JP2013131555A - 半導体製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フローチャンネル式のMOCVD装置において、フローチャンネル底板の材料ガス上流側における高温化と、それに伴う堆積物の生成やガス流の乱れなどの問題を簡素な構成で抑制できる半導体製造装置を提供する。
【解決手段】MOCVD装置は、材料ガスを流すためのフローチャンネル2と、フローチャンネル底板に固定され、基板を搭載するサセプタ4と、サセプタの裏面に配置されサセプタを加熱するヒーター10と、ヒーターの外周に設けられた遮熱板11と、ヒーターと遮熱板とを含むヒーター室にパージガスを供給するパージガス供給管9とを備え、フローチャンネルの材料ガス上流側の裏面に、フローチャンネル2の底板と遮熱板11端部との隙間を材料ガス流と同方向にパージガスを流すパージガス流路が形成されている。パージガスによりフローチャンネル底板が冷却され、堆積物の生成が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、反応室内に設置した基板の表面に結晶成長させて半導体を製造する装置に関し、特にフローチャンネル式のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)に好適な装置の構造に関する。
半導体製造装置には、基板の種類や基板の設置構造、反応ガスの供給方法、などによって種々の構造のものが使用されている。近年、膜厚を原子層オーダで制御することができるMOCVD装置が多用されている。
代表的なMOCVD装置の一例として、フローチャンネル方式のMOCVD装置の構造を図8に示す。このMOCVD装置では、反応室1内に材料ガスのガス流層を形成するためのフローチャンネル2が設けられ、基板5はサセプタ4に固定された状態で、フローチャンネル2に面して設置される。フローチャンネル2には、一端側に材料ガス供給管6、7が接続され、内部に材料ガスが導入されると共に、他端側には、余剰の材料ガスや反応により副生したガスを排出するための排気管3が接続されている。サセプタ4の基板搭載面と反対の側には、ヒーター10が配置され、裏面からサセプタ4を加熱し、基板温度を制御している。基板上に成長させる結晶が窒化ガリウム(GaN)の場合、結晶成長温度がAlGaAsやAlGaInPより200℃から300℃高く、1000℃を超える高温となる。基板温度の制御は、均一な組成、膜厚で結晶成長させるために極めて重要である。このため、ヒーター10が配置される空間(ヒーター室)を隔壁12で仕切り、さらにヒーター10の周囲に遮熱板110を配置し、サセプタの基板搭載面をヒーターの輻射熱から遮断している。
また従来のMOCVD装置では、ヒーター端子やヒーター室内にあるサセプタ回転機構の部分を保護するとともに結晶成長に使われる材料ガスがヒーター室に侵入するのを防止するために、隔壁12で仕切られたヒーター室内に窒素などの不活性ガス(パージガス)を流している。パージガスは、内部構造部品を冷却すると同時に自身は加熱され、ヒーター室から排気される段階ではサセプタ温度に近い高温に達している。
このように高温下で結晶成長し且つ温度制御が極めて重要であるMOCVDでは、次のような課題が存在する。一つは、フローチャンネル2のガス上流側において、ヒーター室隔壁12とサセプタ4端部との間の領域が、サセプタ4及びヒーター10からの輻射熱、及び高温に加熱されたパージガスによって熱せられ、この領域で材料ガスが熱分解し、堆積するという問題である。その結果、材料ガスの使用効率が低下するという問題及びフローチャンネルの清掃回数が増加するという問題が生じる。
さらに、図8に示すような、ガスが水平方向に供給されるホリゾンタル方式のMOCVDでは、基板の直上にガスの淀み層が形成され、水平なガス流層に供給された材料ガスがこの淀み層に拡散して基板に到達するようなガス流が形成されることが、高品質なエピタキシャル結晶成長膜を得るために非常に重要である。しかし上述のように、フローチャンネルの上流側に堆積物が形成された場合、この堆積物が厚みを増して剥離し、ガス流を乱し、熱化学分解反応を介した結晶成長過程を阻害するおそれがある。
これらMOCVD装置の課題に対し、従来、種々の解決方法が提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2には、フローチャンネルの上流側の下部に、冷却容器を設置し、この冷却容器内に冷媒を循環させる構造が提案されている。
特開2000−100726号公報 特開2001−23902号公報
上述した従来技術は、フローチャンネルの上流側に冷却容器を設置して、フローチャンネルへの堆積物の発生を防止するというものであるが、このような冷却容器を設置する際、特許文献2の図1に記載されるように冷却容器の位置がサセプタに近い場合、サセプタ側面も冷やされてしまうため、サセプタ外周温度が低下し、サセプタ基板搭載面の温度の均一性に影響を与えるという問題を生じる。また冷却容器が設置されていないフローチャンネルの上流側の部分は依然として、パージガスにより高温に加熱され、堆積物が生じやすいという問題が残る。また特許文献1に記載されるように、サセプタをリフレクタで覆い、その外側に冷却容器を配置した場合には、サセプタ側面が冷やされるという問題はないが、サセプタ周囲と冷却容器が設置されたフローチャンネルの部分との間の領域に堆積物が生じやすい領域が残る。即ち、これら従来技術は、上述したMOCVD装置の課題に十分な解決手段にはなっていない。加えて、高温にさらされる反応容器内に冷却容器や冷媒を供給するための供給路を設置する場合、これら容器や管の材料には、高価で且つ加工の難しい耐熱性材料を使う必要がある。そのため高度な製造技術や高い製造コストが要求される。
