JP5114635B2 - スクロール流体機械 - Google Patents

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Description

本発明は空気圧縮機、真空ポンプ、冷媒ガス圧縮機、酸素吸入機用圧縮機、エネルギー回収や温度差発電等に使用される膨張機等として用いられるスクロール流体機械に関する。
下記特許文献1では、スクロール流体機械の旋回スクロールの自転防止機構が、該旋回スクロールの基板とケーシング側の相対位置に設けた複数個の穴と、該穴内を転動するように嵌入され回転可能に支承された同数のストレートピンとからなっている。
下記特許文献2では、旋回スクロールの自転防止機構が、該旋回スクロールの外周部付近に同じ角度間隔を保ってずらして配置された3つのガイド部を備え、これらのガイド部が駆動軸に対して直角な平面に配置され、かつ該ガイド部がそれぞれ、旋回スクロールに形成された袋孔と、蓋状のケーシング部分で保持され、前記袋孔内に突入するガイド軸受とから構成されている。
下記特許文献3では、旋回スクロールの自転防止機構が、該旋回スクロールの周方向に離間して設けられ、該旋回スクロールの軸方向に伸びる複数のガイド部と、該各ガイド部の中心に対して偏心した位置で該各ガイド部を軸方向に貫通し、両端側がケーシングによって支持された複数の支持軸と、該各支持軸の外周側に設けられ、該各支持軸により前記旋回スクロールを各ガイド部を介して摺動可能に支持する複数の軸受とから構成されている。
特開昭62−3101号公報 特開昭62−191686号公報 特開平3−138472号公報
上記特許文献1のスクロール流体機械では、ストレートピンが軸受により支えられていて、該ピンの先端が該ピンが挿入される穴との接触により荷重を受けるので、軸受に曲げモーメントが発生し、軸受の耐久性や寿命が低下する。また、軸受には必ず内部隙間があり、ストレートピンが軸受により支えられているので傾きやすく、前記穴と肩当たり接触し、ストレートピンおよび穴の焼き付きや摩耗が生じやすい。
上記特許文献2、3のスクロール流体機械では、質量の大きい軸受が旋回スクロールに設けられており、高速で旋回運動するので、振動が生じやすく、また軸受からグリースが飛び出しやすい問題があった。
本発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、軸受の耐久性や寿命の低下、ピンおよび穴の焼き付きや摩耗を抑制し、また振動やグリースの飛び出しを低減することができるスクロール流体機械を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明は、ケーシングと、前記ケーシング内に軸受を介して回転可能に設けられた回転軸と、前記回転軸内に設けられた偏心穴に軸受を介して装着された旋回軸と、前記ケーシングに固定された固定スクロールと、前記固定スクロールと対面して前記旋回軸の一端に設けられた旋回スクロールとを具備し、前記回転軸の回転により前記旋回軸が旋回運動をする偏心駆動機構を有するスクロール流体機械において、前記旋回軸が自転しないようにするための自転防止機構として、前記旋回軸の前記旋回スクロールとは反対側の他端に設けられたベースと、前記ベースの前記旋回スクロールとは反対側の面に設けられた旋回ピンと、前記ベースと対面して前記ケーシングに固定された固定板と、前記固定板に設けられ、かつ前記旋回ピンが挿入されたガイド軸受とを有し、前記旋回ピンが、ピンネックと、前記ピンネックの先端に設けられ、前記ピンネックよりも外径の大きいピンヘッドとからなり、前記旋回ピンの旋回半径をr、前記ピンヘッドの外径をD PH 、前記ガイド軸受の内輪の内径をD とすると、D −D PH <2rの関係があることを特徴とする。
また、前記ベースが、放射状に3方向に延びる腕を有し、前記腕の先端部に、前記旋回軸の中心を中心とする円周上にそれぞれ中心がある前記旋回ピンが設けられていることを特徴とする。
