JP2013136334A - タイヤおよびタイヤ成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トレッド部踏面の少なくとも一部に、複数の突起部を80個/mm2以上320個/mm2以下の個数密度で形成したタイヤである。また、タイヤ成形用の金型であって、タイヤのトレッド部踏面を成形する踏面成形面を有し、踏面成形面の少なくとも一部に、複数の凹部を80個/mm2以上320個/mm2以下の個数密度で形成したタイヤ成形用金型である。
【選択図】図4
Description
例えば、特許文献1では、トレッド部に形成した各ブロックに複数のサイプを設けることにより、接地面内のエッジ成分を増大させると共に、雪噛み効果を向上させて、タイヤの氷雪路面(凍結路面や積雪路面)上での走行性能を向上させる技術が提案されている。
また、例えば、特許文献2では、キャップゴムとベースゴムとからなる、いわゆるキャップアンドベース構造のトレッドゴムを有するタイヤにおいて、キャップゴムとして発泡ゴムを用いることにより、除水性を大幅に向上させ、タイヤの氷上性能および雪上性能を向上させる技術が提案されている。
また、特許文献2に記載の、キャップゴムに発泡ゴムを用いる技術では、発泡ゴムの使用によりブロック全体の剛性が低下する場合があり、タイヤの耐摩耗性が必ずしも十分ではなかった。
更に、特許文献3に記載の、先端が尖った突起部をトレッド部の表面に設ける技術では、突起部の剛性が低いため、特に車両のノーズダイブによる前輪への荷重増大時など、タイヤに大きな荷重が負荷された際に、突起部が潰れて所望の性能が得られなくなる場合があった。即ち、先端が尖った突起部をトレッド部の表面に設ける技術では、図1(b)に示すように、路面Tとの接触により突起部2が潰れ、除水用の空隙3の体積が減少し、除水性が低下してしまう結果、所望の氷上性能および雪上性能が得られない場合があった。従って、特許文献3に記載の技術には、氷上性能および雪上性能をさらに向上させる余地があった。
更にまた、特許文献1〜3に記載の技術を採用したタイヤについて発明者が検討を重ねた結果、それらの従来のタイヤには、原因は明らかではないが、特に新品時に十分な氷上性能および雪上性能が得られないという問題点があることも分かった。そのため、特許文献1〜3に記載の技術には、特にタイヤ新品時の氷上性能および雪上性能を改善する余地があった。
その結果、本発明者は、トレッド部の表面に所定の微細構造を形成すれば、ブロック剛性の低下や除水性の低下を抑制してタイヤの氷上性能および雪上性能をさらに向上させ得ること、並びに、タイヤ新品時であっても十分な氷上性能および雪上性能を発揮させ得ることを見出し、本発明を完成させた。
本発明のタイヤは、トレッド部踏面の少なくとも一部に、複数の突起部を80個/mm2以上320個/mm2以下の個数密度で形成したことを特徴とする。このように、トレッド部踏面(走行時に路面と接地する面)の少なくとも一部に80個/mm2以上の個数密度で突起部を形成すれば、ブロック剛性の低下を抑制しつつ、タイヤ表面と路面との間の摩擦力を増大させて、タイヤの氷上性能および雪上性能を向上させることができる。また、320個/mm2以下の個数密度で突起部を形成すれば、除水性の低下を抑制することができる。
ここで、本発明において、「突起部の個数密度」は、例えば、トレッド部踏面を電子顕微鏡で撮影して測定することができる。
ここで、本発明において、「凹部の個数密度」は、例えば、金型の踏面成形面を電子顕微鏡で撮影して測定することができる。
図2は、本発明のタイヤの一実施形態のタイヤ幅方向断面図である。
図2に示すように、本実施形態のタイヤ20は、一対のビード部4と、各ビード部4からそれぞれタイヤ径方向外方に延びる一対のサイドウォール部5と、該サイドウォール部5間に跨って延びるトレッド部6とを有している。
