JP2015168306A5 - - Google Patents

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電動式パワーステアリング装置及びその製造方法
この発明は、電動モータを補助動力の発生源として、運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力を軽減できる様に構成した、電動式パワーステアリング装置及びその製造方法の改良に関する。
自動車の操舵輪に舵角を付与する為のステアリング装置として、図13に示す様な構造が、広く知られている。このステアリング装置は、車体1に支持された円筒状のステアリングコラム2の内径側にステアリングシャフト3を、回転可能に支持している。そして、このステアリングコラム2の後端開口から突出した、前記ステアリングシャフト3の後端部に、ステアリングホイール4を固定している。このステアリングホイール4を回転させると、この回転が、前記ステアリングシャフト3、自在継手5a、中間シャフト6、自在継手5bを介して、ステアリングギヤユニット7の入力軸8に伝達される。この入力軸8が回転すると、このステアリングギヤユニット7の両側に配置された1対のタイロッド9、9が押し引きされて左右1対の操舵輪に、前記ステアリングホイール4の操作量に応じた舵角が付与される。
尚、本明細書で、前後方向は、特に断らない限り、車両の前後方向を言う。
又、図13に示した例は、電動モータ10を補助動力源として利用する事により、前記ステアリングホイール4の操作力を軽減できる様に構成した電動式パワーステアリング装置としている。この為に、前記ステアリングコラム2の前端部にハウジング11を固定し、このハウジング11に前記電動モータ10を支持すると共に、このハウジング11の内側に複数の構成部品を設けている。
これら各構成部品には、例えば図14に示す様な、前記ステアリングホイール4(図13参照)からの操舵力が付与される入力軸12と、前記電動モータ10(図13参照)を発生源とする補助動力が付与される中空状の出力軸13と、この出力軸13の内径側に配置されると共に、その両端部を、この出力軸13と前記入力軸12とに対してトルク伝達可能に連結されたトーションバー14と、このトーションバー14の弾性的な捩れ変形に基づいて前記操舵力を検出するトルク検出器等が含まれる(例えば特許文献1参照)。前記入力軸12と前記出力軸13とは、互いの軸方向端部に設けられた雄、雌両ストッパ部15、16同士を円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる事により、互いの相対回転を所定角度範囲内に規制された状態で連結されている。
図14に示した様な、入力軸12と、出力軸13と、トーションバー14とを組み立てる場合には、先ず、前記トーションバー14の後端部(図14の右端部)を、前記入力軸12の内径側に設けられた連結孔部17に圧入する事により、前記トーションバー14の後端部を前記入力軸12にトルク伝達可能に連結する。次いで、前記トーションバー14を前記出力軸13の中心孔18に挿入して、このトーションバー14の前端部(図14の左端部)を、この中心孔18の前端部に設けられた連結孔部19に締め代を持たせる事なく内嵌する。これと共に、前記雄、雌両ストッパ部15、16同士を円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる。そして、前記入力軸12と前記出力軸13との回転方向に関する互いの位置関係を、前記所定角度範囲の中央位置に合わせた状態で、前記出力軸13の前端部と前記トーションバー14の前端部との互いに整合する位置に、ドリル加工で径方向の貫通孔20を形成する。そして、この貫通孔20にピン21を圧入する事により、前記トーションバー14の前端部を前記出力軸13に対してトルク伝達可能に連結する。
上述の様な従来構造及びその組立方法の場合には、前記入力軸12と前記出力軸13との回転方向に関する互いの位置関係を規制し、更にこの規制した位置関係を保持しながら、前記貫通孔20を形成する必要がある。この為、この貫通孔20を形成する際に専用の治具や設備が必要になり、その分、コストが嵩むと言った問題がある。
これに対し、上述の様な従来構造を組み立てる場合、先に前記トーションバー14の前端部と前記出力軸13とを前記ピン21により連結してから、このトーションバー14の後端部を前記入力軸12の連結孔部17に圧入する様にすれば、前記貫通孔20を形成する際に、上述の様な治具や設備が不要になる為、その分、コストを抑えられる。
但し、この場合には、前記トーションバー14の後端部を前記入力軸12の連結孔部17に圧入する際に、このトーションバー14の軸方向中間部であるばね軸部に、大きな軸方向圧縮力が加わる。この為、この大きな軸方向圧縮力によって前記ばね軸部が座屈するのを防止すべく、このばね軸部の剛性を高くしておく必要がある。ところが、この様にばね軸部の剛性を高くすると、その分、このばね軸部を通じて、操舵輪側からステアリングホイール4側へ振動が伝わり易くなると共に、操舵トルクの検出感度が低くなると言った不都合を生じる。
一方、上述の様な従来構造に関して、前記トーションバー14の前端部と前記出力軸13との連結構造を、圧入による連結構造に変更すれば、前記貫通孔20及び前記ピン21が不要になる為、上述の様な治具や設備が不要になるだけでなく、前記貫通孔20の形成によって発生する切粉(鉄粉)の除去作業(洗浄作業)が不要になると共に、部品点数を減らせる為、その分、コストを抑えられる。
但し、この場合には、前記トーションバー14の両端部を前記2つの連結孔部17、19に対して順番に圧入する事になる為、後から行う圧入の際に、先に圧入した側の端部を後から圧入する側の端部に向けて軸方向に押圧する様な態様で圧入を行うと、前記トーションバー17のばね軸部に大きな軸方向圧縮力が加わる。この為、上述した場合と同様の不都合を生じる。
尚、本発明に関連する他の先行技術文献として、特許文献2がある。この特許文献2には、本発明を適用可能な構成を備えた電動式パワーステアリング装置が記載されている。
特開2010−89709号公報 国際公開第2003/104065号パンフレット
