JP2009117618A - エピタキシャル基板を作製する方法、及びベーキングを行う方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】追加のヒータを用いること無く、フローチャンネルの汚れに影響を低減可能な、エピタキシャル基板を作製する方法を提供する。
【解決手段】窒化ガリウム系半導体光素子のためのエピタキシャル基板を作製する方法では、ヒータ15を用いて加熱しながら、フローチャネル17内のサセプタ13上に配置された基板19上に窒化ガリウム系半導体光素子のための複数の窒化ガリウム系半導体膜を含む半導体積層21を有機金属気相成長法で成長してエピタキシャル基板E1を作製する。フローチャネル17内のサセプタ13上にダミー基板23を配置すると共にフローチャネル17を遮熱用カバー25で覆って、ヒータ15を用いて加熱しながらプロセスガスG3を流してフローチャネル17のベーキングを行う。
【選択図】図2
【解決手段】窒化ガリウム系半導体光素子のためのエピタキシャル基板を作製する方法では、ヒータ15を用いて加熱しながら、フローチャネル17内のサセプタ13上に配置された基板19上に窒化ガリウム系半導体光素子のための複数の窒化ガリウム系半導体膜を含む半導体積層21を有機金属気相成長法で成長してエピタキシャル基板E1を作製する。フローチャネル17内のサセプタ13上にダミー基板23を配置すると共にフローチャネル17を遮熱用カバー25で覆って、ヒータ15を用いて加熱しながらプロセスガスG3を流してフローチャネル17のベーキングを行う。
【選択図】図2
Description
本発明は、窒化ガリウム系半導体光素子のためのエピタキシャル基板を作製する方法、及び窒化ガリウム系半導体光素子のためのエピタキシャル成長を行う成長炉においてベーキングを行う方法を作製する方法に関する。
特許文献1には、フローチャンネルに付着した汚れに起因する成長再現性の低下を抑制できる横型気相成長装置が記載されている。この装置は、サセプタ上に載置した基板の裏面に対して平行に原料ガスを流して気相成長を行う。フローチャンネルに追加のヒータが設けられている。気相成長終了後に基板をフローチャンネル内から取り出す。この後に、元々のヒータ及び追加のヒータを用いてフローチャンネルを加熱することにより、フローチャンネルの内壁に付着した汚れを再蒸発させて除去してから次の気相成長を開始する。
特開2001−185488号公報
特許文献1では、フローチャネルの加熱のために追加のヒータを設けるので、成長炉の構造が複雑になると共に、成長炉の大型化を招く。成長炉が大型になるとき、製造設備の設置により広い面積が必要である。また、成長炉に追加のヒータ及び付属設備が設けられると、追加のヒータのための熱容量が増加する。これ故に、成長温度から室温への降温のためにより長い時間を要する。さらに、追加のヒータへの電力が余分に必要である。
本発明は、このような事情を鑑み為されたものであり、追加のヒータを用いること無く、フローチャンネルの汚れに影響を低減可能な、エピタキシャル基板を作製する方法及びベーキングを行う方法を提供することを目的とする。
本発明に係る一側面は、窒化ガリウム系半導体光素子のためのエピタキシャル基板を作製する方法である。この方法は、(a)フローチャネル内のサセプタ上に配置された基板上に前記窒化ガリウム系半導体光素子のための複数の窒化ガリウム系半導体膜を含む半導体積層を有機金属気相成長法でヒータを用いて加熱しながら成長して、エピタキシャル基板を作製する成長工程と、(b)前記フローチャネル内の前記サセプタ上にダミー基板を配置すると共に前記フローチャネルを覆う遮熱用カバーを用いて、前記ヒータを用いて加熱しながらプロセスガスを流して前記フローチャネルのベーキングを行うベーキング工程とを備え、前記成長工程及び前記ベーキング工程のいずれか一方を行った後に、前記成長工程及び前記ベーキング工程のいずれか他方を行う。
本発明の別の側面は、窒化ガリウム系半導体光素子のためのエピタキシャル成長を行う成長炉においてベーキングを行う方法である。この方法は、(a)成長炉のフローチャネルに設けられヒータを含むサセプタ上にダミー基板を配置すると共に前記フローチャネル及び前記ダミー基板を遮熱用カバーで覆う工程と、(b)プロセスガスを流しながら前記ヒータを用いて前記遮熱用カバー及び前記フローチャネルを加熱して、前記フローチャネルのベーキングを行うベーキング工程とを備える。
