JP2013132643A - はんだ接着体 - Google Patents

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祥晃 栗原
Masato Yoshida
誠人 吉田
Takeshi Nojiri
剛 野尻
Shuichiro Adachi
修一郎 足立
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Abstract

【課題】特殊な接合装置を要せずに、はんだ付けが困難とされる各材料の表面にはんだが接着したはんだ接着体を提供する。
【解決手段】シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体と、前記被着体上に接着し、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が1質量%以下であるはんだ層と、を有するはんだ接着体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気的接続及び機械的接続がなされたはんだ接着体に関する。
はんだは、一般的に、鉛含有はんだ及び鉛フリーはんだに大別される。はんだは、一般的には、融点以上の温度で被着体と接触した際に、はんだと被着体との間で金属原子の拡散が起こり、これらの界面に合金が形成されることによって、被着体と接着すると考えられている。しかしながら、大気中での自然酸化や表面保護を目的とした表面酸化膜等によって、はんだ及び被着体の表面が酸化物で覆われている場合は、いわゆるはんだ濡れ性が悪い状態となり、はんだと被着体が直接接触しないために、金属原子の拡散は起こらず、被着体との接着が困難となる。
この表面酸化膜を化学的に除去する目的で、フラックスが用いられる。また、フラックスには、加熱に伴うはんだ及び被着体の表面酸化の防止や、溶融はんだの表面張力を低減させてはんだ濡れ性を向上させる作用がある。しかし、活性の残存しているフラックス残渣やハロゲン系フラックス残渣などは、はんだ及び被着体の腐食を進行させるために、はんだと被着体との接着処理の後に、フラックスの残渣を、完全に洗浄し除去することが要求される。
この表面酸化膜を物理的に除去しつつはんだと接着体とを接着する方法として、摩擦はんだ付け法や超音波はんだ付け法が挙げられる(例えば、特許文献1及び2参照)。摩擦はんだ付け法は、金属被着体の表面酸化膜に溶融はんだを接触させながら、機械的摩擦により表面酸化膜を研削除去することにより、はんだと金属被着体を直接接触させ、金属原子の拡散により接着するはんだ付け技術である。また、超音波はんだ付け法は、金属被着体の表面酸化膜に溶融はんだを接触させながら、超音波振動により発生したキャビテーションを利用して表面酸化膜を剥離除去することにより、はんだと金属被着体を直接接触させ、金属原子の拡散により接着するはんだ付け技術である。これらのはんだ付け法は、フラックスを使用せずにはんだ付けができる反面、それぞれに専用の装置を使用する必要がある。
ガラスやセラミックス等の無機非金属化合物及び無機金属化合物に接着可能なはんだが開示されている(例えば、特許文献3参照)。このはんだは、ガラスやセラミックス等の無機非金属化合物及び無機金属化合物とは、酸素を媒介とした化学結合によって接着するため、無機非金属化合物及び無機金属化合物の少なくともその表面は酸化物である必要があり、非酸化物との接着が困難である。更には、はんだ付け時には前述の超音波振動を必要としている。
一方、ガラスやセラミックス等の無機非金属化合物及び無機金属化合物にはんだを接着する方法として、前記無機非金属化合物及び無機金属化合物の表面に予め、銀、パラジウム、銅、これらの混成物などを真空蒸着、無電解めっき、焼き付け等によって表面被覆しておく方法が知られている。しかし、この方法では、はんだを接着するに先立って前記表面被覆プロセスが必要になるほか、被覆金属がはんだによって溶食されやすい場合には、適用可能なはんだの選定とはんだ付け条件を厳密に管理する必要がある。
ところで、シリコンは、ホウ素やリンを不純物として含むことにより、その不純物によって新たなフェルミ準位を形成し半導体となる。その電気的特性、化学的安定性ゆえに、広く半導体の基板等として利用されている。また、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム、ニオブも、それぞれの特性から、利用範囲が広がっている。
一方で、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム、ニオブは、はんだ付けが困難な材料として知られている(例えば、非特許文献1)。
特許第3205423号公報 特開平9−216052号公報 特許第3664308号公報
はんだ付技術なぜなぜ100問(2011年4月、丸善出版株式会社、第160頁〜第162頁)
上述したはんだ付けが困難とされているシリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブについても、これらを被着体として、はんだと接続することについての要請が存在する。
しかしながら、これらの被着体にはんだを接続するためには、無機非金属化合物及び無機金属化合物にはんだを接着する場合のように追加のプロセスを必要とし、その結果、工程が煩雑になってしまうという短所があり、接着工程を煩雑にすることなく、この要請に応えられていないのが現状である。
本発明では、はんだ材料が、特殊な接着装置を要せずに上記はんだ付けが困難とされる各材料の表面に接着したはんだ接着体を提供することを課題とする。
