JP2004004097A - 試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬 - Google Patents

試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬 Download PDF

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Abstract

【目的】試料中の測定対象物質の測定にみられる、試料中に含まれる干渉物質による測定値への影響を回避し、正確な測定を行うことができる手段を提供する。
【構成】試料中の測定対象物質の測定時に、試料中に含まれる干渉物質による測定反応への干渉作用を抑制するため、測定反応時に前記の干渉物質と同じ機能を有する物質を存在させて測定を行う、試料中の測定対象物質の測定方法。及び試料中に含まれる干渉物質と同じ機能を有する物質を含有する、試料中の測定対象物質の測定試薬。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料中の測定対象物質を測定する際に、試料中に含まれる干渉物質による干渉作用を抑制し、正確な測定値を得ることができる、測定対象物質の測定方法及び測定試薬に関する。
本発明の測定方法及び測定試薬によれば、例えば、試料中に金属キレート剤が含まれる場合でも、C反応性蛋白を誤差無く正確に測定することができる。
【0002】
本発明は、臨床検査、免疫学、及び医学などの生命科学分野、分析化学などの化学分野、食品衛生分野、並びに環境衛生分野等において有用なものである。
【0003】
【従来の技術】
血液、尿等の試料中に含まれる測定対象物質の測定は、疾病の診断において大変有用なものであり、臨床検査においては、例えば、酵素反応を利用した酵素学的測定方法、抗原と抗体の間の抗原抗体反応を利用した免疫学的測定方法、又は測定対象物質に特定の物質が結合した際のシグナルの生成を測定する方法等が普及し、様々な測定方法が開発されている。
【0004】
例えば、免疫学的測定方法は、試料中に含まれる測定対象物質と、この測定対象物質に対して特異的に結合する特異的結合物質との結合の有無、又は結合の量を測ることにより、試料中に含まれる測定対象物質の有無の測定〔定性測定〕、又はその含有量(濃度)の測定〔定量測定〕を行うものである。
この免疫学的測定方法においては、特に、測定対象物質に対する抗体を含む比濁法測定試薬と測定対象物質を含む試料を接触させ、測定対象物質に対する抗体と測定対象物質との抗原抗体反応により生成した測定対象物質と抗体との凝集塊により生じた濁度を測定することにより、試料中の測定対象物質の定量を行う免疫比濁法(TIA)が繁用されている。
【0005】
また、担体(ラテックス粒子等)に固定化された測定対象物質に対する抗体若しくは抗原を含む比濁法測定試薬と、測定対象物質を含む試料とを接触させ、前記担体に固定化された測定対象物質に対する抗体若しくは抗原と測定対象物質との抗原抗体反応により生成した「〔担体=測定対象物質に対する抗体若しくは抗原〕−〔測定対象物質〕」の凝集塊により生じた濁度を測定することにより、試料中の測定対象物質の定量を行う比濁法(担体がラテックス粒子の場合は、「ラテックス免疫比濁法」)も繁用されている。
そして、これらの定量測定は、C反応性蛋白(以下CRPと略すこともある)、免疫グロブリン、補体成分等の定量に使用されている。
【0006】
また、例えば、酵素学的測定方法は、試料中に含まれる測定対象物質を基質とする酵素による触媒反応により、場合により更なる反応により、シグナルを生成させ、この生成したシグナルの有無又はシグナルの量を測ることにより、試料中に含まれる測定対象物質の有無の測定〔定性測定〕、又はその含有量(濃度)の測定〔定量測定〕を行うものである。
【0007】
また、試料中に含まれる測定対象物質が酵素である場合に、この酵素の基質となる物質を接触させ、酵素による触媒反応により、場合により更なる反応により、シグナルを生成させ、この生成したシグナルの有無又はシグナルの量を測ることにより、試料中に含まれる測定対象物質の有無の測定〔定性測定〕、又はその含有量(濃度)の測定〔定量測定〕を行うものも酵素学的測定方法である。
【0008】
例としては、ヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸脱水素酵素などを用いたグルコースの測定方法や、4−ニトロフェニルリン酸を基質として用いるアルカリ性ホスファターゼ活性測定方法等を挙げることができる。
【0009】
更には、例えば、測定対象物質に特定の物質が結合した際のシグナルの生成を測定する方法は、試料中に含まれる測定対象物質に、この測定対象物質に結合した際にシグナルが生成する物質を接触させ、この測定対象物質と前記シグナル生成物質との接触及び結合により生成したシグナルの有無又はシグナルの量を測ることにより、試料中に含まれる測定対象物質の有無の測定〔定性測定〕、又はその含有量(濃度)の測定〔定量測定〕を行うものである。
【0010】
例としては、測定対象物質である蛋白質にアルカリ性下で2価の銅イオンを接触させ、蛋白質中のペプチド結合と銅イオンとの錯体の形成により、紫紅色の発色を生成させ、これを測定することによるビュレット法を挙げることができる。また、測定対象物質であるアルブミンに色素〔ブロモクレゾールパープル(BCP)又はブロモクレゾールグリーン(BCG)など〕を接触させ、色素がアルブミンと結合することによる色調の変化を測定する方法等を例として挙げることができる。
【0011】
これらの測定方法においては、測定反応液中に干渉物質が存在すると、この干渉物質が測定対象物質の測定値に影響を及ぼし、正確な測定が行えないことがあることが知られている。
【0012】
例えば、試料中のCRPの測定においては、試料中にEDTA等の干渉物質が存在することによりCRP測定値に影響を及ぼし、正確な測定を行えないことが問題となっている。
【0013】
このCRPは、肺炎球菌菌体のC多糖体と沈降反応を示す蛋白であり、血清等の試料中にCRPが存在することは、感染症に罹患していること、又は体内に炎症が生じていること等の証拠となる。
このためCRPは各種炎症のマーカーとして、感染症又は炎症等の疾患の診断のためにその測定が行われている。
このCRPの測定法としては、C多糖体との特異的反応をみる方法、及び試薬に抗ヒトCRP抗体を用い、試料中のCRPと試薬中の抗CRP抗体との抗原抗体反応により、抗原抗体複合体を生成させる方法等を挙げることができる。
現在では、抗CRP抗体との抗原抗体複合体を生成させる方法である、毛細管法、免疫比濁法、ラテックス免疫比濁法等が日常検査に広く利用されている。
しかしながら、この抗CRP抗体を用いてCRPを測定する場合、試料中にEDTA等の金属キレート剤が存在すると、存在しない場合に比べて測定値が低下してしまい、CRPを正確に測定できない場合があった。
【0014】
CRPはカルシウムイオン(Ca2+)との結合部位を有しており、Ca2+ と結合したCRPはその立体構造(抗原性)の一部を変化させることが分かっている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0015】
【非特許文献1】
「臨床病理」,第32巻,第2号,第223頁〜第224頁,1984年発行
【0016】
例えば、抗血清を得るために、動物にCRPを接種すると、CRPは動物の血液中のCa2+と結合しCa結合型CRPとなり、このCa結合型CRPに対する抗体ができる。
この抗体の多くはCa結合型CRP及びCa非結合型CRPのどちらとも反応できるが、残りの一部はCa非結合型CRPとは反応できないことが知られている。
