JP2013139170A - タイヤおよびタイヤ成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のタイヤは、トレッド部踏面の少なくとも一部が、輪郭曲線要素のクルトシスRkuが2以下となる表面性状を有する。また、本発明のタイヤ成形用金型は、踏面成形面の少なくとも一部が、輪郭曲線要素のクルトシスRkuが2以下となるものである。
【選択図】図4
Description
例えば、特許文献1では、トレッド部に形成した各ブロックに複数のサイプを設けることにより、接地面内のエッジ成分を増大させると共に、雪噛み効果を向上させて、タイヤの氷雪路面(凍結路面や積雪路面)上での走行性能を向上させる技術が提案されている。
また、例えば、特許文献2では、キャップゴムとベースゴムとからなる、いわゆるキャップアンドベース構造のトレッドゴムを有するタイヤにおいて、キャップゴムとして発泡ゴムを用いることにより、除水性を大幅に向上させ、タイヤの氷上性能および雪上性能を向上させる技術が提案されている。
また、特許文献2に記載の、キャップゴムに発泡ゴムを用いる技術では、発泡ゴムの使用によりブロック全体の剛性が低下する場合があり、タイヤの耐摩耗性が必ずしも十分ではなかった。
更に、特許文献3に記載の、先端が尖った突起部をトレッド部の表面に設ける技術では、突起部の剛性が低いため、特に車両のノーズダイブによる前輪への荷重増大時など、タイヤに大きな荷重が負荷された際に、突起部が潰れて所望の性能が得られなくなる場合があった。即ち、先端が尖った突起部をトレッド部の表面に設ける技術では、図1(b)に示すように、路面Tとの接触により突起部2が潰れ、除水用の空隙3の体積が減少し、除水性が低下してしまう結果、所望の氷上性能および雪上性能が得られない場合があった。従って、特許文献3に記載の技術には、氷上性能および雪上性能をさらに向上させる余地があった。
更にまた、特許文献1〜3に記載の技術を採用したタイヤについて発明者らが検討を重ねた結果、それらの従来のタイヤには、原因は明らかではないが特に新品時に十分な氷上性能および雪上性能が得られないという問題点があることも分かった。そのため、特許文献1〜3に記載の技術には、特にタイヤ新品時の氷上性能および雪上性能を改善する余地があった。
その結果、本発明者は、トレッド部踏面に所定の微細構造を形成すれば、ブロック剛性の低下や除水性の低下を抑制してタイヤの氷上性能および雪上性能をさらに向上させ得ること、並びに、タイヤ新品時であっても十分な氷上性能および雪上性能を発揮させ得ることを見出し、本発明を完成させた。
本発明のタイヤは、トレッド部踏面の少なくとも一部が、輪郭曲線要素のクルトシスRkuが、2以下となる表面粗さを有することを特徴とする。このように、トレッド部踏面(走行時に路面と接地する面)の少なくとも一部が輪郭曲線要素のクルトシスRkuが、2以下となる表面粗さを有することで、ブロック剛性の低下を抑制しつつ、タイヤ表面と路面との間の摩擦力を増大させて、タイヤの氷上性能および雪上性能を向上させることができる。ここで、「Rku」とは、トレッド部踏面の輪郭曲線のクルトシスRku(JIS B 0601(2001年))を意味する。
これにより、上記した、トレッド部踏面の少なくとも一部が、輪郭曲線要素のクルトシスRkuが、2以下となる表面粗さを有する、氷上性能および雪上性能に優れるタイヤを成形することができるからである。
図2は、本発明のタイヤの一実施形態のタイヤ幅方向断面図である。
図2に示すように、本実施形態のタイヤ20は、一対のビード部4と、各ビード部4からそれぞれタイヤ径方向外方に延びる一対のサイドウォール部5と、該サイドウォール部5間に跨って延びるトレッド部6とを有している。
また、本実施形態のタイヤ20は、一対のビード部4に埋設された一対のビードコア4a間にトロイダル状に跨るカーカス7と、該カーカス7のタイヤ径方向外側に配設された2層のベルト層8a、8bからなるベルト8とを有している。更に、ベルト8のタイヤ径方向外側には、非発泡ゴムよりなるトレッドゴムが配設されている。
なお、図3では、突起部9が半球状の突起部である場合を示しているが、本発明のタイヤでは、突起部は、裁頭円錐状、裁頭角錐状といった、図7(a)に示すような断面台形状のものや、円柱状、角柱状といった、図7(b)に示すような断面矩形状のものや、図7(c)に示すような裁頭半球状のものなど、様々な形状のものとすることができる。
