JP5143046B2 - 被験物質の測定方法及び該測定方法を実施するためのキット - Google Patents

被験物質の測定方法及び該測定方法を実施するためのキット Download PDF

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本発明は、結合性物質が固定化された不溶性担体とキレート剤を用いた、被験試料中の被験物質を測定する方法に関する。さらに、本発明は、該測定方法に使用されるキットに関する。
これまで、臨床診断における疾病の特定には、血液(全血、血漿、血清など)や尿などの体液成分を採取して被験試料とし、その被験試料中の対象となる成分の濃度を測定して、その測定対象成分濃度を指標とする方法が採用されてきた。このような臨床検査の態様において、被験試料中の測定対象成分の親和性を利用する場合、例えば、測定対象成分が抗原又は抗体である場合には、抗体が抗原を厳密に識別して結合する性質を利用して該成分の定量を行う方法として、免疫学的測定方法が用いられてきた。
抗原抗体反応を用いた免疫学的測定方法としては、標識反応を使用しない方法、すなわち非標識法として、沈降反応を利用した方法である免疫拡散法や免疫比濁法及び免疫比朧法(ネフェロメトリー)、凝集反応を利用した方法である血球凝集法やラテックス凝集法などがあり、標識反応を使用した方法としては、その標識する物質の種類や性質に応じて酵素免疫測定法(EIA法)や放射免疫測定法(RIA法)の他、蛍光免疫測定法(FIA法)、化学発光免疫測定法(CLIA法)、生物発光免疫測定法(BLIA法)などが、現在使用されている。
これらの方法はそれぞれ優れた側面を持つ。例えば、凝集反応を利用した方法は、凝集反応を光学的に検出することができるために簡便である。標識反応を利用した方法のうち、EIA法は化学発光免疫測定法などと組み合わせることにより高感度な検出が可能であり、FIA法は標識を直接検出可能である。さらに、FIA法の一つとして、蛍光粒子を用いた免疫測定法も知られている。
しかし、被験試料を生物学的試料とした免疫学的測定においては、試料に起因する種々の干渉が起こるという問題があった。これに対して、例えば、酵素を標識として使用した場合、干渉因子に起因する酵素への影響による偽陽性ないし偽陰性の発生を抑えるために、標識酵素類似物を添加する方法が用いられている。また、干渉による非特異的なシグナルの発生やバラつきを抑えるために、干渉物質の除去を主眼に置いた対応策も知られている。例えば、特定の生理活性物質、酵素、及び反応指示薬の安定性向上のためにキレート剤を添加する方法(特許文献1)などがある。
生物学的試料が血清の場合における血清成分による干渉の除去を目的とした添加物を利用する方法としては、試料の濾過を伴う、糞便潜血の検出における金属イオンのマスキング剤を添加する方法(特許文献2)や、被験試料として血漿を用いる場合に見られる、凝固因子の影響による血清を使用した場合と測定値の乖離に対し、キレート剤や金属化合物などの添加物を使用する方法(特許文献3)も知られている。
特開2001−299385号公報 特開平9−203735号公報 WO2004/046723号公報
これまでに知られている免疫学的測定方法は、上記した通り、被験試料に起因する種々の干渉が起こる。その結果、標識反応を使用する方法、例えば、EIA法やFIA法では、感度が低下し、低濃度領域の検出が要求される検査項目に適用することが困難になる。特に、蛍光粒子を用いたFIA法は、被験試料が血漿又は血清である場合、被験試料中の抗原と基板上の抗体との間における抗原抗体反応が検出されないという問題がある。
標識反応を使用する免疫学的測定方法である蛍光粒子を用いたFIA法における上記問題を解決するために、これまでに知られている、抗原と抗体の非特異的な結合や被験試料中の干渉成分に対する対応策、例えば、酵素反応への影響の低減やラテックス粒子の分散性向上などは、原理的に適用できない。また、上記問題は、凝固因子に対する対応策などの限定的な対策では解決し得ない問題でもある。
そこで、本発明の目的は、標識反応を使用する免疫学的測定方法、特に蛍光粒子を用いたFIA法によって、生物学的試料などの干渉因子を含む被験試料に起因する種々の干渉を抑えて、被験試料中の被験物質を測定する方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、該方法のために使用されるキットを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定濃度のキレート剤を存在させることにより、結合性物質が固定化された不溶性担体を用いて被験試料中の被験物質を測定することができた。具体的には、生物学的試料中に20mM以上のキレート剤を添加することによって、生物学的試料中の被験物質、該被験物質に対する第一の結合性物質を固定する蛍光粒子、及び該被験物質に対する第二の結合性物質を固定する基板の間で形成された免疫複合体を測定することに成功した。特に、本発明者らは、驚くべきことに、存在させるキレート剤の濃度を上記濃度に設定することにより、検出感度の指標であるS/N(シグナル/ノイズ)を飛躍的に上昇させることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成された発明である。
