JP2013131596A - 電圧非直線性抵抗体組成物およびこれを用いた積層バリスタ - Google Patents

電圧非直線性抵抗体組成物およびこれを用いた積層バリスタ Download PDF

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Abstract

【課題】低バリスタ電圧化および低静電容量化のみならず低誘電損失化を実現し、かつESD抑制効果とその耐性に優れ、各種電子機器のESD対策に適したバリスタを提供することを目的とする。
【解決手段】ZnOを主成分とし、一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表した時、x、yおよびaはモル比を表し、各々の値が0.0005≦x≦0.10、0≦y<0.20および−0.1≦a≦0.2の範囲で表される電圧非直線性抵抗体組成物であり、これにより低バリスタ電圧化および低静電容量化のみならず低誘電損失化を実現し、かつESD抑制効果とその耐性に優れるものが実現できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器を静電気から保護するのに適したバリスタに用いられる電圧非直線性抵抗体組成物、およびこれを用いた積層バリスタに関する。
電子機器に用いられるIC等の半導体デバイスは、静電気(ESD)によって破壊や特性が劣化することがある。特に、最近の半導体デバイスはその高速動作化に伴い、ESDに対して脆弱になってきており、ESDによる半導体デバイスの破壊は、電子機器に誤動作や故障などの深刻な障害を招く。このため、各種の電子機器におけるESD対策の重要性が近年頓に増しており、その対策部品として電圧非直線性抵抗体のZnO系のバリスタが広く用いられている。
ESD対策に用いられるバリスタとしては、当然ESDの吸収特性に優れることが望ましい。また、バリスタ自身がESDで破壊されてはならず、そのESD耐性にも優れている必要がある。
このようなESD対策用途のZnOを主成分とするバリスタは、一般にバリスタ特性発現添加物によりPr系(特許文献1)およびBi系(特許文献2)の2種に大別される。このうちPr系の積層バリスタは、低バリスタ電圧化、もう一方のBi系は低静電容量化に適する。これらバリスタ電圧と静電容量については2種の材料系を適宜使い分けし、さらには電極間のバリスタ層の厚みおよび電極面積を調整することによっても特性を調整することが可能である。
また、これらPr系、Bi系とは異なる材料系として、Sr系のバリスタ材料が開発されている。このSr系のバリスタ材料はZnOを主成分とし、一般式(1−x)ZnO+x(Sr1-yy1-a(Co1-zCrz1+a3で表した時、MはCaおよびBaの少なくとも1種であり、x、y、zおよびaはモル比を表し、0.0005≦x≦0.10、0≦y≦0.8、0≦z≦0.8および−0.1≦a≦0.2とするものである(特許文献3)。このSr系のバリスタ材料はPr系およびBi系のバリスタ材料と比較してバリスタ特性に優れるという特徴を有するものである。
特開2004−146675号公報 特開2007−5500号公報 特開2009−283892号公報
本発明は上記の課題を解決するものであり、近年の市場要求を省みて極めて低い誘電損失を実現させることが可能な、電圧非直線性抵抗体組成物およびこれを用いた積層バリスタを提供することを目的とする。
しかしながら近年のモバイル電子機器に代表される小型化、低消費電力化への強い要望から、小型形状に加えて漏れ電流を低減できる低損失のバリスタが望まれている。この低損失は一般的に誘電損失(tanδ)で表され、基本的に材料損失が支配的であり、使用材料で決定されてしまうものである。この誘電損失が大きいほど漏れ電流も大きくなり、電力損失の増大につながる。このため、誘電損失が小さいほど省電力化に望ましいバリスタといえ、従来のバリスタはPr系、Bi系の両材料ともに一般に同程度の損失値であり、そのtanδは最も低いものでも0.1(1MHz)程度が限界であり、0.1を下回るものは実現できていないものである。また、上述したSr系の材料組成も同程度のtanδを示し、いずれの材料系でも上記市場の要求を十分に満足できるものではなかった。