そこで本発明は、フローチャンネルのガス上流側における高温化の問題、特にそれに伴うガスの無駄な消費と堆積物の生成とを、簡素な構成で抑制できる半導体製造装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため本発明の半導体製造装置は、ヒーター室に流されるパージガスのガス流を制御する手段を設け、ガス流の制御によってフローチャンネルのガス上流側の領域の温度が必要以上に高くなることを防止する。
即ち、本発明の半導体製造装置は、反応容器と、前記反応容器内に設置され、基板を搭載するサセプタと、サセプタに搭載された基板の表面に沿って材料ガスを供給するフローチャンネルと、前記サセプタの基板搭載面と反対側に設置されたヒーターと、前記ヒーターを囲むように配置された遮熱板と、前記反応容器にパージガスを供給するパージガス供給手段とを備え、前記遮熱板は、互いに間隔を持って配置された複数の側面遮熱板を含み、当該複数の側面遮熱板は、板面が前記フローチャンネルの底面と交差し且つ端部が前記フローチャンネルの底面との間に隙間を持って配置され、前記側面遮熱板の、ヒーターに近い方を内側、ヒーターから遠い方を外側とするとき、前記側面遮熱板の外側を通り、前記側面遮熱板の端部と前記フローチャンネルの底面との隙間を経て、前記複数の側面遮熱板間及び前記側面遮熱板の内側と前記ヒーターとの隙間を通るパージガス流路を形成するガス流制御手段を備える。
また本発明の半導体製造装置、好適には、複数の側面遮熱板の端部は、フローチャンネル底面からの距離が、外側から内側に向かって、小さくなるように配置されている。
本発明の半導体製造装置は、反応容器内に供給されるパージガスの流路を制御し、サセプタとガス上流側の間のフローチャンネルの底面に沿って、サセプタに向かうパージガスの流れを作り出すことにより、高価な部品を追加することなく、効率よくフローチャンネルの上流側を冷却することができ、その領域への堆積物の堆積や、堆積物に起因する結晶成長阻害等の諸問題を解決することができる。またパージガスの流れは、サセプタの外側からサセプタに向かって形成されるので、ヒーターやサセプタによって加熱される前にフローチャンネル底面に供給されるので効率よく冷却することができる。またパージガスは、フローチャンネル底面に沿って流れる間に温度が上昇し、サセプタ側面に当たるのでサセプタ側面を過度に冷却するおそれがない。
また本発明の半導体製造装置は、複数の側面遮熱板で構成される遮熱板の端部とフローチャンネルとの距離を、外側から内側に向かって徐々に狭める構成とすることにより、外側から導入されたパージガスの流入を容易にすることができ、しかも確実に全ての側面遮熱板間に誘導することができ、遮熱板の機能を高めることができる。これにより遮熱板からの二次輻射を抑制することができる。
本発明の第一実施形態の半導体製造装置の概要を示す図で、(a)は装置のA−A’断面図、(b)は側断面図である。 図1の半導体製造装置の遮熱板11とパージガス流路の詳細構造を示す図 フローチャンネル床板及び基板表面の結晶成長膜厚を示す図で、(a)は第一実施形態の場合、(b)は第二実施形態の場合、(c)は図8に示す従来装置の場合を示し、(d)は(a)〜(c)における位置P1、P2を説明する図である。 本発明の第二実施形態の半導体製造装置の概要を示す側断面図 図4の半導体製造装置の遮熱板とパージガス流路の詳細構造を示す図 本発明の半導体製造装置で結晶成長する結晶膜の一例を示す断面図 実施例における結晶膜の膜厚測定点を説明する図 従来の半導体製造装置の一例を示す図
以下、本発明の半導体製造装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第一実施形態>
図1に、本実施形態の半導体製造装置の概要を示す。図1(a)は(b)に示す側断面図のA−A’断面図、(b)は側断面図である。この半導体製造装置は、フローチャンネル方式のMOCVD装置であり、外部に対し気密された反応容器1と、反応容器1内に設置され、一端側2aに材料ガスを供給するためのガス供給管6、7が接続されるとともに他端側2bに開放された開口部を持つフローチャンネル2と、フローチャンネル2の他端側2bに設置された排気管3と、基板5を支持するサセプタ4と、サセプタ4の基板搭載面と反対側に設置されたヒーター10と、ヒーター10を囲むように設置された遮熱板11と、ヒーター10及び遮熱板11を反応容器1の他の空間から隔てるヒーター室隔壁12と、サセプタ4を回転させるための回転機構13とを備えている。
反応容器1は、ガス供給管6、7が接続された端面と対向する面に、基板を出し入れするための開口部(不図示)を有し、反応時には開口部を蓋で密閉し、反応終了後は蓋を開けて基板を出し入れできるようになっている。また反応容器1内のフローチャンネル2外側の空間に、窒素等の不活性ガスを供給するためのパージガス供給管8、9が接続されている。本実施形態では、パージガス供給管を、ヒーター室隔壁で囲まれる空間(ヒーター室)の外側にパージガスを供給する供給管8と、ヒーター室内に供給する供給管9との2系統設けている。供給管9は、複数のガス吹き出し口を有し、ヒーター室の複数個所からパージガスを供給するようになっている。パージガス供給管8から供給されるパージガスは、フローチャンネル2内とヒーター室内とを除く反応容器内を流れることにより、反応容器内を冷却する。供給管9から供給されるパージガスは、後述する遮熱板11によって流れを制御されて、遮熱板11と隔壁12との間及びフローチャンネル2の上流側を冷却する。
