JP2013149316A - 熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 - Google Patents

熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表面平坦性が高く、シグナルノイズ比(SNR)が高く、かつ、ヘッド浮上性が良好な熱アシスト磁気記録媒体及びこれを備えた磁気記録再生装置を実現する。
【解決手段】基板101と磁性層との間に、密着層102とヒートシンク層103と複数層の下地層104、105とが備えられ、前記ヒートシンク層103の前記基板101側の面に接して前記密着層102が配置されたものであり、前記密着層102がTiAl合金からなり、前記ヒートシンク層がCuを主成分とし、Bi、Cr、Ge、Mo、Nd、W、Znから選択された1つ以上の添加元素を含むものである熱アシスト磁気記録媒体とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスク装置(HDD)等に用いられる熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記録再生装置に関する。
近年、ハードディスク装置に対する大容量化の要求は益々強くなっている。しかし、現行の記録方式では、トリレンマと呼ばれる問題のため記録密度向上が難しくなっている。熱アシスト磁気記録は、トリレンマを解決できる次世代記録方式として注目されている技術の1つである。
トリレンマとは、媒体微細化(ノイズの低減)、記録した情報の熱安定性の向上、記録容易性の確保という互いに相反する関係をいう。記録密度を向上させるには、媒体の磁性粒子サイズを小さくすることが必要であるが、磁性粒子を小さくすると体積が減るためKuV/kT(Ku:磁気異方性定数、V:粒子体積、k:ボルツマン定数、T:温度)で表される熱ゆらぎが悪化する。また、熱ゆらぎを改善するためには、Kuの大きな材料を使えばよいが、媒体の保磁力が大きくなるため書き込み特性(記録容易性)が悪くなる。
熱アシスト磁気記録方式は、磁気ヘッドによって媒体に近接場光を照射して表面を局所的に加熱し、媒体保磁力を低下させて書き込みを行う記録方式であり、高記録密度を実現できると考えられている。
しかし、熱アシスト磁気記録方式では、媒体表面の加熱時に記録領域だけでなくその隣接領域も同時に加熱されてしまうため、それらの領域の保持力が低下し、熱ゆらぎが起こりやすくなる。また、記録後の磁性層の冷却速度が遅いと、磁化遷移幅が広がり、SNRの悪化に繋がる。したがって、熱アシスト磁気記録では、磁性層に溜まった熱を速やかに散逸させる必要がある。
磁性層の熱散逸性を高めるためには、磁気記録媒体中に熱伝導率の高い材料から成るヒートシンク層を導入することが好ましい。
磁気記録媒体のヒートシンク層に使用される代表的な材料としては、熱伝導率の高いAu、Ag、Cu、Alが挙げられる。例えば、特許文献1には、磁気記録媒体にCuZr或いはAgPdから成るヒートシンク層を用いることで高い熱伝導率と良好な機械特性を両立できると記載されている。また、特許文献2には、磁気記録媒体にCu膜、Au膜、Ag膜、Pt膜、AuCu膜、PtAu膜、AuAg膜や、AuCu規則相膜、AuCu等の規則相膜を用いることができると記載されている。
また、磁気記録媒体として、密着層を有するものがある。密着層を有する磁気記録媒体では、密着層の上下に形成された膜同士の密着性が高められるため、表面平坦性やヘッドの浮上性が改善される。磁気記録媒体の密着層に使用される代表的な材料としては、CrTa、CrTiなどが挙げられる。また、特許文献3には、磁気記録媒体の密着層として、第1の下地層上に第2の下地層が積層されているものが記載され、第1の下地層の材料としてAl−Ti合金を用いること、第2の下地層の材料としてTa単体もしくはTa合金を用いることが記載されている。
米国特許第2007−0026263号明細書 特開2008−52869号公報 特開2006−114162号公報
熱アシスト磁気記録媒体においては、記録後に、磁気記録媒体の磁性層に溜まった熱を速やかに散逸させるために、ヒートシンク層を導入することが必須と考えられる。しかし、従来のヒートシンク層の材料であるAg、Cu、Alなどの熱伝導率の高い材料は、薄膜において加熱などにより凝集しやすいため、磁気記録媒体の表面形状や膜の結晶配向、腐食耐性を悪化させるという不都合があった。また、AgやCuをヒートシンク層の材料として使用した場合、AgやCuが、一般的に熱アシスト磁気記録媒体で用いられる材料との密着性が悪いため、膜剥がれなどを起こしやすい。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、膜剥がれしにくいヒートシンク層が備えられ、表面平坦性およびSNRが高く、ヘッド浮上性が良好な熱アシスト記録媒体及びこれを備えた磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。
その結果、膜剥がれしにくく、良好な表面平坦性が得られるヒートシンク層を備える熱アシスト磁気記録媒体を得るためには、ヒートシンク層の基板側の面に接してTiAl合金から成る密着層を設け、密着層上にCuを主成分とし、Bi、Cr、Ge、Mo、Nd、W、Znから選択された1つ以上の添加元素を含むヒートシンク層を形成すればよいことを見出し、本発明を想到した。
本発明は、以下の特徴を有する熱アシスト磁気記録媒体を提供する。
(1)基板と磁性層との間に、密着層とヒートシンク層と複数層の下地層とが備えられ、前記ヒートシンク層の前記基板側の面に接して前記密着層が配置されたものであり、前記密着層がTiAl合金からなり、前記ヒートシンク層がCuを主成分とし、Bi、Cr、Ge、Mo、Nd、W、Znから選択された1つ以上の添加元素を含むものであることを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
