JP2013132556A - 多軸骨固定装置 - Google Patents

Abstract

【課題】手術中の取扱を改善させつつ安全な固定を確実にし、同時に製造も簡単である骨固定装置を提供する。
【解決手段】多軸骨固定装置のボア内に配置された圧力要素６は、球形外面部分を有する頭部３の球形外面部分と接触する頭部接触面部分６２，６３ａ，６３ｂを有し、頭部接触面部分は、軸方向に最大外径Ｅを含む頭部領域に沿って延在する、少なくとも周方向に離れた２つの突起６３ａ，６３ｂを含み、頭部３は、受け部５に対して回動可能であり、圧力要素６を介して頭部３に圧力を加えることによって角度をなして固定することができ、圧力要素６は、頭部３上に設置されるときに、球形外面部分と突起との間の摩擦によって頭部をクランプして締めるように、頭部３に比べて突起６３ａ，６３ｂの領域のみで小さな寸法を有するように構成され、突起６３ａ，６３ｂは、凹部５５の中に少なくとも部分的に延在するように構成されている。
【選択図】図１５

Description

本発明は、骨または椎骨に安定化ロッドを固定するための多軸骨固定装置に関する。骨固定装置は、固定要素と受け部とを含む。この受け部は、骨固定要素の頭部を受け、かつ、固定要素に接続される安定化ロッドを受ける役割を果たす。固定要素は、受け部の座部に回動可能に支持されており、受け部に配置されている圧力要素を介して頭部に圧力を加えることによって角度をなして固定することができる。固定要素は最大外径を含む球形外面部分を有する頭部を有する。圧力要素は、頭部接触面部分を有する。頭部接触面部分は、圧力要素が頭部上に設置されるときに、頭部の最大外径を含む領域に沿って延在する、少なくとも周方向に離れた２つの突起を含む。圧力要素は頭部に比べて突起の領域で小さな寸法を有するため、頭部を頭部と突起との間の摩擦によってクランプして締めて、頭部が最終的にロックされる前に固定要素を所望の角度位置に維持することが可能となる。

ＵＳ２００４／０２６７２６４Ａ１に記載された多軸固定装置においては、多軸骨ねじは係合部材を備える。この係合部材は、受け部材内に球形の頭部をロックする前に軸を所望の角度方向で維持することができるように、球形の頭部と受け部材との間に十分な摩擦をもたらすよう適合されている。係合部材は、たとえば、頭部の周りにおける開いたスナップリングによって、または、圧縮キャップに設けられて球形の頭部に摩擦係合するばね部材によって、または、圧縮キャップに設けられたスロットによって実現される。

ＵＳ２００４／０２６７２６４Ａ１ ＵＳ２０１０／０１４５３９４Ａ１ ＵＳ２０１０／０２３４９０２Ａ１ ＵＳ２０１０／０１５２７８７Ａ１

本発明の目的は、手術中の取扱を改善させつつ安全な固定を確実にし、同時に製造も簡単である骨固定装置を提供することである。

この目的は、請求項１に記載の固定装置によって達せられる。さらなる展開例を従属請求項に記載する。

骨固定装置によれば、頭部をロックすることなく、頭部を受け部に対して所望の角度位置で軽くクランプすることができる。これにより、受け部を調整可能な角度位置に維持することが可能となる。この状態では、圧力要素が頭部に予負荷を加えた場合に、頭部は、ロックされないが、自由に回動することはできない。頭部が一時的にクランプされた場合、特に、多数の骨固定具をロッドに接続しなければならない状況で、ロッドおよびロッドの挿入に対する受け部の位置合わせが容易になる。ロッドが受け部に既に挿入されている場合、頭部を完全に緩めなくてもロッドを調整することができる。

圧力部材によって頭部に加えられる予負荷の量は、圧力部材と頭部との間の所望の摩擦力を考慮して頭部に対する圧力部材のサイズを定めることによって、予め正確に規定することができる。
７ 骨固定装置は、製造が簡単であり、頭部と受け部と圧力要素との相互の許容誤差を考慮して厳密に作る必要がない。

本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面によって実施形態の記載から明らかになるであろう。

第１実施形態に係る多軸骨固定装置を示す分解斜視図である。 骨固定装置を組立てられた状態で示す斜視図である。 ロッド軸に垂直な面に沿った、多軸骨固定装置を組立てられた状態で示す断面図である。 骨固定装置を示す上面図である。 図４における線Ａ−Ａに沿った、骨固定装置を組立てられた状態で示す断面図である。 図５の一部の拡大図である。 多軸骨固定装置の受け部を示す斜視図である。 図７の受け部を示す側面図である。 受け部を示す上面図である。 図９における線Ｂ−Ｂに沿った受け部の断面図である。 図１１ａは圧力要素の側面透視図であって、図１１ｂは図１１ａの一部を示す拡大図である。 圧力要素を示す側面図である。 圧力要素を示す上面図である。 図１３における線Ｃ−Ｃに沿った圧力要素の断面図である。 圧力要素がまだ頭部に圧力を加えていない状態で骨固定装置の一部を示す拡大断面図である。 圧力要素が頭部に圧力を加えている状態で骨固定装置の一部を示す拡大断面図である。

