<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態の映像信号処理装置1の構成を示すブロック図である。映像信号処理装置1は、映像信号処理部10、統括制御部11、電源部16および操作部17を備えて構成される。映像信号処理部10は、入力部12、フレームメモリ部13、変換部14および出力部15を備える。映像信号処理部10は、映像信号処理手段に相当する。電源部16は、処理部用電源20を備える。処理部用電源20は、入力部用電源21、変換部用電源22、メモリ部用電源23および出力部用電源24を備える。処理部用電源20は、電力供給手段に相当する。
入力部12は、本実施の形態ではアナログデジタル変換回路(Analog-to-Digital Converter;略称:ADコンバータ)によって実現される。入力部12は、電源部16の入力部用電源21から電力が供給されることによって動作する。入力部12は、映像信号処理装置1の外部から入力されるアナログの映像信号である入力映像信号(以下「IIS」という場合がある)を、対応するデジタルデータに変換するアナログデジタル(略称:A/D)変換処理を行う。
入力部12には、たとえばパーソナルコンピュータ(Personal Computer;略称:パソコン)のビデオカードなどから、アナログの映像信号である入力映像信号(IIS)が入力される。本実施の形態では、入力部12は、入力映像信号(IIS)を、赤色(Red;略称:R)データ、緑色(Green;略称:G)データおよび青色(Blue;略称:B)データで構成されるW−RGBデータに変換して出力する。Rデータ、BデータおよびGデータは、それぞれ8ビットのデジタルデータである。
また入力部12は、前記W−RGBデータに同期した水平同期信号および垂直同期信号を、フレームメモリ部13へのW−RGBデータの書込みタイミングの基準となる書込み用水平同期信号(以下「W−Hsync」という場合がある)および書込み用垂直同期信号(以下「W−Vsync」という場合がある)として出力する。入力部12は、出力したW−RGBデータ、W−HsyncおよびW−Vsyncを変換部14に与える。入力部12は、入力手段に相当する。
フレームメモリ部13は、本実施の形態ではRAM(Random Access Memory)によって実現される。フレームメモリ部13は、電源部16のメモリ部用電源23から電力が供給されることによって動作する。フレームメモリ部13は、入力部12から与えられるW−RGBデータを、1フレーム単位で、少なくとも1フレーム以上を記憶する。フレームメモリ部13は、記憶手段に相当する。
変換部14は、電源部16の変換部用電源22から電力が供給されることによって動作する。変換部14は、種々の解像度および周波数の入力映像信号(IIS)が入力部12に入力されることを想定して設けられている。
変換部14は、フレームメモリ部13にW−RGBデータの書込み(Write)を指示する書込み制御(以下「W制御」という場合がある)信号を与えることによって、フレームメモリ部13へのW−RGBデータの書込み動作を制御する。変換部14は、フレームメモリ部13にW−RGBデータの読出し(Read)を指示する読出し制御(以下「R制御」という場合がある)信号を与えることによって、フレームメモリ部13からのW−RGBデータの読出し動作を制御する。
変換部14は、フレームメモリ部13からのW−RGBデータの読出しタイミングの基準となる読出し用水平同期信号(以下「R−Hsync」という場合がある)と、読出し用垂直同期信号(以下「R−Vsync」という場合がある)とを生成する。変換部14は、入力される映像信号の解像度および周波数に関わらず、常にR−HsyncとR−Vsyncとを生成する。
R−HsyncおよびR−Vsyncは、映像信号処理装置1からの映像信号の出力タイミング、具体的には、後述する出力部15からの映像信号の出力タイミングの基準となる。R−Hsyncは、たとえば74kHzの周期で生成される。R−Vsyncは、たとえば60Hzの周期で生成される。
変換部14は、入力部12から与えられるW−Vsyncを基準にして、前記W−RGBデータを1フレーム単位で、フレームメモリ部13に書込む。書込まれたW−RGBデータは、R−Vsyncを基準にして、1フレーム単位で変換部14によって読出され、フレームレート変換が行われる。フレームレート変換は、映像信号処理装置1の出力周波数になるように行われる。以下では、変換部14とフレームメモリ部13との間で取扱われるW−RGBデータを、「メモリRGBデータ」という場合がある。
フレームレート変換が行われたW−RGBデータは、変換部14によって、映像信号処理装置1の出力解像度に対応するRGBデータ(以下「R−RGBデータ」という場合がある)に変換され、R−VsyncおよびR−Hsyncとともに、出力部15に与えられる。このように変換部14は、フレームメモリ部13から読出したW−RGBデータを、映像信号処理装置1の出力解像度および出力周波数に対応するR−RGBデータに変換して、R−VsyncおよびR−Hsyncとともに、出力部15に与える。
映像信号処理装置1の出力解像度は、具体的には出力部15から出力される映像信号の解像度であり、たとえば「1920×1200」である。映像信号処理装置1の出力周波数は、具体的には出力部15から出力される映像信号の周波数であり、たとえば60Hzである。変換部14は、たとえば、解像度が「1920×1200」であり、周波数が60HzであるR−RGBデータに変換して出力する。
R−RGBデータは、映像信号処理装置1の出力解像度および出力周波数に対応するRデータ、GデータおよびBデータで構成される。Rデータ、GデータおよびBデータは、それぞれ、たとえば8ビットのデジタルデータである。
変換部14は、前述のR−Hsyncとして、前記R−RGBデータに同期した水平同期信号を出力する。また変換部14は、前述のR−Vsyncとして、前記R−RGBデータに同期した垂直同期信号を出力する。
たとえば、入力映像信号(IIS)の解像度が「1024×768」であり、周波数が80Hzである場合、変換部14は、出力周波数が60Hzになるようにフレームレート変換を行った後、解像度が「1920×1200」のR−RGBデータに拡大して出力する。
変換部14が出力する映像データの解像度および出力タイミングは、統括制御部11からの制御指令によって変更可能である。変換部14は、出力したR−RGBデータ、R−HsyncおよびR−Vsyncを出力部15に与える。変換部14は、書込手段および読出手段に相当する。
出力部15は、本実施の形態ではデジタルビジュアルインタフェース(Digital Visual Interface;略称:DVI)トランスミッタによって実現される。DVIは、映像データのインタフェースの規格の1つである。出力部15は、変換部14から与えられる映像データを、予め定める映像フォーマット(以下、単に「フォーマット」という場合がある)の映像信号、たとえばDVI信号に変換して出力する。DVI信号は、DVIに準拠した映像信号である。
出力部15から出力される映像信号である出力映像信号(以下「OIS」という場合がある)は、映像信号処理装置1の外部の装置、たとえば液晶ディスプレイまたはプロジェクタなどの映像表示装置に与えられる。映像表示装置は、出力部15から与えられた出力映像信号が表す映像を表示する。出力部15は、出力手段に相当する。
統括制御部11は、本実施の形態ではマイクロコンピュータ(略称:マイコン)などの処理回路によって実現される。統括制御部11は、映像信号処理装置1を構成する入力部12および変換部14を含むハードウェア資源を統括的に制御する。統括制御部11は、制御手段に相当する。
入力部用電源21は、入力部12の動作に必要な電力を入力部12に供給する。変換部用電源22は、変換部14の動作に必要な電力を変換部14に供給する。メモリ部用電源23は、フレームメモリ部13の動作に必要な電力をフレームメモリ部13に供給する。出力部用電源24は、出力部15の動作に必要な電力を出力部15に供給する。
操作部17は、たとえば映像信号処理装置1の操作パネルに設けられる切換スイッチによって実現される。操作部17は、使用者が数字情報、文字情報および映像信号処理装置1への指示情報などの情報を入力するときに、使用者によって操作される。使用者によって映像信号処理装置1が操作されると、映像信号処理装置1は、使用者の操作に応じた情報を表す制御信号(以下「CS」という場合がある)を生成して、統括制御部11に与える。したがって映像信号処理装置1の使用者は、操作部17を操作することによって、その操作に応じた情報を統括制御部11に与えることができる。
映像信号処理装置1は、動作モードを切換え可能に構成される。動作モードは、通常モードと省電力モードとを含む。通常モードは、映像信号処理部10を構成する入力部12、フレームメモリ部13、変換部14および出力部15の全てが動作する動作モードである。省電力モードは、映像信号処理部10を構成する入力部12、フレームメモリ部13、変換部14および出力部15のいずれかの動作が停止され、残りが動作する動作モードである。本実施の形態では、省電力モードにおいて、入力部12の動作、および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作が停止される。
