JP2013122046A - 制振材用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた制振性を発揮し、塗膜に制振効果が求められる用途において好適に用いることができる制振材用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】単量体成分を重合してなるポリマーを含む制振材用樹脂組成物であって、該制振材用樹脂組成物は、該ポリマーに相溶した状態である添加剤を含むことを特徴とする制振材用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、制振材用樹脂組成物に関する。より詳しくは、各種構造体における振動や騒音を防止して静寂性を保つために使用される制振材の材料等として有用な制振材用樹脂、制振材組成物及びそれによって形成される制振材に関する。
制振材は、各種構造体における振動や騒音を防止して静寂性を保つためのものであり、例えば、自動車の室内床下等に用いられている他、鉄道車両、船舶、航空機や電気機器、建築構造物、建設機器等にも広く利用されている。このような制振材に用いられる材料としては、従来、振動吸収性能及び吸音性能を有する材料を素材とする板状成形体やシート状成形体等の成形加工品が使用されている。一方で、振動や音響の発生箇所の形状が複雑な場合には、これらの成形加工品を振動発生箇所に適用することが困難であることから、作業性を改善して制振性を充分に発揮させるための手法が種々検討されている。例えば、自動車の室内床下等には無機粉体を含んだアスファルトシートが用いられてきたが、熱融着させる必要性があることから、作業性等の改善が望まれており、制振材を形成する種々の制振材用組成物や重合体の検討がなされている。
このように、成形加工品の代替材料として、塗布型制振材(塗料)が開発されており、例えば、該当箇所にスプレーにより吹き付けるか又は任意の方法により塗布することにより形成される塗膜により、振動吸収効果及び吸音効果を得ることが可能な制振塗料が種々提案されるに至っている。具体的には、例えば、アスファルト、ゴム、合成樹脂等の展色剤に合成樹脂粉末を配合して得られる塗膜硬度を改良した水系制振塗料の他、自動車の室内用に適するものとして、樹脂エマルションに充填剤として活性炭を分散させた制振塗料等が開発されている。しかしながら、これらの従来品をもってしても未だ、制振性能が充分に満足できるレベルにあるとはいえず、更に充分に制振性能を発揮できるようにする技術が求められている。
このような制振材用途に用いられる樹脂組成物として、極性基を有する樹脂エマルジョンと、該樹脂エマルジョンの極性基との水素結合の形成および制御の可能な水素結合形成能を有し、一分子中少なくとも一つのヒドロキシル基を有する芳香属化合物として特定の化合物とを含み、更に無機充填剤を含む制振塗料組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、母材となる特定の高分子に、母材における双極子モーメント量を増加させるベンゾトリアゾール基を持つ化合物、及びジフェニルアクリレート基を持つ化合物の中から選ばれた1種若しくは2種以上からなる活性成分が含まれたエネルギー変換組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。更に、塗料組成物中に、同塗料成分における双極子モーメント量を増加させる活性成分を含む制振塗料において、塗膜成分としてカルボキシル基で置換したアクリル系ポリマーを用いたものが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。更に、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム、又は水系エマルジョン樹脂により構成されたマトリックス相中に、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン及びオクチル化ジフェニルアミンから選択された1種若しくは2種の化合物からなる分散相を有する有機減衰材料であって、前記分散相は、前記マトリックス相中において、前記化合物がミクロ相分離した分散相、又は、完全相溶した分散相であり、前記熱可塑性樹脂が特定の樹脂から選択される有機減衰材料が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特許第4172536号明細書 特許第3318593号明細書 国際公開第01/40391号 特許第4465023号明細書
上述したように、制振材用途に用いられる樹脂組成物として種々の構成のものが開示されているが、このような樹脂組成物が用いられる用途においては、更に優れた制振性を発揮する樹脂組成物が求められており、このような要求に応える制振性をより向上させた樹脂組成物を開発することが課題となっている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、優れた制振性を発揮し、塗膜に制振効果が求められる用途において好適に用いることができる制振材用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、制振材用樹脂組成物について種々検討したところ、組成物をポリマーと添加剤とを含むものとし、該添加剤がポリマーに相溶した状態で存在するものとすると、ポリマーと添加剤との相互作用により、このような樹脂組成物が優れた制振性を発揮するものとなることを見いだした。また本発明者は、このような添加剤として特定の化合物を用いることや重合体として特定の構造のものを用いることで樹脂組成物の制振性が更に優れたものとなることも見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、単量体成分を重合してなるポリマーを含む制振材用樹脂組成物であって、上記制振材用樹脂組成物は、上記ポリマーに相溶した状態である添加剤を含むことを特徴とする制振材用樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の制振材用樹脂組成物は、単量体成分を重合してなるポリマーと添加剤を含むものであるが、これらをそれぞれ少なくとも1種ずつ含んでいればよく、2種以上含むものであってもよい。また、単量体成分を重合してなるポリマーと添加剤を含む限り、その他の成分を含んでいてもよい。
なお、本発明において、制振材用樹脂組成物が含む添加剤は、制振材用樹脂組成物の制振性を向上させるために添加される成分である。
本発明の制振材用樹脂組成物は、制振材用樹脂組成物の総量100質量%に対して、単量体成分を重合してなるポリマーを5〜80質量%含んでなるものが好ましい。より好ましくは、10〜80質量%含んでなるものである。更に好ましくは、15〜70質量%含んでなるものであり、特に好ましくは、20〜70質量%含んでなるものである。
本発明の制振材用樹脂組成物における添加剤の含有量は、制振材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマー100質量%に対して10〜2000質量%であることが好ましい。このような割合で添加剤を含むことで、添加剤とポリマーとの相互作用が効果的に発揮され、制振材用樹脂組成物がより優れた制振性を発揮するものとなる。より好ましくは、単量体成分を重合してなるポリマー100質量%に対して10〜1000質量%含んでなるものであり、更に好ましくは、10〜500質量%含んでなるものである。また特に好ましくは、10〜200質量%含んでなるものであり、中でも特に好ましくは、15〜180質量%含んでなるものであり、最も好ましくは、20〜160質量%含んでなるものである。
本発明の制振材用樹脂組成物は、制振材用樹脂組成物から得られる塗膜の損失係数(tanδ)のピーク温度が0〜60℃であることが好ましい。塗膜の損失係数(tanδ)のピーク温度がこのような範囲にあると、制振材の実用温度域での制振性能を効果的に発現することができることとなる。より好ましくは、塗膜の損失係数(tanδ)のピーク温度は10〜50℃であり、更に好ましくは、15〜45℃である。
塗膜の損失係数(tanδ)のピーク温度は、制振材用樹脂組成物が含むポリマーのガラス転移温度(Tg)や添加剤の種類を適宜選択することで調整することができる。
塗膜の損失係数(tanδ)は、後述する方法により測定することができる。
本発明の制振材用樹脂組成物が含むポリマーは、ガラス転移温度が−25〜150℃であることが好ましい。ポリマーとして、このようなガラス転移温度を有するものを用いると、制振材の実用温度域での制振性能を効果的に発現することができることとなる。ポリマーのガラス転移温度は、より好ましくは−20〜100℃であり、更に好ましくは、−20〜80℃である。特に好ましくは、−15〜35℃であり、最も好ましくは−10〜30℃である。
なお、ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、既に得られている知見に基づいて決定されてもよいし、後述する単量体成分の種類や使用割合によって制御されてもよいが、理論上は、以下の計算式(1)より算出することができる。
Figure 2013122046
式中、Tg’は、ポリマーのTg(絶対温度)である。W’、W’、・・・Wn’は、全単量体成分に対する各単量体の質量分率である。Tg、Tg、・・・Tgnは、各単量体成分からなるホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(絶対温度)である。
