JP2018040799A - 脂質妨害の決定のための脂肪血症血漿または血清試料の調製 - Google Patents

脂質妨害の決定のための脂肪血症血漿または血清試料の調製 Download PDF

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Abstract

【課題】インビトロ診断の分野において、脂肪血症血漿または血清試料を調製するための方法、および血漿または血清試料中の分析物の量または活性の定量的決定における脂質妨害を確証するためのその使用を提供すること。【解決手段】目的は、脂質富化相を得るために脂質含有血漿または血清試料を遠心分離し、その後この脂質富化相を血漿または血清試料に添加することにより、本発明に従って達成される。【選択図】図1

Description

本発明は、インビトロ診断の分野に存し、脂肪血症血漿または血清試料を調製するための方法、および血漿または血清試料中の分析物の量または活性の定量的決定における脂質妨害を確証するためのその使用に関する。
血漿および血清試料中の臨床的に関連するパラメータの決定は、高いトリグリセリド濃度(脂肪血症)により顕著に影響される場合がある。高いトリグリセリド濃度を有する脂肪血症試料は比較的頻繁にあり、例えば高脂肪食、真性糖尿病、慢性腎不全、膵炎、エリテマトーデス、多発性骨髄腫、または薬物もしくは経口避妊薬の摂取により引き起こされる場合がある。
高いトリグリセリド濃度の妨害効果は、主に試料の曇り(混濁)に基づき、これはときには肉眼で見え、光の散乱および吸収の増大をもたらす。この現象は、とりわけ測光アッセイ系を妨害する。さらなる妨害効果は、検出するべき分析物の溶解性が損なわれることである。
それゆえ、現代の自動分析装置は、いわゆる分析前分析ユニットを含むようになってきており、ここでは1つまたはそれ以上の特異的分析物の実際の決定が行われる前に、試料材料を、任意の妨害物質、例えば脂質、ヘモグロビン、およびビリルビンについて分析する。1つまたはそれ以上の妨害物質の臨界量が試料中で確証された場合、例えば試料について得られたアッセイ結果に警告を付すことが可能であり、このことは、ここでは誤った結果が測定されている可能性があることを使用者に知らせることを意味する。
顕著な妨害を引き起こすトリグリセリド濃度はアッセイ毎に異なり、使用する分析装置、使用する試薬などに依存するので、特定のアッセイがもはや信頼できるアッセイ結果を提供しないトリグリセリド濃度を確認するためにアッセイ毎に妨害研究を行うことが必要である。
問題は、今までのところでは妨害研究を行うために必要な標準化脂肪血症試料材料がないことである。今日までに、大豆脂質乳剤であるイントラリピッドが、脂肪血症妨害のシミュレーションを行うためにヒト血漿試料または血漿プールに頻繁に添加されている。しかしながら、イントラリピッドにより引き起こされる妨害は、天然の脂肪血症試料で起こる妨害と全ての場合で相関するとは限らないので、イントラリピッドの添加は一般的に適用可能な脂質妨害決定法ではないことが分かっている(非特許文献1)。それゆえ、妨害研究に脂肪血症ドナー試料を使用することが好ましい。
Bornhorst,J.A.ら、「Assay−specific differences in lipemic interference in native and Intralipid−supplemented samples.」、Clin.Chem.、2004年、50巻11号、2197〜2201頁
しかしながら、十分な量の天然脂肪血症患者試料、特に例外的に高いトリグリセリド濃度(>500mg/dL)を有する試料は、非常に大きなドナー群を調査しなければならないので、非常に高度な努力によってのみ得られる。
それゆえ、本発明の目的は、脂肪血症血漿または血清試料を用意するためのより単純な方法を見つけることである。
上記目的は、脂質富化相を得るために脂質含有血漿または血清試料を遠心分離し、その後この脂質富化相を血漿または血清試料に添加することにより、本発明に従って達成される。
これは、イントラリピッドなどの人工物質を使用する必要がなく、任意の所望のトリグリセリド濃度を発生させることができるという利点を有する。
したがって、本発明は、脂肪血症血漿または血清試料を調製するための方法を提供する。本方法は、以下の:
(a)脂質枯渇相から脂質含有上清を分離するために脂質含有血漿または血清試料を遠心分離する工程と;
(b)脂質含有上清を除去する工程と;
(c)脂質含有上清を血漿または血清試料と混合する工程と
を含む。
「トリグリセリド(複数可)」および「脂質(複数可)」という用語は、同義的に使用される。