操作部17は、たとえば映像信号処理装置1の動作モードである通常モードおよび省電力モードのいずれか一方のモードに切換える制御信号(CS)を統括制御部11に与える。統括制御部11は、操作部17から与えられる制御信号に従って、通常モードまたは省電力モードで動作するように、映像信号処理部10および電源部20を制御する。
たとえば、映像信号処理装置1の動作モードが通常モードであるときに、使用者によって操作部17が操作され、省電力モードに切換える指示が入力されると、動作モードを通常モードから省電力モードに切換える切換指令を表す制御信号(以下「切換制御信号」という場合がある)が操作部17から統括制御部11に与えられる。統括制御部11は、操作部17から与えられる切換制御信号に基づいて、動作モードを通常モードから省電力モードに切換えて、省電力モードになるように映像信号処理部10の動作を制御する。具体的には、統括制御部11は、入力部12の動作、および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作を停止するように、入力部12および変換部14を制御する。
図2および図3は、本発明の第1の実施の形態の映像信号処理装置1において、通常モードの場合に、入力映像信号(IIS)が入力されてから出力映像信号(OIS)が出力されるまでの入力部12およびフレームメモリ部13の動作状態および信号の状態を示す図である。図2および図3では、周波数、およびフレームメモリ部13に書込まれた時点から読出されるまでの遅延量などは、理解を容易にするために図示を省略している。
図2および図3では、理解を容易にするために、フレーム番号「n−1」、「n」および「n+1」のIISが入力される期間を重複して記載しているが、実際には、IISは、フレーム番号「0」、「1」、「2」、…、「n−2」、「n−1」、「n」、「n+1」、「n+2」、…、「m−2」、…の順に入力される。ここで、nおよびmは、0以上の整数である。
入力部12は、常に動作状態である。入力部12は、外部から入力されるアナログ映像信号である入力映像信号(IIS)をデジタルデータに変換し、得られたW−RGBデータおよびW−Vsyncを変換部14に与える。図2および図3では図示を省略しているが、入力部12は、W−RGBデータおよびW−Vsyncとともに、W−Hsyncを常に変換部14に与えている。
変換部14は、入力部12から与えられたW−RGBデータのフレームメモリ部13への書込み動作と、W−RGBデータのフレームメモリ部13からの読出し動作とを常に行う。したがって、フレームメモリ部13の書込み状態および読出し状態は、動作状態である。
変換部14は、R−Vsyncを生成し、生成したR−Vsyncを基準として、フレームメモリ部13からR−RGBデータを読出す。変換部14は、読出したR−RGBデータと、生成したR−Vsyncとを出力部15に与える。図2および図3では図示を省略しているが、変換部14は、R−RGBデータおよびR−Vsyncとともに、R−Hsyncを常に出力部15に与えている。
図1に戻って、省電力モード時の動作について説明する。映像信号処理装置1に入力される入力映像信号(IIS)が、たとえば広告などの静止画像を表す映像信号である場合は、たとえば使用者が操作部17を操作することによって、映像信号処理装置1の動作モードを通常モードから省電力モードに切換える指示を表す切換制御信号が統括制御部11に与えられる。統括制御部11は、切換制御信号に基づいて、入力部12の動作を停止させる。
入力部12は、統括制御部11から、省電力モードを解除して通常モードに戻る指示を表す省電力解除信号が与えられない限り、動作を停止する。具体的には、入力部12は、入力映像信号(IIS)に対するA/D変換処理動作、およびA/D変換処理後のデータの変換部14への出力動作を停止する。したがって、省電力モード時の入力部12の消費電力は、ほぼゼロとなる。
また省電力モード時において、統括制御部11は、変換部14によるW−RGBデータのフレームメモリ部13への書込み動作を停止させる。この場合、統括制御部11は、省電力モードに切換える切換制御信号を受信する直前にフレームメモリ部13に書込まれたW−RGBデータを、R−Vsync毎に1フレーム単位で繰返しフレームメモリ部13から読出すように、変換部14を制御する。
図4および図5は、本発明の第1の実施の形態の映像信号処理装置1において、通常モードから省電力モードに切換えられる場合に、入力映像信号(IIS)が入力されてから出力映像信号(OIS)が出力されるまでの入力部12およびフレームメモリ部13の動作状態および信号の状態を示す図である。図4および図5では、周波数、およびフレームメモリ部13に書込まれた時点から読出されるまでの遅延量などは、理解を容易にするために、図示を省略している。図4および図5では、理解を容易にするために、フレーム番号「n−1」、「n」および「n+1」のIISが入力される期間を重複して記載しているが、実際には、IISは、フレーム番号「0」、「1」、「2」、…、「n−2」、「n−1」、「n」、「n+1」、「n+2」、…、「m−2」、…の順に入力される。ここで、nおよびmは、それぞれ、0以上の整数である。
通常モード(以下「NM」という場合がある)においては、入力部12の動作、および変換部14によるフレームメモリ部13へのW−RGBデータの書込み動作が行われている。
たとえば、時刻t1において、使用者の操作によって、省電力モード(以下「PSM」という場合がある)に切換える切換制御信号が統括制御部11に与えられると、統括制御部11は、入力部12の動作、および変換部14によるフレームメモリ部13へのW−RGBデータの書込み動作を停止させる。したがって、時刻t1以降、すなわちフレーム番号「3」のIISが入力される時刻以降では、入力部12の動作、および変換部14によるフレームメモリ部13へのW−RGBデータの書込み動作は、ともに停止状態となる。
省電力モードでは、統括制御部11は、省電力モードに切換える切換制御信号を受信する直前にフレームメモリ部13に書込まれたW−RGBデータを、R−Vsync毎に1フレーム単位で繰返しフレームメモリ部13から読出すように、変換部14を制御する。図4および図5に示す例では、フレーム番号「2」の映像データであるW−RGBデータが、フレーム単位で常に読出され、OISとして出力される。したがって、出力部15から映像信号が与えられる映像表示装置では、フレーム番号「2」の映像信号が表す映像が、常に表示されることとなるので、使用者は、違和感なく、映像表示装置に表示される映像を見ることができる。
以上のように制御することによって、入力部12の動作は停止される。これによって、電源部16の入力部用電源21から入力部12に供給される電力を大幅に低減することができる。
また省電力モードでは、変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作は停止される。これによって、メモリ部用電源23からフレームメモリ部13に供給される電力、および変換部用電源22から変換部14に供給される電力を、大幅に低減することができる。
このように、電源部16から映像信号処理部10に供給する電力を大幅に低減することができるので、映像信号処理装置1全体が消費する電力を低減することができる。
以上のように本実施の形態の映像信号処理装置1によれば、たとえば、静止画像など、頻繁に表示内容を更新する必要がない映像を表す映像信号が入力される場合には、通常モードから省電力モードに切換えられる。省電力モードでは、入力部12の動作、および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作が停止される。これによって、映像信号処理装置1で無駄に消費される電力を低減することができる。したがって、映像信号処理装置1の消費電力を可及的に抑制することができる。
また省電力モードでは、省電力モードに切換えられる直前にフレームメモリ部13に書込まれた映像データが読出され、出力部15から、たとえば映像表示装置に出力される。したがって、使用者にとって違和感がない映像を映像表示装置に表示させることができる。
以上に述べた本実施の形態では、入力映像信号(IIS)として、RGBのアナログ映像信号が入力される場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、IISとして、輝度信号Yと色差信号Cb,CrとからなるYCbCr信号、DVI信号、またはSERDES(Serializer Desirializer)信号などの高速シリアル信号が入力される場合に適用してもよい。この場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態では、入力部12は、ADコンバータによって実現されるが、これに限定されない。入力部12は、入力される映像信号の種類に合わせたデバイスであり、かつ統括制御部11からの制御指令に従って、動作状態から停止状態への切換え動作を容易に行うことができるものであればよい。たとえば、入力部12は、DVIレシーバによって実現されてもよい。