本発明の制振材用樹脂組成物に含まれる添加剤は、制振材用樹脂組成物中に含まれるポリマーと相互作用をすることで、上記のようなポリマーに加えられた振動のエネルギーを摩擦による熱エネルギー等の別のエネルギーに変換することを促進することができるものであれば特に制限されない。添加剤とポリマーとの相互作用は、イオン間相互作用の形成や解離、水素結合の形成や解離、双極子モーメントの向きや量の変化、ファンデルワールス力の変化等の種々のものが挙げられる。
上記添加剤は、制振材用樹脂組成物中においてポリマーに相溶した状態であるものであるが、制振材用樹脂組成物から制振材が形成される際にポリマーに相溶した状態であればよく、制振材用樹脂組成物がポリマーや制振性を向上させるために添加される添加剤以外の後述する顔料や充填剤等の他の成分を含む場合には、これら他の成分を含み、制振材が形成される際にポリマーに相溶した状態であればよい。
このような、制振材用樹脂組成物をポリマー及び添加剤を含むものとし、該添加剤をポリマーに相溶した状態とする制振材用樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の1つである。
上記添加剤としては、ポリマーと相互作用をするものであれば特に制限されず、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニルベンゼンジアミンとスチレン、2,4,4−トリメチルペンタンとの反応物等の芳香族第二級アミン系添加剤;1,3−ジフェニルグアニジン、N,N’−ジフェニルグアニジン、N,N’−ジオルトトリルグアニジン等のグアニジン系添加剤;N,N’−ジフェニルチオ尿素等のチオウレア系添加剤;α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、n−ブチルアルデヒドアニリン等のアニリン系添加剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等のキノリン系添加剤;N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−(t−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジシクロへキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルスルフィド等のベンゾチアジル系添加剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸オクチル、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオン酸オクチル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ハイドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラハイドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ハイドロキシ−5’−t−オクチルフェノール)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系添加剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のジフェニルアクリレート系添加剤;
2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド等のベンゾフェノン系添加剤;1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロへキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−プロピルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビスフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,5−ジメチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−5−エチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−5−プロピルフェノール)、4,4’−エチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,7−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)−ブタン、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−〔(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルフェノール、テトラキス(メチレン−ジ−t−ブチル−4−ヒドロハイドロシンナメート)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレ−ト、ペンタエリスリチル−テトラ[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、モノ(又はジ,トリ)(α−メチルベンジル)フェノール、テトラキス(メチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロハイドロシンナメート)、ハイドロキノン等のフェノール系添加剤;
1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−1−ナフトール、2−アミノ−6−ヒドロキシナフトール等のナフトール系添加剤;3,3’−チオビスプロピオン酸ジトリデシル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジドデシル等の有機チオ酸系添加剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト等の亜リン酸系添加剤;リン酸トリフェニル、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−ジ−2,6−キシレニルホスフェート、3,9−ビス(4−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファピロ[5.5]ウンデカン等のリン酸エステル系添加剤等を好ましく用いることができる。
上記単量体成分を重合してなるポリマーは、重量平均分子量が1万〜150万であることが好ましい。制振性を発揮するためには、ポリマーに加えられた振動のエネルギーを摩擦による熱エネルギーに変えることが好適であり、ポリマーに振動が加えられたときに運動することのできるポリマーであることが必要となる。ポリマーがこのような重量平均分子量を有するものであると、振動が加えられたときにポリマーが充分に運動することができ、高い制振性を発揮することができる。ポリマーの重量平均分子量は、より好ましくは1〜100万であり、更に好ましくは、2〜40万であり、特に好ましくは、3万〜40万であり、最も好ましくは、4万〜40万である。
なお、重量平均分子量は、例えば、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
上記単量体成分を重合してなるポリマーは、溶解度パラメータ(SP値)が7〜10であることが好ましい。ポリマーのSP値がこのような範囲にあると、添加剤との相溶性に優れる。SP値はより好ましくは、7.3〜9.9であり、更に好ましくは、7.6〜9.9である。
ポリマーのSP値は、以下のSmallの式により求めることができる。
Figure 2013122046
式中、δは、ポリマーのSP値である。Δeは、ポリマーを構成する単量体各成分の蒸発エネルギーの計算値(kcal/mol)であり、ΣΔeは、ポリマーを構成する全単量体成分の当該計算値の合計値である。ΔVは、ポリマーを構成する単量体各成分の分子容の計算値(ml/mol)であり、ΣΔVは、ポリマーを構成する全単量体成分の当該計算値の合計である。xは、ポリマーを構成する単量体各成分のモル分布である。
なお、単量体成分の蒸発エネルギー、及び、単量体成分の分子容は、通常用いられる計算値を用いることができる。
このように、構成する単量体の種類及びその構成比を調整することによって、ポリマーのSP値を調整することができる。
本発明の制振材用樹脂組成物は、添加剤がポリマーに相溶した状態のものである限り、更に溶剤を含み、単量体成分を重合してなるポリマーと添加剤とが溶剤に溶解した溶剤系の組成物であってもよく、単量体成分を重合してなるポリマーが水系溶媒中にエマルションの形態で存在し、添加剤がポリマー中に含まれるか、または水系溶媒中にエマルションの形態で存在した水系の組成物であってもよい。
このような、本発明の制振材用樹脂組成物が更に溶剤を含み、単量体成分を重合してなるポリマーと添加剤とが溶剤に溶解した溶剤系の制振材用樹脂組成物は、本発明の制振材用樹脂組成物の好適な実施形態の1つである。
また、単量体成分を重合してなるポリマーが水系溶媒中にエマルションの形態で存在し、添加剤がポリマー中に含まれるか、または水系溶媒中にエマルションの形態で存在した水系の制振材用樹脂組成物もまた、本発明の制振材用樹脂組成物の好適な実施形態の1つである。
本発明において、ポリマーが溶剤に溶解した溶液あるいは、ポリマーのエマルションの粘度としては特に限定されないが、10〜10000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは15〜8000mPa・sであり、更に好ましくは20〜6000mPa・sである。