「脂肪血症血漿または血清試料」という用語は、トリグリセリド濃度が参照範囲より高い、すなわち、150mg/dL(1.71mmol/L)またはそれ以上である、個々のドナーからの血漿もしくは血清試料、または多数のドナーからの血漿もしくは血清試料の混合物(プール)を意味すると理解されるべきである。
「脂質含有血漿または血清試料」という用語は、トリグリセリド濃度が150mg/dL(1.71mmol/L)以下の参照範囲以内であるか、またはそれより高い、個々のドナーからの血漿もしくは血清試料、または多数のドナーからの血漿もしくは血清試料の混合物(プール)を意味すると理解されるべきである。
本発明は、特にヒト血漿および血清試料に基づく。しかしながら、また、類似のアプローチは、原理的に、動物の血漿および血清試料に適用可能である。
好ましい実施形態では、脂質含有血漿または血清試料を分割し、脂質含有血漿または血清試料の第1の部分量を本方法の工程(a)で遠心分離し、脂質含有上清をその後、工程(b)で除去し、脂質含有上清をその後、工程(c)で同じ脂質含有血漿または血清試料の第2の部分量と混合する。これは、例えば定義された分析物濃度または活性を有するこの特定の試料で、脂質画分のみが増大され、一方で残りの試料組成は変わらないままであるという利点を有する。さらに、この特定の試料の脂質により引き起こされる妨害を調べることができることが有利である。したがって、また、妨害限界の最終決定において妨害についての上記試料の変動性を含めることが、多数の様々な脂肪血症試料を伴う研究で可能であろう。
あるいは、除去した脂質含有上清は、遠心分離した試料の脂質枯渇相の部分量と、工程(c)で混合することができる。
脂質含有上清と血漿または血清試料との混合比は、自明に、出発材料のトリグリセリド濃度および所望のトリグリセリド濃度に依存する。
工程(a)の脂質含有血漿または血清試料の遠心分離は、好ましくは少なくとも2000×gで少なくとも10分間行われる。例えば、15000×gで10分間、または82000×gで60分間、それとも133000×gで60分間などのより長い遠心分離時間およびより高い遠心分離力の使用は、確実に可能である。
脂質含有血漿または血清試料の遠心分離は、下にある透明な脂質枯渇相からの曇った脂質含有上清の分離をもたらし、この分離は肉眼で見える。脂質含有上清の除去は、例えば、ピペットニードルを用いて脂質含有上清を慎重に貫通し、脂質枯渇相を慎重に吸引することにより達成することができ、これは脂質含有上清のみが容器中に残ることを意味する。この容器への血漿または血清試料の添加および振盪の結果として、試料は脂質含有上清と混合される。また、例えば超音波処理などの他の既知のホモジナイゼーション法を使用することができる。
本発明は、血漿または血清試料中の分析物の量または活性を定量的に決定するための方法における脂質妨害を確証するための方法での、本発明に従う方法を用いて調製した脂肪血症血漿または血清試料の使用をさらに提供する。
好ましくは、本発明に従って調製した脂肪血症血漿または血清試料は、血漿または血清試料中の分析物の量または活性を定量的に決定するための方法における脂質妨害を確証するための方法で使用され、ここで、脂質妨害を確証するための方法は、以下の:
(a)少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、ある分析物濃度または活性を有する非脂肪血症血漿または血清試料と混合することにより第1のアッセイ混合物を用意し、第1のアッセイ結果を測定する工程と;
(b)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、同じ分析物濃度または活性を有する脂肪血症血漿または血清試料と混合することにより第2のアッセイ混合物を用意し、第2のアッセイ結果を測定する工程と;
(c)第1のアッセイ結果と第2のアッセイ結果との間の差を確証する工程と;
(d)第1のアッセイ結果と第2のアッセイ結果との間の差が所定の許容限界を超える場合、例えば第1のアッセイ結果と第2のアッセイ結果との間の差が5%またはそれ以上である場合、脂質妨害を確証する工程と
を含む。
このようにして、アッセイがもはや信頼できるアッセイ結果を提供しないトリグリセリド濃度を、各分析アッセイについて決定することが可能である。
