JP2013116626A - ポリオレフィン系フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 離型層を構成する樹脂がプロピレンとエチレンのブロック共重合体と炭素数4以上のα−オレフィン(共)重合体を少なくとも含み、炭素数4以上のα−オレフィン(共)重合体の配合量が離型層を構成する樹脂成分中5重量%以上35重量%未満であり、ポリプロピレン系樹脂からなる基材層の片面に粘着層を、反対面に離形層を共押出により積層してなり、離型層の表面粗さ(SRa)が0.20μm以上0.50μm以下であることを特徴とするポリオレフィン系フィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明のポリオレフィン系フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする基材層を必要とし、ここで用いるポリプロピレン系樹脂としては、結晶性ポリプロピレン、プロピレンと少量のα−オレフィンとのランダム共重合、ブロック共重合体等を挙げることができ、さらに詳しくは、結晶性ポリプロピレン樹脂として、通常の押出成形などで使用するn−へプタン不溶性のアイソタクチックのプロピレン単独重合体又はプロピレンを60重量%以上含有するプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができ、このプロピレン単独重合体あるいはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を、単独又は混合して使用することができる。基材層にはプロピレン単位が50重量%以上含まれていることが好ましく、さらには60重量%以上含まれていることが好ましい。プロピレンが50重量%未満であると、フィルムに腰感がなくなり、取り扱いが困難になることがある。
ここで、n−ヘプタン不溶性とは、ポリプロピレンの結晶性を指標すると同時に安全性を示すものであり、本発明では、昭和57年2月厚生省告示第20号によるn−ヘプタン不溶性(25℃、60分抽出した際の溶出分が150ppm以下〔使用温度が100℃を超えるものは30ppm以下〕)に適合するものを使用することが好ましい態様である。
本発明のポリオレフィン系フィルムの粘着層は、公知の粘着剤であれば使用することが可能であるが、スチレン系エラストマーやオレフィン系エラストマーであることが好ましい。特に高い粘着力を発現させるためにはスチレン系エラストマーが好適に用いることができる。また、粘着力のコントロールのために必要に応じポリオレフィン系樹脂、粘着付与樹脂、軟化剤を混合することもできる。
使用するスチレン系エラストマーのメルトフローレート(MFR:230℃、2.16Kgf)は、0.5〜20g/10分の範囲が好ましく、2.0〜15.0g/10分の範囲がより好ましく、3〜10g/10分の範囲がさらに好ましく、4〜7g/10分の範囲が特に好ましい。
ここで、粘着層表面の低分子量物質の測定は、次の手順にて実施した。粘着層表面をエタノール等の粘着層を構成する樹脂を侵食しない有機溶剤を用いて洗浄後、その洗浄液から有機溶剤をエバポレーター等で除去した後、その残渣を秤量して求めた数値を洗浄した粘着層表面の表面積で割り、求めた。ここで、残渣が1mg/m2以上存在すると粘着層表面と被着体表面の間に異物が存在する事となり、接触面積を減らし、ファンデルワールス力を低下させる原因となる為、粘着力が低下し好ましくない。添加剤を添加する場合は、高分子型等の添加剤を選択したり、添加量及び添加方法を検討するなどして、粘着層への移行、転写がない様にすることが必要である。
本発明のポリオレフィン系フィルムは、基材層の片面に積層された粘着層とは反対面に離型層を形成するが、そうすることよってフィルム同士を重ねてもフィルム同士のブロッキングが少なく、特にフィルムをロール状態で保管し、その後フィルムを繰出す際にも、フィルムが部分的に伸長したり、変形する等の問題が起き難く、フィルムの加工適性に優れる。フィルム同士を重ねてもフィルム同士のブロッキングが発生しないようにするには、離型層に表面凹凸を形成させ、粘着層との接触面積を小さくすることが有効である。
なお、ホモプロピレンやランダムポリプロピレンに上記の非相溶な樹脂を添加することで表面の凹凸を達成することもできるが、プロピレン−エチレンブロック共重合体を用いる場合には、生産機台の変更や製膜時の溶融混練条件により凹凸状態が変わりにくく、安定した生産が可能である。
このとき、離形層の表面凹凸は、表面の平均表面粗さSRaで0.25μm以上、0.45μm以下となる様な表面にすることがより好ましい。
なお、ポリオレフィン系フィルムの粘着面の離型面に対する剥離力の下限は現実的な値として1cN/25mm程度、さらには5cN/25mm程度である。
このとき、粘着力を大きくする場合は、その粘性を考慮し、厚みを大きくするのが好ましい。粘着層の厚みを大きくすることにより、被着体との接触面積が大きくなりやすい。粘着層の厚さは、2μm以上、20μm以下であることが好ましく、さらに3μm以上、15μm以下が好ましく、特に4μm以上、8μm以下が好ましい。
このとき、離型層の厚さは、2μm以上、20μm以下であることが好ましく、さらに3μm以上、15μm以下が好ましく、特に4μm以上、8μm以下が好ましい。
JIS−Z−0237(2000)粘着テープ・粘着シート試験方法に準拠して下記の方法にて測定した。
