JP2013119820A - スクロール型圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑・冷却を確実に行い、その耐久性を高めることのできるスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】主軸31の軸支部31bにおいて、旋回スクロール32の旋回時における圧縮室内の圧力が最大となる位置Pに対し主軸31の中心を挟んだ反対側に、主軸31の軸線方向に沿って連続する切り欠き部110が形成されている。この切り欠き部110により、スリーブ100と主軸31の軸支部31bとの間には、主軸31の軸線方向に連続する潤滑油流通路A1が形成され、潤滑油をドライブピン50側に供給する。
【選択図】図2

Description

本発明は、車載用空気調和機等を構成するスクロール型圧縮機に関する。
スクロール型の圧縮機は、渦巻状のスクロール壁をそれぞれ有する固定スクロールと旋回スクロールとを備える。そして、固定スクロールに対して旋回スクロールを公転旋回運動させ、双方のスクロール壁の間に形成される圧縮室の容積を減少させることで、圧縮室内の流体の圧縮を行う。
図8に示すように、空気調和機を構成する圧縮機1においては、ハウジング2内に吸入された冷媒は圧縮部4へと導かれる。圧縮部4において、旋回スクロール4Aと固定スクロール4Bとの間に形成された圧縮室へ前記の冷媒は導かれ、固定スクロール4Bに対する旋回スクロール4Aの公転により、圧縮室内の冷媒が圧縮され、ハウジング2に形成された吐出ポートから外部に吐出される。
ここで、旋回スクロール4Aは、外部のモータやエンジンによって回転駆動される主軸5によって旋回する。主軸5の中間部には、この主軸5を回転自在に支持するメインベアリング6Aおよびサブベアリング6Bが設けられている。主軸5の他端には、その中心軸からオフセットしたドライブピン7が形成されている。旋回スクロール4Aはこのドライブピン7にドライブベアリング8を介して回転自在に支持されることで、主軸5の中心軸に対して公転旋回する。
このような空気調和機を構成する圧縮機においては、潤滑油を用いることで、圧縮機内の各部、例えばメインベアリング6Aやドライブベアリング8の潤滑を図っている。
ここで、潤滑油は、ミスト状になって冷媒中に混在し、冷媒とともに圧縮機内に行き渡って各部の潤滑を図る。
しかし、上記したような構成においては、圧縮機1の高速運転時(運転回転数が高くなった状態)において、メインベアリング6Aやドライブベアリング8の潤滑が十分になされない可能性がある。そこで、メインベアリング6Aやドライブベアリング8、ドライブピン7の潤滑性を高めることが望まれている。
これに対し、高圧空間のオイル溜まりから圧縮途中の圧縮室に差圧を利用して給油し、摺動部の潤滑・冷却を促進させる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−118395号公報
しかしながら、メインベアリング6Aは圧縮機1のハウジング2に嵌め込まれているため、メインベアリング6Aによって潤滑油を含んだ冷媒が行き渡るべき空間が区切られてしまう。その結果、メインベアリング6Aの奥に位置するドライブピン周辺における潤滑・冷却が必ずしも十分に行えず、寿命を短くしてしまう懸念があった。
また、ドライブピン7およびドライブベアリング8についても、これらは旋回スクロール4Aに形成された凹部9に収容されており、袋小路状であるために、潤滑油を含んだ冷媒が行き渡りにくく、潤滑・冷却が必ずしも十分に行えないという問題があった。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、潤滑・冷却を確実に行い、その耐久性を高めることのできるスクロール型圧縮機を提供することを目的とする。
かかる目的のもとになされた本発明は、スクロール型の圧縮機であって、外殻を形成するハウジング内に複数の軸支部において回転自在に支持された主軸と、主軸に設けられ、当該主軸の中心に対して偏心したドライブピンと、ドライブピンに回転自在に連結された旋回スクロールと、旋回スクロールと対向することで冷媒を圧縮する圧縮室を形成し、ハウジングに固定された固定スクロールと、旋回スクロールと一体に設けられ、旋回スクロールのアンバランスを軽減するバランサと、を備え、主軸の軸支部の表面において、圧縮室内の圧力が最大となる角度位置に対して軸支部の中心を挟んだ反対側に、主軸の軸線方向に連続する切り欠き部が形成されることで軸支部と当該軸支部の外周側の部材との間に間隙が形成され、当該間隙が、軸支部を挟んで主軸の一端側と主軸の他端側とを連通し、潤滑油を含んだ圧縮対象の流通路とされていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
