JP2013148496A - 非特異反応を抑制する免疫学的測定試薬及び測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不溶性担体をブロッキング処理することなく非特異反応を抑制できる非特異抑制剤、免疫学的測定試薬及び測定方法を提供する。
【解決手段】非特異抑制剤として、脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、非特異反応を抑制する免疫学的測定試薬及び測定方法に関する。
臨床検査薬分野において、不溶性担体を使用する免疫学的測定法が多用されている。例えば、ラテックス粒子の凝集反応を利用したラテックス凝集免疫測定法などや、免疫複合体を形成した粒子をB/F分離することを利用したELISA(酵素免疫測定法)、CLEIA(化学発光酵素免疫測定法)などが挙げられる。
ラテックス凝集免疫測定法は、抗原又は抗体を固相したラテックス粒子と試料中の測定対象物質とを反応させ、抗原抗体反応を介してラテックス粒子を凝集させ、凝集の程度を光学的に測定又は目視で観察することにより測定対象物質を測定する方法である。例えば、HCV(C型肝炎ウイルス)特異的ヒト免疫グロブリンを測定対象物質とする場合、HCV抗原を固相化したラテックス粒子にHCV特異的ヒト免疫グロブリンを添加すると該ラテックス粒子が凝集するため、その凝集の程度からHCV特異的ヒト免疫グロブリンの存在量を定量できる。
一方、ELISAやCLEIAの一例として磁性粒子を利用した免疫学的測定方法がある。これは、試料中の測定対象物質と特異的に反応する抗体又は抗原を固相化した磁性粒子と、試料中の測定対象物質とを抗原抗体反応させた後、B/F分離し、磁性粒子を洗浄した後に、該測定対象物質と特異的に反応する標識された抗原又は抗体を反応させ、当該標識を利用した発色又は発光を検出し、測定対象物質を測定する方法である。例えば、HCV特異的ヒト免疫グロブリンを測定する場合は、HCV抗原を固相化した磁性粒子と、ヒト免疫グロブリンとを抗原抗体反応させ、抗原固相化磁性粒子をB/F分離後洗浄し、標識抗体を反応させ、HCV特異的ヒト免疫グロブリンの存在量を定量できる。
生体由来の試料によっては、不溶性担体又は不溶性担体に担持した成分に吸着等する因子(非特異反応因子)が存在する場合がある。この場合、測定しようとする測定対象物質が試料中に存在しない場合であっても陽性の測定値を示し、真値と異なる測定値を示す場合がある。逆に本来の抗原抗体反応が阻害され、偽陰性となる場合もある。これら、測定対象物質に係る目的の抗原抗体反応とは異なる反応を非特異反応という(非特許文献2)。
ラテックス凝集免疫測定法で生じる非特異反応には、非特異吸着物質が結合する対象により、少なくとも3つの類型が知られている。
第一は、ラテックス粒子自体に非特異吸着物質が結合する類型である。ラテックス粒子は通常、タンパク質で表面を固相被覆して用いる(特許文献1、非特許文献2)。しかし、被覆が十分でなかったり、被覆成分がラテックス粒子から剥がれたりする場合、ラテックス粒子の表面が露出し、試料由来の非特異吸着物質が当該表面へ吸着し、非特異的な凝集反応が生じる。前記第一の類型の非特異反応を回避する目的で、ウシ血清アルブミン(以下、BSA)やカゼイン等によりラテックス粒子の表面を被覆する手段が多用されている。これにより、ラテックス粒子表面が被覆され、第一の類型の非特異反応を回避できる(特許文献1)。
しかしながら、BSAやカゼインには抗原性があるため、試料中にBSA等に反応する抗体が含まれると非特異凝集反応が生じる。これが第二の類型である(非特許文献3)。
また、ラテックス粒子には、測定対象物質に特異的に反応する抗体又は抗原を固相して使用するが、当該抗体又は抗原に対し、目的とする抗原抗体反応とは異なる抗原抗体反応が生じる場合がある。これが第三の類型である(非特許文献1、非特許文献2)。第三の類型は、ラテックス粒子に固相するタンパク質が、測定する試料の動物種と異なる動物種のタンパク質である場合に生じやすい。例えば、ラテックス粒子にマウス抗体を固相すると、ヒトの試料中のヒト抗マウス抗体(Human Anti−Mouse Antibody:HAMA)を含むと、非特異的な凝集を生じる(非特許文献1、非特許文献2)。この問題を解消するため、キメラ抗体やヒト化抗体が利用できることが報告されている(特許文献1)