なお、粘度は、B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定することができる。
本発明の制振材用樹脂組成物は、制振材用樹脂組成物全体100質量%に対する、組成物中の不揮発分が20〜90質量%であることが好ましい。不揮発分量がこのような範囲にあることで、制振材用樹脂組成物が塗布により塗膜を形成しやすく、また、塗膜が優れた制振性を発揮することとなる。組成物中の不揮発分は、より好ましくは、30〜87質量%であり、更に好ましくは、40〜84質量%である。
本発明の制振材用樹脂組成物が、単量体成分を重合してなるポリマーが水系溶媒中にエマルションの形態で存在した水系のものである場合、各エマルション粒子の平均粒子径は50〜450nmであるものであることが好ましい。
平均粒子径がこの範囲にあるエマルション粒子を用いることにより、制振材に要求される加熱乾燥性、塗工性等の基本性能を充分なものとした上で、制振性をより優れたものとすることができる。上記上限は、より好ましくは400nm以下であり、更に好ましくは350nm以下である。また、上記下限は、特に好ましくは、100nm以上である。エマルション粒子の平均粒子径がこのような範囲であると、本発明の制振材用樹脂組成物の作用効果がより効果的に発揮されることになる。また、平均粒子径の下限は、好ましくは 65nm以上であり、より好ましくは80nm以上である。
平均粒子径(体積平均粒子径)は、例えば、エマルションを蒸留水で希釈し、充分に攪拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOMP Model 380」)で測定することにより求めることができる。
上記平均粒子径を有するエマルション粒子は、標準偏差をその体積平均粒子径で割った値(標準偏差/体積平均粒子径×100)で定義される粒度分布が、40%以下であることが好ましい。より好ましくは30%以下である。粒度分布が40%を超えると、エマルション粒子の粒子径分布の幅が非常に広いものとなり、一部に粗大粒子を含むものとなるために、そのような粗大粒子の影響で制振材用樹脂が充分な加熱乾燥性を発揮することができないおそれがある。
また、本発明の制振材用樹脂組成物が水系の組成物である場合、組成物のpHとしては特に限定されないが、4〜12であることが好ましく、より好ましくは5〜11であり、更に好ましくは6〜10である。制振材用樹脂組成物のpHは、当該樹脂に、アンモニア水、水溶性アミン類、水酸化アルカリ水溶液等を添加することによって調整することができる。
本明細書中、pHは、pHメーターにより測定することができる。例えば、pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)を用いて25℃での値を測定することが好ましい。
本発明の制振材用樹脂組成物が含む単量体成分を重合してなるポリマーは、本発明の作用効果を発揮することができる限り特に限定されないが、不飽和カルボン酸単量体を含む単量体成分から得られたものであることが好ましい。より好ましくは、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを含む単量体成分から得られたものである。不飽和カルボン酸単量体としては、分子中に不飽和結合とカルボキシル基とを有する化合物であれば特に限定されるものではないが、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含むことが好ましい。
上記エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系単量体、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマレエート、モノエチルマレエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸系単量体が好ましい。すなわち、上記単量体成分を重合してなるポリマーが、その単量体成分の少なくとも1種が(メタ)アクリル酸系単量体である(メタ)アクリル系重合体であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、単量体成分の少なくとも1種が、C(R=CH−COOR、又は、C(R=C(CH)−COOR10(R、R、R及びR10は、同一又は異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム基又は有機アミン基を表す。)で表される単量体である単量体成分を用いて得られるものであることが好ましい。
なお、本明細書中、(メタ)アクリル酸系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、−COOH基を有する単量体であり、(メタ)アクリル系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、−COOH基がエステルとなった形態若しくは塩となった形態の単量体又はそのような単量体の誘導体である。
上記(メタ)アクリル系重合体の原料となる単量体成分は、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0〜20質量%、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を20〜100質量%含んでなることが好ましい。(メタ)アクリル酸系単量体を含むことにより、本発明の制振材用樹脂組成物が、後述する無機粉体等の充填剤を含む場合、充填剤の分散性が向上し、制振性がより向上することになる。また、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を含むことにより、重合体の酸価、Tgや物性等を調整しやすくなる。上記単量体成分において、(メタ)アクリル酸系単量体が0.1質量%未満であっても、20質量%を超えても、いずれも単量体成分が安定に共重合しにくくなるおそれがある。本発明の制振材用樹脂組成物がこれらの単量体から形成されるものであると、制振性に加え、加熱乾燥性にも優れたものとすることが可能となる。
より好ましくは、全単量体成分100質量%に対して(メタ)アクリル酸系単量体を0〜5質量%、その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体を25〜100質量%含んでなることである。
上記その他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体には、(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体、窒素原子を有する不飽和単量体、芳香環を有する不飽和単量体、(メタ)アクリル酸系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれる。
また、上記(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート等;これらの塩やエステル化物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することが好適である。
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等であることが好ましい。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適である。また、有機アミン塩としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩や、トリエチルアミン塩が好適である。
上記(メタ)アクリル系重合体の原料となる単量体成分としては、(メタ)アクリル系単量体を、全単量体成分100質量%に対して、20質量%以上含有するものであることが好ましい。より好ましくは、30質量%以上である。
上記芳香環を有する不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
すなわち、上記単量体成分を重合してなるポリマーが、スチレンを含む単量体成分から得られたスチレン(メタ)アクリル系重合体であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記単量体成分を重合してなるポリマーがスチレン(メタ)アクリル系重合体である場合、原料となる単量体成分は、単量体成分100質量%に対して、スチレン系単量体を1〜90質量%含むことが好ましい。より好ましくは、1〜80質量%であり、更に好ましくは、1〜70質量%である。また特に好ましくは、1〜50質量%であり、中でも特に好ましくは5〜45質量%であり、最も好ましくは10〜40質量%である。
上記窒素原子を有する不飽和単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。好ましくはアクリロニトリルである。
上記単量体成分を重合してなるポリマーは、極性基含有単量体を含む単量体成分から得られたものであることが好ましい。制振材用樹脂組成物が含むポリマーが極性基を有すると、ポリマーと添加剤との相互作用が大きくなり、制振性がより充分に発揮されることとなる。更に制振材用樹脂組成物がポリマーを2種以上含む場合には、これらのポリマー間の相互作用がより大きなものとなり、ポリマー間の摩擦がより大きくなることから、制振性がより充分に発揮されることとなる。