「分析物」は、試料材料(この場合、血漿または血清)で検出するべき物質、または試料材料の測定可能な特性を意味すると理解されるべきであり、この特性は複数の物質により影響される。分析物は、例えばペプチド、タンパク質、多糖、または核酸、特に例えば免疫グロブリン、サイトカイン、受容体、酵素、ホルモン、癌抗原、組織特異的抗原、血液凝固因子、病原性微生物からの抗原などの特定の生物学的機能を有するタンパク質またはタンパク質複合体であってもよい。複数の物質により影響される典型的な血漿試料特性は、例えば凝固時間である。凝固アッセイは、インビトロでのフィブリン形成速度の測定の手段により、個々の、または多数の凝固因子の活性の測定を可能にする。
血漿または血清試料中の分析物の量または活性を定量的に決定するための方法は、例えば粒子増強イムノアッセイ、発色性アッセイ、または凝固アッセイなどの任意の考えられるアッセイ原理であってもよい。
分析物特異的検出試薬は、試料の特定の分析物の、または別の測定可能な特性の検出を可能にする、1つまたはそれ以上の物質、例えば1つまたはそれ以上の抗体もしくは抗原、発色性ペプチド物質、および/または酵素アクチベータを含有する。例えば、溶解形態の分析物特異的物質を含有する液体検出試薬を試料と混合することが考えられる。あるいは、検出試薬が1つまたはそれ以上の分析物特異的物質でコーティングした固体相からなることが考えられる。
使用するアッセイ原理に依存して、アッセイ結果の測定は、例えば分光光度法、比濁法、ネフェロメトリー法、ルミノメトリー法、蛍光測定法、放射測定法などで行うことができる。
脂質妨害、すなわち、アッセイ方法の測定精度の顕著な欠陥を確証するために、参照試料としての(150mg/dL以下のトリグリセリド濃度を有する)非脂肪血症血漿または血清試料と、(150mg/dL超のトリグリセリド濃度を有する)本発明に従って調製した少なくとも1つの脂肪血症血漿または血清試料との両方で、同じアッセイ方法を行う。2つの試料が同じ分析物濃度または活性を有する場合、第1のアッセイ結果と第2のアッセイ結果との間の差は、脂肪血症試料の高いトリグリセリド濃度に起因すると考えることができる。好ましくは、参照試料は、脂肪血症試料の調製のために遠心分離した脂質含有試料の脂質枯渇相である。
第1のアッセイ結果と第2のアッセイ結果との間の差が所定の許容限界を超える場合、例えば第1のアッセイ結果と第2のアッセイ結果との間の相対的差が5%またはそれ以上である場合、脂質妨害がある。また、最大絶対分析物差を許容限界として定義することが可能である。
好ましくは、多数の試料、好ましくは10〜20個を、各試料タイプの脂質妨害研究について測定し、統計的評価を行うことを可能にする。好ましくは、10〜20個の正常な分析物濃度または活性の非脂肪血症試料、および同じ数の正常な分析物濃度または活性の脂肪血症試料を測定する。加えて、またはあるいは、いくつかの非脂肪血症試料、および並行して同じ数の、アッセイ方法の測定範囲にわたる分析物濃度または活性を有する脂肪血症試料を測定してもよい。さらに、また、正常な、低い、または高い分析物濃度または活性の様々な脂肪血症試料タイプを測定することが可能であり、この試料タイプは参照範囲を超える様々なトリグリセリド濃度、すなわち、150〜3000mg/dLの濃度を有する。
好ましくは、出発材料として同じ脂質含有血漿または血清試料から調製した、脂肪血症血漿または血清試料および非脂肪血症血漿または血清試料を、脂質妨害を確証するために使用する。これは、影響が調べられるべき脂質画分を除いては、試料組成およびしたがってまた分析物濃度がこれらの2つの試料で同一であるという利点を有する。
さらに好ましくは、非脂肪血症血漿または血清試料は、以下の:
(a)脂質含有血漿または血清試料を遠心分離し、脂質含有上清から脂質枯渇相を単離する工程
を含む方法を用いて調製することができた。
これは、脂肪血症試料の調製に意図された脂質含有上清の調製において副産物として生じる脂質枯渇相を使用することが可能であり、最小限の廃棄物で、存在する出発材料を使用することを可能にするという利点を有する。
また、本発明に従って調製した脂肪血症血漿または血清試料は、血漿または血清試料中の分析物の量または活性を定量的に決定するための方法における脂質妨害を確証するための方法で使用することができ、ここで、脂質妨害を確証するための方法は、以下の:
(a)少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、非脂肪血症血漿または血清試料の第1の部分量と混合することにより第1のアッセイ混合物を用意し、第1のアッセイ結果を測定する工程と;
(b)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、以前に少なくとも2000gで少なくとも10分間遠心分離した同じ非脂肪血症血漿または血清試料の第2の部分量の脂質枯渇相と混合することにより第2のアッセイ混合物を用意し、第2のアッセイ結果を測定する工程と;
