JP5353972B2 - ステアリング装置用トルク伝達装置 - Google Patents
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Description
又、本発明を実施する場合には、請求項5に記載した発明の様に、前記第一、第二トルク伝達部材同士を溶接する事もできる。
この場合に、好ましくは、請求項6に記載した発明の様に、前記第一、第二トルク伝達部材同士を溶接している溶接部の強度を、前記平常時最大伝達トルクでは破損せず、前記ステアリングギヤユニット側から前記第一、第二トルク伝達部材同士の間に加わる、前記閾値を超える大きさの衝撃的なトルクにより破損する大きさとする。
即ち、本発明の場合、初期状態では、孔側凹凸部と軸側凹凸部とが第一領域で周方向のがたつきを生じる事なく係合している為、これら孔側凹凸部と軸側凹凸部との係合状態が、周方向のがたつきを持たない係合状態になっている。これに対し、第一、第二両トルク伝達部材同士の間に前記衝撃的なトルクが加わると、前記第一領域で孔側凹凸部と軸側凹凸部とのうちの少なくとも一方が塑性変形若しくは脱落する事に基づいて、第二領域に存在する周方向の隙間の分だけ、前記第一、第二両トルク伝達部材が相対回転可能となる。言い換えれば、前記孔側凹凸部と前記軸側凹凸部との係合状態が、周方向のがたつきを持たない係合状態から、周方向のがたつきを持った係合状態に変化する。この結果、このがたつきの分だけ、ステアリングホイールの遊び(操舵輪の舵角変化に結び付かない操作範囲)が増加すると共に、場合によっては、前記がたつきに基づいて生じる振動が前記ステアリングホイールに伝わったり、このがたつきに基づいて生じる異音が車室内に響いたりする様になる。この様な状況の変化は、運転者が容易に感じ取れる為、運転者は、この様な状況の変化に基づいて、前記衝撃的なトルクが加わった事実を容易に認識できる。この為、運転者に、修理を促す事ができて、損傷した車両の運行を継続する事に伴う危険を回避できる。
図1〜5は、請求項1、2、4、7に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例は、自在継手を構成するヨーク10とシャフト11(ステアリングシャフト又は中間シャフト)との結合部に本発明の構造を適用した例である。尚、前記ヨーク10を含む自在継手の構造及び作用に就いては、従来から周知であるから、図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図6〜7は、請求項1、3、4、7に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、ヨーク10aの結合孔13aの内周面に設けた雌スプライン部14aと、シャフト11aの結合杆部15aの外周面に設けた雄スプライン部16aとの構造が、上述した第1例の場合と異なる。本例の場合、前記雌スプライン部14aは、径方向反対側となる2つの範囲に、それぞれ複数の歯17、17を周方向に関して等ピッチで配置すると共に、周方向に関してこれら両範囲に挟まれた残りの2つの範囲に、それぞれ周方向幅が十分に大きい幅広溝22を1つずつ配置して成る。一方、前記雄スプライン部16aは、径方向反対側となる2つの範囲に、それぞれ複数の歯18、18を周方向に関して等ピッチで配置すると共に、周方向に関してこれら両範囲に挟まれた残りの2つの範囲に、それぞれ前記各歯18、18に比べて歯厚(周方向幅)が十分に大きい幅広歯23を1つずつ配置して成る。
図8は、請求項1、2、4、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、シャフト11bを、円管状としている。これと共に、このシャフト11bの先端部に設けた結合杆部15bの先端縁部分を、ローリングかしめ加工により外径側に曲げ起こす事で、この曲げ起こした部分を、抜け止めの為のかしめ部19aとしている。その他の部分の構造及び作用は、前述の図1〜5に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
尚、上述の様なかしめ部19aを設けた構造は、上述の図6〜7に示した第2例の構造にも適用できる。
図9は、請求項1、2、4、7に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、ヨーク10の結合孔13の内側に、シャフト11cの結合杆部15cを挿入するのに先立って、この結合杆部15cの外周面の先端部に、大径雄スプライン部24を設けている。この大径雄スプライン部24のピッチ円直径は、前記結合杆部15cの外周面の中間部乃至基端部に設けた雄スプライン部16のピッチ円直径よりも、少しだけ大きくしている。本例の場合、前記結合孔13の内側に前記結合杆部15cを挿入する際には、前記シャフト11cに大きな圧入荷重を加える事によって、前記大径雄スプライン部24を、雌スプライン部14の内側に圧入し、更にこの雌スプライン部14の内側を通過させる。そして、図示の様に、この雌スプライン部14と前記雄スプライン部16とを係合させると共に、前記大径雄スプライン部24の全体を、前記雌スプライン部14の外側に配置した状態とする。この様な構成を有する本例の場合、前記結合孔13の内側から前記結合杆部15cが抜け出る傾向となった場合には、前記大径雄スプライン部24の基端縁と前記雌スプライン部14の先端縁とが、軸方向に関して機械的に係合する。これにより、前記結合孔13の内側から前記結合杆部15cが抜け出る事を防止される。本例の場合には、これら大径雄スプライン部24の基端縁と雌スプライン部14の先端縁とが、抜け止め構造部に相当する。その他の部分の構造及び作用は、前述の図1〜5に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
尚、上述の様な大径雄スプライン部24を設けた構造は、上述の図6〜7に示した第2例の構造にも適用できる。