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、トーションバーの軸方向両端部のうち、相手側シャフトの連結孔部に対して後から連結する側の軸方向端部を、この連結孔部に圧入する際に、前記トーションバーの軸方向中間部が座屈する事を防止できる構造及びその製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明の対象となる電動式パワーステアリング装置は、第一シャフトと、第二シャフトと、トーションバーとを備える。
このうちの第一シャフトは中空状である。
又、前記第二シャフトは、例えば前記第一シャフトとの相対回転を所定角度範囲内に規制された状態で、この第一シャフトと同軸に配置されている。
又、前記トーションバーは、軸方向両端部に第一連結軸部及び第二連結軸部を、これら第一、第二両連結軸部同士の間部分である軸方向中間部にばね軸部を、それぞれ有し、前記第一シャフトの内径側に配置された状態で、前記第一連結軸部をこの第一シャフトに、前記第二連結軸部を前記第二シャフトに、それぞれトルク伝達可能に連結されている。
又、前記第一、第二両シャフトのうちの何れか一方のシャフトにステアリングホイールからの操舵力が付与される。又、ステアリングホイールの動きを操舵輪に伝達する操舵力伝達機構の途中に設けられる他の部材(例えば、前記第一、第二両シャフトのうちの他方のシャフトや、ステアリングギヤユニットを構成するラック軸)に、電動モータを発生源とする補助動力が付与される。
特に、請求項に記載した電動式パワーステアリング装置の場合には、前記第一シャフトの内径側に設けられた第一連結孔部に、前記第一連結軸部が圧入されており、前記第一連結軸部の先端面に除去痕が存在している。
本発明の電動式パワーステアリング装置を実施する場合、具体的には、請求項9に記載した発明の様に、前記第一連結軸部の外周面と前記第一連結孔部の内周面とが、これら外周面と内周面とのうちの少なくとも一方の周面に設けられた凹凸面部(例えば、セレーション部やローレット部)により円周方向に凹凸係合している構成を採用する事ができる。
本発明の電動式パワーステアリング装置を実施する場合に、好ましくは、請求項に記載した発明の様に、前記第一シャフトの軸方向一部分(軸方向端部又は軸方向中間部)に設けられた第一ストッパ部と、前記第二シャフトの軸方向一部分(軸方向端部又は軸方向中間部)に設けられた第二ストッパ部とを、円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる事により、前記第一、第二両シャフト同士の相対回転を所定角度範囲内に規制する。
更に、製造時に、前記第二連結軸部を前記第二シャフトに対してトルク伝達可能に連結した後、(前記第一連結孔部に前記延出部を挿通すると共に、この延出部のうち少なくとも先端側部分を前記第一シャフトの外部に突出させた状態で、この突出させた部分をこの第一シャフトに対して軸方向に引っ張る事により)前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する前に、前記第一、第二両ストッパ部の少なくとも一部分同士を円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる事が可能な寸法関係を持たせる。
尚、本発明を実施する場合に、前記第二連結軸部を前記第二シャフトに対してトルク伝達可能に連結する為の構成としては、例えば、この第二連結軸部をこの第二シャフトに設けられた第二連結孔部に圧入する事により、これら第二連結軸部の外周面と第二連結孔部の内周面とを、締り嵌めにより嵌合(摩擦係合)させる構成や、これら外周面と内周面とのうちの少なくとも一方の周面に設けられた凹凸面部(例えば、セレーション部やローレット部)により円周方向に凹凸係合させる構成を採用する事ができる。
又、本発明の電動式パワーステアリング装置を実施する場合に、好ましくは、請求項に記載した発明の様に、前記除去痕が破断痕である構成を採用する事ができる。
又、請求項に記載した電動式パワーステアリング装置の製造方法は、前記第一シャフトの内径側に、前記第一連結軸部を圧入可能な第一連結孔部を設ける。これと共に、例えば、請求項5に記載した発明の様に、これら第一連結軸部の外周面と第一連結孔部の内周面とのうちの少なくとも一方の周面に凹凸面部(例えば、セレーション部やローレット部)を設ける事もできる
又、前記第一連結軸部の先端部から軸方向に延出する状態で、前記第一連結孔部の内径側を軸方向に通過可能な延出部を設ける。
そして、前記第二連結軸部を前記第二シャフトに対してトルク伝達可能に連結する。その後、前記第一連結孔部に前記延出部を挿通すると共に、この延出部のうちの少なくとも先端側部分を前記第一シャフトの外部に突出させた状態で、この突出させた部分をこの第一シャフトに対して軸方向に引っ張る事により、前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する事で、これら第一連結軸部の外周面と第一連結孔部の内周面とを係合させる(例えば、請求項5に記載した発明の様に、前記凹凸面部により円周方向に凹凸係合させる。そして、この状態で、前記延出部を除去する。
尚、本発明に関して、前記延出部のうち前記第一シャフトの外部に突出させた部分をこの第一シャフトに対して軸方向に引っ張るとは、これら延出部と第一シャフトとに軸方向に関して互いに逆向きの引っ張り力を加える(この延出部をこの第一シャフトの外部に引き抜く方向の力を加える)事を意味する。
又、本発明の製造方法を実施する場合で、製造対象となる電動式パワーステアリング装置が、前記第一シャフトの軸方向一部分(軸方向端部又は軸方向中間部)に設けられた第一ストッパ部と、前記第二シャフトの軸方向一部分(軸方向端部又は軸方向中間部)に設けられた第二ストッパ部とを、円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる事により、前記第一、第二両シャフト同士の相対回転を所定角度範囲内に規制したものであって、且つ、製造時に、前記第二連結軸部を前記第二シャフトに対してトルク伝達可能に連結した後、(前記第一連結孔部に前記延出部を挿通すると共に、この延出部のうち少なくとも先端側部分を前記第一シャフトの外部に突出させた状態で、この突出させた部分をこの第一シャフトに対して軸方向に引っ張る事により)前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する前に、前記第一、第二両ストッパ部の少なくとも一部分同士を円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる事が可能な寸法関係を有するものである場合には、例えば請求項に記載した発明の様にする。即ち、前記延出部のうち前記第一シャフトの外部に突出させた部分をこの第一シャフトに対して軸方向に引っ張る事により、前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する作業を、前記第一、第二両ストッパ部の少なくとも一部分同士を円周方向の隙間を介在させた状態で係合させると共に、前記第一、第二両シャフト同士の回転方向に関する互いの位置関係を前記所定角度範囲の中央位置に合わせた状態で行う。