上記目的を達成するため、本発明の電圧非直線性抵抗体組成物は、特に、ZnOを主成分とし、一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表した時、x、yおよびaはモル比を表し、各々の値が0.0005≦x≦0.10、0.0≦y<0.20および−0.1≦a≦0.2の範囲で表される構成としたものである。
本発明の電圧非直線性抵抗体組成物によれば、上述した構成により、低バリスタ電圧化および低静電容量化を両立させ、ESD抑制効果とその耐性に優れるのみならず、特に極めて低い誘電損失を実現させた電圧非直線性抵抗体組成物を得ることができるものである。
本発明の電圧非直線性抵抗体組成物を用いて作製された積層バリスタの断面模式図
本願発明の電圧非直線性抵抗体組成物は、ZnOを主成分とし、一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表した時、x、yおよびaはモル比を表し、各々の値が0.0005≦x≦0.10、0≦y<0.20および−0.1≦a≦0.2の範囲で表され、このような構成とすることで、低バリスタ電圧化および低静電容量化を両立させ、ESD抑制効果とその耐性に優れるのみならず、極めて低い誘電損失の電圧非直線性抵抗体組成物を実現することができるものである。
また、前述したaの値を0<a≦0.2の範囲とすることによってより低いバリスタ電圧を実現させた電圧非直線性抵抗体組成物を得ることができる。
さらに、一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表される組成物1molに対して、Al23の添加量を0.003mol以下とすることによってもより低いバリスタ電圧を実現させた電圧非直線性抵抗体組成物を得ることができる。
上述した材料組成範囲により得られた電圧非直線性抵抗体組成物のZnO粒子は平均結晶粒子径が2μm以下となり、各々のZnO粒子を均一な粒子径とすることができる。
上記、本発明の電圧非直線性抵抗体組成物は、組成分析およびX線回折により分析した結果、ZnOの結晶相のほかに、このZnO粒子間の粒界にはペロブスカイト構造のSr1-a(Mn1-yCoy1+a3の固溶体相を有することが確認された。この結果から、ZnO粒子界面におけるペロブスカイト型Sr1-a(Mn1-yCoy1+a3化合物がバリスタ特性発現物質としての作用効果を有していることがわかった。
また、本発明の電圧非直線性抵抗体組成物はZnOを主成分とし、Sr1-a(Mn1-yCoy1+a3を含有するものであり、Sr1-a(Mn1-yCoy1+a3は、N型半導体のZnO粒子界面でアクセプター準位を形成させ、多結晶体組織での障壁特性(バリスタ特性)発現の起源となっている。この点では、従来のBi系やPr系のバリスタ材料と同じ役割を果たすものであるが、後述するように本発明における試料のバリスタ電圧V1mA/mmと平均結晶粒子径Dgから求めた1粒界あたりの障壁高さ(Vgh)は0.4〜0.6eVであり、従来組成での一般的な0.6〜1.0eV(Pr系)、0.8〜1.4eV(Bi系)と比較して、低い障壁高さ(Vgh)のバリスタ材料特性が得られる。これは、静電気対策部品としてのバリスタ製品設計において、バリスタ電圧は粒界の数NとVghとの積であることからして、本質的に低圧化に有利となることを意味する。
さらに鋭意検討した結果、Bi系バリスタにおけるBi酸化物は、約600℃程度以上から種々の状態変化(液相化や相転移)を起こす性質を有しており、これがESDで生じる熱エネルギーによって特性変化や熱破壊につながり、素子特性劣化の原因となっていると推測される。これに対し、本発明のSr1-a(Mn1-yCoy1+a3化合物は、融点が1500℃以上と熱安定に優れているため、Sr1-a(Mn1-yCoy1+a3を非直線性抵抗特性の発現物質として用いることで、従来よりも優れたESD耐性を有した電圧非直線性抵抗体を得ることができるものである。
また、Sr1-a(Mn1-yCoy1+a3化合物の構成元素は、Prよりも軽元素であるので、その結晶の誘電率は一般的に小さくなるため、粒界部における空乏層領域が同じであれば、その誘電率は本質的に低いものとなる。従って、Sr1-a(Mn1-yCoy1+a3化合物を特性発現物質に使用した本発明の電圧非直線性抵抗体組成物の粒界部は、低誘電率化されるため低静電容量化も可能となる。高速信号ラインにバリスタを用いた場合、低静電容量なほど伝送波形の歪を小さくできるため、バリスタの低静電容量化は望ましい特性である。
次に本発明の電圧非直線性抵抗体組成物の製造方法について説明する。