また本実施の形態では、映像信号処理装置1の出力解像度が「1920×1200」であり、出力タイミングを表す出力周波数が60Hzである場合について説明したが、他の解像度および出力タイミングでもよい。
また本実施の形態では、出力部12からDVI信号に変換して出力する一例について説明したが、出力部12は、他の映像フォーマットの映像信号、たとえばアナログ映像信号、YCbCr信号、またはSERDES信号などを出力してもよい。この場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態では、入力映像信号(IIS)が、静止画像を表す映像信号である場合について説明したが、入力映像信号(IIS)は、これに限定されるものではない。映像信号処理装置1の使用環境および用途によっては、動画など、映像表示装置の表示内容を頻繁に更新する必要がある映像の映像信号が入力映像信号(IIS)として入力される場合でも、消費電力を低減することができる。
また本実施の形態では、通常モードから省電力モードへの切換え動作を、映像信号処理装置1に設けられた切換スイッチなどで行う場合の一例について説明したが、これに限定されない。たとえば、リモートコントローラ(以下「リモコン」という場合がある)またはパソコンなどの外部制御機器を用いて、通常モードから省電力モードへの切換え動作を行う場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態の映像信号処理装置について説明する。本実施の形態の映像信号処理装置は、前述の第1の実施の形態の映像信号処理装置1と構成が同一であるので、対応する部分には同一の参照符号を付して、共通する説明および図示を省略する。
前述の第1の実施の形態の映像信号処理装置1では、省電力モード時には、フレームメモリ部13から、同じ映像信号をR−Vsync毎に、1フレーム単位で繰返し読出すように構成されている。これに対し、本実施の形態の映像信号処理装置では、第1の実施の形態と同様のハードウェア構成で、統括制御部11を予め次のようにプログラミングしておく。これによって、第1の実施の形態に比べて、さらに利便性を向上させることができる。
図6および図7は、本発明の第2の実施の形態の映像信号処理装置1において、通常モードから省電力モードに切換えられる場合に、入力映像信号(IIS)が入力されてから出力映像信号(OIS)が出力されるまでの入力部12およびフレームメモリ部13の動作状態および信号の状態を示す図である。図6および図7では、周波数、およびフレームメモリ部13に書込まれた時点から、読出されるまでの遅延量などは、理解を容易にするために、図示を省略している。図6および図7では、理解を容易にするために、フレーム番号「n−1」、「n」および「n+1」のIISが入力される期間を重複して記載しているが、実際には、IISは、フレーム番号「0」、「1」、「2」、…、「n−2」、「n−1」、「n」、「n+1」、「n+2」、…、「m−2」、…の順に入力される。ここで、nおよびmは、それぞれ、0以上の整数である。
本実施の形態では、統括制御部11は、図6および図7に示すように、省電力モード(PSM)において、予め定めるサイクル(以下「更新間隔」という場合がある)T毎、たとえば10分おきなどに、入力部12の状態が「停止」、「動作」、「停止」と変化するように制御する。統括制御部11は、変換部14の書込み動作についても、入力部12と連動して、「停止」、「動作」、「動作」と変化するように制御する。
このように制御することによって、入力映像信号(IIS)から生成される映像データであるW−RGBデータが、更新間隔T毎、たとえば10分おきにフレームメモリ部13に書込まれ、R−Vsync毎に、1フレーム単位で繰返し読出されることになる。これによって、一定期間T毎に、映像表示装置に出力される出力映像信号(OIS)を更新して、映像表示装置に表示される映像を更新することができる。
たとえば、省電力モード(PSM)に切換えられた時刻t1から更新間隔Tが経過した時刻t2、および時刻t2から更新間隔Tが経過した時刻t3において、出力映像信号(OIS)を更新して、映像表示装置に表示される映像を更新することができる。
以上のように本実施の形態では、省電力モード時において、フレームメモリ部13への映像データであるW−RGBデータの書込み動作が定期的に行われるので、映像表示装置に出力される出力映像信号(OIS)が定期的に更新される。これによって、フレームメモリ部13への書込み動作が常に行われる状態に比べて、消費電力を低減しつつ、映像表示装置に表示される映像を定期的に更新することができる。したがって、前述の第1の実施の形態に比べて、さらに利便性が向上された映像信号処理装置を実現することができる。
本実施の形態は、入力映像信号(IIS)が動画を表す場合などのように、映像表示装置の表示内容を頻繁に更新する必要がある場合に特に効果的である。たとえば、更新間隔Tを1秒にする、すなわち1秒毎に更新するように構成することによって、映像表示装置の表示内容を更新させながら、映像信号処理装置の消費電力を低減することができる。
以上に述べた本実施の形態では、一定期間の更新を、予めプログラミングされた統括制御部11の制御によって行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、パソコンなどで構成される操作部17によって、更新命令を繰返し入力するような構成にしてもよい。この場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態では、更新間隔Tが10分間の場合を一例として説明したが、これに限定されるものではなく、任意の間隔で、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、夜間など、使用者があまり映像を見ることがないような時間帯は、更新間隔Tを長くし、昼間など、使用者が映像を頻繁に見るような時間帯は、通常モードにするか、または更新間隔Tを短くするなど、映像信号処理装置1の使用環境および用途に応じて、適宜組み合わせて使用することも可能である。
<第3の実施の形態>
図8は、本発明の第3の実施の形態の映像信号処理装置2の構成を示すブロック図である。本実施の形態の映像信号処理装置2は、前述の第1および第2の実施の形態の映像信号処理装置1と構成が類似しているので、異なる部分について説明し、対応する部分には同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態では、映像信号処理装置2は、映像信号処理部10、統括制御部11、操作部17、電源部30、ファン32およびファン速度制御部33を備えて構成される。映像信号処理部10は、前述の第1および第2の実施の形態の映像信号処理装置1における映像信号処理部10と同一の構成である。図8では図示を省略するが、映像信号処理部10は、前述の図1に示す入力部12、フレームメモリ部13、変換部14および出力部15を備える。映像信号処理部10における入力部12、フレームメモリ部13、変換部14および出力部15の各処理は、前述の第1および第2の実施の形態と同様の処理である。
電源部30は、処理部用電源20およびファン用電源31を備える。処理部用電源20は、前述の第1および第2の実施の形態の映像信号処理装置1における電源部16の処理部用電源20と同一の構成である。図8では図示を省略するが、処理部用電源20は、前述の図1に示す入力部用電源21、変換部用電源22、メモリ部用電源23および出力部用電源24を備える。
ファン用電源31は、ファン速度制御部33の動作に必要な電力をファン速度制御部33に供給する。ファン用電源31は、電力供給手段に相当する。ファン32は、映像信号処理部10に風を送ることによって、映像信号処理部10を冷却する。ファン32は、冷却手段に相当する。ファン速度制御部33は、ファン用電源31から電力が供給されることによって動作する。ファン速度制御部33は、ファン32の回転動作に必要な電力をファン32に供給し、電圧を変化させることによって、ファン32の回転速度を制御する。
本実施の形態においても、前述の第1および第2の実施の形態と同様に、操作部17が操作されることによって、統括制御部11に、通常モードから省電力モードに切換える指示を表す制御信号(CS)である切換制御信号が与えられる。統括制御部11は、切換制御信号に基づいて、映像信号処理部10を通常モードから省電力モードに切換える。
このようにして映像信号処理部10が省電力モードに切換えられると、入力部12の動作が停止されるとともに、変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作が停止される。これによって、映像信号処理部10の発熱量は、通常モードのときと比較して少なくなるので、映像信号処理部10を冷却するためのファン32からの風量を、通常モードのときよりも少なくすることができる。
