JP5516533B2 - ステアリング装置用トルク伝達装置 - Google Patents
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Description
又、本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、前記第一、第二両トルク伝達部材同士の間に、前記結合孔から前記結合杆部が抜け出る事を防止する為の抜け止め構造部を設ける。
即ち、前記衝撃的なトルクが加わると、前記第一、第二両トルク伝達部材同士が、外径側、内径側両摩擦面部同士を摺動させつつ、外径側、内径側両衝合面部同士が衝合するまでの間、回転方向(トルクの作用方向)に関して相対変位する。この結果、前記第一、第二両トルク伝達部材同士の相対位置が、前記衝撃的なトルクが加わる前の状態である初期状態の相対位置から、回転方向に所定量ずれる。これに伴い、車両を直進状態とする為の、ステアリングホイールの中立状態の姿勢が変化する。この変化は、運転者にとって容易且つ確実に認識できる。この為、運転者に、修理を促す事ができて、損傷した車両の運行を継続する事に伴う危険を回避できる。
図1〜4は、本発明に関する参考例の第1例を示している。本参考例は、自在継手を構成するヨーク10とシャフト11(ステアリングシャフト又は中間シャフト)との結合部に本発明の構造を適用した例である。尚、前記ヨーク10を含む自在継手の構造及び作用に就いては、従来から周知であるから、図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
図6は、本発明に関する参考例の第2例を示している。本参考例の場合には、ヨーク10aの結合孔13aの内周面と、シャフト11aの結合杆部17aの外周面との構造が、上述した参考例の第1例の場合と異なる。本参考例の場合、これら結合孔13a及び結合杆部17aの断面形状を、それぞれ略小判形としている。即ち、このうちの結合孔13aの内周面は、互いに平行な1対の平面部23、23と、これら両平面部23、23の幅方向端部同士を連結する、それぞれが前記結合孔13aの中心軸を中心とする部分円筒状の凹曲面部24、24とから成る。本参考例の場合には、このうちの両平面部23、23の幅方向(周方向)両端部が、それぞれ外径側衝合面部に相当し、前記両凹曲面部24、24が、それぞれ外径側摩擦面部に相当する。一方、前記結合杆部17aの外周面は、互いに平行な1対の平面部25、25と、これら両平面部25、25の幅方向端部同士を連結する、それぞれが前記結合杆部17aの中心軸を中心とする部分円筒状の凸曲面部26、26とから成る。本参考例の場合には、このうちの両平面部25、25の幅方向(周方向)両端部が、それぞれ内径側衝合面部に相当し、前記両凸曲面部26、26が、それぞれ内径側摩擦面部に相当する。そして、前記結合孔13aの内側に前記結合杆部17aを挿入する事により、図6の(A)に示す様に、前記両平面部23、23と前記両平面部25、25とを、比較的大きい隙間を介して互いに平行に対向させた状態で、前記両凹曲面部24、24と前記両凸曲面部26、26とを、締め代を持たせた状態で摩擦係合させている。そして、これら両凹曲面部24、24と両凸曲面部26、26との間に作用する摩擦力に基づいて伝達可能なトルクの最大値(閾値)を、据え切り操作時に作用する平常時最大伝達トルクよりも少しだけ大きい値としている。
図7は、本発明に関する参考例の第3例を示している。本参考例の場合も、ヨーク10bの結合孔13bの内周面と、シャフト11bの結合杆部17bの外周面との構造が、前述の図1〜4に示した参考例の第1例の場合と異なる。即ち、前記結合孔13bの内周面は、外径側円筒面部27と、この外径側円筒面部27の周方向一部分から内径側に突出する状態で設けられた、軸方向に長いキー28とから成る。本参考例の場合には、このうちの外径側円筒面部27が、外径側摩擦面部に相当し、前記キー28の周方向両側面が、それぞれ外径側衝合面部に相当する。一方、前記結合杆部17bの外周面は、内径側円筒面部29と、この内径側円筒面部29の周方向一部分に設けられた、軸方向に長いキー溝30とから成る。本参考例の場合には、このうちの内径側円筒面部29が、内径側摩擦面部に相当し、前記キー溝30の周方向両内側面が、それぞれ外径側衝合面部に相当する。そして、前記結合孔13bの内側に前記結合杆部17bを挿入する事により、図7の(A)に示す様に、前記キー28の周方向両側面と前記キー溝30の周方向両内側面との間に、それぞれ均等な大きさの周方向隙間を介在させた状態で、前記外径側円筒面部27と前記内径側円筒面部29とを、締め代を持たせた状態で摩擦係合させている。そして、これら外径側円筒面部27と内径側円筒面部29との間に作用する摩擦力に基づいて伝達可能なトルクの最大値(閾値)を、据え切り操作時に作用する平常時最大伝達トルクよりも少しだけ大きい値としている。