(c)第1のアッセイ結果と第2のアッセイ結果との間の第1の差を確証する工程と;
(d)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、脂肪血症血漿または血清試料の第1の部分量と混合することにより第3のアッセイ混合物を用意し、第3のアッセイ結果を測定する工程と;
(e)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、以前に少なくとも2000gで少なくとも10分間遠心分離した同じ脂肪血症血漿または血清試料の第2の部分量の脂質枯渇相と混合することにより第4のアッセイ混合物を用意し、第4のアッセイ結果を測定する工程と;
(f)第3のアッセイ結果と第4のアッセイ結果との間の第2の差を確証する工程と;
(g)第1の差と第2の差との間の偏差が所定の許容限界を超える場合、例えば、例えば各事例の相対的差として表される第1の差と第2の差との間の偏差が5%またはそれ以上を超える場合、脂質妨害を確証する工程と
を含む。
また、本発明に従って調製した脂肪血症血漿または血清試料は、血漿または血清試料中の分析物の量または活性を定量的に決定するための方法における脂質妨害を確証するための方法の一実施形態で使用することができ、ここで、脂質妨害を確証するための方法の実施形態は、以下の:
(a)各事例に、少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、各事例に、非脂肪血症血漿または血清試料の第1の部分量と混合することにより多数の第1のアッセイ混合物を用意し、多数の第1のアッセイ結果を測定する工程と;
(b)各事例に、同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、各事例に、以前に少なくとも2000gで少なくとも10分間遠心分離した同じ非脂肪血症血漿または血清試料の第2の部分量の脂質枯渇相と混合することにより多数の第2のアッセイ混合物を用意し、多数の第2のアッセイ結果を測定する工程と;
(c)特定の第1のアッセイ結果と特定の第2のアッセイ結果との間の第1の差を確証し、全ての確証した第1の差の平均値を計算する工程と;
(d)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、脂肪血症血漿または血清試料の第1の部分量と混合することにより第3のアッセイ混合物を用意し、第3のアッセイ結果を測定する工程と;
(e)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、以前に少なくとも2000gで少なくとも10分間遠心分離した同じ脂肪血症血漿または血清試料の第2の部分量の脂質枯渇相と混合することにより第4のアッセイ混合物を用意し、第4のアッセイ結果を測定する工程と;
(f)第3のアッセイ結果と第4のアッセイ結果との間の第2の差を確証する工程と;
(g)全ての確証した第1の差の平均値を引くことにより、補正した第2の差を計算する工程と;
(h)補正した第2の差が所定の許容限界を超える場合、例えば、補正した差が以前に決定した10%の信頼区間を超える場合、脂質妨害を確証する工程と
を含む。
これは、試料の脂質枯渇相を調製するために使用した遠心分離法の任意の効果を特定することが可能であるという利点を有し、この効果は、分析物濃度を変える場合がある。遠心分離法それ自体が試料の分析物レベルを変える場合、妨害を確認するときにこの効果を考慮しなければならない。例えば、凝固アッセイの場合、重要な小胞結合因子は遠心分離のために沈降し、このこと単独により凝固時間が変わると考えられる。このため、遠心分離法は、脂肪血症試料についてのみでなく、非脂肪血症試料についても使用される。例えば、脂肪血症試料の場合および非脂肪血症試料の場合の両方で、遠心分離していない試料について、脂質枯渇相中の相対的に10%の分析物レベルの偏差が各事例に確証される場合、これは遠心分離に起因すると考えることができる。そのときにはトリグリセリド妨害はない。遠心分離法が非脂肪血症試料の分析物レベルで+10%の偏差を発生させ、+20%の偏差が脂肪血症試料で観察される場合、そこからトリグリセリドによる10%妨害を推測することが可能である。
妨害の程度および遠心分離法の影響の可能性の両方は、個々の非脂肪血症試料および脂肪血症試料で大きく変化する場合があるので、様々なトリグリセリドレベルおよび様々な分析物レベルを有する脂肪血症試料、ならびに様々な分析物レベルを有する非脂肪血症試料を測定することが有用である。