又、本発明の電動式パワーステアリング装置の製造方法を実施する場合に、好ましくは、請求項に記載した発明の様に、前記延出部を、基端部にくびれ部を有するものとし、且つ、このくびれ部を破断させる事により除去する。
この場合に、好ましくは、請求項に記載した発明の様に、前記くびれ部を、折り曲げる、捩る、のうちの少なくとも一方の手段により破断させる。この際に、折り曲げたり、捩ったりする方向や回数は、特に問わない。
上述の様に構成する本発明の電動式パワーステアリング装置の製造方法によれば、トーションバーの軸方向両端部である第一、第二両連結軸部のうち、第二連結軸部を第二シャフトに連結した後、第一連結軸部を第一シャフトの第一連結孔部に圧入する際に、前記トーションバーの軸方向中間部であるばね軸部が座屈する事を防止できる。
即ち、本発明の場合、前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する作業は、前記トーションバーの延出部のうち前記第一シャフトの外部に突出させた部分を、この第一シャフトに対して軸方向に引っ張る事により行う。この為、当該圧入に起因して、前記ばね軸部に軸方向圧縮力が作用する事はない。従って、当該圧入に伴って、このばね軸部が座屈する事を防止できる。
又、本発明の場合には、この様にして、ばね軸部の座屈を防止できる為、操舵輪からステアリングホイールへ伝達される振動を低減する事や、操舵トルクの検出感度を向上させる事を目的として、前記トーションバーの低剛性化(ばね軸部の小径化等)を図り易い。
又、本発明の場合には、当該圧入を行った後に、前記延出部を除去する為、その後の組立工程を行う際や、電動式パワーステアリング装置の完成後に、この延出部が邪魔になる事はない。
又、請求項3に記載した発明の様に、前記延出部を、基端部にくびれ部を有するものとし、且つ、このくびれ部を破断させる事により除去する様にすれば、この延出部の除去作業を容易に行える。
更に、この場合、請求項に記載した発明の様に、前記くびれ部を、折り曲げる、捩る、のうちの少なくとも一方の手段により破断させる様にすれば、破断エネルギを小さくできる為、除去作業が一層容易になる。
又、本発明の場合には、当該圧入に伴い、前記第一連結軸部の外周面と前記第一連結孔部の内周面とが、例えば、これら両周面のうちの少なくとも一方の周面に設けられた凹凸面部により、円周方向に凹凸係合した状態とする事ができる。即ち、この凹凸面部を構成する複数の凸部(例えばセレーション歯)の円周方向両側面が、それぞれ相手側周面に強く係合(例えば摩擦係合)した状態となる。この為、前記延出部を除去する(例えば、前記くびれ部を破断させる)際に、前記両周面同士の係合部に軸方向や円周方向のずれが生じる事を十分に抑えられる。従って、正規の組立状態を実現する事が容易となる。
又、請求項2に記載した発明の場合、製造時には、前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する前に、第一、第二両ストッパ部の少なくとも一部分同士を係合させる事ができる為、第一、第二両シャフト同士の回転方向に関する互いの位置関係を、所定角度範囲の中央位置に合わせる事が容易となる。従って、正規の組立状態を実現する事が容易となる。
本発明の実施の形態の第1例を示す部分切断側面図。 図1の左端部拡大図。 入力軸、出力軸、トーションバー等の一部の部品のみを取り出して、これら各部品同士を途中まで組み立てた状態で示す断面図。 図3の状態から出力側連結軸部を出力側連結孔部に圧入した状態で示す断面図。 図4の状態からトーションバーの延出部の基端部に設けられたくびれ部を破断した状態で示す断面図。 トーションバーの延出部の基端部に設けられたくびれ部を、曲げにより破断させる状況(A)、及び、捩りにより破断させる状況(B)を示す要部拡大断面図。 図6の(A)の拡大a−a断面図。 出力側連結軸部の外周面と出力側連結孔部の内周面とを締り嵌めにより円筒面嵌合させた比較例の構造に関して、トーションバーの延出部の基端部に設けられたくびれ部を、折り曲げにより破断させる状況(A)、及び、破断後の状態(B)で示す要部拡大断面図。 同じく、捩りにより破断させる状況(A)、及び、破断後の状態(B)で示す要部拡大断面図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図4の左半部に相当する図。 同第3例を示す、図4の左半部に相当する図。 本発明を実施する場合に採用可能なトーションバーの別例を示す側面図。 従来から知られている電動式パワーステアリング装置の1例を示す部分切断側面図。 従来から知られている電動式パワーステアリング装置のハウジング内から、入力軸、出力軸、トーションバー等の一部の部品のみを取り出して示す断面図。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜9を参照しつつ説明する。尚、図1〜9では、図7を除く各図の左側が前側となり、同じく右側が後側となる。本例の電動式パワーステアリング装置は、ステアリングコラム2aと、ステアリングシャフト3aと、ハウジング11aと、出力軸13aと、トーションバー14aと、トルク検出用スリーブ22と、トルク検出用コイルユニット23と、電動モータ10(図13参照)と、ウォーム式減速機24とを備える。
前記ステアリングコラム2aは、前側に配置された円筒状のインナコラム25と、後側に配置された円筒状のアウタコラム26とを、伸縮可能に組み合わせて成るもので、支持ブラケット27により車体に支持される。前記インナ、アウタ両コラム25、26は、鋼製又はアルミニウム合金等の軽合金製である。
又、前記ステアリングシャフト3aは、前側に配置されたロアシャフト28に、後側に配置された中空軸状のアッパシャフト29を、トルク伝達を可能に、且つ、軸方向の相対変位を可能にスプライン嵌合させて成るもので、前記ステアリングコラム2aの内側に回転自在に支持されている。これらロア、アッパ両シャフト28、29は、鋼製である。又、前記アウタコラム26の後端開口から突出した、前記アッパシャフト29の後端部には、ステアリングホイール1(図13参照)が固定される。