図１および図２に概略的に示される第１実施形態に係る多軸骨固定装置は、ねじ軸２および頭部３を有するねじ部材の形状をした骨固定要素１を含む。頭部３は、球体の赤道または最大直径Ｅを含む大きさを有する球形セグメントの形状に形成される。頭部３は、その自由端に、工具と係合するための凹部４を有する。骨固定装置はさらに、ねじ部材１をロッド１００に接続するための受け部５を含む。圧力要素６は頭部３の上の受け部に配置される。ロッド１００を受け部に固定し、頭部に圧力を加えるために、受け部５と協働する外側ロック要素８および外側ロック要素８と協働する内側ロック要素９の形を成すロック装置７が設けられる。

図３から図１０に特に図示するように、受け部５は実質的に円筒形であり、頂端部５ａと、底端部５ｂと、頂端部５ａから底端部５ｂの方向に延在するボア５１とを有する。前記ボアは、ボア軸Ｃを有する。底端部５ｂには、頭部３を収容するための座部５２が設けられる。座部５２は、頭部３の半径に実質的に対応する半径を有する球形に形成される。これにより、頭部３は座部に支持され、玉継ぎ手と同様に、頭部３が座部５２において回動することが可能となる。座部５２は、さらにボア５１と連通しており、骨固定要素の軸２が延在することができる開口部５２ｂを有する。ボア５１への移行位置における座部５２の内径は、頭部の外径より大きく、ボア５１の内径よりも小さい。したがって、ボア５１と座部５２との間に、端縁部分５２ａが形成される。雌ねじ５４が、ロック装置７の外側ロック要素８と協働するように、受け部において頂端部５ａに隣接して設けられる。

上記実施形態で示されたように、受け部５は延在している脚部を有する長い頭部受け部となっており、第１末端５ａから一定の距離を置いて予め定められた切断点５ｃを有する。この切断点５ｃにより、第１末端５ａと所定の切断点５ｃとの間の部分を切断することができる。このような長い頭部受け部は、たとえば、最小侵襲手術に用いることができる。受け部５は長い頭部を有しないように設計されてもよい。この場合、第１末端５ａは予め定められた切断点５ｃの隣に位置する。

固定要素１を一方側により大きな角度で回動できるように、たとえば受け部の一部を切除することにより受け部の下部に傾斜下端面５ｄを形成する。傾斜下端面の代わりに、受け部が、全方向に対称に角を形成できるようにする対称である下端面を有するように設計されてもよい。

座部５２には、周方向に離れた複数の凹部５５が設けられている。凹部５５は、実質的に座部５２の半径よりかなり小さい半径を有する球形セグメント形状になっている。たとえば、実施形態に示されたように、４つの凹部５５は座部に形成され、Ｕ字形の凹部５３の両端に近い箇所およびロッド軸方向から見た両側に周方向に配置されている。凹部５５は、座部の直径を局部的に拡大し、以下に記載する圧力要素の一部を収容する収容スペースを与える役割を果たす。

圧力要素６は一体的に形成される。この圧力要素６は、実質的に円筒形の構造を有し、受け部５のボア５１内で軸方向に移動することを可能にするような外径を有する。圧力要素６は、頂端部６ａおよび底端部６ｂを備える。頂端部６ａには、ロッド１００を受けるよう構成された実質的にＵ字形の凹部６１が設けられる。凹部６１の深さはロッド１００の直径より大きく、よって、ロッド１００が挿入されるとき、凹部により形成された自由脚部がロッド１００の表面よりも上に延びている。