なおパージガスは、サセプタ4、ヒーター10、遮熱板11など反応容器内にある部材を腐食しないガスであればよく、具体的には窒素ガス、水素ガス、アルゴンガス等を用いることができる。後述するフローチャンネル床板部を効率よく冷却するためには、非常に軽く拡散性に優れる水素と、粘性がありガス流を維持しやすい特性を持つ窒素との混合ガスを用いることが好ましい。具体的には、水素:窒素=0:1〜3:1の混合ガスが好ましく、特に1000℃以上の高温で結晶成長する場合、例えばGaN系結晶成長する場合は、水素:窒素=1:3〜3:1の混合ガスが好ましい。なお、窒素の代わりにアルゴンガスと水素との混合ガスを用いてもよい。
フローチャンネル2は、本体21と底板22とで構成されており、底板22にはサセプタ4を取り付けるための円形の開口が形成されている。底板22は基板5の出し入れ時に、サセプタ4の上部とともに本体21から取り外し、反応容器1の開口部から取り出すことができる。またフローチャンネル2のガス上流側2a即ちガス供給管6、7が接続される側には、ガスの流路を隔てるための仕切板23が設けられ、ガス上流側の流路を上下2段に分けている。上側のガス供給管6からは、例えば、有機金属等の材料ガスが供給され、上側のガス供給管7からは水素や窒素などのキャリアガスが供給され、これにより材料ガスは水平方向のガス流層になって基板上の淀み層に運ばれ、淀み層に拡散する。
排気管3は、フローチャンネル2の開口した排気側の端部2bのサイズ(縦と横の大きさ)よりサイズの大きい開口を有する開口部31と、開口部と反応容器1の排気口19とをつなぐ管部32とからなり、開口部31の開口がフローチャンネル2の排気側の端部2bと対向するように配置されている。また排気管3は図示しない昇降機構に接続されており、基板5の出し入れを行う際には、排気管3は図1に示す位置から下降し、反応容器1の開口部から基板5及びフローチャンネル2の底板22を出し、或いは入れることができる。反応時には、排気管3を開口部31が図示するフローチャンネル端部2bと対向する位置に上昇させる。
サセプタ4は、熱伝導性の良好な材料、例えばグラファイト等のカーボン材料の表面をSiC膜でコートした材料からなり、図示する実施形態では、ともに円板状の形状を有する上部サセプタ41と下部サセプタ42の2つの部材から成る。上部サセプタ41の上面には基板5を搭載するための凹部が形成されており、下サセプタ42は回転機構13に接続されている。サセプタ4(上部サセプタ41及び下部サセプタ42)の径は、図1(a)に示すように、フローチャンネル本体21の幅よりも狭く、これにより、上サセプタ41に搭載された基板5が確実にガス層に覆われ反応が進むように構成されている。回転機構13が回転すると下サセプタ42と上サセプタ41は一体として回転し、上サセプタ41に固定された基板5を回転させることができる。
ヒーター10は、上面の面積がサセプタ42の底面とほぼ同一面積である円筒状ヒーターからなり、サセプタ4を加熱し、加熱されたサセプタ4からの熱で基板5が所定の温度となるように制御されている。ヒーター10によって制御される基板温度は、基板の種類やその上に成長させる結晶の種類によって異なるが、例えばサファイア基板上に窒化ガリウムの結晶を成長させる場合には、1000℃以上の温度となる。
ヒーター10からの熱は、主として熱輻射とヒーター室に流されるパージガスによる熱伝導によりサセプタ4に伝えられる。このヒーター10からの熱を効率よくサセプタ4に伝えるとともに、他の部材への伝達を遮断するために、ヒーター10の側面(周囲)及び裏面(サセプタと対向する面と反対側の面)に遮熱板11(側面遮熱板111、底面遮熱板112)が設置される。
遮熱板11は、ヒーター10及びサセプタ4の側面と下面の放射熱を断熱し、サセプタの外周部の温度低下防止とフローチャンネル加熱防止機能を有し、ヒーター10の側面(周囲)及び底面側に複数枚を重ねた状態で配置される。複数枚の遮熱板を僅かな隙間を設けて多数枚重ねる構造とすることで、放射熱の遮断と空気断熱による効果が多重化されるので優れた断熱性が得られる。
また側面遮熱板111の上端部とフローチャンネル床板22下面との間には、パージガスが流れるための隙間が設けられている。隙間の大きさは、約0.2mm〜2.0mmが好ましい。0.2mmより狭いとパージガスの通りが悪くなり冷却効果が低下する。また2.0mmより広くすると、ヒーター10の熱輻射がフローチャンネル床板22の上流部(材料ガスの上流側)に達することになり、やはり冷却効果が低下する。
遮熱板11を構成する各板材の厚みは、特に限定されないが0.2mm〜0.6mm程度であり、ヒーターに近い遮熱板と遠い遮熱板とで厚みを異ならせてもよいし、また側面遮熱板111と底面遮熱板112と厚みを異ならせてもよい。ヒーター10と側面遮熱板との間隔は0.6mm程度、ヒーター10と底面遮熱板との間隔は1.0mm程度とし、側面遮熱板間の間隔は0.8mm程度、底面遮熱板間の間隔は1.5mm程度とする。