(2)前記密着層が、前記ヒートシンク層の前記基板側の面に接して配置された第1密着層と前記磁性層側の面に接して配置された第2密着層とからなることを特徴とする(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(3)前記密着層が、Alを40at%以上60at%以下含むものであることを特徴とする(1)または(2)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(4)前記密着層の膜厚が3nm以上であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(5)前記ヒートシンク層が、前記添加元素を0.1at%以上12at%以下含むものであることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(6)磁性層が、L1構造を有する合金からなることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(7)(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、前記磁気記録媒体を加熱するレーザー発生部と、前記レーザー発生部から発生したレーザー光を先端部へと導く導波路とを有して、前記磁気記録媒体に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対移動させるヘッド移動部と、前記磁気ヘッドへの信号入力と前記磁気ヘッドからの出力信号の再生とを行う記録再生信号処理系とを備える磁気記録再生装置。
本発明の熱アシスト磁気記録媒体は、基板と磁性層との間に、密着層とヒートシンク層と複数層の下地層とが備えられ、前記ヒートシンク層の前記基板側の面に接して前記密着層が配置されたものであり、前記密着層がTiAl合金からなり、前記ヒートシンク層がCuを主成分とし、Bi、Cr、Ge、Mo、Nd、W、Znから選択された1つ以上の添加元素を含むものあるので、密着層とヒートシンク層との密着性が良好なものとなり、膜剥がれしにくく、良好な表面平坦性を有するヒートシンク層を備えたものとなる。したがって、本発明によれば、記録後に、磁性層に溜まった熱をヒートシンク層によって速やかに散逸させることができ、表面平坦性およびSNRが高く、ヘッド浮上性が良好な熱アシスト磁気記録媒体を提供できる。
図1は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の一例を示した断面図である。 図2は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の他の例を示した断面図である。 図3は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の他の例を示した断面図である。 図4は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の他の例を示した断面図である。 図5は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の他の例を示した断面図である。 図6は、本発明の磁気記録再生装置の一例を示した斜視図である。 図7は、図6に示す磁気記録再生装置に備えられた磁気ヘッドの構成を模式的に示した断面図である。
以下に本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す例のみに限定されるものではない。特に制限の無い限り、数量、構成、位置、材料などを必要に応じて変更してもよい。
[熱アシスト磁気記録媒体]
図1は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の一例を示した断面図である。
図1に示す熱アシスト磁気記録媒体は、基板101と磁性層106との間に、密着層102とヒートシンク層103と複数層の下地層104、105(図1に示す例においては2層)とが備えられ、ヒートシンク層103の基板101側の面に接して密着層102が配置されたものである。
図1に示す熱アシスト磁気記録媒体は、基板101上に、密着層102とヒートシンク層103と第1下地層104と第2下地層105と磁性層106と保護膜107と潤滑剤層108とがこの順で積層されたものである。
なお、本発明の熱アシスト磁気記録媒体において、ヒートシンク層103および、ヒートシンク層103に接して配置された密着層102は、基板101と磁性層107との間に配置されていればよく、複数層の下地層104、105を構成する各層との積層順序は設計に応じて任意に選択でき、図1に示す例に限定されるものではない。
具体的には例えば、図1に示すように、密着層102が基板101に接して配置されていてもよいし、密着層102およびヒートシンク層103が第1下地層104と第2下地層105との間に配置されていてもよいし、ヒートシンク層103が磁性層106に接して配置されていてもよい。
なお、ヒートシンク層103と磁性層106との間に、1層以上の下地層が配置されている場合、下地層による磁性層106の性能向上効果が効果的に得られる。また、ヒートシンク層103による磁性層106に対する散熱効果を効果的に得るためには、ヒートシンク層103と磁性層106との間に配置される下地層の層数は少ないほど好ましく、ヒートシンク層103が磁性層106に接して配置されていることが最も好ましい。
また、図1に示すように、ヒートシンク層103と磁性層106との間に下地層が配置されている場合、下地層による磁性層106の結晶制御効果を確保しつつ、ヒートシンク層103による磁性層106に対する散熱効果が十分に得られるように、下地層の厚みをできるだけ薄くしてヒートシンク層103と磁性層106との距離を短くすることが好ましい。
