JP2013133407A - 透明回路基板用エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

透明回路基板用エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、耐熱性、強度、平滑性、及び耐光性に優れた透明回路基板に適したエポキシ樹脂組成物及びその硬化物の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される多価カルボン酸(A)、
Figure 2013133407

(式中、複数存在するR、Rはそれぞれ独立して、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはカルボキシル基を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表す。Pは前記で表され、*でメチレン基と結合している。)、及び、分子内に脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂(B)を含んでなる透明回路基板用エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明回路基板に用いるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関する。さらに詳しくは、透明性、耐熱性、強度、平滑性、及び耐光性に優れた透明回路基板に適したエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関するものである。
ディスプレイや照明用途に使用することを目的に、発光素子等を実装する透明基板が求められている。
従来、発光素子等を実装する回路基板としては、一般的にはFR-4材に代表されるガラスエポキシ積層プリント配線板や、芳香族系ポリイミドからなるフレキシブルプリント配線板が広く用いられている。しかしながら、これらは透明性が無く、また着色している等の問題から、実際の使用形態においては、透明性を求められる用途には使用し得なかった。
従来透明性が求められる用途においては、ガラス上に回路基板を作成することも行われている。しかし、ガラス基板の場合は重く、しかもガラスの特性上割れる可能性があり使いにくく、安全上の課題があった。また、軽量化を目論見、種々の方法により薄くする検討が行われているが限界があり、薄くしてしまうと割れやすくなってしまい、取り扱いが難しくなるという問題を抱えていた。
もしくはポリエステルフィルムや非芳香族系ポリイミドフィルムを基材とした配線基板も検討されている。しかしこの場合においても、ポリエステルでは素子実装に伴う熱処理によって求められる寸法安定性に問題を有しており、結果として素子実装方法等に制限が大きく実質的に広範な用途には適用できない。また無色である非芳香族系ポリイミドフィルムは、広範な用途に適用するには余りに高価である。
これらの要求に対して、ガラスクロス等の無機系繊維に樹脂を含浸させたシートが、耐熱性や寸法安定性を有する透明樹脂シートとしての特性を有するものとして種々検討がなされている(特許文献1〜4)。
ガラスクロス等の無機系繊維を複合させたシートにおいて透明性を求めるためには、無機系繊維とプラスチック素材の光学的屈折率を精密に合わせる必要がある。このため、使用できる材料が限られ、このことが特性のバランスを満たすことが難しい要因となっている。
即ち、これらに開示されている材料の組み合わせにおいてもなお、色、耐熱性、耐光性、硬度など、ガラス板では実現されている性能がまだ充分ではない。例えば、光学用途では、400nm付近の可視光線の透過率が高いものが求められるが、特許文献1〜3で提案されている方法では、400nmの可視光線の透過率が90%を超えることはできていない。特許文献4で提案されている方法では550nmの可視光線の透過率ではあるが、やはり90%未満である。
これら先行技術で使用されている材料は、いずれもエポキシ系と酸無水物系の化合物を硬化反応させることでシートを得るものである。
一般的に用いられる酸無水物系の化合物として、特に飽和炭化水素で形成された酸無水物は硬化物が耐光性に優れることから、利用されることが多い。具体的には、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物が一般的であり、中でも常温で液状であるメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が使用されている。
しかしながら一般的な脂環式酸無水物は蒸気圧が高く、エポキシ系化合物と酸無水物系化合物を熱硬化させる工程において、酸無水物系化合物の一部が揮発する課題がある。従って、エポキシ系化合物と酸無水物系化合物の実質的な反応量がかわってしまうという課題を有していた。
特に本発明における透明なシートを得ようとする場合には、先に述べたとおり、ガラスクロス等の無機物とエポキシ樹脂組成物との光学的屈折率を精密に合わせる必要がある。
しかし、このような状態では精密な光学的屈折率の制御が難しく、透明性が不良になるという課題が生じていた。
また、これらのようなシートを透明回路基板として使用する試みもなされているが、その材料に関する開示は無く、上記の課題はそのままである。(特許文献4)。
WO2003−64530号公報 特開2004−233851号公報 特開2004−269727号公報 特開2008−10585号公報
本発明は、プリント配線基板に好適に用いられるシートの製造に適した、硬化時の収縮の低減や透明性に優れたエポキシ樹脂組成物及び、透明性、耐熱性、強度、耐光性、平滑性などを兼ね備えた優れた硬化物、及びそれから構成されるシートを提供することを目的とする。
特定構造を有する酸無水物系の化合物と、さらには特定のエポキシ樹脂を組み合わせることで、光学的屈折率、透明性、耐熱性、寸法安定性に優れた樹脂シートを得ることができ、さらには、これが透明回路基板として好適なることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明は、
(1)
一般式(1)で表される多価カルボン酸(A)
Figure 2013133407
(式中、複数存在するR、Rはそれぞれ独立して、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはカルボキシル基を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表す。Pは前記で表され、*でメチレン基と結合している。)、
及び、分子内に脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂(B)を含んでなる透明回路基板用エポキシ樹脂脂組成物
(2)
多価カルボン酸(A)中のRが全て水素原子である、上記(1)記載の透明回路基板用エポキシ樹脂脂組成物
(3)
分子内に脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂(B)が、一般式(2)で表される化合物
Figure 2013133407
(R3はアルコキシ基、mは平均値であって1〜20の正数であり、nは1〜10の整数である。)
である上記(1)または(2)に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物
(4)
分子内に3個以上のエポキシ基を有する芳香族多官能エポキシ樹脂(C)を含む上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物
(5)
分子内に3個以上のエポキシ基を有する芳香族多官能エポキシ樹脂(C)が、一般式(3)で表される化合物
Figure 2013133407
(式中、nは1〜2の正数)である上記(4)に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物
(6)
脂肪族環状構造をもつエポキシ樹脂(B)及び分子内に3個以上のエポキシ基を有する芳香族多官能エポキシ樹脂(C)以外のエポキシ樹脂(D)、並びに硬化剤(E)を含む上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物
(7)
上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物をガラス繊維と複合して得られることを特徴とする透明回路基板
(8)
上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の25℃での光学的屈折率が1.50以上であることを特徴とする透明回路基板
に関する。
本発明の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物(以下、単にエポキシ樹脂組成物と称す)は安定性が良好で、その硬化物は、透明性、耐熱性、強度、平滑性、及び耐光性に優れている。そのため、特に液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、携帯機器などの表示装置や太陽電池などに用いる回路基板に適している。
本発明のエポキシ樹脂組成物で使用する多価カルボン酸(A)は、本発明をなす上で特徴的な材料として用いられる。
具体的には下記一般式(1)として示される。
Figure 2013133407
(式中、複数存在するR、Rはそれぞれ独立して、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはカルボキシル基を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表す。Pは前記で表され、*でメチレン基と結合している。
なお、本発明の多価カルボン酸組成物(A)は、下記する製法により得られるが、原料の酸無水物と架橋多環ジオールとして、単一の化合物を選択すれば、単一の多価カルボン酸が得られるが、以下の説明において便宜上、このような多価カルボン酸も「多価カルボン酸組成物」という。
本発明の多価カルボン酸組成物(A)は、例えば、酸無水物(a−1)と架橋多環ジオール(a−2)との付加反応により製造することが出来る。
酸無水物(a−1)としては、シクロヘキサン構造を有するアルキル置換あるいはカルボキシル基、もしくは無置換の酸無水物構造を分子内に1つ以上有する多価カルボン酸無水物が本発明の効果を発揮させることが出来る。
さらに具体的な化合物を列挙すれば、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,2,4,5−二無水物などが挙げられ、これらは単独ではなく2種類以上を混合することも出来る。
本発明においては特に光学特性を重視することから1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物の使用が好ましく、特に耐熱性と取り扱いのバランスから、両者を混合して使用する事が特に好ましい。
架橋多環ジオール(a−2)としては、トリシクロデカン構造、ペンタシクロペンタデカン構造を主骨格とするジオール類であり、下記式(4)で示される。
Figure 2013133407