一方、B/F分離を利用した免疫学的測定方法においても、上記非特異反応の類型が同様に生じる。すなわち、例えば第一類型であれば、試料中の非特異吸着物質が磁粒子表面に吸着する場合に、それに対し標識抗体が反応し、検出される現象である。疾患の同定や治療方針の選択のため、カットオフ値を設けて陰性/陽性を判定する試薬において、磁性粒子表面に対する非特異の吸着反応が著しいと、陰性と判断されるべき試料が陽性と判定されるので非常に問題になる。
粒子表面に対する非特異反応を回避する為、タンパク質等で粒子を被覆する手法が多用されている。目的とする抗原抗体反応に関与しないタンパク質をラテックス粒子や磁性粒子の表面に接触させる工程を経ることで、疎水的性質の強い粒子表面を被覆し非特異吸着物質の吸着を軽減するものである(以下、ブロッキングあるいは非特異抑制と言う)。ブロッキング剤としては、BSA、熱変性させたBSA、アルカリ処理をしたBSA、カゼイン、スキムミルク、セリシン、ゼラチン、合成高分子ポリマー等が知られ、実際に多用されている(特許文献2)。
前記ブロッキング剤で被覆する場合、固相されたブロッキング剤に特異的に反応する抗体が非特異反応を生じる問題がある(第二類型)。例えば、ラテックス粒子のブロッキング剤としてBSAを使用する場合、ヒト試料中の抗BSA抗体が固相されたBSAに結合し凝集する(非特許文献3)。また、スキムミルクはブロッキング作用が強いが、抗原抗体反応の阻害作用(抗原のマスク作用)もある点で問題である。BSAを変性してブロッキング剤に用いる技術もあるが、BSAの原料ロットが異なると調製条件が異なる場合があり、ロット管理の面で煩雑である。これら種々の課題が生じるため、前記第一の類型の非特異抑制対策としては、ブロッキング剤の使用は最良の非特異抑制手段とは言えず、より優れた手段が求められていた。
この他に特許文献3には、粒子表面に対する非特異反応を回避する手段として、界面活性剤を添加し、非特異吸着物質の除去又は吸着阻害をし、非特異吸着物質の影響を緩和する方法が開示されている。ラテックス凝集免疫法では、試料中に含まれる複数のタンパク質が非特異反応の原因物質と考えられている。原因物質の一つとして試料血清、血漿中のマイクロフィブリン等の血液凝固因子があるが、界面活性剤を添加しても作用が弱く、多量の原因物質を除去するには充分な効果を示すものではなかった。また、多量の界面活性剤を添加すれば、再現性や特異性等他の試薬性能を劣化させる問題もある。
その他に、特許文献4には、不溶性担体の表面素材と同じ素材からなる粒子又は担体を試料と接触させ、試料中の非特異吸着物質を吸収する手段が開示されている。当該粒子自体が光学的に測り込まれ検出されるため、高感度で正確な測定を要求される臨床検査試薬キットにおいて当該技術は最良とは言えない。すなわち、試薬に非特異吸着物質を吸収する粒子を添加しておくと、非特異吸着物質が当該粒子を凝集させる為、光学的に検出される程度の凝集体が形成され、当該凝集体が測定系を干渉し、正確な測定が妨げられるのである。
特許文献5においては、疎水性物質を固定化した担体と試料を処理し、非特異的に結合する物質を除去する技術が開示されている。大型の自動分析機を用い、大量の試料をより早く測定することが求められている臨床検査業務の現状に鑑みると、自動分析機での測定前に測定者による用手法での試料処理が必要な状況は望まれず、特殊な前処理が必要となる臨床検査薬には最良とは言えない。従って、例えば、自動分析装置で利用できるような臨床検査薬の一般的な剤形、すなわち均一に分散された液状の剤形であることが望ましく、特許文献5の技術は当該剤形においては達成できない。
特開2000−95799号公報 特開2007−248373号公報 特許第3600231号明細書 特開2000−221196号公報 WO2005/010528号パンフレット
Clin Chim Acta. 2010 Mar;411(5-6):391-394. Clinical Chemistry. 1999 July:45(7):942−956. J Immunoassay Immunochem. 2004;25(1):17-30.
