JP5353973B2 - ステアリング装置用トルク伝達装置 - Google Patents
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Description
或いは、請求項4に記載した発明の様に、前記一方のスプライン部を構成する複数の歯の歯丈を総て等しくする。これと共に、前記他方のスプライン部を構成する各歯のうち、それぞれが前記係合凹部の周方向両側に存在する各歯の歯丈を、残りの各歯の歯丈よりも小さくする。
そして、この様な請求項3又は請求項4に記載した発明の構成を採用する事により、閾値を超えるトルクが加わった場合に、前記各係合凸部と前記各係合凹部との係合が解除され易くなる様にする。
そして、この様な構成を採用する事により、閾値を超えるトルクが加わった場合に、前記結合杆部が弾性変形し易くなる様にする事で、前記各係合凸部と前記各係合凹部との係合が解除され易くなる様にする。
又、本発明を実施する場合には、請求項7に記載した発明の様に、前記第一、第二トルク伝達部材同士を溶接する事もできる。
この場合に、好ましくは、請求項8に記載した発明の様に、前記第一、第二トルク伝達部材同士を溶接している溶接部の強度を、前記平常時最大伝達トルクでは破損せず、前記ステアリングギヤユニット側から前記第一、第二トルク伝達部材同士の間に加わる、前記閾値を超える大きさの衝撃的なトルクにより破損する大きさとする。
即ち、前記衝撃的なトルクが加わると、係合凸部と係合凹部との係合が解除されて、第一、第二両トルク伝達部材同士の位置関係が、初期状態から回転方向に所定量ずれる事により、孔側、軸側両衝合面部同士が衝合する。更に、その後、前記衝撃的なトルクと逆向きの操舵トルクが加わると、回転方向に関する、前記第一、第二両トルク伝達部材同士の位置関係のずれが解消されて、この位置関係が前記初期状態に戻る事により、前記係合凸部と前記係合凹部とが再び係合する。以上に述べた様な、係合凸部と係合凹部との係合解除、前記孔側、軸側両衝合面部同士の衝合、更には係合凸部と係合凹部との再係合が生じると、これらに伴って、振動や異音(係合解除音、衝合音、係合音)が発生する。このうちの振動は、ステアリングホールに伝わり、前記異音は、車室内に響く。この様な振動や異音は、運転者の五感(触覚、聴覚)によって容易に感じ取れる為、運転者は、これら振動や異音を感じ取る事に基づいて、前記衝撃的なトルクが加わった事実を容易に認識できる。この為、運転者に、修理を促す事ができて、損傷した車両の運行を継続する事に伴う危険を回避できる。
図1〜4は、請求項1、2、3、5、6、9に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例は、自在継手を構成するヨーク10とシャフト11(ステアリングシャフト又は中間シャフト)との結合部に本発明の構造を適用した例である。尚、前記ヨーク10を含む自在継手の構造及び作用に就いては、従来から周知であるから、図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図5は、請求項1、2、4、5、6、9に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、ヨーク10aの結合孔13aの内周面に設けた雌スプライン部14aと、シャフト11aの結合杆部16aの外周面に設けた雄スプライン部17aとの構造が、上述した第1例の場合と若干異なる。本例の場合、この雄スプライン部17aに関しては、係合凸部に相当する歯18bを含めた、総ての歯18、18bの歯丈及び歯厚を、互いに等しくしている。その代わりに、前記雌スプライン部14aに関しては、係合凹部に相当する溝19bの周方向両側に存在する各歯15a、15aの歯丈を、残りの歯15、15の歯丈よりも低くしている。又、前記係合凹部に相当する溝19bの周方向幅を、その他の溝19、19の周方向幅よりも小さくする事により、当該溝19bに対して前記係合凸部に相当する歯18bを、周方向のがたつきを生じる事なく(軽い締り嵌めで)係合させている。
図6は、請求項1、2、3、5、6、9に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、シャフト11bを、円管状としている。これと共に、このシャフト11bの先端部に設けた結合杆部16bの先端部分を、ローリングかしめ加工により外径側に曲げ起こす事で、この曲げ起こした部分を、抜け止めの為のかしめ部20aとしている。その他の部分の構造及び作用は、前述の図1〜4に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
尚、上述の様なかしめ部20aを設けた構造は、上述の図5に示した第2例の構造にも適用できる。
