JP2013144653A - 環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物およびその製造方法 - Google Patents

環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有用な環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物を提供すること。
【解決手段】(I)に示される環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物。
Figure 2013144653

ただし(I)中、
CycCarは環状カーボネート構造である。
【選択図】なし

Description

本発明は、環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物およびその製造方法に関する。
下記化9の(IX)に示す環状カーボネート化合物は、たとえば、k=0、m=1、R=アルキル基のもの等が、リチウム電池の非水電解質や、半導体製造工程やリソグラフィーの工程で溶剤としての用途で利用が検討されている。
Figure 2013144653
ただし(IX)中、
kは0以上の整数、
mは1以上の整数
Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基より選択される一価の基である。
また、本願では、Rを除く残基を環状カーボネート構造(CycCar)と呼ぶ。
また、このような環状カーボネート化合物は、たとえば、下記化10の(X)に示す合成方法によって合成するに際してCO2の固定化を行うことができることも知られており、活用の機会が望まれている。(たとえば特許文献1)
Figure 2013144653
(Rは化9のRに同じ)
特表2002−513787号公報
そこで、本発明者らは、種々の用途に有用に用いられる環状カーボネート化合物を提供する目的で、種々構造の環状カーボネート化合物を検討した結果、新規に合成した環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物が、樹脂の難燃剤、可塑剤等として有用に利用可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、有用な環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物を提供することを目的とする。
〔構成1〕
本発明の特徴構成は、下記化11の(I)に示される環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物である。
Figure 2013144653
ただし(I)中、
CycCarは環状カーボネート構造である。
nは1以上の自然数である。
R1は、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキル基およびアリール基より選択される一価の基であり、ここでリン原子に酸素原子が直接結合していない限り、アルキル基中およびシクロアルキル基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリール基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
R2は、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキル基およびアリール基より選択される一価の基であり、ここで酸素原子にヘテロ原子が直接結合していない限り、アルキル基中およびシクロアルキル基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリール基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
R1、R2の間には結合が存在して、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキレン基およびアリーレン基より選択される二価の基となっていてもよく、ここでアルキレン基中およびシクロアルキレン基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリーレン基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
R3は、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキレン基およびアリーレン基より選択される二価の基もしくは前記二価の基にさらに置換基部を有する三価以上の基であり、ここでリン原子に酸素原子が直接結合していない限り、アルキレン基中およびシクロアルキレン基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリーレン基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
〔作用効果1〕
上記化11の(I)の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物は、ホスフィン酸構造を有するとともに、環状カーボネート構造を有する。よって、樹脂組成物に対して添加されて用いられた場合、加熱時にリン元素のもつ難燃性に加えて、環状カーボネートが分解して炭酸ガスが発生して発泡し、イントメッセント系の難燃剤と同様の難燃化効果による高い難燃性が期待できる。
ここにいうイントメッセント系の難燃剤とは、難燃剤による発泡作用により、基材の断熱性を高め、熱伝導を抑制することにより、その基材の燃焼を遅延させる効果を発揮する難燃剤を指す。
また、上記化11の化合物(I)は、環状カーボネート構造を有するから、ポリカーボネート樹脂との相溶性が高く、ポリカーボネート樹脂の難燃化に大きく寄与するものと考えられる。
なお、上記化11の化合物(I)は、前記反応式化10の(X)に示すように、対応するエポキシ化合物に、二酸化炭素を付加することにより合成することができる。
〔構成2〕
上記化11の化合物(I)は、具体的には、前記環状カーボネート構造として、下記化12の基(II)に示される2−オキソ−1,3−ジオキソリル基を含んでいてもよい。
Figure 2013144653
〔作用効果2〕
すなわち、前記環状カーボネート構造としては、前記化9の(IX)に示す構造が知られており、これらいずれの構造を備えた化合物であっても、加熱分解により二酸化炭素ガスを発生することが期待できる。この二酸化炭素ガスの発生を生起するカーボネート結合を備えることにより、前記化11の化合物(I)は、イントメッセント系の難燃剤として働くのであるが、前記化9の基(IX)としては、エポキシ基に対する二酸化炭素付加により容易に合成することのできる、前記化12の基(II)が特に有用であると考えられる。
〔構成3〕
また、前記R1−R2を下記化13の基(III)に示される2,2’−ジフェニレン基としてホスファフェナントレン骨格を有することができる。
Figure 2013144653
〔作用効果3〕
前記R1には、任意の置換基を用いることができ、
メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基
シクロヘキシル基等のシクロアルキル基
フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基等のアリール基
ピリジル基等のヘテロアリール基、
ベンジル基等のアラルキル基、
ビニル基、アリル基等のアルケニル基、
アクリル酸エステルなどのアクリロイル基、
ヒドロキシエチル基等のヒドロキシアルキル基、
パラヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基
等の一価の基から構成することができ、さらにこれらの基に他の基が結合したものも用いることができる。
前記R2には、任意の置換基を用いることができ、
メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基
シクロヘキシル基等のシクロアルキル基
フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基等のアリール基
ピリジル基等のヘテロアリール基、
ベンジル基等のアラルキル基、
ビニル基、アリル基等のアルケニル基、
アクリル酸エステルなどのアクリロイル基、
ヒドロキシエチル基等のヒドロキシアルキル基、
パラヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基
等の一価の基から構成することができ、さらにこれらの基に他の基が結合したものも用いることができる。
また、さらに、前記R1、R2には、結合が存在していてもよく、
ヘキサメチレン基等のアルキレン基、
シクロヘキシレン等のシクロアルキレン基、
ジフェニレン基等のアリーレン基、
フェニルピリジレン等のヘテロアリーレン基、
エチルフェニレン等のアラルキレン基、
2,3−ブテニレン等のアルケニレン基、
等の二価の基もしくは前記二価の基にさらに置換基部を有する三価以上の基となっていてもよい。
なかでも、R1、R2=ジフェニレンであるホスファフェナントレン骨格は、既存の難燃剤としても用いられており、さらに難燃性の向上された物質として期待できるので好ましい。
〔構成4〕
前記R3が、下記化14の(IV)破線に示されるヒドロキノンから誘導される構造を含むことができる
Figure 2013144653
〔作用効果4〕
前記R3には、
直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキレン基およびアリーレン基より選択される二価の基もしくは前記二価の基にさらに置換基部を有する三価以上の基が用いられ、ここでリン原子に酸素原子が直接結合していない限り、アルキレン基中およびシクロアルキレン基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリーレン基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよいのであるが、環状カーボネート構造がオキシメチレン基に結合する構造は、R3としてヒドロキシ基を有する化合物にエピクロロヒドリンでグリシジルエーテル化した後、エポキシ基に二酸化炭素ガスを付加する反応で合成でき、合成が容易であるという特徴を有する。また、ヒドロキシ基がフェノール性であれば、特にエピクロロヒドリンの付加反応が進行しやすい。また、上記化14の(IV)の構成では、環状カーボネート構造を2単位備えるので、加熱分解時に1分子あたりの二酸化炭素ガス発生量が多く、好ましいと考えられる。
〔構成5〕
本願の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物は、下記化15の化合物(V)に示されるエポキシ化合物ホスフィン酸エステルに触媒下で二酸化炭素を作用させることによって下記化16の化合物(VI)とすることができる。
Figure 2013144653
Figure 2013144653
〔作用効果5〕
すなわち、上記製造方法によれば、原料となるエポキシ基を有するホスフィン酸エステルに触媒下で二酸化炭素を接触させるだけの簡単な反応で目的とする化合物を得ることができ、安価、簡便に目的物を得ることができる。また、この反応は、二酸化炭素ガスの固定化に寄与するため、燃焼装置等に付随する設備として適用することで、少ない設備投資で有価物としての環状カーボネート化合物を生産できるとともに、温室効果ガスの低減に寄与することができる。
ここで用いられる触媒としては、第4級アルキルアンモニウム塩もしくはイミダゾリウム塩もしくはピリジニウム塩もしくはピロリジニウム塩からなる有機系イオン性化合物や、無機系イオン性化合物(LiBrやLiClなど)が用いられることが知られており、好適には、有機系イオン性化合物が用いられる。有機系イオン性化合物は分子内に末端水酸基のようなプロトンドナーがあっても良く、そのような構造があると触媒として効果的である。
〔構成6〕
また、前記化15の化合物(V)が、R3として下記化17の化合物(VII)の構造(ただしR4は、R3からオキソメチレン基を除いた残基)を有するものである場合、下記化18の化合物(VIII)にエピクロロヒドリンを作用させて合成することができる。
Figure 2013144653
Figure 2013144653
〔作用効果6〕
すなわちエポキシ化合物として、R3中にオキソメチレン基を備えた前記化17の化合物(VII)(ただしR4は、R3からオキソメチレン基を除いた残基)を選択すると、メチレン基およびエポキシ基のユニット(グリシジル基)を、ヒドロキシ基を有する化18の化合物(VIII)をエピクロロヒドリンでグリシジルエーテル化することにより、前記化15の化合物(V)を得ることができる。
これにより、本発明の種々の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物を合成することができ、種々用途に供することができるようになった。
以下に、本発明の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物を説明する。なお、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
本発明の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物は、前記化11の(I)に示される化合物であって、
ただし(I)中、
CycCarは環状カーボネート構造である。
nは1以上の自然数である。
R1は、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキル基およびアリール基より選択される一価の基であり、ここでリン原子に酸素原子が直接結合していない限り、アルキル基中およびシクロアルキル基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリール基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
R2は、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキル基およびアリール基より選択される一価の基であり、ここで酸素原子にヘテロ原子が直接結合していない限り、アルキル基中およびシクロアルキル基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリール基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