ここで、得られた抗体を用いて試料中のCRPを測定した場合、試料中にEDTAが存在していると、EDTAが存在しない場合に比べて測定値が低下してしまう(負の影響)という問題点があった。
これは、試料中のCa結合型CRPに結合していたCa2+がEDTAと結合し、Ca非結合型CRPとなることにより、CRPの抗原性が変化してしまい、抗体の一部が反応できなくなるためであると考えられている。
【0017】
また、血清等の試料中のアルブミンの測定は、体内蛋白代謝異常の指標としてその測定が重要視されている。
このアルブミンの測定において、従来は、アルブミンと結合することにより色調を変化させる色素としてブロムクレゾールグリーン(BCG)を使用するBCG法が用いられることが多かった。
しかし、このBCG法はアルブミンのみならず、グロブリンも測り込んでしまうという問題点があった。
【0018】
本発明者らは、グロブリンを測り込むことのない、アルブミンと結合することにより色調を変化させる色素としてブロムクレゾールパープル(BCP)を使用するBCP法について検討を進めるうち、今まで全く知られていなかったことに気が付いた。
すなわち、試料中の脂肪酸の濃度が高くなるにつれ、試料中のアルブミン測定値に正の誤差が生じることに気が付いた。
つまり、BCP法による試料中のアルブミン測定時に、試料中に含まれる脂肪酸が干渉物質となり、BCP法における測定反応に干渉し、アルブミン測定値に正の誤差(正の影響)を生じさせるというものである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、従来の試料中の測定対象物質の測定にみられる、試料中に含まれる干渉物質による測定値への影響を回避し、正確な測定を行うことができる手段を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、あらかじめ測定反応液中に干渉物質と同じ機能を有する物質を存在させることにより、この干渉物質の影響を回避できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
すなわち、本発明は、試料中の測定対象物質の測定時に、試料中に含まれる干渉物質による測定反応への干渉作用を抑制するため、測定反応時に前記の干渉物質と同じ機能を有する物質を存在させて測定を行う、試料中の測定対象物質の測定方法である。
【0022】
また、本発明は、試料中に含まれる干渉物質と同じ機能を有する物質を含有する、試料中の測定対象物質の測定試薬である。
【0023】
そして、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬においては、干渉物質と同じ機能を有する物質として、この干渉物質を挙げることができる。
【0024】
更に、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬においては、試料中の測定対象物質の測定として、抗原抗体反応を利用して行われるものを挙げることができる。
【0025】
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬においては、試料中の測定対象物質の測定として、酵素反応を利用して行われるものを挙げることができる。
【0026】
更に、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬においては、試料中の測定対象物質の測定として、測定対象物質に特定の物質が結合した際のシグナルの生成を測定するものを挙げることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
1.干渉物質
本発明において、干渉物質とは、試料中の測定対象物質の測定において、試料中にその干渉物質が存在することによって、測定対象物質の測定値に正又は負の誤差を与える物質のことをいう。
【0028】
このような物質としては、例えば、金属キレート剤又は脂肪酸等を挙げることができる。
【0029】
なお、本発明においては、干渉物質が金属キレート剤である場合に、特に好適である。
【0030】
ここで、金属キレート剤とは、金属イオンに配位する多座配位子であって、金属イオンへの配位により金属を含んだ環状構造(キレート環)を形成する有機化合物をいう。
例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジアミノシクロヘキサン四酢酸(CyDTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)、ジエチレン(トリアミン)五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン二プロピオン酸(EDDP)、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸(EDDPO)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ビス(ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸(HBED)、ヘキサメチレンジアミン四酢酸(HDTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)、ジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ニトリロ三プロピオン酸(NTP)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTPO)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)等又はその塩が挙げられる。
なお、上記の塩としては、ナトリウム、カリウム若しくはリチウムなどのアルカリ金属との塩、アンモニウム塩、又は塩酸塩等を挙げることができる。
【0031】
また、本発明においては、干渉物質が脂肪酸である場合に、特に好適である。
【0032】
ここで、脂肪酸とは、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、又はこれらの塩をいう。
【0033】
例えば、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸若しくはリグノセリン酸などの飽和脂肪酸又はこれらの塩、あるいは、デセン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エルシン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸若しくはエイコサペンタエン酸などの不飽和脂肪酸又はこれらの塩等を挙げることができる。
なお、上記の塩としては、ナトリウム、カリウム若しくはリチウムなどのアルカリ金属との塩、又は、カルシウム若しくはマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩等を挙げることができる。
【0034】
2.干渉物質と同じ機能を有する物質
本発明においては、試料中の測定対象物質の測定において、試料中に含まれる干渉物質と同じ機能を有する物質を含有又は存在させる。
ここで、干渉物質と同じ機能を有する物質とは、干渉物質と全く同じ物質、又は構造の一部若しくは全部が異なるが、同じ作用を起こすものをいう。
【0035】