図10は、請求項1、2、4〜7に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、ヨーク10の基端面の内周部分とシャフト11の外周面の先端寄り部分とに溶接金属25を掛け渡す状態で、これらヨーク10とシャフト11とを溶接している点が、前述の図1〜5に示した第1例の場合と異なる。この溶接金属25の強度は、据え切り操作時に作用する平常時最大伝達トルクでは破損せず、衝突事故や操舵輪の縁石乗り上げに伴って作用する、前記閾値を超える大きさの衝撃的なトルクにより破損する大きさとしている。この様な構成を有する本例の場合には、据え切り操作時を含めて、平常運転時には、前記ヨーク10と前記シャフト11との間でのトルク伝達を、主として前記溶接金属25を介して行う。その他の部分の構造及び作用は、前述の図1〜5に示した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する図示並びに説明は省略する。
尚、ヨークとシャフトとを溶接する構造は、前述の図6〜7に示した第2例の構造にも適用できる。
又、本発明を実施する場合で、第一、第二両トルク伝達部材同士を溶接する場合、この溶接部の強度も、設計の条件等により、自由に設定できる。即ち、この溶接部の強度は、前記閾値よりも少しだけ大きい値の衝撃的なトルクによって破損する大きさとする事もできるし、前記閾値よりも十分に大きい値の衝撃的なトルクによらなければ破損しない大きさとする事もできる。
又、本発明は、シャフトと自在継手のヨークとの結合部に限らず、ステアリング装置を構成して、ステアリングホイールに加えられたトルクをステアリングギヤユニットの入力軸に伝達する部分であれば、何れの部分でも実施できる。例えば、ステアリングシャフト或いは中間シャフトを構成するインナシャフトを軸方向に2分割し、これら両分割シャフトの端部同士の結合部に、本発明の構造を適用する事もできる。
2 ステアリングコラム
3 ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤユニット
8 入力軸
9 タイロッド
10、10a ヨーク
11、11a、11b、11c シャフト
12 基部
13、13a 結合孔
14、14a 雌スプライン部
15、15a、15b、15c 結合杆部
16、16a 雄スプライン部
17 歯
18、18a 歯
19、19a かしめ部
20 段部
21 凹部
22 幅広溝
23 幅広歯
24 大径雄スプライン部
25 溶接金属
Claims (7)
- 互いに同心に配置されてトルクの伝達方向に関して互いに直列に接続された、第一、第二両トルク伝達部材を備え、ステアリングホイールの動きをステアリングギヤユニットの入力軸に伝達するトルク伝達機構の途中に設けられて、前記ステアリングホイールとこの入力軸との間でのトルク伝達に供されるステアリング装置用トルク伝達装置に於いて、前記第一トルク伝達部材の一部に形成された結合孔と、前記第二トルク伝達部材の一部に形成されると共に、この結合孔の内側に挿入された結合杆部とを備え、このうちの結合孔の内周面に、周方向に関して凹凸に形成された、孔側凹凸部が設けられており、前記結合杆部の外周面に、周方向に関して凹凸に形成され、前記孔側凹凸部と凹凸係合した、軸側凹凸部が設けられており、これら孔側、軸側両凹凸部同士の凹凸係合部に、これら孔側、軸側両凹凸部同士が周方向のがたつきを生じる事なく凹凸係合した第一領域と、同じく周方向の隙間をあけて凹凸係合した第二領域とが存在しており、前記第一、第二両トルク伝達部材は、これら第一、第二両トルク伝達部材同士の間に閾値を超える大きさのトルクが加わる事に起因して、前記第一領域で前記孔側、軸側両凹凸部の少なくとも一部分が塑性変形若しくは脱落する事に基づき、前記第二領域に存在する前記周方向の隙間の分だけ、相対回転可能になるものであり、前記閾値は、車両が停止した状態で前記ステアリングホイールを操作した場合にこのステアリングホイールから前記入力軸に伝達される、平常時最大伝達トルク以上の大きさに設定されている事を特徴とするステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記孔側、軸側両凹凸部のうち、何れか一方の凹凸部を構成する各凸部の高さを総て等しくすると共に、他方の凹凸部を構成する各凸部のうち、前記第一領域に存在する凸部の高さを、前記第二領域に存在する凸部の高さよりも低くする事により、それぞれが前記第一領域に存在する、前記孔側、軸側両凹凸部を構成する各凸部の周方向側面同士の接触部である、第一接触部の面積を、それぞれが前記第二領域に存在する、前記孔側、軸側両凹凸部を構成する各凸部の周方向側面同士が接触する場合の接触部である、第二接触部の面積よりも狭くする事で、この第二接触部よりも前記第一接触部で、前記一方の凹凸部を構成する各凸部に塑性変形若しくは脱落が生じ易くなる様にした、請求項1に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記孔側、軸側両凹凸部のうちの何れか一方の凹凸部を構成する各凸部のうち、前記第一領域に存在する凸部の周方向幅を、前記第二領域に存在する凸部の周方向幅よりも小さくする事により、前記第一領域に存在する凸部が、この第二領域に存在する凸部よりも脱落し易くなる様にした、請求項1に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一、第二両トルク伝達部材同士の間に、前記結合孔から前記結合杆部が抜け出る事を防止する為の抜け止め構造部が設けられている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一、第二トルク伝達部材同士を溶接している、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一、第二トルク伝達部材同士を溶接している溶接部の強度が、前記平常時最大伝達トルクでは破損せず、前記ステアリングギヤユニット側から前記第一、第二トルク伝達部材同士の間に加わる、前記閾値を超える大きさの衝撃的なトルクにより破損する大きさである、請求項5に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
- 前記第一トルク伝達部材と前記第二トルク伝達部材とのうちの一方のトルク伝達部材が自在継手のヨークであって、前記結合孔がこのヨークの基端部に形成されており、同じく他方の部材がシャフトであって、前記結合杆部がこのシャフトの端部に設けられている、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載したステアリング装置用トルク伝達装置。
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