また、前記ガイド軸受が、内輪と外輪を有する転がり軸受であることを特徴とする。
また、前記旋回ピンの旋回半径をr、前記旋回ピンの外径をD、前記ガイド軸受の内輪の内径をDとすると、D−D=2rの関係があることを特徴とする。
また、前記旋回ピンが樽形状をしていることを特徴とする。
さらに、前記旋回ピンと前記ガイド軸受との接触部の少なくとも一方の表面に自己潤滑材からなるコーティング材が設けられていることを特徴とする。
本発明に係るスクロール流体機械においては、軸受の耐久性や寿命の低下、ピンおよび穴の焼き付きや摩耗を抑制し、また振動やグリースの飛び出しを低減することができる。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1のスクロール流体機械を示す概略断面図である。図1に示すように、ケーシング1に固定スクロール2が固定され、固定スクロール2には渦巻状のラップ200が設けられている。また、ケーシング1にステータ7が固定され、ケーシング1に回転軸受9を介して回転軸5が回転可能に支持され、回転軸5にロータ6が固定され、ステータ7、ロータ6等によりモータが構成されている。また、回転軸5内に貫通して回転軸5の軸線と軸線が平行な偏心穴が設けられ、この回転軸5の偏心穴に旋回軸受8を介して旋回軸4が回転可能に装着支持され、回転軸5の中心線と旋回軸4の中心線とは偏っている。すなわち、旋回軸4は回転軸5に偏心して回転可能に支持されている。また、旋回軸4の一端に旋回スクロール3が取り付けられ、旋回スクロール3には固定スクロール2のラップ200と同一形状のラップ300が設けられ、旋回スクロール3のラップ300と固定スクロール2のラップ200とが重なり合っており、これにより複数の膨張室が形成され、固定スクロール2、旋回スクロール3等により本実施の形態では膨張機本体が構成されている。
なお、旋回軸4の偏心旋回を許容し、かつ、旋回軸4の自転を防止する自転防止機構についてはあとで詳述する。
また、固定スクロール2に注入口14が設けられ、ケーシング1に排出口15が設けられ、注入口14、排出口15は膨張室に連通している。そして、ケーシング1、モータ、回転軸5、旋回軸4、自転防止機構等により偏心旋回駆動装置が構成されている。
このスクロール流体機械においては、旋回軸4は回転軸5の中心線を中心として偏心旋回するが、後述の自転防止機構が設けられているから、旋回軸4は自転しない。このため、旋回軸4、旋回スクロール3がケーシング1、固定スクロール2に対して回転せずに偏心旋回するから、注入口14から高圧のガスを注入すると、旋回スクロール3のラップ300と固定スクロール2のラップ200により構成される膨張室内でガスが膨張し、旋回スクロール3を駆動し、旋回軸4が旋回運動することにより回転軸5が回転し、発電機のロータ6が回転してステータ7のコイルが発電する。膨張した低圧のガスは排出口15から外部へ排出する。なお、ここではエネルギー回収や温度差発電等に使用される膨張機の例を挙げて示しているが、本発明はこれに限定されず、空気圧縮機、真空ポンプ、冷媒ガス圧縮機、酸素吸入機用圧縮機等として用いられるスクロール流体機械に適用可能なことは言うまでもない。
次に、本発明に係る旋回軸4の自転を防止する自転防止機構について詳述する。
図2(a)は本発明の実施の形態1のベース10の正面図、(b)は側面図、図3は固定板12の正面図、図4は1個のガイド軸受13と旋回ピン11が組み合わされた状態を示す正面図である。
本実施の形態では、旋回軸4が自転しないようにするための自転防止機構として、旋回軸4の旋回スクロール3とは反対側の他端に設けられたベース10と、このベース10の旋回スクロール3とは反対側の面に設けられた旋回ピン11と、ベース10と対面してケーシング1に固定された固定板12と、この固定板12に設けられ、かつ旋回ピン11が挿入されたガイド軸受13とを有している。