例えば、干渉物質が、金属キレート剤の一種であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である場合には、EDTA自体又はEDTAと同じ機能を有する他の金属キレート剤を測定試薬に含有させる、又は測定時に存在させればよい。
【0036】
なお、本発明において、試料中に含まれる干渉物質と同じ機能を有する物質として、金属キレート剤を含有又は存在させる場合には、EDTA又はその塩を含有又は存在させることが好ましい。これは、EDTAが六座配位子であり、各種金属イオンと安定に結合することができること、また極めて一般的な金属キレート剤であるため容易に入手でき、経済的であることによる。
【0037】
また、例えば、干渉物質が、脂肪酸である場合には、前記の脂肪酸(遊離の脂肪酸又は脂肪酸塩)の1種又は2種以上を測定試薬に含有させる、又は測定時に存在させればよい。
【0038】
なお、本発明において、試料中に含まれる干渉物質と同じ機能を有する物質として、前記の通り脂肪酸を含有又は存在させる場合には、脂肪族鎖の炭素数が10以上の脂肪酸(遊離の脂肪酸又は脂肪酸塩)を含有又は存在させることが好ましい。このうち、その溶解性より、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸若しくはリノール酸、又はこれらの塩を含有あるいは存在させることがより好ましい。同じ理由により、特に、カプリン酸又はこの塩を含有又は存在させることが好ましい。
【0039】
また、本発明における干渉物質と同じ機能を有する物質の使用方法としては、例えば、緩衝液等に含有させた干渉物質と同じ機能を有する物質を、あらかじめ試料と接触させることにより、測定対象物質の測定を行わせる前に干渉作用を抑制させる方法を挙げることができる。
又は、測定試薬中に本発明の干渉物質と同じ機能を有する物質を含有させ、この測定試薬と試料を接触させて測定反応を行わせ、試料中の測定対象物質の測定反応時に本発明の干渉物質と同じ機能を有する物質を共存させる方法を挙げることができる。
あるいは、これらの2つの方法を組み合わせた方法等を挙げることができる。
【0040】
更に、本発明において、干渉物質と同じ機能を有する物質の濃度は、測定試薬と試料の混合比率、干渉物質の作用機序等により上限及び下限濃度が異なり、一概に決めることができないので、干渉作用を抑制するのに充分な濃度を適宜設定すればよい。
【0041】
例えば、干渉物質と同じ機能を有する物質として、金属キレート剤を使用する場合には、最終反応液中の下限濃度が0.001mM以上が好ましく、0.01mM以上がより好ましく、0.1mM以上が特に好ましい。なお、上限濃度は測定反応に影響を及ぼさない限り制限はない。ただし、コスト上の観点からいえば、500mM以下が好ましく、100mM以下がより好ましく、50mM以下が特に好ましい。
【0042】
また、例えば、干渉物質と同じ機能を有する物質として、脂肪酸を使用する場合には、最終反応液中の下限濃度が0.01mM以上が好ましく、0.1mM以上がより好ましく、0.2mM以上が特に好ましい。なお、上限濃度は測定反応に影響を及ぼさない限り制限はない。ただし、コスト上の観点からいえば、50mM以下が好ましく、10mM以下がより好ましく、5mM以下が特に好ましい。
【0043】
3.測定対象物質
本発明において、測定対象物質としては、試料中におけるその存在の有無、又は含有量(濃度)を測定しようとする物質であり、かつ干渉物質によりその測定値が影響を受けるものであれば、特に限定しない。
この測定対象物質としては、例えば、蛋白質、糖質、脂質、核酸等のような有機物質、又は金属等の無機物質等を挙げることができる。
【0044】
なお、本発明においては、測定対象物質として、特に、金属イオンと結合することにより抗原性が変化する物質を挙げることができる。
ここで、抗原性が変化するとは、具体的には、金属イオンが測定対象物質の金属結合部位と結合又は金属結合部位と脱離することにより、抗体結合部位の立体構造又は電荷等の環境を変化させてしまい、抗体との結合性に変化が生じることを意味する。
【0045】
そして、金属イオンとしては、例えば、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、鉄イオン(Fe2+)、銅イオン(Cu2+)、亜鉛イオン(Zn2+ )又はニッケルイオン(Ni2+)等を挙げることができる。
【0046】
この金属イオンと結合することにより抗原性が変化する物質としては、例えば、C反応性蛋白、トロポニン、カルモジュリン、ラクトフェリン、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)又はメタロチオネイン等を挙げることができる。
【0047】
なお、本発明においては、測定対象物質として、特に、C反応性蛋白を挙げることができる。
【0048】
また、本発明においては、測定対象物質として、アルブミン若しくは総蛋白質などの蛋白質又はペプチド等を挙げることができる。特に、測定対象物質として、アルブミンを挙げることができる。
【0049】
4.試料
本発明において、試料とは、前記の測定対象物質が存在する可能性があり、かつ該測定対象物質の存在の有無、又は含有量(濃度)の測定を行おうとするものをいう。
例えば、ヒト又は動物の血液、血清、血漿、尿、精液、髄液、唾液、汗、涙、腹水、羊水等の体液;ヒト若しくは動物の脳等の臓器、毛髪、皮膚、爪、筋肉、又は神経組織等の抽出液;ヒト又は動物の糞便の抽出液又は懸濁液;細胞或いは菌体の抽出液;植物の抽出液;穀物、野菜、果物、魚介類、肉類又は加工食品等の食品、水、茶、コーヒー、牛乳、又は果汁等の飲料;試薬又は医薬品;そして、飲料水、河川水、湖沼水、海水、又は土壌の懸濁液等の環境分析用試料等を挙げることができる。
【0050】
5.測定方法
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法は、試料中の測定対象物質の測定時に、試料中に含まれる干渉物質による測定反応への干渉作用を抑制するため、測定反応時に前記の干渉物質と同じ機能を有する物質を存在させて測定を行うものである。
【0051】
本発明における試料中の測定対象物質の測定方法としては、例えば、酵素反応を利用した酵素学的測定方法、抗原と抗体の間の抗原抗体反応を利用した免疫学的測定方法、測定対象物質に特定の物質が結合した際のシグナルの生成を測定する測定方法等を挙げることができる。
【0052】
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法は、抗原抗体反応を利用した免疫学的測定方法において好適である。
この免疫学的測定方法としては、例えば、ラテックス免疫比濁法;ラテックス凝集反応測定法などの間接凝集反応測定法;酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法、若しくは発光免疫測定法などの標識物質を用いる免疫測定法、すなわち標識免疫測定法;ウエスタンブロット法;Dahlbeackらが示したELSA法(enzyme−linked ligandsorbent assay)〔Thromb.Haemost.,79巻,767〜772頁,1998年、及びWO98/23963号公報〕;イムノクロマトグラフィー法;又は特開平9−229936号公報及び特開平10−132819号公報等に記載された被検物質に対する特異的結合物質が固定化され被覆された面を有する担体並びに被検物質に対する特異的結合物質が固定化された粒子を用い、該粒子が担体の被検物質に対する特異的結合物質が固定化され被覆された面に集まるか否かにより測定を行う方法等を挙げることができる。