このように、軸支部と当該軸支部の外周側の部材との間に間隙が形成され、当該間隙が、軸支部を挟んで主軸の一端側と主軸の他端側とを連通し、潤滑油を含んだ圧縮対象の流通路とされることで、軸支部、およびドライブピンの近傍に潤滑油を供給することができる。
ここで、切り欠き部は、主軸の軸支部の表面において、圧縮室内の圧力が最大となる角度位置に対して軸支部の中心を挟んだ反対側に形成するようにしたので、圧縮時の圧力が切り欠き部に作用するのを避けることができる。
また、ドライブピンの外周面またはドライブピンが挿入された挿入孔の内周面において、圧縮室内の圧力が最大となる角度位置に対してドライブピンの中心を挟んだ反対側に、主軸の軸線方向に連続する切り欠き部または溝が形成されることでドライブピンと挿入孔との間に間隙が形成され、当該間隙が潤滑油を含んだ圧縮対象の流通路とされていることを特徴とすることもできる。
これにより、ドライブピンの周囲においても潤滑油を確実に供給することができる。
ドライブピンの外周側に、ドライブピンの外径よりも大きな内径を有するとともに、ドライブピンの外周側の部材に形成されたドライブピンの挿入孔の内径よりも小さな外径を有した筒状のスリーブが設けられ、スリーブは、圧縮室内の圧力が最大となる位置でドライブピンと挿入孔との間に挟み込まれてドライブピンとともに回転することもできる。
このスリーブは、圧縮室内の圧力が最大となる位置でドライブピンと挿入孔との間に挟み込まれてドライブピンとともに回転するので、ドライブピンとの当たり位置が順次変わり、ドライブピンとスリーブとの焼き付きを防ぐことができる。
ここで、スリーブの表面に、潤滑油を保持する油保持部を形成するのが好ましい。このような油保持部としては、スリーブの表面に形成したディンプルや凹部、溝等がある。さらに、スリーブ自体を発泡金属等の多孔質体とすれば、スリーブ全体を油保持部とすることができる。
また、主軸に設けられ、ドライブピンの中心軸に対して当該ドライブピンの半径よりも小さな寸法だけ偏心したボスと、バランサに設けられ、ボスの外径よりも大きな内径を有してボスが挿入される凹部と、を備え。ボスの外周面において、圧縮室内の圧力が最大となる角度位置に対してボスの中心を挟んだ反対側に、ドライブピンの外表面に潤滑油を含んだ圧縮対象を導くガイド溝を形成してもよい。
これにより、ボスからドライブピンの外表面に潤滑油を供給することができる。
本発明によれば、主軸の軸支部やドライブピンの回転摺動部に潤滑油を確実に供給することにより、潤滑・冷却を確実に行い、その耐久性を高めることが可能となる。
本実施の形態における圧縮機の構成を示す断面図である。 圧縮機の主軸を示す図である。 図2の右側面図である。 スリーブの複数例を示す図である。 主軸の他の変形例を示す図である。 ドライブピンの表面や軸孔に施すホーニング加工を示す断面図である。 軸孔側に凹部を形成した例を示す図である。 従来の圧縮機の構成を示す断面図である。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における圧縮機10の構成を示すための図である。
この図1に示すように、圧縮機10は、スクロール型で、ハウジング11内に、主軸31と、主軸31とともに回転する旋回スクロール32と、ハウジング11に固定された固定スクロール33と、を備える。
このような圧縮機10においては、ハウジング11の一端側に形成された冷媒導入ポートからハウジング11内に冷媒が導入され、旋回スクロール32と固定スクロール33との間に形成された圧縮室において冷媒が圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、ハウジング11の他端側に形成された冷媒吐出ポートから吐出される。
主軸31は、その両端部の軸支部31a、31bが、ハウジング11にサブベアリング34、メインベアリング35を介して回転自在に支持されている。主軸31の一端31cは、ハウジング11を貫通して外部に突出しており、図示しない駆動源が一端31cに連結されている。ここで、エンジンを駆動源とする場合、主軸31の一端31cにプーリやクラッチを設け、ベルト等を掛け回してエンジンに連結して駆動力を伝達する。また、駆動源としては、車両のエンジンの他、モータ等を用いることも可能である。モータを駆動源とする場合、モータの回転軸と主軸31とをベルトやギヤ等で連結しても良いし、モータの回転軸を主軸31としても良い。その場合、モータは、ハウジング11の内部に一体に内蔵することも可能である。
旋回スクロール32、固定スクロール33は、それぞれ円板状の端板32a、33aの一面側に、渦巻状のスクロール壁32b、33bが立設されている。これら旋回スクロール32と固定スクロール33は、スクロール壁32b、33bを互いに組み合わせて、双方のスクロール壁32b、33b間に圧縮室を形成している。