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、もしくはメチル基を表す。)で表されるものが、本発明における効果を発揮させることができる。これは、このような架橋多環構造が、透明性と耐熱性を兼ね備えることから、本発明の効果を発揮できるものと考えている。
さらに具体的に使用できる架橋多環ジオール類を列挙すれば、トリシクロデカンジメタノール、メチルトリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールなどが挙げられる。これらのうち、特に好ましくは入手の簡便さ、また製造後の官能基量とのバランスから、本発明においては特にトリシクロデカンジメタノールの使用が好ましい。
次に、多価カルボン酸(A)の製法について述べる。
酸無水物(a−1)と架橋多環ジオール類(a−2)の反応は、一般の方法が適用でき特に限定はない。しかし、本発明の用途を考慮すると好適な反応条件が存在する。
主には、反応触媒、溶剤、酸無水物(a−1)と架橋多環ジオール類(a−2)の反応比率、さらには反応温度に関する項目である。
本発明の多価カルボン酸組成物(A)を製造する際に、酸、もしくは塩基系触媒を使用することが一般的である。しかし、本発明においては、触媒の使用は硬化物の透明性(熱硬化後、もしくは基板として使用中における着色)に悪影響を及ぼすために、使用しないことが最も好ましい。
無論、使用する基板の用途や要求特性の観点から、公知一般の触媒を使用することも可能である。
例えば、無機酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸類、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の有機カルボン酸類が挙げられる。
さらに、塩基性触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基塩類、アンモニア、ヒドラジン等の無機アミン類、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン類、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等の複素環含有有機アミン類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルキルアンモニウムヒドロキシド類、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド等のアルキルアンモニウムハロゲン塩等、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のアンモニウム有機酸塩、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム塩類に代表されるルイス塩基類、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、カルボン酸金属塩(2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ミスチリン酸などの亜鉛塩、スズ塩、ジルコニウム塩)やリン酸エステル金属(オクチルリン酸、ステアリルリン酸等の亜鉛塩)、アルコキシ金属塩(トリブチルアルミニウム、テトラプロピルジルコニウム等)、アセチルアセトン塩(アセチルアセトンジルコニウムキレート、アセチルアセトンチタンキレート等)等の有機金属化合物類等が挙げられる。
本工程においては無溶剤で製造することも可能であり、また有機溶剤を使用してもよい。
これらは必要とされる反応速度(反応時間)、及び粘度、また製造設備の能力により適宜選ばれるべきものであるが、これらが満たされるのであれば無溶剤での製造が最も好ましい。
従って、溶剤を使用しなければならない場合においても使用できる溶剤量は、上記要件を満たす限り実質的に少なければ少ないほど良いものであり、少なくとも固形分として50重量%以上、更に好ましくは75重量%以上となる範囲が好ましい。
特に、触媒の使用をしない場合においては、反応速度を高めるためにもより高い固形分で反応を進めることが好ましい。
使用できる溶剤は、酸無水物(a−1)と架橋多環ジオール類(a−2)の反応工程において溶解性を維持し、かつイナートであれば特に限定は無い。
上記の溶剤として使用しうるものを具体的に例示すれば、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の芳香族系炭化水素溶剤、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素溶剤、及びそれらの混合物である石油エーテル、ホワイトガソリン、ソルベントナフサ等が挙げられる。
また、エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のアルキルアセテート類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のモノ、若しくはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルモノアセテート類、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のポリカルボン酸アルキルエステル類等が挙げられる。
また、エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、エチルブチルエーテル等のアルキルエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が挙げられる。
また、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
溶剤を使用し多価カルボン酸(A)を製造した場合、加熱・減圧等により溶剤を留去することも可能であるが、そのまま樹脂溶液としてエポキシ樹脂(B)等を混合し、ガラスクロスとの複合化工程に供することが好ましい。
この際、複合化工程における溶剤の揮発性と、本工程での反応温度のバランスを鑑みると、沸点が65〜150℃、より好ましくは80〜115℃の範囲にあるものを選択することが好ましい。即ち、これよりも沸点が低い場合には反応温度を高めることが出来ず、反応時間が長くなってしまう。また、これよりも沸点が高い場合には、ガラスクロスとの複合化工程において溶剤の揮発が遅くなるため、残留溶剤による硬化工程においてシートの発泡等が生じ好ましくない。
反応温度は40〜200℃が好ましく、特に好ましくは50〜150℃である。特に本反応を無溶剤で行う場合は、酸無水物の揮発があるため、100℃以下での反応が好ましく、50〜100℃での反応が特に好ましい。
酸無水物(a−1)と架橋多環ジオール類(a−2)の反応比率は理論的には等モルでの反応が好ましいが、求められる硬化物の特性に応じて変更可能である。具体的な反応比率としてはその官能基当量で比較し、酸無水物(a−1)の酸無水物官能基数/架橋多環ジオール類(a−2)の水酸基数で示される値が、0.2〜5、好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.8〜1.2の範囲である。この範囲よりも値が小さい場合には、未反応のジオール類、もしくは一方の水酸基が残留したモノカルボン酸化合物が生じるため、硬化性が低下する。また、この範囲よりも値が大きい場合には、過剰の酸無水物が残留する。過剰で未反応であった酸無水物(a−1)は、後述の硬化剤(E)として作用する。
このため、この反応比率は硬化物の物性に影響を有し、硬化物の特性を目的に応じて適宜調整されるべきものである。
反応時間は反応温度、触媒量等にもよるが、工業生産という観点から、長時間の反応は多大なエネルギーを消費することになるため好ましくはない。また短すぎる反応時間はその反応が急激であることを意味し、安全性の面から好ましく無い。好ましい範囲としては1〜48時間、好ましくは1〜36時間、さらに好ましくは1〜24時間である。
分子内に脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂(B)について説明する。分子内に脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂(B)としては、例えばテルペンジフェノールや、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と脂肪族環構造ジエン(ジシクロペンタジエンやノルボルナジエン、ヘキサヒドロキシインデン等)との重縮合物及びこれらの変性物から誘導されるグリシジルエーテル化物、水添ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF)型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等、分子内にシクロヘキシル構造、ジシクロペンタジエン構造をもつ化合物の他、トリグリジジルイソシアヌレート構造をもつ化合物等が挙げられるが本発明においては脂環式エポキシ樹脂の使用が好ましく、また常温で固体の化合物が好ましい。具体的には例えば3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学製:セロキサイド2021P)として市場からも入手可能である。
中でも本発明の用途には、一般式(2)で表される化合物
Figure 2013133407
(Rはアルコキシ基、mは平均値であって1〜20の正数であり、nは1〜10の整数である。)が特に好ましい。一般式(2)においてアルコキシ基の炭素鎖は炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖、及び環状であり、好ましくは炭素数1〜10の直鎖、分岐鎖、及び環状であり、さらに好ましくは炭素数1〜6の直鎖、分岐鎖、及び環状である。R2は具体的にはメトキシ基、エポキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ヘキソキシ基、等の一価のアルコールの残基、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコールの残基、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等の多価アルコールの残基が挙げられる。一般式(2)においてmは前記のとおり平均値であって1〜20の正数であるが、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6である。nは1〜10の整数であるが、好ましくは1〜5の整数である。
一般式(2)で表される化合物はアルコールとビニル基を有するエポキシシクロヘキセンとの開環重合によって得られたポリオレフィンを酸化によりエポキシ化することで得られる。一般式(2)で表される化合物の原料であるアルコールは一価アルコール又は多価アルコールのいずれでも用いられるが、本発明においては多価アルコールが好ましく、中でもトリメチロールアルコール類が好ましい。トリメチロールアルコール類としては具体的にはグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタン等が挙げられる。一般式(2)で表される化合物は市場からは例えばEHPE3150(R2=トリメチロールプロパン残基、m=4〜5、n=3、ダイセル化学製)が、又はEHPE3150と他成分との混合物であるEHPE3150CEが入手可能である。