遮熱板11の材料としては、具体的には、モリブデン(Mo)、インコネル、ハステロン等の超高温耐熱金属や、アルミナ、ボロンナイトライド(BN)、パイロリティックボロンナイトライド(PBN)等の高温耐熱性セラミックが挙げられる。このうちPBNは、高温耐熱性、熱衝撃性に優れる、NH雰囲気下において熱分解が抑制される、反射率が長期間安定しているなどの特性も有しており、安定した断熱効果が得られる。
なお複数の遮熱板を構成する材料は、同じでも異なっていてもよく、例えば、ヒーター10から見て内側から外側に向かって熱伝導性が低くなるように材料を選択することができる。このように材料を使い分けることにより、ヒーター10からの熱を効果的に遮断することができる。
側面遮熱板111のうち最外側に位置する遮熱板は、他の遮熱板と同様に、Mo、BN、PBN、ハステロン、インコネルなどを使用することができるが、インバー、SUS等のやや耐熱性の低い材料を用いることも可能である。
遮熱板11は、パージガス供給管8、9から導入される不活性ガスの流路を制御する機能も備えている。遮熱板11によるガス流路の制御機能については、後に詳述する。
ヒーター室隔壁12は、本実施形態では水冷ジャケット式の隔壁からなり、下サセプタ42、ヒーター10及び遮熱板11を覆うように、フローチャンネル2の床板22に密着して配置されている。ただし、排気管13に近い側には、床板22との間からパージガスを排出するため切欠け部が形成されている。なお水冷シャケット式の隔壁には、水を循環させるために入水口と出水口が備えられているが、図では省略している。ヒーター室隔壁12は、耐熱性、加工性、溶接性などの特性の良い材料から構成される。このような材料として、例えば、SUS304、SUS316、SUS316L、インコネル、ハステロイ等が挙げられる。
次に本実施形態における遮熱板11の詳細と、それによるガス流路の制御について説明する。図2に、遮熱板11の詳細な構造を示す。図2に示す構造は、図1に示す装置のフローチャンネル2の上流側部分と、隔壁の上側の一部、側面遮熱板111の上側の部分、サセプタ4、ヒーター10及びその下に配置された裏面遮熱板112の右側の一部を示す部分断面図である。また図中、細矢印はパージガスの流れを示している。
上述したように、側面遮熱板111及び底面遮熱板112は、それぞれ、複数枚から構成されている。側面遮熱板111のうち、外側に配置される遮熱板111aは、反応容器1の底側の端部が、他の側面遮熱板よりも下側に延び、且つ容器の中心側に屈曲した形状をしており、遮熱板としての機能とパージガスをフローチャンネル床板の裏面に誘導する機能とを備えている。この機能を実現するため、パージガス供給管9は、複数のガス吹き出し口の一部が、隔壁12と外側の遮熱板111aとの間に位置するように配置されている。この吹き出し口の配置と側面遮熱板111aの端部が容器の底部近くまで延び且つ屈曲する形状であることによって、パージガス供給管9の吹き出し口から供給されるパージガスが、遮熱板111aと隔壁12との間に誘導される。
さらに側面遮熱板111のフローチャンネル2に近い端部は、複数の遮熱板の端部が段差を持って位置するように配置されている。具体的には、ヒーター10に最も近い遮熱板の端部が最も高く(フローチャンネルに最も近く)、ヒーター10から外側に向かって端部の位置が低くなっている。この構造により、前述のように遮熱板111aと隔壁12との間に誘導されて、遮熱板111aの上端に達したパージガスは、フローチャンネル床板22の裏面に沿って水平に流れていくときに、最端の遮熱板111aに続く遮熱板の端部に当たって、隣接する遮熱板の間に順次送られる。このように、側面遮熱板111の上端部ではパージガスは水平に流れながら、各遮熱板の間に送られることになり、フローチャンネル床板22の上流側を、ガス供給側から順に冷却するとともに、各遮熱板の間を流れることによって遮熱板111と協働してヒーター10からの輻射熱がフローチャンネル床板22に向かうのを阻止する。
この遮熱板111による遮熱効果と、遮熱板111の上流側端部を流れるパージガスによるフローチャンネル裏面の冷却効果により、フローチャンネル上流側は隔壁12と接する部分からサセプタとの接点に至るまで、輻射熱による加熱とパージガスの熱伝導による加熱との両者を遮断することができ、温度上昇に起因する材料ガスの堆積や堆積物による結晶成長の阻害を防止できる。しかも、パージガスの温度は隔壁12に近い側からサセプタ4に近づくにつれて、徐々に高くなるため、パージガスによってサセプタ4の周辺温度が過度に冷却されるという問題も生じない。
なお、図1に示す実施形態では、側面遮熱板111aをヒーター10の全側面即ち材料ガスの上流側及び下流側にも設けた場合を示しているが、材料ガスの堆積が問題になるのは、フローチャンネル2の材料ガス上流側であり、材料ガス下流側を積極的に冷却する必要はないので、最外側に位置する側面遮熱板111aは、サセプタ4の中心を通り材料ガス流と直交する面を境にしてガス流の上流側のみに設けてもよい。ただし、図示するように全周に設けた場合には、ヒーター部分のガスの通気が改善されるためヒーター劣化を抑制する効果が得られる。
MOCVD装置の結晶成長膜厚を概念的に示すグラフを図3(a)〜(c)に示す。図3に示すグラフにおいて、横軸は装置の水平方向の位置を表し、P1は水冷ジャケット式隔壁12の内側端部の位置を、P2はサセプタ4の外側端部の位置を示している。図3(d)に位置P1、P2を示す。またグラフの縦軸には成長膜厚を示しており、一点鎖線はサセプタが回転しないと仮定した場合の膜厚、実線は回転して膜厚が平均化した状態を示している。図3(a)は、本実施形態のMOCVD装置の場合、図3(c)は図8に示す構造のMOCVD装置の場合であり、図3(a)のグラフの点線は、図3(c)の膜厚(実線)を比較例として示している。
