JP2013141708A - バリ取り工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】被加工穴の内周面に形成されたバリを確実に切削することができるバリ取り工具を提供することを課題とする。
【解決手段】オイル穴3(被加工穴)の内周面に開口した第一連通口4aおよび第二連通口5aに形成されたバリを切削するためのバリ取り工具1であって、軸方向に通気穴12が貫通している円筒状の軸部材10と、軸部材10の先端部10aを切り欠いた部位の表面に形成された切削刃20と、軸部材10の周壁部11を貫通して通気穴12に連通している吐出穴30と、を備え、第一連通口4aと第二連通口5aとの間隔が、切削刃20と吐出穴30との間隔と同じであるオイル穴3に用いられる。
【選択図】図4

Description

本発明は、被加工穴の内周面に開口した連通口に形成されたバリを切削するためのバリ取り工具に関する。
クランクシャフトに設けられたオイル供給路のように、複数のオイル穴が交差しているクロス穴を加工したときには、オイル穴の内周面に開口した連通口の開口縁部にバリが形成される。
オイル穴の内周面に形成されたバリを切削するためのバリ取り工具としては、軸部材の外周面に形成された凹溝を利用してバリを切削するものがある。このバリ取り工具では、軸部材をオイル穴に挿入し、凹溝を連通口に対応する位置に配置して、軸部材を軸回り回転させることで、凹溝にバリを入り込ませて切削することができる。
他のバリ取り工具としては、円筒状の軸部材の開口縁部を、先端に向かうに従って薄く形成したものがある。このバリ取り工具では、軸部材をオイル穴に挿入したときに、鋭利な開口縁部によってバリを切削することができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−009623号公報
凹溝が形成されたバリ取り工具では、凹溝にバリが入り込み難いため、バリを切削することができない場合がある。
開口縁部でバリを切削するバリ取り工具では、バリの切削を繰り返すことで開口縁部が磨耗すると、バリを切削することができない場合がある。
また、前記した各バリ取り工具では、軸部材によってオイル穴の底部に押し込まれたバリを切削することができないという問題がある。
本発明は、被加工穴の内周面に形成されたバリを確実に切削することができるバリ取り工具を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、被加工穴の内周面に開口した第一連通口および第二連通口に形成されたバリを切削するためのバリ取り工具であって、軸方向に通気穴が貫通している円筒状の軸部材と、前記軸部材の先端部を切り欠いた部位の表面に形成された切削刃と、前記軸部材の周壁部を貫通して前記通気穴に連通している吐出穴と、を備え、前記第一連通口と前記第二連通口との間隔が、前記切削刃と前記吐出穴との間隔と同じである前記被加工穴に用いられることを特徴としている。
この構成では、軸部材を被加工穴に挿入して、切削刃をバリに対応する位置に配置し、軸部材を回転させることで、切削刃によってバリを切削することができる。
また、切削刃を第一連通口に対応させ、軸部材を回転させるとともに、通気穴に圧縮空気を供給したときに、吐出穴が第二連通口に連通し、吐出穴から第二連通口に圧縮空気が排出されると、軸部材の先端部から排出される圧縮空気の圧力が小さくなる。つまり、軸部材の先端部から排出される圧縮空気に脈動が生じる。そして、脈動する圧縮空気がバリに吹き付けられることで、バリが揺動して姿勢が変化するため、バリを切削刃に接触させ易くなる。
また、吐出穴から第二連通口に排出された圧縮空気によって、第二連通口内の切粉を除去することができる。
前記したバリ取り工具を、先端部に底部が形成されるとともに、先端部近傍の内周面に前記第一連通口が開口している前記被加工穴に用いた場合には、軸部材によって被加工穴の底部にバリが押し込まれても、軸部材の先端部に形成された切り欠き部にバリが入り込み、切削刃にバリが接触するため、バリを確実に切削することができる。
前記したバリ取り工具において、前記軸部材の周壁部の先端部を、略半周に亘って切り欠いた部位の表面に前記切削刃を形成した場合には、切削刃が大きくなり、バリを切削刃に接触させ易くなるため、バリをより確実に切削することができる。
前記したバリ取り工具の前記吐出穴を、前記周壁部において径方向の片側のみに形成した場合には、軸部材の先端部から排出される圧縮空気を効果的に脈動させることができるため、切削刃によってバリを確実に切削することができる。
本発明のバリ取り工具では、被加工穴の内周面に形成されたバリを確実に切削することができる。特に、軸部材によって被加工穴の底部に押し込まれたバリを確実に切削することができる。