即ち、このタイヤ20では、トレッド部踏面が、輪郭曲線要素のクルトシスRkuが、2以下となる表面粗さを有する表面性状であるので、路面との接地時に、突起部9間の空隙を利用して路面上の水膜を除去する(除水性を発揮する)ことができる。また、トレッド部踏面と路面との間の摩擦力を増大させて、タイヤの氷上性能および雪上性能を向上させることができる。
なお、このタイヤ20では、所定の形状を有する微小突起部9の形成により除水性の低下の抑制および氷上性能および雪上性能の向上を達成しているので、過剰な数のサイプを形成したり、発泡ゴムを使用したりする必要がない。
また、このタイヤ20では、原因は明らかではないが、新品時(未使用状態)であっても十分な氷上性能および雪上性能を発揮することができる。
ここで、突起部9の高さは、突起部9の先端(タイヤ径方向外端)を通って延びるタイヤ径方向線に直交する第1仮想平面と、突起部9の外輪郭線に接し且つ前記タイヤ径方向線に直交する仮想平面のうち前記第1仮想平面に最も近い第2仮想平面との間のタイヤ径方向に沿う距離をいうものとする。
なお、突起部9の高さは、SEM、マイクロスコープにより測定することができる。
Rsk<0
を満たす表面粗さを有することが好ましい。
これにより、ブロック剛性の低下をさらに抑制しつつ、除水性の低下をさらに抑制して、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに向上させることができる。すなわち、トレッド部踏面の輪郭曲線のスキューネスRskが、
Rsk<0
を満たすため、ブロック剛性の低下や除水性の低下をさらに抑制しつつ、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに十分に向上させることができる。即ち、上記タイヤは、表面性状がRsk<0であるため、タイヤに大きな荷重が負荷された際であっても、突起部が剛性の高い形状であるため、突起部が潰れ難く、従って、ブロック剛性を確保することができ、さらに、除水経路も確保することができる。
なお、本発明のタイヤでは、突起部9が形成されている部分は、
Rsk<−0.1
を満たすような表面性状を有していることがさらに好ましい。
ここで、「Rsk」とは、上述の通り、トレッド部踏面の輪郭曲線のスキューネスRsk(JIS B 0601(2001年))を意味する。なお、「Rsk」及び「Rku」は、単位長さ(1mm)での値を測定するものとする。
50μm≦RSm≦250μm
を満たす表面性状を有することが好ましい。
このように、トレッド部踏面の少なくとも一部を、RSmが50〜250μmとなるようにすれば、ブロック剛性の低下をさらに抑制しつつ、タイヤ表面と路面との間の摩擦力をさらに増大させて、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに向上させることができる。また、除水性の低下をさらに抑制することができる。また、トレッド部の踏面のRSmが50〜250μmであるので、ブロック剛性の低下や除水性の低下をさらに抑制しつつ、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに十分に向上させることができる。
即ち、トレッド部の踏面のRSmが50μm以上であるので、突起部の外径および突起部間の距離を十分に大きくすることができる。従って、路面との接地時に、突起部9間の空隙を利用した路面上の水膜の除去と、トレッド部踏面と路面との間の摩擦力の増大による氷上性能および雪上性能の向上とを両立させることができる。
更に、トレッド部の踏面のRSmが250μm以下であるので、トレッド部踏面に十分な数の突起部を高い密度で形成して、トレッド部踏面と路面との間の摩擦力を十分に増大させることができる。
なお、本発明のタイヤでは、トレッド部踏面の面積の90%以上の範囲に亘って、RSmが50〜250μmであることが好ましい。トレッド部踏面の面積の90%以上に亘って、RSmを50〜250μmとすれば、表面性状を所定の範囲内とすることで得られる効果を十分に大きくすることができるからである。
ここで、このタイヤ20では、トレッド部踏面のRSmが60〜150μmであることがさらに好ましい。トレッド部踏面のRSmを60μm以上とすれば、除水性を十分に向上させることができると共に、レッド部踏面と路面との間の摩擦力を十分に増大させることができるからである。また、トレッド部踏面のRSmを150μm以下とすれば、トレッド部踏面と路面との間の摩擦力を十分に増大させることができるからである。
ここで、「RSm」は、トレッド部踏面の輪郭曲線要素の平均長さを指す。そして、「RSm」は、JIS B 0601(2001年)に準拠して測定することができる。
