JP2013127091A - 顆粒状蒸着材及び蒸着膜の成膜方法並びに該蒸着材を用いて成膜された蒸着膜 - Google Patents

顆粒状蒸着材及び蒸着膜の成膜方法並びに該蒸着材を用いて成膜された蒸着膜 Download PDF

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Abstract

【課題】真空蒸着法で酸化物薄膜を高成膜レートかつ低スプラッシュで成膜するための顆粒状蒸着材及び蒸着膜の成膜方法並びに該蒸着材を用いて成膜された蒸着膜を提供する。
【解決手段】本発明の顆粒状蒸着材は純度が98%以上100%未満のWO3-x原料粉末(但し、0≦x≦1である。)を造粒処理して形成された平均粒径1〜10mmの顆粒体からなることを特徴とする。また、本発明の蒸着膜の成膜方法は、上記顆粒状蒸着材を用いて、抵抗加熱法、電子ビーム蒸着法又は反応性プラズマ蒸着法により成膜を行うことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、真空蒸着法で蒸着膜を高成膜レートかつ低スプラッシュで成膜するための顆粒状蒸着材及び蒸着膜の成膜方法並びに該蒸着材を用いて成膜された蒸着膜に関する。特に、本発明は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は太陽電池等の電子機器、或いは食品、薬品等の包装材料等において、高い水蒸気バリア性を備える蒸着膜を形成するための顆粒状蒸着材及び蒸着膜の成膜方法並びに該蒸着材を用いて成膜された蒸着膜に関するものである。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は太陽電池等の機器は、一般に湿気に弱く、吸湿によって急速にその特性を劣化させるため、高防湿性、即ち酸素や水蒸気等の透過又は侵入を防止するガスバリア性を有する部品を装備することが不可欠である。
例えば、太陽電池の例では、太陽電池モジュールの受光面とは反対側の裏面にバックシートが設けられている。このバックシートは、基材に、蒸着材等を用いて成膜された高防湿性を有する水蒸気バリア膜と、それらを保護する部材等から構成されたものが代表的なものである。また、上記太陽電池等の機器の他に、食品や薬品等の包装材料等でも高い水蒸気バリア性が求められており、プラスチックの表面に酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミ又はアルミ金属箔等を蒸着させて成膜した水蒸気バリア膜を備える包装材料等が一般的に広く知られている。
このような水蒸気バリア性を有する膜は、電子ビーム蒸着法(Electron Beam Evaporation Method 以下、EB法という)などの真空蒸着法により形成するのが一般的である。蒸着材の形状について様々な形状が研究、開発されている。
例えば、特許文献1〜3では、成膜装置への供給がシューターを通じて行われる成膜材料であって、その形状が、主面が楕円形状で、厚みを有する楕円柱形状であるか、直径と厚みとの比が0.5以上の円柱形状であるか、或いは六面体形状の成膜材料とその他の形状の成膜材料とが混合されて構成された、多結晶MgOの焼結体ペレットである成膜材料がそれぞれ開示されている。上記特許文献1〜3に示された成膜材料では、成膜装置への供給が材料供給路(シューター)を通じて行われる際のシューターにおける詰まりを防止するために、ペレットの形状に着目していることから、ペレットの大きさについては言及していない。
また、EB法にて蒸着しても、スプラッシュを発生させずに高速でかつ均一に成膜するためにペレットが球状に形成され、結晶粒径が1〜500μmである多結晶MgO蒸着材(例えば、特許文献4参照。)、金属酸化物の多孔質焼結体からなり、この焼結体が0.2以上3.0%未満の気孔率を有する蒸着材(例えば、特許文献5参照。)がそれぞれ開示されている。
上記特許文献4に示された多結晶MgO蒸着材は、平均粒径が0.1〜3μmのMgO粉末を転動造粒機の回転皿に入れた後にバインダを含む有機溶媒を噴霧することによりMgO粉末を造粒して球状の成形体を成形し、回転皿に更にMgO粉末を入れかつバインダを含む有機溶媒を噴霧する作業を繰り返して球状の成形体を所定の大きさに成長させるか、或いは、平均粒径が0.1〜3μmのMgO粉末とバインダとを混練して解砕し、解砕したバインダを含むMgO粉末を転動造粒機の回転皿に入れた後に有機溶媒を噴霧することによりMgO粉末を造粒して球状の成形体を成形し、回転皿に更にバインダを含むMgO粉末を入れかつ有機溶媒を噴霧する作業を繰返すことにより球状の成形体を所定の大きさに成長させ、成長した成形体を所定の温度で焼結することにより製造される。