本発明の熱アシスト磁気記録媒体に使用される基板101としては、例えば、円形の非磁性基板を用いることができる。非磁性基板としては、例えば、ガラス、アルミ、セラミックスなどを用いることができる。ガラス基板としては、結晶化ガラスや非晶質ガラス、強化ガラスなどを使用できる。
熱アシスト磁気記録媒体に使用される基板101としては、ガラス転移点の高い耐熱性に優れたものを用いることが望ましく、基板101上に形成される各層の成膜条件や、熱アシスト磁気記録媒体の使用条件などに応じて、表面粗さや熱容量、結晶化状態などを適宜選択して決定できる。
磁性層106の材料としては、FePt、FePtNi、FePtAgなどのL1構造を有する合金を用いることができる。また、L1構造を有する合金にSiO、TiO、Cr、Al、Taなどの酸化物や、窒化物、炭化物などの添加物を添加した合金を用いてもよい。これらの添加物を添加することにより、磁性結晶粒を分離したグラニュラー構造の磁性層となり、粒子間の交換結合を低減できると共に、磁性粒子を微細化することができ、熱アシスト磁気記録媒体のSNRを改善できる。
本発明の熱アシスト磁気記録媒体は、複数の下地層104、105を有している。本発明でいう下地層104、105は、主に磁性層106の結晶粒径や結晶配向、平坦性などを制御して、磁性層106の性能を向上させる目的で形成したものである。
具体的には、例えば、磁性層106がL1構造のFePtからなるものである場合、FePtを(001)配向させるために、下地層として、Cr、Mo、V、Ta、W、CrVのようなBCC構造を持つ合金からなる第1下地層104と、第1下地層104上に形成されたMgO、MnO、BaO、TiC、TiNのようなNaCl型の材料からなる第2下地層105とからなるものを用いることが望ましい。
下地層104、105を(100)配向させることにより、下地層104、105の上に、磁性層106となる(001)配向のFePtを容易にエピタキシャル成長させることができる。特に、MgOやTiNからなる下地層は、FePtとの格子不整合が10%以下と小さく、磁性層106の結晶を効果的に制御でき好ましい。また、下地層104、105は、基板101を150℃以上の高温にして成膜されたものであることが好ましい。この場合、さらに良好な(100)配向を有する下地層104、105となる。
なお、本発明における下地層は104、105、上述した第1下地層と104第2下地層105とからなるものに限定されるものではなく、例えば、表面を平坦にするアモルファス層や、磁性層の配向を制御する中間層、TiAl合金やCrTi合金などからなり、磁性層の結晶粒径を制御するシード層、軟磁性下地層(SUL)、軟磁性下地層の基板101側の面に接して配置され、軟磁性下地層とその下層との接着性を向上させるNiTa合金などからなる接着層などを含むものであってもよい。
下地層として、基板101と磁性層106の間に軟磁性下地層を形成した場合、磁性層101に印加される磁界勾配を高めることができ、磁気記録再生装置に備えられた場合に磁気ヘッドからの磁界を効率よく磁性層101に印加できる。この軟磁性下地層は、非晶質合金でもよいし、微結晶や多結晶合金であってもよい。さらに、軟磁性下地層はRuを介し反強磁性結合した積層軟磁性下地層であってもよいし、単層であってもよい。軟磁性下地層の材料として、具体例には、CoFeTa、CoFeZr、CoFeTaB、CoFeNi、CoTaZr、CoNbZr、CoNiZrなどが挙げられる。
ヒートシンク層103は、ヒートシンク層103の基板101側の面に接して配置された密着層102上に形成されたものである。ヒートシンク層103は、Cuを主成分とし、Bi、Cr、Ge、Mo、Nd、W、Znから選択された1つ以上の添加元素を含むものである。本発明において、Agを主成分とするとは、Agを50at%以上含むことを意味する。添加元素は、上記元素の中から複数選択してもよいし、上記元素から選択された1つ以上含んでいれば、目的に応じて上記元素以外の元素を含むものであってもよい。
具体的には、ヒートシンク層103の材料として、例えば、CuBiCr、CuBiGe、CuBiMo、CuMoNd、CuWZn、CuBiCr−Ta、CuCrZn−B、CuNdW−Ti、CuNdZn−Niなどを用いることができる。
ヒートシンク層103に含まれる添加元素の含有量は、0.1at%以上12at%以下であることが好ましい。ヒートシンク層103に上記範囲で添加元素を含有させることによって、Cuの凝集を効果的に抑制でき、熱アシスト磁気記録媒体の表面の凹凸を抑えられるとともに、ヒートシンク層103の熱伝導率を十分に確保でき、ヒートシンク層103による磁性層106に対する散熱効果が十分に得られる。したがって、より一層、表面平坦性およびSNRが高く、ヘッド浮上性が良好な熱アシスト磁気記録媒体となる。
ヒートシンク層103に含まれる上記添加元素の含有量が、上記範囲未満であると、熱アシスト磁気記録媒体の表面の凹凸を抑制する効果が不十分になる恐れがある。また、ヒートシンク層103に含まれる上記添加元素の含有量が多くなるほど、ヒートシンク層103の熱伝導率が低下する。このため、上記添加元素の含有量が上記範囲を超えると、ヒートシンク層103の熱伝導率が不十分となる恐れがある。
ヒートシンク層103の厚みは、3nm〜100nmであることが好ましい。ヒートシンク層103の厚みが上記範囲内である場合、ヒートシンク層103による磁性層106に対する散熱効果が十分に得られるとともに、より一層、膜剥がれしにくいものとなる。