また、本実施形態のタイヤ20は、一対のビード部4に埋設された一対のビードコア4a間にトロイダル状に跨るカーカス7と、該カーカス7のタイヤ径方向外側に配設された2層のベルト層8a、8bからなるベルト8とを有している。更に、ベルト8のタイヤ径方向外側には、非発泡ゴムよりなるトレッドゴムが配設されている。
即ち、このタイヤ20では、突起部9を個数密度80/mm2以上で形成しているので、路面との接地時に、突起部9間の空隙を利用して路面上の水膜を除去する(除水性を発揮する)ことができる。また、トレッド部踏面と路面との間の摩擦力を増大させて、タイヤの氷上性能および雪上性能を向上させることができる。
また、このタイヤ20では、突起部9の個数密度が320個/mm2以下であるので、突起部9の剛性を確保することができ、タイヤに大きな荷重が負荷された際であっても、突起部9が潰れ難く、除水性を確保することができる。
更に、このタイヤ20では、突起部9の個数密度が320個/mm2以下であるので、多数の突起部9を形成した場合であっても、突起部9間の空隙の体積を確保して、除水性を高めることができる。
また、このタイヤ20では、原因は明らかではないが、新品時(未使用状態)であっても十分な氷上性能および雪上性能を発揮することができる。
なお、本発明のタイヤでは、トレッド部踏面の90%以上の範囲に亘って突起部が80〜320個/mm2の個数密度で形成されていることが好ましい。トレッド部踏面の90%以上の範囲に亘って所定の個数密度で突起部を形成すれば、突起部の形成により得られる効果を十分に大きくすることができるからである。
ここで、突起部9の高さは、突起部9の先端(タイヤ径方向外端)を通って延びるタイヤ径方向線に直交する第1仮想平面と、突起部9の外輪郭線に接し且つ前記タイヤ径方向線に直交する仮想平面のうち前記第1仮想平面に最も近い第2仮想平面との間のタイヤ径方向に沿う距離をいうものとする。
なお、突起部9の高さは、SEM、マイクロスコープにより測定することができる。
これにより、ブロック剛性の低下を更に抑制しつつ、除水性の低下を抑制して、タイヤの氷上性能および雪上性能を向上させることができる。即ち、このタイヤ20では、トレッド部踏面に、体積が4×105μm3以上で、それぞれの突起部における最大幅を第1の幅x(μm)として、該第1の幅を計測する方向に対して、直交する方向における突起部の最大幅を第2の幅y(μm)、高さをz(μm)としたとき、x≦200μm、y≦200μm、且つ、z≦50μmを満たす突起部を80個/mm2以上の個数密度で形成したため、ブロック剛性の低下や徐水性の低下を抑制しつつ、タイヤの氷上性能および雪上性能を十分に向上させることができる。
即ち、トレッド部踏面の表面性状について、図8(a)に示す、仮想する所定の直方体(200μm×200μm×50μm)の範囲内で4×105μm3以上の体積を有する突起部が、トレッド部踏面の少なくとも一部に、80個/mm2以上の個数密度で形成されているため、突起部間に除水用の空間を確保することができるとともに、各突起部が比較的均等に路面と接触し、突起部の接地面積を確保することができる。
なお、本発明のタイヤでは、トレッド部踏面に、体積が、4×105μm3未満の突起部、または、形状が、x≦200μm、y≦200μm、且つ、z≦50μmを満たさない突起部が形成されていても良いが、その場合、上記の条件を満たさない突起部の個数は、突起部の全個数の10%以下であることが好ましい。そのような突起部が10%以下であれば充分に上記の作用効果を発揮することができるからである。
なお、このタイヤ20は、突起部9が形成されている部分は、同様の理由により、体積が4×105μm3以上で、x≦200μm、y≦200μm、且つ、z≦50μmを満たす突起部の個数密度が、150個/mm2以上となることが好ましく、より好適には、150個/mm2以上、250個/mm2未満となることが望ましい。また、突起部の体積は、5×105μm3以上であることが好ましい。
なお、本発明において「突起部の体積」及び「突起部の幅x、y、および高さz」は、例えば、トレッド部踏面を電子顕微鏡により拡大して測定することができる。