【0053】
また、前記の標識免疫測定法においては、サンドイッチ法、競合法、又は均一系法(ホモジニアス系法)等のいずれの手法においても本発明を適用することができる。
なお、この測定は、用手法により行ってもよいし、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。また、この測定は、1ステップ法(1試薬法)により行ってもよいし、又は2ステップ法(2試薬法)等の複数の操作ステップにより行う方法によって実施してもよい。
【0054】
また、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法において、干渉物質と同じ機能を有する物質を測定反応時に存在させる方法としては、前記「2.干渉物質と同じ機能を有する物質」に記載してある方法から適宜選択して使用することができる。
【0055】
例えば、ラテックス免疫比濁法を測定原理としてCRPの測定を行う場合を例に挙げると、2ステップ法により測定を行う場合には、緩衝液からなる第1試薬に干渉物質と同じ機能を有する物質を含有させ、あらかじめ試料と接触させることにより、CRPの測定を行わせる前に干渉作用を抑制させてもよいし、又は、抗CRP抗体等が固定化されたラテックス粒子が存在する第2試薬中に本発明の干渉物質と同じ機能を有する物質を含有させ、この第2試薬と試料及び第1試薬の混合物を接触させて測定反応を行わせ、試料中のCRPの測定反応時に本発明の干渉物質と同じ機能を有する物質を共存させてもよい。あるいは、これらの2つの方法を組み合わせて使用してもよい。
【0056】
なお、測定方法として担体を用いる測定方法を使用する場合、担体の種類や形状は特に限定されず、例えば、以下に記載したような、免疫学的測定方法、免疫学的測定試薬等において通常用いられている担体等を挙げることができる。
【0057】
担体としては、例えば、ラテックス免疫比濁法に使用されているラテックス粒子、又はラテックス免疫比濁法に使用が可能な粒子等を挙げることができる。
このようなラテックス粒子としては、例えば、ポリスチレン・ラテックス粒子、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体・ラテックス粒子、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体・ラテックス粒子、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体・ラテックス粒子、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体・ラテックス粒子、ポリアクロレイン・ラテックス粒子、スチレン−メタクリル酸共重合体・ラテックス粒子、スチレン−グリシジル(メタ)アクリル酸共重合体・ラテックス粒子、メタクリル酸重合体・ラテックス粒子、又はアクリル酸重合体・ラテックス粒子などの合成高分子粒子を均一に懸濁させたラテックス粒子等を挙げることができる。
【0058】
また、担体としては、例えば、セラチン粒子などを用いる粒子凝集反応測定法又はラテックス凝集反応測定法などの間接凝集反応測定法に使用されている粒子、又はこの間接凝集反応測定法に使用が可能な粒子等を挙げることができる。
このような粒子としては、例えば、ポリスチレン、リポソーム、ラテックス、ゼラチン、ポリアクリルアミド、マイクロカプセル若しくはエマルジョン等の有機高分子物質よりなる粒子、ガラス、シリカゲル、カーボン若しくはベントナイト等の無機高分子物質よりなる粒子又はその他の人工担体等を挙げることができる。
更に、粒子として、色素を被覆するか又は色素を粒子中に分散若しくは封入させることにより着色したものを使用してもよい。
【0059】
これらの間接凝集反応測定法に使用されている又は使用が可能な粒子の粒径については、特に制限はない。
しかし、これらの粒子の粒径としては、その平均粒子径が0.01〜100μmの範囲内にあることが好ましく、0.1〜10μmの範囲内にあることがより好ましい。
また、これらの粒子の比重は、1〜10の範囲内にあることが好ましく、1〜2の範囲内にあることがより好ましい。
【0060】
また、担体としては、例えば、間接凝集反応測定法に使用されている容器、又はこの間接凝集反応測定法に使用することが可能な容器等を挙げることができる。
このような容器としては、例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリメタクリレートなどからなる試験管、マイクロプレート(マイクロタイタープレート)又はトレイ等を挙げることができる。
なお、前記容器の溶液収容部分(マイクロプレートのウェル等)の底面は、U型、V型又はUV型等の底面中央から周辺にかけて傾斜をもつ形状であることが好ましい。
【0061】
また、担体としては、例えば、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法、若しくは発光免疫測定法などの標識物質を用いる免疫測定法、すなわち標識免疫測定法に使用されている担体、又はこの標識免疫測定法に使用することが可能な担体等を挙げることができる。
このような担体としては、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ラテックス、リポソーム、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス等の材質よりなる粒子、マイクロカプセル、ビーズ、マイクロプレート(マイクロタイタープレート)、試験管、スティック又は試験片等を挙げることができる。
【0062】
また、担体としては、例えば、特開平9−229936号公報及び特開平10−132819号公報などに記載された被検物質(測定対象物質)に対する特異的結合物質が固定化され被覆された面を有する担体並びに被検物質(測定対象物質)に対する特異的結合物質が固定化された粒子を用いる測定法に使用される担体、又はこの測定法に使用することが可能な担体等を挙げることができる。
このような担体としては、例えば、ポリスチレン、ガラス、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート等の非吸水性の材質が挙げられる。
【0063】
また、以上記載した担体を強磁性体で被覆又は担体成型時に強磁性体を含有させて調製した磁性担体等を用いることもできる。
【0064】
更に、本発明の試料中の測定対象物質の測定方法は、測定対象物質に特定の物質が結合した際のシグナルの生成を測定する測定方法において好適である。
【0065】
この測定方法は、試料中に含まれる測定対象物質に、この測定対象物質に結合した際にシグナルが生成する物質を接触させ、この測定対象物質と前記シグナル生成物質との接触及び結合により生成したシグナルの有無又はシグナルの量を測ることにより、試料中に含まれる測定対象物質の有無の測定〔定性測定〕、又はその含有量(濃度)の測定〔定量測定〕を行うものである。
【0066】
なお、シグナルが、測定対象物質と、この測定対象物質に結合した際にシグナルが生成する物質(シグナル生成物質)との接触及び結合の他に、更に他の反応を続けることにより生成するものであってもよい。
【0067】
また、このシグナルの生成であるが、これは測定対象物質と、この測定対象物質に結合した際にシグナルが生成する物質(シグナル生成物質)との接触及び結合により、光学的、電気的、磁気的若しくは他のエネルギー等におけるシグナル(信号)が生じること又は変化することを検出することができるということを意味する。
【0068】