密着層102は、ヒートシンク層103の基板101側の面に接して配置されている。密着層102は、ヒートシンク層103の基板101側の面に接して配置された第1密着層と、磁性層106側の面に接して配置された第2密着層とからなるものとされていてもよい。熱アシスト磁気記録媒体が第1密着層と第2密着層とを備えたものである場合、ヒートシンク層103が2層の密着層の間に挟まれたものとなるので、ヒートシンク層103の膜剥がれをより効果的に防止でき、より良好な表面平坦性を有するヒートシンク層103を備えた熱アシスト磁気記録媒体が得られる。また、ヒートシンク層103の磁性層106側の面に接して配置された第2密着層が、磁性層106の結晶粒径を制御するシード層を兼ねるものとなるため、磁性層106の性能をより一層向上させることができる。
密着層102は、TiAl合金からなるものであり、Alを40at%以上60at%以下含むものであることが好ましく、45at%以上55at%以下であることがより好ましい。密着層102におけるAlの含有量が40at%以上60at%以下である場合、密着層102の一方の面に接して配置されるヒートシンク層103との密着性も、密着層102の他方の面に接して配置される基板101または下地層との密着性も、より一層優れたものとなる。その結果、より一層、表面平坦性およびSNRが高く、ヘッド浮上性が良好な熱アシスト磁気記録媒体となる。
密着層102は、密着層102の表面粗さや合金組織を改善するために、密着層102の密着性が十分に確保できる範囲で、TiAl合金にCr、Mo、Nb、Wから選択された1つ以上の添加元素が含有されたものであってもよい。
密着層102の膜厚は、3nm以上であることが好ましい。密着層102の膜厚を3nm以上とすることで、密着層102と、密着層102に接して配置される層との密着性をより一層向上させることができる。その結果、より一層、ヘッド浮上性が良好な熱アシスト磁気記録媒体となる。
本発明の熱アシスト磁気記録媒体は、基板101と磁性層106と密着層102とヒートシンク層103と複数層の下地層104、105の他に、図1に示すように保護膜107や潤滑剤層108などを含むものであってもよい。
保護膜107としては、耐熱性に優れる材料からなるものであること望ましく、単層または複数層のカーボン膜などを用いることができる。カーボン膜としては、水素や窒素、金属を添加したものを用いてもよい。カーボン膜は、CVD法やイオンビーム法によって形成できる。
潤滑剤層108としては、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑剤層などを用いることができる。
図1に示す熱アシスト磁気記録媒体は、ヒートシンク層103の基板101側の面に接して密着層102が配置されたものであり、密着層102がTiAl合金からなり、ヒートシンク層103がCuを主成分とし、Bi、Cr、Ge、Mo、Nd、W、Znから選択された1つ以上の添加元素を含むものあるので、密着層102とヒートシンク層103との密着性が良好なものとなり、膜剥がれしにくく、良好な表面平坦性を有するヒートシンク層103を備えたものとなる。したがって、図1に示す熱アシスト磁気記録媒体は、記録後に、磁性層106に溜まった熱をヒートシンク層103によって速やかに散逸させることができ、表面平坦性およびSNRが高く、ヘッド浮上性が良好なものとなる。
[磁気記録再生装置]
次に、本発明の磁気記録再生装置について説明する。図6は、本発明の磁気記録再生装置の一例を示した斜視図であり、図7は、図6に示す磁気記録再生装置に備えられた磁気ヘッドの構成を模式的に示した断面図である。
図6に示す磁気記録再生装置は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体からなる磁気記録媒体701と、磁気記録媒体701を回転させ、記録方向に駆動する媒体駆動部702と、磁気記録媒体701に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッド703と、磁気ヘッド703を磁気記録媒体701に対して相対移動させるヘッド駆動部704と、磁気ヘッド703への信号入力と磁気ヘッド703からの出力信号の再生とを行う記録再生信号処理系705とから概略構成されている。
図6に示す磁気記録再生装置に備えられている磁気ヘッド703は、図7に示すように、記録ヘッド808と再生ヘッド811とから概略構成されている。記録ヘッド808は、主磁極801と、補助磁極802と、磁界を発生させるためのコイル803と、レーザーダイオード(LD)804と、LDから発生したレーザー光805を近接場発生素子806まで伝達するための導波路807とを備えている。再生ヘッド811は、一対のシールド809で挟み込まれたTMR素子等の再生素子810を備えている。
そして、図6に示す磁気記録再生装置では、磁気ヘッド703の近接場発生素子806から発生した近接場光を磁気記録媒体701に照射し、その表面を局所的に加熱して上記磁性層の保磁力を一時的にヘッド磁界以下まで低下させて書き込みを行う。
図6に示す磁気記録再生装置は、表面平坦性およびSNRが高く、ヘッド浮上性が良好な本発明の熱アシスト磁気記録媒体からなる磁気記録媒体701を備えているので、エラーレートの低いものとなる。
以下、実施例により本発明の効果をより詳細に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の製造方法を好適に説明するための代表例であり、これらに限定されるものではない。
(実施例1、比較例1)
以下に示す方法により、図1に示す熱アシスト磁気記録媒体を製造した。