なお、凹部30の幅は、5μm以上であることが好ましい。
このように、トレッド部踏面の少なくとも一部に網の目状に延びる凹部にて区画される多数の突起部を形成すれば、除水性を向上させつつ、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに向上させることができる。また、凹部の幅Lを50μm以下とすれば、凹部により除水性を高めつつ、さらに突起部の剛性を確保してトレッド部踏面と路面との間の摩擦力を十分に増大させることができる。そして、トレッド部の踏面に網の目状に延びる凹部にて区画される微小な突起部(凸部)が形成されているので、除水性を向上させつつ、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに十分に向上させることができる。
即ち、凹部を形成しているので、路面との接地時に、凹部の空隙を利用して路面上の水膜を除去する(除水性を発揮する)ことができる。また、多数の突起部が形成されているので、トレッド部踏面と路面との間の摩擦力を増大させて、タイヤの氷上性能および雪上性能を向上させることができる。
更に、このタイヤ20では、凹部の幅Lを50μm以下とすれば、凹部の幅、即ち隣接する突起部間の距離が大きくなり過ぎない。そのため、除水性を高めつつ、突起部の剛性を確保してトレッド部踏面と路面との間の摩擦力を十分に増大させることができる。
また、凹部30の幅Lを5μm以上とすれば、凹部30の空隙を確保して、除水性を確保することができる。
ここで、網の目状に延びる凹部にて区画される突起部(凸部)の外径Dは、5μm〜70μmであることが好ましい。突起部の外径Dを5μm以上とすれば、突起部の剛性を確保することができ、タイヤに大きな荷重が負荷された際であっても、突起部9が潰れ難く、除水性を確保することができる。また、突起部の外径Dを70μm以下とすれば、突起部間の空隙の体積を確保して、除水性を高めることができる。
ここで、「凹部の幅」とは、図3(a)に示すように、トレッド部踏面の平面視において互いに隣接する突起部間にある凹部の最短距離を指す。また、「突起部の外径」とは、図3(a)に示すように、トレッド部踏面の平面視における、突起部の最大径を指す。そして、この「凹部の幅」および「突起部の外径」は、例えば、トレッド部踏面を電子顕微鏡で撮影して測定することができる。
なぜなら、Rzが1.0μm以上であることにより、除水用の空隙を確保することができ、一方で、Rzが50μm以下であることにより、路面との接触面積を確保することができるからである。これらにより、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに向上させることができる。
ここで、「十点平均粗さRz」とは、JIS B0601(1994)の規定に準拠して測定されるものであり、基準長さを0.8mm、評価長さを4mmとして求めたものである。
なぜなら、平均間隔Sが5.0μm以上であることにより、除水用の空隙を確保することができ、一方で、平均間隔Sが100μm以下であることにより、路面との接触面積を確保することができるからである。これらにより、タイヤの氷上性能および雪上性能をさらに向上させることができる。
ここで、「局部山頂の平均間隔」は、JIS B0601(1994)に準拠して計測されるものであり、基準長さを0.8mm、評価長さを4mmとして求めるものとする。
図5は、本発明のタイヤを成形するのに用いるタイヤ成形用金型の一部を示す概略部分斜視図である。
図5に示すように、この金型10は、タイヤを加硫成形する成形面11を有する。
この成形面11は、トレッド部踏面を形成する踏面成形面11aを有し、図示例では、サイドウォール部の外表面を成形するサイドウォール成形面11b、及びビード部の外表面を成形するビード部成形面11cも有する。
この成形面11は、特には限定しないが、例えばアルミニウムで形成することができる。