例えば、測定対象物質と前記シグナル生成物質との接触及び結合により、吸光度、透過率若しくは蛍光強度が変化するもの、又は光の吸収曲線が変化するもの等を挙げることができ、この場合、吸光度、透過率若しくは蛍光強度又は光の吸収曲線の変化の量を測定することにより、前記のシグナルの生成を測定することができる。
【0069】
この測定対象物質と前記シグナル生成物質との組み合わせを以下例示する。
測定対象物質がアルブミンの場合、前記シグナル生成物質として、ブロムクレゾールパープル(BCP)又はブロムクレゾールグリーン(BCG)等を挙げることができる。
【0070】
ブロムクレゾールパープル(BCP)を用いる場合には、アルブミンとの接触、結合により、色調が黄緑色から青紫色に変化するので、570〜630nm近辺における吸光度の増加を測定することによりシグナル生成の測定を行う。
【0071】
また、ブロムクレゾールグリーン(BCG)を用いる場合には、アルブミンとの接触、結合により、色調が黄褐色から青緑色に変化するので、600〜660nm近辺における吸光度の増加を測定することによりシグナル生成の測定を行う。
【0072】
そして、測定対象物質が総蛋白質の場合、前記シグナル生成物質として、2価の銅イオン等を挙げることができる。
2価の銅イオンを用いる場合には、蛋白質のペプチド結合と2価の銅イオンとの接触、結合により、色調が青色から紅色に変化するので、500〜600nm近辺における吸光度の増加を測定することによりシグナル生成の測定を行う。
【0073】
なお、本発明においては、測定対象物質がアルブミンであり、前記シグナル生成物質がブロムクレゾールパープル(BCP)である場合に、特に好適である。
【0074】
なお、この測定方法は、用手法により行ってもよいし、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
また、この測定方法は、1ステップ法(1試薬法)により行ってもよいし、又は2ステップ法(2試薬法)等の複数の操作ステップにより行う方法によって実施してもよい。
【0075】
また、この測定方法において、干渉物質と同じ機能を有する物質を測定反応時に存在させる方法としては、前記「2.干渉物質と同じ機能を有する物質」に記載してある方法から適宜選択して使用すればよいが、例えば、BCP法により試料中のアルブミンの測定を行う場合を例に挙げると、緩衝液等からなる第1試薬に干渉物質と同じ機能を有する物質である脂肪酸を含有させ、あらかじめ試料と接触させることにより、試料中に含まれるアルブミンと第2試薬に含有させたBCPとの測定反応を行わせる前に干渉作用を抑制させてもよい。
又は、BCPを含有させた第2試薬中に本発明の干渉物質と同じ機能を有する物質である脂肪酸を含有させ、この第2試薬と試料及び第1試薬の混合物を接触させて測定反応を行わせ、試料中のアルブミンの測定反応時に本発明の干渉物質と同じ機能を有する物質を共存させてもよい。
あるいは、これらの2つの方法を組み合わせ、第1試薬と第2試薬の両方に本発明の干渉物質と同じ機能を有する物質である脂肪酸を含有させてもよい。
【0076】
6.測定試薬
本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、試料中に含まれる干渉物質と同じ機能を有する物質を含有するものである。
【0077】
本発明における試料中の測定対象物質の測定試薬においては、試料中に含まれる干渉物質と同じ機能を有する物質を含有させる以外は、前記「5.測定方法」に記載したような測定方法を測定原理とした、酵素学的測定試薬、免疫学的測定試薬、又は測定対象物質に結合した際にシグナルが生成する物質を試料中の測定対象物質に接触、結合させ、生成するシグナルを測定する方法において使用される測定試薬等において用いられる組成であればよい。
【0078】
なお、本発明の試料中の測定対象物質の測定試薬は、抗原抗体反応を利用した免疫学的測定試薬、又は測定対象物質に結合した際にシグナルが生成する物質を試料中の測定対象物質に接触、結合させ、生成するシグナルを測定する方法における測定試薬において好適である。
【0079】
また、本発明の測定試薬には、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、標識物質を含有する試薬、発色などのシグナルを生成する物質を含有する試薬、又は校正(キャリブレーション)を行うための物質を含有する試薬等を含ませてもよい。
【0080】
なお、本発明における測定試薬が液状状態の場合、その溶媒としては、各種の水系溶媒を用いることができる。
この水系溶媒としては、例えば、精製水、生理食塩水、又は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、リン酸緩衝液、若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等を挙げることができる。
この緩衝液のpHについては、適宜適当なpHを選択して用いればよく、特に制限はないものの、通常は、pH3〜12の範囲内のpHを選択して用いることが一般的である。
【0081】
また、本発明を免疫学的測定試薬において実施する場合には、抗原又は抗体を固定化した担体の他に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン若しくはその塩などの蛋白質;各種塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清などの各種動物血清;アジ化ナトリウム若しくは抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;ポリエチレングリコールなどの感度増加物質;非特異的反応抑制物質等の1種又は2種以上を適宜含有させてもよい。
そして、これらを測定試薬に含有させる際の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜10%(w/v)が好ましく、特に0.01〜5%(w/v)が好ましい。
【0082】
また、本発明を免疫学的測定試薬以外の測定試薬において実施する場合には、測定対象物質の測定に影響を与えない種類及び濃度の蛋白質;各種塩類;各種糖類;抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;安定化剤等の1種又は2種以上を適宜含有させてもよい。
そして、これらを測定試薬に含有させる際の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜10%(w/v)が好ましく、特に0.01〜5%(w/v)が好ましい。
【0083】
【作用】
本発明においては、試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬に、試料中の干渉物質と同じ機能を有する物質を存在又は含有させることにより、干渉物質による干渉作用を抑制することができる。
【0084】
この作用機序について、試料中に含まれる干渉物質がEDTAであり、EDTAを含有させた測定試薬を使用して試料中のCRPの測定を行う場合を例に挙げて説明する。
【0085】
生体試料中のCRPは、カルシウムイオン(Ca2+)と結合したCa結合型CRPとして存在している。
この試料にEDTA(干渉物質)が混入すると、Ca結合型CRPに結合していたCa2+が混入してきたEDTAと結合し、失われてしまうため、Ca結合型CRPはCa非結合型CRPとなる(CRPの抗原性が変化する)。
【0086】