極性基含有単量体の含有割合は、単量体成分100質量%に対して40〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは45〜95質量%であり、更に好ましくは50〜90質量%である。
上記極性基含有単量体が有する極性基としては、有機化合物において一般に極性基とされるものであればよいが、カルボン酸エステル、水酸基、ニトリル基、カルボキシル基、アミド基及びピロリドン基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。より好ましくは、カルボン酸エステル、水酸基、及び/又はカルボキシル基である。
上記(メタ)アクリル系重合体を形成する単量体成分は、更に、官能基を有する不飽和単量体を含んでいてもよい。該官能基を有する不飽和単量体における官能基としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジニル基、イソシアネート基、メチロール基、ビニルエーテル基、シクロカーボネート基、アルコキシシラン基等が挙げられる。これらの官能基は、不飽和単量体の1分子中に1種あってもよく、2種以上あってもよい。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和単量体類等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、官能基を1分子中に1つ有する単官能性不飽和単量体であってもよく、2つ以上有する多官能性不飽和単量体であってもよい。
上記多官能性不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の制振材用樹脂組成物が単量体成分を重合してなるポリマーを2種以上含む場合、2種の重合体は、例えば、重量平均分子量やガラス転移温度、SP値、使用される単量体の種類、単量体の使用割合等の各種物性のうちいずれかにおいて異なるものであればよい。中でも、重量平均分子量、ガラス転移温度の少なくとも1つで差を有するものであることが好適である。
本発明の制振材用樹脂組成物が単量体成分を重合してなるポリマーを2種以上含む場合、そのうち少なくとも1つのポリマーは、重量平均分子量が500〜150万であるものが好ましい。このような重量平均分子量のものを用いることで、制振性をより高めることができる。より好ましくは、500〜100万であり、更に好ましくは、500〜50万であり、更に一層好ましくは、500〜30万である。特に好ましくは、500〜20万であり、中でも特に好ましくは、1000〜10万であり、最も好ましくは2000〜5万である。重合体の重量平均分子量は、上述したものと同様の方法により測定することができる。
また、本発明の制振材用樹脂組成物が単量体成分を重合してなるポリマーを2種以上含む場合、それらの中にガラス転移温度の差が5〜60℃である2種のポリマーを含むことが好ましい。このようにガラス転移温度(Tg)に差を設けることにより、例えば、制振材用途に適用したときに、幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性が格段に向上されることとなる。ガラス転移温度(Tg)の差は、より好ましくは5〜50℃であり、更に好ましくは5〜40℃である。
ただし、後述するように、ポリマーのいずれか1つがコア部とシェル部とを有するエマルションである場合、当該コア部を形成するポリマーのTgとシェル部を形成するポリマーのTgとに10℃以上の充分な差があり、それによって幅広い温度領域下で高い制振性を発現することができるものとなっている場合には、当該コア・シェルエマルションを形成するポリマー全体のTgと、他のポリマー全体のTgとの差は寧ろ小さいほうが好ましく、10℃以下であることが好ましい。
本発明の制振材用樹脂組成物が、単量体成分を重合してなるポリマーが水系溶媒中にエマルションの形態で存在した水系のものである場合、制振材用樹脂組成物が含むポリマーは1種であってもよく、2種以上であってもよい。2種以上のポリマーを含む場合、それらは、コア部とシェル部とを有するエマルションの形態であることが好ましい。
コア部とシェル部とを有するエマルション粒子を含む場合、コア部とシェル部とが完全に相溶し、これらを区別できない均質構造のものであってもよく、これらが完全には相溶せずに不均質に形成されるコア・シェル複合構造やミクロドメイン構造であってもよいが、これらの構造の中でも、エマルションの特性を充分に引き出し、安定なエマルションを作製するためには、コア・シェル複合構造であることが好ましい。
コア・シェル複合構造を有するエマルションは、実用温度範囲内の幅広い範囲における制振性に優れる。特に高温域においても、他の形態の制振材配合物と比較して優れた制振性を発揮し、その結果、実用温度範囲内において、常温から高温域まで幅広い範囲に渡って制振性能を発揮することができる。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
本発明の制振材用樹脂組成物がコア部とシェル部とを有するエマルション粒子を含む場合、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体は、エマルションのコア部を形成する単量体成分、シェル部を形成する単量体成分のいずれに含まれていてもよく、これらの両方に用いられるものであってもよい。
本発明の水系制振材用樹脂組成物が含むポリマーの少なくとも1種がコア部とシェル部とを有するエマルション粒子の形態である場合、コア部を形成する単量体成分から得られるポリマーとシェル部を形成する単量体成分から得られるポリマーとは、重量平均分子量やガラス転移温度、SP値(溶解度係数)、使用される単量体の種類、単量体の使用割合等の各種物性のうちいずれかにおいて異なるものであればよいが、中でも、重量平均分子量、ガラス転移温度の少なくとも1つで差を有するものであることが好適である。
コア部を形成する単量体成分から得られるポリマーとシェル部を形成する単量体成分から得られるポリマーとのガラス転移温度(Tg)の差は、上述したポリマーを2種以上含む場合のガラス転移温度の差と同様であることが好ましい。
また、コア部を形成する単量体成分とシェル部を形成する単量体成分とを合わせたトータルの単量体成分からから得られるポリマーのTgは、−25〜150℃であることが好ましい。より好ましくは、−20〜100℃であり、更に好ましくは、−20〜80℃である。中でも更に好ましくは、−20〜40℃であり、特に好ましくは−15〜40℃であり、中でも特に好ましくは、−10〜40℃であり、最も好ましくは、−10〜30℃である。
上記コア部とシェル部とを有するエマルション粒子は、後述する乳化重合法(多段重合)を用いて得ることができる。
本発明の制振材用樹脂組成物が溶剤系の制振材用樹脂組成物である場合、組成物が含む溶剤としては、単量体成分を重合してなるポリマー、添加剤を溶解することができるものであれば特に制限されず、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ヘキサン、トルエン、キシレン等の1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の制振材用樹脂組成物が単量体成分を重合してなるポリマーが水系溶媒中にエマルションの形態で存在した水系のものである場合、水系溶媒としては、後述するポリマーエマルションの製造の際に用いる水系溶媒と同様のものを用いることができる。
本発明の制振材用樹脂組成物は、単量体成分を重合してなるポリマーと制振材用樹脂組成物の制振性を向上させるために添加される添加剤を含むものである限り、その他の成分を含んでもよい。
その他の成分を含む場合、制振材用樹脂組成物全体に対して、その他の成分の割合は、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。なお、ここでいうその他の成分とは、制振材用樹脂組成物を塗布し、加熱乾燥した後も塗膜中に残る不揮発分(固形分)のことを意味し、水性媒体や有機溶媒は含まれない。
本発明の制振材用樹脂組成物は、固形分の含有割合が制振材用樹脂組成物全体に対して40〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜80質量%である。
本発明の制振材用樹脂組成物が上述した溶剤系の制振材用樹脂組成物である場合、本発明の制振材用樹脂に含有されるポリマーの製造方法としては、特に制限されないが、有機溶剤に単量体を溶解し、溶剤中で重合する溶液重合により製造することが好ましい。
溶液重合に用いる有機溶剤としては、上述した溶剤系の制振材用樹脂組成物が含む溶剤と同様のものを用いることができる。また、後述する重合開始剤、重合連鎖移動剤等を用いることができる。
本発明の制振材用樹脂組成物が含む単量体成分を重合してなるポリマーがエマルションの形態である場合、すなわち、本発明の制振材用樹脂組成物が水系の制振材用樹脂組成物である場合、本発明の制振材用樹脂に含有されるポリマーは、乳化剤の存在下で乳化重合法により単量体成分を重合することになるが、乳化重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び乳化剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いることが好ましい。