前記ハウジング11aは、それぞれがアルミニウム合金等の軽合金製又は合成樹脂製である、前側の蓋体30と後側の本体31とを、複数本のボルト32により互いに結合して成るもので、前記インナコラム25の前端部に結合固定されている。前記ロアシャフト28の前端部は、前記ハウジング11aの内側に挿入されている。
又、前記出力軸13aは、磁性金属である鋼により中空状に造られたもので、前記ハウジング11a内の前記ロアシャフト28の前側に、1対の玉軸受33、34により回転自在に支持されている。前記ハウジング11aの前端開口から突出した、前記出力軸13aの前端部には、自在継手5a(図13参照)が結合される。
又、前記トーションバー14aは、ばね鋼等の鋼製で、前端部を第一連結軸部である出力側連結軸部35aとし、後端部を第二連結軸部である入力側連結軸部35bとし、これら入力側、出力側両連結軸部35a、35b同士の間部分である軸方向中間部を、ばね軸部36としている。このばね軸部36の外径寸法は、全長に亙り、前記入力側、出力側両連結軸部35a、35bの外径寸法よりも小さくなっている。又、このばね軸部36の外周面は、軸方向中間部(軸方向両端部を除く大部分)が単なる円筒面になっており、軸方向両端部が、それぞれ軸方向に関して前記入力側、出力側両連結軸部35a、35b側に向かう程外径寸法が大きくなる方向に傾斜した傾斜面になっている。この様なトーションバー14aは、前記出力軸13aの内径側に配置された状態で、前記出力側連結軸部35aを第一シャフトである前記出力軸13aに、前記入力側連結軸部35bを第二シャフトであって入力軸である前記ロアシャフト28に、それぞれトルク伝達可能に連結している。
本例の場合、前記入力側、出力側両連結軸部35a、35bの外周面には、それぞれ凹凸面部である雄セレーション部37a、37bを設けている。これら両雄セレーション部37a、37bは、前記入力側、出力側両連結軸部35a、35bの外周面に、それぞれが軸方向に長い複数のセレーション歯を、円周方向に関して等ピッチで配置して成る。そして、本例の場合には、前記出力側連結軸部35aを前記出力軸13aに対してトルク伝達可能に連結する為に、この出力側連結軸部35aを、この出力軸13aの中心孔18aの前端部に設けられた、第一連結孔部である出力側連結孔部19aに圧入している。これにより、前記出力側連結軸部35aの外周面に設けられた、焼き入れ等の硬化処理を施された前記雄セレーション部37aを、硬化処理が施されていない、前記出力側連結孔部19aの円筒状の内周面に機械的に食い込ませている(図7参照)。又、前記入力側連結軸部35bを前記ロアシャフト28に対してトルク伝達可能に連結する為に、この入力側連結軸部35bを、このロアシャフト28の前端寄り部分の内径側に設けられた有底の入力側連結孔部17aに圧入している。これにより、前記入力側連結軸部35bの外周面に設けられた、焼き入れ等の硬化処理を施された前記雄セレーション部37bを、硬化処理が施されていない、前記入力側連結孔部17aの円筒状の内周面に機械的に食い込ませている。
又、前記ロアシャフト28の前端部には、円筒状の筒状部38が設けられている。この筒状部38の内周面には、第二ストッパ部である、円周方向に関する凹凸形状(歯車状)の雌ストッパ部15aが設けられている。この様な雌ストッパ部15aは、前記筒状部38の内周面に、それぞれが軸方向に長い複数ずつの雌側歯部と雌側溝部とを、円周方向に関して交互に且つ等ピッチで配置して成る。
一方、前記出力軸13aの後端部外周面には、第一ストッパ部である、円周方向に関する凹凸形状(歯車状)の雄ストッパ部16aが設けられている。この様な雄ストッパ部16aは、前記出力軸13aの後端部外周面に、それぞれが軸方向に長い複数ずつの雄側歯部と雄側溝部とを、円周方向に関して交互に且つ等ピッチで配置して成る。これら各雄側歯部(各雄側溝部)の個数と前記各雌側溝部(各雌側歯部)の個数とは、互いに等しくなっている。
上述の様な雌ストッパ部15aと雄ストッパ部16aとは、所定角度範囲(前記トーションバー14aのばね軸部36が捩れていない中立状態を基準として、例えば±5度の範囲)内での相対回転を可能に(緩いスプライン係合の如く)凹凸係合している。即ち、前記各雌側歯部(前記各雄側歯部)が前記各雄側溝部(前記各雌側溝部)に、それぞれ円周方向両側に隙間を介在させた状態で緩く係合する事により、前記ロアシャフト28と前記出力軸13aとの相対回転が、前記所定角度範囲内に規制されている。これにより、前記トーションバー14aのばね軸部36の過大な捩れ防止が図られている。
又、前記出力軸13aの外周面のうち、軸方向に関して前記雄ストッパ部16aの前側に隣接する部分である、後端寄り部分には、その外接円の直径が前記雄ストッパ部16aよりも大きくなった、円周方向に関する凹凸形状(歯車状)のトルク検出用凹凸部39が設けられている。この様なトルク検出用凹凸部39は、前記出力軸13aの外周面の後端寄り部分に、それぞれが軸方向に長い複数の検出用溝部を、円周方向に関して等間隔に設けて成る。本例の場合には、これら各検出用溝部の個数と、前記雄ストッパ部16aを構成する各雄側溝部の個数とが、互いに等しくなっている。これと共に、これら各検出用溝部と各雄側溝部とが、軸方向に連続して設けられている。
又、前記トルク検出用スリーブ22は、アルミニウム合金等の導電性を有する非磁性金属により円筒状に造られたもので、前記トルク検出用凹凸部39の外径側に同心に配置されている。このトルク検出用スリーブ22の基端部である後端部は、前記筒状部38に外嵌固定されている。このトルク検出用スリーブ22のうち、前記トルク検出用凹凸部39の外径側に配置された部分である、前端部乃至中間部には、複数の略矩形の窓孔40、40が、軸方向に複列に、且つ、円周方向に関して等間隔に設けられている。これら両列の窓孔40、40の周方向位相は、互いに半ピッチずれている。
又、前記トルク検出用コイルユニット23は、円筒状に構成されたもので、前記トルク検出用凹凸部39及び前記トルク検出用スリーブ22の外径側に同心に配置されている。このトルク検出用コイルユニット23は、前記ハウジング11aに内嵌固定されており、1対のコイル41、41を備えている。これら両コイル41、41は、前記トルク検出用スリーブ22のうち、前記両列の窓孔40、40を設けた部分に対し、径方向に重畳して配置されている。