ベース10は例えば、図2に示すように放射状に3方向に延びる3個の腕10aを有し、これらの腕10aの先端部に旋回ピン11が植え込まれている。これらの旋回ピン11のそれぞれの中心は、旋回軸4の中心を中心とする円周上にある。
図3に示すように固定板12には旋回ピン11が嵌入されるガイド軸受13が設けられている。ガイド軸受13は例えば図3に示すように内輪13aと外輪13bを有する深溝玉軸受等の転がり軸受である。
図4に示すように旋回ピン11の旋回半径をr、旋回ピン11の外径をD、ガイド軸受13の内輪13aの内径をDとすると、次の関係がある。
−D=2r (数式1)
旋回軸4が設定された旋回半径rで駆動されると、旋回ピン11も同じ旋回半径rで旋回する。このとき、数式1の関係があるから、旋回ピン11はガイド軸受13の内輪13aに接触する。すなわち、図4の破線に示すように、旋回ピン11はガイド軸受13の内輪13aに接触しながら旋回することになる。
ベース10に設けられた3箇所の旋回ピン11が、図4に示すように固定板12に固定されたガイド軸受13の内輪13aに接触するので、旋回軸4は回転することができない。したがって、旋回スクロール3は自転防止されて旋回運動することになる。
本実施の形態では、ガイド軸受13には旋回ピン11による水平荷重しかかからず、曲げモーメントが発生しない。旋回ピン11もベース10にしっかり固定されているので傾かない。したがって、ガイド軸受13の耐久性や寿命の低下を抑制し、旋回ピン11およびガイド軸受13の穴の焼き付きや摩耗を抑制することができ、信頼性を向上することができる。
また、ガイド軸受13がケーシング1に固定された固定板12に設けられており、ガイド軸受13は固定されたまま回転するだけなので、振動が生じにくく、また軸受からグリースが飛び出しにくい。
なお、本実施の形態において旋回ピン11、それに対応するガイド軸受13は3個ずつ設けたが、旋回ピン11、ガイド軸受13の数はこれに限定されず、1個でも2個でも4個以上でも本発明の効果を得ることができる。
以下、実施の形態1の変形例である実施の形態2〜4について説明する。
(実施の形態2)
図5は実施の形態1の図2(b)に対応する実施の形態2のベース10の側面図である。本実施の形態では、旋回ピン11が図5に示すように樽形状をしている。このような構成により、旋回ピン11がガイド軸受13の内輪13aと肩当たりしないで、円滑に接触し、旋回運動することができる。したがって、旋回ピン11とガイド軸受13との接触部が損傷しにくく、摩耗や騒音の発生も低減することができる。
(実施の形態3)
図6は実施の形態1の図2(b)および実施の形態2の図5に対応する実施の形態3のベース10の側面図である。本実施の形態では、旋回ピン11が、ピンヘッド11aとピンネック11bから構成されている。ピンヘッド11aは、ピンネック11bの先端に設けられ、ピンネック11bよりも外径が大きくなっている。このような構成により、ピンヘッド11aを常にガイド軸受13の内輪13aにある程度の力で接触させることができ、接触荷重が減少するので、損傷、摩耗、騒音の発生をより低減することができる。
(実施の形態4)
図7は実施の形態4の固定板12と旋回ピン11のピンヘッド11aとの関係を示す図で、固定板12は断面が示されている。
本実施の形態では、図7に示すように旋回ピン11の旋回半径をr、ピンヘッド11aの外径をDPH、ガイド軸受13の内輪13aの内径をDとすると、次の関係がある。
−DPH<2r (数式2)
このような構成により、ピンヘッド11aは自然の状態よりも常にやや内側に寄せられて旋回運動するから、旋回ピン11のたわみによる荷重で常にガイド軸受13の内輪13aの内面に押し付けられて旋回運動する。数式2の左辺と右辺の差をわずかにしておくと、弱い力で接触するので、損傷、摩耗、騒音の発生をより低減することができる。
(実施の形態5)
図8は実施の形態5の固定板12と旋回ピン11のピンヘッド11aとの関係を示す図で、固定板12は断面が示されている。