主軸31の他端部においては、軸支部31bから、ドライブピン50が突出形成されている。ドライブピン50は、主軸31の中心軸から予め定められた寸法だけ偏心した位置を中心として形成されている。
旋回スクロール32の端板32aには、ドライブピン50を収容する凹部32cが形成されている。ドライブピン50は、この凹部32cに、後述するバランサ40、円筒状のスリーブ130、ドライブベアリング55を介して回転自在に保持されている。
これにより、旋回スクロール32は、主軸31の中心に対し偏心して設けられ、主軸31がその軸線周りに回転すると、旋回スクロール32は、主軸31の中心に対し、偏心した寸法を半径とした回転(公転)を行う。なお、旋回スクロール32が、公転しつつも、自転はしないよう、旋回スクロール32と主軸31との間には、図示しないオルダムリングが介在している。
また、主軸31の他端部においては、軸支部31bとドライブピン50との間に、ボス60が形成されている。ボス60は、ドライブピン50の外径よりも大きな外径を有している。また、ボス60は、ドライブピン50の中心軸に対し偏心して形成される。
また、旋回スクロール32と主軸31との間には、主軸31に対して偏心した旋回スクロール32によるアンバランスを解消するため、バランサ40が設けられている。バランサ40は、軸孔42に主軸31のドライブピン50が回転自在な状態で挿入され、軸孔42から旋回スクロール32が偏心した方向とは反対方向に延びる扇状のプレート部40aと、プレート部40aの外周部に一体に形成されたウェイト部40bと、を有している。
バランサ40のプレート部40aにおいて、旋回スクロール32に対向する面とは反対側に、前記のボス60を収容する凹部43が形成されている。この凹部43は、ボス60の外径に対し、その内径が一定寸法大きく形成され、ボス60と凹部43との間にクリアランスが形成されている。これにより、ボス60と、凹部43とが、前記のクリアランスの範囲内で相対移動可能となっている。
このような構成においては、主軸31が回転すると、ドライブピン50は、主軸31の中心軸を中心として、主軸31の中心軸からのドライブピン50の中心軸の偏心寸法を半径とした旋回運動を行う。このとき、旋回スクロール32およびバランサ40は、ドライブピン50を中心とし、ボス60と凹部43とのクリアランスの範囲内で揺動する。このように、旋回スクロール32を一定の許容範囲内で可動とすることで、各部の製造誤差等を吸収し、固定スクロール33に対して常に密着させる。
さて、図2、図3に示すように、上記したような圧縮機10においてメインベアリング35の内周面と、主軸31の軸支部31bとの間に、円筒状のスリーブ100が設けられている。
図2、図3、図4(a)に示すように、スリーブ100は、その内径が主軸31の軸支部31bの外径よりも所定寸法、例えば15〜75μm、大きくなるように形成されている。また、スリーブ100は、その外径がメインベアリング35の内径よりも所定寸法、例えば15〜75μm、小さく形成されている。
旋回スクロール32の旋回時には、旋回スクロール32と固定スクロール33との間に形成される圧縮室が圧縮されるにともない、圧縮室内の圧力が旋回スクロール32の径方向に作用する。この圧力により、主軸31の軸支部31bは、ハウジング11に圧入されたメインベアリング35に対し、その径方向に相対的に変位する。旋回スクロール32の旋回時、旋回スクロール32の周方向において、その径方向の変位量が最大となる位置(すなわち圧縮室内の圧力が最大となる位置)Pを含む領域では、主軸31の軸支部31bとスリーブ100とメインベアリング35とが密着し、スリーブ100は主軸31の軸支部31bとともに回転する。それ以外の領域では、スリーブ100は回転しないようになっている。
これにより、スリーブ100は、圧縮室内の圧力が高まったときのみ軸支部31bとともに回転することで、主軸31の軸支部31bに対するスリーブ100の当たり位置(角度)がずれていく。その結果、主軸31の軸支部31bの周方向の特定位置だけが偏摩耗するのを防ぐ。
主軸31の軸支部31bにおいて、旋回スクロール32の旋回時における圧縮室内の圧力が最大となる位置Pに対し、主軸31の中心を挟んだ反対側には、主軸31の軸線方向に沿って連続する切り欠き部110が形成されている。この切り欠き部110は、軸支部31bの表面に例えば溝を形成しても良いが、応力集中を少しでも抑えるため、軸支部31bの表面の一部を切り欠いて平面状、あるいは曲率の大きな曲面状に形成するのがよい。この切り欠き部110により、軸支部31bは、主軸31の軸線に直交する断面における形状が略D字状となっている。