本実施形態のバリ取り工具を示した図で、(a)は全体斜視図、(b)は先端側から見た図である。 本実施形態のバリ取り工具およびオイル穴を示した側面図である。 本実施形態のバリ取り工具を用いて、第二連通口に形成されたバリを切削する態様を示した側面図である。 本実施形態のバリ取り工具を用いて、第一連通口に形成されたバリを切削する態様を示した側面図である。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、クランクシャフトに設けられたオイル供給路を構成するオイル穴の内周面に形成されたバリを切削するためのバリ取り工具について説明する。
オイル供給路2aは、図2に示すように、複数のオイル穴3,4,5が交差しているクロス穴によって構成されている。各オイル穴3,4,5は、ドリル等の工具によってクランクシャフト2に加工されている。
有底円筒状のオイル穴3(特許請求の範囲における「被加工穴」)には、円筒状の他のオイル穴4,5が交差しており、オイル穴3の内周面には、他のオイル穴4,5の連通口4a,5aが開口している。この連通口4a,5aの開口縁部には、他のオイル穴4,5を加工したときに形成されたバリ(図示せず)がオイル穴3の内側に突出している。
オイル穴3は、クランクシャフト2の表面から直線状に穿設された有底円筒状の止まり穴である。オイル穴3の先端部3aには、先端側に向かうに従って縮径された円錐状の底面3bが形成されている。
オイル穴3の先端部3aの近傍には、他のオイル穴4の第一連通口4aが開口するとともに、先端側のオイル穴4よりも開口部3c側で、オイル穴3の軸方向の中間領域には、他のオイル穴5の第二連通口5aが開口している。
バリ取り工具1は、図1(a)に示すように、軸部材10と、軸部材10の先端部10aに形成された切削刃20と、軸部材10の周壁部11に形成された吐出穴30と、を備えている。また、軸部材10の先端面の外周縁部にはテーパ面10cが形成されている。
軸部材10は、図4に示すように、オイル穴3に内嵌される円筒状の金属部材であり、中心部には円筒状の通気穴12が軸方向に貫通している。
また、軸部材10の先端部10aをオイル穴3の底面3bに当接させた状態では、軸部材10の基部10bがオイル穴3の開口部3cから突出している。さらに、軸部材10をオイル穴3に挿入した状態では、軸部材10の外周面とオイル穴3の内周面との間に僅かに隙間が形成され、軸部材10がオイル穴3内で軸回りに回転自在となっている。
軸部材10の先端部10aには、周壁部11の先端縁部11aを切り欠いた切り欠き部11cが形成されている。
切り欠き部11cは、周壁部11の先端縁部11aにおいて、図1(b)の上半分を略半周に亘って切り欠いた部位である。また、切り欠き部11cは、側面視で円弧状に形成されている(図2参照)。
図4に示すように、切り欠き部11cの軸方向の長さは、第一連通口4aおよび第二連通口5aの直径よりも大きく形成されている。
軸部材10のテーパ面10cを、オイル穴3の底面3bに当接させた状態では、切り欠き部11cが第一連通口4aに対応する位置に配置される。
なお、切り欠き部11cが第一連通口4aに対応する位置とは、軸部材10(オイル穴3)の軸方向において、切り欠き部11cと第一連通口4aとが同じ位置に配置される位置である。
切り欠き部11cが第一連通口4aに対応する位置に配置された状態で、軸部材10を軸回りに回転させると、切り欠き部11cと第一連通口4aとが断続的に対峙する。
なお、本実施形態では、切り欠き部11cの軸方向の大きさが第一連通口4aおよび第二連通口5aの直径よりも大きく形成されている。
切削刃20は、図1(a)および(b)に示すように、切り欠き部11cの表面に形成されている。
図3に示すように、切削刃20を第二連通口5aに対応する位置に配置して、軸部材10を軸回りに回転させると、切削刃20の縁部が第二連通口5a上を摺動することで、第二連通口5aの開口縁部に形成されたバリが切削される。
同様に、図4に示すように、切削刃20を第一連通口4aに対応する位置に配置して、軸部材10を軸回りに回転させると、切削刃20の縁部が第一連通口4a上を摺動することで、第一連通口4aの開口縁部に形成されたバリが切削される。
吐出穴30は、図1(a)および(b)に示すように、周壁部11を径方向に貫通して 通気穴12に連通している円筒状の穴である。吐出穴30は、軸部材10の軸方向の中間領域に形成されている。
本実施形態では、周壁部11において径方向の片側(図1(b)の右側)に一つの吐出穴30が形成されている。
吐出穴30は、第二連通口5a(図4参照)よりも小径に形成されており、図4に示すように、軸部材10のテーパ面10cを、オイル穴3の底面3bに当接させ、切り欠き部11cを第一連通口4aに対応する位置に配置した状態では、吐出穴30が第二連通口5aに対応する位置に配置される。
このように、本実施形態のバリ取り工具1は、第一連通口4aと第二連通口5aとの間隔が、切削刃20と吐出穴30と同じ間隔であるオイル穴3に適用される。
なお、吐出穴30が第二連通口5aに対応する位置とは、軸部材10(オイル穴3)の軸方向において、吐出穴30と第二連通口5aとが同じ位置に配置される位置である。
吐出穴30を第二連通口5aに対応する位置に配置して、軸部材10を軸回りに回転させると、吐出穴30が第二連通口5aに対して断続的に連通する。
次に、オイル穴3の連通口4a,5aに形成されたバリを、前記したバリ取り工具1によって切削する手順について説明する。
