JP2013107150A - トレパニング工具 - Google Patents

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丞 堀江
Takanobu Yamada
孝信 山田
Tetsuo Hamada
哲男 濱田
Hiroyuki Fujiwara
洋行 藤原
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Abstract

【課題】切り屑を効果的に排出でき、ブレードに切削油を供給できるトレパニング工具とする。
【解決手段】筒部111の先端部にブレード112が取り付けられており、嵌合ピン115pを有するガイド115が筒部111内に摺動自在に配置され、筒部111の基端面は閉塞板113等で閉塞されている。閉塞板113等には油路R1が、ガイド115には油路R2が形成されている。外部から油路R1を介して切削油CFを油室116に供給すると、この切削油CFは、油路R2を通ってパイロット穴PHに供給され、更に部材間の隙間を通ってブレード112に達し、最後は円環溝Gを通って外部に排出される。これによりブレード112に切削油CFを供給でき、且つ、切り屑を切削油CFの流れに沿い外部に押し流す。
【選択図】図5

Description

本発明はトレパニング工具に関するものであり、切り屑を効果的に排出することができると共に、ブレードに切削油を供給できるようにして切削効率を向上させたものである。
穴あけ加工では、通常、ドリルなどの穿孔工具による加工が行われている。このようなドリルなどの穿孔工具により、厚肉部品に対して大径穴の穴あけ加工をする場合には、切り屑として除去する体積が大きくなるため、その穿孔に時間がかかる。
そのため、厚肉部品に対して大径穴の穴あけをする場合には、トレパニング工具を用いて、内部にコア(芯材)を残しつつくり抜くようにして、穴あけを行ったほうが、加工能率は高くなる。
ここで従来のトレパニング工具の一般的な例を、その一部を断面にして示す図6、図6のVII矢視図である図7、ワークに対して加工をしている状態を示す図8を参照して説明する。
図6〜図8に示すように、トレパニング工具10では、円筒状の筒部11の先端部(図6では左側の端部)に、複数個のブレード12が取り付けられている。
このとき、図7(a)に示すように、各ブレード12が、筒部11の先端部において、周方向に沿い均等間隔に配置されていることもあるが、図7(b)に示すように、各ブレード12が、筒部11の先端部において、周方向に沿い不均等間隔に配置されていることもある。
トレパニング工具10により穴あけ加工をするときには、トレパニング工具10を、その軸心Sを回転中心としてα方向に沿い回転させる。
このように回転しているトレパニング工具10の先端側(つまりブレード12)を、鋼材などのワークWに宛てがいつつ、トレパニング工具10を、その軸心Sに沿いβ方向に押し付けていくと、穴あけ加工を行うことができる(図8参照)。
つまり、周方向に沿い回転している複数のブレード12によりワークWを切削し、しかも、回転している複数のブレード12がβ方向に徐々に進行していくため、複数のブレード12は螺旋状の経路に沿い切削しつつ進んでいく。この結果、筒部11の外周面11aの外側(外周側)にはリング状の円周溝Gが形成され、筒部11の内周面11bの内側(内周側)にはコア(芯材)W1が残る。
このようにして穴あけ加工をしていくに伴い、連続して繋がった長い切り屑が発生する。この切り屑は、円周溝Gを通って外部に排出される。
ワークWに対する穴あけ加工が進み、円周溝GがワークWの一端側(図8では右端側)から他端側(図8では左端側)にまで貫通したら、トレパニング工具10をワークWから引き抜く。そして、円柱状になったコア(芯材)W1も取り除く。
かかる作業により、ワークWに、直径がDとなっている大径穴を形成することができる。
実開平3−87517号公報
ところで、トレパニング工具を用いて大径穴を形成する加工では、連続して繋がった長い切り屑が発生しやすくなる。そして、発生した長いカールした切り屑が、トレパニング工具10の筒部11の外周面11aに連続的に巻き付いたり、円周溝Gの中で詰まったりする、という問題があった。
また、切削が進んでくると図8に示すように、ブレード12は厚肉のワークWの奥深くの部分で切削を行う。このため、ワークWの奥深くに位置するブレード12にまで、切削油を供給することは、従来技術ではなかなか困難であった。
このように従来では、ワークWの奥深くに位置するブレード12に対して、切削油を供給することができないため、切削油により、ブレード12の冷却をしたり、潤滑作用を奏したりすることができなかった。
本発明は、上記従来技術に鑑み、発生した切り屑を外部に効果的に排出することができると共に、穴あけ加工中においてもブレードに切削油を供給することができる、トレパニング工具を提供することを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の構成は、
円筒状の筒部と、前記筒部の先端部に取り付けられたブレードとを備えたトレパニング工具において、
前記筒部の基端側の端面を閉塞する閉塞部材と、
円柱状をなすとともに外周面が前記筒部の内周面に液密に接しつつ、前記筒部の軸心に沿う方向に摺動移動自在となっており、先端面の中心に嵌合ピンが突設されているガイドと、