本発明のタイヤの、上述した表面性状を有するトレッド部踏面は、当該表面性状に対応した表面性状を有する踏面成形面11aを備えるタイヤ成形用金型10によって形成することができる。具体的には、図6(a)に踏面成形面11aの拡大平面図を示し、図6(b)に金型10の踏面成形面11a側の幅方向に沿う拡大断面図を示すように、本実施形態にかかるタイヤ成形用金型10は、金型10の踏面成形面11aの全体に、微小な凹部12を所定の個数密度(80〜320個/mm2)で有している。なお、図6では、凹部12が半球状の凹部である場合を示しているが、本発明の金型では、凹部12は、裁頭半球状、裁頭円錐状、裁頭角錐状、円柱状または角柱状の凹部であっても良い。
すなわち、この金型10を用いたタイヤの加硫工程では、金型10の踏面成形面11aの半球状の凹部形状が、タイヤのトレッド部踏面の突起部形状として転写される。そして、製造されたタイヤのトレッド部踏面には、半球状の突起部9が個数密度80〜320個/mm2で形成される。従って、氷上性能および雪上性能に優れたタイヤを成形することができる。
なお、本発明の金型では、踏面成形面の90%以上の範囲に亘って凹部が80〜320個/mm2の個数密度で形成されていることが好ましい。踏面成形面の面積の90%以上の範囲に亘って所定の個数密度で凹部を形成すれば、タイヤのトレッド部踏面に十分な数の突起部を形成することができるからである。
以下、金型10の踏面成形面11aを形成する方法について説明する。
ここで、この投射材投射工程において、上記踏面成形面11a(全面または一部)は、真球度15μm以下の球形の投射材を投射して衝突させることにより形成することが好ましい。
なぜなら、投射材の真球度を15μm以下とすることにより、金型の踏面成形面に、所望の性状の凹部を多数形成することができるからであり、この金型を用いて成形するタイヤのトレッド部踏面を所望の表面形状とすることができるからである。
投射材の真球度を10μm以下とすれば、金型の踏面成形面に、所望の性状の凹部を容易に多数形成することができるので、その金型を用いて形成したタイヤのトレッド部踏面に所望の形状の突起部を多数形成して、氷上性能および雪上性能にさらに優れたタイヤを成形することができるからである。
また、投射材の真球度は、5μm以下であることがさらに好ましい。
これにより、金型の踏面成形面に、所望の性状の凹部をより容易に形成することができるからである。
なぜなら、投射材の平均粒径を10μm以上とすることにより、踏面成形面に所望の凹部形状を有する金型がより得やすくなり、また、投射材投射工程において、高圧下での投射の際に、投射材が周囲に飛散するのを抑制することができるからである。一方、投射材の平均粒径を1mm以下とすることにより、金型表面を早期に摩耗させるのを抑制することができるからである。
同様の理由により、投射材の平均粒径は、20μm〜0.7mmとするのがより好ましく、30μm〜0.5mmとするのがさらに好ましい。
ここで、「平均粒径」とは、SEMにより投射材の写真を撮影し、投射材を任意に10個取り出し、それぞれの投射材に接する内接円の直径と外接円の直径との平均を求め、これらを当該10個の投射材で平均した値をいうものとする。
なぜなら、投射材のモース硬度を2以上とすることにより、踏面成形面に所望の凹部形状を有する金型がより得やすくなるからである。一方、投射材のモース硬度を10以下とすることにより、金型が早期に傷むのを軽減することができるからである。
同様の理由により、投射材のモース硬度は、3.0〜9.0とするのがより好ましく、5.0〜9.0とするのがさらに好ましい。
また、タイヤ成形用金型の踏面成形面のモース硬度は、2.0〜5.0であることが好ましく、タイヤ成形用金型の踏面成形面と、投射材とのモース硬度の差は、3.0〜5.0であることが好ましい。
なぜなら、投射材の比重を0.5以上とすることにより、投射工程における投射材の飛散を抑制して作業性を向上させることができるからである。一方、投射材の比重を20以下とすることにより、投射材を加速するためのエネルギーを低減することができ、また、金型の早期の摩耗を抑制することができるからである。