この方法によれば、ベーキングの際に、ヒータを用いてサセプタ及びフローチャネルを加熱している。フローチャネルを遮熱用カバーで覆っているので、フローチャネルから放散される熱が少なくなる。これ故に、ベーキングの際に追加のヒータを用いること無く、フローチャネルを高温に保つことができる。このベーキングを成長工程に伴って用いるので、フローチャンネルの汚れがエピタキシャル基板を作製する方法に影響することを低減することができる。
本発明に係る方法では、前記ベーキング工程において前記ヒータに設定されたベーキング温度は、前記成長工程において前記ヒータに設定された成長温度の最大温度より高いことが好ましい。この方法によれば、ヒータの設定温度を上げることに加えて、ベーキングの際に遮熱用カバーでフローチャネルを覆うので、フローチャンネルの汚れに影響を低減可能な、エピタキシャル基板を作製する方法が提供される。
本発明に係る方法では、前記ベーキング工程では、プロセスガスを流しており、前記プロセスガスは水素及び窒素を含むことが好ましい。これらのプロセスガスは、フローチャネル壁の内面上の窒化物系堆積物を除去するために好適である。
本発明に係る方法では、(c)前記ベーキング工程に先立って、前記サセプタを覆うように前記遮熱用カバーを位置合わせして配置する配置工程と、(d)前記成長工程に先立って、前記遮熱用カバーを取り外して成長炉の外に保管する取外工程と、(e)前記成長工程、前記配置工程、前記取外工程及び前記ベーキング工程を繰り返す工程を更に備えることができる。
この方法によれば、ベーキング工程に先立って遮熱用カバーの配置を行うと共に成長工程に先立って遮熱用カバーの取り外しを行うので、成長工程において遮熱用カバーは用いられていない。このため、成長工程における成長炉の熱容量が、ベーキング工程における成長炉の熱容量に比べて小さくなる。故に、遮熱用カバーの使用が、成長後の降温速度に影響しない。また、成長工程において遮熱用カバーを用いないので、遮熱用カバー上に僅かな堆積物でも付着する可能性がない。
本発明に係る方法では、前記遮熱用カバーは、カーボン、高融点金属、セラミックスの少なくともいずれかから形成されることが好ましい。これらの材料は、ベーキングの高温処理に耐える耐熱性を有する。本発明に係る、エピタキシャル基板を作製する方法では、前記遮熱用カバーはカーボンを母材とする材料からなることが好ましい。カーボンの加工は容易であり、遮熱用カバーの形成に好適である。また、前記遮熱用カバーは、タングステン、ニッケルおよびモリブデンの少なくともいずれかを母材とする材料からなることができる。さらに、前記遮熱用カバーは、窒化ホウ素を母材とする材料からなることが好ましい。
本発明に係る方法では、前記遮熱用カバーは、前記フローチャネル及び前記サセプタに面する第1の面と、前記第1の面とに反対側の第2の面とを有しており、前記第1の面の色は黒であることが好ましい。この方法によれば、遮熱用カバーが黒色であれば、輻射により温度が上がりやすく高い遮熱効果が提供される。
本発明に係る方法では、前記半導体積層は活性層を含むことができる。この方法は、発光素子の作製に好適である。
本発明に係る方法では、前記基板はサファイア基板であることができる。この方法によれば、サファイア基板上に窒化ガリウム系半導体を形成するときに生成される堆積物をベーキング中に低減される。
本発明に係る方法では、前記基板はIII族窒化物基板であることができる。この方法によれば、ベーキング無しに成長ランの繰り返しにより生じるエピタキシャル膜の特性変動を低減できる。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明によれば、追加のヒータを用いること無く、フローチャンネルの汚れに影響を低減可能な、エピタキシャル基板を作製する方法及びベーキングを行う方法が提供される。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明のエピタキシャル基板を作製する方法及びベーキングを行う方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施の形態に係るエピタキシャル基板を作製する方法及びベーキングを行う方法の工程フローチャートを示す図面である。図2は、エピタキシャル基板を作製する方法及びベーキングを行う方法において使用されるフローチャネル及び遮熱用カバーを示す図面である。
図1に示されるように、工程フローチャート100における工程S101では、成長炉にフローチャネルをセットする。このフローチャネルは、新品のものであることができ、また既に一又は複数回の成長に使用された後にエッチングにより再使用のための処理されたものでもよい。