これにより、ブロック剛性の低下をさらに抑制しつつ、除水性の低下をさらに抑制して、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに向上させることができる。また、トレッド部踏面の表面粗さを、Raが1μm以上50μm以下となるようにすれば、ブロック剛性の低下や除水性の低下をさらに抑制しつつ、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに十分に向上させることができる。即ち、トレッド部踏面の表面性状について、Raが1μm以上であるため、除水経路を確保することができる。一方で、Raが50μm以下であるため、高荷重時でもブロック剛性を保つことができる。なお、微小突起部9が形成されている部分はRaが10μm以上40μm以下となる表面粗さを有するような表面性状を有していることがさらに好ましい。
ここで、「Ra」とは、トレッド部踏面の算術平均粗さRa(JIS−B−0601(2001年))を意味する。
なぜなら、Rzが1.0μm以上であることにより、除水用の空隙を確保することができ、一方で、Rzが50μm以下であることにより、路面との接触面積を確保することができるからであり、これらにより、タイヤの氷上性能及び雪上性能をさらに向上させることができるからである。
ここで、「十点平均粗さRz」とは、JIS B 0601(1994年)の規定に準拠して測定されるものであり、基準長さを0.8mm、評価長さを4mmとして求めたものである。
なぜなら、間隔Sが5.0μm以上であることにより、除水用の空隙を確保することができ、一方で、間隔Sが100μm以下であることにより、路面との接触面積を確保することができるからであり、これらにより、タイヤの氷上性能及び雪上性能をさらに向上させることができるからである。
ここで、「局部山頂の平均間隔」は、JIS B 0601(1994年)に準拠して計測されるものであり、基準長さを0.8mm、評価長さを4mmとして求めるものとする。
図5は、本発明のタイヤを成形するのに用いるタイヤ成形用金型の一部を示す概略部分斜視図である。
図5に示すように、この金型10は、タイヤを加硫成形する成形面11を有する。
この成形面11は、トレッド部踏面を形成する踏面成形面11aを有し、図示例では、サイドウォール部の外表面を成形するサイドウォール成形面11b、及びビード部の外表面を成形するビード部成形面11cも有する。
この成形面11は、特には限定しないが、例えばアルミニウムで形成することができる。
本発明のタイヤの、上述した表面性状を有するトレッド部踏面は、当該表面性状に対応した表面性状を有する踏面成形面11aを備えるタイヤ加硫金型10によって形成することができる。具体的には、図6(a)に踏面成形面11aの拡大平面図を示し、図6(b)に金型10の踏面成形面11a側の幅方向に沿う拡大断面図を示し、本実施形態にかかるタイヤ成形用金型10は、タイヤのトレッド部踏面を成形する踏面成形面11aの全体が、輪郭曲線要素のクルトシスRkuが、2以下となる表面粗さを有する。なお、図6では、凹部12が半球状の凹部である場合を示しているが、本発明のタイヤでは、凹部12は、裁頭半球状、裁頭円錐状、裁頭角錐状、円柱状または角柱状の凹部であっても良い。
すなわち、この金型10を用いた、タイヤの加硫工程では、金型10の踏面成形面11aの表面形状が、タイヤのトレッド部踏面の表面形状として転写される。そして、製造されたタイヤのトレッド部踏面は、輪郭曲線要素のクルトシスRkuが、2以下となる表面粗さを有するものとなる。従って、氷上性能および雪上性能に優れたタイヤを成形することができる。
以下、金型10の踏面成形面11aを形成する方法について説明する。
ここで、この投射材投射工程において、上記踏面成形面11a(全面又は一部)は、真球度15μm以下の球形の投射材を投射して衝突させることにより形成することが好ましい。
なぜなら、投射材の真球度を15μm以下とすることにより、金型の踏面成形面に、所望の性状の凹部を多数形成することができるからであり、この金型を用いて成形するタイヤのトレッド部踏面を所望の表面形状とすることができるからである。
投射材の真球度を10μm以下とすれば、金型の踏面成形面に、所望の性状の凹部を容易に多数形成することができるので、その金型を用いて形成したタイヤのトレッド部踏面に所望の形状の突起部を多数形成して、氷上性能および雪上性能にさらに優れたタイヤを成形することができるからである。