したがって、本発明によれば、結合性物質が固定化された不溶性担体を用いた、被験試料中の被験物質を測定する方法において、被験試料中に20mM以上のキレート剤を添加することを特徴とする被験物質の測定方法が提供される。
好ましくは、不溶性担体が、標識されている。
好ましくは、結合性物質が、被験物質に対して結合性がある。
好ましくは、固相に固定化された不溶性担体を検出することを含む。
好ましくは、キレート剤の濃度が、20〜500mMである。
好ましくは、キレート剤が、EDTA及びEGTA、並びにこれらの誘導体及び塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のキレート剤である。
好ましくは、EDTA又はその誘導体若しくは塩の濃度が、60〜500mMである。
好ましくは、EGTA又はその誘導体若しくは塩の濃度が、20〜500mMである。
好ましくは、不溶性担体が、高分子粒子、金属粒子、磁気粒子、又はガラス粒子である。
好ましくは、不溶性担体が、蛍光物質により標識されている。
好ましくは、結合性物質が、抗原、抗体またはそれらの複合体である。
好ましくは、被験試料が、血清又は血漿である。
本発明の別の側面によれば、結合性物質が固定化された不溶性担体及びキレート剤を含む、本発明の測定方法を実施するためのキットが提供される。
好ましくは、不溶性担体が、標識されている。
好ましくは、結合性物質が、被験物質に対して結合性がある。
好ましくは、キレート剤が、EDTA及びEGTA、並びにこれらの誘導体及び塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のキレート剤である。
好ましくは、不溶性担体が、高分子粒子、金属粒子、磁気粒子、又はガラス粒子である。
好ましくは、不溶性担体が、蛍光物質により標識されている。
好ましくは、結合性物質が、抗原、抗体またはそれらの複合体である。
本発明の別の側面によれば、被験試料中の被験物質と、該被験物質に対する第一の結合性物質と、該被験物質に対する第二の結合性物質又は該被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質とを、混合又は接触させること;及び
該被験物質と該第一の結合性物質との複合体、該被験物質と該第一の結合性物質と該第二の結合性物質との複合体、又は該第一の結合性物質と該第一の結合性物質への結合性がある物質との複合体を蛍光強度によって検出すること、を含む、被験物質の免疫学的測定方法において、
該被験物質に対する第一の結合性物質、該被験物質に対する第二の結合性物質、又は該第一の結合性物質への結合性がある物質が蛍光物質に固定されており、かつ
該混合又は接触が、20mM以上のキレート剤の存在下で実施されることを特徴とする、被験物質の免疫学的測定方法が提供される。
本発明の被験物質の免疫学的測定方法の別の態様は、被験試料中の被験物質と、該被験物質に対する第一の結合性物質を固定する蛍光物質とを、20mM以上のキレート剤の存在下で、該被験物質に対する第二の結合性物質又は該被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質が固定されている反応部位を有する基板に接触させること;及び
該反応部位において、該被験物質と該蛍光物質との複合体又は該蛍光物質を蛍光強度によって検出すること、を含む被験物質の免疫学的測定方法である。
本発明の被験物質の免疫学的測定方法の別の態様は、被験試料中の被験物質と、該被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質を固定する蛍光物質とを、これらを20mM以上のキレート剤の存在下で、該被験物質に対する第一の結合性物質が固定されている反応部位を有する基板に接触させること;及び
該反応部位において、該被験物質又は該蛍光物質を蛍光強度によって検出すること、を含む被験物質の免疫学的測定方法である。
好ましくは、キレート剤の濃度が、20〜500mMである。
好ましくは、キレート剤が、EDTA及びEGTA、並びにこれらの誘導体及び塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のキレート剤である。
好ましくは、EDTA又はその誘導体若しくは塩の濃度が、60〜500mMである。
好ましくは、EGTA又はその誘導体若しくは塩の濃度が、20〜500mMである。
好ましくは、第一の結合性物質及び/又は第二の結合性物質が、抗体である。
好ましくは、蛍光物質が、高分子粒子、金属粒子、磁気粒子、又はガラス粒子である。
好ましくは、被験試料が、血清又は血漿である。
本発明の別の側面によれば、被験試料中の被験物質を免疫学的に測定するための免疫学的測定用キットにおいて、