したがって、統括制御部11は、ファン32の回転速度を、通常モードのときよりも低くするように、ファン速度制御部33を制御することができるので、ファン速度制御部33からファン32に供給する電力を低減することができる。
以上のように本実施の形態の映像信号処理装置2によれば、省電力モードでは、入力部12の動作、および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作が停止されるので、映像信号処理部10に供給する電力を低減するとともに、ファン速度制御部33からファン32に供給する電力を低減することができる。したがって、映像信号処理装置2の消費電力を可及的に抑制することができる。また、ファン32の回転速度を低くすることができるので、ファン32に加わる負荷を軽減することができ、ファン32の長寿命化を図ることができる。
本実施の形態では、映像信号処理部10の冷却をファン32による空冷で行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の冷却方法を用いてもよい。他の冷却方法としては、たとえばペルチェ素子を用いて映像信号処理部10を冷却するようにしてもよく、この場合でも、ファン32を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
<第4の実施の形態>
図9は、本発明の第4の実施の形態の映像信号処理装置3の構成を示すブロック図である。本実施の形態の映像信号処理装置3は、前述の第3の実施の形態の映像信号処理装置2と構成が類似しているので、異なる部分について説明し、対応する部分には同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
映像信号処理装置3は、ファン32、ファン速度制御部33、映像信号処理部40、統括制御部50、操作部51および電源部52を備えて構成される。映像信号処理部40は、前述の図1に示す第1の実施の形態の映像信号処理装置1における映像信号処理部10と同一の構成の映像信号処理部10を、複数のチャンネル分、本実施の形態では4つのチャンネル分備える。以下の説明では、4つのチャンネル分の映像信号処理部10を、第1チャンネル(略称:ch)用処理部41、第2ch用処理部42、第3ch用処理部43および第4ch用処理部44という。
すなわち映像信号処理部40は、第1ch用処理部41、第2ch用処理部42、第3ch用処理部43および第4ch用処理部44を備える。第1〜第4ch用処理部41〜44は、それぞれ、前述の第1の実施の形態の映像信号処理装置1における映像信号処理部10と同一の構成であり、前述の図1に示す入力部12、フレームメモリ部13、変換部14および出力部15を備える。以下の説明において、第1〜第4ch用処理部41〜44を区別しないで示す場合には、単に処理部41〜44ということがある。
統括制御部50は、映像信号処理装置3を構成する第1〜第4ch用処理部41〜44およびファン速度制御部33を統括的に制御する。統括制御部50は、映像信号処理部40を構成する複数の処理部、すなわち第1〜第4ch用処理部41〜44をそれぞれ個別に制御することが可能である。
操作部51は、映像信号処理部40を構成する複数の処理部、すなわち第1〜第4ch用処理部41〜44をそれぞれ個別に、通常モードから省電力モードに切換え可能に構成される。
電源部52は、ファン速度制御部用電源31および処理部用電源60を備える。処理部用電源60は、第1処理部用電源61、第2処理部用電源62、第3処理部用電源63および第4処理部用電源64を備える。
第1処理部用電源61は、第1ch用処理部41の動作に必要な電力を第1ch用処理部41に供給する。第2処理部用電源62は、第2ch用処理部42の動作に必要な電力を第2ch用処理部42に供給する。第3処理部用電源63は、第3ch用処理部43の動作に必要な電力を第3ch用処理部43に供給する。第4処理部用電源64は、第4ch用処理部44の動作に必要な電力を第4ch用処理部44に供給する。
第1〜第4処理部用電源61〜64は、それぞれ、前述の第1の実施の形態の映像信号処理装置1における電源部16の処理部用電源20と同一の構成であり、前述の図1に示す入力部用電源21、変換部用電源22、メモリ部用電源23および出力部用電源24を備える。
操作部51は、第1〜第4ch用処理部41〜44の通常モードから省電力モードへの切換え動作を、チャンネル毎に行うことが可能である。この切換え動作に従って、統括制御部50は、第1〜第4ch用処理部41〜44をチャンネル毎に制御することができる。たとえば、以下に示すような組み合わせの制御を実行することができる。
第1〜第3ch用処理部41〜43が通常モードであり、第4ch用処理部44が省電力モードである場合、または第1〜第4ch用処理部41〜44の全てが省電力モードである場合などである。
通常モードのチャンネルが多いほど、動作するデバイスの数は多くなるので、発熱量が増し、映像信号処理装置3内の温度が高くなる。逆に通常モードのチャンネルが少ないほど、映像信号処理装置3内の温度は低くなる。したがって、省電力モードとなる処理部41〜44の数が多いほど、冷却に必要なファン32からの風量を少なくすることができるので、統括制御部50は、ファン32の回転速度を低くするように、ファン速度制御部33を制御する。これによって、ファン速度制御部33からファン32に供給する電力を低減することができる。
以上のように本実施の形態の映像信号処理装置3によれば、入力映像信号(IIS)が表す映像の内容によって、各チャンネルの処理部41〜44の動作モードを通常モードから省電力モードに切換えることができ、かつ映像信号処理装置3内の冷却機能も過剰ではなく必要最小限に抑えることができる。これによって、消費電力を効果的に低減することができる。したがって、映像信号処理装置3の消費電力を可及的に抑制することができる。また、前述の第3の実施の形態と同様に、ファン32の回転速度を低くすることができるので、ファン32に加わる負荷を軽減することができ、ファン32の長寿命化を図ることができる。
以上に述べた本実施の形態では、複数のチャンネルの一例として、4つのチャンネルの場合について説明したが、必ずしも4つのチャンネルである必要はなく、任意のチャンネル数において、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態では、ファン32およびファン速度制御部33は、それぞれ1個設けられているが、複数個ずつ設けられてもよい。
この場合、たとえば、あるファン32のみ回転速度を低くし、残りのファン32の回転速度はそのままにする、というように、映像信号処理装置3内における第1〜第4ch用処理部41〜44の配置に応じて、ファン32の回転速度を制御してもよい。これによって、各処理部41〜44を効果的に冷却することができるので、映像信号処理装置3の動作を安定させつつ、消費電力を低減することができる。
また本実施の形態では、第3の実施の形態と同様に、ファン32による空冷ではなく、他の冷却方法、たとえばペルチェ素子などによる冷却方法を用いてもよい。この場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<第5の実施の形態>
図10は、本発明の第5の実施の形態の映像信号処理装置4の構成を示すブロック図である。本実施の形態の映像信号処理装置4は、前述の第3の実施の形態の映像信号処理装置2と構成が類似しているので、異なる部分について説明し、対応する部分には同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態では、映像信号処理装置4は、ファン32、ファン速度制御部33、入力ボード部70、マトリクススイッチ72、出力ボード部73、統括制御部75、操作部76および電源部77を備えて構成される。
入力ボード部70は、複数の映像入力ボード71を備える。入力ボード部70は、映像入力手段に相当する。以下の説明では、複数の映像入力ボード71を、第1映像入力ボード71、…、第j(jは自然数)映像入力ボード71という。出力ボード部73は、複数の映像出力ボード74を備える。出力ボード部73は、映像出力手段に相当する。以下の説明では、複数の映像出力ボード74を、第1映像出力ボード74、…、第k(kは自然数)映像出力ボード74という。
このように本実施の形態の映像信号処理装置4は、映像入力ボード71および映像出力ボード74をそれぞれ複数枚装着可能に構成されている。
図11は、映像入力ボード71の構成を示すブロック図である。映像入力ボード71は、前述の第3の実施の形態における各処理部41〜44と同一の構成の映像信号処理部、すなわち前述の図1に示す第1の実施の形態における映像信号処理部10を、複数のチャンネル分、本実施の形態では4つのチャンネル分備える。