まず、2.5インチガラス基板101上に、Ti−50at%Alからなる厚み30nmの密着層102を成膜し、続けてCu−2at%Geからなる厚み40nmのヒートシンク層103を成膜した。その後、基板101を300℃まで加熱して、Cr−10at%Ruからなる厚み50nmの第1下地層104とMgOからなる厚み5nmの第2下地層105とを順次形成した。次に、基板を650℃まで加熱して(Fe−45at%Pt−10at%Ni)−35mol%Cからなる厚み8nmの磁性層106を形成し、磁性層106上にダイヤモンド状炭素(DLC(Diamond Like Carbon))からなる厚み3.5nmの保護膜107を形成し、パーフルオロポリエーテルからなる厚み1.5nmの液体潤滑剤層108を塗布した。
以上の工程により、実施例1の熱アシスト磁気記録媒体を得た。
続いて、実施例1の熱アシスト磁気記録媒体におけるヒートシンク層の材料を、Cu−2at%Zr(比較例1)に置き換え、他の層は全て実施例1と同様にして比較例1の熱アシスト磁気記録媒体を得た。
実施例1、比較例1の密着層およびヒートシンク層の材料を表1に示す。
Figure 2013149316
実施例1の熱アシスト磁気記録媒体について、X線回折で測定を行った。その結果、Cr−Ruからなる第1下地層は(100)配向をとっており、その上に形成されたMgOからなる第2下地層105もエピタキシャル成長により(100)配向をとっていることがわかった。さらに、実施例1の磁性層106において、L1−FePtNi(001)、及びL1−FePtNi(002)のピークとFCC−FePtNi(200)の混合ピークが見られた。
実施例1の媒体の保磁力を、物理特性測定装置(PPMS)により7Tの磁界を印加して測定したところ、37kOeであり、高い保磁力を有していることがわかった。
また、実施例1、比較例1の熱アシスト磁気記録媒体について、以下に示す方法により、表面粗さRaおよび電磁変換特性のシグナルノイズ比(SNR)を測定し、グライド試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2013149316
表面粗さ(Ra)は、Veeco社製AFM(原子間力顕微鏡)のタッピングモードを用いて測定した。
また、電磁変換特性のSNRは、レーザースポット加熱機構を搭載したヘッドを用い、スピンスタンドテスターにて測定した。
グライド試験では、フェムトスライダ上にピエゾ素子を有するヘッドで、グライドハイトを0.3μinch(約7.6nm)として該熱アシスト磁気記録媒体を検査した。このとき、ピエゾ素子からの出力電圧が高くなる、つまりヘッドが飛行不安定になった回数(ヒット数)を測定し、この総和を評価した媒体面数で割って、媒体1面当たりのヒット回数として値を算出した。
表2に示すように、比較例1の熱アシスト磁気記録媒体は、表面粗さ(Ra)が0.46nmであった。これに対し、実施例1は、表面粗さ(Ra)が0.32nmであり、比較例1よりも0.1nm以上低い結果であった。
また、実施例1の熱アシスト磁気記録媒体では、SNRが13.7dBであった。これに対し、比較例1ではSNRが9.8dBであり、実施例1の媒体が良好なSNRを有することがわかった。
グライドテストにおいては、比較例1の媒体でヒットが11.5回あったのに対し、実施例1の媒体ではヒットが0回であった。このことから実施例1の媒体表面状態が平滑でヘッド浮上特性が優れていることがわかった。
以上のことから、Cuを主成分としたヒートシンク層においては、添加元素としてZrよりもGeを添加したものが好ましいことがわかった。
(実施例2−1〜2−7)
実施例1の熱アシスト磁気記録媒体におけるヒートシンク層の材料を、Cu−2at%Bi(実施例2−1)、Cu−1at%Cr(実施例2−2)、Cu−5at%Mo(実施例2−3)、Cu−2at%Nd(実施例2−4)、Cu−0.8at%W(実施例2−5)、Cu−0.6at%Zn(実施例2−6)、Cu−3at%Bi−0.5W(実施例2−7)に置き換え、他の層は全て実施例1と同様にして実施例2−1〜2−7の熱アシスト磁気記録媒体を得た。実施例2−1〜2−7の密着層およびヒートシンク層の材料を表1に示す。
このようにして得られた実施例2−1〜2−7の媒体について、実施例1と同様にして表面粗さ(Ra)とSNRの測定、グライド試験を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2013149316
表3に示すように、実施例2−1〜2−7の媒体においては、表面粗さ(Ra)、SNR、グライド試験の結果がいずれも優れている。このことから、Cuを主成分としたヒートシンク層においては、添加元素としてGeだけでなく、Bi、Cr、Mo、Nd、W、Znも効果的であることがわかった。また、実施例2−7の結果より、上述の添加元素を1つだけ添加するのではなく、複数添加しても同様の効果が得られることがわかる。
また、上述の添加元素の中でもBi、Ndを添加したヒートシンク層を含む実施例2−1、2−4の媒体はRaが特に低く、Ge、W、Moを添加したヒートシンク層を含む実施例1、2−3、2−5の媒体はSNRが特に高いことがわかった。また、Cuヒートシンク層にCrやBi−Wを添加した実施例2−2、2−7では、RaとSNRを同時に改善できることもわかった。このことから、要求される特性に合わせてヒートシンク層の添加元素を選択できる。
(比較例2)
実施例1の熱アシスト磁気記録媒体における密着層の材料をCr−45at%Tiに置き換え、他の層は全て実施例1と同様にして比較例2の熱アシスト磁気記録媒体を製造した。比較例2の密着層およびヒートシンク層の材料および厚みを表1に示す。
このようにして得られた比較例2の媒体について、実施例1と同様にして表面粗さ(Ra)およびSNRを測定し、グライド試験を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2013149316
表4に示すように、比較例2の媒体における表面粗さ(Ra)およびSNRは、表2に示す実施例1とほとんど変わらなかった。しかし、実施例1ではグライドテストでヒットがなかったのに対し、比較例2では9.6回のヒットが見られた。このことから、ヒートシンク層の下にTiAl合金からなる密着層を形成することで、表面平坦性が改善することがわかる。