該被験物質に対する第一の結合性物質を固定する蛍光物質、該被験物質に対する第二の結合性物質又は該被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質を固定する基板、及びキレート剤を含む、免疫学的測定用キットが提供される。
本発明の免疫学的測定用キットの別の態様は、被験試料中の被験物質を免疫学的に測定するための免疫学的測定用キットにおいて、
該被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質を固定する蛍光物質、該被験物質に対する第一の結合性物質を固定する基板、及びキレート剤を含む、免疫学的測定用キットである。
本発明の免疫学的測定用キットの好ましい態様は、キレート剤が、EDTA及びEGTA、並びにこれらの誘導体及び塩からなる群から選ばれる少なくとも1種のキレート剤である。
好ましくは、第一の結合性物質及び/又は第二の結合性物質が、抗体である。
好ましくは、蛍光物質が、高分子粒子、金属粒子、磁気粒子、又はガラス粒子である。
好ましくは、被験試料が、血清又は血漿である。
本発明によれば、所定濃度のキレート剤を存在させることにより、結合性物質が固定化された不溶性担体を用いて、生物学的試料などの被験試料中の被験物質(抗原、抗体など)を測定することができる。例えば、被験物質(抗原など)、該被験物質に対する第一の結合性物質(抗体など)を固定する不溶性担体(蛍光粒子など)、及び該被験物質に対する第二の結合性物質(抗体など)を固定する固相(基板など)との間で免疫複合体を形成させることによって、被験物質を測定することができる。その結果、本発明によれば、蛍光粒子を用いたFIA法によって、生物学的試料中の被験物質の濃度を測定することができる。さらに本発明によれば、生物学的試料中のキレート剤の濃度を所定の範囲に設定することにより、測定系のS/Nを大幅に向上させることができる。
図1は、各種の最終濃度のEDTAの存在下での、hCG検出におけるS/N比を測定した結果を示す。比較のために、最終濃度が3mMのEDTAの存在下での、hCG検出におけるS/N比を測定した結果を示す。 図2は、各種の最終濃度のEGTAの存在下での、hCG検出におけるS/N比を測定した結果を示す。比較のために、最終濃度が3mM及び10mMのEGTAの存在下での、hCG検出におけるS/N比を測定した結果を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の被験物質の測定方法は、結合性物質が固定化された不溶性担体を用いた、被験試料中の被験物質を測定する方法である。ただし、本発明の被験物質の測定方法は、被験試料中に20mM以上のキレート剤を添加することを特徴とする。
本発明の被験物質の測定方法の具体的な一態様は、被験物質の免疫学的測定方法であって、被験試料中の被験物質と、該被験物質に対する第一の結合性物質と、該被験物質に対する第二の結合性物質又は該被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質とを、混合又は接触させ、次いで該被験物質と該第一の結合性物質との複合体、該被験物質と該第一の結合性物質と該第二の結合性物質との複合体、又は該第一の結合性物質と該第一の結合性物質への結合性がある物質との複合体を蛍光強度によって検出することを含む方法である。ここで、該被験物質に対する第一の結合性物質、該被験物質に対する第二の結合性物質、又は該第一の結合性物質への結合性がある物質は不溶性担体に固定されており、かつ該混合又は接触が、20mM以上のキレート剤の存在下で実施される。
本発明の被験物質の測定方法は、被験物質を測定するに際して不溶性担体を利用する。具体的には、本発明の被験物質の測定方法は、例えば、被験試料中の被験物質と、該被験物質に対する第一の結合性物質を固定する蛍光物質とを、20mM以上のキレート剤の存在下で、該被験物質に対する第二の結合性物質又は該被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質が固定されている反応部位を有する基板に接触させ、次いで該反応部位において、該被験物質と該蛍光物質との複合体又は該蛍光物質を蛍光強度によって検出することを含む方法とすることもできる。
さらに、本発明の被験物質の測定方法は、例えば、被験試料中の被験物質と、該被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質を固定する蛍光物質とを、これらを20mM以上のキレート剤の存在下で、該被験物質に対する第一の結合性物質が固定されている反応部位を有する基板に接触させ、次いで該反応部位において、該被験物質又は該蛍光物質を蛍光強度によって検出すること、を含む方法とすることもできる。
1.被験試料
本発明の被験物質の測定方法で測定することができる被験試料としては、測定の対象となる物質である被験物質を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。