映像入力ボード71は、前述の第3の実施の形態と同様の第1〜第4ch用処理部41〜44と、各処理部41〜44に対応する入力端子81〜84および出力端子85〜88とを備える。入力端子81〜84は、チャンネルの個数分、本実施の形態では4つが設けられる。出力端子85〜88は、チャンネルの個数分、本実施の形態では4つが設けられる。
以下の説明では、4つの入力端子81〜84を、各チャンネルに対応させて、第1ch用入力端子81、第2ch用入力端子82、第3ch用入力端子83、第4ch用入力端子84という。また4つの出力端子85〜88を、各チャンネルに対応させて、第1ch用出力端子85、第2ch用出力端子86、第3ch用出力端子87、第4ch用出力端子88という。
第1ch用入力端子81に入力された映像信号は、第1ch用処理部41で処理される。第1ch用処理部41で処理された映像信号は、第1ch用出力端子85から出力される。第2ch用入力端子82に入力された映像信号は、第2ch用処理部42で処理される。第2ch用処理部42で処理された映像信号は、第2ch用出力端子86から出力される。
第3ch用入力端子83に入力された映像信号は、第3ch用処理部43で処理される。第3ch用処理部43で処理された映像信号は、第3ch用出力端子87から出力される。第4ch用入力端子84に入力された映像信号は、第4ch用処理部44で処理される。第4ch用処理部44で処理された映像信号は、第4ch用出力端子88から出力される。
図12は、映像出力ボード74の構成を示すブロック図である。映像出力ボード74は、映像入力ボード71と同様の構成である。映像出力ボード71は、前述の第3の実施の形態における各処理部41〜44と同一の構成の映像信号処理部、すなわち前述の図1に示す第1の実施の形態における映像信号処理部10を、複数のチャンネル分、本実施の形態では4つのチャンネル分備える。
映像出力ボード74は、前述の第3の実施の形態と同様の第1〜第4ch用処理部41〜44と、各処理部41〜44に対応する入力端子91〜94および出力端子95〜98とを備える。入力端子91〜94は、チャンネルの個数分、本実施の形態では4つが設けられる。出力端子95〜98は、チャンネルの個数分、本実施の形態では4つが設けられる。
以下の説明では、4つの入力端子91〜94を、各チャンネルに対応させて、第1ch用入力端子91、第2ch用入力端子92、第3ch用入力端子93、第4ch用入力端子94という。また4つの出力端子95〜98を、各チャンネルに対応させて、第1ch用出力端子95、第2ch用出力端子96、第3ch用出力端子97、第4ch用出力端子98という。
第1ch用入力端子91に入力された映像信号は、第1ch用処理部41で処理される。第1ch用処理部41で処理された映像信号は、第1ch用出力端子95から出力される。第2ch用入力端子92に入力された映像信号は、第2ch用処理部42で処理される。第2ch用処理部42で処理された映像信号は、第2ch用出力端子96から出力される。
第3ch用入力端子93に入力された映像信号は、第3ch用処理部43で処理される。第3ch用処理部43で処理された映像信号は、第3ch用出力端子97から出力される。第4ch用入力端子94に入力された映像信号は、第4ch用処理部44で処理される。第4ch用処理部44で処理された映像信号は、第4ch用出力端子98から出力される。
図10に戻って、マトリクススイッチ72は、p×qのマトリクススイッチである。pおよびqは、それぞれ、1以上の整数である。pおよびqの値は、入力ボード部70に設けられる映像入力ボード71の枚数と、各映像入力ボード71におけるチャンネルの個数と、出力ボード部70に設けられる映像出力ボード74の枚数と、各映像出力ボード74におけるチャンネルの個数とに基づいて定められる。マトリクススイッチ72は、スイッチ手段に相当する。
統括制御部75は、映像信号処理装置4を構成するファン速度制御部33、入力ボード部70、マトリクススイッチ72および出力ボード部73を統括的に制御する。統括制御部75は、入力ボード部70を構成する複数の映像入力ボード71、および出力ボード部73を構成する複数の映像出力ボード74を、それぞれ個別に制御することが可能である。
操作部76は、入力ボード部70を構成する複数の映像入力ボード71、および出力ボード部73を構成する複数の映像出力ボード74を、それぞれ個別に、通常モードから省電力モードに切換え可能に構成される。
電源部77は、ファン用電源31、映像入力ボード用電源78、マトリクススイッチ用電源79および映像出力ボード用電源80を備える。映像入力ボード用電源78は、入力ボード部70、具体的には入力ボード部70を構成する各映像入力ボード71の動作に必要な電力を各映像入力ボード71に供給する。マトリクススイッチ用電源79は、マトリクススイッチ72の動作に必要な電力をマトリクススイッチ72に供給する。映像出力ボード用電源80は、出力ボード部73、具体的には出力ボード部73を構成する各映像出力ボード74の動作に必要な電力を各映像出力ボード74に供給する。
図13は、本発明の第5の実施の形態における映像信号処理装置4の通常モードのときの動作を説明するための図である。図13では、一例として、本実施の形態の映像信号処理装置4において、入力ボード部70が2枚の映像入力ボード71(以下、「第1映像入力ボード71A」および「第2映像入力ボード71B」という場合がある)を備え、出力ボード部73が2枚の映像出力ボード74(以下、「第1映像出力ボード74A」および「第2映像出力ボード74B」という場合がある)を備え、マトリクススイッチ72が、8×8のマトリクススイッチである場合を示している。
図13では、理解を容易にするために、映像信号処理装置4のうち、入力ボード部70、マトリクススイッチ72および出力ボード部73を図示し、残りの部分については記載を省略する。また入力ボード部70の各映像入力ボード71の入力端子81〜84および出力端子85〜88、ならびに出力ボード部73の各映像出力ボード74の入力端子91〜94および出力端子95〜98は、記載を省略する。
本実施の形態の映像信号処理装置4は、図13に示すように、第1映像入力ボード71Aと第2映像入力ボード71Bとに入力される、映像フォーマットの異なる複数の映像信号を、各処理部41〜44の機能を用いて、予め定める映像フォーマットの映像信号、たとえばSERDES信号に変換する。
映像信号処理装置4は、変換によって得られた映像信号たとえばSERDES信号を、マトリクススイッチ72によって、第1および第2映像出力ボード74A,74Bの各入力端子91〜94に出力する。第1および第2映像出力ボード74A,74Bでは、マトリクススイッチ72から入力された映像信号たとえばSERDES信号を、各処理部41〜44の機能を用いて、所望する種々のフォーマットの映像信号に変換するか、または、元のフォーマットの映像信号に復元して出力する。
たとえば、第1映像入力ボード71Aの第1ch用入力端子81に、第1静止画Aの映像信号として、解像度が「1024×768」であり、周波数が80Hzである映像信号が入力される場合を考える。入力された第1静止画Aの映像信号は、第1映像入力ボード71Aの第1ch用処理部41によって、第1の実施の形態で説明したように所定の映像フォーマットの映像信号、たとえばSERDES信号に変換されて、第1ch用出力端子85から出力される。
第1映像入力ボード71Aの第1ch用出力端子85から出力されたSERDES信号などの映像信号は、マトリクススイッチ72によって、第1映像出力ボード74Aの第1ch用入力端子91と第2ch用入力端子92とに出力される。
第1映像出力ボード74Aの第1ch用入力端子91に入力されたSERDES信号などの映像信号は、第1ch用処理部41に入力される。第1ch用処理部41では、入力されたSERDES信号などの映像信号を、たとえば解像度が「1920×1200」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換して、第1ch用出力端子95から出力する。
同様に、第1映像出力ボード74Aの第2ch用入力端子92に入力されたSERDES信号などの映像信号は、第2ch用処理部42に入力される。第2ch用処理部42では、入力されたSERDES信号などの映像信号を、たとえば解像度が「800×600」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換して、第2ch用出力端子96から出力する。
第1映像入力ボード71Aの第2ch用入力端子82に入力された第2静止画Bの映像信号は、前述の第1静止画Aの映像信号と同様に、第2ch用処理部42で変換されて、第2ch用出力端子86から出力される。出力された映像信号は、マトリクススイッチ72によって、第1映像出力ボード74Aの第3ch用入力端子83と第4ch用入力端子84とに入力され、第3ch用処理部43および第4ch用処理部44でそれぞれ処理されて、第3ch用出力端子97および第4ch用出力端子98から、それぞれ出力される。