図7は、請求項1、2、3、5、6、9に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、ヨーク10の結合孔13の内側に、シャフト11cの結合杆部16cを挿入するのに先立って、この結合杆部16cの外周面の先端部に、大径雄スプライン部22を設けている。この大径雄スプライン部22のピッチ円直径は、前記結合杆部16cの外周面の中間部乃至基端部に設けた雄スプライン部17のピッチ円直径よりも、少しだけ大きくしている。本例の場合、前記結合孔13の内側に前記結合杆部16cを挿入する際には、前記シャフト11cに大きな圧入荷重を加える事によって、前記大径雄スプライン部22を、雌スプライン部14の内側に圧入し、更にこの雌スプライン部14の内側を通過させる。そして、図示の様に、この雌スプライン部14と前記雄スプライン部17とを係合させると共に、前記大径雄スプライン部22の全体を、前記雌スプライン部14の外側に配置した状態とする。この様な構成を有する本例の場合、前記結合孔13の内側から前記結合杆部16cが抜け出る傾向となった場合には、前記大径雄スプライン部22の基端縁と前記雌スプライン部14の先端縁とが、軸方向に関して機械的に係合する。これにより、前記結合孔13の内側から前記結合杆部16cが抜け出る事を防止される。本例の場合には、これら大径雄スプライン部22の基端縁と雌スプライン部14の先端縁とが、抜け止め構造部に相当する。その他の部分の構造及び作用は、前述の図1〜4に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
尚、上述の様な大径雄スプライン部22を設けた構造は、上述の図5に示した第2例の構造にも適用できる。
図8は、請求項1〜3、5〜9に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、ヨーク10の基端面の内周部分とシャフト11の外周面の先端寄り部分とに溶接金属23を掛け渡す状態で、これらヨーク10とシャフト11とを溶接している点が、前述の図1〜4に示した第1例の場合と異なる。この溶接金属23の強度は、据え切り操作時に作用する平常時最大伝達トルクでは破損せず、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴って作用する、前記閾値を超える大きさの衝撃的なトルクにより破損する大きさとしている。この様な構成を有する本例の場合には、据え切り操作時を含めて、平常運転時には、前記ヨーク10と前記シャフト11との間でのトルク伝達を、主として前記溶接金属23を介して行う。その他の部分の構造及び作用は、前述の図1〜4に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
尚、ヨークとシャフトとを溶接する構造は、前述の図5に示した第2例の構造にも適用できる。
又、本発明を実施する場合で、第一、第二両トルク伝達部材同士を溶接する場合、この溶接部の強度も、設計の条件等により、自由に設定できる。即ち、この溶接部の強度は、前記閾値よりも少しだけ大きい値の衝撃的なトルクによって破損する大きさとする事もできるし、前記閾値よりも十分に大きい値の衝撃的なトルクによらなければ破損しない大きさとする事もできる。
又、本発明は、シャフトと自在継手のヨークとの結合部に限らず、ステアリング装置を構成して、ステアリングホイールに加えられたトルクをステアリングギヤユニットの入力軸に伝達する部分であれば、何れの部分でも実施できる。例えば、ステアリングシャフト或いは中間シャフトを構成するインナシャフトを軸方向に2分割し、これら両分割シャフトの端部同士の結合部に、本発明の構造を適用する事もできる。
2 ステアリングコラム
3 ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤユニット
8 入力軸
9 タイロッド
10、10a ヨーク
11、11a、11b、11c シャフト
12 基部
13、13a 結合孔
14、14a 雌スプライン部
15、15a 歯
16、16a、16b、16c 結合杆部
17、17a 雄スプライン部
18、18a、18b 歯
19、19a、19b 溝
20、20a かしめ部
21 段部
22 大径雄スプライン部
23 溶接金属
Claims (9)