本発明の被験物質の測定方法では、被験試料をそのままで、あるいは、被験試料を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、さらには、該抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは該抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。抽出用溶媒としては、通常の免疫学的測定方法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液など)、あるいは、該溶媒で希釈することにより直接的に抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
本発明の被験物質の測定方法に供される被験試料は、好ましくは血液であり、より好ましくは血漿又は血清である。本発明の被験物質の測定方法に供される被験試料の具体例としては、血液成分を水で希釈した50%血液成分含有水溶液を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
2.不溶性担体
本発明の被験物質の測定方法に供される不溶性担体は、結合性物質が固定化されておれば特に制限はないが、測定に際して標識されていることが好ましく、蛍光物質により標識されていることがより好ましい。また、不溶性担体の形態は、用いる測定原理によって適宜変更され得るが、例えば、基板や粒子などを挙げることができ、好ましくは高分子粒子、金属粒子、磁気粒子、ガラス粒子である。以下に、不溶性担体が蛍光粒子である場合について説明する。
蛍光粒子は、免疫凝集反応に通常用いられ得る蛍光で着色された粒子(以下、蛍光着色粒子という場合もある)を使用することができ、例えば、蛍光ポリスチレンビーズなどの蛍光高分子粒子、蛍光金属ビーズなどの蛍光金属粒子、蛍光ガラスビーズ等の蛍光ガラス粒子を用いることができる。蛍光着色粒子の材質の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニルアクリレートなどの合成高分子粉末があり、これらを均一に懸濁させたラテックスが好ましい。また、その他の有機高分子粉末や無機物質粉末、微生物、血球や細胞膜片、プラスチック製マイクロタイタープレートなどが挙げられる。無機物質粉末の例としては、金、チタン、ニッケルなどの金属片やシリカ、アルミナなどが挙げられる。
粒子の平均粒径は、粒子の材質や被験物質を定量する濃度範囲、測定機器などによって異なるが、0.001〜10μm(より好ましくは0.001〜1μm)の範囲が好ましい。蛍光色素を含有したリポゾ−ムやマイクロカプセル等も蛍光着色粒子として使用することができる。蛍光発色は、紫外光等を吸収して励起し、基底状態に戻る際に放出されるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、黄緑(励起波長505nm/放出波長515nm、以下同じ)、青(350〜356nm/415〜440nm)、赤(535〜580nm/575〜605nm)、オレンジ(540nm/560nm)、レッド・オレンジ(565nm/580nm)、クリムゾン(625nm/645nm)、ダークレッド(660nm/680nm)などの蛍光発色が用いられ得る。これらの蛍光を発する蛍光着色粒子は、例えば、Invitrogen社から入手可能であり、同社においてFluoSpheres(登録商標)の商品名で市販されている。
本発明の被験物質の測定方法は、例えば、固相に固定化された不溶性担体を検出すること、すなわち、被験物質と結合性物質を介して結合した不溶性担体が基板などの固相に固定化されることにより形成された被験物質−不溶性担体−固相の複合体を検出することにより実施され得る。
3.結合性物質
本発明の被験物質の測定方法に供される不溶性担体は、結合性物質を固定化したものである。具体的には、本発明の被験物質の測定方法に供される不溶性担体において、(a)被験物質に対する第一の結合性物質、又は(b)第一の結合性物質への結合性を有する物質が固定化されている。第一の結合性物質とは、例えば、被験物質(抗原)に対する抗体、被験物質(抗体)に対する抗原、被験物質(タンパク質、低分子化合物、アビジン、ビオチン等)に対するアプタマーなど、被験物質に対して親和性を持つ化合物であればよく、特に限定されない。被験物質に対する第一の結合性物質への結合性を有する物質とは、被験物質そのものでも良いし、第一の結合性物質が認識する部位を持つ化合物でもよく、例えば、被験物質の誘導体とタンパク質(例えばBSAなど)とを結合させたような化合物などが該当する。
本発明の被験物質の測定方法で供される固相は、固相上の(c)被験物質に対する第二の結合性物質、(d)第一の結合性物質への結合性を有する物質、又は(e)被験物質に対する第一の結合性物質を介して被験物質又は不溶性担体を固定する。被験物質に対する第二の結合性物質とは、例えば被験物質(抗原)に対する抗体、被験物質(抗体)に対する抗原、被験物質(タンパク質、低分子化合物、アビジン、ビオチン等)に対するアプタマーなど、被験物質に対して親和性を持つ化合物であればよく、特に限定されない。また、第二の結合性物質と第一の結合性物質とは異なるものでも良いし、同一のものでもよい。