(実施例3−1、3−2)
実施例1の熱アシスト磁気記録媒体におけるヒートシンク層とCr−10at%Ruからなる第1下地層との間に、ヒートシンク層の磁性層側の面に接して配置されたTi−50at%Alからなる第2密着層を30nm(実施例3−1)、100nm(実施例3−2)挿入したこと以外は、全て実施例1と同様にして実施例3−1、3−2の熱アシスト磁気記録媒体を製造した。実施例3−1、3−2の密着層およびヒートシンク層の材料および厚みを表1に示す。
このようにして得られた実施例3−1、3−2の媒体について、実施例1と同様にして表面粗さ(Ra)とSNRの測定、グライド試験を行った。その結果を表5に示す。
Figure 2013149316
表5に示すように、ヒートシンク層が2層の密着層の間に挟まれている実施例3−1、3−2の媒体では、SNRは実施例1と同等であり、表面粗さ(Ra)が実施例1よりもやや下がっていることが確認できた。これは、TiAlからなる第2密着層が、ヒートシンク層の表面粗さを打ち消したため、表面平坦性が改善したことによるものと考えられる。
なお、実施例3−1では、実施例3−2と比較してヒートシンク層と磁性層との距離が近いため、実施例3−2よりもヒートシンク層による熱散逸効果が高くなり、SNRがやや高くなったものと推測できる。
また、実施例3−1、3−2の媒体では、グライドテストにおけるヒットはなく、媒体表面の状態は実施例1と同様に優れていることがわかる。
(実施例4−1〜4−7)
図2は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の他の例を示した断面図である。以下に示す方法により、図2に示す熱アシスト磁気記録媒体を製造した。
まず、2.5インチガラス基板301上に、以下に示す材料からなる密着層302を成膜し、さらにCu−3at%Moからなるヒートシンク層303を成膜した。その後、基板を250℃まで加熱して、ヒートシンク層303の上にCr−50at%Tiからなる厚み30nmのシード層304とCr−5at%Vからなる厚み30nmの第1下地層305とMgOからなる厚み4nmの第2下地層306とを順次成膜した。次に、基板を650℃まで加熱して(Fe−50at%Pt)−14mol%TiOからなる厚み9nmの磁性層307を成膜し、磁性層307上にダイヤモンド状炭素からなる厚み3.5nmの保護膜308を形成し、パーフルオロポリエーテルからなる厚み1.5nmの液体潤滑剤層309を塗布した。
以上の工程により、実施例4−1〜4−7の熱アシスト磁気記録媒体を得た。
なお、実施例4−1〜4−7の熱アシスト磁気記録媒体においては、密着層の材料として、Ti−50at%Al(実施例4−1)、Ti−40at%Al(実施例4−2)、Ti−60at%Al(実施例4−3)、Ti−20at%Al(実施例4−4)、Ti−35at%Al(実施例4−5)、Ti−65at%Al(実施例4−6)、Ti−80at%Al(実施例4−7)を使用した。実施例4−1〜4−7の密着層およびヒートシンク層の材料および厚みを表1に示す。
このようにして得られた実施例4−1〜4−7の媒体について、実施例1と同様にしてSNR測定およびグライド試験を行った。その結果を表6に示す。
Figure 2013149316
表6に示す実施例4−1〜4−7の結果より、密着層のTiAl合金におけるAl含有率を40at%以上60at%以下とした場合、特に良好なSNRとグライドテスト結果が得られた。Al含有率が40at%以上60at%以下の範囲を外れると、Al含有率が上記範囲内である場合と比較して、ややSNRが低下する。さらに、Al含有率が20at%である場合と80at%である場合では、Al含有量が上記範囲内である場合と比較して、SNRの低下だけでなくグライドテストにおけるヒット数増加も確認された。これらの結果から、密着層のTiAlにおけるAl含有率は40at%以上60at%以下が望ましい。
(実施例5−1〜5−6)
図3は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の他の例を示した断面図である。以下に示す方法により、図3に示す熱アシスト磁気記録媒体を製造した。
まず、2.5インチガラス基板401上に、Ti−50at%Alからなる密着層402を成膜し、Cu−0.5at%Ndからなるヒートシンク層403を形成した。その後、Cr−55at%Tiからなる厚み30nmのシード層404を成膜し、300℃まで加熱し、Cr−15at%Moからなる厚み40nmの第1下地層405を成膜した。この基板上にTiNからなる厚み5nmの第2下地層406を成膜し、680℃まで加熱した後、(Fe−45at%Pt−5at%Cu)−25mol%Cからなる厚み10nmの磁性層407を積層し、さらにダイヤモンド状炭素からなる厚み3.5nmの保護膜408とパーフルオロポリエーテルからなる厚み1.5nmの液体潤滑剤層409とを形成した。
以上の工程により、実施例5−1〜5−6の熱アシスト磁気記録媒体を得た。
なお、実施例5−1〜5−6の熱アシスト磁気記録媒体においては、密着層の膜厚を3nm(実施例5−1)、10nm(実施例5−2)、25nm(実施例5−3)、100nm(実施例5−4)、1nm(実施例5−5)、2nm(実施例5−6)とした。実施例5−1〜5−6の密着層およびヒートシンク層の材料および厚みを表1に示す。
このようにして得られた実施例5−1〜5−6の媒体について、実施例1と同様にしてSNR測定とグライド試験を行った。その結果を表7に示す。
Figure 2013149316