底端部６ｂには、頭部３を受けるための球形凹部６２が設けられる。球形凹部６２の半径は頭部３の半径よりわずかに大きいので、頭部３は、容易に凹部６２に嵌り込む。底端部６ｂには、周方向において実質的に同間隔で離れた４つの切欠があり、それによって、４つの突起６３が形成される。突起６３は、たとえば図１１ａにおける側面図でわかるようにほぼＶ字形を有し、その自由端が平らにまたは丸められている。しかしながら、突起の外形は実施形態に示された形状には限定されない。たとえば、突起は、長方形、Ｕ字形、または他の形状であってもよい。突起６３は、受け部５に設けられた凹部５５の位置に対応するＵ字形の凹部６１の左右両側で、凹部６１の両端の近くに配置される。突起６３の長さおよび球形凹部６２の深さは、圧力要素が頭部３に取付けられたときに、突起６３が球形の頭部３の最大外径Ｅを有する領域を越えて延在するように規定される。特に図１１ｂを参照して、突起６３は各々、球形凹部６２に隣接する第１部分６３ａおよび第１部分から突起の自由端に延在する第２部分６３ｂを有する。第１球形部分６３aの内径Ｄ_１は、第１球形部分６３aと接触する頭部３の球形外面部分の外径と同じまたはそれより大きい。第２球形部分６３ｂの内径Ｄ_２は、頭部の球形外面部分の最大外径Ｅよりわずかに、たとえば約１％〜２％小さい。よって、圧力要素６は、突起６３の第２球形部分６３ｂの領域において頭部に対してわずかに小さいサイズを有する。この小さいサイズは、圧力要素６が頭部３の上に設置されるまで存在する。この小さいサイズは、実際の寸法に依存し、使用された材料にも依存し得る。圧力要素６が頭部３の上に設置されるときに、頭部３は第２球形部分６３ｂを通過しなければ球形凹部６２に入り込めないので、第２球形部分６３ｂを少し広げる。したがって、圧力要素６は、突起６３によって頭部に加えられた摩擦力によって頭部を保持するように構成されている。摩擦力の強さは、突起のサイズ、特に第２球形部分６３ｂのサイズを設計することによって適切な方法で調整することができる。

さらに、圧力要素６は、工具がねじ頭部３にアクセスすることを可能にするための同軸ボア６４を有する。

骨固定装置のすべての部品は、生体適合性材料、たとえば、チタンなどの生体適合性のある金属、たとえばニチノールなどの生体適合性のある金属合金、または、たとえばポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ：polyetheretherketone）などの生体適合性のあるプラスチック材料、またはこれらの材料の組合せから作られる。これらの部品はすべて、同じ材料または異なる材料で製造することもできる。

骨固定装置は、予め組立てられた状態で使用される。予め組立てられた状態において、骨固定要素１の頭部３は、頭部が座部５２の中で回動できかつ軸が下開口部５２ｂから延び出すように、座部５２に保持される。図１５および図１６に示すように、圧力要素は頭部３の上に設置される。まず、図１５に示すように、Ｕ字形の凹部５３および６１が整列するように、圧力要素６が受け部５と位置合わせされる。突起６３は、座部５２に設けられた凹部５５の周方向位置に位置する。次に、突起６３の第２球形部分６３ｂが頭部３の最大外径Ｅを含む球形表面部分に押し付けられるように、圧力要素６を受け部の底部端５ｂに向かって移動させる。それによって、頭部３が球形凹部６２および突起の第１球形部分６３ａに嵌り込むまで、突起は少し外側へ広げられる。凹部５５は、突起６３が広がるためのスペースを与える。突起は凹部の壁に接触しないため、受け部５の中で圧力要素の動きが妨げられることはない。

図１６に示されるように、頭部３は、球形凹部６２および突起６３と一定の接触面積にわたって接触している。頭部の最大外径Ｅを含む領域において、突起は頭部に予負荷を加えることにより、頭部が突起６３によって加えられた摩擦力によってクランプされる。図３に示されるように、圧力要素は、圧着（crimp）ボア７０を用いて圧着することにより、予めこの位置に保持されてもよい。

使用時に、少なくとも２つの骨固定装置が骨または椎骨に固定される。次に、受け部が、ロッド１００を挿入するための正しい向きになるよう位置合わせされる。受け部を回動させるために頭部が一時的にクランプされるので、各受け部が正しい向きになるまで、クランプ力を上回る力を、たとえば手動で加える必要がある。すべての受け部が位置合わせされると、骨固定装置を接続するロッドが挿入され、ロック装置７が締められる。頂端部６aのみから圧力要素６に圧力を加える外側ロック要素８によって、頭部３の角度位置がロックされる。ロッド１００のみに圧力を加える内側ロック要素７によって、ロッドが固定される。

上記実施形態の変形も可能である。たとえば、突起の数および配置箇所を変更してもよい。受け部の中に圧力要素を予め固定する他の手段も考えられる。たとえば、圧着の代わりに、受け部は、圧力要素が受け部５の頂端部５aから逃げないように受け部と圧力要素との係合部分の作用により保持されてもよい。

固定要素については、すべての種類の固定要素を用いることができ、受け部と組合せることができる。これらの固定要素は、たとえば、長さや直径の異なるねじ、カニューレねじ（cannulated screws）、異なるねじ山形状を有するねじ、釘などである。頭部および軸は、互いに接続可能な別個の部品であってもよい。