同様の理由により、投射材の比重は、0.8〜18とするのがより好ましく、1.2〜15とするのがさらに好ましい。
なぜなら、投射材を100kPa以上で、30秒以上投射することにより、踏面成形面を満遍なく、上記した所望の形状にすることができ、一方で、投射材を1000kPa以下で、10分以下投射することにより、踏面成形面を損傷させるのを抑制することができるからである。
なお、投射材の比重や投射圧力を調整して、投射材の投射速度を0.3〜10(m/s)とするのが好ましく、0.5〜7(m/s)とするのがより好ましい。
このとき、投射材の投射用のノズルと、タイヤ成形用金型との距離を、50〜200(mm)とすることが好ましい。
ここで、上記投射材の投射時間とは、金型1個当たりの投射時間をいい、例えば金型を9個用いてタイヤを成形する場合には、1個のタイヤを成形する9個の金型の踏面成形面に、投射材を合計270秒間〜90分間投射することが好ましい。
なお、金型1個の踏面成形面への投射材の投射は、金型の形状等を考慮しながら、作業者が投射する位置をずらしつつ行うことができる。このようにすれば、投射材をより均一に投射することができる。
ここで、凹部12の深さは、凹部12の最深部(径方向外端)を通って延びる径方向線に直交する第3仮想平面と、凹部12の外輪郭線に接し且つ前記径方向線に直交する仮想平面のうち前記第3仮想平面に最も近い第4仮想平面との間の径方向に沿う距離をいうものとする。因みに、「径方向」とは、円環状の踏面成形面の径方向、即ち、金型10を用いて成形されるタイヤのタイヤ径方向に対応する方向を指す。
なお、凹部12の深さは、SEM、マイクロスコープにより測定することができる。
これにより、上記した、トレッド部踏面の少なくとも一部に、体積が4×105μm3以上で、x≦200μm、y≦200μm、且つ、z≦50μmを満たす突起部を80個/mm2以上の個数密度で形成し、氷上性能および雪上性能に優れるタイヤを成形することができるからである。なお、凹部の個数密度は、投射材の粒径や個数を調整することにより、制御することができる。具体的には、投射材の個数を多くすると、個数密度を大きくすることができる。また、投射材の粒径を大きくすると、個数密度を小さくすることができる。
また、凹部12の体積は、投射材の投射速度を調整することにより、制御することができる。具体的には、投射材の投射速度を大きくすると、体積を大きくすることができる。
なお、この金型は、凹部12が形成されている部分は、同様の理由により、それぞれ体積が4×105μm3以上で、x´≦200μm、y´≦200μm、且つ、z´≦50μmを満たす凹部の個数密度が、150個/mm2以上となることが好ましく、より好適には、150個/mm2以上、250個/mm2未満となることが望ましい。また、凹部の体積は、5×105μm3以上であることが好ましい。
なお、本発明において「凹部の体積」及び「凹部の幅x´、y´、および高さz´」は、例えば、踏面成形面を電子顕微鏡により拡大して測定することができる。
また、踏面成形面の突起部の幅lは、5μm以上であることが好ましい。
このように、踏面成形面の少なくとも一部に、網の目状に延びる突起部にて区画される凹部を多数形成し、更に突起部の幅lを50μm以下とすれば、トレッド部踏面の少なくとも一部に、所定の幅(50μm以下)を備え、網の目状に延びる凹部を有する、氷上性能および雪上性能に優れるタイヤを成形することができるからである。
また、踏面成形面の突起部の幅lを、5μm以上とすれば、製造されたタイヤのトレッド部踏面における凹部30の空隙を確保して、除水性を確保することができるからである。
なお、金型10では、凹部の外径dは、5μm〜70μmであることが好ましい。凹部の外径dを上記範囲とすれば、タイヤのトレッド部踏面において、突起部の剛性を確保しつつ、突起部間の空隙の体積を確保して、除水性を高めることができる。