図3(c)に示すように、従来の装置では、フローチャンネル床板の上流側の裏面がサセプタやヒーターからの輻射熱を受けやすく、遮熱板の外端と隔壁12との間で温度が高くなる傾向が見られるのに対し、本実施形態の装置では、遮熱板の外端と隔壁12との間に、温度が低い状態のパージガスを流すことができるので、フローチャンネル床板の上流側の裏面が効率よく冷却され、フローチャンネル上流側の床板で材料ガスの消費と材料ガスの反応生成物の堆積を抑制することができる。その結果、基板5上の淀み層に拡散する材料ガス量が増加し、図3(a)に示すように、従来装置よりも成長膜厚を厚くすることができる。
以上、説明したように、本実施形態によれば、隔壁12の内側にそれと平行して設置される遮熱板を複数の板材で構成するとともに、最外側に配置される遮熱板と隔壁12との間にパージガスが流れるガス流路を形成したことにより、フローチャンネル床板22の上流側、即ち、隔壁からサセプタ外周までの温度の上昇を抑え、床板への反応生成の堆積を抑制することができる。
また本実施形態は、ガス流の制御によってフローチャンネル床板の上流側を積極的に冷却するものであり、従来使われている遮熱板の構造及び配置を変えるだけで実現できるので、フローチャンネル床板を冷却するための付加的な冷却容器等を不要とし、簡素な構造で高い効果が得られる装置を提供できる。
<第二実施形態>
図4に、本実施形態の半導体製造装置の概要を示す。図4は第一実施形態と同様にMOCVD装置の側断面図である。図4中、図1と共通する要素は同じ符号で示しており、その説明は省略する。以下、主として第一実施形態と異なる点を説明する。
本実施形態においても、パージガス供給管8から反応容器1内に流れるパージガスの流路から独立してヒーター室を流れるガス流路を形成していること、及び、ヒーター10の側面を取り囲む側面遮熱板111が複数の遮熱板から構成され、それらのフローチャンネル2に近い端部が段差を持つように配置されていることは第一実施形態と同様である。しかし、本実施形態では、第一実施形態におけるパージガス誘導用の遮熱板111aに対応する遮熱板は設けられておらず、複数の側面遮熱板111の下側の端部の位置は、同レベルに揃っている。本実施形態では、ヒーター室隔壁12の外側にパージガス誘導筒14を設け、ヒーター室隔壁12の外側から、隔壁12とフローチャンネル2との隙間を通りヒーター室を流れるパージガスの流路を設けたことが特徴である。
即ち、このMOCVD装置は、水冷ジャケット式のヒーター室隔壁12の外側に隔壁12を囲むパージガス誘導筒14が設けられるともに、反応容器1には、ヒーター室隔壁12とパージガス誘導筒14との間にパージガスを供給する第3のパージガス供給管15が接続されている。
パージガス誘導筒14は、水冷ジャッケット式隔壁12を取り囲む大きさの円筒状の部材で、PBNやBN等の厚板から構成することができる。隔壁12と誘導筒14との隙間は、限定されるものではないが、1〜3mm程度である。パージガス誘導筒14は、下端が反応容器1の底部に固定され、上端にフローチャンネル2が固定される。従ってパージガス誘導筒14で囲まれる空間は、閉じられた空間である。パージガス供給管15は、パージガス誘導筒14と反応容器1との接続部と、ヒーター室隔壁12と反応容器1との接続部との間の反応容器1に連結されている。
またパージガス供給管15から供給されるパージガスの流路を形成するために、ヒーター室隔壁12は、フローチャンネルの床板22との間に隙間を持って配置されている。隙間の間隔は、ガス流路を確保できる程度であればよく、具体的には0.2mm〜2.0mm程度である。
遮熱板11は、第一実施形態と同様に、複数の側面遮熱板111と複数の底面遮熱112とから成る。複数の側面遮熱板111は、上端とフローチャンネル2との間にガス流路となる隙間が形成され、その隙間の大きさが、ヒーター10に近い側を内側とすると、内側から外側に向かって大きくなるように配置されていることも第一実施形態と同様である。但し本実施形態では、複数の側面遮熱板111の寸法は全て同じであって、その下端の位置は、最も下側に位置する底面遮熱板とほぼ同じレベルである。
一方、ヒーター10と遮熱板11が配置される空間(ヒーター室)の下部には下部隔壁16が設けられ、ヒーター室と下側の空間とを分けている。下部隔壁16は、パージガス誘導筒14と同様にBNやPBN等の厚板から構成することができる。下部隔壁16には、ヒーター室排気管17が接続されており、ヒーター室を流れるパージガスはこの排気管17から排気される。反応容器1の底面には、余剰の材料ガスや副生ガスを排気するためのフローチャンネル排気管3とは別に排気管18が設けられており、ヒーター室排気管17はこの排気管18に接続されている。
以上のような構成におけるパージガスの流れを、図5を参照して説明する。図5中、細矢印はパージガスの流れを示している。反応容器1の底部に接続されたパージガス供給管15から供給されるパージガスは、図示するように、ヒーター室隔壁12とパージガス誘導筒14と間の流路を通ってフローチャンネル2底部に付き当たり、隔壁12とフローチャンネルとの隙間を通って、水平方向のガス流になってヒーター室に流れ込む。水平方向のガス流は、段差を持つように配置された遮熱板に順に当たり、隣接する遮熱板間の隙間にそれぞれ流れ込む。また最もヒーター10に近い遮熱板を通過した水平のガス流はその遮熱板とヒーターとの間に流れ、ヒーター10の下側に配置された裏面遮熱板112間を通って、排気管17から排出される。