次に、分子内に3個以上のエポキシ基を有する芳香族多官能エポキシ樹脂(C)について説明する。エポキシ樹脂(C)としては、芳香族ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂などのうち、分子内に3個以上のエポキシ基と芳香環をもつエポキシ樹脂が挙げられる。
これらは、下記のような分子内に3個以上の水酸基を有する多価フェノール類から、一般的にはエピハロヒドリン類との反応より誘導されるものである。
好適なフェノール構造としては、例えばトリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノール類、
フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、4−(4−ヒドロキシフェニル)アセトフェノン、4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)アセトフェノンとの重縮合物、所謂ノボラック型フェノール類
さらに、フェノール類と、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物等がこれに該当する。
また、所謂ビスフェノールA型、ビスフェノールF型エポキシ樹脂にさらにエピハロヒドリンを反応させ、一分子中に3個以上のエポキシ基を有する変性ビスフェノール型エポキシ樹脂類、
さらに、(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)(以下、フェノール化合物(PA1)とする)とエピハロヒドリンを反応させて得られるエポキシ樹脂は特に好適に用いられる。
本エポキシ樹脂は、下記代表構造として示される。
Figure 2013133407
(式中、nは平均値であって、1〜2の正数である)。
本エポキシ樹脂はTECMORE VG3101L(プリンテック製 n≒1.1)、NC−6000(日本化薬製 n≒1.1)等として、一般に入手が可能であるが、特に好ましくは以下の製造法で製造される一般式(3)の化合物が好ましい。
また、本発明において用いられるエポキシ樹脂(C)は常温で固体のものがより好ましい。本発明においては通常、軟化点が50〜100℃、もしくは融点が50〜190℃であるエポキシ樹脂(C)が使用されるが、軟化点が60〜100℃、もしくは融点が60〜190℃のものが好ましい。また、エポキシ当量が130〜500g/eq.のものが本発明においては通常用いられ得るが、好ましくは150〜400g/eq.、さらに好ましくは170〜300g/eq.である。エポキシ当量が小さすぎると硬く、もろくなりやすい傾向が強く、エポキシ当量が大きすぎる場合、硬度が出にくい、ガラス転移点が低くなるなどの問題が生じ得る。
フェノール化合物(PA1)とエピハロヒドリンとの反応において使用するエピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン、γ−メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられ、本発明においては、工業的に入手が容易なエピクロルヒドリンが好ましい。エピハロヒドリンの使用量は、フェノール化合物(PA1)の水酸基1モルに対し通常2〜15モルであり、好ましくは4〜10モルである。余り過剰のエピハロヒドリンを使用すると生産性が悪いばかりではなく、製造されるエポキシ樹脂の軟化点が低くなり、プリプレグとした場合のタック性等に良い影響を与えない。また、エピハロヒドリンの量が2モル以下であると、nの値が大きくなってしまい製造中にゲル化しやすくなる。
上記エポキシ化反応においては、アルカリ金属水酸化物を使用することが好ましい。該アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。なお、アルカリ金属水酸化物を、固形物として利用してもよいし、その水溶液として利用してもよい。例えば、アルカリ金属水酸化物を水溶液として使用する場合においては、アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に、減圧下又は常圧下で連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液して水を除去し、エピハロヒドリンを反応系内に連続的に戻す方法によりエポキシ化反応を行うことができる。また固形を使用する場合、その取り扱いやすさ、溶解性等の問題からフレーク状の物を使用することが好ましい。アルカリ金属水酸化物の使用量は、フェノール化合物(PA1)の水酸基1モルに対して通常0.90〜1.5モルであり、好ましくは1.01〜1.25モルであり、より好ましくは1.01〜1.15モルである。
上記エポキシ化反応においては、反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩や、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラメチルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルブロマイド等の4級ホスホニウム塩を触媒として添加してもよい。これら4級塩の使用量は、フェノール化合物(PA1)の水酸基1モルに対し通常0.1〜15gであり、好ましくは0.2〜10gである。
上記エポキシ化反応においては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが反応進行上好ましく、本発明においては特にその光学特性からアルコール類及び/またはエーテル類の使用が好ましい。
上記アルコール類やエーテル類を使用する場合、その使用量は、エピハロヒドリンの使用量に対し通常2〜50質量%であり、好ましくは4〜20質量%である。一方、上記非プロトン性極性溶媒を用いる場合、その使用量は、エピハロヒドリンの使用量に対し通常5〜100質量%であり、好ましくは10〜80質量%である。
上記エポキシ化反応において、反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。一方、反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間である。本反応は常圧でも減圧下でも構わず、減圧条件で水−エピハロヒドリンの共沸脱水条件で反応しても構わない。これらのエポキシ化反応の反応物は、水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去することにより精製され得る。また、更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収した反応物をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて、副生成物の閉環反応を行い、副生成物であるハロヒドリンの閉環を確実なものにすることは好ましい。
この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は、エポキシ化に使用したフェノール化合物(PA1)の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モルであり、好ましくは0.05〜0.2モルである。また、反応温度は通常50〜120℃であり、反応時間は通常0.5〜2時間である。
上記エポキシ化反応においては、反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明に使用できるエポキシ樹脂を得ることができる。このようにして得られたエポキシ樹脂は一部その溶剤や水によりエポキシ樹脂が付加したものや、閉環しきれずハロゲンが残存するものも含まれる。
このようにして得られるフェノール化合物(PA1)とエピハロヒドリンの反応生成物であるエポキシ樹脂(C)は、本発明においては生産性、及び取り扱い性に優れ、さらに硬化物に高い機械的強度を与える以下のいずれかの条件を満たすものが好ましい。
1.エポキシ当量が195〜225g/eq.、好ましくは200〜220g/eq.である。
2.ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおいてフェノール化合物(PA1)同士がエピハロヒドリンによって2つ繋がったものが20面積%以下、3つ繋がったものが15面積%以下、より好ましくは2つ繋がったものが15面積%以下、3つ繋がったものが10面積%以下である。
更に、前記脂肪族環状構造をもつエポキシ樹脂(B)及び分子内に3個以上のエポキシ基を有する芳香族多官能エポキシ樹脂(C)の他に、得られる本発明のエポキシ樹脂組成物の粘度、密着性や、ガラス転移温度(Tg)、硬度、屈折率等を考慮して、成分(B)及び成分(C)以外のエポキシ樹脂(D)を単独あるいは二種類以上を混合して使用してもよい。
エポキシ樹脂(D)としては、前記エポキシ樹脂(B)及びエポキシ樹脂(C)を除くその他のエポキシ樹脂が該当する。例えば、分子内に3個未満のエポキシ基をもつ芳香族エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、または非芳香族エポキシ樹脂等が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、公知一般のフェノール類とエピクロルヒドリンを反応させてなるエポキシ樹脂が例示される。
例えば、原料として使用されるこれらフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、チオジフェノール、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール等のビフェノール類、テトラブロモビスフェノールA等の置換ビスフェノール類
ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ナフタレンジオール等のジヒドロキシベンゼン類、メチルハイドロキノン等の置換ジヒドロキシベンゼン類。
所謂ノボラック樹脂と称される、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物のジオール体、
フェノール、クレゾール、アニソール等の単官能フェノール類等から誘導されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
非芳香族エポキシ樹脂としては、非芳香族アルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、例えばヘキサメチレンジオールジグリシジルエーテル等の非環状アルキルジオールジグリシジルエーテル類、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、シルセスキオキサン系のエポキシ樹脂(鎖状、環状、ラダー状、あるいはそれら少なくとも2種以上の混合構造のシロキサン構造にグリシジル基、及び/またはエポキシシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明において用いられる硬化剤(E)とは、エポキシ樹脂(B)、(C)、(D)と反応し、多価カルボン酸(A)と同様、エポキシ樹脂類を硬化させることを目的として加えられるものである。硬化剤(E)は、求められる硬化物の特性に応じて、多価カルボン酸(A)と併用することで、諸特性を調整する役割として加えられる。