- 互いに同心に配置されてトルクの伝達方向に関して互いに直列に接続された、第一、第二両トルク伝達部材を備え、ステアリングホイールの動きをステアリングギヤユニットの入力軸に伝達するトルク伝達機構の途中に設けられて、前記ステアリングホイールとこの入力軸との間でのトルク伝達に供されるステアリング装置用トルク伝達装置に於いて、前記第一トルク伝達部材の一部に形成された結合孔と、前記第二トルク伝達部材の一部に形成されると共に、この結合孔の内側に挿入された結合杆部とを備え、このうちの結合孔の内周面に、係合凸部と係合凹部とのうちの何れか一方の部位と、孔側衝合面部とが、周方向に関して互いに異なる位置に設けられており、前記結合杆部の外周面に、前記係合凸部と前記係合凹部とのうちの他方の部位と、軸側衝合面部とが、周方向に関して互いに異なる位置に設けられており、前記係合凸部は、前記係合凹部に対し、周方向のがたつきを生じる事なく係合しており、且つ、前記第一、第二両トルク伝達部材同士の間に閾値を超える大きさのトルクが加わった場合にのみ、これら第一、第二両トルク伝達部材のうちの少なくとも一方の部材が弾性変形する事に基づいて、前記係合凹部を設けた周面のうちこの係合凹部から周方向に外れた部分に乗り上がる事により、この係合凹部に対する係合が解除されるものであり、前記閾値は、車両が停止した状態で前記ステアリングホイールを操作した場合にこのステアリングホイールから前記入力軸に伝達される、平常時最大伝達トルク以上の大きさに設定されており、前記孔側、軸側両衝合面部は、前記係合凸部と前記係合凹部とが係合している初期状態では、周方向に関して互いに離隔した位置に配置されており、且つ、前記係合凸部と前記係合凹部との係合が解除されて、前記第一、第二両トルク伝達部材同士の位置関係が、前記初期状態から回転方向の各側に所定量ずれた場合にのみ、互いに衝合する事と特徴とするステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記結合孔の内周面に雌スプライン部を、前記結合杆部の外周面にこの雌スプライン部と係合する雄スプライン部を、それぞれ設けると共に、これら雌、雄両スプライン部のうちの何れか一方のスプライン部を構成する複数の歯のうちの一部の歯を、それぞれ前記係合凸部とし、前記雌、雄両スプライン部のうちの他方のスプライン部を構成する複数の歯同士の間に設けられた複数の溝のうちの一部の溝を、それぞれ前記係合凹部とし、前記雌スプライン部を構成する複数の歯の周方向両側面のうち、前記各係合凸部と前記各係合凹部との係合部から外れた部分に存在する各側面のうちの少なくとも一部の側面を、それぞれ孔側衝合面部とし、前記雄スプライン部を構成する複数の歯の周方向両側面のうち、前記各係合凸部と前記各係合凹部との係合部から外れた部分に存在する各側面のうちの少なくとも一部の側面を、それぞれ軸側衝合面部としている、請求項1に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記一方のスプライン部を構成する複数の歯のうち、それぞれが前記係合凸部となる各歯の歯丈を、残りの各歯の歯丈よりも小さくすると共に、前記他方のスプライン部を構成する複数の歯の歯丈を総て等しくした、請求項2に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記一方のスプライン部を構成する複数の歯の歯丈を総て等しくすると共に、前記他方のスプライン部を構成する各歯のうち、それぞれが前記係合凹部の周方向両側に存在する各歯の歯丈を、残りの各歯の歯丈よりも小さくした、請求項2に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記結合杆部を筒状に構成した、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一、第二両トルク伝達部材同士の間に、前記結合孔から前記結合杆部が抜け出る事を防止する為の抜け止め構造部を設けている、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一、第二トルク伝達部材同士を溶接している、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一、第二トルク伝達部材同士を溶接している溶接部の強度が、前記平常時最大伝達トルクでは破損せず、前記ステアリングギヤユニット側から前記第一、第二トルク伝達部材同士の間に加わる、前記閾値を超える大きさの衝撃的なトルクにより破損する大きさである、請求項7に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一トルク伝達部材と前記第二トルク伝達部材とのうちの一方のトルク伝達部材が自在継手のヨークであって、前記結合孔がこのヨークの基端部に形成されており、同じく他方の部材がシャフトであって、前記結合杆部がこのシャフトの端部に設けられている、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
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