本発明者らの目的は、前記非特異反応の特に第一類型あるいは第二類型を抑制することができる新規の非特異抑制剤、免疫学的測定試薬及び測定方法を提供することである。例えば、粒子をブロッキング剤で被覆しなくとも非特異反応を抑制できる手段を提供することである。
本発明者らは、不溶性担体を使用する免疫学的測定試薬において非特異反応の抑制方法を鋭意研究した結果、脂肪酸及び/又は脂肪酸塩が、ブロッキング剤で被覆しない不溶性担体に対しても非特異反応を強く抑制することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、定法に従って界面活性剤添加での非特異反応抑制効果を検証していたところ、偶然にポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート(Tween20:polyoxyethylene sorbitan monopalmitate)へエステラーゼが混入し、驚くべきことにこのエステラーゼの混入したTween20溶液は非特異抑制効果が著しく増強していることに気付いた。
鋭意研究の結果、エステラーゼがTween20を分解し、分解産物の脂肪酸に強い非特異抑制効果があり、そして脂肪酸を溶解した試薬では、非特異反応が生じず、不溶性担体をブロッキング処理しなくとも非特異反応を抑制できるという驚くべき高い効果があることを見出し、本発明を完成させた。
水溶液の試薬に脂溶性の成分を添加することは、不溶性成分の沈殿の発生等、試薬性能を劣化させると信じられており、これまで脂肪酸の存在下で抗原抗体反応を行うことは、避けられてきた。すなわち、不溶性成分が水溶液中に不均一に存在する状況となると、正確な測定結果を得られないため、試薬を設計する際には、親水性の成分を優先的に試み、添加剤として採用され、水難溶性の成分は積極的に避けられてきた現状である。従って、脂肪酸を臨床検査薬へ溶解させる発想は、当業者にとって思想上の障害がある。
すなわち、本発明は、
[1]不溶性担体を含有する免疫学的測定試薬であって、脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含むことを特徴とする、免疫学的測定試薬、
[2]脂肪酸及び/又は脂肪酸塩の炭素数が4〜30である、[1]の免疫学的測定試薬、
[3]免疫学的測定が、ラテックス凝集免疫測定法、あるいは、B/F分離を伴う免疫学的測定法である、[1]又は[2]の免疫学的測定試薬、
[4]安定化試薬及び反応試薬を含む免疫学的測定試薬であって、該安定化試薬及び/又は該反応試薬に脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含む、[1]〜[3]のいずれかの免疫学的測定試薬、
[5]前記脂肪酸及び/又は脂肪酸塩が、オクタン酸及び/又はオクタン酸塩、ノナン酸及び/又はノナン酸塩、ドデカン酸及び/又はドデカン酸塩、テトラデカン酸及び/又はテトラデカン酸塩、オクタデカン酸及び/又はオクタデカン酸塩から少なくとも一つ選ばれる、[1]〜[4]のいずれかの免疫学的測定試薬、
[6]前記脂肪酸及び/又は脂肪酸塩が、オクタン酸及び/又はオクタン酸塩である、[1]〜[5]のいずれかのの免疫学的測定試薬、
[7]測定対象物質がヒト免疫グロブリンである、[1]〜[6]のいずれかの免疫学的測定試薬、
[8]不溶性担体を使用する免疫学的測定方法であって、脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含むことを特徴とする、免疫学的測定方法、
[9]試料を安定化試薬と混合する第一の工程と、
次いで、測定対象物質に対する抗原又は抗体を担持させた不溶性担体を含む反応液と反応させる第二の工程とを含み、
脂肪酸及び/又は脂肪酸塩が、安定化試薬及び/又は反応液に溶解されている、免疫学的測定方法
に関する。
本発明によれば、不溶性担体を使用する免疫学的方法で生じる非特異反応を抑制し、高感度、高精度に試料中の測定対象物質を測定可能とする免疫学的測定試薬及び測定方法を提供することができる。更には、不溶性担体をブロッキング処理することなく非特異反応を抑制できる高い効果を有する。
実施例3(ドデカン酸を添加した安定化試薬を使用)の結果を示すヒストグラムである。 比較例3(ドデカン酸を添加しない安定化試薬を使用)の結果を示すヒストグラムである。
本発明は、不溶性担体を用いる免疫学的測定試薬及び測定方法において、脂肪酸及び/または脂肪酸塩により非特異反応を抑制することが特徴である。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明で用いる脂肪酸及び/又は脂肪酸塩は、非特異反応抑制効果が認められれば特に限定しないが、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖が挙げられる。