従って、所謂エポキシ樹脂硬化剤として一般に示されるものが使用できる。
例えば、多価カルボン酸(A)の原料である(a−1)で示される酸無水物、その他多価カルボン酸、アミン系化合物、不飽和環構造を有する酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。
使用できる硬化剤の具体例としては、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,2,4,5−二無水物等の(a−1)で示される酸無水物類、
ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物等のその他飽和酸無水物類、
アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸等の脂肪族カルボン酸類、
ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、シクロヘキサンジオール等の炭化水素ジオール類、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の炭化水素多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ポリカプロラクトンジオール等のポリエステルジオール類、更にはシリコーンジオール等の無機ジオール類等、その他ジオール類とこれらに例示される酸無水物を反応させたカルボン酸類、
無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、の不飽和環構造を有する酸無水物系化合物類、
フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸の不飽和環構造を有するカルボン酸化合物類、
ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン等のアミン系化合物類、
ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等のアミド系化合物類、
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類等のフェノール系化合物類、
イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
これらのうち、本発明が硬化物が透明であることを特徴とするものであることを鑑みれば、高い透明性を有する飽和カルボン酸類およびその酸無水物類を用いることが好ましい。
さらには、多価カルボン酸(A)の原料である酸無水物(a−1)で示される、カルボン酸類、及びそれらの誘導体を用いることが最も好ましい。これらは、硬化物の透明性と耐熱性を両立する上で有効に作用するためである。
これらは、多価カルボン酸(A)を調製する際、酸無水物(a−1)成分が過剰となり残留したものもこれに含まれる。
一方、不飽和環構造を有する酸無水物系化合物類、フェノール類、アミン類、アミド類等は、着色等の問題から、多量に配合することは出来ず好ましくない。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、各成分の使用比率は、成分(B)+成分(C)+成分(D)の全エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、成分(A)+成分(E)の合計した反応当量が0.5〜1.5当量(カルボン酸を1官能、酸無水物を2官能と考える)であり、好ましくは0.6〜1.2当量である。
さらに、全エポキシ樹脂中の各成分の使用割合は、所望の屈折率やガラス転移温度や硬度や密着性等を考慮して決められるが、成分(B)+成分(C)+成分(D)を100質量部とした場合に、成分(B)の含有量は5〜100質量部、特に好ましくは10〜90質量部である。成分(C)の含有量は0〜70質量部であり、特に好ましくは5〜50質量部である。成分(D)の含有量は0〜70質量部であり、特に好ましくは10〜50質量部である。また、成分(B)+成分(C)+成分(D)の全エポキシ樹脂を混合したものは、常温で固体であるのが好ましい。成分(B)、(C)、(D)の中で、常温で液体の成分を使用する割合は、その成分は、全エポキシ樹脂100質量部中の30質量部以下であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において多価カルボン酸(A)以外の硬化剤(E)を用いる場合、多価カルボン酸(A)と硬化剤(E)の全体を100質量%とすると、多価カルボン酸(A)の割合は、通常10〜100質量%、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。この範囲よりも多価カルボン酸(A)が少ない場合には、本発明の効果が希薄となる。耐熱性と硬化性の両立を図る観点から、多価カルボン酸(A)を多く含有さえることが好適だが、プリプレグや硬化物に適度な柔軟性を付与させる、光学的屈折率の調整をする等の諸特性をバランスさせる観点から表記量を上限に硬化剤(E)を用いる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、硬化反応を早める、または硬化温度を調整する目的で硬化促進剤を用いてもよい。
これらは、上記硬化反応を促進させる効能を有するものであれば、公知一般のものが使用できる。
例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、
及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、
ジシアンジアミド等のアミド類、
1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、
前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、
テトラブチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物類、
2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、
オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸コバルト等の有機金属化合物等が挙げられる。
さらに、硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。
これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択されるべきものである。硬化促進剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物中の、全エポキシ樹脂100質量部に対し通常0.001〜15質量部の範囲で使用される。
本発明の特徴を鑑み、透明性、耐熱性、耐光性、硬化速度などを考慮すると、無触媒もしくは、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらの塩類、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物等、または例えばオクチル酸亜鉛等の無色の有機金属類を使用するのが好ましい。これらは無色であり、かつ、硬化時の熱や、プリント配線基板として長期間使用した場合でも着色しにくい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には所謂難燃剤を含有させることもできる。リン系、ハロゲン系等の難燃剤は公知一般の難燃剤が使用でき、特に限定は無い。しかし、しかし、本発明の特徴を鑑みれば、無色であり、かつ、硬化時の熱や、プリント配線基板として長期間使用した場合でも着色しにくい材料を選択することが好ましい。
この点でハロゲン系難燃剤は着色しているものが多く、使用が難しい。
リン含有化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシリレニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等のリン酸エステル類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ化合物、赤リン等が挙げられるが、リン酸エステル類、ホスファン類またはリン含有エポキシ化合物が好ましく、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4’−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ化合物が特に好ましい。難燃性を付与する場合は、リン含有化合物の使用量はリン含有化合物/全エポキシ樹脂=0.1〜0.6(質量比)が好ましい。0.1以下では難燃性が不十分であり、0.6以上では硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼす懸念がある。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて公知一般の酸化防止剤を添加してもよい。使用できる酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤等が挙げられる。しかし、本発明の特徴を鑑みれば、無色であり、かつ、硬化時の熱や、プリント配線基板として長期間使用した場合でも着色しにくい材料を選択することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤の具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、等のモノフェノール類
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤の具体例として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤の具体例として、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが挙げられる。
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。酸化防止剤の使用量は、本発明のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、通常0.008〜1質量部、好ましくは0.01〜0.5質量部である。また、本発明においてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて光安定剤を添加してもよい。光安定剤は公知一般のものが使用でき、特に限定は無い。しかし、本発明の特徴を鑑みれば、無色であり、かつ、硬化時の熱や、プリント配線基板として長期間使用した場合でも着色しにくい材料を選択することが好ましい。
これらの代表的な例として、ヒンダードアミン類、リン系類が挙げられる。