被着体として、アクリル板(三菱レイヨン(株)製:アクリライト(登録商標)3mm厚)50mm×150mmを準備し、試験片として、フィルム製造時の巻き取り方向に150mm、それとは直交する方向に25mmの試験片を切り出し、質量2000gのゴムロール(ローラ表面のスプリング硬さ80Hs、厚さ6mmのゴム層で被覆された、幅45mm、直径(ゴム層を含む)95mmのもの)を用いて、被着体と試験片を5mm/秒の速さで、1往復させて圧着した。圧着後、温度23℃、相対湿度65%の環境下で30分放置したものを(株)島津製作所製「オートグラフ(登録商標)」(AGS−J)を用いて、300mm/分の速度で180度剥離した際の抵抗値を粘着力[cN/25mm]とした。180度剥離とは、剥離時の抵抗値を測定する際のアクリル板とフィルムの剥離角度を180度に保持することを意味する。
測定の際は測定試料のつかみ代として厚み190μm、サイズ25mm×170mmのポリエステルシートを準備し、粘着フィルムとアクリル板を圧着した測定試料の粘着フィルム側の端に、のり代15mmの幅でセロハンテープにて貼り付けて、測定の際のつかみ代とした。測定試料の模式図を図1に示す。測定は一つのサンプルに関して3回実施し、その平均値をそのサンプルの粘着力とした。
アクリル板(三菱レイヨン(株)製:アクリライト(登録商標)3mm厚)50mm×150mm全面に両面接着テープ(日東電工(株)製:No.535A)を貼付け、両面接着テープの他面に試験片の粘着面が来るように150mm(フィルム製造時の巻き取り方向)×50mm(フィルム製造時の巻き取り方向とは直交方向)の試験片を貼付けた。
新たに試験片として、フィルム製造時の巻き取り方向に150mm、それとは直交する方向に25mmの試験片を切り出し、その粘着面とアクリル板に両面接着テープを介し貼付けた試験片の離型面を重ね合わせた後、質量2000gのゴムロール(ローラ表面のスプリング硬さ80Hs、厚さ6mmのゴム層で被覆された、幅45mm、直径(ゴム層を含む)95mmのもの)を用いて、離型面と試験片を5mm/秒の速さで、1往復させて圧着した。圧着後、温度23℃、相対湿度65%の環境下で30分放置したものを(株)島津製作所製「オートグラフ(登録商標)」(AGS−J)を用いて、300mm/分の速度で180度剥離した際の抵抗値を剥離力[cN/25mm]とした。
測定の際は測定試料のつかみ代として厚み190μm、サイズ25mm×170mmのポリエステルシートを準備し、150mm×25mmの試験片の端に、のり代15mmの幅でセロハンテープにて貼り付けて、測定の際のつかみ代とした。測定は一つのサンプルに関して3回実施し、その平均値をそのサンプルの剥離力とした。
(株)小坂研究所製の接触式三次元中心面表面粗計(型式ET−30HK)を用いて、離型層の表面の中心面平均粗さ(SRa)を次の条件で触針法により測定した。条件は下記の通りであり、3回の測定の平均値をもって値とした。
触針先端半径:0.5μm
触針圧:20mgf
カットオフ値:80μm
測定長:1000μm
測定速度:100μm/秒
測定間隔:2μm
JIS−K−7105プラスチックの光学的特性試験方法に準拠して日本電色工業製のヘイズメーター(NDH−2000)を用いて測定した。
KEYENCE製のデジタルマイクロスコープ(VHX−200F)を用いて倍率100倍でフィルム粘着面のデジタル画像を撮影した。離型層からの転写がそれほど起きていないものを○、ひどいものを×とした。
フィルムを製膜する際に均一な厚みで製膜できているものを○、できていないものを×とした。
(基材層の作製)
ホモポリプロピレン樹脂(住友化学製:FLX80E4、MFR:7.5g/10min)100wt%を120mmφ単軸押出し機にて240℃で溶融押出しして基材層とした。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン共重合比12wt%、MFR:4.5g/10min)85wt%とホモポリプロピレン樹脂(住友化学製:FS2011DG3、MFR:2.5g/10min)7.5wt%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)7.5wt%を90mmφ単軸押出し機にて220℃で溶融押出しして粘着層とした。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC4FC)92wt%とポリメチルペンテン(三井化学製:RT31)8wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
(フィルムの作製)
基材層、粘着層、離型層それぞれが各押出し機にて溶融された状態のまま、245℃の3層Tダイ(フィードブロック型、リップ幅850mm、リップギャップ1mm)内で積層押出しを行った。押出したフィルムを温度30℃のキャスティングロールへ20m/min速度で引取り、冷却固化して基材層厚みが28μm、粘着層厚みが6μm、離型層厚みが6μmの3種3層未延伸フィルムを得た。
粘着層、基材層は実施例1のまま、離型層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC3HF)76wt%とポリメチルペンテン(三井化学製:RT31)24wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