従来のEDTAを含有していないCRP測定試薬(従来の測定試薬)を使用して試料中のCRPの測定を行う場合、試料にEDTAが含まれているときは、測定試薬中の抗CRP抗体の一部は、Ca非結合型CRPと反応できないため、得られる吸光度は、試料にEDTAが含まれていない場合よりも低下したものとなる。
【0087】
ここで、CRPの測定値は、既知濃度のCRP標準物質を測定した時の吸光度との比例計算によって求める。〔試料中の測定対象物質濃度=(試料測定時の吸光度値÷標準物質測定時の吸光度値)×標準物質中の測定対象物質濃度〕
この標準物質中のCRPはCa結合型CRPとして存在しているため、従来の測定試薬を使用して標準物質中のCRPを測定した場合、測定試薬中の抗CRP抗体は標準物質中の全てのCRPと反応できるため、吸光度の低下がない。
つまり、標準物質を測定して得られた吸光度との比例計算によって求めた、EDTAを含む試料中のCRP測定値は、実際の測定値より低下したものとなってしまう。
【0088】
これに対して、EDTAを含有させた測定試薬(本発明の測定試薬)を使用して、この試料中のCRPを測定した場合は、試料と測定試薬を混合した段階で、試料中のCa結合型CRPに結合していたCa2+が測定試薬中のEDTAと結合してしまうため、試料中にEDTAが含まれている場合も、含まれていない場合も、(試料中に含まれていた)Ca結合型CRPはCa非結合型CRPとなる(CRPの抗原性が変化する)。
【0089】
ここで、本発明の測定試薬を使用して試料中のCRPの測定を行う場合、(試料中に含まれていた)Ca結合型CRPはCa非結合型CRPとなっており、すなわち、CRPは全てCa非結合型CRPとなっているので、試料にEDTAが含まれている場合も、含まれていない場合も、得られる吸光度は同じ値となる。(同じく低下した値となる。)
【0090】
更に、既知濃度のCRP標準物質の測定においても、この標準物質を測定試薬と混合した場合に、標準物質中のCa結合型CRPに結合していたCa2+が測定試薬中のEDTAと結合してしまうため、(標準液に含まれていた)Ca結合型CRPは全てCa非結合型CRPとなり、本発明の測定試薬を使用して標準物質中のCRPを測定した場合も、測定試薬中の抗CRP抗体の一部が、Ca非結合型CRPと反応できないため、得られる吸光度は、低下したものとなる。
【0091】
前述のように試料中のCRP測定値は、標準物質を測定して得られた吸光度との比例計算によって求める。〔試料中の測定対象物質濃度=(試料測定時の吸光度値÷標準物質測定時の吸光度値)×標準物質中の測定対象物質濃度〕
よって、本発明の測定試薬を使用した場合、標準物質の吸光度も、試料中のCRPの吸光度も、同程度に低下したものとなるため、比例計算によって求めた試料中のCRP濃度は、前記の差が相殺されて、本来の濃度(真値)となる。
【0092】
以上のことより、試料中にEDTAが含まれている場合と含まれていない場合での測定値(CRP濃度)に差は生じないことになる。
つまり、本発明の測定方法及び測定試薬では、EDTA等の干渉物質の影響を受けないということが言える。(標準物質に含まれていたCRPも、試料に含まれていたCRPも、全てCa非結合型として測定されるため、試料中に含まれていたEDTAの影響は生じない。)
【0093】
また、試料中に含まれる干渉物質が脂肪酸であり、脂肪酸を含有させた測定試薬を使用して試料中のアルブミンの測定を行う場合を例に挙げて説明する。
【0094】
先にも述べたように、本発明者らは、試料中の脂肪酸の濃度が高くなるにつれ、試料中のアルブミン測定値に正の誤差が生じることに気が付いた。
【0095】
すなわち、BCP法により試料中のアルブミンを測定する際に、試料中の脂肪酸の濃度が通常の濃度であればアルブミン測定値に誤差は生じないのであるが、試料中の脂肪酸が高濃度の場合はその濃度に応じてアルブミン測定値に正の誤差が生じてくることが判明した。
【0096】
つまり、試料中のアルブミンの測定反応時に高濃度の脂肪酸が存在すると、高濃度の脂肪酸が存在しない時よりも、アルブミンとBCPの結合による色調の変化に由来する吸光度の増加度が高くなってしまい、本来のアルブミン測定値(アルブミン濃度)よりも高い値が得られてしまう。すなわち、測定値に正の誤差が生じてしまう。
【0097】
従来の、脂肪酸を含有していないアルブミン測定試薬(従来の測定試薬)を使用して、試料中のアルブミンの測定を行う場合、試料に高濃度の脂肪酸が含まれている場合は、測定により得られる吸光度は、試料に脂肪酸が含まれていない場合よりも高いものとなる。
【0098】
ここで、アルブミンの測定値は、既知濃度のアルブミン標準物質を測定した時の吸光度との比例計算によって求めるが、この標準物質中の脂肪酸濃度は通常高濃度ではないので、従来の測定試薬を使用して標準物質中のアルブミンを測定した場合、標準物質中の脂肪酸に由来する吸光度の増加は生じないか又はごく僅かなものにすぎない。
【0099】
従って、標準物質を測定して得られた吸光度との比例計算によって求めた、脂肪酸を含む試料中のアルブミン測定値は、本来の測定値より高いものとなってしまう。
【0100】
これに対して、脂肪酸を含有させた測定試薬(本発明の測定試薬)を使用して、この試料中のアルブミンを測定した場合は、試料中に高濃度の脂肪酸が含まれている場合も、試料中に高濃度の脂肪酸が含まれていない場合も、いずれにおいても、測定試薬中に脂肪酸が含まれているため、高い濃度の脂肪酸の存在下でアルブミンと色素(BCP等)との測定反応が行われ、吸光度の測定が行われる。
【0101】
すなわち、試料中に高濃度の脂肪酸が含まれていない場合であっても、測定試薬に含まれていた脂肪酸の存在により、試料中に高濃度の脂肪酸が含まれている場合と同様に吸光度が増加し、これにより試料中の脂肪酸濃度の高低による差はなくなる。
【0102】
前述のように試料中のアルブミン測定値(アルブミン濃度)は、標準物質を測定して得られた吸光度との比例計算によって求める。〔試料中の測定対象物質濃度=(試料測定時の吸光度値÷標準物質測定時の吸光度値)×標準物質中の測定対象物質濃度〕
よって、本発明の測定試薬を使用した場合、標準物質を測定して得た吸光度も、試料を測定して得た吸光度も、いずれも脂肪酸の存在により増加したものとなるため、比例計算によって求めた試料中のアルブミン濃度は、前記の吸光度の増加分が相殺されて、本来のアルブミン濃度(真値)が得られる。
【0103】
以上のことより、試料中に脂肪酸が含まれている場合と含まれていない場合とでの測定値(アルブミン濃度)に差は生じないことになる。
つまり、本発明の測定方法及び測定試薬では、試料中に含まれる脂肪酸等の干渉物質の影響を受けないということが言える。
【0104】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0105】
〔実施例1〕
本発明のCRP測定用試薬を用いて干渉物質による影響の回避効果を確認した。
【0106】
(1)CRP測定用試薬の調製
平均粒径0.1μmのラテックス10%懸濁液10.4mLに、抗CRPヤギポリクローナル抗体を1.4g/dLの濃度で4.5mMホウ酸緩衝液(pH8.2)に混和した液7.36mLを加え、5℃にて一晩攪拌した。
遠心分離により上清を除去した後、沈殿部に0.85%牛血清アルブミンを含む10mMホウ酸緩衝液(pH8.2)を加え懸濁し、室温下で30分間攪拌した。
遠心分離により沈殿部を回収した後、これを0.05%アジ化ナトリウム水溶液で波長585nmにおける吸光度が14.8ODとなるように懸濁し、抗CRP抗体固定化粒子懸濁液を調製した。
【0107】