例えば、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、
コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(例えばチヌビン111FDL、チバジャパン製の成分)、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕(例えばチヌビン111FDL、チバジャパン製の成分)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート(例えばチヌビン144、チバジャパン製)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えばチヌビン292、チバジャパン製の成分)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えばチヌビン292、チバジャパン製の成分)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(例えばチヌビン123、チバジャパン製の成分)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては特に限定はないが、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系等が挙げられ、先に記載した光安定剤と併用することも可能である。
ベンゾトリアゾール系(所謂BTZ系)紫外線吸収剤は、下記一般式で示される構造を有している化合物として指し示される。
Figure 2013133407
(式中、複数存在するRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族の炭化水素基、炭素数1〜4の(ポリ)アルキレンオキシ基、−O−Rを示す。なお、R基は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、水素原子とその他グリシジルエーテル基、カルボキシル基、アクリレート基含有化合物との反応残基を示す。)
例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(例えばチヌビンPS、チバジャパン製)、ベンゼンプロパン酸−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル(例えばチヌビン99−2、チバジャパン製)、ベンゼンプロパン酸−3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル(例えばチヌビン384−2、チバジャパン製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(例えばチヌビン900、チバジャパン製)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(例えばチヌビン928、チバジャパン製)、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコールの反応生成物(例えばチヌビン1130、チバジャパン製)等のベンゾトリアゾール類が挙げられる。
ヒドロキシフェニルトリアジン系(所謂HPT系)紫外線吸収剤は、下記一般式で示される構造を有している化合物として指し示される。
Figure 2013133407
(式中、複数存在するRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族の炭化水素基、炭素数1〜4の(ポリ)アルキレンオキシ基、−O−Rを示す。なお、R基は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、水素原子とその他グリシジルエーテル基、カルボキシル基、アクリレート基含有化合物との反応残基を示す。)
例えば、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル, とオキシラン[(アルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(例えばチヌビン400、チバジャパン製)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−2,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物(例えばチヌビン405、チバジャパン製)、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(例えばチヌビン460、チバジャパン製)、プロパン酸−2−[4−[4,6−ビス([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−3−ヒドロキシフェニル]―,イソオクチルエステル(例えばチヌビン479、チバジャパン製)等のヒドロキシフェニルトリアジン類が挙げられる。これらのうち、経時的な着色性に優れるヒドロキシフェニルトリアジン類が好適に用いることが出来る。
特には、プロパン酸−2−[4−[4,6−ビス([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−3−ヒドロキシフェニル]―,イソオクチルエステル(例えばチヌビン479、チバジャパン製)等、Rのうち少なくとも一つが、芳香族炭化水素基であるものが特に優れた効能を示す。
これらのうち、ヒドロキシフェニルトリアジン系(所謂HPT系)紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤を合わせて含有すると、さらに耐光性が向上するため好ましい。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、求められる諸特性に合わせるため、透明性や硬度などの特性を損なわない範囲でブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などの樹脂成分を必要に応じて添加することもできる。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には一次粒径が1〜200ナノメートルの微粒子を添加してもよい。微粒子としては例えばガラス、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化アンチモン、酸化セレン、酸化イットリウムなどが挙げられ,分散溶媒を含有しない微粉末や溶媒に分散させたコロイド溶液として市場から入手して用いることができる。また、これらを1種または2種以上を混合して用いることが出来る。分散溶媒はメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルジメチルアセトアミドなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの非極性溶媒など、本発明のエポキシ樹脂組成物の各成分が溶解するものを選定して用いればよい。
その他にもシランカップリング剤、離型剤、レベリング剤、界面活性剤、染料、顔料、無機あるいは有機の光拡散フィラー等も添加することができる。
本発明においては、耐熱性、耐光特性を改良する目的で公知一般の金属塩の添加をすることもできる。具体的にはカルボン酸金属塩(2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸などの亜鉛塩、スズ塩、ジルコニウム塩)やリン酸エステル金属(オクチルリン酸、ステアリルリン酸等の亜鉛塩)、アルコキシ金属塩(トリブチルアルミニウム、テトラプロピルジルコニウム等)、アセチルアセトン塩(アセチルアセトンジルコニウムキレート、アセチルアセトンチタンキレート等)等の金属化合物等が挙げられる。これらは単独或いは2種以上を用いてもよい。
本発明において用いられるガラス繊維とは、ガラスを融解、牽引し繊維状にしたものからなる物を指し、本発明の樹脂組成物と複合化させることによって透明回路基板としての特性を充足させることを目的として使用する。ガラス繊維は一般的には、その繊維の集合形態により各種分類がなされている。その重合形態は本発明における透明プリント配線基板用途として求められる、形状、強度や厚さ等の特性に応じて、適宜選択されるべきものである。例えば、その分類としてガラス不織布やガラスフェルト、チョップドストランドマット、ロービング、チョップドストランド、ミルドファイバー、ヤーン、ロービングクロス、ガラスクロス、ガラススリーブ、ガラスコード等の形態のいずれも使用することができる。こられのうち、一般的には板状、もしくはシート状の形態を有し、高い強靭性を求められる透明回路基板としての用途を考慮すれば、ガラス繊維を紡糸し更に織物とした所謂ガラスクロスが最も好適に用いられる。
本発明おいて好適に用いられるガラス繊維のガラス種類としては、特に限定はなく、公知一般のガラスを用いることが出来る。例えば、所謂E−ガラス、S−ガラス、T−ガラス、D−ガラス、UN−ガラス、NE−ガラス、Q−ガラス等が挙げられる。
これらのうち、E−ガラスは、アルカリ金属酸化物が少なく、無アルカリガラスとして本発明の用途には適している。また樹脂との密着性や表面張力を制御するためのガラス繊維はシランカップリング剤により処理してあるものも好適に用いることが出来る。
本発明に好適なガラス繊維の径は、透明性などを考慮すると小さいほうが良く10μm以下が好ましい。また本発明のエポキシ樹脂組成物との密着性を考慮すると、屈折率は1.51〜1.57であり、一般的に入手可能なものとして1.55〜1.57がより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物の光学的屈折率は、25℃において1.50以上である必要がある。即ち、透明回路基板用途として構成する場合、一般的にはガラスクロス等の無機繊維と複合化して用いる。
この際、ガラスクロスと樹脂硬化物の光学的屈折率を制御し、同等にしておく必要がある。光学的屈折率に差異がある場合には、複合化し得られる基板は透明性を失ってしまう。従って、ガラス繊維との複合化を考慮する場合には、ガラスの光学的屈折率を考慮し、1.50以上である必要がある。
さらに、本発明の硬化物の光学的屈折率は用いるガラス繊維との屈折率との差が少ないものが好ましい。具体的には該ガラス繊維の屈折率との差が±0.01となるものが好ましく、さらには差が±0.005となるものが好ましい。本発明の硬化物の屈折率がこの範囲であると、透明性、平滑性、硬度に優れた本発明の透明回路基板に好適な硬化物を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を、透明回路基板として使用するためのガラス繊維との複合化方法は公知一般の方法が適用でき、特に限定は無い。
例えば、溶剤に溶解させた硬化性樹脂をガラスクロス等のガラス繊維に含浸させ、その後溶剤を揮発させる方法や、平面状に成型した未硬化の樹脂組成物に、ガラスクロスやチョップドストランドを重ね、ロール等により圧力等をかける方法、型中にガラス繊維を置き、そこに加熱した樹脂をトランスファー成型機等を用いて流し込む方法、または熱溶融させた樹脂にミルドファイバー等ガラス繊維を混合し、二軸押出し機等を用いてせん断力を付与する方法等が挙げられる。