飽和脂肪酸としては、例えば、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸等が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、例えば、9−ヘキサデセン酸、cis−9−オクタデセン酸、11−オクタデセン酸、cis,cis−9,12−オクタデカジエン酸、9,12,15−オクタデカントリエン酸、6,9,12−オクタデカトリエン酸、9,11,13−オクタデカトリエン酸、8,11−エイコサジエン酸、5,8,11−エイコサトリエン酸、5,8,11−エイコサテトラエン酸、cis−15−テトラコサン酸等が挙げられる。
脂肪酸塩は上記脂肪酸の水酸基が置換されているものが挙げられるが、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩を挙げることができる。
本発明で用いる脂肪酸及び/又は脂肪酸塩は、市販の調製された脂肪酸又は脂肪酸塩を用いてもよいし、脂肪酸の誘導体から酵素等で分解して調製してもよい。
脂肪酸の誘導体としては、例えば、一価又は多価アルコールとのエステル、リン脂質、及びこれらのエステルにエチレンオキサイドを付加した誘導体を挙げることができる。具体的には、例えば、上記脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、それらのエチレンオキサイド付加体、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル等が挙げられる。
脂肪酸は、前記脂肪酸誘導体を、例えば、エステラーゼやリパーゼ等の酵素により加水分解して得ることができる。または、測定試薬に前記脂肪酸誘導体と前記酵素とを添加することで、実質的に脂肪酸を添加するのと同等な効果を得るものでもよい。当業者であれば、公知の方法に従って、容易に実施することができる。
また、これらの脂肪酸、脂肪酸塩又はその誘導体は、2種以上を併用してもよい。
本発明で使用可能な脂肪酸及び/又は脂肪酸塩の濃度は、水溶液に溶解させることができる範囲であれば特に限定されない。当業者であれば、選択する脂肪酸及び/又は脂肪酸塩の種類により水溶液への溶解度が異なる点、測定する際の試料と脂肪酸含有試薬との比に応じ、測定条件毎に最適な添加濃度を容易に決定することができる。
例えば、オクタン酸ナトリウムを選択し、試料とオクタン酸ナトリウム含有試薬の液量比(試料の液量/オクタン酸ナトリウム含有組成物)を0.16とする場合には(以下、本段落において同じ)、オクタン酸ナトリウム含有試薬におけるオクタン酸ナトリウム濃度が0.05〜2.0重量%で効果が優れ、0.2〜2.0重量%であるとより効果が優れ、0.5〜2.0重量%であると更に効果が優れる。
また、ノナン酸ナトリウムの場合は、0.1〜1.5重量%で効果が優れ、0.5〜1.5重量%であるとより効果が優れる。
また、ドデカン酸の場合は、0.05〜1.0重量%で効果が優れ、0.1〜1.0重量%であるとより効果が優れる。
また、ドデカン酸ナトリウムの場合は、0.05〜1.0重量%で効果が優れ、0.2〜1.0重量%であるとより効果が優れ、0.5〜1.0重量%であると更に効果が優れる。
また、テトラデカン酸ナトリウムの場合は、0.01〜0.5重量%で効果が優れ、0.02〜0.5重量%であるとより効果が優れる。
また、オクタデカン酸の場合は、0.01〜0.2重量%で効果が優れ、0.05〜0.2重量%であるとより効果が優れる。
これらの濃度は、脂肪酸又は脂肪酸塩含有試薬(試料と当該試薬の液量比=0.16)中の脂肪酸又は脂肪酸塩の溶解濃度であり、試料と当該試薬とを混合した際の混合液中の脂肪酸又は脂肪酸塩の溶解濃度は、これらの濃度を1.16で除することにより算出することができる。
短鎖脂肪酸の場合、非特異抑制効果を奏するのに高濃度の添加が必要で、長鎖脂肪酸では低濃度での添加で済む傾向がある。
長鎖脂肪酸は、難溶性であること等で不具合を生じやすく、また、短鎖脂肪酸は、異臭が酷くて製品上は使いづらいことから、炭素数が4〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは8〜18の脂肪酸または脂肪酸塩が使用できる。
具体的には、オクタン酸及び/又はオクタン酸塩、ノナン酸及び/又はノナン酸塩、ドデカン酸及び/又はドデカン酸塩、テトラデカン酸及び/又はテトラデカン酸塩、オクタデカン酸及び/又はオクタデカン酸塩が挙げられる。特に好ましくは、オクタン酸及び/又はオクタン酸塩が使用できる。
これらの脂肪酸は水溶液に直接加えてもよいが、分散性を改善するために、有機溶剤に脂肪酸を一旦分散、溶解させて添加してもよい。該有機溶剤としては、例えば、クロロホルム、メタノール、エタノール等が挙げられるが、好ましくはエタノールがよい。
水溶液に溶解し難い脂肪酸の場合、界面活性剤を共存させることで溶解させることができる。該界面活性剤は、過度な検討を要さず、公知のものの中から適宜選択して使用することができるが、特に非イオン性界面活性剤が好ましい。前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸アルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステルを挙げることができる。好ましくはソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、より好ましくはソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、更に好ましくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。前記界面活性剤を、2種類以上を混合して使用してもよい。