APTTを決定するための方法における脂質妨害の決定を示す図である。 プロテインCを決定するための方法における脂質妨害の決定を示す図である。
以下の例示的な実施形態は、本発明に従う方法を例示するために役立つものであり、限定として理解されるべきではない。
APTTを決定するための方法における脂質妨害の決定
1a)Dadeアクチン試薬を用いたAPTTを決定するための方法における脂質妨害の決定のための脂肪血症血漿試料の発明にかかる調製
7人のドナーからの7個の天然脂肪血症クエン酸塩血漿試料(トリグリセリドレベル>150mg/dL)から使用物を作製した。トリグリセリドレベルは、TRIGアッセイを用いて、およびDimension Vista System(Siemens Healthcare、Newark、USA)を用いて決定した。上記試料約18〜20mLを超遠心分離機(Thermo Scientific Sorval WX Ultra、ロータT−1250、ThermoFisher、Hanau、Germany)で、133000×gに対応する33200rpmにて1時間遠心分離した。ピペットを用いて、下にある脂質枯渇相と混合することを避けながら、最上部の脂質富化上清を慎重に除去した。試料によって、上記脂質富化上清0.7〜3.0mLを、同じドナーからの天然クエン酸塩血漿試料の遠心分離していない部分量と、いくつかの場合には、非脂肪血症因子欠損血漿(トリグリセリドレベルは典型的に約100mg/dL)と混合した。このようにして調製した脂肪血症試料の総体積は、約12mLであった。このようにして調製した試料のトリグリセリドレベルを再び測定し、234mg/dL〜1007mg/dLであった。
表1は、本発明に従って調製した脂肪血症試料番号L3〜L9および3個のさらなる天然脂肪血症試料(試料番号L1、L2、およびL10)の最終トリグリセリド濃度、ならびにまたドナーからの天然(遠心分離していない、未処理の)血漿試料、脂質含有上清、欠損血漿、およびヘパリン溶液の量の混合比を含有する。欠損血漿またはヘパリン溶液との混合は、APTT測定範囲を拡大するために行った。
表2は、妨害研究で使用したのと同様の、非脂肪血症試料番号NL1〜NL12の組成および最終トリグリセリド濃度を含有する。
Figure 2018040799
Figure 2018040799
1b)Dadeアクチン試薬を用いてAPTTを決定するための方法における脂質妨害の決定
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の場合、血漿試料を、リン脂質および界面活性剤を含有する試薬(Dadeアクチン試薬、Siemens Healthcare、Marburg、Germany)と混合した。インキュベーション時間後、CaClの添加により凝固を開始させた。ここで説明する実施例では、APTTは、Sysmex CS−5100分析装置(Siemens Healthcare、Marburg、Germany)上で自動的に処理された。凝固反応は、吸光度の増大として測光法で測定される。吸光度の特定の増大までの時間は、秒での凝固時間であり、APTTアッセイの結果を表す。
1a)で調製した試料の全てから、部分量をAPTTの測定のために使用した(アッセイ結果1)。1a)で調製した試料の各々の第2の部分量を133000×gで1時間遠心分離し、脂質枯渇相をAPTT測定のための試料として使用した(アッセイ結果2)。遠心分離が影響を有しない場合、遠心分離した一定分量のうちの脂質枯渇相は、遠心分離していない試料と同じ分析物量を含有するはずである。各試料の2つのアッセイ結果(秒での凝固時間)を互いに比較し、%での相対的差を計算した(100×アッセイ結果1−アッセイ結果2/アッセイ結果2)。
非脂肪血症試料のアッセイ結果の相対的差から、平均値を計算した(この場合:0.6)。非脂肪血症試料は脂肪血症による妨害を示さないので、この平均値の差は、方法の非特異的影響因子(例えば遠心分離)に起因すると考えられる。この効果の補正のために、相対的差から上記平均値を引くことにより、補正した差を各試料について確認した。補正した差は、脂質により引き起こされる妨害の測定値である。
表3は、各試料について、アッセイ結果1および2、確認した相対的差、ならびに補正した差を示す。差の値は、丸めた値である。
Figure 2018040799