さまざまな種類の受け部を、特にこのような異なるロック装置とともに用いることができる。たとえば、２部品のロック装置ではなく、ロッドおよび頭部を同時にロックする内側ねじなど１部品のロック装置を用いることができる。さらに、外側ナット、外側キャップ、差込み型ロック装置なども可能である。凹部５５は、他の形状、たとえば長方形あるいはＵ字形の形状を有してもよい。

さらなる変形例においては、受け部は、底端部からねじ要素を導入することを可能にするように構成される。

１ 固定要素、２ 軸、３ 頭部、５ 受け部、５ａ 頂端部、５ｂ 底端部、１２ チャネル、５１ ボア、５２ 座部、６ 圧力要素、６２、６３ 頭部接触面部分、６３ 突起、５５ 収容スペース、Ｅ 最大外径。

Claims (14)

1. 多軸骨固定装置であって、
   骨に固定するための軸（２）と、最大外径（Ｅ）を含む球形外面部分を有する頭部（３）とを備える固定要素（１）と、
   頂端部（５ａ）および底端部（５ｂ）と、ロッドを受けるためのチャネル（１２）と、頂端部（５ａ）から底端部（５ｂ）の方向に延在し、ボア軸（Ｃ）を有するボア（５１）と、底端部に頭部を受けるための座部（５２）とを備える受け部（５）と、
   頭部の上のボア内に配置された圧力要素（６）とを含み、圧力要素（６）は、頭部（３）の球形外面部分と接触する頭部接触面部分（６２，６３）を有し、頭部接触面部分は、軸方向に最大外径（Ｅ）を含む頭部領域に沿って延在する、少なくとも周方向に離れた２つの突起（６３）を含み、
   頭部（３）は、受け部（５）に対して回動可能であり、圧力要素（６）を介して頭部に圧力を加えることによって角度をなして固定することができ、
   圧力要素（６）は、頭部上に設置されるときに、球形外面部分と突起との間の摩擦によって頭部をクランプして締めるように、頭部（３）に比べて突起（６３）の領域のみで小さな寸法を有するように構成され、
   突起は、受け部に設けられた収容スペース（５５）の中に少なくとも部分的に延在するように構成される、多軸骨固定装置。
2. 収容スペースは、座部（５２）の複数の凹部（５５）により形成される、請求項１に記載の多軸骨固定装置。
3. 突起（６３）は各々、頭部の最大外径（Ｅ）と同じまたはわずかに大きい球内径を有する第１球形部分（６３ａ）と頭部の最大外径（Ｅ）より小さい球内径を有する第２球形部分（６３ｂ）とを有し、少なくとも第２球形部分（６３ｂ）は、頭部の最大外径（Ｅ）を有する領域の上方に延在する、請求項１または２に記載の多軸骨固定装置。
4. 圧力要素（６）は、実質的に円筒形であり、頂端部（６ａ）と下端部（６ｂ）とを有し、前記圧力要素（６）はその下端部に頭部に面する球形凹部（６２）を有する、請求項１から３のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
5. 突起（６３）を除いて頭部接触面部分（６２）は、頭部（３）の直径と同じまたはわずかに大きい内径を有する、請求項１から４のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
6. ボア軸から測定した収容スペース（５５）の深さは、突起（６３）の外半径より大きい、請求項１から５のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
7. 圧力要素が頭部（３）上に設置されるときに、突起（６３）は収容スペース（５５）の内壁と接触しない、請求項１から６のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
8. 少なくとも２つの突起（６３）、好ましくは周方向に等間隔で離れた複数の突起が設けられて、頭部を両側からクランプする、請求項１から７のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
9. 凹部（５５）は球形の形状を有する、請求項２から８のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
10. 凹部（５５）の数は突起（６３）の数と一致する、請求項２から９のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
11. 突起（６３）は、実質的に自由端に向かって狭くなるＶ字状の輪郭を有する、請求項１から１０のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
12. 受け部（５）は、ロッド受けチャネル（５３）を有し、
    圧力要素（６）は、ロッド受けチャネル（６１）を有し、
    受け部のロッド受けチャネルと圧力要素のロッド受けチャネルとが位置合わせされるときに、突起（６３）が凹部（５５）の位置に配置される、請求項２から１１のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
13. 座部（５２）は球形である、請求項１から１２のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。
14. 受け部（５）と協働して頭部（３）を座部（５２）にロックし、ロッド（１００）をチャネル（１２）に固定するロック装置（７）が設けられる、請求項１から１３のいずれか１項に記載の多軸骨固定装置。