又、前記ウォーム式減速機24は、ウォームホイール42と、図示しないウォームとを組み合わせて成る。このうちのウォームホイール42は、前記出力軸13aのうち、前記両玉軸受33、34同士の間部分である、軸方向略中央部に外嵌固定されている。又、前記ウォームは、前記ウォームホイール42に噛合した状態で、前記ハウジング11a内に回転自在に支持されている。
又、前記電動モータ10(図13参照)は、前記ハウジング11aに支持固定されている。この電動モータ10の出力軸は、前記図示しないウォームの基端部に対し、トルクの伝達を可能に結合されている。
上述した様な本例の電動式パワーステアリング装置のうち、前記ロアシャフト28と、前記出力軸13aと、前記トーションバー14aとを組み立てる場合には、先ず、図3に示す様に、前記ロアシャフト28の筒状部38に、前記トルク検出用スリーブ22の基端部を外嵌固定する。これと共に、前記トーションバー14aの入力側連結軸部35bを、前記ロアシャフト28の入力側連結孔部17aに圧入する。これにより、この入力側連結軸部35bを前記ロアシャフト28に対して、トルク伝達可能に連結する。
ここで、本例の場合、この様な組立の段階(電動式パワーステアリング装置の完成前の状態)で、前記トーションバー14aは、前端部に延出部43を備えている。この延出部43は、前記出力側連結軸部35aの前端面の中央部から軸方向に延出する状態で設けられている。この様な延出部43は、基端部(後端部)を除く大部分が単なる円柱状であり、その外径寸法は、前記出力側連結孔部19aの内径寸法よりも十分に小さくなっていて、この出力側連結孔部19aの内径側を軸方向に通過可能である。又、この様な延出部43の基端部には、外径寸法が特に小さくなった、くびれ部44が設けられている。
次に、図3に示す様に、前記延出部43を備えた前記トーションバー14aを前記出力軸13aの内径側に挿通して、前記延出部43の前端部乃至中間部をこの出力軸13aの外部に突出させると共に、前記出力側連結軸部35aの前端縁部分を、前記出力側連結孔部19aの後端開口部に係合させる。これと共に、前記出力軸13aの後端部外周面に設けられた雄ストッパ部16aの後端部と、前記ロアシャフト28の筒状部38の内周面に設けられた雌ストッパ部15aの前端部とを、円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる。尚、この様に、前記出力側連結軸部35aを前記出力側連結孔部19aに圧入するのに先立って、前記雄ストッパ部16aの後端部と前記雌ストッパ部15aの前端部とを円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる事を可能とする為に、本例の場合には、図3に示した状態で、前記出力側連結孔部19aの後端開口部から前記雄ストッパ部16aの後端縁までの軸方向寸法A1を、前記雌ストッパ部15aの前端縁から前記出力側連結軸部35aの前端縁部分までの軸方向寸法B1よりも少しだけ大きく(A1>B1)している。尚、このA1>B1の関係が、請求項2、7に記載した寸法関係に相当する。
そして、図3に示した状態で、前記雄、雌両ストッパ部16a、15a同士の係合状態を、円周方向に関する中立状態とする事により、前記ロアシャフト28と前記出力軸13aとの回転方向に関する互いの位置関係を、これらロアシャフト28と出力軸13aとの相対回転が可能となる所定角度範囲の中央位置に合わせる。そして、この状態で、前記延出部43のうち前記出力軸13aの外部に突出させた部分を、この出力軸13aに対して軸方向に引っ張る。具体的には、前記出力軸13aを軸方向に固定した状態で、前記延出部43のうち、この出力軸13aの外部に突出させた部分を引っ張る。これにより、図3→図4の順に示す様に、この出力軸13aに対して、前記トーションバー14a及び前記ロアシャフト28を、図3〜4の左方に変位させる事に基づいて、前記出力側連結軸部35aを前記出力側連結孔部19aに圧入する。これにより、この出力側連結軸部35aを前記出力軸13aに対して、トルク伝達可能に連結する。尚、本例の場合には、この状態で、前記延出部43の基端部に存在するくびれ部44を、前記出力軸13aの前端面とほぼ等しい軸方向位置に配置している。
次いで、図4→図5の順に示す様に、前記延出部43の基端部に存在するくびれ部44を破断させる事により、この延出部43を前記トーションバー14aから分離して除去する。この際に、本例の場合には、図6の(A)に示す様に、前記くびれ部44を折り曲げる(例えば、往復揺動させる)事により、このくびれ部44を破断させるか、或いは、同図の(B)に示す様に、このくびれ部44を捩る事により、このくびれ部44を破断させる。
尚、本例の場合には、図3に示した状態で、前記雄ストッパ部16aの後端部と前記雌ストッパ部15aの前端部とが係合した部分の軸方向寸法(A1−B1)を2mm程度としている。又、前記出力側連結孔部19aに対する前記出力側連結軸部35aの軸方向の圧入量αを、完成状態での前記雄、雌両ストッパ部16a、15a同士の係合部の軸方向寸法から前記軸方向寸法A1−B1(≒2mm)を差し引いた値βと等しく(α=β)している。これにより、前記ロアシャフト28と前記出力軸13aと前記トーションバー14aとを組み合わせた構造体の軸方向寸法を短く抑えつつ、前記圧入量αを長く確保できる様にしている。
尚、本例の構造を実施する場合、図3〜5に示した各構成部材に対する、残りの各構成部材の組み立ては、適宜の順序で行えば良く、具体的な組立順序は特に問わない。
上述の様に構成する本例の電動式パワーステアリング装置の場合、運転者が前記ステアリングホイール1を操作する事によって、前記ステアリングシャフト3aに操舵力であるトルクが付与されると、このトルクの方向及び大きさに応じた分だけ、前記トーションバー14aが(前記所定角度範囲で)弾性的に捩れる。これに伴い、前記トルク検出用凹凸部39と前記トルク検出用スリーブ22との円周方向の位置関係が変化する事により、前記トルク検出用コイルユニット23を構成するコイル41、41にインピーダンス変化が生じる。この為、このインピーダンス変化に基づいて、前記トルクの方向及び大きさを検出できる。前記電動モータ10は、このトルクの方向及び大きさに応じた補助動力を発生させる。この補助動力は、前記ウォーム式減速機24により増大された後、前記出力軸13aに付与される。この結果、運転者が前記ステアリングホイール1を操作する為に要する力が軽減される。