また前記はんだ接着体を簡便な方法で得ることができるはんだ接着体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の第一の態様は、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体と、前記被着体上に接着し、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が1質量%以下であるはんだ層と、を有するはんだ接着体である。
前記はんだ層におけるインジウムの含有率は、1質量%以下であることが好ましい。
前記はんだ層は、前記第一の態様又はその好ましい態様において、固相線温度以上液相線温度以下の温度で接着されてなることが好ましい。
また、前記被着体と前記はんだ層とが、前記第一の態様又は前述したいずれかの好ましい態様において、超音波接続工程を用いない方法により接着されてなることが好ましい。
更に、前記被着体は、前記第一の態様又は前述したいずれかの好ましい態様において、シリコン被着体であることが好ましい。
本発明の第二の態様は、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体に接触している、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が材料全質量の1質量%以下であるはんだ材料を、固相線温度以上液相線温度以下の温度で熱処理して、前記はんだ材料によるはんだ層を被着体上に接着させること、を含むはんだ接着体の製造方法である。
前記はんだにおけるインジウムの含有率が1質量%以下であることが好ましい。
また、前記被着体が、前記第二の態様又はその好ましい態様において、シリコンであることが好ましい。
本発明によれば、特殊な接合装置を要せずに上記はんだ付けが困難とされる各材料の表面にはんだが接着したはんだ接着体を提供することができる。
はんだ材料Xの冷却曲線である。
本発明にかかるはんだ接着体は、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体と、前記被着体上に接着し、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が1質量%以下であるはんだ層と、を有するはんだ接着体である。
また、本発明にかかるはんだ接着体の製造方法は、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体上に、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が1質量%以下であるはんだ材料を接触させること、並びに、前記被着体上の前記はんだ材料を固相線温度以上液相線温度以下の温度で熱処理して、前記はんだ材料によるはんだ層を被着体上に接着させること、を含むはんだ接着体の製造方法である。
本発明によれば、はんだ付けが困難な材料とされているシリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体上にはんだ層を有するはんだ接着体を提供できる。
また、本発明によれば、はんだ付けが困難な材料とされているシリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体上に接触させた前記はんだ材料を固相線温度以上液相線温度以下の温度で熱処理して、前記はんだ材料によるはんだ層を被着体上に接着させるので、接着のための特殊な工程を特に追加することなく、特殊な接着装置を要せずに前記被着体の表面にはんだ層を有するはんだ接着体を提供できる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
さらに本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明について説明する。
<はんだ接着体>
本発明のはんだ接着体は、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体と、前記被着体上に接着し、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が1質量%以下であるはんだ層と、を有する。
前記はんだ接着体は、被着体であるシリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの表面に、前記はんだ層が直接的に接着して形成したものである。
ここで「直接的に接着する」とは、前記被着体の金属表面にはんだ層が接着していることを意味する。ただし、本発明では、前記被着体の金属表面に存在しうる酸化物層を介してはんだ層が前記被着体の表面に接着していてもよい。
また「接着」とは、被着体とはんだ層とが機械的に接合していればよく、通常のはんだ付けのようにはんだ材料を構成する金属原子が被着体中に拡散していなくてもよい。
具体的に「接着」とは、はんだ接着体における被着体とはんだ層との引張り接着強さが1.5N/φ1.8mm以上であることを意味し、引張り接着強さが3N/φ1.8mm以上であることが好ましい。なお、引張り接着強さは、引張り試験機(Quad社製:薄膜密着強度測定機Romulus)とφ1.8mmの接着面を有するスタッドピン(Quad社製:φ1.8mm銅製スタッドピン)とを用いて、めっきの密着性試験方法(JIS H8504)に準じて測定される。
前記はんだ接着体は、例えば、はんだ材料を被着体に接触させて、そのはんだ材料の固相線温度以上液相線温度以下の温度で加熱処理することで、被着体の表面にはんだ層が直接接着して形成される。このようなはんだ接着体が得られる理由は明確ではないが、例えば以下のように考えられる。