本発明の制振材用樹脂組成物に含有されるポリマーがコア部とシェル部とを有するエマルションである場合、通常の乳化重合法を用いて得ることが好ましい。具体的には、乳化剤及び/又は保護コロイドの存在下、水系溶媒中で単量体成分を乳化重合させてコア部を形成した後、該コア部を含むエマルションに更に単量体成分を乳化重合させてシェル部を形成する多段重合により得ることが好ましい。このように、本発明の制振材用樹脂組成物に含有されるポリマーがコア部とシェル部とを有するエマルションであって、該エマルションがコア部を形成した後、シェル部を形成する多段重合により得られるものである形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
上記水系溶媒としては特に限定されず、例えば、水、水と混じり合うことができる溶媒の1種又は2種以上の混合溶媒、このような溶媒に水が主成分となるように混合した混合溶媒等が挙げられる。これらの中でも、本発明の制振材用樹脂組成物を含む塗料を塗布する際の安全性や環境への影響を考慮すると、水が好適である。
上記乳化剤の使用量としては、重合性不飽和結合基を有する化合物の総量100質量%に対して、好ましくは0.1〜10質量%である。0.1質量%未満であると、機械安定性を充分に向上できない上に、重合安定性が充分に維持できないおそれがある。より好ましくは0.5〜7質量%であり、更に好ましくは1〜6質量%である。
上記乳化剤としては、アニオン性(系)、カチオン性(系)、ノニオン性(系)、両性の各種界面活性剤、及び、高分子界面活性剤の1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルコハク酸ジ塩;ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン系界面活性剤として好適な市販品としては、例えば、ラテムルWX、ラテムル118B、ペレックスSS−H、エマルゲンA−60、B−66、レベノールWZ(花王社製)、ニューコール707SF、ニューコール707SN、ニューコール714SF、ニューコール714SN、AB−26S、ABEX−2010、2020、2030、DSB(ローディア日華社製)等を挙げることができる。
また、これらのノニオンタイプに相当する界面活性剤も使用することができる。
上記アニオン系界面活性剤としては、また反応性界面活性剤として、反応性アニオン系界面活性剤、スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤、アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成工業社製)、アデカリアソープSR−10、SR−20、SR−30(ADEKA社製)等が挙げられる。
アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネー卜塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−10」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、花王社製「ラテムルPD−104」等)等も用いることができる。
また、上記アニオン系界面活性剤としては、更に反応性界面活性剤として、下記の界面活性剤等も用いることができる。
炭素数3〜5の脂肪族不飽和カルボン酸のスルホアルキル(炭素数1〜4)エステル塩型界面活性剤、例えば、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートアンモニウム塩等の(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩型界面活性剤;スルホプロピルマレイン酸アルキルエステルナトリウム塩、スルホプロピルマレイン酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩、スルホエチルフマル酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩等の脂肪族不飽和ジカルボン酸アルキルスルホアルキルジエステル塩型界面活性剤。
上記ノニオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミド又は酸との縮合生成物等が挙げられる。また、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、ADEKA社製「アデカリアソープER−20」等)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(例えば、花王社製「ラテムルPD−420」、「ラテムルPD−430」等)等の反応性を有するノニオン系界面活性剤も用いることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記カチオン系界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記両性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記高分子界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物;(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記界面活性剤の中でも、環境面からは、非ノニルフェニル型の界面活性剤を用いることが好適である。
上記保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;グアーガム等の天然多糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なお、保護コロイドは単独で使用されてもよいし、界面活性剤と併用されてもよい。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下である。
上記重合開始剤としては、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であれば特に限定されないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、0.1〜2質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1質量部である。
上記重合開始剤には、重合を促進させるため、必要に応じて還元剤を併用することができる。還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、重合体を形成するのに用いられる単量体成分の総量100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましい。
上記重合連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトピロピオン酸トリデシルエステル等のメルカプトカルボン酸アルキルエステル;メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル等のメルカプトカルボン酸アルコキシアルキルエステル;オクタン酸2−メルカプトエチルエステル等のカルボン酸メルカプトアルキルエステルや、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソール、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を用いることが好ましい。重合連鎖移動剤の使用量としては、例えば、全単量体成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下である。更に好ましくは、5.0質量部以下、特に好ましくは2.0質量部以下、最も好ましくは1.0質量部以下である。
上記重合は、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤や、無機塩等の存在下で行ってもよい。また、単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記製造方法における重合条件に関し、重合温度としては特に限定されず、例えば、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは40〜95℃である。また、重合時間も特に限定されず、例えば、1〜15時間とすることが好適で、より好ましくは5〜10時間である。
単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
本発明の水系の制振材用樹脂組成物に含有される重合体の製造方法においては、乳化重合によりエマルションを製造した後、中和剤によりエマルションを中和することが好ましい。これにより、エマルションが安定化されることになる。
中和剤としては特に限定されず、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン;ジグリコールアミン、アンモニア水;水酸化ナトリウム等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、制振材用樹脂組成物から形成される塗膜の耐水性等が向上することから、塗膜の加熱時に揮散する揮発性塩基を用いることが好ましい。より好ましくは、加熱乾燥性が良好となり、制振性が向上することから、沸点が80〜360℃のアミンを用いることが好ましい。このような中和剤としては、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン、ジグリコールアミンが好適である。より好ましくは、沸点が130〜280℃のアミンを用いることである。