前記界面活性剤は、本発明で使用可能な脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含む試薬に0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%となるように含有させるのがよい。
本発明で使用する脂肪酸及び/又は脂肪酸塩は、溶液中で溶解している状態の他、安定に分散又は乳濁している状態であっても発明の効果を奏するが、臨床検査薬としては、保存安定性や正確な測定が維持されるように、溶解している状態が最も望ましいことから、溶液中に溶解していることが好ましい。
当業者であれば、使用する形態や条件に合わせ、適宜、本発明で使用する脂肪酸及び脂肪酸塩を選択し、調製することができる。
本発明の免疫学的測定方法としては、不溶性担体を使用する免疫学的測定方法であれば良く、ラテックス凝集免疫測定法などの免疫学的粒子凝集反応、B/F分離を行う粒子等の支持体を用いたエンザイムイムノアッセイ(ELISA法)、免疫比ろう法、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法等が使用できる。また、競合法の原理に基づくRIA法やELISA法でも使用できる。
また、本発明の免疫学的測定方法は、1液もしくは2液以上から構成される免疫学的測定試薬を用いて実施することができる。
1液から構成される場合、少なくとも免疫学的複合体を形成するための抗体あるいは抗原を担持させた支持体を含む反応試薬からなる。公知の方法に従い、試料を該試薬と反応させ、シグナルを検出する。本発明で用いる脂肪酸及び/又は脂肪酸塩は、試料と該試薬とが反応する前に、該試薬に添加されていると良いが、好ましくは、該試薬に添加された状態で供給することができる。
2液以上から構成される場合、安定化試薬と少なくとも免疫学的複合体を形成するための抗体あるいは抗原を担持させた支持体を含む反応試薬からなる。安定化試薬は、試料を適当な濃度に希釈したり、前処理を行ったりする試薬で、公知の方法に従って調製することができる。公知の方法に従い、試料を安定化試薬と反応させ、その後、反応試薬と反応性、シグナルを検出する。本発明で用いる脂肪酸及び/又は脂肪酸塩は、試料と該反応試薬とが反応する前に、該安定化試薬及び/又は該反応試薬に添加されていると良いが、好ましくは、該安定化試薬及び/又は該反応試薬に添加された状態で供給することができる。
例えば、自動測定装置を使用する臨床検査薬の場合には、測定原理、試薬を搭載する自動測定機の種類、測定機での試薬液量パラメーター等の観点から、その剤形を選択することができる。
一般にはラテックス凝集免疫測定法においては2液系からなる場合が多い。試料を希釈する安定化試薬と、ラテックス粒子が分散されたラテックス試薬とから構成される。本発明で用いる脂肪酸及び/又は脂肪酸塩は最終的に試料と混和される態様であればよく、安定化試薬に含有されていても良いし、ラテックス試薬に含有されていても良い。更に、前記試薬とは別に、脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含有する水溶液を用意し、測定前に安定化試薬に添加しても良いし、ラテックス試薬に添加しても良い。
B/F分離を行う磁性粒子を使用する免疫学的測定法においても、2から3液系で構成される場合が多いが、上記と同様に何れの構成試薬に本発明の脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含有あるいは添加させてもよい。
本発明で用いる脂肪酸及び/又は脂肪酸塩は、好ましくは、安定化試薬に添加されるのがよい。試料中の非特異吸着物質を吸収する為、特に、本発明で用いる脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を溶解した水溶液(すなわち安定化試薬)と試料とを混和し検体を前処理することで非特異反応を回避することができる。
本発明で使用可能な試料としては特に制限はなく、例えば、全血、血漿、血清、リンパ液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水、精液等の体液等も用いることができる。