固相線温度以上液相線温度以下の温度では、はんだ材料は、液相と固相が共存可能な状態となっている。液相線温度を越えた温度、つまりはんだ材料全体が液相となった状態ではんだ材料を接着しようとすると、表面張力によって液相状態のはんだ材料が弾かれてしまい、被着体表面に接着しない。これに対して、液相状態のはんだ材料と固相状態のはんだ材料とが共存した状態では、固相状態のはんだ材料の存在によって液相状態のはんだ材料の表面張力が小さくなり、はんだ材料の弾きが抑えられ、かつ液相状態のはんだ材料によってはんだ材料全体としての濡れ性が向上することで、被着体表面にはんだ層が良好に接着されるものと考えられる。
前記はんだ接着体は、良好な接着性及びはんだ接着体の生産性の観点から、はんだ層が、固相線温度以上液相線温度未満の温度、又は、固相線温度を超え、液相線温度以下の温度で接着されてなるものであることが好ましく、固相線温度を超え、液相線温度未満の温度で接着されてなるものであることがより好ましい。また前記はんだ接着体は、特別な装置を使用しないという点で、前記被着体と前記はんだ層とが超音波接続工程を用いない方法により接着されてなることが好ましい。特に、特別な装置を使用せずに良好な接着性を得ることができるという観点から、超音波接続工程を用いることなく、固相線温度以上液相線温度未満の温度、固相線温度を超え、液相線温度以下の温度、又は、固相線温度を越え、液相線温度未満の温度ではんだ層が接着されてなるはんだ接着体であることが特に好ましい。
前記はんだ接着体における前記はんだ層は、必要に応じてさらに配線部材や電子回路素子等と接着していてもよい。すなわち、被着体と配線部材や電子回路素子等とがはんだ層を介して接着していてもよい。前記はんだ層が配線部材や電子回路素子等と接着していることで、前記被着体と配線部材や電子回路素子等とを機械的及び電気的に接続することができる。
前記はんだ接着体は、前記被着体とはんだ層とが機械的にも電気的にも接続されていることから、電子回路基板や半導体基板、MEMS素子、ヒートシンク、フラットパネルディスプレイ素子、ろう付け部材、電気配線等の一部分を構成することができる。
(はんだ層)
前記はんだ層を構成するはんだ材料は、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が1質量%以下である。これにより、はんだ層と前記被着体とを接着することができ、また材料コストの上昇も抑えることができる。一般に、融点が450℃以上のものはロウ材を呼ばれる。このような高融点のロウ材を電子回路基板などに適用すると、接着に高温度での加熱を要し、回路などの破損を生じさせるおそれがあるため、好ましくない。
前記はんだ材料は、接着性をより高め且つより適切な材料コストにできる点で、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み、融点が96℃以上327℃以下の合金であることが好ましく、錫と、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属とを含み、融点が96℃以上232℃以下の合金であることがより好ましい。
また前記はんだ材料は、鉛含有はんだ材料であっても、鉛フリーはんだ材料であってもよい。具体的には、鉛含有はんだ材料としては、Sn−Pb、Sn−Pb−Bi、Sn−Pb−Ag、などを挙げることができる。また鉛フリーはんだ材料としては、Sn−Ag−Cu、Sn−Ag、Sn−Sb、Sn−Cu、Bi−Sn、In−Snなどを挙げることができる。
前記はんだ材料は、また環境問題への対応等の観点から、実質的に鉛を含まないはんだであることもまた好ましい。ここで実質的に鉛を含まないとは、鉛含有率がはんだ材料の全質量の0.1質量%以下であることを意味し、鉛含有率が0.05質量%以下であることが好ましい。
前記はんだ材料は、亜鉛の含有率が、はんだ材料の全質量の1質量%以下のものである。亜鉛の含有率が1質量%を超えると、被着体との濡れ性が低下する場合がある。亜鉛の含有率は、被着体との濡れ性及び接着性の観点から、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
前記はんだ材料は、インジウムを更に含んでいてもよい。インジウムは単体で酸化物を含む被着体への接着性を有し、且つはんだに含有されることにより、はんだ材料の融点を下げることができる。しかしながらインジウムは高価であるため、その用途が制限される場合がある。更にはんだ材料がインジウムを含有することにより、形成されるはんだ層の耐久性が低下してしまうことが知られており、はんだ接続の長期信頼性が求められる用途には適さない場合がある。前記はんだ材料におけるインジウムの含有率は、はんだ接続の長期信頼性の観点から、はんだ材料の総質量の1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
また前記はんだ材料は、必要に応じて他の金属原子をさらに含んでいてもよい。他の金属原子としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。他の金属原子として具体的には、マンガン(Mn)、アンチモン(Sb)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、カドミウム(Cd)、タリウム(Tl)、バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、金(Au)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、イットリウム(Y)等のランタノイドなどを挙げることができる。また前記はんだ材料が他の金属原子を含む場合の他の金属原子の含有率は目的に応じて適宜選択できる。他の金属原子のはんだ材料における含有率は、例えば前記はんだ材料中に1質量%以下とすることができ、融点及び被着体との接着性の観点から、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