補正した差、すなわち、遠心分離した試料のアッセイ結果からの遠心分離していない試料のアッセイ結果の偏差(非脂肪血症試料の差の平均値を減じた)を、遠心分離していない試料のトリグリセリド濃度に対してプロットした(図1、線1)。多項式フィット法を適用し、関連付けられる信頼区間を計算した(図1、線2)。信頼区間の限界と10%相対的偏差基準との交差点を、試験したAPTTアッセイ方法で脂質妨害が予想されるトリグリセリド濃度と特定した(676.5mg/dL)。
プロテインCを決定するための方法における脂質妨害の決定
2a)BerichromプロテインCアッセイを用いたプロテインCを決定するための方法における脂質妨害の決定のための脂肪血症血漿試料の発明にかかる調製
12人のドナーからの12個の天然脂肪血症クエン酸塩血漿試料(トリグリセリドレベル>150mg/dL)から使用物を作製し、1a)で説明した手順を行った。このようにして調製した試料のトリグリセリドレベルを再び測定し、199mg/dL〜1007mg/dLであった。
表4は、本発明に従って調製した脂肪血症試料番号L1〜L12およびさらなる天然脂肪血症試料(試料番号L13)の最終トリグリセリド濃度、ならびにまたドナーからの天然(遠心分離していない、未処理の)血漿試料、脂質含有上清、欠損血漿、およびヘパリン溶液の量の混合比を含有する。欠損血漿との混合は、プロテインC測定範囲を拡大するために行った。
表5は、妨害研究で使用したのと同様の、非脂肪血症試料番号NL1〜NL12の組成および最終トリグリセリド濃度を含有する。
Figure 2018040799
Figure 2018040799
2b)BerichromプロテインCアッセイを用いたプロテインCを決定するための方法における脂質妨害の決定
アッセイ混合物中で、血漿試料をヘビ毒アクチベータとインキュベートし、プロテインCを活性化した。さらに、活性化プロテインCにより切断される発色性ペプチド基質を添加した。この反応は、405nmで測定される吸光度の増大を達成する。吸光度の増大を、較正曲線に基づいてプロテインC結果(基準量の%)に変換した。ここで説明する実施例では、プロテインCアッセイは、Sysmex CS−5100分析装置(Siemens Healthcare、Marburg、Germany)上で自動的に処理された。
2a)で調製した試料の全てから、部分量をプロテインCの測定のために使用した(アッセイ結果1)。2a)で調製した試料の各々の第2の部分量を133000×gで1時間遠心分離し、脂質枯渇相をプロテインC測定のための試料として使用した(アッセイ結果2)。遠心分離が影響を有しない場合、遠心分離した一定分量のうちの脂質枯渇相は、遠心分離していない試料と同じ分析物量を含有するはずである。各試料の2つのアッセイ結果(基準量の%)を互いに比較し、%での相対的差を計算した(100×アッセイ結果1−アッセイ結果2/アッセイ結果2)。
非脂肪血症試料のアッセイ結果の相対的差から、平均値を計算した(この場合:−2.4)。非脂肪血症試料は脂肪血症による妨害を示さないので、この平均値の差は、方法の非特異的影響因子に起因する(例えば遠心分離のため)と考えられる。この効果の補正のために、相対的差から上記平均値を引くことにより、補正した差を各試料について確認した。補正した差は、脂質により引き起こされる妨害の測定値である。
表6は、各試料について、アッセイ結果1および2、確認した相対的差、ならびに補正した差を示す。差の値は、丸めた値である。
Figure 2018040799
補正した差、すなわち、遠心分離した試料のアッセイ結果からの遠心分離していない試料のアッセイ結果の偏差(非脂肪血症試料の差の平均値を減じた)を、遠心分離していない試料のトリグリセリド濃度に対してプロットした(図2、線1)。多項式フィット法を適用し、関連付けられる信頼区間を計算した(図2、線2)。信頼区間の限界と10%相対的偏差基準との交差点を、試験したプロテインCアッセイ方法で脂質妨害が予想されるトリグリセリド濃度と特定した(867.5mg/dL)。

Claims (10)

  1. 脂肪血症血漿または血清試料を調製するための方法であって:
    (a)脂質枯渇相から脂質含有上清を分離するために、脂質含有血漿または血清試料を遠心分離する工程と;
    (b)該脂質含有上清を除去する工程と;
    (c)該脂質含有上清を血漿または血清試料と混合する工程と
    を含む前記方法。
  2. 脂質含有血漿または血清試料の第1の部分量は、工程(a)で遠心分離され、脂質含有上清はその後、工程(b)で除去され、該脂質含有上清はその後、工程(c)で同じ脂質含有血漿または血清試料の第2の部分量と混合される、請求項1に記載の方法。
  3. 除去した脂質含有上清は、脂質枯渇相の部分量と混合される、請求項1に記載の方法。