第1映像入力ボード72Aの第3ch用入力端子83に入力されたHDTVの第1動画C1の映像信号は、第2映像出力ボード74Bの第1ch用出力端子91から、たとえば解像度が「1024×768」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換されて出力される。第1映像入力ボード72Aの第4ch用入力端子84に入力された第2動画C2の映像信号についても同様であり、処理後の映像信号は、第2映像出力ボード74Bの第2ch用出力端子92から出力される。
第2映像入力ボード71Bの第1ch用入力端子91に入力された第3静止画Dの映像信号、たとえば解像度が「640×480」であり、周波数が60Hzである映像信号は、第2映像出力ボード74Bの第3ch用出力端子97と第4ch用出力端子98とから、たとえば解像度が「1920×1200」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換されて出力される。
このように本実施の形態の映像信号処理装置4では、マトリクススイッチ72の切換制御と、各映像入力ボード71および各映像出力ボード74の第1〜第4ch用処理部41〜44の機能とによって、任意のチャンネルの入力端子に入力された映像信号を、任意のチャンネルの出力端子から、任意の映像フォーマットで出力する。
ここで、第1〜第3静止画A,B,Dの映像信号が入力される処理部41〜44では、入力される映像信号が静止画の映像信号であることから、第1の実施の形態と同様に、通常モードから省電力モードに切換えて、不必要な動作を停止させる。
図14は、本発明の第5の実施の形態における映像信号処理装置4の省電力モードのときの動作を説明するための図である。図14では、理解を容易にするために、映像信号処理装置4のうち、入力ボード部70、マトリクススイッチ72および出力ボード部73を図示し、残りの部分については記載を省略する。また入力ボード部70の各映像入力ボード71の入力端子81〜84および出力端子85〜88、ならびに出力ボード部73の各映像出力ボード74の入力端子91〜94および出力端子95〜98は、記載を省略する。
図14において、処理部41〜44を構成する全ての回路が動作している処理部41〜44は、ハッチングを付さずに示している。入力部12の動作と、変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作とが停止している処理部41〜44は、左下がりの斜線のハッチングを付して示している。処理部41〜44を構成する全ての回路の動作が停止している処理部41〜44は、右下がりの斜線のハッチングを付して示している。
たとえば、第1静止画Aの場合、映像表示装置で表示すべき映像の内容は、マトリクススイッチ72を経由して、第1映像出力ボード74Aの第1ch用処理部41および第2ch用処理部42のフレームメモリ部13に書込まれている。したがって、読出し動作のみで、映像表示装置に出力して表示することができるので、使用者は、映像表示装置に表示される映像を違和感なく見ることができる。
したがって、図14に示すように、第1映像入力ボード71Aの第1ch用処理部41および第2ch用処理部42では、入力部12の動作と、変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作は不要となるので、停止させることができる。
第2静止画Bの場合も同様であり、第1映像入力ボード71Aの第2ch用処理部42、ならびに第1映像出力ボード74Aの第3ch用処理部43および第4ch用処理部44では、入力部12の動作、および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作は不要となるので、停止させることができる。
これに対し、第1動画C1および第2動画C2が処理されている第1映像入力ボード71Aの第3ch用処理部43および第4ch用処理部44、ならびに第2映像出力ボード74Bの第1ch用処理部41および第2ch用処理部42)では、全ての回路を動作させておく。
また、第3静止画Dの場合には、第1静止画Aおよび第2静止画Bの場合と同様に、第2映像入力ボード71Bの第1ch用処理部41と、第2映像出力ボード74Bの第3ch用処理部43および第4ch用処理部44とでは、入力部12の動作、および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作は不要となるので、停止させることができる。さらに、第2映像入力ボード71Bの他のチャンネルには映像信号が入力されないので、第2映像入力ボード71Bそのものの動作を停止させることができる。
以上のように本実施の形態の映像信号処理装置4によれば、省電力モードの場合には、入力される映像信号の種類および接続状態に応じて、不要な回路の部分、不要なチャンネル、および不要なボードの動作を停止させるので、大幅に消費電力を低減することができる。
また、このように動作を停止させることによって、前述の第3および第4の実施の形態で説明したように、映像信号処理装置4内の温度を下げることができるので、ファン速度制御部32を制御して、ファン32の回転速度を低下させることができる。これによって、処理部41〜44を効果的に冷却することができるので、消費電力をさらに低減することができる。したがって、映像信号処理装置4の消費電力を可及的に抑制することができる。また、第3および第4の実施の形態と同様に、ファン32の回転速度を低下させることによって、ファン32に加わる負荷を軽減することができ、ファン32の長寿命化を図ることができる。
以上に述べた本実施の形態では、静止画を処理するチャンネルの処理部41〜44では、第1の実施の形態で示したように不必要な回路を停止させ、動画を処理するチャンネルの処理部41〜44では通常モードで動作を行う場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、動画を処理するチャンネルの処理部41〜44についても、省電力モードで動作させ、第2の実施の形態で示したように一定間隔で表示内容を更新するなど、使用環境および用途によって、各ボード71,74の各チャンネルの処理部41〜44の動作モードを使い分けて使用してもよい。
また本実施の形態では、映像入力ボード71および映像出力ボード75のいずれも、処理部41〜44を4つのチャンネル分備えた場合の映像信号処理装置4について説明したが、必ずしも4つのチャンネルである必要はなく、各ボードのチャンネル数は、任意のチャンネル数としてもよい。
また本実施の形態では、映像入力ボード71および映像出力ボード74をそれぞれ2枚備える場合の映像信号処理装置4について説明したが、これに限定されるものではなく、任意の枚数で構成してもよい。
また本実施の形態では、第3および第4の実施の形態と同様に、複数のファン32およびファン速度制御部33を設けた構成にして、あるファン32のみ回転速度を低下させ、残りのファン32の回転速度はそのままにするなど、映像入力ボード71および映像出力ボード74の枚数および映像信号処理装置4内における配置に応じて、変更してもよい。これによって、処理部41〜44を効果的に冷却することができるので、映像信号処理装置4の動作を安定させつつ、消費電力を低減することができる。
また本実施の形態では、第3および第4の実施の形態と同様に、ファン32による空冷ではなく、他の冷却方法、たとえばペルチェ素子などによる冷却方法を用いてもよい。この場合でも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<第6の実施の形態>
図15は、本発明の第6の実施の形態の映像信号処理装置5を示すブロック図である。本実施の形態の映像信号処理装置5は、前述の第5の実施の形態の映像信号処理装置4と構成が類似しているので、異なる部分について説明し、対応する部分には同一の参照符号を付して、共通する説明を省略する。
本実施の形態では、映像信号処理装置5は、1枚の映像入力ボード71と、マトリクススイッチ72と、1枚の映像出力ボード74と、統括制御部101と、動作モード制御部102と、省電力設定テーブル記憶部103と、映像管理テーブル記憶部104と、電源部105とを備えて構成される。
映像入力ボード71は、前述の第5の実施の形態における映像入力ボード71と同一の構成であり、第1ch用処理部41、第2ch用処理部42、第3ch用処理部43および第4ch用処理部44を備える。映像出力ボード74は、前述の第5の実施の形態における映像出力ボード74と同一の構成であり、第1ch用処理部41、第2ch用処理部42、第3ch用処理部43および第4ch用処理部44を備える。以下の説明では、第1〜第4ch用処理部41〜44を、「映像信号処理部41〜44」という場合がある。
本実施の形態では、マトリクススイッチ72は、4×4のマトリクススイッチである。電源部105は、前述の第5の実施の形態と同様の映像入力ボード用電源78、マトリクススイッチ用電源79および映像出力ボード用電源80を備える。