また前記はんだ材料は、液相線温度と固相線温度の差が2℃以上であるものが好ましく、前記差が3℃以上300℃以下であるものがより好ましく、前記差が5℃以上100℃以下であるものが更に好ましい。液相線温度と固相線温度との差が上記範囲内にあると、接着時の熱処理の温度を制御しやすくなり、はんだ接着の作業性に優れる。
前記はんだ材料の液相線温度および固相線温度は、溶融状態(液相状態)にあるはんだ材料を冷却する時のはんだ材料の温度を測定した冷却曲線を調べることによって確認することができる。液相線温度及び固相線温度は、冷却曲線に基づく接線法により求めることができる。
例えば、図1に示される冷却曲線を描くはんだ材料Xの液相線温度と固相線温度は、以下のようにして求められる。
液相状態のはんだ材料Xを冷却する際に得られた冷却曲線から、液相状態のはんだ材料Xを冷却する際に現れる直線領域(冷却曲線の傾きが一定となる領域、以下同じ)を延長した第一の直線Aと、固相状態のはんだ材料Xを冷却する際に現れる直線領域を延長した第二の直線Bと、第一の直線Aを描く際に適用される直線領域と第二の直線Bを描く際に適用される直線領域との間に存在する直線領域を延長した第三の直線Cとを得る。
このとき、前記第一の直線Aと第三の直線Cとの交点の温度を、液相線温度とする。
前記第二の直線Bと第三の直線Cとの交点の温度を、固相線温度とする。
なお、はんだ材料の冷却曲線は、はんだ材料の温度変化を経時的に測定可能な方法、例えば、熱電対が接続されたレコーダによって得られる。
また前記はんだ材料の液相線温度及び固相線温度は、はんだ材料を構成する金属の種類及び混合比率を適宜選択することで所望の範囲とすることができる。
前記はんだ材料は、接着性とはんだ接着体の生産性の観点から、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み、液相線温度と固相線温度の差が3℃以上300℃以下であるものが好ましく、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み、液相線温度と固相線温度の差が5℃以上100℃以下であるものがより好ましく、錫と、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属とを含み、液相線温度と固相線温度の差が5℃以上100℃以下であるものがさらに好ましい。
前記はんだ材料は、所望の組成を有する市販品を用いてもよいし、通常用いられる製造方法で製造したものであってもよい。具体的にははんだ材料を構成する各原料を所定の割合で混合し、これを溶融した後に急冷することで所望のはんだ材料を製造することができる。
前記はんだ層は、前記はんだ材料が被着体上に接着されて形成される。はんだ層の形成方法の詳細は後述する。前記はんだ層は、フラックスを含んでいてもよい。フラックスとしては比較的活性の弱いフラックスが好ましい。具体的には、ロジン系、RMA系、R系のフラックスを挙げることができる。
前記はんだ層は、フラックスを実質的に含有しないことが好ましい。前記はんだ材料がフラックスを実質的に含有しないことで、前記被着体上に前記はんだ層を接着する際に、前記フラックス中の溶剤分を乾燥させる工程を省略することができる。また前記被着体上に前記はんだ層を接着したのちのフラックス洗浄工程を省略することができる。更に前記フラックスによる前記被着体の腐食作用を防ぐことができる。ここで「フラックスを実質的に含有しない」とは、はんだ材料中に含まれるフラックスの総量が2質量以下%であることを意味し、1質量%以下であることが好ましい。
(被着体)
前記はんだ接着体における被着体は、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブである。これらは、いずれもはんだ付けが困難な材料として知られている金属である。本明細書では、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム及びニオブを、個々を区別することなく総称する場合に、「難はんだ付け性金属」と称する場合がある。
前記難はんだ付け性金属は、前記被着体としてはんだ層が直接的に接着される。前記難はんだ付け性金属の被着体は、該被着体の表面に存在しうる酸化物層を介することなく、はんだ層と接着可能である。
前記難はんだ付け性金属を被着体として用いる場合の純度については、特に制限はないが、例えば98%以上とすることができるが、機械的、電気的、熱的等の機能性の点で99%以上の純度であればよい。また、前記難はんだ付け性金属には、必要に応じて他の金属原子が含まれていてもよい。このような他の金属原子としては、はんだ材料において、必要に応じて含有可能な他の金属原子として記述した金属原子を挙げることができ、その含有率も前述したものと同じである。
また、前記難はんだ付け性金属の表面は、表面凹凸があってもよく、鏡面処理されていてもよい。
前記難はんだ付け性金属としては、電気的特性を活かした素子への応用と言う点で、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、又はジルコニウムであることが好ましく、シリコン、タンタルであることがより好ましく、シリコンであることが特に好ましい。
被着体として使用可能なシリコンは、ホウ素やリン等の不純物をドープすることによりn型若しくはp型の半導体をなしているシリコンの基板として利用可能であり、また、用途に応じ、エッチングやリソグラフィによる表面凹凸や回路の形成がなされていてもよく、鏡面処理されていてもよく、ダイシングされ、比較的小さな小片に加工されていてもよい。