また、投射材の真球度は、5μm以下であることがさらに好ましい。
これにより、金型の踏面成形面に、所望の性状の凹部をより容易に形成することができるからである。
なぜなら、投射材の平均粒径を10μm以上とすることにより、踏面成形面に所望の凹部形状を有する金型が得やすくなり、また、投射材投射工程において、高圧下での投射の際に、投射材が周囲に飛散するのを抑制することができ、一方で、投射材の平均粒径を1mm以下とすることにより、金型表面を早期に摩耗させるのを抑制することができるからである。
同様の理由により、投射材の平均粒径は、20μm〜0.7mmとするのがより好ましく、30μm〜0.5mmとするのがさらに好ましい。
ここで、「平均粒径」とは、SEMにより投射材の写真を撮影し、投射材を任意に10個取り出し、それぞれの投射材に接する内接円の直径と外接円の直径との平均を求め、これらを当該10個の投射材で平均した値をいうものとする。
なぜなら、投射材のモース硬度を2以上とすることにより、踏面成形面に所望の凹部形状を有する金型が得やすくなるからである。一方、投射材のモース硬度を10以下とすることにより、金型が早期に痛むのを軽減することができるからである。
同様の理由により、投射材のモース硬度は、3.0〜9.0とするのがより好ましく、5.0〜9.0とするのがさらに好ましい。
また、タイヤ成形用金型のモース硬度は、2.0〜5.0であることが好ましく、タイヤ成形用金型と、投射材とのモース硬度の差は、3.0〜5.0であることが好ましい。
なぜなら、投射材の比重を0.5以上とすることにより、投射工程における投射材の飛散を抑制して作業性を向上させることができるからである。一方、投射材の比重を20以下とすることにより、投射材を加速するためのエネルギーを低減することができ、また、金型の早期の摩耗を抑制することができるからである。
同様の理由により、投射材の比重は、0.8〜18とするのがより好ましく、1.2〜15とするのがさらに好ましい。
なぜなら、投射材を100kPa以上で、30秒以上投射することにより、踏面成形面を満遍なく、上記した所望の形状にすることができ、一方で、投射材を1000kPa以下で、10分以下投射することにより、踏面成形面を損傷させるのを抑制することができるからである。
なお、投射材の比重や投射圧力を調整して、投射材の投射速度を0.3〜10(m/s)とするのが好ましく、0.5〜7(m/s)とするのがより好ましい。
このとき、投射材の投射用のノズルと、タイヤ成形用金型との距離を、50〜200(mm)とすることが好ましい。
ここで、上記投射材の投射時間とは、金型1個当たりの投射時間をいい、例えば金型9個でタイヤを成形する場合には、1個のタイヤを成形する金型9個の踏面成形面に、合計270秒間〜90分間投射することが好ましい。
なお、金型1個の踏面成形面への投射材の投射は、金型の形状等を考慮しながら、作業者が投射する位置をずらしつつ行うことができる。このようにすれば、投射材をより均一に投射することができる。
ここで、凹部12の深さは、凹部12の最深部(径方向内端)を通って延びる径方向線に直交する第3仮想平面と、凹部12の外輪郭線に接し且つ前記径方向線に直交する仮想平面のうち前記第3仮想平面に最も近い第4仮想平面との間の径方向に沿う距離をいうものとする。因みに、「径方向」とは、円環状の踏面成形面の径方向、即ち、金型10を用いて成形されるタイヤのタイヤ径方向に対応する方向を指す。
なお、凹部12の深さは、SEM、マイクロスコープにより測定することができる。
Rsk>0
を満たす表面粗さを有することが好ましい。
これにより、上記した、トレッド部踏面の少なくとも一部が、Rsk<0を満たす表面粗さを有する、氷上性能および雪上性能に優れるタイヤを成形することができるからである。
ここで、金型の踏面成形面は、Rsk>0.1を満たすような表面性状を有していることがさらに好ましい。形成したタイヤのトレッド部踏面をRsk<−0.1を満たすような表面性状として成形することができ、氷上性能および雪上性能に優れたタイヤを成形することができるからである。
踏面成形面のRskは、投射材の投射時間を調整することにより、制御することができる。具体的には、投射材の投射時間を小さくすると、Rskを大きくすることができる。
50μm≦RSm≦250μm
を満たす表面性状を有することが好ましい。
このように、踏面成形面の少なくとも一部を、RSmが50〜250μmとなるようにすれば、トレッド部踏面の少なくとも一部が、RSmが50〜250μmとなる表面性状を有する、氷上性能および雪上性能に優れるタイヤを成形することができるからである。