一方、前記ステアリングホイール1から前記ステアリングシャフト3aに大きなトルクが入力される事により、前記トーションバー14aのばね軸部36の捩れ量が、前記所定角度範囲の片側又は他側の上限値に達すると、前記雌ストッパ部15aと前記雄ストッパ部16aとが円周方向に噛み合う。そして、この噛み合いに基づき、前記ロアシャフト28から前記出力軸13aに直接、前記トルクの一部が伝達される様になる。つまり、前記ステアリングホイール1から前記ステアリングシャフト3aに大きなトルクが入力された場合でも、前記ばね軸部36に過大な捩れが生じる事を防止される。
上述の様に構成する本例の電動式パワーステアリング装置及びその製造方法によれば、前記トーションバー14aの軸方向両端部である入力側、出力側両連結軸部35a、35bのうち、この入力側連結軸部35bを前記ロアシャフト28の入力側連結孔部17aに圧入した後、図3→図4の順に示す様に、前記出力側連結軸部35aを前記出力軸13aの出力側連結孔部19aに圧入する際に、前記トーションバー14aの軸方向中間部であるばね軸部36が座屈する事を防止できる。即ち、本例の場合、前記出力側連結軸部35aを出力側連結孔部19aに圧入する作業は、前記トーションバー14aの延出部43のうち、前記出力軸13aの外部に突出させた部分を、この出力軸13aに対して軸方向に引っ張る事により行う。この為、当該圧入に起因して、前記ばね軸部36に軸方向圧縮力が作用する事はない。従って、当該圧入に伴って、このばね軸部36が座屈する事を防止できる。又、本例の場合には、この様にしてばね軸部36の座屈を防止できる為、操舵輪からステアリングホイールへ伝達される振動を低減する事や、操舵トルクの検出感度を向上させる事を目的として、前記トーションバー14aの低剛性化(前記ばね軸部36の小径化等)を図り易い。
又、本例の場合には、前記出力側連結軸部35aを前記出力側連結孔部19aに圧入した後に、前記延出部43の基端部に存在するくびれ部44を破断させて、この延出部43を除去する為、その後の組立工程を行う際や、電動式パワーステアリング装置の完成後に、この延出部43が邪魔になる事はない。又、本例の場合、前記くびれ部44を破断させる作業は、このくびれ部44を折り曲げる事により、或いは、このくびれ部44を捩る事により、破断エネルギを小さく抑えつつ、容易に行える。
又、本例の場合には、前記出力側連結軸部35aを前記出力側連結孔部19aに圧入する事に伴い、この出力側連結軸部35aの外周面に設けられた、焼き入れ等の硬化処理を施された前記雄セレーション部37aが、硬化処理が施されていない、前記出力側連結孔部19aの円筒状の内周面に機械的に食い込んだ状態となる(図7参照)。即ち、この様に食い込んだ部分で、前記雄セレーション部37aを構成する複数のセレーション歯の円周方向両側面及び先端面が、それぞれ前記出力側連結孔部19aの内周面に強く摩擦係合した状態となる。この為、前記くびれ部44を破断させる際に、前記出力側連結軸部35aの外周面と前記出力側連結孔部19aの内周面との係合部に、軸方向や円周方向のずれが生じる事を十分に抑えられる。従って、正規の組立状態を実現する事が容易となる。以下、この点に就いて、更に詳しく説明する。
図8〜9は、本例の構造と比較される、比較例の構造を示している。この比較例の構造の場合には、出力側連結軸部35cを出力側連結孔部19bに圧入した状態での、これら出力側連結軸部35cの外周面と出力側連結孔部19bの内周面との係合部の構造が、本例の場合と異なる。即ち、図8〜9に示した比較例の構造の場合には、当該係合部を、単なる円筒面嵌合部としている。
この様な比較例の構造の場合には、当該円筒面嵌合部に作用する係合力(摩擦力)が十分ではない為、図8の(A)に示す様に、延出部43の基端部に存在するくびれ部44を折り曲げると、当該円筒面嵌合部に折り曲げ方向の軸方向滑りが生じ、同図に実線で示す様に、前記出力側連結軸部35cに、折り曲げ方向の弾性変形が生じる。又、これに伴い、当該円筒面嵌合部に作用する面圧及び摩擦力が、折り曲げ側(同図の下側)で高くなる一方、反折り曲げ側(同図の上側)で低くなる。この状態で、前記くびれ部44が破断して、前記出力側連結軸部35cの変形が弾性的に復元すると、この出力側連結軸部35cの軸方向位置が、図8の(B)に鎖線で示す元の位置から、実線で示す位置(上述の様に摩擦力が大きくなった折り曲げ側の位置)にずれた状態となる。この際に生じるずれ量は、比較的大きくなる場合がある為、問題となる。
即ち、油圧式のパワーステアリング装置の場合、油圧が伝達される経路となっている構成部品の軸方向位置精度は、油圧が伝達できる程度に確保されていれば良く、具体的な要求精度は、0.2±0.1mm程度である。
しかしながら、本例の対象となる電動式パワーステアリング装置の場合、トルクセンサは、光、超音波、磁気、CCD、レーザー筒を用いたものが多くあり、該当する構成部品の軸方向位置精度は、非常に高精度となる。例えば、本例の構造に組み込まれた磁気タイプのトルクセンサでは、具体的な要求精度が、0.02±0.005mm程度と非常に高くなる場合がある。
この為、本例の構造に於いて、図8で説明した様な、比較的大きな軸方向位置のずれが生じると、トルク検出の精度を十分に確保できなくなると言った問題が生じる。
これに対し、本例の構造の場合には、前記出力側連結軸部35aの外周面に設けられた雄セレーション部37aを構成する複数のセレーション歯を、前記出力側連結孔部19aの円筒状の内周面に機械的に食い込ませている。この為、図6の(A)に示す様に、前記延出部43の基端部に存在するくびれ部44を折り曲げた場合に、この折り曲げ方向の力を、前記出力側連結軸部35aの外周面と前記出力側連結孔部19aの内周面との係合部のうち、折り曲げ側部分だけでなく、反折り曲げ側部分を除いた残りの部分(円周方向の広い範囲)でしっかりと支承する事ができる。従って、本例の場合には、前記出力側連結軸部35aが図8の(A)に示す様に弾性変形する事を十分に抑えられる。この結果、前記くびれ部44が破断する際に、前記出力側連結軸部35aの軸方向位置がずれる量を十分に抑えられる。