本発明の試薬及び方法を用いて測定可能な測定対象物質としては、生体試料中に含まれる生理活性物質であり、抗原抗体反応を利用して測定し得る物質であれば特に限定されず、例えば、タンパク質、糖タンパク質、脂質タンパク質、レセプター、酵素、ウイルス抗原・抗体等が挙げられ、具体的には、CRP、ヒトフィブリノーゲン、Dダイマー、FDP、リウマチ因子、アルファーフェトプロティン(AFP)、CEA、HBs抗原、フェリチン、抗HCV抗体、坑HIV抗体、抗ストレプトリジンO抗体、梅毒トレポネーマ抗体、梅毒脂質抗原に対する抗体、抗HBs抗体、抗HBc抗体、抗HBe抗体等が挙げられる。本発明の用途として好ましくは、ヒト免疫グロブリンを測定対象物質とするキットに適用するのが好ましい。例えば、上述の抗HCV抗体、抗HIV抗体、抗ストレプトリジンO抗体、抗HBs抗体、抗HBc抗体、抗HBe抗体、抗TSH抗体、抗T3抗体、抗T4抗体等での適用が好ましい。
本発明に係る不溶性担体としては、通常この分野で用いられているものであれば特に限定はされないが、例えば、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のビニル系モノマーを重合させてなる単一重合体(例えば、ポリスチレン)の不溶性担体を挙げられる。また、共重合体(例えば、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体等)からなる不溶性担体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のブタジエン系共重合体からなる不溶性担体を挙げられる。官能基としてカルボキシル基、1級アミノ基、カルバモイル基(−CONH)、水酸基、アルデヒド基等を有し、かつ、基体が上記有機系微粒子からなる不溶性担体を挙げられる。
本発明では、不溶性担体として磁性粒子を用いることができる(特開平7−151755号公報参照)。磁性粒子は、磁気誘導により容易に磁化され得るもので、例えば、四三酸化鉄(Fe)、三二酸化鉄(γ−Fe)、各種フェライト、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、クロムなどの金属や、コバルト、ニッケル、マンガンなどの合金を内部に含んだポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカプラミド、ポリエチレンテレフタレートなどの疎水性重合体、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(2−オキシエチルアクリレート)、ポリ(2−オキシエチルメタクリレート)、ポリ(2,3−ジオキシプロピルアクリレート)、ポリ(2,3−ジオキシプロピルメタクリレート)、ポリエチレングリコールメタクリレートなどの架橋した親水性重合体、もしくはそれぞれのモノマーの2〜4種程度の共重合体などのラテックス、ゼラチン、リポソームからなる磁性粒子を例示できる。
不溶性担体のブロッキング処理に使用する成分としては、公知のブロッキング剤を適宜選択して使用できるが、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、セリシン等のタンパク質成分のブロッキング剤の他、親水性ブロックと疎水性ブロックとからなる合成ポリマーのブロッキング剤を挙げることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
〔試料〕
以下の実験例では、ヒト血清(試料A−J、試料群(40検体))を試料とした。いずれの試料も、別法のイムノブロット法(RIBA III:オーソ社製)により、HCV抗体が1C.O.I以下と判定された試料である。「C.O.I」は、ある試料の測定値をカットオフ値で割った値であり、1.0以上を陽性、1.0未満を陰性と判断する、抗体測定における指標である。
《実験例1》
<目的>
本実験例では、脂肪酸含有組成物を使用することで、非特異反応を抑制できるか検討した。更に、脂肪酸含有組成物を使用するのであれば、ブロッキング処理をしないラテックス粒子を使用する場合であっても、非特異反応を抑制できるか検討した。
<方法>
安定化試薬とラテックス試薬とからなる2試薬系のラテックス凝集免疫測定法において、脂肪酸としてドデカン酸の非特異抑制効果の検証をした。ドデカン酸は、安定化試薬に含有させた。また、ブロッキング剤であるBSAによるラテックス粒子のブロッキング処理の有無による影響についても確認した。測定は日本電子BM L800自動分析装置を用いた。分析方式に「2PA」を選択し、試料/安定化試薬/ラテックス試薬の液量はそれぞれ8μL/50μL/24μLとし、測光ポイントは、40−65ポイントを用いた。測定主波長は845nm、計算法方式にはSTDを選択した。具体的な測定工程としては、試料へ安定化試薬を添加した後、5分間反応し、その後、ラテックス試薬を添加・攪拌し5分間反応させ、安定化試薬を添加した後から継続的に吸光度を測定した。結果は表1に示す。
<材料>
〔安定化試薬の調製〕
脂肪酸を添加した安定化試薬は、210mmol/L NaCl、1.6%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)、2mmol/Lアジ化ナトリウム、2mmol/L EDTAを含有する40mmol/Lトリス緩衝液(pH8.2)に、0.03%になるようにドデカン酸を溶解して調製した。ドデカン酸は、エタノールを溶媒として10重量%に調製してから、安定化試薬へ添加した。ドデカン酸有無による効果を検証するため、比較例としてドデカン酸未添加の安定化試薬を調製し測定に使用した。