被着体として使用可能なクロムとしては、例えばJISG2313に記載の金属クロムやクロム鋼などが挙げられる。
被着体として使用可能なチタンとしては、例えばJISH4650に記載のチタンやチタン合金などが挙げられる。
被着体として使用可能なモリブデンとしては、例えばJISH4460に記載のモリブデン線材等が挙げられる。
被着体として使用可能なタングステンとしては、例えばJISH4460に記載のタングステン線材等が挙げられる。
被着体として使用可能なタンタルとしては、例えばJISH4701に記載のタンタル箔材等が挙げられる。
被着体として使用可能なジルコニウムとしては、例えばJISH1650に記載のジルコニウム合金等が挙げられる。
前記難はんだ付け性金属は、不可避に混入する酸素原子を含んでいてもよい。前記難はんだ付け性金属に含まれる酸素原子の含有率は、例えば前記難はんだ付け性金属中に5質量%以下とすることができ、熱伝導性、バンドギャップの観点から3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。なお、難はんだ付け性金属における酸素原子の含有率は、エネルギー分散型エックス線分析(EDX)によって行うことができる。
前記はんだ接着体としては、例えば、上述した被着体とはんだ層との組み合わせであってよい。中でも、接着性とはんだ接着体の生産性、材料コストの観点から、以下の組み合わせのいずれかであることが好ましい:
錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み、液相線温度と固相線温度の差が3℃以上300℃以下であって、亜鉛の含有率が1質量%以下であり、インジウムの含有率が1質量%以下のはんだ層と、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、又はジルコニウムの被着体;
錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み、液相線温度と固相線温度の差が5℃以上100℃以下であるものであって、亜鉛の含有率が1質量%以下であり、インジウムの含有率が1質量%以下のはんだ層と、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、又はジルコニウムの被着体;
錫と、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属とを含み、液相線温度と固相線温度の差が5℃以上100℃以下であるものであって、亜鉛の含有率が1質量%以下であり、インジウムの含有率が1質量%以下のはんだ層と、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、又はジルコニウムの被着体。
また、前記はんだ接着体としては、以下のものが特に好ましい:
錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み、液相線温度と固相線温度の差が3℃以上300℃以下であって、亜鉛の含有率が1質量%以下であり、インジウムの含有率が1質量%以下のはんだ層と、シリコンの被着体;
錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み、液相線温度と固相線温度の差が5℃以上100℃以下であるものであって、亜鉛の含有率が1質量%以下であり、インジウムの含有率が1質量%以下のはんだ層と、シリコンの被着体;
錫と、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属とを含み、液相線温度と固相線温度の差が5℃以上100℃以下であるものであって、亜鉛の含有率が1質量%以下であり、インジウムの含有率が1質量%以下のはんだ層と、シリコンの被着体。
<はんだ接着体の製造方法>
本発明のはんだ接着体の製造方法は、シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体に接触している、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が1質量%以下であるはんだ材料を、固相線温度以上液相線温度以下の温度で熱処理して、前記はんだ材料によるはんだ層を被着体上に接着させること(以下、接着工程という)を含み、必要に応じて、その他の工程を含みうる。被着体上のはんだ材料を特定の温度範囲で熱処理することで、前記難はんだ付け性金属の被着体上にはんだ層を接着することが可能となる。
前記接着工程では、前記被着体上に接触している前記はんだ材料を固相線温度以上液相線温度以下の温度で熱処理して、前記はんだ材料によるはんだ層を被着体上に接着させる。
ここで「固相線温度以上液相線温度以下の温度」とは、液相と固相とが共存可能な状態となる温度である。はんだ接着体の生産効率及び、液相と固相との共存状態での接着による良好な接着性の観点から、前記接着工程における温度は、固相線温度以上液相線温度未満の温度、又は固相線温度を超え、液相線温度以下の温度であることが好ましく、固相線温度を越え、液相線温度未満の温度であることがより好ましい。液相線温度と固相線温度とがほぼ同一となるはんだ材料については、温度制御を厳密に行うことによって、前記被着体へはんだ層を接着させることができる。
また、接着性を更に向上させる観点から、接着時のはんだ層における液相と固相の割合を調整することが好ましい。具体的には、前記はんだ層の全体における液相の占める割合が30質量%以上100質量%未満となるような温度で接着することが好ましく、35質量%以上99質量%以下となる温度で接着することがより好ましく、40質量%以上98質量%以下となる温度で接着することが更に好ましく、50質量%以上95質量%以下となる温度で接着することが更に好ましい。