まず、図2に示すように、軸部材10の基部10bを工具ホルダ6に取り付け、工具ホルダ6内に設けられた圧縮空気の供給路を通気穴12の基端部に連結する。
図3に示すように、軸部材10をオイル穴3の開口部3cに挿入して、切削刃20(切り欠き部11c)を第二連通口5aに対応する位置に配置する。
工具ホルダ6(図2参照)を回転駆動させ、軸部材10を軸回りに回転させ、切削刃20によって第二連通口5aの開口縁部に形成されたバリを切削する。
第二連通口5aの開口縁部に形成されたバリを切削した後に、図4に示すように、軸部材10をオイル穴3の先端側に移動させ、軸部材10のテーパ面10cを底面3bに当接させる。
これにより、切削刃20(切り欠き部11c)が第一連通口4aに対応する位置に配置され、吐出穴30が第二連通口5aに対応する位置に配置される。
そして、軸部材10を軸回りに回転させ、切削刃20によって第一連通口4aの開口縁部に形成されたバリを切削する。
また、通気穴12に圧縮空気を供給して、軸部材10の先端部10aから第一連通口4aに圧縮空気を排出させることで、開口部3c側のオイル穴5内の切粉が除去される。
なお、軸部材10が回転して吐出穴30が第二連通口5aに連通したときには、圧縮空気が吐出穴30を通じて第二連通口5aに排出されるため、軸部材10の先端部10aから排出される圧縮空気の圧力が、吐出穴30が第二連通口5aに連通していないときよりも小さくなる。すなわち、回転する軸部材10が半周ごとに第二連通口5aに連通し、そのときだけ、軸部材10の先端部10aから排出される圧縮空気の圧力が小さくなる。これにより、軸部材10の先端部10aから排出される圧縮空気に脈動が生じる。
以上のようなバリ取り工具1では、図3および図4に示すように、切削刃20を他のオイル穴4,5との連通部位に対応する位置に配置して、軸部材10を回転させることで、切削刃20によって連通部位に形成されたバリを切削することができる。
本実施形態では、図1(b)に示すように、軸部材10の周壁部11の先端縁部11aを、略半周に亘って大きく切り欠いた部位の表面に切削刃20が形成されており、バリを切削刃20に接触させ易くなっているため、バリを確実に切削することができる。
また、図4に示すように、吐出穴30を第二連通口5aに対応する位置に配置した状態では、脈動する圧縮空気がバリに吹き付けられることで、バリが揺動して姿勢が変化し、バリを切削刃20に接触させ易くなるため、バリを確実に切削することができる。
特に、軸部材10によってオイル穴3の底部(先端側)にバリが押し込まれている場合でも、軸部材10の先端部10aに形成された切り欠き部11c内にバリを入り込ませて切削することができる。
本実施形態では、図1(b)に示すように、吐出穴30が周壁部11において径方向の片側のみに形成されているため、軸部材10の先端部10aから排出される圧縮空気を効果的に脈動させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、図1(a)に示す切り欠き部11cの形状は限定されるものではない。また、オイル穴3の内周面に開口している連通口の数に合わせて、複数の吐出穴30を軸部材10の軸方向に形成してもよい。
1 バリ取り工具
2 クランクシャフト
2a オイル供給路
3 オイル穴
3a 先端部
3b 底面
3c 開口部
4 先端側のオイル穴
4a 第一連通口
5 開口部側のオイル穴
5a 第二連通口
6 工具ホルダ
10 軸部材
10a 先端部
10b 基部
10c テーパ面
11 周壁部
11a 先端縁部
11c 切り欠き部
12 通気穴
20 切削刃
30 吐出穴

Claims (4)

  1. 被加工穴の内周面に開口した第一連通口および第二連通口に形成されたバリを切削するためのバリ取り工具であって、
    軸方向に通気穴が貫通している円筒状の軸部材と、
    前記軸部材の先端部を切り欠いた部位の表面に形成された切削刃と、
    前記軸部材の周壁部を貫通して前記通気穴に連通している吐出穴と、を備え、
    前記第一連通口と前記第二連通口との間隔が、前記切削刃と前記吐出穴との間隔と同じである前記被加工穴に用いられることを特徴とするバリ取り工具。
  2. 前記切削刃は、前記軸部材の周壁部の先端部を、略半周に亘って切り欠いた部位の表面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバリ取り工具。
  3. 前記吐出穴は、前記周壁部において径方向の片側のみに形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバリ取り工具。
  4. 前記バリ取り工具は、先端部に底部が形成されるとともに、先端部の近傍の内周面に前記第一連通口が開口している前記被加工穴に用いられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバリ取り工具。
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