まず、出発原料として、主成分であるZnO粉末と、第1副成分としてSrCO3粉末、MnO2粉末およびCo23粉末、さらに第2副成分として化学的に高純度なAl23粉末を準備した。続いて、焼結後の組成が、一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表した時、x、yおよびaの値が各原子換算で0.0005≦x≦0.10、0.0≦y<0.20および−0.1≦a≦0.2の範囲となるように秤量する。なお、ペロブスカイト型Sr1-a(Mn1-yCoy1+a3化合物をあらかじめ合成してZnOに添加しても同様の特性を得ることができる。
次に、これらの出発原料粉末をポリエチレン製ボールミルに入れ、安定化ジルコニア製の玉石および純水を加え約20時間混合した後、脱水乾燥する。この乾燥後の粉末を高純度アルミナ質のルツボに入れて約750℃にて2時間仮焼した後、この仮焼後の粉末を上記混合時同様にポリエチレン製ボールミルに入れ、安定化ジルコニア製の玉石および純水を加え約20時間粉砕した後、脱水乾燥する。
次に、この乾燥した原料粉体に有機バインダを加えて混合、分散して32メッシュのふるいを通して整粒した後、金型と油圧プレスを用いて圧力成形し、所望の寸法および厚みの成形体を得た。次いで成形体の上下面に電極となるCu系の電極ペーストを印刷乾燥して形成した後、この成形体を耐熱性のジルコニアのサヤに入れて大気中にて1000〜1050℃の焼成温度で2〜5時間焼成し電圧非直線性抵抗体を得た。
なお、上述したように圧力プレスにて成形体とし、焼成して電圧非直線性抵抗体を得る方法以外にも、原料粉末と有機バインダ等を混合してスラリーとし、このスラリーをシート成形してグリーンシートを作製し、このグリーンシートを積層して作製された積層体を焼成して、電圧非直線性抵抗体を得てもよく、所望のESD対策部品としての形状、構成によって適宜作製方法を選択すれば良い。
次にESD対策部品の一例として積層バリスタの構成について説明する。
図1は本発明の電圧非直線性抵抗体組成物を用いた積層バリスタである。
図1に示す積層バリスタは、素体がバリスタ材料から構成され、この素体内部に一対の内部電極2が構成されており、この一対の内部電極2と電気的に接続する外部電極3が端部に形成されている。
また、バリスタ特性を発現させるためには一対の内部電極2間にバリスタ層1が形成されていればよく、この一対の内部電極2の上下面に配置される材料は実質的に限定されない。なお、バリスタ層1と異なる材料を一対の内部電極2の上下面に配置した場合は異材間での原子拡散等によりバリスタ特性が劣化等してしまうことがあるため、好ましくは一対の内部電極2間に形成されるバリスタ層1と同様の材料を一対の内部電極2の上下面に配置する構成が良い。
さらに一対の内部電極2の上下面に配置される材料は高温高湿環境、外部からの物理的ストレスからバリスタ層1と内部電極2を保護するものであれば良く、熱処理を施しても上記保護機能が失われない材料であることが好ましい。
次に、本発明の積層バリスタの製造方法について説明する。
まず、上述したように原料粉末を秤量し、有機バインダ、溶剤および可塑剤を加えて混合し、ドクターブレード法により成形してグリーンシートを作製する。次に、このグリーンシート上に、Cuペーストを用いスクリーン印刷法で内部電極2となる導体層を形成した。次に、内部電極2となる導体層を形成したグリーンシートを積層し、加圧して積層体ブロックを得た。次に、この積層体ブロックを所望の寸法に切断分離して、個片の生チップとした。この生チップを窒素中で約500℃に加熱して脱バインダ処理した後にCuの平衡酸素分圧以下の還元雰囲気中で1000〜1050℃まで加熱して焼成した後、大気中600℃で酸化熱処理をして焼結体素子を得た。
次に、上記焼結体素子をバレル研磨して焼結体素子の両端面に内部電極2を露出させた後に表面にガラスからなる絶縁層を形成した。この後、外部電極3となるCuペーストを塗布乾燥し、窒素中700〜850℃で焼付けした後、Ni−Snメッキを形成して積層バリスタを得た。
以下、本発明の電圧非直線性抵抗体組成物について詳細に説明する。