ここで、金型の踏面成形面の突起部の幅は、投射材の粒径を調整することにより、制御することができる。具体的には、投射材の粒径を大きくすると、突起部の幅を小さくすることができる。また、凹部の外径は、投射材の粒径などを調整することにより、制御することができる。具体的には、投射材の粒径を大きくすると、凹部の外径を大きくすることができる。
因みに、「突起部の幅」とは、踏面成形面の平面視における、互いに隣接する凹部間にある突起部の最短距離を指す。また、「凹部の外径」とは、踏面成形面の平面視における、凹部の最大径を指す。そして、この「突起部の幅」及び「凹部の外径」は、例えば、踏面成形面を電子顕微鏡で撮影して測定することができる。
なお、投射材投射工程において用いる投射材の平均粒径を50〜400μmとすることにより、上記の範囲の十点平均粗さRzを有する踏面成形面を備えるタイヤ成形用金型を得ることができる。
なお、投射材投射工程において用いる投射材の平均粒径を50〜400μmとすることにより、上記の範囲の平均間隔を有する踏面成形面を備えるタイヤ成形用金型を得ることができる。
アルミニウム製のタイヤ成形用金型の踏面成形面に対し、投射条件(投射圧力、投射速度など)を変更して投射材(セラミック系)を投射し、表1に示す表面性状の踏面成形面を有するタイヤ成形用金型1〜5を製造した。なお、作製した金型の踏面成形面の表面性状は、SEMおよびマイクロスコープを用いて測定した。
作製したタイヤ成形用金型1〜5をそれぞれ用いて、常法に従いタイヤサイズ205/55R16のタイヤ1〜5をそれぞれ製造した。そして、作製したタイヤのトレッド部踏面の表面性状をSEMおよびマイクロスコープを用いて測定した。結果を表2に示す。
また、作製した各タイヤの氷上性能および雪上性能を下記の評価方法で評価した。結果を表2に示す。
作製直後のタイヤを適用リムに組み込み、JATMAに規定の正規内圧を充填して車両に装着した。そして、前輪1輪当たりの荷重を4.3kNとして、凍結路において、速度30km/hの条件下で氷上摩擦係数を測定した。タイヤ1の氷上摩擦係数を100として各タイヤの氷上摩擦係数を指数評価した。表2に結果を示す。表2中、数値が大きいほど氷上摩擦係数が大きく、氷上性能が優れていることを示す。
<雪上性能>
作製直後のタイヤを適用リムに組み込み、JATMAに規定の正規内圧を充填して車両に装着した。そして、前輪1輪当たりの荷重を4.3kNとして、積雪路において、速度30km/hの条件下で雪上摩擦係数を測定した。タイヤ1の雪上摩擦係数を100として各タイヤの雪上摩擦係数を指数評価した。表2に結果を示す。表2中、数値が大きいほど雪上摩擦係数が大きく、雪上性能が優れていることを示す。
2 突起部
3 空隙
4 ビード部
4a ビードコア
5 サイドウォール部
6 トレッド部
6a 表面
7 カーカス
8 ベルト
8a、8b ベルト層
9 突起部
10 金型
11 成形面
11a 踏面成形面
11b サイドウォール部成形面
11c ビード部成形面
12 凹部
20 タイヤ
30 (網の目状)凹部
T 路面
Claims (2)
- トレッド部踏面の少なくとも一部に、複数の突起部を80個/mm2以上320個/mm2以下の個数密度で形成したことを特徴とする、タイヤ。
- タイヤ成形用の金型であって、
タイヤのトレッド部踏面を成形する踏面成形面を有し、
前記踏面成形面の少なくとも一部に、複数の凹部を80個/mm2以上320個/mm2以下の個数密度で形成したことを特徴とする、タイヤ成形用金型。
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2011
- 2011-12-28 JP JP2011289019A patent/JP2013136334A/ja active Pending
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