この切り欠き部110により、スリーブ100とその外周側の部材である主軸31の軸支部31bとの間には、主軸31の軸線方向に連続する潤滑油流通路A1が形成され、潤滑油をドライブピン50側に供給することができる。
また、ボス60には、ドライブピン50側の角部60aが周方向の一部に、主軸31の軸線に対して傾斜した切り欠き部120が形成されている。この切り欠き部120は、旋回スクロール32の旋回時における圧縮室内の圧力が最大となる位置Pに対し、ボス60の中心を挟んだ反対側に位置している。
この切り欠き部120により、ボス60とバランサ40との間に、潤滑油流通路A2が形成される。ここで、ボス60の角部60aは、周方向の一部がバランサ40との間に形成された潤滑油流通路A2とされ、残部がバランサ40に突き当たっている。
この潤滑油流通路A2を通して潤滑油をドライブピン50側に送り込むことができる。
ドライブピン50とバランサ40との間に設けられたスリーブ130は、その内径がドライブピン50の外径よりも所定寸法、例えば10〜50μm大きくなるように形成されている。また、スリーブ130は、その外径がバランサ40の軸孔42の内径よりも所定寸法、例えば10〜50μm小さく形成されている。
旋回スクロール32の旋回時には、旋回スクロール32と固定スクロール33との間に形成される圧縮室が圧縮されるにともない、圧縮室内の圧力が旋回スクロール32に作用する。この圧力により、ドライブピン50は、その径方向に相対的に変位する。旋回スクロール32の旋回時、旋回スクロール32の周方向において、ドライブピン50の径方向の変位量が最大となる位置(すなわち圧縮室内の圧力が最大となる位置)Pを含む領域では、ドライブピン50とスリーブ130とバランサ40とが密着し、スリーブ130はドライブピン50とともにドライブピン50周りに回転する。一方、旋回スクロール32の周方向において前記の領域以外では、スリーブ130は回転しない。
これにより、スリーブ130は、圧縮室内の圧力が高まるごとに回転することで、ドライブピン50、バランサ40に対するスリーブ130の当たり位置がずれていく。
ここで、バランサ40は鋳鉄により形成されるのに対し、スリーブ130は焼き入れ鋼、ドライブピン50はクロムモリブデン鋼等により形成され、その硬度は、バランサ40<スリーブ130およびドライブピン50となる。
ここで、スリーブ130とドライブピン50は、ドライブピン50の方が硬度が高ければ、耐焼き付き性が向上し、ドライブピン50の方が硬度が低ければ低コスト化が図れる。
このようにすると、旋回スクロール32の旋回時にスリーブ130が連れまわるため、バランサ40およびドライブピン50の特定位置だけが偏摩耗するのを防ぐことができる。
また、スリーブ130とドライブピン50およびバランサ40との間に潤滑油が侵入するため、これによりドライブピン50およびバランサ40の焼きつきを防ぐことができ、主軸31やバランサ40の動きを損なうことはない。したがって、圧縮機10の性能が低下するのを防ぐとともに、耐久性を高めることができる。
このようにして、主軸31のドライブピン50側に潤滑油を供給して潤滑・冷却を確実に行い、その耐久性を高めることが可能となる。
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例を示す。
上記実施形態の切り欠き部110に代えて、図5に示すように、主軸31の軸支部31bにおいて、旋回スクロール32の旋回時における圧縮室内の圧力が最大となる位置Pに対し、主軸31の中心を挟んだ反対側に、主軸31の軸線周りに螺旋状に傾斜して連続する切り欠き部110Aを形成することができる。さらに、この切り欠き部110Aは、その傾斜方向が、主軸31が回転したときに、遠心力により潤滑油流通路A1’を通して潤滑油がドライブピン50側に送り込まれるようになっている。
このようにして、切り欠き部110Aを螺旋状に傾斜して設けることで、潤滑油のドライブピン50側への供給を効率良く行うことができる。
また、図4(b)に示すようにスリーブ130の内周面や外周面に、油保持部として、溝や凹部、スリット135を形成しても良い。この溝や凹部、スリット135に潤滑油が入り込むことで、スリーブ130の内周面や外周面における潤滑油の保持性が高まる。その結果、ここで、潤滑・冷却を確実に行い、その耐久性を高めることが可能となる。
さらに、図4(c)に示すように、油保持部として、スリーブ130の表面に多数のディンプルを設けたり、テフロン(登録商標)コーティングを施したり、スリーブ130自体を発泡金属等の多孔質体により形成しても良い。これによっても、スリーブ130の内周面や外周面における潤滑油の保持性が高まる。その結果、潤滑・冷却を確実に行い、その耐久性を高めることが可能となる。