また、上記特許文献5に示された蒸着材は、平均粒径が0.1〜10μmである金属酸化物粉末とバインダと有機溶媒とを減圧下において混合して金属酸化物粉末の濃度が45〜75質量%のスラリーを調製し、このスラリーを減圧下において噴霧乾燥して平均粒径が50〜300μmの多孔質造粒粉末とし、多孔質造粒粉末を減圧下において成形して多孔質成形体とし、多孔質成形体を所定の温度で焼結して金属酸化物の多孔質焼結体とすることにより製造される。
特開2010−037608号公報(請求項1,2、図4) 特開2010−037609号公報(請求項1,2、図4) 特開2010−037610号公報(請求項1,2、図4) 特開平11−29355号公報(請求項1,2,4,5、段落[0025]、図1,2) 特開2008−255480号公報(請求項1,3、段落[0011])
しかし、上記従来の特許文献1〜3に示された成膜材料では、成型時にプレス加工を要するため、時間やコストが掛かり、また、成型時のプレス加工の際に、使用する金型や治具から不純物が混入する可能性があった。また、上記従来の特許文献4に示された球状形成体では、球状成形体を希望する大きさまで成長させるとき、原料粉末とバインダの双方を同時に投入しなければならず、パラメータが2つあるため調整が困難であった。更に、上記従来の特許文献5に示された多孔質焼結体では、減圧下において原料粉末となる酸化物粉末、バインダ及び有機溶媒を混合してスラリーを調製し、更にそれを噴霧乾燥させる工程が必要なため、製造に手間や時間が掛かり、結果として生産コストが増大していた。
本発明の目的は、低コストで生産することができ、真空蒸着法で蒸着膜を高成膜レートかつ低スプラッシュで成膜することが可能な顆粒状蒸着材及び蒸着膜の成膜方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、高い水蒸気バリア性を備えた蒸着膜を形成するのに好適な顆粒状蒸着材及び蒸着膜の成膜方法並びに該蒸着材を用いて成膜された蒸着膜を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、高い水蒸気バリア性を備えた蒸着膜を、低エネルギーで、かつ高速で成膜することができる顆粒状蒸着材及び蒸着膜の成膜方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、純度が98%以上100%未満のWO3-x原料粉末(但し、0≦x≦1である。)を造粒処理して形成された平均粒径1〜10mmの顆粒体からなる顆粒状蒸着材である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく顆粒状蒸着材を用いて、抵抗加熱法、EB法又は反応性プラズマ蒸着法(Reactive Plasma Deposition Method 以下、RPD法という)により成膜を行う蒸着膜の成膜方法である。
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく顆粒状蒸着材を用いて、真空成膜法により形成された蒸着膜である。
本発明の第1の観点は、純度が98%以上100%未満のWO3-x原料粉末(但し、0≦x≦1である。)を造粒処理して形成された平均粒径1〜10mmの顆粒体からなる顆粒状蒸着材である。これにより、高い水蒸気バリア性を備える蒸着膜を形成することができる。また、蒸着材の原料粉末であるWO3-xは高蒸気圧材料であるため、上記高品質の蒸着膜を、低エネルギーで、かつ高速で成膜することができる。
本発明の第2の観点は、本発明の顆粒状蒸着材を用いて、抵抗加熱法、EB法又は反応性プラズマ法により成膜を行う蒸着膜の成膜方法である。本発明の成膜方法では、上記本発明の顆粒状蒸着材を用いて蒸着膜の成膜を行うため、高い水蒸気バリア性を備える蒸着膜を、低エネルギーで、かつ高速で成膜することができる。そのため、成膜方法を限定せずに、上記のいずれの方法によっても高品質の蒸着膜を成膜することができる。