これらのうち、本発明の硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂であることから、比較的温和な温度条件で複合化が可能な溶液を含浸させる方法を好適に用いることが出来る。
さらにガラス繊維と複合化させた後、求められる形状を有する型にいれ、硬化反応を進行させることで、硬化物を得る(硬化工程)。
一般的に回路基板は、実装等の都合から板状、もしくはフレキシブルなシート状として用いられることが多いため、これらの形態の硬化物を得る方法であれば、特に限定は無い。
このような板状、シート状の硬化物を得るための一例としては、溶剤に溶解した本発明の樹脂組成物に所謂ガラスクロスを含浸させた(含浸工程)後、乾燥炉にて溶剤を揮発させ(乾燥工程)、所謂プリプレグシートと称する未硬化の複合体を作成する。このプリプレグシートを必要な厚さや形状に切断、必要に応じて積層させ、離型層を設けた型(例えば、平面の板状のものを得るためには平面板)に形状を保つよう加圧しながら加熱し、硬化反応を進めて硬化物を得る(硬化工程)。その後脱型し板状の硬化物を得る方法等が挙げられる。
プリプレグを作製する際の乾燥条件を考慮するとガラスクロスの厚みは通常100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。これよりも厚い場合には、溶剤の揮発が困難となり、硬化工程において残留溶剤による発泡等の問題となる。25μm程度かそれ以下の厚さのものを用いてプリプレグを作製し、硬化時に2枚〜数枚を重ね合わせて一体化し本発明の回路基板としても良い。
成型を目的として樹脂溶液を作成するための溶剤は、硬化反応に対してイナートであれば、特に限定はない。具体的に例示すれば、多価カルボン酸(A)を合成する際に使用可能な溶剤と同じである。また好適な沸点の範囲も同様である。
溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物を使用する際の粘度や乾燥速度などを考慮し、1種あるいは2種以上の混合溶剤として用いることができる。溶剤の使用割合は使用時の作業性や乾燥速度によるが、本発明のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、通常10〜200質量部、好ましくは15〜100質量部である。
本発明のエポキシ樹脂組成物溶液の溶剤を揮発させる温度は、使用する溶剤や風量にもよるが通常は60〜200℃が好ましい。ガラスクロス等のガラス繊維シート状基材に前記ワニスを含浸させ、溶剤を乾燥する際に、本発明のエポキシ樹脂組成物を半硬化状態にすることにより、プリプレグを得ることも可能である。この際の乾燥条件は特に限定はされないが、温度100〜180℃、時間は1〜30分が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は硬化の際に硬化剤が揮発することによる光学的屈折率の変化がないため、その制御が容易であり、かつ正確に行えることが特徴の一つである。なお、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化温度、時間としては80〜200℃で2〜200時間である。硬化方法としては高温で一気に硬化させることもできるが、150℃以下の低温で長時間硬化させても良い。80〜150℃の間で初期硬化を行い、100℃〜200℃の間で後硬化を行うなど、ステップワイズに昇温し硬化反応を進めても良い。
本発明における硬化物を回路基板用途として使用するためには、基板上に任意の形状を有した導電性の回路を形成する必要がある。
好適に用いられる導電性材料は、公知一般の材料を用いることが出来る。例えば、銅、金、スズ、アルミニウム等の金属類、スズドープインジウム酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)等の金属酸化物類が好適に用いられる。
回路形成するための手法は、透明性を持たない周知の回路基板と同じ手法が利用できる。例えば、銅等の導電層を全面に貼合した本発明の透明基板表面、例えば銅貼り積層板やCCLと称されるものから、フォトリソグラフィー法、シルクスクリーン印刷法、レーザー直接描画法により回路のパターニングを行い、不必要な銅をエッチング法に除去するサブトラクティブ法、また硬化後の透明基板に、フォトリソグラフィー法、シルクスクリーン印刷法、レーザー直接描画法により回路のパターニングを行ったのち、無電解メッキや転写、スパッタリング、蒸着等の方法を用いて回路を形成するアディティブ法、または導電性インキ等を用いて直接回路をパターニングする直接印刷法等、これらを組み合わせて用いることもできる。 これらの方法は、求められる回路の精細度や生産数等により好適な組み合わせが選ばれる。この際、密着性や転写性、塗工・印刷適性を高めるための洗浄処理、コロナ処理、オゾン処理等の下地処理も好適に行うことが出来る。
また、プリプレグを用いた回路基板作成法では、プリプレグを硬化させる硬化工程において、型に入れ硬化させる際、直接銅箔や導電性転写膜等の導電材料を型とプリプレグシートの間に構成し成型することで、簡易に導電性を有するプリント配線基板を得ることができる。
また硬化した基板に接着剤層を用いて導電層をラミネートすることもできるが、この場合は別途貼合工程を行う必要がある。
プリプレグの硬化工程に直接導電材料の間に構成し成型する方法は、型への剥離層、例えば剥離加工フィルム等を使用しなくとも硬化工程を行えるので好ましい。この際、硬化工程としては、上記のエポキシ樹脂組成物の硬化条件をそのまま適用することが出来る。
また、好適に用いられる導電材料としては、銅、金、アルミニウム等の金属箔が例示される。これらのうち一般的なものは銅箔である。これは、導電特性や回路を形成する際のパターニング特性が優れている。 銅箔としては、圧延、電解等の方法により銅箔とするものが一般的であるが、これらは使用する用途に合せて適宜選択されるべきものであり、いずれも好適に使用することが出来る。また、表面の易接着処理についても特に限定は無い。例えば、表面粗化処理や化学処理も好適に行うことが出来る。
また、上記のように導電層として金属箔を用いた場合は、その部分は透明性がない。透明性を求められる用途においては、例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)等の金属酸化物透明導電性材料を転写法により成型させることも可能である。この際、用いる転写材料としては、リリースフィルム上に例えばITO導電膜等を作成し、転写により導電性を付与する方法を適応することも可能である。
この場合も上記方法と同じく、プリプレグを転写素材ではさみ成型・硬化させることで、導電層を構成することができるので好ましい。
本発明の透明回路基板は、透明である特徴を生かし、発光素子、発電素子等の光電変換素子を実装し、照明や表示体、所謂太陽電池や光センサー等に好適に用いることが出来る。
さらには液晶パネル等の表示体上で動作するタッチパネル等にも好適に用いることが出来る。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。合成例2〜4においては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によりトリシクロデカンジメタノールの消失を確認した時点で反応終了とした。
合成例において、部は特に断わりのない限り質量部である。また、GPCの測定条件及びエポキシ当量の測定方法は以下の通りである。
GPC測定条件
カラム:Shodex SYSTEM−21カラム
(KF−803L、KF−802.5(×2本)、KF−802)
連結溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min.
カラム温度:40℃、
検出:RI(Reflective index)
検量線:Shodex製標準ポリスチレン
エポキシ当量
JIS K−7236に記載の方法。
合成例1 多価カルボン酸(A)の合成
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらメチルエチルケトン(以下、MEK)204部、トリシクロデカンジメタノール294部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(新日本理化(株)製、リカシッドMH;以下、H1)423部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物(三菱ガス化学製 H−TMAn;以下、H−TMAn)99部を加え、50℃で2時間反応後、70℃で4時間加熱撹拌を行なった。得られた溶液にMEKをさらに145部加えることで多価カルボン酸(A)のMEK溶液1166部が得られた。得られた溶液は無色であり、エポキシ当量は272g/eqであって、多価カルボン酸(A)の濃度は70質量%であった。
合成例2 多価カルボン酸(A)の合成
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール12部、H1 73部、H−TMAn 15部を加え、40℃で3時間反応後、70℃で1時間加熱撹拌を行い、無色の液状樹脂である多価カルボン酸(A)とH1の混合物を100部得た。この混合物のエポキシ当量は171g/eqであり、GPCで測定した成分比は酸無水物と架橋多環ジオール類の反応物:H1:H−TMAn=40.8:48.8:10.5であった。
合成例3 多価カルボン酸(A)の合成
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール36部、H1 195部、H−TMAn 69部を加え、40℃で3時間反応後、70℃で1時間加熱撹拌を行い、無色の液状樹脂である多価カルボン酸(A)とH1の混合物を300部得た。この混合物のエポキシ当量は162g/eqであり、GPCで測定した成分比は酸無水物と架橋多環ジオール類の反応物:H1:H−TMAn=42.0:42.1:15.9であった。
合成例4 多価カルボン酸(A)の合成
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール45部、H1 195部、H−TMAn 60部を加え、40℃で3時間反応後、70℃で1時間加熱撹拌を行い、無色の液状樹脂である多価カルボン酸(A)とH1の混合物を300部得た。この混合物のエポキシ当量は170g/eqであり、GPCで測定した成分比は酸無水物と架橋多環ジオール類の反応物:H1:H−TMAn=51.0:37.1:11.9であった。
合成例5 多価カルボン酸(A)の合成
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール40部、H1 200部を加え、40℃で3時間反応後、70℃で1時間加熱撹拌を行い、無色の液状樹脂である多価カルボン酸(A)を240部得た。