R1、R2の間には結合が存在して、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキレン基およびアリーレン基より選択される二価の基となっていてもよく、ここでアルキレン基中およびシクロアルキレン基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリーレン基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
R3は、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキレン基およびアリーレン基より選択される二価の基もしくは前記二価の基にさらに置換基部を有する三価以上の基であり、ここでリン原子に酸素原子が直接結合していない限り、アルキレン基中およびシクロアルキレン基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリーレン基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
ここで、具体例として、比較的基本的な構造の下記化合物については、たとえば、
CycCar=2−オキソ−1,3−ジオキソリル基
R1=フェニル基
R2=エチル基
R3=メチレン基
であれば、下記化19の反応式(XIX)にしたがって合成することができる。
Figure 2013144653
また、
CycCar=2−オキソ−1,3ージオキソリル基
R1=フェニル基
R2=エチル基
R3=化14に示した基(IV)
である場合、下記化20の反応式(XX)にしたがって合成を行うことができる。またR1=フェニル基に代えて、ヘテロ環、アルキルフェニル、ヒドロキシフェニル等とした場合や、R2=エチル基に代えて、メチル基、プロピル基とした場合であっても同様の反応が行えることは明らかである。なお、出発物質である化合物(A)フェニルホスフィン酸エチル、および、ヒドロキノン、エピクロロヒドリンは、商業的に入手可能な一般物質である。
Figure 2013144653
以下
CycCar=2ーオキソ−1,3−ジオキソリル基
R1−R2=ジフェニレン基
R3=化14に示した基(IV)
である化合物の下記化21の合成例(XXI)について、具体的に詳述する。
なお、以下の合成例において出発原料である化合物(B)については、新日鉄化学よりエポトート FX−305EK70として入手可能である。
Figure 2013144653
〔合成例〕
フラスコにアンモニウム系イオン性化合物(触媒)としてN,N,N−トリエチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムブロマイドを0.50mmolを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)10.0gを加える。また、この液に上記化合物(B)(10−(2’,5’−ジグリシジルエーテルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド)29.71g(68.1mmol)を加える。
この反応容器を還流管に取り付け、CO2を流しながら20分間反応液中に導入して室温、常圧でバブリングした。次いで玉栓で反応溶器を密閉した後、還流管の頭頂部の三方コックにおいて前記模擬排ガスを流しながら80℃で24時間加熱撹拌した。
反応終了後、反応溶液を蒸留水2Lに投入して得られた白色固体をガラスフィルターでろ過することにより、生成物として前記化21の反応式(XXI)に示される環状カーボネート構造を有するホスフィン酸エステル化合物が32.20g、収率99%で得られた。
得られた環状カーボネート構造を有するホスフィン酸エステル化合物の1HNMR(CDCl3)スペクトルは、8.3−6.2,m,(芳香族プロトン),4.94,bs,(環状カーボネート構造のプロトン),4.48,m,(環状カーボネート構造のプロトン),4.2−2.8,m,(環状カーボネート構造のプロトンとオキシメチレン部分のプロトン),1.82,s,(水酸基のプロトン)であった。
また、得られた環状カーボネート構造を有するホスフィン酸エステル化合物のC=O伸縮振動(IR)は1793cm-1であった。
これらのデータより、前記化21の反応式(XXI)で得られた化合物は、10−[4−ジ(2−オキソ−1,3−ジオキソリルメチルオキシ)フェニル]−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドであることが確認できた。
〔使用例〕
上記化21の反応式(XXI)にて得られた化合物および、出発原料としての化合物(B)をポリカーボネート樹脂に添加し(添加割合0〜8質量%)、250℃で混練し、得られた組成物を厚さ3mmの板状に成形し、難燃性試験サンプルを得た。
得られたサンプルをUL94規格難燃性試験に供したところ、いずれの添加割合においても、上記化21の反応式(XXI)にて得られた化合物を添加したポリカーボネート樹脂は燃焼継続時間が減少することがわかった。
化合物(B)をポリカーボネート樹脂に添加する場合でも、添加割合によっては燃焼継続時間が減少する場合もあるが、同じ添加割合で比較した場合においてはいずれの添加割合でも上記化21の反応式(XXI)にて得られた化合物を添加したポリカーボネート樹脂の燃焼継続時間が減少し、すなわち、高い難燃性を発揮することがわかった。
なお、UL94規格難燃性試験においてポリカーボネート樹脂(添加割合0)はV2であったが、上記化21の反応式(XXI)にて得られた化合物の添加割合が4〜8質量%の間でV0に到達した。
なお、UL94規格難燃性試験は、サンプルに対して接炎着火(10秒)後の燃焼継続時間(t1)、t1後直ちに接炎着火(10秒)後の燃焼継続時間(t2)、t2後赤熱燃焼(無炎)時間(t3)および燃焼時のドリップが脱脂綿に着火するか否かによって樹脂の難燃性をクラス分けする性能評価試験である。
また、各サンプルについて燃焼試験を行ったところLOI(%)は表1のようになり、化合物(B)よりも上記化21の反応式(XXI)で得られた生成物のほうがより少ない添加量で高いLOI値が得られることが明らかになった。
なお、燃焼試験は、東洋精機製作所製D型キャンドル式燃焼試験機を用い、サンプルにロウソク様の着火を行い、燃焼が3分間継続できるもしくは50mm高さで継続できる雰囲気の酸素濃度を測定し、限界酸素濃度(LOI(%))を求めたものである。
Figure 2013144653
〔その他の合成手順〕
上記合成反応のほかに、上記合成例に従えば、出発原料を異ならせるだけで、下記化22と化23に示した構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物を合成することができる。
なお、下記化22の反応式(XXII)の出発原料のBis−Aジグリシジルエーテルは、商用的に入手可能であり、下記化23の反応式(XXIII)の出発原料のホスファフェナントレンは三光株式会社よりHCAとして商用的に入手可能であり、フェノール、4−アセチルフェノール等についても商用的に入手可能である。
Figure 2013144653
Figure 2013144653
本発明の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物は、たとえばポリカーボネート樹脂の難燃剤として利用することができる。