本発明の第3の観点は、本発明の顆粒状蒸着材を用いて、真空成膜法により形成された蒸着膜である。本発明の蒸着膜は、上記本発明の顆粒状蒸着材を用いて成膜された、高い水蒸気バリア性を備える高品質の蒸着膜であるため、例えば食品包装材や太陽電池バックシートなどにも好適に用いることができる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の顆粒状蒸着材は、純度が98%以上100%未満のWO3-x原料粉末(但し、0≦x≦1である。)を造粒処理することにより形成された、平均粒径1〜10mmの顆粒体からなる顆粒状蒸着材である。蒸着材の形状を上記平均粒径の範囲内の顆粒状とすることで、真空成膜法で蒸着膜を高成膜レートかつ低スプラッシュで成膜することが可能となる。なお、顆粒状蒸着材の平均粒径が1mm未満であると、この顆粒状蒸着材を用いて蒸着膜を形成する際に、スプラッシュが発生してしまう不具合を生じる。また、平均粒径が10mmを越えると均一径の顆粒を作製することが困難になり、また、成膜レートが上がらない不具合を生じる。このうち、平均粒径が2〜5mmの範囲内の顆粒体が特に好ましい。
本発明の顆粒状蒸着材の製造に使用される原料粉末は、WO3-x粉末(但し、0≦x≦1である。)である。xが0未満であると酸素量が多く、バリア性が劣化する。またxが1を越えるとバリア性が劣化する。WO3-xは高蒸気圧材料である。高蒸気圧材料は、ある一定の温度にした場合に、非常に高い蒸気圧を示す材料である。このため、蒸着材の材料に用いられる酸化物として、高蒸気圧材料を用いることで、真空成膜法等により基材に水蒸気バリア膜を成膜する際、低蒸気圧材料を用いた蒸着材に比べ、低エネルギーで、かつ高速で行うことができる。なお、本明細書において、高蒸気圧材料とは、1200℃において1×10-1Pa以上の蒸気圧を示すものをいい、1200℃において1×10-1Pa未満の蒸気圧を示すものを低常気圧材料という。
また、本発明において、WO3-x原料粉末の純度を98%以上100%未満とする理由は、純度が98%未満では不純物により結晶性が悪化し、結果的にバリア特性が低下する理由からであり、一方、純度100%とするのは現実的に不可能だからである。このうち、99.5%以上100%未満であることが好ましい。なお、WO3-x原料粉末の純度は、それぞれ、蒸着材形成前の粉末時点で測定した値で表したものである。また、粉末の純度とは、分光分析法(誘導結合プラズマ発光分析装置:日本ジャーレルアッシュ製 ICAP−88)によって測定したものである。
原料粉末の平均粒径は0.1〜10μmの範囲内が造粒処理をする際の取扱い性が容易であることから好適である。平均粒径が0.1μm未満であるとペースト状になってしまい、また平均粒径が10μmを越えるとざらついてしまうためである。
なお、本明細書中、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)に従い、日機装社製(FRA型)を用い、分散剤としてヘキサメタりん酸Naを使用し、1回の測定時間を30秒として3回測定した値を平均化したものである。
以上により、本発明の顆粒状蒸着材では、高い水蒸気バリア性を備える蒸着膜を高成膜レートでかつ低スプラッシュで形成することができる。具体的には、水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate:WVTR)が1.0g/m2・day未満の非常に高い水蒸気バリア性を備える。そのため、本発明の蒸着膜は、例えば太陽電池バックシートや有機ELを構成する防湿膜や、食品、薬品等の包装材料等のガスバリア材として好適に利用できる。
また、本発明の顆粒状蒸着材は、上述のように、材料に用いられる酸化物として、高蒸気圧材料を用いているため、基材に蒸着膜を成膜する際に、成膜装置が限定されることなく、低エネルギーで、かつ高速で行うことができる。そのため、いずれの真空成膜法によっても、高品質の水蒸気バリアを有する蒸着膜を成膜することができるが、具体的には、EB法、抵抗加熱法又はRPD法等が挙げられる。
更に、本発明の顆粒状蒸着材は、真空蒸着法(抵抗加熱法、EB法、反応性プラズマ法など)により蒸着膜を形成する際、同じ原料組成からなるペレット成型体からなる蒸着材と比較して高い成膜レートの成膜が可能であり、また成膜時のスプラッシュも比較的生じ難い。また、本発明の顆粒状蒸着材は、同じ原料組成からなる球状形成体や多孔質焼結体に比べて、製造し易い。