一方、パージガス供給管9から供給されるパージガスは、図4に細矢印で示すように、ヒーター室の下部の空間を冷却し、排気管18から排出される。
本実施形態のMOCVD装置では、パージガス供給管15から供給されたパージガスがヒーター室で加熱される前にフローチャンネルの底面に沿って流れるガス流を形成することができるので、効果的にフローチャンネルの温度上昇を抑制することができる。これによりサセプタに近いフローチャンネルの材料ガス上流側で材料ガスが熱分解するのが抑制され、結晶成長に用いられる材料ガスの増加即ち成長膜厚の増加を実現することができる。またフローチャンネル上に熱分解物等が堆積するのを防止できる。さらに、本実施形態のMOCVD装置においても、遮熱板の上端部の位置を垂直方向にずらしている(段差を設けている)ので、フローチャンネル底面に沿って流れる水平なガス流を、確実に複数の遮熱板間の隙間に分岐することができ、遮熱板による遮熱効果を良好にすることができる。
さらに本実施形態では、ヒーター室へのパージガスの供給経路を、フローチャンネルの底面に水平ガス流を生じさせるガス流路と、ヒーター室下部を冷却するガス流路とに分けているので、ヒーター室下部を効果的に冷却することができ、外部との遮熱効果を高めることができる。
本実施形態のMOCVD装置の成長膜厚を図3(b)に示す。このグラフにおいて、縦軸と横軸及び実線と一点鎖線で示すグラフは、第一実施形態で説明した図3(a)と同じである。図3(c)に示す従来装置の成長膜厚との比較からもわかるように、本実施形態の装置では、パージガス誘導筒からサセプタ外周に至るフローチャンネル底面に沿って、温度が低い状態のパージガスを流すことができるので、フローチャンネル床板の裏面が効率よく冷却される。その結果、フローチャンネルのガス上流側の上で材料ガスの熱分解による消費や材料ガスの反応生成物による床板への堆積を抑制することができる。
またヒーター室隔壁12の上端から、殆ど加熱されていない状態のパージガスをヒーター室内に供給することができるので、第一実施形態(図3(a))に比べサセプタと隔壁12との間における熱傾斜を高くすることができ、材料ガスの無駄な消費をより効果的に抑えることができる。その結果、さらに成長膜厚を厚くすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はフローチャンネル底面の隔壁とサセプタ外周との間に水平な冷却ガス流を生じさせる手段を備えるものであれば、上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、第二実施形態では、ヒーター室とその下部とを分ける下部隔壁16を備える構成を説明したが、下部隔壁の代わりに、側面遮熱板111から下方に流れるパージガスの流れを妨げないようにパージガス供給管9から吹き出すパージガスの流路を制御する流路制御板を配置してもよい。
また以上の実施形態の中で挙げた材料や数値に本発明を実施するための一例であって本発明はこれら数値に限定されるものではない。
さらに上記実施形態では、サセプタの上面に基板を搭載し、その上側にフローチャンネルを配置した構造のMOCVD装置を例に説明をしたが、サセプタの基板搭載面の下側にフローチャンネルを配置した構造の装置(や、サセプタの基板搭載面を垂直に配置した構造の装置)であっても同様に本発明を適用することができる。
<実施例1>
図1に示す構造のMOCVD装置(第一実施形態)を用いて、図6に示すような低温GaN層と高温GaN層からなるGaN膜の結晶成長を行った。
このMOCVD装置は、2インチ基板用の装置であり、サセプタ及びヒーターの半径は60mm、サセプタ中心から水冷ジャケット式隔壁までの距離は72mmである。ヒーターと隔壁との間には、側面遮熱板として5枚の遮熱板を配置し、ヒーター裏面には6枚の遮熱板を配置した。側面遮熱板のうち最も内側の遮熱板(第1遮熱板)は、厚み0.3mmのPBN板を用い、第2〜第4遮熱板は厚み0.2mmのMo板を用いた。配置は、第1遮熱板をヒーターから1.0mm離して配置し、遮熱板間隔は0.8mm間隔とした。第4遮熱板の外側に、0.8mm離して、厚み0.8mmのインバー板からなるパージガス誘導用遮熱板を配置した。パージガス誘導用遮熱板と水冷ジャケット式隔壁との間隔は1.5mmとした。
また第1遮熱板の上端とフローチャンネル床板の裏面との距離を0.3mmとし、第2熱板から第4遮熱板まで、その上端からとフローチャンネル床板の裏面までの距離を、順に0.6mm、1.2mm、2.0mmとした。また最外側のパージガス誘導用遮熱板の上端とフローチャンネル床板の裏面との距離は1.5mmとした。またパージガス誘導用遮熱板と水冷ジャケット式隔壁との隙間は1.5mmとした。
底面遮熱板は、ヒーターに近い順に第1〜第6遮熱板とすると、第1及び第2遮熱板は厚み0.3mmのPBN板を用い、第3〜第6遮熱板は厚み0.5mmのMo板を用いた。第1遮熱板はヒーターから1.0mm離し、第2遮熱板から第6遮熱板は1.5mm間隔で配置した。