〔ブロッキング処理なしHCV抗原固相ラテックス粒子の調製〕
平均粒径0.48μmのポリスチレンラテックス粒子(JSR社製)を2mmol/L EDTA含有の100mmol/Lリン酸緩衝液(pH8.0)にて1重量%に懸濁した。ポリスチレンラテックス1mgあたり、リコンビナントHCV抗原(カイロン社製)5μgを添加し、25℃30分間攪拌した。反応液を14000rpmで遠心分離し、ラテックス粒子を10mmol/LのMES緩衝液(pH6.0)に分散させた。分散は、ソニケーションにより実施した。25℃30分間攪拌後、再度遠心分離によりラテックス粒子を回収し、117mmol/Lスクロース、2mmol/L EDTAを含有する10mmol/LのMES緩衝液(pH6.0)に分散させ、測定に使用した。
〔ブロッキング処理ありHCV抗原固相のラテックス粒子の調製〕
平均粒径0.48μmのポリスチレンラテックス粒子(JSR社製)を2mmol/L EDTA含有の100mmol/Lリン酸緩衝液(pH8.0)にて1重量%に懸濁した。ポリスチレンラテックス1mgあたり、リコンビナントHCV抗原(カイロン社製)を5μg添加し、25℃30分間攪拌した。反応液を14000rpmで遠心分離し、ラテックス粒子を100mmol/L Tris緩衝液(pH 8.0)に再懸濁させ、該溶液に0.3重量%になるようにBSAを添加し25℃30分間攪拌した。その後遠心分離し、ラテックス粒子を10mmol/LのMES緩衝液(pH6.0)で再懸濁した。25℃30分間攪拌後、遠心し、117mmol/Lスクロース、2mmol/L EDTAを含有する10mmol/LのMES緩衝液(pH6.0)に再懸濁し測定に使用した。
<結果>
表1に示すとおり、ドデカン酸を使用することにより、(i)非特異反応が強く抑制され(実施例1及び実施例2)、更に、(ii)ラテックス粒子をブロッキングしない場合であっても非特異反応の抑制効果が高いことがわかった(実施例1)。
Figure 2013148496
《実験例2》
<目的>
本実験例では、ラテックス凝集免疫測定法において、非特異抑制効果とドデカン酸濃度との関係を検討した。
<方法>
安定化試薬へのドデカン酸の添加濃度を0.005〜0.2重量%の範囲で表2のとおり設定した以外は、実験例1と同様に行い、各溶解濃度での非特異抑制効果を検証した。なお、ラテックス粒子は、ブロッキング処理なしで調製したものを使用した。結果は表2に示す。
<材料>
実験例1と同様の材料を使用した。
<結果>
表2に示すとおり、安定化試薬(試料と安定化試薬の液量比=8μL/50μL=0.16)におけるドデカン酸の溶解濃度が高いほど、すなわち、0.02重量%以上、好ましくは、0.02重量%以上添加されることにより、非特異反応が抑制された。
Figure 2013148496
《実験例3》
<目的>
本実験例では、ドデカン酸含有組成物の非特異抑制効果を多くの試料で確認した。
<方法>
別法のイムノブロット法(RIBA III:オーソ社製)で1C.O.I以下とされた試料群(40検体)について本発明の試薬で測定し、測定値(C.O.I表記)のヒストグラムを得た。
実施例3として、実施例1と同様に調製し、40検体の測定を実施した。なお、ラテックス粒子は、ブロッキング処理なしで調製したものを使用した。その結果を図1に示す。
比較例3としては、実施例3の試料に対し、比較例1と同様に、脂肪酸を添加しない安定化試薬、及び、ブロッキング処理なしのラテックス粒子を使用した。その結果を図2に示す。
<材料>
実験例1と同様の材料を使用した。
<結果>
図1及び図2において、横軸はC.O.I、縦軸は頻度(試料数)を示す。実施例3では比較例3に比べ、陰性検体群の測定値が0C.O.Iに収束した。非特異反応により測定値が干渉されると、比較例3のようにヒストグラムの測定値の高くなり、0C.O.Iへの収束が不良となるが、非特異反応が抑制されると実施例3のように測定値が0C.O.Iへ収束する。
《実験例4》
<目的>
本実験例では、ラテックス凝集免疫測定法において、脂肪酸塩含有組成物を使用することで、非特異反応を抑制できるか検討した。
<方法>
安定化試薬へのオクタン酸ナトリウムの添加濃度を0.010〜1.100重量%の範囲で表3のとおり設定した以外は、実験例1と同様に行い、各溶解濃度での非特異抑制効果を検証した。なお、ラテックス粒子は、ブロッキング処理なしで調製したものを使用した。結果は表3に示す。
<材料>
実験例1と同様の材料を使用した。
<結果>
表3に示すとおり、脂肪酸塩であるオクタン酸ナトリウムでも脂肪酸と同様に、ブロッキング処理なしでも、強い抑制効果があることがわかった。また、安定化試薬におけるオクタン酸ナトリウムの溶解濃度が高いほど、非特異反応が抑制された。
Figure 2013148496
《実験例5》
<目的>
オクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、テトラデカン酸ナトリウム、オクタデカン酸を含有する組成物の非特異抑制効果を検証した。
<方法>