映像入力ボード71の第1〜第4ch用処理部41〜44には、映像信号処理装置5の外部に設置される複数のカメラ、本実施の形態では4つのカメラ111〜114が接続されている。以下の説明では、4つのカメラ111〜114のうち、第1ch用処理部41に接続されるカメラを「第1カメラ111」といい、第2ch用処理部42に接続されるカメラを「第2カメラ112」といい、第3ch用処理部43に接続されるカメラを「第3カメラ113」といい、第4ch用処理部44に接続されるカメラを「第4カメラ114」という。第1〜第4カメラ111〜114は、撮像手段に相当する。
第1〜第4カメラ111〜114は、撮影範囲内で物体が移動したことを検知して、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network;略称:LAN)経由で外部へ通知が可能なカメラである。たとえば、第1カメラ111のIPアドレスを「192.168.100.10」とし、第2カメラ112のIPアドレスを「192.168.100.11」とし、第3カメラ113のIPアドレスを「192.168.100.12」とし、第4カメラ114のIPアドレスを「192.168.100.13」とする。
映像管理テーブル記憶部104は、映像管理テーブルを記憶する。映像管理テーブルは、各カメラ111〜114が接続されている映像入力ボード71の映像信号処理部41〜44の名称と、各カメラ111〜114のIPアドレスと、通常モード時間とを含んで構成される。ここで、「通常モード時間」とは、動作モードを省電力モードから通常モードに変更後、再び省電力モードに戻るまでの時間のことである。映像管理テーブル記憶部104は、映像管理テーブル記憶手段に相当する。カメラ111〜114のIPアドレスは、各カメラ111〜114を識別する識別情報に相当する。
動作モード制御部102は、イーサネット(登録商標)ハブ110を介して、各カメラ111〜114に接続される。動作モード制御部102は、各カメラ111〜114からの動体検知の通知を受けて、映像管理テーブル記憶部104に記憶されている映像管理テーブルに基づいて、いずれの映像信号処理部41〜44を省電力モードに切り替えるかを判定する。
動作モード制御部102は、判定結果に基づいて、統括制御部101に対して、省電力モードに切換えるように判定した映像入力処理部41〜44を省電力モードで制御するように指示する。動作モード制御部102は、映像管理テーブル記憶部104に記憶されている映像管理テーブルに格納されている通常モード時間が経過すると、再び動作モードを通常モードから省電力モードに切替えるように、統括制御部101に指示する。
省電力設定テーブル記憶部103は、省電力設定テーブルを記憶する。省電力設定テーブルは、映像入力ボード71の映像信号処理部41〜44の名称と、各映像信号処理部41〜44における停止期間フレーム数とを含んで構成される。ここで、「停止期間フレーム数」とは、入力部12の動作、具体的には映像取込み動作、および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作を停止するフレーム数のことである。省電力設定テーブル記憶部103は、省電力設定テーブル記憶手段に相当する。
統括制御部101は、映像信号処理装置5を構成する映像入力ボード71、マトリクススイッチ72、映像出力ボード74、動作モード制御部102、省電力設定テーブル記憶部103、映像管理テーブル記憶部104および電源部105を統括的に制御する。統括制御部101は、映像入力ボード71と、映像出力ボード74と、マトリクススイッチ530とをそれぞれ制御する。統括制御部101は、動作モード制御部102から与えられる動作モードの指示に従い、映像入力ボード71および映像出力ボード74の映像信号処理部41〜44を個別に制御する。
図16は、本発明の第6の実施の形態における映像信号処理装置5の動作を説明するための図である。図16では、理解を容易にするために、映像信号処理装置5のうち、映像入力ボード71、マトリクススイッチ72および映像出力ボード74を図示し、残りの部分については記載を省略する。また映像入力ボード71の入力端子81〜84および出力端子85〜88、ならびに映像出力ボード74の入力端子91〜94および出力端子95〜98は、記載を省略する。
図16において、処理部41〜44を構成する全ての回路が動作している処理部41〜44は、ハッチングを付さずに示している。処理部41〜44を構成する全ての回路の動作が停止している処理部41〜44は、右下がりの斜線のハッチングを付して示している。
本実施の形態の映像信号処理装置5は、図16に示すように、映像入力ボード71に入力される複数のカメラ111〜114からの映像信号を、第1〜第4ch用処理部41〜44の機能を用いて、予め定める映像フォーマットの映像信号、たとえばSERDES信号に変換する。映像信号処理装置5は、変換して得られたSERDES信号などの映像信号を、マトリクススイッチ72によって、映像出力ボード74の各入力端子91〜94に出力する。
映像出力ボード74では、入力されたSERDES信号などの映像信号を、第1〜第4ch用処理部41〜44の機能を用いて、所望する種々のフォーマットの映像信号に変換するか、または、元のフォーマットの映像信号に復元して出力する。
映像入力ボード71の第1ch用入力端子95に入力された第1カメラ111の入力映像の映像信号、たとえば解像度が「640×480」であり、周波数が60Hzである映像信号は、第1の実施の形態で説明したように、第1ch用処理部41によって、所定の映像フォーマットの映像信号、たとえばSERDES信号に変換されて、第1ch用出力端子95から出力される。
映像入力ボード71の第1ch用端子95から出力されたSERDES信号などの映像信号は、マトリクススイッチ72によって、映像出力ボード74の第1ch用入力端子91に出力される。映像出力ボード74の第1ch用処理部41では、入力されたSERDES信号などの映像信号を、たとえば解像度が「320×240」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換して、第1カメラ111の出力映像として、第1ch用出力端子95から出力する。
映像入力ボード71の第2ch用入力端子82に入力された第2カメラ112の入力映像の映像信号、たとえば解像度が「640×480」であり、周波数が60Hzである映像信号は、映像出力ボード74の第2ch用出力端子82から、たとえば解像度が「640×480」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換されて出力される。
映像入力ボード71の第3ch用入力端子83に入力された第3カメラ113の入力映像の映像信号、たとえば解像度が「640×480」であり、周波数が60Hzである映像信号は、映像出力ボード74の第3ch用出力端子97から、たとえば解像度が「1280×960」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換されて出力される。
映像入力ボード71の第4ch用入力端子84に入力された第4カメラ114の入力映像の映像信号、たとえば解像度が「640×480」であり、周波数が60Hzである映像信号は、映像出力ボード71の第4ch用出力端子98から、たとえば解像度が「800×600」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換されて出力される。
このように本実施の形態の映像信号処理装置5では、マトリクススイッチ72の切換制御と、各ボード71,74の第1〜第4ch用処理部41〜44の機能とによって、任意のチャンネルの入力端子に入力された映像信号を、任意のチャンネルの出力端子から、任意の映像フォーマットで出力する。
ここで、撮影範囲内で変化が無い平常時には、全てのカメラ111〜114は、第1の実施の形態で示したように、通常モードから省電力モードに切換えて、不必要な動作を停止させる。
図17は、本発明の第6の実施の形態における映像信号処理装置5の省電力モードのときの動作を説明するための図である。図17では、理解を容易にするために、映像信号処理装置5のうち、映像入力ボード71、マトリクススイッチ72および映像出力ボード74を図示し、残りの部分については記載を省略する。また映像入力ボード71の入力端子81〜84および出力端子85〜88、ならびに映像出力ボード74の入力端子91〜94および出力端子95〜98は、記載を省略する。
図17において、処理部41〜44を構成する全ての回路が動作している処理部41〜44は、ハッチングを付さずに示している。入力部12の動作および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作が一定期間停止される処理部41〜44は、右下がりの斜線のハッチングを付して示している。この停止期間については、映像入力ボード71の各処理部41〜44に対して、個別に設定できるようになっている。
表1は、各映像信号処理部41〜44の停止期間を表す省電力設定テーブルの一例である。省電力設定テーブルは、映像信号処理部の名称と、停止期間を表す停止期間フレーム数とから構成される。フレーム数は、1秒間あたり60である。したがって、停止期間フレーム数が600とは、10秒間に相当する。