基板としては、m軸方向0.5°オフのc面サファイア(α‐アルミナ)の単結晶基板(直径:2インチ)を用い、有機金属材料としてTMG(トリメチルガリウム)、水素化物材料としてNHを用いた。有機金属材料ガス及び水素化物材料ガスは混合して材料ガス供給管6から供給した。同じガス供給管6から、材料ガスの運搬ガス(キャリアガス)として水素ガスを流し、流量が材料ガスと合わせて流量8L/分となるように調整した。また材料ガス供給管7からは、水素:窒素を1:1で混合したガスを流量が26L/分となるように流した。さらにパージガスとして、水素ガス:窒素ガス=1:1の混合ガスをパージガス供給管8、9から流量8L/分流した。
まず、材料ガス供給管7から、水素ガスと窒素ガスとを1:1に混合したガスを流量26L/分で供給し、サセプタ温度を1000℃、反応室内の圧力を100kPaにしてサファイア基板を10分間アニールした。
次いでサセプタ温度を550℃に下げて、圧力は同じ100kPaに保ち、材料ガス供給管6からTMGを30μmol/分、NHを4L/分供給し、サファイア基板上に低温GaN層を10nm形成した。次にサセプタ温度を1050℃に上げて、圧力は同じ100kPaに保ち、低温GaN層を7分間アニールした。
その後、サセプタ温度を1030℃にし、圧力は同じ100kPaに保ち、材料ガス供給管22からTMGを45μmol/分、NHを4L/分供給し、低温GaN層の上に高温GaN層を1時間成長した。
<実施例2>
図4に示す構造のMOCVD装置(第二実施形態)を用い、パージガスの供給条件以外は、実施例1と同じ条件でサファイア基板上に低温GaN層及び高温GaN層からなるGaN膜を結晶成長させた。
このMOCVD装置は、2インチ基板用の装置であり、サセプタ及びヒーターの半径は60mm、サセプタ中心から水冷ジャケット式隔壁までの距離は70mmである。ヒーターと隔壁との間には、側面遮熱板として4枚の遮熱板を配置し、ヒーター裏面には6枚の遮熱板を配置した。側面遮熱板のうち最も内側の遮熱板(第1遮熱板)は、厚み0.3mmのPBN板を用い、第2〜第4遮熱板は厚み0.2mmのMo板を用いた。配置は、第1遮熱板をヒーターから0.6mm離して配置し、第1遮熱板から第4遮熱板までの各間隔は全て1.0mm間隔とした。第4遮熱板と水冷ジャケット式隔壁との間隔は0.5mmとした。
また第1遮熱板の上端とフローチャンネル床板の裏面との距離を0.3mmとし、第2遮熱板から第4遮熱板まで、その上端からとフローチャンネル床板の裏面までの距離を順に、0.5mm、1.0mm、1.5mmとした。水冷ジャケット式隔壁とフローチャンネル床板の裏面との距離は、1.0mmとした。
底面遮熱板は、ヒーターに近い順に第1〜第6遮熱板とすると、第1及び第2遮熱板は厚み0.3mmのPBN板を用い、第3〜第6遮熱板は厚み0.5mmのMo板を用いた。第1遮熱板はヒーターから1.0mm離し、第2遮熱板から第6遮熱板は1.5mm間隔で配置した。
パージガスは、実施例1と同様に水素ガス:窒素ガス=1:1の混合ガスを用い、パージガス供給管8から流量8L/分、パージガス供給管9から流量2L/分、パージガス供給管15から流量6L/分、で流した。
<比較例>
比較例として、図8に示すMOCVD装置を用いパージガスの供給条件以外は、実施例1と同じ条件でサファイア基板上にGaN層を結晶成長させた。図8に示す装置は、実施例1、2と同じ基板搭載面及び凹部の径を持つ平板状のサセプタ(厚さ5mm)を採用するとともに、サセプタの裏面側にヒーターを配置した構造であり、ヒーターの発熱面積は、実施例1及び2のヒーターの発熱面積と同じである。水冷ジャケット式隔壁は、実施例1と同様にフローチャンネルと密着し、材料ガス下流側に排気用の切欠けが形成されているものを使用した。遮熱板は、ヒーター側面を厚み3mmのBNからなる側面遮熱板で構成し、ヒーター裏面を厚み3mmのBNからなる2枚の底面遮熱板で構成した。パージガスは、ヒーター室の中側とヒーター室の外側にそれぞれ設けたパージガス供給管から供給した。
<評価>
<<膜厚>>
フローチャンネル床板上で材料ガスの分解を生じやすいのはサセプタ温度が1000℃を超える高温GaN膜の成長条件においてであるので、実施例1、2及び比較例で生成した高温GaN膜の膜厚を測定し、本発明の効果を確認した。膜厚の測定は、サファイア基板の屈折率(1.7)とGaN結晶の屈折率(2.4)との相違を利用した、白色光源を用いた反射干渉計を用い、図7に示すように基板中心から5mm間隔で、中心を含む5点で行った。その平均値と、比較例の膜厚を基準にした膜厚増加率とを表1に示す。
<<メンテナンス回数間隔>>
上述した実施例1、2及び比較例による成膜を繰り返し実行し、各回毎に、サセプタ上流側のフローチャンネル床板部に堆積した堆積物の状態を観察するとともに、堆積物が剥離して捲れ上がるまでの繰り返し回数をカウントした。結果を合わせて表1に示す。
Figure 2013131555
表1に示す結果からも明らかなように、実施例1、2ともに比較例に対する膜厚の増加効果が認められた。この膜厚の増加効果は、材料使用効率の向上によるものと捉えることができ、比較例の材料使用率を100%とするならば、実施例で15%、実施例2では36%材料使用率が向上したと言える。即ち、本発明によれば、材料ガス使用効率向上分だけ材料ガス使用量を減らすことができるので、製造コストを低減することができる。同時に製造時間も短くなるので、生産性を向上することができる。