安定化試薬に表4に示す各濃度の各種脂肪酸又は脂肪酸塩を溶解した以外は、実験例1と同様に行い、各種脂肪酸又は脂肪酸塩の各溶解濃度での非特異抑制効果を検証した。なお、ラテックス粒子は、ブロッキング処理なしで調製したものを使用した。結果は表4に示す。
<材料>
実験例1と同様の材料を使用した。
<結果>
表4に示すとおり、(i)オクタン酸ナトリウム、ノナン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、テトラデカン酸ナトリウム、及びオクタデカン酸のいずれを含む組成物においても、ブロッキング処理なしでも、強い抑制効果があることがわかった。また、安定化試薬における前記脂肪酸及び脂肪酸塩の溶解濃度が高いほど、非特異反応が抑制された。また、(ii)脂肪酸及び脂肪酸塩の種類毎で非特異抑制効果を示す至適濃度が異なった。安定化試薬(試料と安定化試薬の液量比=8μL/50μL=0.16)への溶解濃度として、オクタン酸ナトリウムは、0.5重量%以上、ノナン酸ナトリウムは、0.5重量%以上、ドデカン酸ナトリウムは、0.1重量%以上、テトラデカン酸ナトリウムは、0.02重量%以上、オクタデカン酸は、0.05重量%以上で効果が高かった。至適濃度は、炭素数が少ない脂肪酸及び脂肪酸塩ほど高濃度である傾向があった。
Figure 2013148496
以上より、脂肪酸あるいは脂肪酸塩含有組成物を生体由来試料と混合することで非特異反応が抑制されるメカニズムは定かではないが、試料中の非特異因子が脂肪酸により吸収され、非特異因子が不溶性担体へ結合するのを阻害するのではないかと思料している。非特異反応の強弱は、試料供与者毎で異なるが、非特異反応が強い試料程、それを抑制するのに高濃度の脂肪酸の添加が必要となるためである。なお、試料中にも脂肪酸は含まれるが非特異抑制効果を奏すためには十分量ではなく、免疫学的測定試薬に脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を添加することで、非特異反応抑制効果を奏すものと思料している。
本発明によれば、免疫測定を行う場合に生じる不溶性担体に対する非特異反応を抑制する免疫学的測定試薬及び測定方法を提供することができる。これらの試薬及び方法は、高感度かつ高精度かつ簡便性を求められる臨床検査薬に使用することができる。
例えば、特殊な前処理が不要な臨床検査薬であって、複数の製造メーカーから販売されている自動分析装置に共通してアプリケーションさせることができる。すなわち、複数の機種に共通して採用されている基本的な動作、例えば試料や溶液の分注、反応液の攪拌操作、温度維持、光学的測定の動作で測定が可能な試薬剤形が選択できる。
また、不溶性担体をブロッキング処理することなく、非特異反応を抑制できることから、試薬製造工程が簡略化され、原材料費が低廉化する。また、試料を特殊な前処理をする必要もなく、臨床検査業務の効率化に供する。

Claims (9)

  1. 不溶性担体を含有する免疫学的測定試薬であって、脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含むことを特徴とする、免疫学的測定試薬。
  2. 脂肪酸及び/又は脂肪酸塩の炭素数が4〜30である、請求項1に記載の免疫学的測定試薬。
  3. 免疫学的測定が、ラテックス凝集免疫測定法、あるいは、B/F分離を伴う免疫学的測定法である、請求項1又は2に記載の免疫学的測定試薬。
  4. 安定化試薬及び反応試薬を含む免疫学的測定試薬であって、該安定化試薬及び/又は該反応試薬に脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の免疫学的測定試薬。
  5. 前記脂肪酸及び/又は脂肪酸塩が、オクタン酸及び/又はオクタン酸塩、ノナン酸及び/又はノナン酸塩、ドデカン酸及び/又はドデカン酸塩、テトラデカン酸及び/又はテトラデカン酸塩、オクタデカン酸及び/又はオクタデカン酸塩から少なくとも一つ選ばれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の免疫学的測定試薬。
  6. 前記脂肪酸及び/又は脂肪酸塩が、オクタン酸及び/又はオクタン酸塩である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫学的測定試薬。
  7. 測定対象物質がヒト免疫グロブリンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫学的測定試薬。
  8. 不溶性担体を使用する免疫学的測定方法であって、脂肪酸及び/又は脂肪酸塩を含むことを特徴とする、免疫学的測定方法。
  9. 試料を安定化試薬と混合する第一の工程と、
    次いで、測定対象物質に対する抗原又は抗体を担持させた不溶性担体を含む反応液と反応させる第二の工程とを含み、
    脂肪酸及び/又は脂肪酸塩が、安定化試薬及び/又は反応液に溶解されている、免疫学的測定方法。
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