統括制御部101は、省電力設定テーブル記憶部103に記憶される省電力設定テーブルに基づいて、映像入力ボード71の各映像信号処理部41〜44の制御を行う。
たとえば、図17に示す映像入力ボード71の第1ch用処理部41に入力されている第1カメラ111の映像(以下「入力映像」という場合がある)は、表1の省電力設定テーブルから、停止期間フレーム数が600である。したがって、第1ch用処理部41は、1フレーム分の映像信号を取込んだ後、600フレームの間、入力部12の動作および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作を停止する。
その間は、停止直前に取込まれた映像信号が、フレームメモリ部13から、たとえば60Hzのタイミングで読出され、マトリクススイッチ72を介して、映像出力ボード74の第1ch用処理部41に与えられる。
映像出力ボード74の第1ch用処理部41は、与えられた映像信号を、たとえば解像度が「320×240」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換して、第1ch用出力端子95から出力する。したがって、第1カメラ111の出力映像は、10秒に1回更新される映像として、映像表示装置に表示される。
映像入力ボード71の第2ch用処理部42に入力されている第2カメラ112の入力映像は、表1に示す省電力設定テーブルから、停止期間フレーム数が300である。したがって、第2ch用処理部42は、1フレーム分の映像信号を取込んだ後、300フレームの間、入力部12の動作および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作を停止する。
その間は、停止直前に取込まれた映像信号が、フレームメモリ部13から、たとえば60Hzのタイミングで読出され、マトリクススイッチ72を介して、映像出力ボード74の第2ch用処理部42に与えられる。
映像出力ボード74の第2ch用処理部42は、与えられた映像信号を、たとえば解像度が「640×480」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換して、第2ch用出力端子96から出力する。したがって、第2カメラ112の出力映像は、5秒に1回更新される映像として、映像表示装置に表示される。
映像入力ボード71の第3ch用処理部43に入力されている第3カメラ113の入力映像は、表1に示す省電力設定テーブルから、停止期間フレーム数が120である。したがって、第3ch用処理部43は、1フレーム分の映像信号を取込んだ後、120フレームの間、入力部12の動作および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作を停止する。
その間は、停止直前に取込まれた映像信号が、フレームメモリ部13から、たとえば60Hzのタイミングで読出され、マトリクススイッチ72を介して、映像出力ボード74の第3ch用処理部43に与えられる。
映像出力ボード74の第3ch用処理部43は、与えられた映像信号を、たとえば解像度が「1280×960」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換して、第3ch用出力端子97から出力する。したがって、第3カメラ113の出力映像は、2秒に1回更新される映像として、映像表示装置に表示される。
映像入力ボード71の第4ch用処理部44に入力されている第4カメラ114の入力映像は、表1に示す省電力設定テーブルから、停止期間フレーム数が60である。したがって、第4ch用処理部44は、1フレーム分の映像信号を取込んだ後、60フレームの間、入力部12の動作および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作を停止する。
その間は、停止直前に取込まれた映像信号が、フレームメモリ部13から、たとえば60Hzのタイミングで読出され、マトリクススイッチ72を介して、映像出力ボード74の第4ch用処理部44に与えられる。
映像出力ボード74の第4ch用処理部44は、与えられた映像信号を、たとえば解像度が「800×600」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換して、第4ch用出力端子98から出力する。したがって、第4カメラ114の出力映像は、1秒に1回更新される映像として、映像表示装置に表示される。
以上のような動作状態において、たとえば、第1カメラ111で撮影している範囲内に侵入者があった場合、第1カメラ111は、動体を検知したと判断して、イーサネット(登録商標)ハブ110およびLANを介して、動作モード制御部102へ通知を行う。
動作モード制御部102は、映像管理テーブル記憶部104に記憶されている映像管理テーブルに基づいて、通知を受けたIPアドレスに対応するカメラが接続されている映像入力ボード71の映像信号処理部41〜44を求める。
表2は、映像管理テーブルの一例である。第1カメラ111のIPアドレスは、「192.168.100.10」であるので、表2から、第1カメラ111に接続されている映像信号処理部は、第1ch用処理部41であることがわかる。
動作モード制御部102は、統括制御部101に対して、通知を受けたカメラが接続されている映像信号処理部として特定した映像信号処理部、ここでは第1ch用処理部41を、省電力モードから通常モードに戻すように指示する。
統括制御部101は、指示された映像信号処理部、ここでは第1ch用処理部41を制御し、入力部12の動作および変換部14によるフレームメモリ部13への書込み動作を再開させる。これによって、第1ch用処理部41は、入力部12で1秒間に60回の映像の取込みを行い、変換部14で、フレームメモリ部13への書込み動作を行う。
第1ch用処理部41の入力部12で取込まれた映像の映像信号は、マトリクススイッチ72を介して、映像出力ボード74の第1ch用処理部41に与えられる。映像出力ボード74の第1ch用処理部41は、与えられた映像信号を、たとえば解像度が「640×480」であり、周波数が60Hzである映像信号に変換して出力する。したがって、第1カメラ111の出力映像は、1秒間に60回更新される映像として、映像表示装置に表示される。
図17では、以上のように第1カメラ111の接続される映像入力ボード71の映像信号処理部、すなわち第1ch用処理部41が、通常モードになっている状態を示している。図17に示すように、映像入力ボード71の処理部41〜44のうち、第1ch用処理部41以外の処理部42〜44は、省電力モードで動作している。
動作モード制御部104は、映像管理テーブル記憶部104に記憶される映像管理テーブルに基づいて、第1ch用処理部41の通常モード時間が経過すると、第1ch用処理部41を通常モードに戻すように、統括制御部101に指示する。
たとえば、前述の表2に示す映像管理テーブルでは、第1ch用処理部41の通常モード時間は5分である。したがって、動作モード制御部102は、第1ch用処理部41を通常モードに切換えるように指示した時点から5分間が経過すると、第1ch用処理部41を省電力モードに戻すように、統括制御部101に指示する。
以上のように本実施の形態の映像信号処理装置5によれば、カメラ111〜114の撮影範囲内に侵入者などがない平常時には、各カメラ111〜114に接続される映像入力ボード71の各処理部41〜44を省電力モードで動作させる。これによって、動作させる必要のない回路の部分の動作を停止させることができるので、消費電力を大幅に低減することができる。したがって、映像信号処理装置5の消費電力を可及的に抑制することができる。
そして、映像信号処理装置5は、カメラ111〜114の撮影範囲内に侵入者などが生じた場合などの緊急時には、侵入者を写しているカメラの映像が入力されている映像入力ボード71の映像信号処理部のみを通常モードに戻して動作させる。これによって、侵入者を写しているカメラからの全ての映像を取得することができ、映像情報が欠落することがないので、監視に支障を来すことがない。
また、通常モードに切換えられた映像信号処理部は、一定時間の経過後には省電力モードに戻るので、使用者が省電力モードに戻すように切換える操作を行うことなく、省電力モードに戻して、消費電力を低減することができる。
以上に述べた本実施の形態では、映像入力ボード71および映像出力ボード74はいずれも、1枚が備えられているが、任意の枚数が備えられてもよい。
また、本実施の形態では、マトリクススイッチ72は、4×4のマトリクススイッチであるが、これに限定されるものではない。また、本実施の形態では、外部への通知する手段として、LANを用いているが、これに限定されるものではない。
本発明は、その発明の範囲内において、前述の各実施の形態を自由に組み合わせることが可能であり、また各実施の形態の任意の構成要素を適宜、変形または省略することが可能である。