また、1M塩化ナトリウムを含む50mMトリス緩衝液(pH7.0)を調製し、波長585nmにおける吸光度が1.48ODとなるように、抗CRP抗体固定化粒子懸濁液と混和した後、EDTA二ナトリウムを0.5mM、又は5mMとなるように添加し、CRP測定用試薬とした。また、EDTA二ナトリウムを添加しないものを比較例とした。
【0108】
(2)検量線入力済み磁気カードの作成
前記(1)で調製したCRP測定用試薬の2.1mLをセルに分注し、これを分光光度計内にセットして37℃にて15分間加温した。
このセルにCRP濃度0.3〜15mg/dLのリコンビナントCRP溶液7種類を、各30μL加えて測定を開始した。
波長585nmにおける試料添加7秒後の吸光度(OD7)と試料添加30秒後の吸光度(OD30)を求めた。
そして吸光度の差(OD30−OD7)を求めた。
【0109】
以上の操作を5回繰り返して行い、吸光度の差の平均値を求めた。
吸光度の差をXとし、試料中のCRP濃度をYとして検量線を作成し、この検量線を磁気カードに磁気カード書き込み装置を用いて書き込んだ。
【0110】
(3)試料の調製
CRP濃度未知の血清3種類にEDTA二ナトリウムを各々1又は2mg/mLとなるように添加したもの、及び、EDTA二ナトリウムを添加しないものをCRP測定用の試料として調製した。
【0111】
(4)試料中のCRPの測定
前記(1)で調製したCRP測定用試薬を用いて試料中のCRPを測定した。
CRPの測定は、クイックターボII(シノテスト社)にて行った。
【0112】
まず、前記(2)で作成した磁気カードを用いて検量線を入力した。
【0113】
次に、前記(1)で調製したCRP測定用試薬700μLずつを円筒状の攪拌子を含む光路長7mmのキュベットに分注し、これをクイックターボIIの恒温漕(37℃)にて15分間加温した。
【0114】
このキュベットを測定部にセットし前記(3)で調製した試料10μLを加えて測定を開始した。
【0115】
波長585nmにおける試料添加7秒後の吸光度(OD7)と試料添加30秒後の吸光度(OD30)を求めた。そして吸光度の差(OD30−OD7)を求め、あらかじめ磁気カードにより入力されている検量線によりCRP濃度を算出した。
【0116】
(5)測定結果
前記(4)において、試料中のCRPの測定を行って得られた濃度を、表1に示した。
【0117】
【表1】
Figure 2004004097
【0118】
(6)考察
表1より、比較例のCRP測定用試薬を使用した場合には、試料中のEDTA濃度が1mg/mLの場合は1.6〜11.8%、2mg/mLの場合は7.9〜17.6%もCRP測定値が低下しており、試料中のEDTAの増加によってCRP測定値が低下してしまっていることが分かる。
【0119】
これに対して、本発明のCRP測定用試薬を使用した場合には、試料中のEDTA濃度がいずれの濃度の場合も、CRP測定値は殆ど低下しておらず、試料中のEDTAが増加してもCRPを問題なく測定できていることが分かる。
【0120】
従って、本発明の測定方法及び測定試薬を使用すれば、試料中にEDTA等の干渉物質が含まれていても、測定対象物質を正確に測定できることが確かめられた。
【0121】
また、CRPは、EDTA採血をすることが多い血算と同時に測定する機会が多いため、EDTAによる測定値への影響が回避できれば、EDTA血漿でのCRP測定が可能になり、一度の採血で血算とCRPの測定を行うことが期待される。
【0122】
〔参考例〕
従来のアルブミン測定試薬では、試料中の脂肪酸濃度が高濃度となるにつれ、アルブミン測定値に正の誤差が生じることを確かめた。
【0123】
(1)従来のアルブミン測定試薬の調製
従来のアルブミン測定試薬(BCP法)を調製した。
【0124】
▲1▼ 第1試薬の調製
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH5.5(20℃)の試薬を調製した。
【0125】
トライトンX−100   0.15%
コハク酸(緩衝剤)   125mM
【0126】
▲2▼ 第2試薬の調製
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH5.5(20℃)の試薬を調製した。
【0127】
ブロムクレゾールパープル(BCP)    0.3mM
トライトンX−100   0.15%
コハク酸(緩衝剤)   125mM
【0128】
(2)試料の調製
ヒト血清にオレイン酸ナトリウムを添加し、脂肪酸を高濃度含むヒト血清試料を調製した。
【0129】
まず、1種類のヒト血清を用意した。
【0130】
また、2mMのオレイン酸ナトリウム水溶液を調製し、これを純水で5段階に希釈した。(1/5、2/5、3/5、4/5及び5/5)
【0131】
次に、これらを各々、前記のヒト血清と1:9の比率で混合した。
また別に、純水と前記のヒト血清とを1:9の比率で混合した。
これにより、ヒト血清に脂肪酸であるオレイン酸ナトリウムを添加した(又は添加しない)6種類の試料を調製した。(これらの6種類の試料のアルブミン濃度はいずれも同濃度である。)
【0132】
これらの各試料の脂肪酸濃度を遊離脂肪酸測定試薬「ラボサット NEFA」(シノテスト社)で測定したところ、次の通りであった。
〔因みに、ヒト血清中での脂肪酸(遊離脂肪酸)の濃度の基準範囲は、140〜850μEq/L(酵素法)である。(金井編著「臨床検査法提要 改訂第31版」,第563頁,金原出版社,平成10年9月20日発行)〕
【0133】
試料A: オレイン酸ナトリウム・無添加(582μEq/L)
試料B: オレイン酸ナトリウム・1/5(1,009μEq/L)
試料C: オレイン酸ナトリウム・2/5(1,385μEq/L)
試料D: オレイン酸ナトリウム・3/5(1,769μEq/L)
試料E: オレイン酸ナトリウム・4/5(2,189μEq/L)
試料F: オレイン酸ナトリウム・5/5(2,578μEq/L)
【0134】
(3)試料中のアルブミンの測定
前記(2)で調製した6種類の試料のそれぞれについて、前記(1)で調製した従来のアルブミン測定の第1試薬及び第2試薬を用い、アルブミンの測定を行った。
【0135】
この測定は7170S形自動分析装置(日立製作所社)を使用して行い、前記(2)で調製した試料の3μLに、前記(1)の▲1▼で調製した第1試薬180μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、前記(1)の▲2▼で調製した第2試薬60μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた。
第2試薬添加直前と添加5分後の主波長600nm及び副波長660nmにおける吸光度を測定し、その差を求めた。
【0136】
この測定を連続して2回繰り返して行い、その平均値を求めた。
なお、純水を試料として、上記の通りに測定を行い、得られた吸光度を試薬盲検値として、前記の測定で得られた吸光度より差し引いた。
以上の測定を、前記(2)で調製した各試料について行った。
【0137】
(4)測定結果
前記(3)において、従来のアルブミン測定試薬により試料中のアルブミンの測定を行って得られた吸光度値を表2に示した。
【0138】
【表2】
Figure 2004004097
【0139】
なお、この表における括弧内の数値は、オレイン酸ナトリウムを添加しない試料(脂肪酸濃度582μEq/L)の測定値(吸光度値)を100%としたときの、各試料の測定値の相対比率を表す。
【0140】
(5)考察
この表より、ヒト血清試料中の脂肪酸濃度が高くなるにつれ、アルブミン測定により得られる測定値(吸光度値)が上昇していることが分かる。