(表1)の試料番号1〜試料番号35は本発明の請求項1に記載のZnOを主成分とし一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表した時、x、yおよびaはモル比を表し、各々の値が0.0005≦x≦0.10、0.0≦y<0.20および−0.1≦a≦0.2の範囲で表される材料組成比として作製したものである。また、従来例との比較のために特許文献3に記載の電圧非直線性抵抗体組成物は、ZnOを主成分とし一般式(1−x)ZnO+x(Sr1-yy1-a(Co1-zCrz1+a3で表した時、MはCaおよびBaの少なくとも1種であり、x、y、zおよびaはモル比を表し、0.0005≦x≦0.10、0≦y≦0.8、0≦z≦0.8および−0.1≦a≦0.2で表される材料組成比の試料として、(表2)に示す試料番号36および試料番号37を作製した。
これらの試料番号1〜試料番号37は(表1)、(表2)に記載の材料組成になるように出発原料を秤量し、金型と油圧プレスを用いた圧力成形にて試料を作製した。成形圧力は2ton/cm2で直径13mm、厚み1.3mmの成形体を作製し特性評価を行った。なお、試料番号1〜試料番号29および試料番号36、試料番号37はAl23を添加していない試料であるのに対し、試料番号30〜試料番号35は一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表された組成物1molに対して第2副成分であるAl23を添加して作製したものである。
得られた試料番号1〜試料番号37の電気特性について、バリスタ電圧(V1mA)、非電圧直線性α(V1mA/V10μA)、誘電率(εr)、誘電損失(tanδ)を評価した。バリスタ電圧および非電圧直線性は、試料に10μAおよび1mAの電流を流したときの電圧値を測定して電圧電流特性を評価し、この電圧電流特性からバリスタ電圧および非直線性αを求めた。バリスタ電圧V1mAは電流値が1mAのときの電圧値と定義し、試料の素子厚みから、単位厚み当たりのバリスタ電圧V1mA/mm(V)を求めて評価を行った。また、非直線性αは電流値が1mAのときの電圧値V1mAと電流値が10μAのときの電圧値V10μAとの比V1mA/V10μAで評価した。したがって、非直線性αが、1に近いほど理想的で非直線性に優れた電圧非直線性抵抗体である。
誘電率(εr)及び誘電損失(tanδ)は測定周波数1MHz、測定電圧1Vrms、無DCバイアス下での測定値であり、静電容量と試料の素子厚みおよび直径(厚み1.3mm、直径13mmの成形体)から誘電率を算出した。また、電子顕微鏡を用いた観察像からインターセプト法によりZnO粒子の平均結晶粒子径Dgを求め、各試料の結晶の微細組織を評価した。
以下、試料番号1〜37の電圧非直線性抵抗体組成物についての評価結果を(表1)を参照しながら詳細に説明する。
なお、(表1)(表2)において*印を付した試料は本発明の範囲外の比較例である。
Figure 2013131596
Figure 2013131596
試料番号1のように、モル比xが0.0002molより少ない場合には、バリスタ特性は発現されなかった。バリスタ特性の発現は、試料番号2のように、モル比xが0.0002mol以上で発現するが、この添加量では均一な組成物とすることは難しく、ZnO粒子やこの粒界間での特性ばらつきが大きく、特に非直線性αが悪く、実用的な特性は発揮されない。ZnO粒子やこの粒界間で特性が均一化されて実用的となる非直線性αの値は2.0以下であり、試料番号3、試料番号4、試料番号6〜試料番号9及び試料番号11〜試料番号16のように、モル比xが0.0005mol以上である必要がある。
一方、試料番号17および試料番号18のように、モル比xが0.10molより多い場合には、ZnO粒子界面に2次相として過剰に析出した相の影響で、バリスタ電圧が500(V1mA/mm)よりも大きくなり、非直線性αも2.0よりも大きくなる。さらには誘電損失tanδが0.10よりも大きいため実用的な特性は得られなかった。これらの特性変化は、ESD吸収特性の低下や電力損失の増加につながるものであり、本発明の求める特性としては実用的ではない。
また、試料番号5のように、モル比aが−0.1molよりも小さい場合や、試料番号10のように、モル比aが0.2molより大きい場合には、バリスタ電圧が500(V1mA/mm)よりも大きく、さらに平均結晶粒子径Dgの増大を招き、本発明の求める特性としては実用的でない。
また、請求項2に記載のようにモル比aが0<a≦0.2の範囲として試料番号7と比較した試料番号8、試料番号9のように、ペロブスカイト構造のAサイトに位置されるSrよりもBサイトの(Mn1-yCoy)を過剰とした組成のものは、低い誘電損失と優れた非直線性とを維持したままでバリスタ電圧をさらに低圧化することができる。このバリスタ電圧の低圧化は、ESD吸収効果の一層の改善につながるものである。