また堆積物の目視での観察結果は、比較例では、1回の結晶成長でサセプタ外周から水冷ジャケット式ヒーター室隔壁内周端部までのフローチャンネル床板部が堆積物により明らかに黄色い汚れとなり、数回の成長で濃い褐色になり、12回程度で堆積物の剥離が始まった。これに対し、実施例1では、同じフローチャンネル床板部の汚れ(着色)は、比較例に比べ薄く、数回の成長で薄い褐色を呈し、19回程度まで堆積物の剥離は起きなかった。また実施例2では、汚れの付着は実施例1よりさらに減少し、23回程度まで剥離は起きなかった。これらの結果から、本発明により、フローチャンネル床板の交換頻度を低減することができ、清掃時間の短縮によるLEDの生産効率を向上することができる。
<<結晶性の評価>>
実施例1、2及び比較例で結晶成長したGaN層のX線回析(XRD)測定を行いGaN層の欠陥密度を評価した。サファイア基板上へのGaN結晶成長は、異種結晶成長であるためドメインを形成していることが知られており、欠陥密度はドメインの基板結晶軸に対する傾き(チルティング)と結晶軸の回転(ツイスティング)と比例する。そして、チルティングは、XRDの(002)ωロッキングカーブの半値幅で、ツイスティングは、(102)ωロッキングカーブの半値幅で、それぞれ評価でき、これらの値が小さいほど欠陥密度は少ない。5回目の結晶成長後にXRD測定により求めた(002)ωロッキングカーブの半値幅と(102)ωロッキングカーブの半値幅を表2に示す。
Figure 2013131555
表2に示す結果からも明らかなように、比較例の(002)ω、(102)ωに比べ、実施例1及び実施例2では、半値幅が減少していること、すなわち欠陥密度が減少していることが確認された。これは、基板上流において、材料ガス流の基板表面に至る流れを阻害する原因となる堆積物の生成が、比較例に比べ実施例1、2では抑制された結果、安定した「淀み層」が形成されたためと考えられる。
本発明は、発光ダイオード、レーザダイオード等を製造する製造装置、特にMOCVD装置に適用することにより、生産性を向上することができ、且つ品質のよい半導体製品を提供することができる。

Claims (7)

  1. 反応容器と、前記反応容器内に設置され、基板を搭載するサセプタと、サセプタに搭載された基板の表面に沿って材料ガスを供給するフローチャンネルと、前記サセプタの基板搭載面と反対側に設置されたヒーターと、前記ヒーターを囲むように配置された遮熱板と、前記反応容器にパージガスを供給するパージガス供給手段とを備えた半導体製造装置において、
    前記遮熱板は、互いに間隔を持って配置された複数の側面遮熱板を含み、当該複数の側面遮熱板は、板面が前記フローチャンネルの底面と交差し且つ端部が前記フローチャンネルの底面との間に隙間を持って配置され、
    前記側面遮熱板の、ヒーターに近い方を内側、ヒーターから遠い方を外側とするとき、前記側面遮熱板の外側を通り、前記側面遮熱板の端部と前記フローチャンネルの底面との隙間を経て、前記複数の側面遮熱板間及び前記側面遮熱板の内側と前記ヒーターとの隙間を通るパージガス流路を形成するガス流制御手段を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
  2. 請求項1に記載の半導体製造装置であって、
    前記複数の側面遮熱板の端部は、前記フローチャンネル底面からの距離が、外側から内側に向かって、小さくなるように配置されていることを特徴とする半導体製造装置。
  3. 請求項1又は2に記載の半導体製造装置であって、
    前記ヒーター及び前記遮熱板が配置される空間(ヒーター室)を取り囲んで設置されたヒーター室隔壁を備え、前記パージガス供給手段は、前記ヒーター室以外の空間にパージガスを供給する第一のパージガス供給管と、前記ヒーター室にパージガスを供給する第二のパージガス供給管とを備えることを特徴とする半導体製造装置。
  4. 請求項3に記載の半導体製造装置であって、
    前記ガス流制御手段は、前記複数の側面遮熱板のうち最外側に配置される側面遮熱板を含み、当該最外側の側面遮熱板は、前記フローチャンネルの底面と交差する方向の長さが他の側面遮熱板より長く、前記最外側の側面遮熱板と前記ヒーター室隔壁との間に、前記第二のパージガス供給管からのガス吹き出し口が配置されていることを特徴とする半導体製造装置。
  5. 請求項3に記載の半導体製造装置であって、
    前記ヒーター室隔壁は、前記フローチャンネルの底面との間に隙間を持って配置され、
    前記ガス流制御手段は、前記ヒーター室隔壁を囲んで配置されたパージガス誘導筒を含み、前記パージガス誘導筒と前記ヒーター室隔壁との間に、前記第二のパージガス供給管からのガス吹き出し口が配置されていることを特徴とする半導体製造装置。
  6. 請求項5に記載の半導体製造装置であって、
    前記ヒーター室隔壁で仕切られたヒーター室を、前記ヒーター及び前記遮熱板が配置される空間とそれ以外の空間(第二空間)に仕切る第二の隔壁を備え、
    前記第二の隔壁には、前記側面遮熱板の端部と前記フローチャンネルの底面との隙間を経て、前記複数の側面遮熱板間及び前記側面遮熱板の内側と前記ヒーターとの隙間を通るパージガス流路を流れたパージガスを前記反応容器の外に排気する排気手段が備えられていることを特徴とする半導体製造装置。
  7. 請求項6に記載の半導体製造装置であって、
    前記パージガス供給手段は、前記第二の隔壁によって仕切られた第二空間にパージガスを供給する第三パージガス供給管を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
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