引き続き、このフローチャネルを成長に使用するための準備を行う。この準備として、フローチャネル壁に窒化ガリウム系半導体のコーティングを形成する。まず、工程S102のおいて、図2(a)に示されるように、ダミー基板11を成長炉Rのサセプタ13上に配置する。工程S103において、コーティングを行う。コーティングに先立ち、サセプタ13内のヒータ15を用いてダミー基板11及びフローチャネル17のベーキングを行い、次いで、サセプタ13内のヒータ15を用いた加熱を開始すると共にコーティング用原料ガスG1を流してコーティングを形成する。再びヒータ15を用いてベーキングを行って、コーティング工程を終了する。このコーティング工程において、フローチャネル壁の内側に窒化ガリウム系半導体が堆積される。工程S104において、降温した後に、ダミー基板11を成長炉Rから取り出す。コーティングのための窒化ガリウム系半導体は、例えばGaNであり、この形成のために、有機金属ガリウム及びアンモニアを含む原料ガスを成長炉に供給する。
工程S105において、サセプタ13上に成長用の基板19を配置する。基板19は、例えばサファイア基板、GaN基板、シリコン基板等である。工程S106において、図2(b)に示されるように、フローチャネル17内のサセプタ13上に基板19を配置した後に、ヒータ15を用いて加熱すると共に原料ガスG2を流しながら半導体積層21を基板19上に成長して、エピタキシャル基板E1を有機金属気相成長法で形成する。半導体積層21は、窒化ガリウム系半導体光素子のための複数の窒化ガリウム系半導体膜を含む。半導体積層は活性層を含むとき、この方法は発光素子の作製に好適である。これらの窒化ガリウム系半導体膜を形成するために、有機ガリウム原料、有機インジウム原料、有機アルミニウム原料及びアンモニア等を含む原料ガスG2を成長炉Rに供給する。工程S107において、エピタキシャル基板を成長炉から取り出す。
工程S108に示されるベーキング工程では、図2(c)に示されるように、フローチャネル17を遮熱用カバー25で覆って、ヒータ15を用いて加熱しながらプロセスガスG3を流してフローチャネル17のベーキングを行う。
この方法によれば、ベーキングの際に、ヒータ15を用いてサセプタ13及びフローチャネル17を加熱している。フローチャネル17を遮熱用カバー25で覆っているので、フローチャネル17から放散される熱が少なくなる。これ故に、ベーキングの際に追加のヒータ15を用いること無く、フローチャネル17を高温に保つことができる。このベーキングを成長工程に伴って用いるので、フローチャンネル17の汚れに影響を低減可能な、エピタキシャル基板を作製する方法が提供される。
具体的には、まず、ベーキングに先立って工程S109において、フローチャネル17内のサセプタ13上にダミー基板23を配置する。工程S110において、フローチャネル17及びサセプタ13に対して遮熱用カバー25を位置合わせして、サセプタ13を覆うように遮熱用カバー25を配置する。工程S111において、遮熱用カバー25で覆われたフローチャネル17をヒータ15で加熱しながらプロセスガスG3を供給しながらフローチャネル17のベーキングを行う。工程S112において、ベーキングの加熱時間が終了した後に、遮熱用カバー25をフローチャネル17から取り外して、成長炉Rの外に保管する。工程S113において、ダミー用基板23をサセプタ13から取り除く。
この方法によれば、ベーキング工程に先立って遮熱用カバー25の配置を行うと共に成長工程に先立って遮熱用カバー25の取り外しを行うので、成長工程において遮熱用カバー25は用いられていない。このため、成長工程における成長炉の熱容量が、ベーキング工程における成長炉の熱容量に比べて小さくなる。故に、遮熱用カバー25が、成長後の降温速度に影響しない。また、成長工程において遮熱用カバー25を用いないので、遮熱用カバー25上に僅かな堆積物でも付着する可能性がない。
ベーキング工程において用いられたプロセスガスは水素及び窒素を含むことが好ましい。これらのプロセスガスは、フローチャネル壁の内面上の窒化物系の堆積物を除去するために好適である。
ベーキング工程においてヒータ15に設定されたベーキング温度は、成長工程においてヒータ15に設定された成長温度の最大温度より高いことが好ましい。ヒータ15の設定温度を上げることに加えて、ベーキングの際に遮熱用カバー25でフローチャネル17を覆うので、フローチャンネル17の汚れに影響を低減可能な、エピタキシャル基板を作製する方法が提供される。