本発明の被験物質の測定方法に供される第一の結合性物質及び第二の結合性物質の好ましい例は、第一の結合性物質及び第二の結合性物質が抗体であるが、これらに限定されるものではない。本発明の被験物質の測定方法においては、被験物質に対して特異性を有する抗体として、特に限定されるものではないが、例えば、その被験物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その被験物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。さらに、その抗体がキメラ抗体などの場合のように、修飾を加えられたものでもよいし、また市販の抗体でも、動物血清や培養上清から公知の方法により調製した抗体でも使用可能である。
断片化抗体は、その動物種やサブクラス等によらず使用できる。例えば、本発明に用いることが可能な抗体は、マウス、ラット、ヤギ、ウサギ、ヒツジなどに由来する抗体、具体的には、マウスIgG、マウスIgM、ラットIgG、ラットIgM、ウサギIgG、ウサギIgM、ヤギIgG、ヤギIgM、ヒツジIgG、ヒツジIgM等であり、ポリクローナルもしくはモノクローナルの両方に適用可能である。断片化抗体は、少なくとも1つの抗原結合部位を持つ、完全型抗体から導かれた分子であり、具体的にはFab、F(ab')2等である。これらの断片化抗体は、酵素あるいは化学的処理によって、もしくは遺伝子工学的手法を用いて得られる分子である。本発明の被験物質の測定方法に供される抗体の具体例としては、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を抗原として認識する抗hCGモノクローナル抗体を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
4.キレート剤
本発明の被験物質の測定方法において、キレート剤は、被験物質と不溶性担体、被験物質と不溶性担体と固相との免疫複合体、又は不溶性担体と固相との免疫複合体の形成を促進するために用いられる。キレート剤とは、通常用いられているキレート剤と同義であり、例えば、複数の配位座を持つ配位子により金属イオンへ結合(配位)し得る化合物ということができる。本発明の被験物質の測定方法に供されるキレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、Diethylenetriamine-N,N,N',N",N"-pentaacetic acid(DTPA)、Hydroxyethyl Ethylene Diamine Triacetic Acid(HEDTA)、Triethylenetetramine-N,N,N',N",N"',N"'-hexaacetic acid(TTHA)、1,3-Propanediamine Tetraacetic Acid(PDTA)、1,3-Diamino-2-hydroxypropane Tetraacetic Acid(DPTA−OH)、N-(2-Hydroxyethyl)iminodiacetic acid(HIDA)、Dihydroxyethyl Glycine(DHEG)、O,O'-Bis(2-aminoethyl)ethyleneglycol-N,N,N',N'-tetraacetic acid(GEDTA)、trans - Cyclohexane Diamine Tetraacetic Acid(CyDTA)、Dicarboxymethyl Glutamic Acid(CMGA)、(S,S)‐Ethylene Diamine Disuccinic Acid(EDDS)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸(DHEDDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、L-アスパラギン酸-N、N-二酢酸(ASDA)などのアミノカルボン酸系キレート剤;Hydroxyethylidene Diphosphonic Acid(HEDP)、Nitrilotris (Methylene Phosphonic Acid)(NTMP)、Phosphonobutane Tricarboxylic Acid(PBTC)、エタンジチオール(EDT)などのホスホン系キレート剤;ピロリン酸塩;ヘキサメタリン酸塩;クエン酸;酒石酸;グルコン酸などを挙げることができ、これらの誘導体や塩(例えば、金属塩)などを挙げることができるが、EDTA及びEGTA並びにこれらの誘導体及び塩が好ましい。被験試料におけるキレート剤の濃度は、通常血漿試料などにおいて抗凝固作用を期待して添加される量が3mMであることから、この3mMより十分に多い量であって、かつ上記免疫複合体の形成を促進し得る濃度である20mM以上が好ましく、20〜500mMがより好ましい。ただし、キレート剤の濃度は、キレート剤の種類に応じて適宜変更され得るものであり、例えば、キレート剤がEDTAの場合は、その濃度は60〜500mMが好ましく、120〜500mMがより好ましく、120〜250mMがさらに好ましい。さらにキレート剤がEGTAの場合は、その濃度は20〜500mMが好ましく、20〜200mMがより好ましく、100〜200mMがさらに好ましい。