Claims (6)

  1. 下記(I)に示される環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物。
    Figure 2013144653
    ただし(I)中、
    CycCarは環状カーボネート構造である。
    nは1以上の自然数である。
    R1は、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキル基およびアリール基より選択される一価の基であり、ここでリン原子に酸素原子が直接結合していない限り、アルキル基中およびシクロアルキル基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリール基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
    R2は、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキル基およびアリール基より選択される一価の基であり、ここで酸素原子にヘテロ原子が直接結合していない限り、アルキル基中およびシクロアルキル基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリール基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
    R1、R2の間には結合が存在して、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキレン基およびアリーレン基より選択される二価の基となっていてもよく、ここでアルキレン基中およびシクロアルキレン基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリーレン基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
    R3は、直鎖もしくは枝分かれ状の、飽和もしくは不飽和のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはメチレン基もしくはエチレン基を介して結合したシクロアルキレン基およびアリーレン基より選択される二価の基もしくは前記二価の基にさらに置換基部を有する三価以上の基であり、ここでリン原子に酸素原子が直接結合していない限り、アルキレン基中およびシクロアルキレン基中のメチン基、メチレン基がヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団によって置き換えられても良く、アリーレン基中にヘテロ原子もしくはヘテロ原子を含む原子団があってもよい。
  2. 前記環状カーボネート構造が、下記化2の(II)に示される2−オキソ−1,3−ジオキソリル基である請求項1に記載の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物。
    Figure 2013144653
  3. 前記R1−R2を下記化3の(III)に示される2,2’−ジフェニレン基とするホスファフェナントレン骨格を有する請求項1または2に記載の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物。
    Figure 2013144653
  4. 前記R3が、下記化4の(IV)破線に示されるヒドロキノンから誘導される構造を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物。
    Figure 2013144653
  5. 下記化5の(V)に示されるエポキシ化合物ホスフィン酸エステルに触媒下で二酸化炭素を作用させて下記化6の(VI)に示される環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物を得る環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物の製造方法。
    Figure 2013144653
    Figure 2013144653
  6. 前記化5の(V)の化合物が、R3として下記化7の(VII)の構造(ただしR4は、R3からオキソメチレン基を除いた残基)を有するとともに、下記化8の(VIII)の化合物にエピクロロヒドリンを作用させて合成される請求項5に記載の環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物の製造方法。
    Figure 2013144653
    Figure 2013144653
JP2012005428A 2012-01-13 2012-01-13 環状カーボネート構造を有する新規なホスフィン酸エステル化合物およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5851250B2 (ja)

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