なお、はんだ接着時における液相の占める割合は、用いるはんだ組成の平衡状態図より求めることができる。
熱処理の方法は特に制限されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、非酸化物セラミックスの被着体を、ホットプレートなどで加熱し、この被着体の上にはんだ材料を載せてはんだ材料の温度を制御しつつ、ホットプレートと同じ温度に設定したはんだこてを用いてはんだ材料を熱処理する方法や、被着体上にはんだ材料を乗せた状態で一定温度のリフロー炉を通過させる方法などが挙げられる。
前記接着工程では、はんだ材料を押し付けながら接着することが好ましい。これによりはんだ材料中の固相が前記被着体に押し付けられることになり、より接着性が向上する。この押し付けの圧力は適宜設定することができ、例えば、200Pa〜5MPaとすることが好ましく、1kPa〜2MPaとすることが好ましい。
また、接着工程では、熱処理時間を1秒以上とすることが好ましく、3秒以上とすることがより好ましく、10秒以上とすることが更に好ましい。これにより、はんだ材料中の固相が前記被着体に、より押し付けられることとなって、はんだ層の接着性が向上する。
また前記はんだ接着体においてはんだ層が、必要に応じてさらに配線部材等と接着している場合、前記配線部材等は、はんだ層の被着体への接着の際に併せてはんだ層に接着されてもよく、被着体に接着したはんだ層にさらに配線部材等が接着されて形成されてもよい。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<実験例1>
(a)はんだの作製
棒はんだ(Sn50質量%−Pb50質量%;新富士バーナー(株)製)と板鉛(Pb;輝陽産業(株)製)を用いて、錫10部及び鉛90部となるように秤量し、次いで黒鉛ルツボの中で440℃で溶融し、更に鋳型に流し込み急冷することにより固形状のはんだ1を得た。
得られたはんだ1は、冷却曲線を熱電対及びペンレコーダを用いて調べた結果、液相線温度302℃、固相線温度275℃であった。
(b)はんだ接着体の作製
被着体にはシリコンを選択し、シリコン被着体として、p型半導体シリコン基板(信越化学工業製)を用いた。表面は、通常の梨地面とした。被着体をホットプレート(アズワン(株)製;HP−1SA)の上で加熱し、温度が一定となるまで充分に時間を置いた。温度は表面温度計で被着体の表面を測定した。被着体の上に上記で作製したはんだ1を乗せ、ホットプレートと同じ温度に設定したはんだこて(太洋電機産業(株)製RV−802AS)を用いて被着体に押し付けた。
なお、ホットプレート及びはんだこての温度を、表1のようにそれぞれ調節した。
(c)接着性の評価
接着性については、引張り試験機(Quad社製:薄膜密着強度測定機Romulus)とφ1.8mmの接着面を有するスタッドピン(Quad社製:φ1.8mm銅製スタッドピン)とを用いて、めっきの密着性試験方法(JIS H8504)に準じて引張り接着強さを測定し、以下の基準により評価した。A、BおよびCを合格とし、Dを不合格とした。
A:引張り接着強さ3N/φ1.8mm以上であり、よく接着した。
B:引張り接着強さ1.5N/φ1.8mm以上、3N/φ1.8mm未満で接着した。
C:引張り接着強さ1.5N/φ1.8mm未満で接着したが、はんだが弾き気味、または接着はするが固形分が多いなどの理由により、接着作業性に難があった。
D:接着しなかった(はじいてしまい接着しない、固形分が多く接着しない、凝固し接着しない、という状態をそれぞれ含む)。
それぞれの接着温度における接着性の評価結果を表1に示す。なお、表1中「−」は未評価を意味する。
<実験例2>
実験例1において、はんだの組成を錫10部及び鉛90部から錫20部及び鉛80部に変更してはんだ2を作製し、これを用いた以外は実験例1と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。また得られたはんだ2は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度280℃、固相線温度183℃であった。結果を表1に示す。
<実験例3>
実験例1において、はんだの組成を錫10部及び鉛90部から錫30部及び鉛70部に変更してはんだ3を作製し、これを用いた以外は実験例1と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。また得られたはんだ3は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度255℃、固相線温度183℃であった。結果を表1に示す。
<実験例4>
実験例1において、はんだの組成を錫10部及び鉛90部から錫45部及び鉛55部に変更してはんだ4を作製し、これを用いた以外は実験例1と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。また得られたはんだ4は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度227℃、固相線温度183℃であった。結果を表2に示す。
<実験例5>
実験例1において、はんだは棒はんだ(Sn50質量%−Pb50質量%)をそのまま使用してはんだ5として、これを用いた以外は、実験例1と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。はんだ5は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度214℃、固相線温度183℃であった。結果を表2に示す。