合成例6 エポキシ樹脂(C)の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)141.5部、エピクロルヒドリン463部、メタノール46部を仕込み、撹拌下で70℃まで昇温した。次いでフレーク状水酸化ナトリウム42部を90分かけて分割添加し、その後、70度で1時間攪拌した。反応終了後、水200部を加えて水洗を行って生成した塩などを除去した後、油層からロータリーエバポレーターを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン400部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30質量%の水酸化ナトリウム水溶液12部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液をロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することで無色〜淡黄色のエポキシ樹脂(C)190部を得た。得られたエポキシ樹脂のnは1.1、エポキシ当量は209g/eq.、軟化点は57.7℃、溶融粘度(200℃)0.12Pa・sであった。
以下の実施例に示すような組成(以下、「部」で表される数値は質量部を示す)にて本発明のエポキシ樹脂組成物及び硬化物を得た。又、樹脂組成物及び硬化膜についての評価方法及び評価基準は以下の通りであった。
(1)粘度:E型粘度計(TV−200:東機産業(株)製)を用い、25℃にて測定した。
(2)屈折率(25℃):硬化したエポキシ樹脂組成物の屈折率(25℃)をプリズムカップラー屈折率計(メトリコン製)で測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg):硬化したエポキシ樹脂組成物のTg点を粘弾性測定システム(DMS−6000:セイコー電子工業(株)製)において、引っ張りモード、周波数1Hzにて測定した。
(4)400nm透過率、550nm透過率、YI値:硬化したエポキシ樹脂組成物の硬化膜の膜厚をデュアルタイプ膜厚計(ケット科学研究所製)にて測定した後、透過率を分光光度計U−3310(日立製)にて測定し、さらに100μm厚に換算した値での400nm透過率、550nm透過率、YI値を求めた。
(5)耐光試験:エポキシ樹脂組成物の硬化膜をEYE SUPER UV TESTER SUV−W11(岩崎電気製)にて60℃、60%RHの条件で4時間の耐光試験を行った後、外観を目視で観察した。さらに透過率(400nm、550nm)、着色(YI値)を(4)と同様に測定した。
(6)耐熱試験:エポキシ樹脂組成物の硬化膜を120℃乾燥機中に100時間投入した後、外観を目視で観察した。さらに透過率(400nm、550nm)、着色(YI値)を(4)と同様に測定した。
(7)全光線透過率、ヘイズ:ヘイズメーターTC−H3DPK(東京電色製)にて測定した。
実施例1
合成例2で得た多価カルボン酸(成分(A))とH1の混合物39.9部、成分(B)としてEHPE−3150(ダイセル化学製:一般式(2)においてR=トリメチロールプロパン残基、m=5、エポキシ当量181)を10.3部、成分(C)として合成例6で得られた化合物16.4部、NC−3000(日本化薬製:ビフェニル構造多官能エポキシ樹脂、エポキシ当量275)12.3部、成分(D)としてJER−828(三菱化学製:液状ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量185)を5.2部、YD−012(東都化成製:固形ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量670)を15.9部、その他の成分としてオクタン酸亜鉛0.3部、添加剤であるアデカスタブ260(ADEKA製:リン系酸化防止剤)0.2部、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート0.2部、希釈溶剤であるMEK43.2部を、70℃に加温、混合し、本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は98mPa・sであった。
ガラス基板上に耐熱離型テープで40mm×25mm×深さ1mmの型を作成し、本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を厚さ約800μmにまで注型し、80℃にて50分間乾燥した。乾燥途中で真空脱泡を1回行い、泡を除去した。その後室温まで冷却し状態を確認したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて150℃乾燥機にて3時間硬化し、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.568であり、ガラス転移温度(Tg)は135℃だった。硬化膜のYI値は0.3、透過率は550nmで90.6%、400nmで90.1%だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
実施例2
合成例2で得た多価カルボン酸(成分(A))とH1の混合物43.6部、成分(B)としてEHPE−3150を2.6部、成分(C)として合成例6で得られた化合物35.5部、成分(D)としてJER−828を10.4部、YD−012を8.0部、その他の成分として、硬化触媒であるヒシコーリンPX4MP(日本化学工業製:4級ホスホニウム塩)0.3部、希釈溶剤のMEK43部を、70℃に加温、混合し、本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分70%MEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液の粘度は40mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.566であり、ガラス転移温度(Tg)は140℃だった。硬化膜のYI値は0.2、透過率は550nmで90.6%、400nmで90.6%だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
実施例3
実施例2において、その他の成分にて硬化触媒としてU−CAT5002(三洋化成製1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7誘導体のテトラフェニルボレート)0.3部を使用する以外は、実施例2と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は41mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.566であり、ガラス転移温度(Tg)は141℃だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
実施例4
合成例2で得た多価カルボン酸(成分(A))とH1の混合物41.3部(成分(B)、成分(C)及び成分(D)の全てのエポキシ基に対して1当量)、成分(C)としてNC−3000を用いずに合成例6で得られた化合物27.3部を用いる以外は、実施例1と同様にして本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は62mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.561であり、ガラス転移温度(Tg)は145℃だった。硬化膜のYI値は0.3、透過率は550nmで90.6%、400nmで90.5%だった。
次いで耐光試験、耐熱試験を行った。耐光試験後の外観は若干着色があるがひび割れなどの劣化もなく透明性は良好であった。YI値は5.6、透過率は550nmで90.0%、400nmで80.0%だった。
耐熱試験後の外観は着色もほとんどなく良好であった。YI値は0.3、透過率は550nmで90.7%、400nmで90.5%だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
実施例5
成分(A)として合成例1で得た濃度70質量%の多価カルボン酸溶液66.6部、成分(B)としてEHPE−3150を4.8部、成分(C)としてNC−3000を用いずに合成例6で得られた化合物12.0部、成分(D)としてJER−828を8.1部、YD−012を28.5部を用い、その他成分の希釈溶剤のMEKを23部にする以外は、実施例1と同様にして本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は306mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.558であり、ガラス転移温度(Tg)は106℃だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
実施例6
合成例4で得た多価カルボン酸(成分(A))とH1の混合物41.2部、成分(C)としてNC−3000を用いずに合成例6で得られた化合物27.4部、成分(D)としてJER−828を5.2部、YD−012を16.0部を用いる以外は、実施例1と同様にして本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は70mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.561であり、ガラス転移温度(Tg)は142℃だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
実施例7
合成例3で得た多価カルボン酸(成分(A))とH1の混合物40.0部、成分(B)としてEHPE−3150を10.6部、成分(C)としてNC−3000を用いずに合成例6で得られた化合物28.0部、成分(D)としてJER−828を5.3部、YD−012を、16.1部を用いる以外は、実施例1と同様にして本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は868mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.562であり、ガラス転移温度(Tg)は147℃だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
実施例8
成分(A)として合成例2で得た多価カルボン酸(成分(A))とH1の混合物40.6部、成分(B)としてEHPE−3150を11.3部、成分(C)としてNC−3000を用いずに合成例6で得られた化合物20.7部を、成分(D)としてJER−828を5.2部、YD−012を15.9部、BPEF−G(オグソールEG:大阪ガス製、フルオレン構造固形エポキシ樹脂、エポキシ当量275)6.2部を用いる以外は、実施例1と同様にして本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は62mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.563であり、ガラス転移温度(Tg)は139℃だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
実施例9
成分(A)として合成例2で得た多価カルボン酸(成分(A))とH1の混合物51.0部、成分(B)としてEHPE−3150を36.0部、セロキサイド2021P