表7に示す実施例5−1〜5−6の結果より、密着層の膜厚3nm〜100nmである場合にはグライドテストのヒットが見られない。密着層の膜厚が2nm以下である場合にはグライドテストにおいてヒットが発生している。このことから、密着層の膜厚3nm以上であることが望ましいことがわかる。
また、密着層の膜厚が1nmから100nmの間で変化してもSNRにほとんど影響しないことがわかる。
(実施例6−1〜6−7)
図4は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の他の例を示した断面図である。以下に示す方法により、図4に示す熱アシスト磁気記録媒体を製造した。
まず、2.5インチガラス基板501上にTi−45at%Alからなる密着層502と、Cu−0.1at%Biからなるヒートシンク層503とを形成し、Cr−50at%Tiからなる厚み20nmのシード層504を成膜してから300℃まで加熱し、Crからなる厚み30nmの第1下地層505とTiCからなる厚み5nmの第2下地層506とを順に積層した。これを630℃に加熱して、(Fe−50at%Pt−5at%Ag)−17mol%SiOからなる厚み9nmの磁性層507を成膜した後、DLCからなる厚み3.5nmの保護膜508を形成し、パーフルオロポリエーテルからなる厚み 1.5nmの液体潤滑剤層509を塗布した。
以上の工程により、実施例6−1の熱アシスト磁気記録媒体を得た。
続いて、実施例6−1の熱アシスト磁気記録媒体におけるヒートシンク層の材料を、Biの含有量が2at%(実施例6−2)、6at%(実施例6−3)、12at%(実施例6−4)、0.05at%(実施例6−5)、13at%(実施例6−6)、25at%(実施例6−7)であるものに置き換え、他の層は全て実施例6−1と同様にして実施例6−2〜6−7の熱アシスト磁気記録媒体を得た。
(実施例7−1〜7−7)
実施例6−1の熱アシスト磁気記録媒体におけるヒートシンク層の材料に代えてCu−0.1at%Geを用いて実施例7−1の熱アシスト磁気記録媒体とし、さらに実施例7−1のヒートシンク層の材料をGeの含有量が2at%(実施例7−2)、6at%(実施例7−3)、12at%(実施例7−4)、0.05at%(実施例7−5)、13at%(実施例7−6)、25at%(実施例7−7)であるものに置き換え、他の層は全て実施例6−1と同様にして実施例7−2〜7−7の熱アシスト磁気記録媒体を得た。
(実施例8−1〜8−7)
実施例6−1の熱アシスト磁気記録媒体におけるヒートシンク層の材料に代えてCu−0.1at%Wを用いて実施例8−1の熱アシスト磁気記録媒体とし、さらに実施例8−1のヒートシンク層の材料をWの含有量が2at%(実施例8−2)、6at%(実施例8−3)、12at%(実施例8−4)、0.05at%(実施例8−5)、13at%(実施例8−6)、25at%(実施例8−7)であるものに置き換え、他の層は全て実施例6−1と同様にして実施例8−2〜8−7の熱アシスト磁気記録媒体を得た。実施例6−1〜6−7、実施例7−1〜7−7、実施例8−1〜8−7の密着層およびヒートシンク層の材料および厚みを表1に示す。
このようにして得られた実施例6−1〜6−7、7−1〜6−7、8−1〜8−7の媒体について、実施例1と同様にしてSNR測定とグライド試験を行った。その結果を表8〜表10に示す。
Figure 2013149316
Figure 2013149316
Figure 2013149316
表8に示す実施例6−1〜6−7の結果から、ヒートシンク層に含まれる添加元素であるBiの含有量が0.1at%以上12at%以下である場合には、グライドテストのヒットが見られない。Biの含有量が0.05at%、或いは13at%以上である場合、グライドテストのヒットが発生している。このことから、ヒートシンク層に含まれる添加元素であるBiの含有量は、0.1at%以上12at%以下が好ましい。
一方、ヒートシンク層に含まれる添加元素Biの含有量が0.05at%或いは25at%のとき、SNRが低い。これは、添加元素Biの含有量が0.05at%の場合には添加元素不足、25at%の場合にはヒートシンク層の熱伝導率の大幅な減少によるSNR低下と考えられる。また、添加元素のBi含有量が0.1at%乃至2at%のときにSNRが特によいことがわかる。
表9、表10に示す実施例7−1〜7−7、8−1〜8−7の結果から、ヒートシンク層に含まれる添加元素としてGeを用いた場合や、Wを用いた場合においても、実施例6−1〜6−7の結果と同様、グライドテストの結果は、添加元素の含有量0.1at%以上12at%以下が好ましいという傾向が確認できる。
また、SNRも実施例6−1〜6−7の結果と同様に、ヒートシンク層に含まれる添加元素Ge乃至Wの含有量が0.05at%及び25at%のときSNRが低く、0.1at%乃至2at%ときには、特にSNRが高い。
(実施例9)
図5は、本発明の熱アシスト磁気記録媒体の他の例を示した断面図である。以下に示す方法により、図5に示す熱アシスト磁気記録媒体を製造した。
まず、2.5インチガラス基板601上にNi−50at%Taからなる厚み30nmの接着層602と、Co−20at%Fe−5at%Zr−5at%Taからなる厚み30nmの軟磁性下地層(SUL)603と、Ti−50at%Alからなる密着層604と、Cu−3at%Geからなるヒートシンク層605とを積層し、この上にMgOからなる厚み4nmの下地層606を形成した。この基板を580℃まで加熱後、(Fe−50at%Pt)−18mol%SiOからなる厚み9nmの磁性層607を成膜して、DLCからなる厚み3.5nmの保護膜608を形成し、パーフルオロポリエーテルからなる厚み1.5nmの液体潤滑剤609を塗布した。
以上の工程により、実施例9の熱アシスト磁気記録媒体を得た。
(比較例3−1〜3−2)