続いて、本発明の顆粒状蒸着材の製造方法を説明する。
先ず、原料粉末とバインダ液をそれぞれ用意する。原料粉末は純度が98%以上100%未満のWO3-x粉末(但し、0≦x≦1である。)である。セラミックス原料のスラリーや造粒粉に含有されるバインダ樹脂としては、従来、ポリビニルブチラール樹脂等のブチラール系樹脂やエチルセルロース等のセルロース系樹脂が一般に用いられてきた。本発明の顆粒状蒸着材の製造においても上記バインダ樹脂を使用する。これらのバインダ樹脂はアセトン等の汎用溶剤に可溶である。バインダ液は、ブチラール:アセトン:エタノールが重量比で2.5:12.5:85の割合で混合されたものが好適である。バインダであるブチラールを汎用溶剤のアセトンで溶解し、エタノールを加えることによりバインダ液の液量を調整している。
上記例示ではエタノールを液量調整及び顆粒サイズ調整に用いているがここで使用する溶媒を表面張力及び蒸気圧で定義すると、表面張力が15〜50mN/mの範囲内、25℃における蒸気圧が25〜250mmHgの範囲内の材料が好適である。溶媒の表面張力を上記範囲内としたのは、15mN/m未満であると原料粉末が凝集せず、顆粒を形成するのが困難となるためである。また50mN/mを越えると凝集力が強いので顆粒サイズの制御が困難となるためである。各物質の表面張力を例示すると、水が72mN/m、ベンゼンが28.9mN/m、アセトンが23.3mN/m、メタノールが22.6mN/m、エタノールが22.55mN/mである。また、溶媒の蒸気圧を上記範囲内としたのは、25mmHg未満であると造粒後の乾燥過程に多くの時間を要してしまい、250mmHgを越えると造粒作業中に蒸発してしまうことから、顆粒を形成するのが困難となるためである。各物質の蒸気圧を例示すると、水が23.8mmHg、アセトンが231.06mmHg、エタノールが59.0mmHgである。
次いで、原料粉末とバインダ液とを回転羽根式小型造粒機に投入し、所望の回転速度で一定時間撹拌することにより、顆粒の粒径を所望の大きさにまで造粒する。バインダ液の投入量は原料粉末の投入量を100質量%としたとき、5〜50質量%が好ましく、20質量%が特に好ましい。バインダ液の投入量が下限値未満であるとバインダの絶対量が少なすぎて均一に分散せずに原料粉が粒状に形成されないという不具合が、バインダ液の投入量が上限値を越えると混合原料の粘度が高すぎて粒径の制御が困難になるという不具合が生じる。ここでバインダ液は複数回に分けて投入することが均一分散のために好ましい。回転速度は500〜1500rpmが好ましく、750rpmが特に好ましい。また、1回の撹拌保持時間は30秒程度である。この時点で造粒した顆粒の粒径が所望の大きさであれば、そのまま焼成工程に進む。もし、顆粒の粒径が所望の大きさよりも小さい場合には、羽根の回転速度を低くし、エタノールを少量ずつ入れながら撹拌することで粒を成長させる。また、顆粒の粒径が所望の大きさよりも大きい場合には、羽根の回転速度を上げて2〜5秒間撹拌することで粒を小さくする。
焼成工程では、先ず、室温〜70℃まで1時間で昇温し、70℃を1時間保持してバインダ液中の有機溶媒を除去する。次に、600℃まで50℃/hrで昇温し、600℃を2時間保持してバインダ液中のバインダを除去する。最後に、焼結温度(1000〜1500℃)まで100℃/hrで昇温し、5時間保持して焼結する。その後、500℃まで100℃/hrで降温してから炉中で自然冷却させる。
本発明の顆粒状蒸着材の製造方法では、原料粉末を撹拌して造粒する際、バインダ液のみを投入し、所望の粒径の顆粒を造粒する。このように、パラメータが一つのみなので、顆粒サイズの調整が容易である。また万が一、顆粒の粒径を大きくし過ぎたとしても、乾燥及び粉砕をして、エタノールのみで調整することで容易に造粒し直すことが可能である。特に本発明の顆粒状蒸着材は、高圧をかけて成型するペレットと異なり、焼成前に圧力を加えずに成形して作られる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、原料粉末として平均粒径が1.2μm、純度が99.7%の高純度WO3粉末を、バインダとしてポリビニルブチラールを、有機溶媒としてアセトン及びエタノールを用意し、ポリビニルブチラールとアセトンとエタノールとを質量比で2.5:12.5:85の割合となるように混合してバインダ液を調製した。