なお、上記沸点は、常圧での沸点である。
本発明の制振材用樹脂組成物は、必要に応じて他成分を含むことができる。本発明の制振材用樹脂組成物が、顔料、発泡剤及び増粘剤を必須成分として含有してなることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。このような本発明の制振材用樹脂組成物は、優れた加熱乾燥性を有し、種々の機能を発揮することができ、特に優れた制振性を発揮し得る制振材を形成することができるものである。
上記制振材用樹脂組成物が顔料、発泡剤及び増粘剤を含む場合、制振材用樹脂組成物の総量100質量%に対し、固形分を20〜90質量%含有してなることが好ましく、より好ましくは30〜90質量%であり、更に好ましくは40〜90質量%である。
上記顔料、発泡剤及び増粘剤を含む制振材用樹脂組成物における単量体成分を重合してなるポリマーの配合量としては、例えば、制振材用樹脂組成物の固形分100質量%に対し、単量体成分を重合してなるポリマーの固形分が10〜60質量%となるように設定することが好ましく、より好ましくは15〜60質量%である。
上記水系の制振材用樹脂組成物が顔料、発泡剤及び増粘剤を含む場合、制振材用樹脂組成物のpHは、7〜11であることが好ましく、より好ましくは7〜9である。当該pHは、上述したものと同様の方法により測定することができる。
上記水系の制振材用樹脂組成物が顔料、発泡剤及び増粘剤を含む場合、制振材用樹脂組成物の粘度は、50〜200Pa・sであることが好ましい。このような粘度であると、基材への塗工がしやすく、かつ、液ダレのない、塗布型制振材用樹脂組成物として好適なものとなる。より好ましくは60〜150Pa・sである。
制振材用樹脂組成物の粘度は、上述したものと同様の方法により測定することができる。
上記顔料としては、例えば、後述する着色剤や防錆顔料等の1種又は2種以上を使用することができる。上記顔料の配合量としては、制振材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100質量部に対し、50〜700質量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜550質量部である。
上記発泡剤としては、例えば、低沸点炭化水素内包の加熱膨張カプセル、有機発泡剤、無機発泡剤等が好適であり、これらの1種又は2種以上を使用することができる。加熱膨張カプセルとしては、例えば、マツモトマイクロスフィアーF−30、F−50(松本油脂社製);エクスパンセルWU642、WU551、WU461、DU551、DU401(日本エクスパンセル社製)等が挙げられ、有機発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)等が挙げられ、無機発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、シリコンハイドライド等が挙げられる。
上記発泡剤の配合量としては、制振材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100質量部に対し、0.5〜5.0質量部とすることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0質量部である。
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。増粘剤の配合量としては、制振材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜2質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5質量部であり、更に好ましくは0.1〜1質量部である。
その他、本発明の制振材用樹脂組成物に配合することのできる他の成分としては、例えば、溶媒;水系架橋剤;充填剤;分散剤;消泡剤;着色剤;防錆顔料;可塑剤;安定剤;湿潤剤;防腐剤;発泡防止剤;老化防止剤;防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を制振材用樹脂組成物の形態に合わせて適宜選択して使用することができる。
なお、上記他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、上記制振材用樹脂組成物等と混合され得る。
上記溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。溶剤の配合量としては、制振材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分濃度が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。
上記水系架橋剤としては、例えば、エポクロスWS−500、WS−700、K−2010、2020、2030(いずれも商品名、日本触媒社製)等のオキサゾリン化合物;アデカレジンEMN−26−60、EM−101−50(いずれも商品名、ADEKA社製)等のエポキシ化合物;サイメルC−325(商品名、三井サイテック社製)等のメラミン化合物;ブロックイソシアネート化合物;AZO−50(商品名、50質量%酸化亜鉛水分散体、日本触媒社製)等の酸化亜鉛化合物等が好適である。水系架橋剤の配合量としては、例えば、制振材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜20質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.15〜15質量部、更に好ましくは0.5〜15質量部である。
水系架橋剤は、上記添加剤を加える前の単量体成分を重合してなるポリマーに添加してもよいし、制振材用樹脂組成物として他の成分を配合するときに同時に添加してもよい。上記制振材用樹脂組成物に架橋剤を混合することにより、樹脂の強靱性が向上し、その結果、高温領域で充分な高制振性が発現する。中でもオキサゾリン化合物を用いることが好ましい。
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、ガラストーク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、珪藻土、クレー等の無機質充填剤;ガラスフレーク、マイカ等の鱗片状無機質充填剤;金属酸化物ウィスカー、ガラス繊維等の繊維状無機質充填剤等が挙げられる。充填剤の配合量としては、制振材用樹脂組成物中の単量体成分を重合してなるポリマーの固形分100質量部に対し、50〜700質量部とすることが好ましく、より好ましくは100〜550質量部である。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤、及び、ポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤等が挙げられる。
上記着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、ハンザイエロー、ベンジンイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等の有機又は無機の着色剤が挙げられる。
上記防錆顔料としては、例えば、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等が挙げられる。
上記他の成分としては更に、多価金属化合物を用いてもよい。この場合、多価金属化合物により、制振材用樹脂組成物の安定性、分散性、加熱乾燥性や、制振材用樹脂組成物から形成される制振材の制振性が向上することとなる。多価金属化合物としては特に限定されず、例えば、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記多価金属化合物の形態としては、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。中でも、水系制振材用樹脂組成物中への分散性が向上することから、水分散体又は乳化分散体の形態で使用することが好ましく、より好ましくは乳化分散体の形態で使用することである。
また、多価金属化合物の使用量は、制振材用樹脂組成物中の固形分100質量部に対して、0.05〜5.0質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜3.5質量部である。
上記制振材用樹脂組成物を塗布した後、乾燥して塗膜を形成させる条件としては、加熱乾燥してもよく、常温乾燥してもよいが、効率性の点で加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥の温度の下限としては、110℃以上とすることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。また、加熱乾燥の温度の上限としては、210℃以下とすることが好ましく、より好ましくは170℃以下である。
上記制振材用樹脂組成物を制振材用途に適用する場合、その制振性は、制振材用樹脂組成物から形成される膜の損失係数を測定することにより評価することができる。
損失係数は、通常tanδで表され、制振材に対して与えた振動がどの程度減衰したかを示すものである。上記損失係数は、数値が高いほど制振性能に優れていることを示す。