(ダイセル化学製:3,4−エポキシシクロヘキシメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ当量130)13.0部を用い、成分(C)及び成分(D)を用いないこと以外は、実施例1と同様にして本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は33mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.512であり、ガラス転移温度(Tg)は160℃だった。硬化膜のYI値は0.3、透過率は550nmで91.9%、400nmで91.6%だった。
次いで耐光性試験を行った。耐光試験後の外観は着色もほとんど見られず良好であり、YI値は0.5、透過率は550nmで91.7%、400nmで91.0%だった。
実施例10
成分(A)として合成例2で得た多価カルボン酸(成分(A))とH1の混合物50.4部、成分(B)としてEHPE−3150を25.7部、セロキサイド2021Pを13.0部、成分(C)として合成例6で得られた化合物10.9部を用い、成分(D)を用いないこと以外は、実施例1と同様にして本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は33mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.523であり、ガラス転移温度(Tg)は157℃だった。硬化膜のYI値は0.3、透過率は550nmで91.6%、400nmで91.5%だった。
次いで耐光性試験を行った。耐光試験後の外観は着色が若干あるもののひび割れなどの劣化もなく透明性良好だった。YI値は5.8、透過率は550nmで91.0%、400nmで80.0%だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
実施例11
実施例4において、さらにTINUVIN400(チバスペシャルティケミカルズ製:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤)を0.5部追加する以外は、実施例4と同様にして本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。このエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液の粘度は33mPa・sであった。
得られた本発明のエポキシ樹脂組成物のMEK希釈液を実施例1と同様にして乾燥したところ、本発明のエポキシ樹脂組成物は固体であった。
続いて実施例1と同様に本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得た。屈折率(25℃)は1.561であり、ガラス転移温度(Tg)は145℃だった。硬化膜のYI値は0.4、透過率は550nmで90.4%、400nmで86.4%だった。
次いで耐光性試験を行った。耐光試験後の外観は着色が若干あるもののひび割れなどの劣化もなく透明性良好だった。YI値は1.3、透過率は550nmで90.7%、400nmで89.0%だった。
さらに得られたエポキシ樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸しその後溶剤を50℃のオーブンで10分間乾燥しプリプレグを得た。
得られたプリプレグを一面は圧延銅箔の鏡面側、もう一面は剥離加工をしたポリエステルフィルムではさみ、熱プレスにて150℃3時間加圧プレス、樹脂を硬化させ銅貼り回路基板を得た。
得られた片面銅貼合透明基板をカッターで切り、その端面において銅とシートが剥離しないことを確認した。また、260℃のはんだ浴に片面銅貼合透明基板を銅基板側を下側にして浮かせた。
1分後に基板を引き上げ、直後に水冷し、透明基板側の表面状態を目視で観察し、変化ないことを確認した。さらに、50℃の市販の水酸化テトラメチルアンモニウム2.38%現像液に、片面銅貼合透明基板を浸漬し、24時間浸漬した。その後試料をひきあげ、純水で洗浄したのち、乾燥した。その表面の状態を観察し、変化ないことを確認した。
比較例1
リカシッドMH−700(新日本理化製:メチルヘキサヒドロフタル酸無水物とヘキサヒドロフタル酸無水物の混合物7:3;当量は168g/eqであり)40.6部(成分(B)、成分(C)及び成分(D)の全てのエポキシ基に対して1当量)、成分(B)として合成例4で得られた多価カルボン酸(成分(A))とH1の混合物27.3部、成分(C)としてEHPE−3150を10.3部、成分(D)としてJER−828を5.2部、YD−012を15.9部、その他の成分としてオクタン酸亜鉛0.3部、添加剤であるアデカスタブ260(ADEKA製:リン系酸化防止剤)0.2部、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート0.2部、希釈溶剤であるMEK43.2部を、70℃に加温、混合し、比較用の樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液を得た。
試験例1
実施例4及び比較例1で得られた組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液100部に対して、トルエン1部をそれぞれ添加、混合し、揮発試験用のサンプルを得た。
ガラス基板上に耐熱離型テープで40mm×25mm×深さ1mmの型を作成し、実施例4及び比較例1の揮発試験用サンプル(固形分が69質量%のMEK・トルエン混合溶液)を、厚さ約800μm注型し、精秤後、80℃にて15分間乾燥した。途中で真空脱泡を1回行い、泡を除去した。その後まだ溶剤が残った状態で、下記の条件で硬化を行い、硬化物を得た。硬化後に精秤し、注型したサンプル固形分に対して、乾燥・硬化中の揮発減量(%)を計算した。得られた硬化物の表面の外観を観察し、屈折率を測定した。
評価結果
硬化条件:120℃1時間+150℃3時間
揮発減量(%) 外観 屈折率(25℃)
実施例4 1.8 鏡面で平滑 1.561
比較例1 20.3 マット調で凸凹あり 測定不能
硬化条件:150℃3時間
揮発減量(%) 外観 屈折率(25℃)
実施例4 1.1 鏡面で平滑 1.561
比較例1 22.5 マット調で凸凹あり 測定不能
実施例12
実施例4で得られた本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分が70質量%であるMEK希釈液にMEKを添加して固形分50質量%に調整し、市販のガラスクロス(Eガラスクロス:約30μm厚、平織)を入れ、含浸させた。ガラスクロスを引き上げた後、120℃で7分乾燥した。乾燥後のシートは固形のフィルムであった。それをさらに離型処理したPETフィルムにはさんでプレスしながら150℃にて10分処理し、半硬化させてプリプレグを得た。その後150℃乾燥機にて3時間硬化した。本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物とガラスクロスの複合化されたシートが得られ、屈折率は1.561だった。全光線透過率は92%、ヘイズ2%であり、着色のない透明シートであった。
実施例1〜11の結果から明らかなように本発明のエポキシ樹脂組成物は、透明性に優れ、着色もなく、耐熱性、耐光性の良好な、様々な屈折率の硬化物を得ることができる。実施例12からは、多価カルボン酸(A)を用いることにより、一般的な酸無水物硬化剤を用いた比較例1の場合と比べて明らかに平滑な膜が得られることがわかる。また比較例1の酸無水物硬化剤が多量に揮発して硬化膜の成分構成比が変化するのに対し、本発明では揮発がほとんどないことがわかる。揮発による硬化膜の成分構成比の変化は、硬化膜の屈折率のブレにつながるため、ガラスクロスと組み合わせた場合に屈折率が合わなくなり透明シートを得ることが困難となるが、本発明の実施例ではそのような問題はないことがわかる。実施例12の結果からわかるように、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いることにより安定した屈折率の硬化膜を得られ、ガラスクロスと組み合わせた際にも透明な膜が得られることが確認された。
更にこれらの硬化性樹脂溶液を用いて片面銅貼り積層板を作成し、その特性を検討した。その結果、これらの銅貼り積層板は透明回路基板として充分な適性を有しており、本用途に好適な材料として使用することが出来る。
本発明の透明回路基板用エポキシ樹脂、及びそれをガラス繊維と複合化させて得られる透明回路基板は、透明性と耐熱性を併せ持ちながらも安価であるという特徴から、発光素子等の光電変換素子を実装する回路基板として好適に使用できる。
この回路基板を用いて、ディスプレイ等の表示素子、照明、太陽電池、センサー等の効率を高める。もしくは意匠性を高めることが可能となる。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表される多価カルボン酸(A)
    Figure 2013133407
    (式中、複数存在するR、Rはそれぞれ独立して、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、もしくはカルボキシル基を表し、Rは水素原子、もしくはメチル基を表す。Pは前記で表され、*でメチレン基と結合している。)、
    及び、分子内に脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂(B)を含んでなる透明回路基板用エポキシ樹脂脂組成物。
  2. 多価カルボン酸(A)中のRが全て水素原子である、請求項1記載の透明回路基板用エポキシ樹脂脂組成物。
  3. 分子内に脂肪族環状構造を有するエポキシ樹脂(B)が、一般式(2)で表される化合物
    Figure 2013133407
    (Rはアルコキシ基、mは平均値であって1〜20の正数であり、nは1〜10の整数である。)
    である請求項1または2に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物。
  4. 分子内に3個以上のエポキシ基を有する芳香族多官能エポキシ樹脂(C)を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物。
  5. 分子内に3個以上のエポキシ基を有する芳香族多官能エポキシ樹脂(C)が、一般式(3)で表される化合物
    Figure 2013133407
    (式中、nは1〜2の正数)である請求項4に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物。
  6. 脂肪族環状構造をもつエポキシ樹脂(B)及び分子内に3個以上のエポキシ基を有する芳香族多官能エポキシ樹脂(C)以外のエポキシ樹脂(D)、並びに硬化剤(E)を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物をガラス繊維と複合して得られることを特徴とする透明回路基板。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明回路基板用エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の25℃での光学的屈折率が1.50以上であることを特徴とする透明回路基板。
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