また、モル比yが0≦y<0.2の範囲として試料番号11と比較した試料番号19〜24のように、ペロブスカイト構造のBサイトのMnの一部をCoで置換した組成のものも低い誘電損失と優れた非直線性とを維持したままでバリスタ電圧をさらに低圧化できる効果が得られる。このバリスタ電圧の低圧化は、ESD吸収効果の一層の改善につながるものである。しかしながら、試料番号25〜試料番号29のように、モル比yが0.2以上の場合には、誘電損失の増加を招くため好ましくない。このため、tanδが0.10以下の非常に低い誘電損失を得るためには、置換のモル比yは0.2未満の組成範囲となる。
また、試料番号16と比較した試料番号30〜33のように、第2副成分としてAl23を微量添加した組成のものは、より一層の結晶粒子の微粒子化、均一化に有効であり、さらに非直線性やESD耐性の改善を図ることができ、より信頼性を高める効果を得ることができる。また、セラミック組織の微粒子化、均一化は、当然、機械的強度も向上させることとなり、熱衝撃や機器の落下衝撃に対する信頼性も高まる。しかしながら、試料番号34及び試料番号35のように、添加量が0.003mol%よりも多い場合には誘電率とその誘電損失の増大を招くため好ましくない。
また、本発明の電圧非直線性抵抗体組成物はすべてにおいてtanδが0.10以下(但し、Al23を過剰に添加した場合の試料番号34と試料番号35は除く)と極めて低い誘電損失を実現でき、上述した特許文献3に記載の材料組成である試料番号36、試料番号37のtanδよりも優れていることがわかる。
以上のように、本発明の電圧非直線性抵抗体組成物は、ZnOを主成分とし、一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表した時、xが0.0005mol以上0.10mol以下、yが0.2mol未満、aが−0.1mol以上0.2mol以下で表されるものであり、これにより、その電気特性として、V1mA/mmが500V以下の非常に低いバリスタ電圧、αが2.0以下の優れた非直線性能を有し、tanδが0.10以下と極めて低い誘電損失が実現でき、2.0μm以下の平均結晶粒子径を有するとともに、結晶粒子が均一な電圧非直線性抵抗体組成物として、非直線性やESD耐性の改善を図ることができ、より信頼性を高めることができる。
以下、本発明の実施例1で説明した電圧非直線性抵抗体組成物を用いて作製される積層バリスタについて詳細に説明する。
まず、積層バリスタを作製する電圧非直線性抵抗体組成物として、上記実施例2の(表1)の中から、試料番号2、試料番号7、試料番号8、試料番号12、試料番号16、試料番号17、試料番号22、試料番号26、試料番号29及び試料番号31の10種類の組成を選択した。
上述した積層バリスタの製造プロセスにて積層バリスタを作製した。なお、作製した実施例2における積層バリスタの外形寸法は、いずれも、長手方向が1.0mm、幅方向が0.5mm、厚み方向が0.5mmであった。また、いずれも、バリスタ層1の厚みは約70μm、バリスタ層1数が2層、バリスタ層1の1層当りの面積が約0.06mm2である。
これら上記の10種類における積層バリスタについて評価した。
電気特性は、実施例1と同様に、バリスタ電圧V1mA、非直線性αの指標として電圧比V1mA/V10μA、および静電容量を評価し、これらに加えてESD耐性を評価した。ESD耐性は、IEC61000−4−2に準拠したESD電圧8kV(充電容量150pF、放電抵抗330Ω)を、静電気放電シミュレータを用いて素子に印加した前後の特性変化から評価した。また、ESD耐性の評価方法は、ESD電圧を印加した後のバリスタ電圧の初期値からの変化率ΔV1mAで示す。
実施例2における積層バリスタの電気特性の評価結果を(表3)を参照しながら詳細に説明する。
なお、(表3)において、*印を付したものは本発明の範囲外の比較例である。
Figure 2013131596
(表3)の評価結果から明らかなように、比較例の試料番号101(試料番号2の組成)は非直線性が悪く、誘電損失も大きい。また、比較例の試料番号106(試料番号17の組成)は非直線性が悪く、バリスタ電圧が高く、誘電損失も大きく、いずれも、目的とする電気特性を満足するものではない。また、ESD耐性は、試料番号101および試料番号106のいずれも変化率ΔV1mAが−50%以上と大きく実用的な特性ではない。