上記損失係数の測定方法としては、動的粘弾性測定により、損失係数tanδを求める方法を用いることができる。動的粘弾性測定は、例えば、レオメーター(RSAIII、TAinstruments社製、又は、ARES、TAinstruments社製)を用いて行うことができる。
上記損失係数は、表面が平滑なテフロン(登録商標)板上に乾燥後膜厚が0.2mmとなるように制振材用樹脂組成物を塗布し、25℃で12時間乾燥後、100℃で30分減圧乾燥し、長さ25mm×幅5mmのサイズに切り出したサンプルにより測定することができる。損失係数の測定は、測定の対象となる制振材用樹脂組成物から添加剤を除いたものに該当するブランクの樹脂成分から形成した被膜について測定した損失係数のピーク面積を基準として、測定の対象となる制振材用樹脂組成物から形成した被膜の損失係数のピーク面積の増減を観測し、ピークトップ温度の前後30℃の範囲の面積を計測することにより行うことができる。
又は、実施例に記載の、表面が平滑なテフロン(登録商標)板上に乾燥後膜厚が0.5mmとなるように制振材用樹脂組成物を塗布し、25℃で12時間乾燥後、100℃で30分減圧乾燥し、直径25mmのサイズに切り出したサンプルを用いた、ずりモードによる測定方法により行うことができる。
本発明の制振材用樹脂組成物は、上述の構成よりなり、単量体成分を重合してなるポリマーと該ポリマーに相溶した状態である添加剤との相互作用により優れた制振性を発揮し、鉄道車両、船舶、航空機等の輸送機器や電気機器、建築構造物、建設機器等の塗布型の制振材が用いられる各種用途に好適に用いることができる組成物である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
製造例1
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に酢酸ブチル400部を仕込んだ。さらに、メチルメタクリレート250部、n−ブチルアクリレート250部、n−ドデシルメルカプタン1.0部を計量したモノマープレミックスのうち1割を重合器に添加し、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を90℃まで昇温した。モノマープレミックスの残り9割は滴下ロートに仕込んだ。次に、重合器の内温を90℃に維持しながら、2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液を7.3部添加し、初期重合を開始した。10分後、反応系内を90℃に維持したまま、残りのモノマープレミックスを180分にわたって均一に滴下した。同時に2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液65.7部を180分かけて均一に滴下した。滴下終了30分後と60分後に、ブースターとして2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液20部を2分割して添加した。ブースター添加後90分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、不揮発分50.2%、粘度3,500mPa・s、重量平均分子量120,000、Tg3℃の樹脂溶液を得た。
製造例2
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に酢酸ブチル400部を仕込んだ。さらに、メチルメタクリレート200部、スチレン52.5部、n−ブチルアクリレート190部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、アクリル酸7.5部、n−ドデシルメルカプタン2.5部を計量したモノマープレミックスのうち1割を重合器に添加し、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を90℃まで昇温した。モノマープレミックスの残り9割は滴下ロートに仕込んだ。次に、重合器の内温を90℃に維持しながら、2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液を7.3部添加し、初期重合を開始した。10分後、反応系内を90℃に維持したまま、残りのモノマープレミックスを180分にわたって均一に滴下した。同時に2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液65.7部を180分かけて均一に滴下した。滴下終了30分後と60分後に、ブースターとして2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液20部を2分割して添加した。ブースター添加後90分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、不揮発分50.0%、粘度2,700mPa・s、重量平均分子量60,000、Tg3℃の樹脂溶液を得た。
製造例3
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水150部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートに、メチルメタクリレート275部、2−エチルヘキシルアクリレート92.5部、n−ブチルアクリレート125部、アクリル酸7.5部、t−ドデシルメルカプタン2.2部、ラテムルPD−104(商品名、花王社製、20%水溶液)90部及び脱イオン水97部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの4部、5%過硫酸カリウム水溶液2.5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液5部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を240分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を240分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水1.5部を添加し、不揮発分55.2%、pH7.3、粘度250mPa・s、平均粒子径180nm、重量平均分子量80,000、Tg8℃のエマルションを得た。
製造例4
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水150部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートに、スチレン100部、メチルメタクリレート47.5部、2−エチルヘキシルアクリレート95部、アクリル酸7.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ(商品名、花王社製)45部及び脱イオン水48.5部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの4部、5%過硫酸カリウム水溶液2.5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液5部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液25部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液25部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。
次いで、滴下ロートにスチレン50部、メチルメタクリレート47.5部、ブチルアクリレート145部、アクリル酸7.5部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ(商品名、花王社製)45部及び脱イオン水48.5部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液25部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液25部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水3部を添加し、不揮発分55.0%、pH7.1、粘度400mPa・s、平均粒子径220nm、重量平均分子量170,000、1段目のTg10℃、2段目のTg−10℃、トータルTg0℃のエマルションを得た。
製造例5
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に酢酸ブチル400部を仕込んだ。さらに、メチルメタクリレート210部、2−エチルヘキシルアクリレート290部、n−ドデシルメルカプタン0.8部を計量したモノマープレミックスのうち1割を重合器に添加し、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を90℃まで昇温した。モノマープレミックスの残り9割は滴下ロートに仕込んだ。次に、重合器の内温を90℃に維持しながら、2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液を7.3部添加し、初期重合を開始した。10分後、反応系内を90℃に維持したまま、残りのモノマープレミックスを180分にわたって均一に滴下した。同時に2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液65.7部を180分かけて均一に滴下した。滴下終了30分後と60分後に、ブースターとして2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液20部を2分割して添加した。ブースター添加後90分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、不揮発分50.4%、粘度3,800mPa・s、重量平均分子量160,000、Tg−21℃の樹脂溶液を得た。