5.固相
本発明の被験物質の測定方法に供される固相としては、第一の結合性物質、第二の結合性物質、又は第一の結合性物質への結合性がある物質を表面上に固定化することができれば特に制限されないが、不溶性担体と同様に標識されていないことが好ましい。例えば、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニルアクリレートなどの材質の基板を挙げることができる。また、本発明の被験物質の測定方法を表面プラズモン蛍光(SPF)バイオセンサーに応用する際には、金、銀、銅などの金属又は金属膜を含む基板とすることができる。その場合において、基板は、表面プラズモンで増強された蛍光検出を普通に行っているうちに膜厚が変わってしまうほどに変形することが無い程度の剛性を備えた不撓性膜を介して、第一の結合性物質、第二の結合性物質、又は第一の結合性物質への結合性がある物質を固定することが好ましい。なお、不撓性膜の膜厚は、10〜100nmの範囲であることが好ましく、その材質はポリマーからなるものが好適に用いられる。
基板において、第一の結合性物質、第二の結合性物質、又は第一の結合性物質への結合性がある物質を固定する部位を反応部位と呼ぶ場合がある。基板は、この反応部位において、被験物質及び/又は不溶性担体を、第一の結合性物質、第二の結合性物質、又は第一の結合性物質への結合性がある物質によって捕捉することができる。
6.被験物質の測定方法
本発明の被験物質の測定方法は、被験物質の存在の有無の検出や被験物質の量の測定(すなわち、定量)などを含む、最も広い概念として解釈されるものとして、通常知られている免疫学的な測定方法を制限なく包含するものである。以下に、本発明の被験物質の測定方法の具体的な実施態様として、サンドイッチ法及び競合法について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(サンドイッチ法)
サンドイッチ法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被験物質を測定することができる。まず、被験物質(抗原)に対して特異性を有する第1抗体及び第2抗体を、先に述べた方法により予め調製しておく。次いで第1抗体を不溶性担体、例えば蛍光物質に、第2抗体を固相、例えば基板上にそれぞれ固定する。次いで被験物質(抗原)を含む可能性のある被験試料(又はその抽出液)と蛍光物質とを、所定濃度のキレート剤の存在下で基板上に接触させる。被験試料中に被験物質が存在する場合には、被験物質と蛍光物質との間、及び被験物質と基板との間で抗原抗体反応が起きる。この抗原抗体反応は、通常の抗原抗体反応と同様に行なうことができる。結果として、被験試料中に被験物質が存在する場合には、基板固定化第2抗体と被験物質(抗原)と蛍光物質固定化第1抗体とからなる免疫複合体が形成される。サンドイッチ法では、基板固定化第2抗体と被験物質(抗原)と蛍光物質固定化第1抗体との反応が終了した後、前記免疫複合体を形成しなかった蛍光物質固定化第1抗体を除去し、洗浄する。次いで前記免疫複合体の形成の度合いを蛍光強度として検出することにより、被験物質の濃度などを測定することができる。なお、蛍光強度と被験物質の濃度は、正の相関関係がある。
(競合法)
競合法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被験物質を測定することができる。競合法は、サンドイッチ法でアッセイすることができない低分子化合物の抗原を検出する手法として知られている。
まず、被験物質(抗原)に対して特異性を有する第1抗体を予め調製する。次いで第1抗体を、予め不溶性担体、例えば蛍光物質に固定する。第1抗体に対して結合性を有する、被験物質そのもの、または被験物質と類似な部位を持ち被験物質と同様の第1抗体に対するエピトープを持つ化合物を固相、例えば基板上に固定する。次いで被験物質(抗原)を含む可能性のある被験試料(又はその抽出液)と蛍光物質固定化第1抗体とを基板に接触させると、その被験試料中に被験物質が存在しない場合には、蛍光物質固定化第1抗体と、第1抗体に対して結合性を有する、被験物質そのもの、または被験物質と同様の第1抗体に対するエピトープを持つ化合物とにより、基板上で抗原抗体反応が起きる。一方、被験物質が存在する場合には、蛍光物質固定化第1抗体に被験物質(抗原)が結合するため、その後の第1抗体に対して結合性を有する、被験物質そのもの、または被験物質と類似な部位を持ち被験物質と同様の第1抗体に対するエピトープを持つ化合物との、基板上の抗原抗体反応が阻害され、抗原抗体反応による結合が起こらない。第1抗体に対して結合性を有する固定化物と蛍光物質に固定化された第1抗体との反応が終了した後、前記免疫複合体を形成しなかった蛍光物質を除去する。次いで前記免疫複合体の形成の度合いを蛍光強度として検出することにより、被験物質の濃度などを測定することができる。
