に突出した前記ピニオン軸8aの基端部に、中間シャフト6(図8参照)の先端部を、自在継手5bを介してトルク伝達を可能に接続している。この為に、前記ピニオン軸8aの基端部にセレーション軸部25を設け、このセレーション軸部25を、前記自在継手5bを構成する一方のヨーク26の基部に、セレーション係合によるトルク伝達を可能に結合固定している。又、この結合固定に利用する、図示しないボルトの杆部を、前記セレーション軸部25の外周面の軸方向中間部に全周に亙って形成した係止溝27に係合させる事により、前記セレーション軸部25が前記ヨーク26の基部の内側から抜け出るのを防止している。又、前記ラック軸9aの両端部に1対のタイロッド10、10(図8参照)の基端部を、それぞれ図示しないボールジョイントを介して接続している。この状態で、ステアリングホイール4(図8参照)の操作に基づいて前記ピニオン軸8aが回転すると、このピニオン軸8aの回転運動が前記ラック軸9aの直線運動に変換される。この結果、前記両タイロッド10、10が押し引きされ、左右の操舵輪に所望の舵角が付与される。
以上に述べた構成及び作用に就いては、従来から知られているステアリング装置の場合とほぼ同様であるが、本例の場合には、特に、前記ピニオン軸8aの基端寄り部分で、前記第二筒部20の外部に突出した部分(他の部材と係合しない部分)に、軸方向両側に隣接する他の部位に比べて外径寸法が小さくなった小径部28を形成している。これと共に、この小径部28に、外径部(外周寄り部分)の硬さを内径部(中心寄り部分)の硬さに比べて高くした態様の硬さ分布を付与している。この様な硬さ分布を前記小径部28に付与する方法として、本例の場合には、次の(1)〜(3)のうちの何れか1つの方法を採用する。
(1)前記ピニオン軸8aの基端寄り部分に切削加工や鍛造等の塑性加工を施す事により、前記小径部28を形成する。その後、この小径部28の外周面に、例えば、ショットピーニング加工や、高周波焼入れ、浸炭、窒化等の表面硬化熱処理と言った、各種の表面硬化処理を施す事により、この小径部28の外径部である表層部に硬化層を形成する。
(2)前記ピニオン軸8aの基端寄り部分の外周面に、例えば、ショットピーニング加工や、高周波焼入れ、浸炭、窒化等の表面硬化熱処理と言った、各種の表面硬化処理を施す事により、当該部分の外径部である表層部に硬化層を形成する。その後、当該部分に切削加工や鍛造等の塑性加工を施す事により、前記小径部28を形成する。この際に、形成後の小径部28の外径部である表層部に、前記表面硬化処理によって形成された硬化層の少なくとも一部が残る様にする。
(3)前記ピニオン軸8aの基端寄り部分に、転造による縮径加工等の、外径部の加工度が内径部の加工度に比べて大きくなる塑性加工を施す事により、当該部分に前記小径部28を形成するのと同時に、この小径部28に、外径部の硬さを内径部の硬さに比べて高くした態様の硬さ分布を付与する。
更に、本例の場合には、前記小径部28の外周面(図示の例では、この小径部28及びこの小径部28に対して軸方向両側に隣接する部分の外周面)に、この小径部28の軸方向に長く、この小径部28の外径側から見た形状が直線状である基準線29を表示している。この基準線29は、各種塗料によって表示できる他、前記外周面に形成した凹溝又は突条によって表示する事もできる。
上述の様に構成する本例のステアリング装置の場合、車両の衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴い、この操舵輪の側から前記ピニオン軸8aに、操舵力の最大値を超える大きさの衝撃的なトルクが加わった場合には、このピニオン軸8aに設けた前記小径部28が、他の部位に優先して捩り変形する。そして、この捩り変形に基づいて、前記操舵輪の側から操舵力伝達経路に入力された衝撃エネルギを吸収する。この為、前記操舵力伝達経路を構成する各部材のうちで、前記ピニオン軸8a以外の部材に加わる、衝撃的な外力(圧縮荷重、引っ張り荷重、曲げモーメント、トルク等)を緩和できる。