図8は、本発明に関する参考例の第4例を示している。本参考例の場合には、シャフト11cを、円管状としている。これと共に、このシャフト11cの先端部に設けた結合杆部17cの先端縁部分を、ローリングかしめ加工により外径側に曲げ起こす事で、この曲げ起こした部分を、抜け止めの為のかしめ部21aとしている。その他の部分の構造及び作用は、前述の図1〜4に示した参考例の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
図9は、本発明に関する参考例の第5例を示している。本参考例の場合には、ヨーク10の結合孔13の内側に、シャフト11dの結合杆部17dを挿入するのに先立って、この結合杆部17dの外周面の先端部に、大径雄スプライン部31を設けている。この大径雄スプライン部31のピッチ円直径は、前記結合杆部17dの外周面の中間部乃至基端部に設けた雄スプライン部18のピッチ円直径よりも、少しだけ大きくしている。本参考例の場合、前記結合孔13の内側に前記結合杆部17dを挿入する際には、前記シャフト11dに大きな圧入荷重を加える事によって、前記大径雄スプライン部31を、雌スプライン部14の内側に圧入し、更にこの雌スプライン部14の内側を通過させる。そして、図示の様に、この雌スプライン部14と前記雄スプライン部18とを係合させると共に、前記大径雄スプライン部31の全体を、前記雌スプライン部14の外側に配置した状態とする。この様な構成を有する本参考例の場合、前記結合孔13の内側から前記結合杆部17dが抜け出る傾向となった場合には、前記大径雄スプライン部31の基端縁と前記雌スプライン部14の先端縁とが、軸方向に関して機械的に係合する。これにより、前記結合孔13の内側から前記結合杆部17dが抜け出る事を防止される。本参考例の場合には、これら大径雄スプライン部31の基端縁と雌スプライン部14の先端縁とが、抜け止め構造部に相当する。その他の部分の構造及び作用は、前述の図1〜4に示した参考例の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
図10は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、ヨーク10の基端面の内周部分とシャフト11の外周面の先端寄り部分とに溶接金属32を掛け渡す状態で、これらヨーク10とシャフト11とを溶接している点が、前述の図1〜4に示した参考例の第1例の場合と異なる。溶接部である、この溶接金属32の強度は、据え切り操作時に作用する平常時最大伝達トルクでは破損せず、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴って作用する、前記閾値を超える大きさの衝撃的なトルクにより破損する大きさとしている。この様な構成を有する本例の場合には、据え切り操作時を含めて、平常運転時には、前記ヨーク10と前記シャフト11との間でのトルク伝達を、主として前記溶接金属32を介して行う。これに対して、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴う衝撃荷重が加わった場合には、前記溶接金属32が破損すると共に、前記ヨーク10と前記シャフト11とが、雌スプライン部の溝部の底面と雄スプライン部の歯部の先端面とを周方向に摺動させつつ、回転方向に関して相対変位する。この結果、車両が直線状態にある場合であっても、ステアリングホイール4の姿勢が、図4の(B)に示した、初期状態とは異なる状態となる。その他の部分の構造及び作用は、前述の図1〜4に示した参考例の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
尚、ヨークとシャフトとを溶接する構造は、上述した参考例の第2〜5例の構造でも採用できる。
又、本発明を実施する場合、第一、第二トルク伝達部材同士の溶接部の強度も、設計の条件等により、自由に設定できる。即ち、この溶接部の強度は、前記閾値よりも少しだけ大きい値の衝撃的なトルクによって破損する大きさとする事もできるし、前記閾値よりも十分に大きい値(想定を超える様な十分に大きい値)の衝撃的なトルクによらなければ破損しない大きさとする事もできる。