本発明の被験物質の測定方法は、上記した以外にも種々の態様をとることができ、例えば、不溶性担体に被験物質又はエピトープを有する化合物を固定し、固相である基板に抗体を固定する系とすることもできる。
本発明の被験物質の測定方法に使用することのできる緩衝液は、通常の抗原抗体反応が行われるpH条件下で緩衝能を有しているものであればよく、そのようなpH条件として5〜11、より好ましくは、6〜10が用いられる。このpH条件下で緩衝能を有す緩衝液の例として、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、MES緩衝液、HEPES緩衝液、グリシン緩衝液、クエン酸緩衝液など、通常の生化学実験において使用され得る緩衝液であれば、いずれも使用可能である。
被験物質の測定としては、従来用いられている、蛍光測定法(FIA)、酵素発色法(EIA)、放射能測定法(RIA)、発光法(CLEIA)、電気化学発光法(ECLIA)、磁気免疫測定法(MIA)等の様々な手法に応用できる。また、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などの非電気化学的方法を好ましく用いることができる。
例えば、本発明の被験物質の測定方法が蛍光強度を検出して被験物質を測定する系を採用する場合、蛍光強度の検出は、特に制限されないが、例えば、蛍光強度を検出することができる機器、具体的には、マイクロプレートリーダー、SPFバイオセンサーなどを用いて蛍光強度を検出することができる。蛍光強度の検出は、通常、抗原抗体反応後一定時間、例えば、数分〜数時間後に終了する。前記免疫複合体の形成の度合いを蛍光強度として検出することにより、蛍光強度と被験物質の濃度の関係から、被験物質の濃度を定量することができる。
表面プラズモン蛍光(Surface Plasmon Fluoresence; SPF)バイオセンサーとは、例えば、特開2008−249361号公報に記載されているような、所定波長の励起光を透過させる材料から形成された光導波路と、この光導波路の一表面に形成された金属膜と、光ビームを発生させる光源と、前記光ビームを光導波路に通し、該光導波路と金属膜との界面に対して表面プラズモンを発生させる入射角で入射させる光学系と、該表面プラズモンによって増強されたエバネッセント波によって励起されたことによって発生する蛍光を検出する蛍光検出手段とを備えたセンサーをいう。
7.キット
本発明の別の側面によれば、被験試料中の被験物質を測定するためのキットが提供される。本発明のキットは、結合性物質が固定化された不溶性担体及びキレート剤を少なくとも含む。具体的には、本発明のキットは、被験物質に対する第一の結合性物質を固定する蛍光物質、該被験物質に対する第二の結合性物質又は該被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質を固定する基板、及びキレート剤を含むか、又は被験物質に対する第一の結合性物質への結合性がある物質を固定する蛍光物質、該被験物質に対する第一の結合性物質を固定する基板、及びキレート剤を含む。
抗原や抗体等を不溶性担体や固相に固定させる方法は、例えば、特開2000−206115号公報に記載のような、免疫凝集反応用試薬を調製する公知の方法がいずれも使用可能である。例えば、抗体を蛍光物質に固定させる方法として、物理吸着法及び共有結合による化学結合法のいずれでも使用可能で、抗体を不溶性担体や固相に固定させた後に抗体が被覆されていない担体表面を覆うブロッキング剤としても、公知の物質、例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)やブロックエース、スキムミルク、カゼインなどが使用可能である。これらのブロッキング剤は、必要に応じて熱や酸・アルカリ等により部分変性などの前処理を施すことも可能である。
抗体を不溶性担体や固相に固定させる具体的な方法を、以下に例示する。不溶性担体とした蛍光物質の固形分濃度が0.1〜10%になるよう分散させた液に、0.01〜20mg/mLの濃度に調整した抗体溶液を添加して、混合する。温度4〜50℃の条件下で5分間から〜48時間撹拌を継続する。次いで遠心分離その他の方法により蛍光物質と溶液を分離して、溶液に含まれている、蛍光物質に結合しなかった抗体を十分に除去する。その後、蛍光物質を緩衝液にて洗浄する操作を0〜10回繰り返す。蛍光物質と抗体を混合して、蛍光物質に抗体を結合させる操作を実施した後に、抗原抗体反応に関与しない成分、好ましくはタンパク質、より好ましくはBSA(ウシ血清アルブミン)、ブロックエース、スキムミルク及びカゼインなどのブロッキング剤を使用して蛍光物質表面の抗体が結合していない部分を保護し、測定時の非特異反応を防ぐことが望ましい。