実施例9の熱アシスト磁気記録媒体における密着層604の材料をCr−50at%Tiに置き換え、比較例3−1の熱アシスト磁気記録媒体を得た。また、実施例9の熱アシスト磁気記録媒体の密着層604を除いて、軟磁性下地層603の上に直接ヒートシンク層605を形成し、比較例3−2の熱アシスト磁気記録媒体を得た。実施例9及び比較例3−1〜3−2の密着層およびヒートシンク層の材料および厚みを表1に示す。
このようにして得られた実施例9及び比較例3−1〜3−2の媒体の表面粗さ(Ra)、SNR、グライド試験の結果を表11に示す。
Figure 2013149316
表11に示す実施例9、比較例3−1〜3−2の結果より、密着層604及びヒートシンク層605が比較的磁性層607の近くに位置する媒体においても、TiAl合金からなる密着層604を備えることでグライド特性を改善できることがわかる。
一方、表面粗さRaとSNRは、ヒートシンク層直下に位置する密着層がTiAlであってもCrTi或いは軟磁性下地層でも変わらない。このことから、密着層がTiAl合金からなるものである場合にはRa、SNRを維持しつつ、グライド特性を改善できることがわかる。
(実施例10)
本実施例1、比較例1、実施例2−1〜2−7、実施例3−1の熱アシスト磁気記録媒体を図6に示す磁気記録再生装置の磁気記録媒体として用い、エラーレートを測定した。
なお、磁気記録再生装置の磁気記録媒体として組み込んだ各熱アシスト磁気記録媒体には、中周付近のグライドヒットがないものを選んだ。
エラーレートは、線記録密度1600kFCI、トラック密度500kFCI(面記録密度800Gbit/inch)の条件で記録して測定した。
その結果、実施例1、実施例2−1〜2−7、実施例3−1の熱アシスト磁気記録媒体を組み込んだ磁気記憶装置は、1×10−7以下の低いエラーレートを示した。また、比較例1の熱アシスト磁気記録媒体を組み込んだ磁気記憶発生装置のエラーレートは1×10−5であった。
以上より、TiAl合金からなる密着層とCuを主成分とするヒートシンク層とを併せ持つ本発明の実施例である熱アシスト記録媒体を用いることにより、エラーレートの低い磁気記憶再生装置が得られることがわかった。
表面平坦性が高く、シグナルノイズ比(SNR)が高く、かつヘッド浮上性が良好な熱アシスト記録媒体及びこれを備えた磁気記録再生装置を提供する。
101…基板、102…密着層、103…ヒートシンク層、104…第1下地層(下地層)、105…第2下地層(下地層)、106…磁性層、107…保護膜、108…潤滑剤層、301…基板、302…密着層、303…ヒートシンク層、304…シード層、305…第1下地層、306…第2下地層、307…磁性層、308…保護膜、309…潤滑剤層、401…基板、402…密着層、403…ヒートシンク層、404…シード層、405…第1下地層(下地層)、406…第2下地層(下地層)、407…磁性層、408…DLC保護膜、409…潤滑剤層、501…基板、502…密着層、503…ヒートシンク層、504…シード層、505…第1下地層(下地層)、506…第2下地層(下地層)、507…磁性層、508…保護膜、509…潤滑層、601…基板、602…接着層、603…軟磁性下地層(SUL)、604…密着層、605…ヒートシンク層、606…下地層、607…磁性層、608…保護膜、609…潤滑層、701…磁気記録媒体、702…媒体駆動部、703…磁気ヘッド、704…ヘッド駆動部、705…記録再生信号処理系、801…主磁極、802…補助磁極、803…コイル、804…レーザーダイオード、805…レーザー光、806…近接場発生素子、807…導波路、808…記録ヘッド、809…シールド、810…再生素子、811…再生ヘッド。

Claims (7)

  1. 基板と磁性層との間に、密着層とヒートシンク層と複数層の下地層とが備えられ、
    前記ヒートシンク層の前記基板側の面に接して前記密着層が配置されたものであり、
    前記密着層がTiAl合金からなり、前記ヒートシンク層がCuを主成分とし、Bi、Cr、Ge、Mo、Nd、W、Znから選択された1つ以上の添加元素を含むものであることを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
  2. 前記密着層が、前記ヒートシンク層の前記基板側の面に接して配置された第1密着層と前記磁性層側の面に接して配置された第2密着層とからなることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  3. 前記密着層が、Alを40at%以上60at%以下含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  4. 前記密着層の膜厚が3nm以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  5. 前記ヒートシンク層が、前記添加元素を0.1at%以上12at%以下含むものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  6. 磁性層が、L1構造を有する合金からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、
    前記磁気記録媒体を加熱するレーザー発生部と、前記レーザー発生部から発生したレーザー光を先端部へと導く導波路とを有して、前記磁気記録媒体に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッドと、
    前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体に対して相対移動させるヘッド移動部と、
    前記磁気ヘッドへの信号入力と前記磁気ヘッドからの出力信号の再生とを行う記録再生信号処理系とを備える磁気記録再生装置。
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