又、上述した比較例の構造の場合には、前記出力側連結軸部35cの外周面と前記出力側連結孔部19bの内周面との円筒面嵌合部に作用する係合力(摩擦力)が十分ではない為、図9の(A)に示す様に、延出部43の基端部に存在するくびれ部44を捩ると、前記出力側連結軸部35cにも弾性的な捩れが生じる。尚、図9の太線Xは、前記くびれ部44を捩る前に前記出力側連結軸部35cの外周面に対して中心軸と平行に付した補助線であり、この出力側連結軸部35cの捩れを可視化する為のものである。この状態で、前記くびれ部44が破断すると、前記出力側連結軸部35cの捩れが弾性的に復元する。但し、その復元位置は、元の位置{円周方向に関して、図9の(A)の太線Xの右端の位置}ではなく、図9の(B)に示す様に、元の位置から当該捩れ方向に少しだけ進んだ位置{円周方向に関して、図9の(A)の太線Xの両端同士の間の略中央位置}となる。そして、この様に太線Xの位置が円周方向に関して少しだけ進んだ分、中立状態での、ロアシャフト28(図1〜5参照)と出力軸13bとの回転方向に関する位置関係がずれる。この結果、トルク検出の信頼性を十分に確保する事が難しくなると言った問題を生じる。
これに対し、本例の構造の場合には、前記出力側連結軸部35aの外周面に設けられた雄セレーション部37aを構成する複数のセレーション歯を、前記出力側連結孔部19aの円筒状の内周面に機械的に食い込ませている。この為、図6の(B)に示す様に、前記延出部43の基端部に存在するくびれ部44を捩った場合に、この捩り方向の力を、前記出力側連結軸部35aの外周面と前記出力側連結孔部19aの内周面との係合部の全体で、しっかりと支承する事ができる。従って、本例の場合には、前記出力側連結軸部35aが図9の(A)に示す様に弾性的に捩れる事を十分に抑えられる。この結果、前記くびれ部44が破断する際に、中立状態での、前記ロアシャフト28と前記出力軸13aとの回転方向に関する位置関係がずれる量を十分に抑えられる。
又、本例の場合、組立時には、図3に示す様に、前記出力側連結軸部35aを前記出力側連結孔部19aに圧入するのに先立って、前記雄、雌両ストッパ部16a、15aの軸方向端部同士を係合させる事ができる為、前記ロアシャフト28と前記出力軸13aとの回転方向に関する互いの位置関係を、前記所定角度範囲の中央位置に合わせる事が容易となる。従って、正規の組立状態を容易に実現する事ができる。
[実施の形態の第2例]
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図10を参照しつつ説明する。尚、図10では、左側が前側となり、右側が後側となる。
本例の場合には、図示の様に、トーションバー14aの出力側連結軸部35aを、出力軸13cの出力側連結孔部19cに圧入する作業を完了した状態で、延出部43の基端部に存在するくびれ部44を、この出力側連結孔部19cの内径側に配置している。
但し、前記延出部43の外径寸法は、この出力側連結孔部19cの内径寸法に比べて十分に小さくなっている為、これら延出部43の外周面と出力側連結孔部19cの内周面との間には、大きな隙間が存在している。
従って、本例の場合も、前記延出部43を除去する際には、前記くびれ部43を折り曲げる事ができ、この折り曲げによって、このくびれ部43を破断させる事ができる。
又、本例の場合も、このくびれ部43を捩る事によって、このくびれ部43を破断させる事ができる。
その他の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図11を参照しつつ説明する。尚、図11では、左側が前側となり、右側が後側となる。
本例の場合も、図示の様に、トーションバー14aの出力側連結軸部35aを、出力軸13cの出力側連結孔部19cに圧入する作業を完了した状態で、延出部43aの基端部に存在するくびれ部44を、この出力側連結孔部19cの内径側に配置している。
又、本例の場合には、前記延出部43aのうち前記くびれ部44から外れた部分の外径寸法d43を、前記出力側連結孔部19cの内径寸法D19とほぼ等しく(d43≒D19)している。これにより、前記延出部43aのうち前記くびれ部44から外れた部分を、雄、雌両ストッパ部16a、15a同士の係合状態を中立状態とする際のガイドにできる様にしている。
尚、本例の場合には、前記延出部43aの外周面のうち前記くびれ部44から外れた部分と、前記出力側連結孔部19cの内周面との間に、十分な隙間が存在していない。従って、前記延出部43aを除去する際には、前記くびれ部44を折り曲げる事ができない。
この為、本例の場合には、前記くびれ部43aを捩る事によって、このくびれ部43aを破断させる。
その他の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
尚、本発明を実施する場合には、例えば図12に示す様に、トーションバー14aに連結した延出部43の一部(図示の例では、先端部)に、この延出部43を引っ張る為に使用する治具やチャックを係合させる為の係合部(図示の例では、大径部45)を設ける事もできる。
本発明は、例えば特許文献2に記載されている構造の様に、第一シャフトを、ステアリングホイールからの操舵力が付与される入力軸とする構造に適用する事もできる。
又、本発明は、第一、第二両シャフトとトーションバーとを含んで構成されるアシスト機構を、ステアリングギヤユニット部分に設置する構造に対して適用する事もできる。
又、本発明を実施する場合には、第一連結軸部の外周面と第一連結孔部の内周面との係合部の構造として、上述した各実施の形態で採用した様な構造、即ち、第一連結軸部の外周面に設けられた、焼き入れ等の硬化処理を施された凹凸面部(セレーション部に限らず、例えばローレット部でも良い。)を、硬化処理が施されていない、第一連結孔部の円筒状の内周面に機械的に食い込ませた構造を採用できる他、第一連結孔部の内周面に設けられた、焼き入れ等の硬化処理を施された凹凸面部(セレーション部に限らず、例えばローレット部でも良い。)を、硬化処理が施されていない、第一連結軸部の円筒状の外周面に機械的に食い込ませた構造を採用する事もできる。或いは、第一連結孔部の内周面に設けられた凹凸面部である雌セレーション部と、第一連結軸部の外周面に設けられた凹凸面部である雄セレーション部とを、締め代を持たせた状態でセレーション係合させた構造を採用する事もできる。
1 車体
2、2a ステアリングコラム
3、3a ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5a 自在継手
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤユニット
8 入力軸
9 タイロッド
10 電動モータ
11、11a ハウジング
12 入力軸
13、13a、13b、13c 出力軸
14、14a トーションバー
15、15a 雌ストッパ部
16、16a 雄ストッパ部
17、17a (入力側)連結孔部
18、18a 中心孔