抗原や抗体等を不溶性担体や固相に固定させる際に、安定化剤を必要に応じて添加可能である。安定化剤とは、例えばグッドバッファーなどの緩衝液、ポリエチレングリコールや多糖類などの合成あるいは天然高分子、界面活性剤など、反応時の各試薬及び成分、あるいは反応の進行自体を安定化するものであれば特に制限されず、Immunoassay Stabilizer(ABI社)などの市販のものも使用可能である。反応時の各試薬及び成分とは、例えば、担体に結合させた抗体や測定対象成分のことであり、例えば、特開平8−187095号公報に記載されているように、抗体や酵素などのタンパク質を安定化するために糖類を添加することは公知の事実である。したがって、不溶性担体や固相中の抗体の安定性を維持するために糖類、アミノ酸などの安定化剤を共存させることは容易に推察可能である。また、被験物質がタンパク質等のような不安定な物質の場合にも、その被験物質を測定の間、安定に保つことを目的として、同様に安定化剤を共存させることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
(1)抗hCG抗体結合蛍光粒子の作製
2% 蛍光粒子溶液(F8813、φ500nm、Invitrogen社)250uLに、2mg/mLの抗hCGモノクローナル抗体(Medix社製#100006)の50mM MESバッファー(pH 6.0)溶液250uLを加え、室温で15分間攪拌した。10mg/mLのWSC(品番01−62−0011、和光純薬)水溶液を5μL加え、室温で2時間撹拌した。2mol/LGlycine水溶液を25μL添加して30分間撹拌した後、遠心分離(15,000rpm、4℃、15分)して粒子を沈降させた。上清を取り除き、PBS(pH7.4)を500μL加え、超音波洗浄機により蛍光粒子を再分散させた。さらに遠心分離(15,000rpm、4℃、15分)を行い、上清を除いた後、1% BSAのPBS(pH 7.4)溶液500μL加え、蛍光粒子を再分散させることで、抗hCG抗体結合粒子の1%(w/v)溶液を得た。
(2)抗hCG抗体結合プレートの作製
96ウェル黒色プレート(NUNC社製#475515)の各ウェルに、10μg/mLに調製した抗hCGモノクローナル抗体(Medix社製#100066)の150mM塩化ナトリウム溶液を100μLずつ添加し、室温で1時間静置した。抗体溶液を除去し、予め調製した洗浄用バッファー(0.05%(w/v)Tween−20を含むPBS(pH 7.4))で洗浄した(300μL/ウェル、3回)。洗浄終了後、抗体の未吸着部分のブロッキングを行うため、1% カゼインを含むPBS(pH7.4)を300μLずつ各ウェルに添加し、1時間、室温で静置した。上記の洗浄用バッファーで洗浄後、安定化剤としてImmunoassay Stabilizer(ABI社製)を300μLずつ各ウェルに添加し、室温で30分間放置後、溶液を除去し乾燥機中で水分を完全に取り除いたものを実験に使用した。
(3)抗hCG抗体結合蛍光粒子によるhCG測定
精製hCGを添加したヒトプール血漿に0.5M EDTA・2Na水溶液(pH 8.0)および純水を加え、50%の血漿を含む、EDTAの最終濃度が異なるEDTA−90pM hCG溶液を作製し、試料溶液とした。また、EDTAの最終濃度が3mMであるEDTA−90pM hCG溶液を比較試料溶液とした。各試料溶液500uLに、上記1% 抗hCG抗体結合蛍光粒子を5uLずつ添加し混合した。そのうち100μLを抗hCG抗体結合プレートの各ウェルに添加した。1時間室温で静置したのち、反応液を除去した。リン酸緩衝液(pH 7.4)350μLで洗浄した後、マイクロプレートリーダー(ARVOMX、パーキンエルマー社製)を用いて蛍光強度を測定した(図1)。図1に記載のある通り、EDTAの最終濃度が3mMである試料溶液に比して、EDTAの最終濃度が60mM〜500mMである試料溶液におけるhCG検出のS/N比は、約1.2〜約33倍にまで向上した。
また、精製hCGを添加したヒトプール血漿に0.5M EGTA・2Na水溶液(pH 8.0)および純水を加え、50%の血漿を含む、EGTAの最終濃度が異なるEGTA−90pMhCG溶液を作製し、試料溶液とした。EGTAの最終濃度が3mM及び10mMであるEGTA−90pM hCG溶液を比較試料溶液とした。同様に、hCGの検出を実施した(図2)。図2に記載のある通り、EGTAの最終濃度が3mM及び10mMである試料溶液に比して、EGTAの最終濃度が20mM〜500mMである試料溶液におけるhCG検出のS/N比は、約2.4〜50倍にまで向上した。

Claims (5)

  1. 被験物質に対して結合性を有する結合性物質が固定化され、蛍光物質により標識されている不溶性担体を用いた、被験試料中の被験物質を測定する方法において、被験試料中に120〜500mMのEDTA又はその誘導体若しくは塩、又は20〜500mMのEGTA又はその誘導体若しくは塩を添加することを特徴とする被験物質の測定方法。
  2. 固相に固定化された不溶性担体を検出することを含む、請求項1に記載の測定方法。
  3. 不溶性担体が、高分子粒子、金属粒子、磁気粒子、又はガラス粒子である、請求項1又は2に記載の測定方法。
  4. 結合性物質が、抗原、抗体またはそれらの複合体である請求項1〜のいずれか1項に記載の測定方法。
  5. 被験試料が、血清又は血漿である、請求項1〜のいずれか1項に記載の測定方法。
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