本実施の形態では、旋回ピン11とガイド軸受13の内輪13aとの接触部の少なくとも一方、ここでは旋回ピン11のピンヘッド11aの表面に自己潤滑材からなるコーティング材14が設けられている。
コーティング材14は例えばDLC(ダイヤモンドライクカーボン)、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、またはそれらの複合材料である。
このような構成により、旋回ピン11とガイド軸受13との接触部の損傷、摩耗、騒音の発生をより低減することができる。
以上説明した実施の形態はあくまで例であり、本発明はこれらに限定されず、他の変形や修正があり得ることはいうまでもない。
本発明の実施の形態1のスクロール流体機械の概略断面図である。 (a)は本発明の実施の形態1のベース10の正面図、(b)は側面図である。 本発明の実施の形態1の固定板12の正面図である。 本発明の実施の形態1の1個のガイド軸受13と旋回ピン11が組み合わされた状態を示す正面図である。 本発明の実施の形態2のベース10の側面図である。 本発明の実施の形態3のベース10の側面図である。 本発明の実施の形態4の固定板12と旋回ピン11のピンヘッド11aとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態5の固定板12と旋回ピン11のピンヘッド11aとの関係を示す図である。
符号の説明
1…ケーシング、2…固定スクロール、3…旋回スクロール、4…旋回軸、5…回転軸、6…ロータ、7…ステータ、8…旋回軸受、9…回転軸受、10…ベース、10a…腕、11…旋回ピン、11a…ピンヘッド、11b…ピンネック、12…固定板、13…ガイド軸受、13a…内輪、13b…外輪、14…コーティング材。

Claims (6)

  1. ケーシングと、前記ケーシング内に軸受を介して回転可能に設けられた回転軸と、前記回転軸内に設けられた偏心穴に軸受を介して装着された旋回軸と、前記ケーシングに固定された固定スクロールと、前記固定スクロールと対面して前記旋回軸の一端に設けられた旋回スクロールとを具備し、前記回転軸の回転により前記旋回軸が旋回運動をする偏心駆動機構を有するスクロール流体機械において、
    前記旋回軸が自転しないようにするための自転防止機構として、
    前記旋回軸の前記旋回スクロールとは反対側の他端に設けられたベースと、前記ベースの前記旋回スクロールとは反対側の面に設けられた旋回ピンと、前記ベースと対面して前記ケーシングに固定された固定板と、前記固定板に設けられ、かつ前記旋回ピンが挿入されたガイド軸受とを有し、
    前記旋回ピンが、ピンネックと、前記ピンネックの先端に設けられ、前記ピンネックよりも外径の大きいピンヘッドとからなり、
    前記旋回ピンの旋回半径をr、前記ピンヘッドの外径をD PH 、前記ガイド軸受の内輪の内径をD とすると、D −D PH <2rの関係がある
    ことを特徴とするスクロール流体機械。
  2. 前記ベースが、放射状に3方向に延びる腕を有し、前記腕の先端部に、前記旋回軸の中心を中心とする円周上にそれぞれ中心がある前記旋回ピンが設けられていることを特徴とする請求項1記載のスクロール流体機械。
  3. 前記ガイド軸受が、内輪と外輪を有する転がり軸受であることを特徴とする請求項1記載のスクロール流体機械。
  4. 前記旋回ピンの旋回半径をr、前記旋回ピンの外径をD、前記ガイド軸受の内輪の内径をDとすると、D−D=2rの関係があることを特徴とする請求項3記載のスクロール流体機械。
  5. 前記旋回ピンが樽形状をしていることを特徴とする請求項1記載のスクロール流体機械。
  6. 前記旋回ピンと前記ガイド軸受との接触部の少なくとも一方の表面に自己潤滑材からなるコーティング材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか記載のスクロール流体機械。
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