遮熱用カバー25は、カーボン、高融点金属、セラミックス、ステンレス等の少なくともいずれかから形成されることが好ましい。これらの材料は、ベーキングの高温処理に耐える耐熱性を有しており、また赤外線を透過させることなく不透明である。
ベーキング工程が完了すると、図2(d)に示されるように、次の成長のための準備が成長炉Rに完了した。したがって、エピタキシャル基板を作製する方法及び半導体光素子を作製する方法では、工程S114では、エピタキシャル基板を形成するための工程S105、S106、S107、S108を繰り返すことができる。さらには、フローチャネルの交換を含むフローチャート100を繰り返すことができる。
図3は、フローチャネルを覆う遮熱用カバーの構造の一例を示す図面である。図4(a)は、遮熱用カバー及びフローチャネルの配置の側面を示す図面であり、図4(b)は、図3におけるI−I線に沿って取られた上記の配置の断面を示す図面である。フローチャネル17は、プロセスガスの上流から下流に延びる管状の部材であり、例えば天井17a、一対の側壁17b、17cを有する。遮熱用カバー25は、例えば天井25a、一対の側壁25b、25cを有する。天井25aは天井17aを覆い、一対の側壁17b、17cは、それぞれ、一対の側壁25b、25cに沿って延びている。フローチャネル17は、側壁17b、17cからそれぞれ突出するウイング部17d、17eを有する。遮熱用カバー25は位置合わせのための一対の開口25dを有しており、開口25dは、ウイング部17d、17eをそれぞれ受け入れる。
遮熱用カバー25は、例えばカーボン(融点:摂氏3550度)を母材とする材料からなることが好ましい。カーボンの加工は容易であり、遮熱用カバー25の形状のフレキシビリティを向上できる。また、赤外線を透過させることなく不透明であるという利点がある。
或いは、遮熱用カバー25は、タングステン(融点:摂氏3422度)、ニッケル(融点:摂氏1455度)およびモリブデン(融点:摂氏2623度)の少なくともいずれかを母材とする材料からなることができる。赤外線を透過させることなく不透明であるという利点がある。また、遮熱用カバー25は、窒化ホウ素(融点:摂氏2967度)を母材とする材料からなることが好ましい。赤外線を透過させることなく不透明であるという利点がある。
遮熱用カバー25は、フローチャネル17及びサセプタ13に面する内面25eと、内面25eに反対側の外面25fとを有しており、内面の色は黒であることが好ましい。遮熱用カバー25が黒色であれば、輻射により温度が上がりやすく高い遮熱効果が提供される。
サファイア基板上に窒化ガリウム系半導体光素子を作製するとき、結晶成長に先だって、水素を用いてサファイア基板の表面のサーマルクリーニングが行われる。これに先だって、上記のベーキングを行うことにより、パーティクルの発生数を低減できる。
III族窒化物基板上、例えばGaN基板上に、窒化ガリウム系半導体光素子を作製するとき、結晶成長に先だって、アンモニアを用いてGaN基板の表面のサーマルクリーニングが行われる。このときに、フローチャネル壁の内面に生成された堆積物の一部も除かれる。このため、GaN基板では、パーティクル生成に起因する、製造上の不具合は大きくない。しかしながら、上記のベーキングを行わないとき、成長ランの繰り返しにより生じる発光波長シフトは生じ、発光波長の再現性が良くない。結晶成長に先立って、或いは、この後に、上記のベーキングを行うことによって発光波長シフトを低減できる。
(実施例1)
有機金属気相成長法により青色発光ダイオード構造を作製した。原料にはトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)、アンモニア(NH3)、シラン(SiH4)、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CP2Mg)を用いた。以下の2通りの場合について、ラン間の波長の変化を調査した。
有機金属気相成長法により青色発光ダイオード構造を作製した。原料にはトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)、アンモニア(NH3)、シラン(SiH4)、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CP2Mg)を用いた。以下の2通りの場合について、ラン間の波長の変化を調査した。