<実験例6>
実験例1において、棒はんだ(Sn50質量%−Pb50質量%)から棒はんだ(Sn95質量%−Pb5質量%;(有)イーマテリアル製)に変更し、且つはんだの組成を錫10部及び鉛90部から錫60部及び鉛40部に変更してはんだ6を作製し、これを用いた以外は実験例1と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。また得られたはんだ6は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度188℃、固相線温度183℃であった。結果を表3に示す。
<実験例7>
実験例6において、はんだの組成を錫60部及び鉛40部から錫62部及び鉛38部に変更してはんだ7を作製し、これを用いた以外は実験例6と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。また得られたはんだ7は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度と固相線温度は分離ができず183℃であった。結果を表3に示す。
<実験例8>
実験例6において、はんだの組成を錫60部及び鉛40部から錫63部及び鉛37部に変更してはんだ8を作製し、これを用いた以外は実験例6と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。また得られたはんだ8は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度185℃、固相線温度183℃であった。結果を表3に示す。
<実験例9>
実験例6において、はんだの組成を錫60部及び鉛40部から錫70部及び鉛30部に変更してはんだ9を作製し、これを用いた以外は実験例6と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。また得られたはんだ9は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度192℃、固相線温度183℃であった。結果を表3に示す。
<実験例10>
実験例6において、はんだの組成を錫60部及び鉛40部から錫80部及び鉛20部に変更してはんだ10を作製し、これを用いた以外は実験例6と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。また得られたはんだ10は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度205℃、固相線温度183℃であった。結果を表4に示す。
<実験例11>
実験例6において、はんだの組成を錫60部及び鉛40部から錫90部及び鉛10部に変更してはんだ11を作製し、これを用いた以外は実験例6と同様にして、各接着温度における接着性の評価を行った。また得られたはんだ11は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度218℃、固相線温度183℃であった。結果を表4に示す。
<実験例12>
実験例1において、棒はんだと板鉛から錫平板棒((有)イーマテリアル製)とチップ状ビスマス((有)イーマテリアル製)に変更し、且つはんだの組成を錫10部及び鉛90部から錫42部及びビスマス58部となるように変更して、はんだ12を作製し、これを用いた以外は上記と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。また得られたはんだ12は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度141℃、固相線温度139℃であった。結果を表5に示す。
<実験例13>
実験例12において、更に純銀丸線(日陶科学(株)製)を用いて、はんだの組成を錫42部及びビスマス58部から錫42部、ビスマス57部及び銀1部となるように変更して、はんだ13を作製し、これを用いた以外は上記と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。また得られたはんだ13は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度140℃、固相線温度138℃であった。結果を表5に示す。
<実験例14>
実験例12において、はんだの組成を錫42部及びビスマス58部から錫61部及びビスマス39部となるように変更して、はんだ14を作製し、これを用いた以外は上記と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。また得られたはんだ14は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度177℃、固相線温度138℃であった。結果を表6に示す。
<実験例15>
実験例12において、はんだの組成を錫42部及びビスマス58部から錫56部及びビスマス44部となるように変更して、はんだ15を作製し、これを用いた以外は上記と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。また得られたはんだ15は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度167℃、固相線温度138℃であった。結果を表6に示す。
<実験例16>