一方、試料番号102〜試料番号105、試料番号107および試料番号109の本発明の積層バリスタは、いずれも、バリスタ電圧V1mAが29〜45V、非直線性αが1.2以下、誘電損失が0.1以下であり、比較例に比べてバランスのとれた電気特性を有し、低バリスタ電圧、低誘電損失のバリスタとして、優れた電気特性を有するものであった。また、ESD耐性は、試料番号102〜試料番号105および試料番号107、試料番号109のいずれも、変化率ΔV1mAが約−20%以下と小さく、優れたESD耐性を有しているものであった。これらの電気特性は、従来のPr系、Bi系の組成では得られない特性領域の低バリスタ電圧および低誘電損失値であるとともに、非常に優れたESD耐性を有することを示している。この優れたESD耐性は、バリスタ層1が、熱的安定性に優れた粒界組織であることに加え、微細組織の均一化した多結晶体となっているために得られるものである。
以上説明したように、本発明の電圧非直線性抵抗体組成物を用いて作製した本発明の積層バリスタは、低バリスタ電圧、低静電容量および低誘電損失で、非常に優れたESD耐性を有し、各種電子機器におけるESD対策に適したバリスタを実現することができる。
また、本発明の電圧非直線性抵抗体組成物は、還元雰囲気、1000℃〜1050℃の焼成温度で緻密な焼結体が得られるので、従来のPr及びBi系で使用されるPdなどの貴金属よりも安価なCuペーストを内部電極2として用いることができるので製造コストも安くできる。
なお、一般的に、ESD耐性の変化率ΔV1mAが30%以内の変動であれば、実用上問題なく使用可能であるため、本発明の電圧非直線性抵抗体組成物を用いた低損失の積層バリスタにおいては、このESD耐性の変化率の許容範囲内で、さらにバリスタ電圧の低圧化、あるいは静電容量の低容量化を図ることも十分可能である。
なお、バリスタ電圧の低圧化には、電極間のバリスタ層1の厚みを薄くすることで、静電容量の低容量化にはバリスタ層1の厚みを逆に厚くすることや電極面積によって低損失なままで任意に調整可能である。また、耐ESD耐性の要求レベルや用途によって、バリスタ電圧や静電容量などの電気特性を調整することも可能である。
本発明に係る電圧非直線性抵抗体組成物は、その電気特性として、低いバリスタ電圧、優れた非直線性、極めて低い誘電率が得られ、また、結晶粒子も小さく均一であり、優れたESD耐性が得られる。そして、この電圧非直線性抵抗体組成物を用いた本発明に係る積層バリスタは、低バリスタ電圧、低誘電損失で、非常に優れたESD耐性を有し、各種電子機器におけるESD対策に適したバリスタとして特に有用である。
1 バリスタ層
2 内部電極
3 外部電極

Claims (6)

  1. ZnOを主成分とし、一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表した時、x、yおよびaはモル比を表し、各々の値が0.0005≦x≦0.10、0≦y<0.20および−0.1≦a≦0.2の範囲で表される電圧非直線性抵抗体組成物。
  2. 前記aの値が0<a≦0.2の範囲である請求項1に記載の電圧非直線性抵抗体組成物。
  3. 前記一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表される請求項1に記載の組成物1molに対して、AlをAl23に換算して0.003mol以下含有する電圧非直線性抵抗体組成物。
  4. 前記ZnO粒子の平均結晶粒子径は2μm以下である請求項1に記載の電圧非直線性抵抗体組成物。
  5. 前記ZnOからなるZnO粒子の粒界は、ペロブスカイト構造の固溶体相を有する請求項1に記載の電圧非直線性抵抗体組成物。
  6. 少なくとも一対の内部電極と、
    前記一対の内部電極間に形成するバリスタ層と、
    前記一対の内部電極と電気的に接続する外部電極とを備えた積層バリスタであって、
    前記バリスタ層はZnOを主成分とし、一般式(1−x)ZnO+xSr1-a(Mn1-yCoy1+a3で表した時、x、yおよびaはモル比を表し、各々の値が0.0005≦x≦0.10、0.0≦y<0.20および−0.1≦a≦0.2の範囲で表される電圧非直線性抵抗体組成物であることを特徴とした積層バリスタ。
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