LED構造を成長した。具体的には、成長炉内のサセプタ上に、サファイア(0001)基板を配置すると共に、フローチャネルをセットした。成長炉内の圧力を101kPaにコントロールしながら成長炉内にH2とN2を導入し、遮熱用カバーを用いないで、摂氏1050度の基板温度で10分間クリーニングを行った。
その後、基板温度を摂氏475度まで降下させた後に、TMGとNH3を炉内に導入して、厚さ20nmのGaNバッファ層をサファイア基板上に成長する。TMGの供給を停止した後、基板温度を摂氏1050度まで昇温して、TMG、NH3及びSIH4を供給して、厚さ5000nmのSiドープGaN層を成長した。次に、基板温度を摂氏800度まで下げて、15nmのGaN障壁層及び厚さ3nmのIn0.14Ga0.86N井戸層を含む多重量子井戸(MQW)構造(6周期)の発光層を成長した。その後、基板温度を摂氏1000度に上昇させ、TMG、TMA、NH3、及びCP2Mgを導入して、厚さ20nmのMgドープp−AlGaNを成長した。この後に、TMAの供給を停止して、厚さ50nmのp−GaN層を成長した。基板温度を室温まで降温した。
LED構造の成長前に、フローチャネルにGaNコーティングを施した。具体的には、リアクタ内のサセプタ上に、サファイア基板(ダミー基板)を配置すると共に、新品フローチャネルをセットした。成長炉内の圧力を101kPaにコントロールしながら、成長炉にTMG、NH3、H2、N2を導入して、摂氏1050度の基板温度で約2μmのGaNを成長した。その後、基板温度を室温まで降温した。
LED構造の成長前にベーキングとして、比較のための通常ベーキングと、改善のための改善ベーキングとを用いた。
通常ベーキングの条件は以下のものである。成長炉内のサセプタ上にサファイア基板(ダミー基板)を配置すると共に、フローチャネルをセットした。成長炉内の圧力を101kPaにコントロールしながら成長炉にH2とN2を導入して、摂氏1150度の基板温度で30分間クリーニングを行った後に、基板温度を室温まで降温した。
改善ベーキングの条件は以下のものである。成長炉内のサセプタ上にサファイア基板(ダミー基板)を配置すると共に、フローチャネルをセットした。フローチャネルの上からカーボン製カバーを設置して、カーボン製カバーでフローチャネルを覆った。この後に、成長炉内の圧力を101kPaにコントロールしながら成長炉にH2とN2を導入して、摂氏1150度の基板温度で30分間クリーニングを行う。その後、基板温度を室温まで降温した。
成長後のLEDエピタキシャル基板の発光波長の室温フォトルミネッセンス法により調査した。フォトルミネッセンススペクトルは、325nmのHe−Cdレーザーを用いて行われた。
図5は、通常ベーキング及び改善ベーキングをそれぞれ用いた、15回のLEDエピタキシャル基板の繰り返しに伴う発光波長の変化を示す図面である。特性線C1は、通常ベーキングを用いて作製されたLEDエピタキシャル基板の発光波長の変化を示し、特性線C2は、改善ベーキングを用いて作製されたLEDエピタキシャル基板の発光波長の変化を示す。特性線C1を参照すると、成長ランを重ねるごとに、LED波長は長波長化傾向にあることが理解される。これは、以下のことを示している:(1)フローチャネル内部に形成された堆積物(汚れ)により実効的な成長温度が低下して、MQW層に含まれるIn組成が増加すること、(2)成長速度が増加して、MQW層の井戸幅が厚くなったこと。発光波長の変化の幅は、Max−Min=19nmであり、所望の波長の460〜465nmで発光するエピタキシャル基板の歩留まりは、40%であった。
一方、特性線C2を参照すると、カーボン製遮熱カバーを用いて行う改善ベーキングにより、発光波長の変化の幅は、Max−Min=7nmに小さくなり、所望の波長の460〜465nmで発光するエピタキシャル基板の歩留まりは、87%であった。
図6には、特性線C1、C2に加えて、3回毎にベーキングを行って、15回のLEDエピタキシャル基板の繰り返しに伴う発光波長の変化を示す特性線C3が描かれている。特性線C3を参照すると、3回毎のベーキングに対応して発光波長の変化量が改善されているけれども、成長毎の改善ベーキングが、発光波長のシフトを低減するために最も好適である。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