なお、本発明の金型では、踏面成形面の面積の90%以上の範囲に亘って上記関係式を満たすことが好ましい。踏面成形面の面積の90%以上に亘ってRSmを50〜250μmとすれば、タイヤのトレッド部踏面の90%以上の範囲に亘って表面性状を所定の範囲内とすることができるからである。
ここで、この金型では、踏面成形面のRSmが60〜150μmであることがさらに好ましい。踏面成形面のRSmを60〜150μmとすれば、タイヤのトレッド部踏面のRSmを60〜150μmとすることができるからである。なお、踏面成形面のRSmは投射粒径を調整することにより、制御することができる。具体的には投射粒径を大きくすると、RSmを大きくすることができる。
ここで、本発明において、「RSm」は、上述のように、踏面成形面の輪郭曲線要素の平均長さを指す。そして、「RSm」は、上述のように、JIS B 0601(2001年)に準拠して測定することができる。
これにより、上記した、トレッド部踏面の少なくとも一部が、Raが1μm以上50μm以下となる表面粗さを有する、氷上性能および雪上性能に優れるタイヤを成形することができるからである。
ここで、金型の踏面成形面は、Raが10μm以上40μm以下となるような表面性状を有していることがさらに好ましい。このようにすれば、形成したタイヤのトレッド部踏面を、且つ、Raが10μm以上40μm以下となるような表面性状として成形することができ、氷上性能および雪上性能に優れたタイヤを成形することができるからである。
踏面成形面のRaは、投射材の投射速度を調整することにより、制御することができる。具体的には投射速度を大きくすると、Raを大きくすることができる。
なお、投射材投射工程において用いる投射材の平均粒径を50〜400μmとすることにより、上記の範囲の十点平均粗さRzを有する踏面成形面を備えるタイヤ成形用金型を得ることができる。
なお、投射材投射工程において用いる投射材の平均粒径を50〜400μmとすることにより、上記の範囲の平均間隔Sを有する踏面成形面を備えるタイヤ成形用金型を得ることができる。
アルミニウム製のタイヤ成形用金型の踏面成形面に対し、投射条件(投射圧力、投射速度など)を変更して投射材(セラミック系)を投射し、表1に示す表面性状の踏面成形面を有するタイヤ成形用金型1〜4を製造した。なお、作製した金型の踏面成形面の表面性状は、SEMおよびマイクロスコープを用いて測定した。
作製したタイヤ成形用金型1〜4をそれぞれ用いて、常法に従いタイヤサイズ205/55R16のタイヤ1〜4をそれぞれ製造した。そして、作製したタイヤのトレッド部踏面の表面性状をSEMおよびマイクロスコープを用いて測定した。結果を表2に示す。
また、作製した各タイヤの氷上性能および雪上性能を下記の評価方法で評価した。結果を表2に示す。
作製直後のタイヤを適用リムに組み込み、JATMAに規定の正規内圧を充填して車両に装着した。そして、前輪1輪当たりの荷重を4.3kNとして、凍結路において、速度30km/hの条件下で氷上摩擦係数を測定した。タイヤ1の氷上摩擦係数を100として各タイヤの氷上摩擦係数を指数評価した。表2に結果を示す。表2中、数値が大きいほど氷上摩擦係数が大きく、氷上性能が優れていることを示す。
<雪上性能>
作製直後のタイヤを適用リムに組み込み、JATMAに規定の正規内圧を充填して車両に装着した。そして、前輪1輪当たりの荷重を4.3kNとして、積雪路において、速度30km/hの条件下で雪上摩擦係数を測定した。タイヤ1の雪上摩擦係数を100として各タイヤの雪上摩擦係数を指数評価した。表2に結果を示す。表2中、数値が大きいほど雪上摩擦係数が大きく、雪上性能が優れていることを示す。
2 突起部
3 空隙
4 ビード部
4a ビードコア
5 サイドウォール部
6 トレッド部
7 カーカス
8 ベルト
8a、8b ベルト層
9 突起部
10 金型
11 成形面
11a 踏面成形面
11b サイドウォール部成形面
11c ビード部成形面
12 凹部
20 タイヤ
T 路面
Claims (2)
- トレッド部踏面の少なくとも一部が、輪郭曲線要素のクルトシスRkuが、2以下となる表面粗さを有することを特徴とする、タイヤ。
- タイヤ成形用の金型であって、
タイヤのトレッド部踏面を成形する踏面成形面を有し、該踏面成形面の少なくとも一部が、輪郭曲線要素のクルトシスRkuが、2以下となる表面粗さを有することを特徴とする、タイヤ成形用金型。
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