基材層は実施例1のまま、粘着層、離型層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン共重合比12wt%、MFR:4.5g/10min)と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)とホモポリプロピレン樹脂(住友化学製:FS2011DG3、MFR:2.5g/10min)を80/7.5/12.5wt%の比率で混合したものを、90mmφ単軸押出し機にて220℃で溶融押出しして粘着層とした。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC3HF)92wt%とポリメチルペンテン(三井化学製:RT31)8wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
基材層は実施例1のまま、粘着層、離型層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン共重合比12wt%、MFR:4.5g/10min)とホモポリプロピレン樹脂(住友化学製:FS2011DG3、MFR:2.5g/10min)を90/10wt%の比率で混合したものを、90mmφ単軸押出し機にて240℃で溶融押出しして粘着層とした。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC3HF)92wt%とポリメチルペンテン(三井化学製:RT31)8wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
基材層は実施例1のまま、粘着層、離型層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン共重合比12wt%、MFR:4.5g/10min)100wt%を、90mmφ単軸押出し機にて240℃で溶融押出しして粘着層とした。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC4FC)68wt%とポリメチルペンテン(三井化学製:RT31)32wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
基材層、粘着層は実施例1のまま、離型層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC4FC)100wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
基材層、粘着層は実施例1のまま、離型層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC4FC)96wt%とポリメチルペンテン(三井化学製:RT31)4wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
基材層、粘着層は実施例1のまま、離型層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得ようとしたが、厚み精度が悪く評価に耐えうるようなフィルムを得ることができなかった。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC3HF)50wt%とポリメチルペンテン(三井化学製:RT31)50wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
基材層、粘着層は実施例1のまま、離型層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC3HF)75wt%とポリメチルペンテン(三井化学製:RT31)6wt%とホモポリプロピレン樹脂(住友化学製:FLX80E4、MFR:7.5g/10min)19wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
基材層、粘着層は実施例1のまま、離型層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC4FC)64wt%とポリメチルペンテン(三井化学製:RT31)16wt%と低密度ポリエチレン樹脂(宇部興産製:R300)20wt%を90mmφ単軸押出し機にて250℃で溶融押出しして離型層とした。
2:ポリエステルシート
3:アクリル板
4:セロハンテープ
5:粘着フィルム
6:下部チャック
7:引っ張る方向
Claims (4)
- 離型層を構成する樹脂がプロピレンとエチレンのブロック共重合体と炭素数4以上のα−オレフィン(共)重合体を少なくとも含み、炭素数4以上のα−オレフィン(共)重合体の配合量が離型層を構成する樹脂成分中5重量%以上35重量%未満であり、ポリプロピレン系樹脂からなる基材層の片面に粘着層を、反対面に離形層を共押出により積層してなり、離型層の表面粗さ(SRa)が0.20μm以上0.50μm以下であることを特徴とするポリオレフィン系フィルム。
- 前記炭素数4以上のα−オレフィン(共)重合体が4−メチルペンテン−1系(共)重合体である請求項1に記載のポリオレフィン系フィルム。
- 前記ポリプロピレン系樹脂のMFRが(230℃、2.16Kgf)が1.0〜15g/10分である請求項1又は2に記載のポリオレフィン系フィルム。
- 前記粘着層にスチレン系エラストマーを少なくとも使用し、そのスチレン系エラストマーのMFR(230℃、2.16Kgf)が0.5〜20g/10分である請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系フィルム。
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