特に、本例の場合には、前記ピニオン軸8aの小径部28に関して、前記衝撃エネルギの吸収性能の確保と、操舵力に対する疲労強度の確保とを、高レベルで両立できる。即ち、本例の場合には、前記衝撃エネルギの吸収性能を十分に確保すべく、前記小径部28の外径寸法を小さくする場合でも、この小径部28には、外径部の硬さを内径部の硬さに比べて高くした態様の硬さ分布が付与されている為、この小径部28の疲労強度を十分に確保できる。従って、本例の場合には、この小径部28に関して、衝撃エネルギの吸収性能の確保と疲労強度の確保とを、高レベルで両立できる。
又、本例の場合、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴い、ステアリング装置を構成する各部材に衝撃的な外力が加わった場合に、加わった事実を運転者が容易且つ確実に認識できる。即ち、この場合には、上述の様にピニオン軸8aの小径部28が捩り変形する。この結果、車両を直進状態とする為の、ステアリングホイール4の中立状態の姿勢が、例えば図2の(A)→(B)の順に示す様に変化する。この変化は、運転者にとって容易且つ確実に認識できる。この為、運転者に、修理を促す事ができて、損傷した車両の運行を継続する事に伴う危険を回避できる。
又、本例の場合、上述の様に小径部28が捩り変形すると、この小径部28の外周面に表示した前記基準線29の形状が、例えば図3の(A)→(B)の順に示す様に、直線状から非直線状に変化する。この変化は、経験の浅い工員等でも容易に判別できる。この為、車両を修理工場に持ち込みさえすれば、経験の浅い工員でも前記ピニオン軸8aに異常が発生した事を、容易且つ確実に判定できて、適切な修理・交換作業を実施できる。
[実施の形態の第2例]
図4は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、小径部を有する操舵力伝達軸が、上述した第1例の場合と異なる。即ち、本例の場合、操舵力伝達経路を構成する複数の操舵力伝達軸のうち、電動アシスト装置12(図8参照)と1対の操舵輪との間に存在する回転軸である、中間シャフト6aを構成するインナシャフト15aの中間部(他の部材と係合しない部分)に、上述した第1例の場合と同様の構成を有する小径部28a(硬さ分布及び基準線29aを含む)を形成している。
その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図5は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合も、小径部を有する操舵力伝達軸が、前述した第1例の場合と異なる。即ち、本例の場合、操舵力伝達経路を構成する複数の操舵力伝達軸のうち、電動アシスト装置12とステアリングホイール4(図8参照)との間に存在する回転軸である、ステアリングシャフト3aを構成するインナシャフト13aの中間部(他の部材と係合しない部分)に、前述した第1例の場合と同様の構成を有する小径部28b(硬さ分布及び基準線29bを含む)を形成している。
その他の構成及び作用は、前述した第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[本発明に関連する参考例の第1例]
図6は、本発明に関連する参考例の第1例を示している。本参考例の場合も、小径部を有する操舵力伝達軸が、前述した実施の形態の第1例の場合と異なる。即ち、本参考例の場合、操舵力伝達経路を構成する複数の操舵力伝達軸のうち、電動アシスト装置12(図8参照)と操舵輪との間に存在する変位軸である、タイロッド10aの一部に、前述した実施の形態の第1例の場合と同様の構成を有する小径部28c(硬さ分布及び基準線29cを含む)を形成している。図示の例の場合、前記タイロッド10aは、基端側(ステアリングギヤユニット側)のラックエンド部30と、先端側(操舵輪側)のタイロッドエンド部31とを、軸方向に関して直列に接続して成る。即ち、前記ラックエンド部30の先端部に設けた雄ねじ部と、前記タイロッドエンド部31の基端面に開口する状態で設けたねじ孔との螺合に基づいて、前記タイロッド10aの長さ寸法を適正にした状態で、ロックナット32を締め付ける事により、前記両エンド部30、31同士を固定している。そして、このうちのラックエンド部30の基端寄り部分(他の部材と係合しない部分)に、前記小径部28cを形成している。又、本参考例の場合、前記基準線29cを、前記タイロッド10aの外周面のほぼ全長に亙って表示している。又、本参考例の場合、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴い、前記タイロッド10aに衝撃的な圧縮荷重や曲げモーメントが加わると、前記小径部28cが曲げ変形する。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[本発明に関連する参考例の第2例]