19、19a、19b、19c (出力側)連結孔部
20 貫通孔
21 ピン
22 トルク検出用スリーブ
23 トルク検出用コイルユニット
24 ウォーム式減速機
25 インナコラム
26 アウタコラム
27 支持ブラケット
28 ロアシャフト
29 アッパシャフト
30 蓋体
31 本体
32 ボルト
33 玉軸受
34 玉軸受
35a、35b、35c (入力側、出力側)連結軸部
36 ばね軸部
37a、37b 雄セレーション部
38 筒状部
39 トルク検出用凹凸部
40 窓孔
41 コイル
42 ウォームホイール
43、43a 延出部
44 くびれ部
45 大径部

Claims (9)

  1. 中空状の第一シャフトと、
    この第一シャフトと同軸に配置された第二シャフトと、
    軸方向両端部に第一連結軸部及び第二連結軸部を、これら第一、第二両連結軸部同士の間部分である軸方向中間部にばね軸部を、それぞれ有し、前記第一シャフトの内径側に配置された状態で、前記第一連結軸部をこの第一シャフトに、前記第二連結軸部を前記第二シャフトに、それぞれトルク伝達可能に連結されたトーションバーとを備え、
    前記第一、第二両シャフトのうちの何れか一方のシャフトにステアリングホイールからの操舵力が付与される電動式パワーステアリング装置の製造方法であって、
    前記第一シャフトの内径側に、前記第一連結軸部を圧入可能な第一連結孔部を設け、
    前記第一連結軸部の先端部から軸方向に延出する状態で、前記第一連結孔部の内径側を軸方向に通過可能な延出部を設け、
    前記第二連結軸部を前記第二シャフトに対してトルク伝達可能に連結した後、前記第一連結孔部に前記延出部を挿通すると共に、この延出部のうちの少なくとも先端側部分を前記第一シャフトの外部に突出させた状態で、この突出させた部分をこの第一シャフトに対して軸方向に引っ張る事により、前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する事で、これら第一連結軸部の外周面と第一連結孔部の内周面とを係合させた状態で、前記延出部を除去する事を特徴とする電動式パワーステアリング装置の製造方法。
  2. 製造対象となる電動式パワーステアリング装置が、前記第一シャフトの軸方向一部分に設けられた第一ストッパ部と、前記第二シャフトの軸方向一部分に設けられた第二ストッパ部とを、円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる事により、前記第一、第二両シャフト同士の相対回転を所定角度範囲内に規制したものであって、且つ、製造時に、前記第二連結軸部を前記第二シャフトに対してトルク伝達可能に連結した後、前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する前に、前記第一、第二両ストッパ部の少なくとも一部分同士を円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる事が可能な寸法関係を有するものであり、
    前記延出部のうち前記第一シャフトの外部に突出させた部分をこの第一シャフトに対して軸方向に引っ張る事により、前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する作業を、前記第一、第二両ストッパ部の少なくとも一部分同士を円周方向の隙間を介在させた状態で係合させると共に、前記第一、第二両シャフト同士の回転方向に関する互いの位置関係を前記所定角度範囲の中央位置に合わせた状態で行
    求項に記載した電動式パワーステアリング装置の製造方法。
  3. 前記延出部を、基端部にくびれ部を有するものとし、且つ、このくびれ部を破断させる事により除去す
    求項のうちの何れか1項に記載した電動式パワーステアリング装置の製造方法。
  4. 前記くびれ部を、折り曲げる、捩る、のうちの少なくとも一方の手段により破断させ
    求項に記載した電動式パワーステアリング装置の製造方法。
  5. 前記第一連結軸部の外周面と前記第一連結孔部の内周面とのうちの少なくとも一方の周面に凹凸面部を設け、
    前記第一連結軸部の外周面と前記第一連結孔部の内周面とを、前記凹凸面部により円周方向に凹凸係合させる
    請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した電動式パワーステアリング装置の製造方法。
  6. 中空状の第一シャフトと、
    この第一シャフトと同軸に配置された第二シャフトと、
    軸方向両端部に第一連結軸部及び第二連結軸部を、これら第一、第二両連結軸部同士の間部分である軸方向中間部にばね軸部を、それぞれ有し、前記第一シャフトの内径側に配置された状態で、前記第一連結軸部をこの第一シャフトに、前記第二連結軸部を前記第二シャフトに、それぞれトルク伝達可能に連結されたトーションバーとを備え、
    前記第一、第二両シャフトのうちの何れか一方のシャフトにステアリングホイールからの操舵力が付与される電動式パワーステアリング装置であって、
    前記第一シャフトの内径側に設けられた第一連結孔部に、前記第一連結軸部が圧入されており、前記第一連結軸部の先端面に除去痕が存在している事を特徴とする電動式パワーステアリング装置。
  7. 前記第一シャフトの軸方向一部分に設けられた第一ストッパ部と、前記第二シャフトの軸方向一部分に設けられた第二ストッパ部とが円周方向の隙間を介在させた状態で係合する事により、前記第一、第二両シャフト同士の相対回転が所定角度範囲内に規制されており、
    製造時に、前記第二連結軸部を前記第二シャフトに対してトルク伝達可能に連結した後、前記第一連結軸部を前記第一連結孔部に圧入する前に、前記第一、第二両ストッパ部の少なくとも一部分同士を円周方向の隙間を介在させた状態で係合させる事が可能な寸法関係を有している
    請求項6に記載した電動式パワーステアリング装置。
  8. 前記除去痕が破断痕である
    請求項6〜7のうちの何れか1項に記載した電動式パワーステアリング装置。
  9. 前記第一連結軸部の外周面と前記第一連結孔部の内周面とが、これら外周面と内周面とのうちの少なくとも一方の周面に設けられた凹凸面部により円周方向に凹凸係合している
    請求項6〜8のうちの何れか1項に記載した電動式パワーステアリング装置。
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