これにより、従来のアルブミン測定試薬による測定では、試料中に含まれる脂肪酸は干渉物質として働き、試料中の脂肪酸濃度が高い場合には測定に正の誤差が生じてしまい、正確なアルブミン測定値が得られないことが確かめられた。
【0141】
〔実施例2〕
干渉物質と同じ機能を有する物質である脂肪酸を含有させたアルブミン測定試薬を用いて、試料中のアルブミンの測定を行い、干渉作用抑制の効果を確かめた。
【0142】
(1)アルブミン測定試薬の調製
〔1〕本発明のアルブミン測定試薬の調製
本発明のアルブミン測定試薬(BCP法)を調製した。
【0143】
▲1▼ 第1試薬の調製
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH5.5(20℃)の試薬を調製した。
【0144】
脂肪酸   0.5mM
(a)カプリン酸ナトリウム
(b)ラウリン酸ナトリウム
(c)オレイン酸ナトリウム  又は
(d)リノール酸ナトリウム
【0145】
トライトンX−100   0.15%
コハク酸(緩衝剤)   125mM
【0146】
▲2▼ 第2試薬の調製
下記の成分をそれぞれ記載の濃度になるように純水に溶解し、pH5.5(20℃)の試薬を調製した。
【0147】
ブロムクレゾールパープル(BCP)    0.3mM
トライトンX−100   0.15%
コハク酸(緩衝剤)   125mM
【0148】
〔2〕従来のアルブミン測定試薬の調製
従来のアルブミン測定試薬(BCP法)を調製した。
【0149】
▲1▼ 第1試薬の調製
前記参考例の(1)の▲1▼の記載の通りに調製を行い、従来のアルブミン測定試薬の第1試薬を調製した。
【0150】
▲2▼ 第2試薬の調製
前記参考例の(1)の▲2▼の記載の通りに調製を行い、従来のアルブミン測定試薬の第2試薬を調製した。
【0151】
(2)試料
12種類のヒト血清を用意し、試料とした。
これらの各試料の脂肪酸濃度を遊離脂肪酸測定試薬「ラボサット NEFA」(シノテスト社)で測定したところ、次の通りであった。
【0152】
試料1:    457μEq/L
試料2:    483μEq/L
試料3:    569μEq/L
試料4:    644μEq/L
試料5:    670μEq/L
試料6:    734μEq/L
試料7:    793μEq/L
試料8:  1,859μEq/L
試料9:  2,068μEq/L
試料10: 2,687μEq/L
試料11: 3,312μEq/L
試料12: 3,385μEq/L
【0153】
(3)試料中のアルブミンの測定
前記(2)の12種類の試料のそれぞれについて、前記(1)で調製した本発明及び従来のアルブミン測定の第1試薬並びに第2試薬を用い、アルブミンの測定を行った。
【0154】
この測定は7170S形自動分析装置(日立製作所社)を使用して行い、前記(2)で調製した試料の3μLに、前記(1)の〔1〕の▲1▼で調製した本発明のアルブミン測定試薬の第1試薬180μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた後、前記(1)の〔1〕の▲2▼で調製した本発明のアルブミン測定試薬の第2試薬60μLを添加して、混和後37℃で5分間反応させた。
第2試薬添加直前と添加5分後の主波長600nm及び副波長660nmにおける吸光度を測定し、その差を求めた。
【0155】
この測定を連続して2回繰り返して行い、その平均値を求めた。
なお、純水を試料として、上記の通りに測定を行い、得られた吸光度を試薬盲検値として、前記の測定で得られた吸光度より差し引いた。
【0156】
そして、アルブミン濃度が既知の試料(標準物質)について、前記の通り測定を行い、この濃度既知の試料の測定値(吸光度値)と前記試料の測定値(吸光度値)とを比較し比例計算することにより、前記の試料中のアルブミン濃度を求めた。〔試料中のアルブミン濃度=(試料測定時の吸光度値÷標準物質測定時の吸光度値)×標準物質中のアルブミン濃度〕
【0157】
以上の測定を、前記(2)で調製した各試料について行った。
また、前記(1)の〔2〕の▲1▼で調製した従来のアルブミン測定試薬の第1試薬、及び前記(1)の〔2〕の▲2▼で調製した従来のアルブミン測定試薬の第2試薬を用いて、上記の通りに測定を行った。
【0158】
(4)測定結果
前記(3)において、本発明及び従来のアルブミン測定試薬により試料中のアルブミンの測定を行って得られた測定値(アルブミン濃度)を表3に示した。
【0159】
【表3】
Figure 2004004097
【0160】
なお、この表における括弧内の数値は、カプリン酸ナトリウムを含有させたアルブミン測定試薬の第1試薬を用いて測定を行った場合の測定値(アルブミン濃度)を100%としたときの、各測定値(アルブミン濃度)の相対比率を表す。
【0161】
(5)考察
この表より、試料中のアルブミン測定時の干渉物質と同じ機能を有する物質である脂肪酸を含有させた本発明のアルブミン測定試薬を用いて測定を行った場合に比べ、脂肪酸を含有させない従来のアルブミン測定試薬を用いて測定を行った場合は、試料中の脂肪酸濃度が高い試料においては、得られる測定値(アルブミン濃度)が高くなってしまっていることが分かる。
すなわち、従来のアルブミン測定試薬による測定では、試料中の脂肪酸濃度が高くなるにつれ正の誤差を受けるようになることが分かる。
【0162】
これに対して、干渉物質と同じ機能を有する物質である脂肪酸を含有させた本発明のアルブミン測定試薬による測定では、この脂肪酸がカプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、又はリノール酸ナトリウムのいずれの場合においても、試料に含まれる干渉物質(脂肪酸)の干渉作用を抑制し、測定値に誤差が生じるのを防ぎ、そして正確な測定対象物質の測定値が得られることが確かめられた。
【0163】
【発明の効果】
本発明の試料中の測定対象物質の測定方法及び測定試薬では、試料中に含まれる干渉物質と同じ機能を有する物質を存在させて測定を行い、又は測定試薬に含有させることにより、干渉物質による干渉作用を抑制し、正確な測定値を得ることができるという効果を有するものである。

Claims (10)

  1. 試料中の測定対象物質の測定時に、試料中に含まれる干渉物質による測定反応への干渉作用を抑制するため、測定反応時に前記の干渉物質と同じ機能を有する物質を存在させて測定を行う、試料中の測定対象物質の測定方法。
  2. 干渉物質と同じ機能を有する物質が、この干渉物質である、請求項1記載の測定方法。
  3. 試料中の測定対象物質の測定が、抗原抗体反応を利用して行われるものである、請求項1又は2記載の測定方法。
  4. 試料中の測定対象物質の測定が、酵素反応を利用して行われるものである、請求項1又は2記載の測定方法。
  5. 試料中の測定対象物質の測定が、測定対象物質に特定の物質が結合した際のシグナルの生成を測定するものである、請求項1又は2記載の測定方法。
  6. 試料中に含まれる干渉物質と同じ機能を有する物質を含有する、試料中の測定対象物質の測定試薬。
  7. 干渉物質と同じ機能を有する物質が、この干渉物質である、請求項6記載の測定試薬。
  8. 試料中の測定対象物質の測定が、抗原抗体反応を利用して行われるものである、請求項6又は7記載の測定試薬。
  9. 試料中の測定対象物質の測定が、酵素反応を利用して行われるものである、請求項6又は7記載の測定試薬。
  10. 試料中の測定対象物質の測定が、測定対象物質に特定の物質が結合した際のシグナルの生成を測定するものである、請求項6又は7記載の測定試薬。
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