又、本発明は、シャフトと自在継手のヨークとの結合部に限らず、ステアリング装置を構成して、ステアリングホイールに加えられたトルクをステアリングギヤユニットの入力軸に伝達する部分であれば、何れの部分でも実施できる。例えば、ステアリングシャフト或いは中間シャフトを構成するインナシャフトを軸方向に2分割し、これら両分割シャフトの端部同士の結合部に、本発明の構造を適用する事もできる。
2 ステアリングコラム
3 ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤユニット
8 入力軸
9 タイロッド
10、10a、10b ヨーク
11、11a〜11d シャフト
12 基部
13、13a、13b 結合孔
14 雌スプライン部
15 歯部
16 溝部
17、17a〜17d 結合杆部
18、18a、18b 雄スプライン部
19、19a 歯部
20 溝部
21、21a かしめ部
22 段部
23 平面部
24 凹曲面部
25 平面部
26 凸曲面部
27 外径側円筒面部
28 キー
29 内径側円筒面部
30 キー溝
31 大径雄スプライン部
32 溶接金属
Claims (4)
- 互いに同心に配置されてトルクの伝達方向に関して互いに直列に接続された、第一、第二両トルク伝達部材を備え、ステアリングホイールの動きをステアリングギヤユニットの入力軸に伝達するトルク伝達機構の途中に設けられて、前記ステアリングホイールとこの入力軸との間でのトルク伝達に供されるステアリング装置用トルク伝達装置に於いて、前記第一トルク伝達部材の一部に形成された結合孔と、前記第二トルク伝達部材の一部に形成されると共に、この結合孔の内側に挿入された結合杆部とを備えると共に、前記第一、第二両トルク伝達部材同士が溶接されており、前記結合孔の内周面には、周方向に関して互いに異なる位置に、外径側摩擦面部と外径側衝合面部とが設けられており、前記結合杆部の外周面には、周方向に関して互いに異なる位置に、内径側摩擦面部と内径側衝合面部とが設けられており、このうちの外径側、内径側両摩擦面部は、互いに摩擦係合する事により、この摩擦係合した部分に作用する摩擦力に基づいて、前記第一、第二両トルク伝達部材同士の間でのトルクの伝達を可能とし、且つ、これら第一、第二両トルク伝達部材同士を溶接している溶接部が破損した状態で、これら第一、第二両トルク伝達部材同士の間に閾値を超える大きさのトルクが入力された場合にのみ、周方向に関して互いに摺動するものであり、前記閾値は、車両が停止した状態で前記ステアリングホイールを操作した場合にこのステアリングホイールから前記入力軸に伝達される、平常時最大伝達トルク以上の大きさに設定されており、前記外径側、内径側両衝合面部は、初期状態では、周方向に関して互いに離隔した位置に配置されており、且つ、前記外径側、内径側両摩擦面部同士が周方向に摺動する事に基づいて、前記第一、第二両トルク伝達部材同士の相対位置が初期状態の相対位置から回転方向の各側に所定量ずれた場合にのみ、互いに衝合して、この相対位置が回転方向の各側にそれ以上ずれる事を阻止するものである事を特徴とするステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一、第二両トルク伝達部材同士を溶接している溶接部の強度が、前記平常時最大伝達トルクでは破損せず、前記ステアリングギヤユニット側から前記第一、第二両トルク伝達部材同士の間に加わる、前記閾値を超える大きさの衝撃的なトルクにより破損する大きさである、請求項1に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一、第二両トルク伝達部材同士の間に、前記結合孔から前記結合杆部が抜け出る事を防止する為の抜け止め構造部が設けられている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一トルク伝達部材と前記第二トルク伝達部材とのうちの一方のトルク伝達部材が自在継手のヨークであって、前記結合孔がこのヨークの基端部に形成されており、同じく他方の部材がシャフトであって、前記結合杆部がこのシャフトの端部に設けられている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
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