前記筒部の内周面と前記ガイドの基端面と前記閉塞部材とにより囲まれて形成された油室に、外部から切削油を供給するため、前記閉塞部材に形成された第1の油路と、
前記ガイドの基端面から前記嵌合ピンの表面に至るよう形成された第2の油路を備えていることを特徴とする。
また本発明の構成は、
前記のトレパニング工具において、
前記嵌合ピンの表面は、前記嵌合ピンの周面または先端面の少なくとも一方を含む面であることを特徴とする。
また本発明の構成は、
前記のトレパニング工具において、
前記筒部の先端部には、1個のブレードが取り付けられていること、または、前記筒部の先端部には、複数個のブレードが前記筒部の周方向に沿い間隔をあけて配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、切削油の流れにより切り屑を押し流して外部に排出できるようにしたので、切り屑の排出を効果的に行うことができる。これにより、切り屑がトレパニング工具の外周面に巻き付いたり、切り屑が排出経路の途中で詰まったりするという、従来の不具合を解消することができる。
また、穴あけ加工中においても、切削油をブレードに供給することができるため、切削効率を向上させることができる。
本発明の実施例に係るトレパニング工具を、一部を断面にして示す構成図。 図1のII矢視図。 ワークを示す断面図。 本発明の実施例に係るトレパニング工具により、穴あけ加工をしている状態を示す構成図。 本発明の実施例に係るトレパニング工具により、穴あけ加工をしている状態を示す構成図。 従来のトレパニング工具を示す断面図。 図6のVII矢視図。 従来のトレパニング工具により、穴あけ加工をしている状態を示す構成図。
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
<構成の説明>
本発明の実施例にかかるトレパニング工具110の構成を、その一部を断面にして示す図1、図1のII矢視図である図2を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施例に係るトレパニング工具110では、円筒状の筒部111の先端部(図1では左側の端部)に、複数個(本例では4個)のブレード112が取り付けられている。
このとき、図2(a)に示すように、各ブレード112が、筒部111の先端部において、周方向に沿い均等間隔に配置されていることもあるが、図2(b)に示すように、各ブレード112が、筒部111の先端部において、周方向に沿い不均等間隔に配置されていることもある。
なお本実施例では、筒部111に複数個のブレード112を備えた複刃のトレパニング工具としているが、筒部111に1個のブレード112を備えた単刃のトレパニング工具であってもよい。
筒部111の基端部(図1では右側の端部)には、筒部111の基端部側の端面を閉塞する状態で、閉塞板113が固定されている。さらに、閉塞板111には把持部114が取り付けられている。
本実施例では、閉塞板113と把持部114により、筒部111の基端部側の端面を閉塞する閉塞部材が構成されている。
ガイド115は円柱状をなしており、その外周面が筒部111の内周面に緊密(液密)に接触する状態で、筒部111の内部に配置されている。このガイド115は、筒部111の内部空間において、トレパニング工具110(筒部111)の軸心Sに沿う方向に移動(摺動移動)することができるようになっている。
ガイド115の先端面(図1では左側の端面である円端面)115aの中心には、嵌合ピン115pが突設されている。
上記の筒部111の内周面111bと、ガイド115の基端面115bと、閉塞板113とで囲まれて、油室116が形成されている。
閉塞部材である閉塞板113と把持部114には、工作機械(図示省略)から供給されてくる切削油CFを、油室116内に導く油路R1が形成されている。
ガイド115には、その基端面115bから、嵌合ピン115pの周面及び先端面に至る油路R2が形成されている。ここでは、嵌合ピン115pの周面及び先端面に臨む油路R2の開口穴を、油吐出穴hとする。
なお本実施例では、嵌合ピン115pの周面及び先端面に、油路R2の開口穴である油吐出穴hを形成しているが、嵌合ピン115pの周面及び先端面のいずれか一方にのみ、吐出穴hを形成することも可能である。
要は、嵌合ピン115pの表面に吐出穴hが形成されていればよい。
<動作手順及び作用効果の説明>
次に、厚肉のワークWに穴あけ加工する動作手順を説明する。
先ず図3に示すように、ワークWの表面(図3では右端面)に、ドリル加工等によりパイロット穴PHを予め形成しておく。パイロット穴PHの大きさ(径)は、ガイド115の嵌合ピン115pが緊密に嵌合できる大きさ(径)にする。
トレパニング工具110の把持部114を工作機械(図示省略)の把持機構で把持し、図4に示すように、トレパニング工具110の先端側(つまりブレード112)を、鋼材などのワークWの表面に宛てがい、しかも、トレパニング工具110の軸心Sとパイロット穴PHの中心とを位置合わせする。
工作機械(図示省略)から油路R1を介してトレパニング工具110の油室116に切削油CFを供給する。