図7は、本発明に関連する参考例の第2例を示している。本参考例の場合も、小径部を有する操舵力伝達軸が、前述した実施の形態の第1例の場合と異なる。即ち、本参考例の場合には、タイロッド10bを構成するタイロッドエンド部31aの基端寄り部分(他の部材と係合しない部分)に、前述した実施の形態の第1例の場合と同様の構成を有する小径部28d(硬さ分布及び基準線29dを含む)を形成している。ラックエンド部30aには、特に小径部は形成していない。又、本参考例の場合、前記基準線29dを、前記タイロッドエンド部31aの外周面のほぼ全長に亙って表示している。又、本参考例の場合も、上述した参考例の第1例の場合と同様、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴い、前記タイロッド10bに衝撃的な圧縮荷重や曲げモーメントが加わると、前記小径部28dが曲げ変形する。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
本発明を実施する場合、対象となるステアリング装置の操舵力伝達経路の一部に、操舵力伝達軸の一種である、エクステンションシャフト(延長軸)が存在する場合には、このエクステンションシャフトの一部に小径部を設ける事もできる。又、この小径部は、2以上の操舵力伝達軸に設ける事もできる。
1 車体
2 ステアリングコラム
3、3a ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5b 自在継手
6、6a 中間シャフト
7、7a ステアリングギヤユニット
8、8a ピニオン軸
9、9a ラック軸
10、10a、10b タイロッド
11 電動モータ
12 電動アシスト装置
13、13a インナシャフト
14 アウタシャフト
15、15a インナシャフト
16 アウタシャフト
17 ケーシング
18 押圧手段
19 第一筒部
20 第二筒部
21 第三筒部
22a、22b 転がり軸受
23 ラック歯
24 ピニオン歯
25 セレーション軸部
26 ヨーク
27 係止溝
28、28a〜28d 小径部
29、29a〜29d 基準線
30、30a ラックエンド部
31、31a タイロッドエンド部
32 ロックナット

Claims (2)

  1. ステアリングホイールから入力された操舵力を1対の操舵輪に伝達する為の操舵力伝達経路を構成する、複数の操舵力伝達軸を備えたステアリング装置に於いて、これら各操舵力伝達軸のうち、前記ステアリングホイールから入力された操舵力を前記両操舵輪に伝達する際に自身の中心軸を中心として回転する回転軸である少なくとも1つの操舵力伝達軸は、他の部材と係合しない部分に、軸方向両側に隣接する他の部分よりも外径寸法が小さくなった小径部を有しており、且つ、この小径部に、外径部の硬さを内径部の硬さに比べて高くした態様の硬さ分布が付与されており
    記小径部は、操舵力の最大値を超える大きさの衝撃的なトルクが加わった場合に、この小径部が形成された操舵力伝達軸の他の部位に優先して捩り変形するものであり、
    前記小径部の外周面及び前記両他の部分のうちの他の部材と係合しない部分の外周面に連続した状態で、この小径部の軸方向に長く、この小径部の外径側から見た形状が直線状である基準線が表示されている事を特徴とするステアリング装置。
  2. 前記操舵力伝達経路の一部に、電動モータを補助動力源とする電動アシスト装置が設けられており、前記小径部を有する操舵力伝達軸が、前記操舵力伝達経路の一部で前記電動アシスト装置と前記両操舵輪との間部分に設けられている、請求項1に記載したステアリング装置。
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