11…ダミー基板、13…サセプタ、15…ヒータ、17…フローチャネル、17a…フローチャネルの天井、17b、17c…フローチャネルの側壁、17d、17e…フローチャネルのウイング部、19…基板、21…半導体積層、23…ダミー基板、25…遮熱用カバー、25a…遮熱用カバーの天井、25b、25c…遮熱用カバーの側壁、E1…エピタキシャル基板、R…成長炉
Claims (13)
- 窒化ガリウム系半導体光素子のためのエピタキシャル基板を作製する方法であって、
フローチャネル内のサセプタ上に配置された基板上に前記窒化ガリウム系半導体光素子のための複数の窒化ガリウム系半導体膜を含む半導体積層を有機金属気相成長法でヒータを用いて加熱しながら成長して、エピタキシャル基板を作製する成長工程と、
前記フローチャネル内の前記サセプタ上にダミー基板を配置すると共に前記フローチャネルを覆う遮熱用カバーを用いて、前記ヒータを用いて加熱しながらプロセスガスを流して前記フローチャネルのベーキングを行うベーキング工程と
を備え、
前記成長工程及び前記ベーキング工程のいずれか一方を行った後に、前記成長工程及び前記ベーキング工程のいずれか他方を行う、ことを特徴とする方法。 - 前記ベーキング工程において前記ヒータに設定されたベーキング温度は、前記成長工程において前記ヒータに設定された成長温度の最大温度より高い、ことを特徴とする請求項1に記載された方法。
- 前記ベーキング工程では、プロセスガスを流しており、前記プロセスガスは水素及び窒素を含む、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された方法。
- 前記ベーキング工程に先立って、前記サセプタを覆うように前記遮熱用カバーを位置合わせして配置する配置工程と、
前記成長工程に先立って、前記遮熱用カバーを取り外して成長炉の外に保管する取外工程と、
前記成長工程、前記配置工程、前記取外工程及び前記ベーキング工程を繰り返す工程を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された方法。 - 前記遮熱用カバーは、カーボン、高融点金属、セラミックスの少なくともいずれかから形成される、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された方法。
- 前記遮熱用カバーはカーボンを母材とする材料からなる、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された方法。
- 前記遮熱用カバーは、タングステン、ニッケルおよびモリブデンの少なくともいずれかを母材とする材料からなる、ことを特徴とする請求項5に記載された方法。
- 前記遮熱用カバーは、窒化ホウ素を母材とする材料からなる、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された方法。
- 前記遮熱用カバーは、前記フローチャネル及び前記サセプタに面する第1の面と、前記第1の面とに反対側の第2の面とを有しており、
前記第1の面の色は黒である、ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された方法。 - 前記半導体積層は活性層を含む、ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載された方法。
- 前記基板はサファイア基板である、ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載された方法。
- 前記基板はIII族窒化物基板である、ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載された方法。
- 窒化ガリウム系半導体光素子のためのエピタキシャル成長を行う成長炉においてベーキングを行う方法であって、
成長炉のフローチャネルに設けられヒータを含むサセプタ上にダミー基板を配置すると共に前記フローチャネル及び前記ダミー基板を遮熱用カバーで覆う工程と、
プロセスガスを流しながら前記ヒータを用いて前記遮熱用カバー及び前記フローチャネルを加熱して、前記フローチャネルのベーキングを行うベーキング工程と
を備える、ことを特徴とする方法。
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- 2007-11-06 JP JP2007289013A patent/JP2009117618A/ja active Pending
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