実験例12において、はんだの組成を錫42部及びビスマス58部から錫52部及びビスマス48部となるように変更して、はんだ16を作製し、これを用いた以外は上記と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。また得られたはんだ16は、冷却曲線を調べた結果、液相線温度158℃、固相線温度138℃であった。結果を表6に示す。
<比較実験例1>
実験例1の作製工程において、板鉛(Pb)をそのまま使用し、これを試料S1とし、これを用いた以外は実験例1と同様にして、接着温度と接着性の評価を行った。また得られた試料S1は、冷却曲線を調べた結果、融点(すなわち液相線温度及び固相線温度)327℃であった。結果を表1に示す。

表1〜表6に示すとおり、はんだ材料の組成に依らず、固相線温度以上液相線温度以下の温度ではんだを熱処理することで、難はんだ付け性金属として知られているシリコンを被着体とし、その上にはんだ層を優れた接着性にて接着させることができた。
<実験例17>
実験例5において、被着体をp型半導体シリコン基板の梨地面からn型半導体シリコン基板の梨地面に変更した以外は実験例5と同様にして、各接着温度におけるはんだ5の接着性の評価を行った。その結果、上記実験例5と同様に、固相線温度以上液相線温度以下の温度ではんだ材料を熱処理することで、前記接着体上に優れた接着性にてはんだ層を接着させることができた。
<実験例18>
実験例5において、被着体をp型半導体シリコン基板の梨地面からp型半導体シリコン基板の鏡面に変更した以外は実験例5と同様にして、各接着温度におけるはんだ5の接着性の評価を行った。その結果、上記実験例5と同様に、固相線温度以上液相線温度以下の温度ではんだ材料を熱処理することで、前記接着体上に優れた接着性にてはんだ層を接着させることができた。
<実験例19>
実験例5において、被着体をp型半導体シリコン基板の梨地面からp型半導体シリコン基板のテクスチャ形成面に変更した以外は実験例5と同様にして、温度と接着性の評価を行った。その結果、上記実験例5と同様に、固相線温度以上液相線温度以下の温度ではんだ材料を熱処理することで、前記接着体上に優れた接着性にてはんだ層を接着させることができた。
<実験例20>
実験例5において、被着体をp型半導体シリコン基板の梨地面からクロム板の金属研磨面に変更した以外は実験例5と同様にして、各接着温度におけるはんだ5の接着性の評価を行った。その結果、上記実験例5と同様に、固相線温度以上液相線温度以下の温度ではんだ材料を熱処理することで、クロムの被着体上に優れた接着性にてはんだ層を接着させることができた。
<実験例21>
実験例5において、被着体をp型半導体シリコン基板の梨地面からチタン(JIS2種)板の金属研磨面に変更した以外は実験例5と同様にして各接着温度におけるはんだ5の接着性の評価を行った。その結果、上記実験例5と同様に、固相線温度以上液相線温度以下の温度ではんだを熱処理することで、チタンの被着体上に優れた接着性にてはんだ層を接着させることができた。
<実験例22>
実験例5において、被着体をp型半導体シリコン基板の梨地面からモリブデン板の金属研磨面に変更した以外は実験例5と同様にして各接着温度におけるはんだ5の接着性の評価を行った。その結果、上記実験例5と同様に、固相線温度以上液相線温度以下の温度ではんだを熱処理することで、モリブデンの被着体上に優れた接着性にてはんだ層を接着させることができた。
<実験例23>
実験例16において、被着体をp型半導体シリコン基板の梨地面からn型半導体シリコン基板の梨地面に変更した以外は実施例16と同様にして各接着温度におけるはんだ16の接着性の評価を行った。その結果、はんだ材料の組成に拘わらず、固相線温度以上液相線温度以下の温度ではんだを熱処理することで、シリコンの被着体上に優れた接着性にてはんだ層を接着させることができた。

Claims (8)

  1. シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体と、
    前記被着体上に接着し、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が1質量%以下であるはんだ層と、
    を有するはんだ接着体。
  2. 前記はんだ層におけるインジウムの含有率が1質量%以下である請求項1記載のはんだ接着体。
  3. 前記はんだ層は、固相線温度以上液相線温度以下の温度で接着されてなる請求項1又は請求項2に記載のはんだ接着体。
  4. 前記被着体と前記はんだ層とが、超音波接続工程を用いない方法により接着されてなる請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の接着体。
  5. 前記被着体がシリコン被着体である請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の接着体。
  6. シリコン、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、ベリリウム又はニオブの被着体に接触している、錫、銅、銀、ビスマス、鉛、アルミニウム、チタン及びシリコンからなる群より選ばれる少なくとも2種の金属を含み且つ融点が450℃未満の合金であり、亜鉛の含有率が1質量%以下であるはんだ材料を、固相線温度以上液相線温度以下の温度で熱処理して、前記はんだ材料によるはんだ層を被着体上に接着させること、
    を含む請求項1記載のはんだ接着体の製造方法。
  7. 前記はんだ材料におけるインジウムの含有率が1質量%以下である請求項6記載のはんだ接着体の製造方法。
  8. 前記被着体がシリコンである請求項6又は請求項7記載のはんだ接着体の製造方法。
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