製造例6
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水150部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートに、メチルメタクリレート484部、n−ブチルアクリレート8.5部、アクリル酸7.5部、t−ドデシルメルカプタン2.2部、ラテムルPD−104(商品名、花王社製、20%水溶液)90部及び脱イオン水97部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの4部、5%過硫酸カリウム水溶液2.5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液5部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を240分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を240分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水1.5部を添加し、不揮発分54.9%、pH7.1、粘度240mPa・s、平均粒子径180nm、重量平均分子量100,000、Tg100℃のエマルションを得た。
製造例7
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に酢酸ブチル400部を仕込んだ。さらに、メチルメタクリレート72部、2−エチルヘキシルアクリレート28部、イソボルニルメタクリレート400部、n−ドデシルメルカプタン0.8部を計量したモノマープレミックスのうち1割を重合器に添加し、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を90℃まで昇温した。モノマープレミックスの残り9割は滴下ロートに仕込んだ。次に、重合器の内温を90℃に維持しながら、2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液を7.3部添加し、初期重合を開始した。10分後、反応系内を90℃に維持したまま、残りのモノマープレミックスを180分にわたって均一に滴下した。同時に2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液65.7部を180分かけて均一に滴下した。滴下終了30分後と60分後に、ブースターとして2.1%濃度になるように酢酸ブチルに溶解した2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)溶液20部を2分割して添加した。ブースター添加後90分同温度を維持し、重合を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却後、不揮発分50.2%、粘度4,200mPa・s、重量平均分子量150,000、Tg140℃の樹脂溶液を得た。
実施例1
製造例1のポリマー(樹脂)溶液に、添加剤として4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)をポリマーと添加剤の不揮発分の合計100部中、20部となるように攪拌しながら配合し、表面が平滑なテフロン(登録商標)板上に乾燥後の膜厚が0.2mmとなるように塗布し、12時間室温で乾燥後、100℃で30分減圧乾燥させて、乾燥塗膜を得た。得られた乾燥塗膜から幅5mm、長さ25mmとなるように試験片を切り出し、試験に用いた。
実施例2、3
表1記載の比率で樹脂と添加剤を配合し、実施例1と同様の手法で試験片を作成した。
実施例4、5
表1記載の比率で樹脂と添加剤を配合する際、添加剤をあらかじめエチレングリコールモノブチルエーテルに完全に溶解し、50%溶液に調整してから配合し、配合24時間後に分離が無いことを確認してから用いたこと以外は、実施例1と同様の手法で試験片を作成した。
比較例1
表1記載の樹脂を用い、添加剤を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様の手法で試験片を作成した。
比較例2
表1記載の比率で樹脂と添加剤を配合し、実施例1と同様の手法で試験片を作成した。
実施例6
表1記載の比率で樹脂と添加剤を配合し、実施例1と同様の手法で試験片を作成した。
実施例7
表1記載の比率で樹脂と添加剤を配合する際、添加剤をあらかじめエチレングリコールモノブチルエーテルに完全に溶解し、50%溶液に調整してから配合し、配合24時間後に分離が無いことを確認してから用いたこと以外は、実施例1と同様の手法で試験片を作成した。
実施例8
製造例7のポリマー(樹脂)溶液に、添加剤としてアルキル化ジフェニルアミンをポリマーと添加剤の不揮発分の合計100部中、90部となるように攪拌しながら配合し、表面が平滑なテフロン(登録商標)板上に乾燥後の膜厚が0.5mmとなるように塗布し、12時間室温で乾燥後、100℃で30分減圧乾燥させて、乾燥塗膜を得た。得られた乾燥塗膜から直径25mmの円形の試験片を切り出し、試験に用いた。
<添加剤の相溶状態>
得られた乾燥塗膜の外観を観察した。添加剤の相溶状態の判定基準は下記の通りである。
○:添加剤の析出が無い均一な塗膜 ×:添加剤が析出している不均一な塗膜
<損失係数(tanδ)の測定>
実施例1〜7及び比較例1、2の損失係数(tanδ)はレオメーター(RSAIII、TAinstruments社製)で測定した。
実施例8の損失係数(tanδ)はレオメーター(ARES、TAinstruments社製)で測定した。
実施例1〜7及び比較例1、2は、厚み0.2mm、幅5mm、長さ25mmの試験片を用い、測定条件は引張モード、−40〜80℃、昇温レート3℃/min、周波数1Hzの条件で測定した。
実施例8は、厚み0.5mm、直径25mmの試験片を用い、測定条件はずりモード、直径25mmのパラレルプレート法、−40〜160℃、昇温レート3℃/min、周波数1Hzの条件で測定した。
評価はtanδピークトップ値(ピーク高さ)、tanδピーク温度、添加剤未添加のブランク比較したtanδ面積の比較にて行った。tanδピーク面積は、ピークトップ温度の前後30℃の範囲の面積を計測して用いた。
Figure 2013122046
表1中、添加剤(1)〜(5)は、それぞれ以下のものを表す。
(1):4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)(東京化成工業社製)
(2):N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフィンアミド(和光純薬工業社製)
(3):オクチル化ジフェニルアミン(大内新興化学工業社製、商品名:ノクラックAD−F)
(4):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフィンアミド(三新化学工業社製、商品名:サンセラーCM)
(5):アルキル化ジフェニルアミン(大内新興化学工業社製、商品名:ノクラックODA)

Claims (6)

  1. 単量体成分を重合してなるポリマーを含む制振材用樹脂組成物であって、
    該制振材用樹脂組成物は、該ポリマーに相溶した状態である添加剤を含むことを特徴とする制振材用樹脂組成物。
  2. 前記制振材用樹脂組成物は、単量体成分を重合してなるポリマー100質量%に対して、添加剤を10〜200質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の制振材用樹脂組成物。
  3. 前記ポリマーは、極性基含有単量体を含む単量体成分から得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振材用樹脂組成物。
  4. 前記ポリマーは、重量平均分子量が2万〜40万であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制振材用樹脂組成物。
  5. 前記制振材用樹脂組成物は、更に溶剤を含み、単量体成分を重合してなるポリマーと添加剤とが溶剤に溶解した溶剤系の制振材用樹脂組成物、又は、単量体成分を重合してなるポリマーが水系溶媒中にエマルションの形態で存在した水系の制振材用樹脂組成物のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の制振材用樹脂組成物。
  6. 前記添加剤は、芳香族第二級アミン系添加剤、グアニジン系添加剤、チオウレア系添加剤、アニリン系添加剤、キノリン系添加剤、ベンゾチアジル系添加剤、ベンゾトリアゾール系添加剤、ジフェニルアクリレート系添加剤、ベンゾフェノン系添加剤、フェノール系添加剤、ナフトール系添加剤、有機チオ酸系添加剤、亜リン酸系添加剤及びリン酸エステル系添加剤からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の制振材用樹脂組成物。
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