  4. 脂質含有血漿または血清試料は、工程(a)で少なくとも2000×gで少なくとも10分間遠心分離される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 血漿または血清試料中の分析物の量または活性を定量的に決定するための方法における脂質妨害を確証するための方法での、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法を用いて調製した脂肪血症血漿または血清試料の使用。
  6. 血漿または血清試料中の分析物の量または活性を定量的に決定するための方法における脂質妨害を確証するための方法であって:
    (a)少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、ある分析物濃度または活性を有する非脂肪血症血漿または血清試料と混合することにより第1のアッセイ混合物を用意し、第1のアッセイ結果を測定する工程と;
    (b)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、同じ分析物濃度または活性を有する脂肪血症血漿または血清試料と混合することにより第2のアッセイ混合物を用意し、第2のアッセイ結果を測定する工程と;
    (c)該第1のアッセイ結果と該第2のアッセイ結果との間の差を確証する工程と;
    (d)該第1のアッセイ結果と該第2のアッセイ結果との間の該差が所定の許容限界を超える場合、脂質妨害を確証する工程と
    を含み、
    該脂肪血症血漿または血清試料は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法を用いて調製されたことを特徴とする、
    脂質妨害を確証するための前記方法。
  7. 非脂肪血症血漿または血清試料は、以下の:
    (a)脂質含有血漿または血清試料を遠心分離し、脂質含有上清から脂質枯渇相を単離する工程
    を含む方法を用いて調製された、請求項6に記載の方法。
  8. 脂肪血症血漿または血清試料および非脂肪血症血漿または血清試料は、出発材料としての同じ脂質含有血漿または血清試料から調製された、請求項6または7に記載の方法。
  9. 非脂肪血症および脂肪血症の血漿または血清試料は、各事例において、基準量について減少または上昇した分析物濃度または活性を有する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 血漿または血清試料中の分析物の量または活性を定量的に決定するための方法における脂質妨害を確証するための方法であって:
    (a)少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、非脂肪血症血漿または血清試料の第1の部分量と混合することにより第1のアッセイ混合物を用意し、第1のアッセイ結果を測定する工程と;
    (b)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、以前に少なくとも2000gで少なくとも10分間遠心分離した同じ非脂肪血症血漿または血清試料の第2の部分量の脂質枯渇相と混合することにより第2のアッセイ混合物を用意し、第2のアッセイ結果を測定する工程と;
    (c)該第1のアッセイ結果と該第2のアッセイ結果との間の第1の差を確証する工程と;
    (d)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、脂肪血症血漿または血清試料の第1の部分量と混合することにより第3のアッセイ混合物を用意し、第3のアッセイ結果を測定する工程と;
    (e)同じ少なくとも1つの分析物特異的検出試薬を、以前に少なくとも2000gで少なくとも10分間遠心分離した同じ脂肪血症血漿または血清試料の第2の部分量の脂質枯渇相と混合することにより第4のアッセイ混合物を用意し、第4のアッセイ結果を測定する工程と;
    (f)該第3のアッセイ結果と該第4のアッセイ結果との間の第2の差を確証する工程と;
    (g)該第1の差と該第2の差との間の偏差が所定の許容限界を超える場合、脂質妨害を確証する工程と
    を含み、
    該脂肪血症血漿または血清試料は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法を用いて調製されたことを特徴とする、
    脂質妨害を確証するための前記方法。
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