切削油CFの供給前では、ガイド115が、図4に点線で示すように、筒部111の基端側(図4では右端側)に位置して閉塞板113に接触していたとすると、切削油CFを
供給するとその圧力により、ガイド115は、軸心Sに沿いβ方向(閉塞板113からブレード112に向かう方向)に押し出されて移動(摺動移動)していく。
図4に実線で示すように、移動していったガイド115が、筒部111の先端側(図4では左端側)に達すると、嵌合ピン115pがパイロット穴PHに嵌合する。
ガイド115の嵌合ピン115pがパイロット穴PHに嵌合した状態のままで、トレパニング工具110を、その軸心Sを回転中心としてα方向に沿い回転させる。
このように回転しているトレパニング工具110の先端側(つまりブレード112)を、鋼材などのワークWに宛てがいつつ、トレパニング工具110を、その軸心Sに沿いβ方向に押し付けていくと、穴あけ加工を行うことができる。
つまり、周方向に沿い回転している複数のブレード112によりワークWを切削し、しかも、回転している複数のブレード112がβ方向に徐々に進行していくため、複数のブレード112は螺旋状の経路に沿い切削しつつ進んでいく。
この結果、図5に示すように、筒部111の外周面111aの外側(外周側)にはリング状の円周溝Gが形成され、筒部111の内周面111bの内側(内周側)にはコア(芯材)W1が残る。
このような穴あけ加工を行っているときには、工作機械(図示省略)から油路R1を介して油室116内に切削油CFが連続的に供給される。
供給圧がかかっている切削油CFは、油室116から油路R2を通り、嵌合ピン115pの周面及び先端面に形成された油吐出穴hから、パイロット穴PH内に吐出される。
パイロット穴PH内に吐出された切削油CFは、「パイロット穴PHの内周面と嵌合ピン115pの外周面との間の隙間」→「ワークWの表面(図5では右端面)とガイド115の先端面115aとの間の隙間」→「コア(芯材)W1の外周面と筒部111の内周面111bとの間の隙間」→「筒部111の先端部及びブレード112」→「円周溝G」という経路を通って流れ、外部に排出される。
このようにして切削油CFが流れるため、切削油CFが筒部111の先端部やブレード112に接触するため、切削油CFにより、ブレード112の冷却をしたり潤滑作用を奏したりすることができる。
よって、ワークWの奥深くに位置して切削をするブレード112を効果的に冷却しつつ切削効率を向上させることができる。
このようにして穴あけ加工をしていくに伴い、連続して繋がった長い切り屑が発生する。この切り屑は、円周溝Gを通って外部に排出される。
このとき、切削油CFが円周溝G内をブレード112の位置からワークWの表面に向かって流れるため、円周溝G内に入った切り屑は切削油CFの流れにより押し流され、円周溝Gを通ってスムーズに外部に排出される。
よって、発生した長い切り屑が、トレパニング工具110の筒部111の外周面111aに連続的に巻き付いたり、円周溝Gの中で詰まったりする、という問題が解消される。
ワークWに対する穴あけ加工が進み、円周溝GがワークWの一端側(図5では右端側)から他端側(図5では左端側)にまで貫通したら、切削油CFの供給を停止し、トレパニング工具110をワークWから引き抜く。そして、円柱状になったコア(芯材)W1も取り除く。
かかる作業により、ワークWに、直径がDとなっている大径穴を形成することができる。
上記の穴あけ加工の際には、ガイド115の嵌合ピン115pがパイロット穴PHに嵌合しているため、穴あけ加工中において、トレパニング工具110の回転中心がずれないように固定される。
これにより、形成した大径穴の加工精度(例えば、穴径、真円度、表面粗さ、穴の真直度)が向上する。
110 トレパニング工具
111 筒部
112 ブレード
113 閉塞板
114 把持部
115 ガイド
115p 嵌合ピン
116 油室
R1、R2 油路
h 油突出穴
CF 切削油
W ワーク
W1 コア(芯材)
PH パイロット穴

Claims (3)

  1. 円筒状の筒部と、前記筒部の先端部に取り付けられたブレードとを備えたトレパニング工具において、
    前記筒部の基端側の端面を閉塞する閉塞部材と、
    円柱状をなすとともに外周面が前記筒部の内周面に液密に接しつつ、前記筒部の軸心に沿う方向に摺動移動自在となっており、先端面の中心に嵌合ピンが突設されているガイドと、
    前記筒部の内周面と前記ガイドの基端面と前記閉塞部材とにより囲まれて形成された油室に、外部から切削油を供給するため、前記閉塞部材に形成された第1の油路と、
    前記ガイドの基端面から前記嵌合ピンの表面に至るよう形成された第2の油路、
    を備えていることを特徴とするトレパニング工具。
  2. 請求項1のトレパニング工具において、
    前記嵌合ピンの表面は、前記嵌合ピンの周面または先端面の少なくとも一方を含む面であることを特徴とするトレパニング工具。
  3. 請求項1または請求項2のトレパニング工具において、
    前記筒部の先端部には、1個のブレードが取り付けられていること、または、前記筒部の先端部には、複数個のブレードが前記筒部の周方向に沿い間隔をあけて配置されていることを特徴とするトレパニング工具。
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