次に、原料粉末100gを回転羽根式小型造粒機(KAWATA社;SUPER MIXER PICCOLO)のボウル内に入れ、上記調製したバインダ液を8g、8g、4gと3回に分けて合計20g投入し、バインダ液の投入の都度、750rpmの回転速度で30秒間撹拌することにより、造粒して、平均粒径が1mmの顆粒とした。
次に、焼成工程として、有機溶媒を除去するために、室温から70℃まで1時間で昇温し、70℃で1時間保持し、バインダを除去するために、600℃まで50℃/hrで昇温し、600℃で2時間保持し、焼結温度(1000〜1500℃)まで100℃/hrで昇温し、焼結温度で5時間保持した。焼結後は、500℃まで100℃/hrで降温してから炉中で自然冷却させた。これにより、平均粒径が1mmの顆粒状蒸着材を得た。
上記得られた顆粒状蒸着材を用いて、EB法により、ガラス基板上に膜厚が100nmの蒸着膜を成膜した。
<実施例2,3>
蒸着材の平均粒径を5mm、10mmとしたこと以外は、実施例1と同様に、顆粒状蒸着材を形成し、蒸着膜を成膜した。
<実施例4〜6>
原料粉末として平均粒径が1.2μm、純度が99.7%の高純度WO2.5粉末を使用したこと以外は、実施例1〜3と同様に、顆粒状蒸着材を形成し、蒸着膜を成膜した。
<実施例7〜9>
原料粉末として平均粒径が1.2μm、純度が99.7%の高純度WO2.0粉末を使用したこと以外は、実施例1〜3と同様に、顆粒状蒸着材を形成し、蒸着膜を成膜した。
<実施例10,11>
以下の表1に示すように、蒸着膜の成膜を、それぞれ抵抗加熱法、RPD法により成膜したこと以外は、実施例2と同様に、顆粒状蒸着材を形成し、蒸着膜を成膜した。
<比較例1,2>
蒸着材の平均粒径を0.5mm、15mmとしたこと以外は、実施例1と同様に、顆粒状蒸着材を形成し、蒸着膜を成膜した。
<比較例3>
蒸着材として、純度99.9%のアルミニウム金属(径5mm、高さ5mmの円柱状)を用意し、流量30sccmで酸素を導入しながら抵抗加熱法により、ガラス基板上に膜厚が100nmのAl23からなる蒸着膜を成膜した。
<比較例4>
蒸着材として、粒径が3〜5mm程度の粒状のMgOを用意し、実施例1と同様にEB法によりガラス基板上に膜厚が150nmのMgOからなる蒸着膜を成膜した。
<比較試験及び評価>
実施例1〜11及び比較例1〜4で成膜した蒸着膜について、膜厚及び水蒸気透過率を測定した。その結果を以下の表1に示す。
(1) 蒸着膜の膜厚:触針式表面形状測定器を用いて基板上に成膜した蒸着膜の膜厚を測定した。
(2) 水蒸気透過率:MOCON社製の水蒸気透過率測定装置(型名:PERMATRAN−Wタイプ3/33)を用い、蒸着膜を、温度40℃、相対湿度90%RHに設定した上記水蒸気透過率測定装置内で1時間保持した後、温度40℃、相対湿度90%RHの条件で水蒸気透過率を測定した。
(3) 蒸着材および膜の組成:蒸着材は樹脂に埋め込んで研磨した面を、膜はその表面を電子線マイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)によって評価した。
Figure 2013127091
表1から明らかなように、実施例1〜11では、低スプラッシュ、かつ高成膜レートで高い水蒸気バリア性を有する蒸着膜を形成することができた。一方、顆粒の粒径が小さい比較例1では成膜時にスプラッシュが生じ、顆粒の粒径が大きい比較例2では成膜レートが上がらなかった。また、比較例3のAl23膜、比較例4のMgO膜は、水蒸気バリア性に劣る結果となった。なお、表1中の組成WO3.0-yにおけるyの範囲はEPMAの結果から、0≦y<0.5と見積もられた。
本発明の顆粒状蒸着材は、水蒸気バリア膜、ディスプレイパネル、光学コーティング、光触媒膜など、樹脂やガラス基板上に成膜する際の原料として好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 純度が98%以上100%未満のWO3-x原料粉末(但し、0≦x≦1である。)を造粒処理して形成された平均粒径1〜10mmの顆粒体からなる顆粒状蒸着材。
  2. 請求項1記載の顆粒状蒸着材を用いて、抵抗加熱法、電子ビーム蒸着法又は反応性プラズマ蒸着法により成膜を行う蒸着膜の成膜方法。
  3. 請求項1記載の顆粒状蒸着材を用いて、真空成膜法により形成された蒸着膜。
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