加えて、図5に示すように、ドライブピン50の表面に、螺旋状の溝140を設けても良い。螺旋状の溝140を、ドライブピン50の回転に伴って潤滑油がドライブピン50の先端側に送り込まれるような巻き方向とすることで、ドライブピン50の近傍への潤滑油の供給を行うことができる。その結果、ドライブピン50近傍における潤滑・冷却を確実に行い、その耐久性を高めることが可能となる。
さらに、ドライブピン50の表面、ドライブピン50が挿入されたバランサ40の軸孔42の内周面に、図6に示すように、ホーニング加工により、油保持部として多数の微細な溝150を形成してもよい。この溝150により潤滑油が保持され、潤滑・冷却性を高めることができる。
加えて、ドライブピン50側ではなく、図7に示すように、ドライブピン50が挿入されたバランサ40の軸孔42側に、ドライブピン50の軸線方向に連続する溝160を形成し、この溝160を潤滑油流通路A4としてもよい。この場合も、溝160は、旋回スクロール32の旋回時における圧縮室内の圧力が最大となる位置Pに対し、主軸31の中心を挟んだ反対側に位置するよう形成する。
なお、上記実施の形態では、圧縮機10の全体構成を説明したが、その構成については上記に挙げたものに限定する意図は無く、他の構成を有した圧縮機においても本発明を適用できるのは言うまでもない。
また、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
10 圧縮機
11 ハウジング
31 主軸
31a 軸支部
31b 軸支部
32 旋回スクロール
33 固定スクロール
34 サブベアリング
35 メインベアリング
40 バランサ
42 軸孔
50 ドライブピン
55 ドライブベアリング
60 ボス
60a 角部
100 スリーブ
110、110A、120 切り欠き部
130 スリーブ
135 スリット
140 溝
150 溝
160 溝

Claims (5)

  1. スクロール型の圧縮機であって、
    外殻を形成するハウジング内に複数の軸支部において回転自在に支持された主軸と、
    前記主軸に設けられ、当該主軸の中心に対して偏心したドライブピンと、
    前記ドライブピンに回転自在に連結された旋回スクロールと、
    前記旋回スクロールと対向することで冷媒を圧縮する圧縮室を形成し、前記ハウジングに固定された固定スクロールと、
    前記旋回スクロールと一体に設けられ、前記旋回スクロールのアンバランスを軽減するバランサと、を備え、
    前記主軸の前記軸支部の表面において、前記圧縮室内の圧力が最大となる角度位置に対して前記軸支部の中心を挟んだ反対側に、前記主軸の軸線方向に連続する切り欠き部が形成されることで前記軸支部と当該軸支部の外周側の部材との間に間隙が形成され、当該間隙が、前記軸支部を挟んで前記主軸の一端側と前記主軸の他端側とを連通し、潤滑油を含んだ圧縮対象の流通路とされていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 前記ドライブピンの外周面または前記ドライブピンが挿入された挿入孔の内周面において、前記圧縮室内の圧力が最大となる角度位置に対して前記ドライブピンの中心を挟んだ反対側に、前記主軸の軸線方向に連続する切り欠き部または溝が形成されることで前記ドライブピンと前記挿入孔との間に間隙が形成され、当該間隙が潤滑油を含んだ圧縮対象の流通路とされていることを特徴とする請求項1に記載のスクロール型圧縮機。
  3. 前記ドライブピンの外周側に、前記ドライブピンの外径よりも大きな内径を有し、前記バランサに形成された前記ドライブピンの軸孔の内径よりも小さな外径を有した筒状のスリーブが設けられ、
    前記スリーブは、前記圧縮室内の圧力が最大となる位置で前記ドライブピンと前記挿入孔との間に挟み込まれて前記ドライブピンとともに回転することを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール型圧縮機。
  4. 前記スリーブの表面に、潤滑油を保持する油保持部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のスクロール型圧縮機。
  5. 前記主軸に設けられ、前記ドライブピンの中心軸に対して当該ドライブピンの半径よりも小さな寸法だけ偏心したボスと、
    前記バランサに設けられ、前記ボスの外径よりも大きな内径を有して前記ボスが挿入される凹部と、を備え。
    前記ボスの外周面において、前記圧縮室内の圧力が最大となる角度位置に対して前記ボスの中心を挟んだ反対側に、前記ドライブピンの外表面に潤滑油を含んだ前記圧縮対象を導くガイド溝が形成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
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