JP2013113337A - ベアリングキャップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クランクシャフト3のジャーナル部31を回転自在に支持する半円筒面状の支持面部41と、前記支持面部41の両側でシリンダブロック2の下面に当接する当接面部42,42と、を備えるベアリングキャップ4であって、前記クランクシャフト3の軸線30方向に沿う側面43,43と下面44との角部を落とすことにより形成された傾斜部45,45を備えることを特徴とするベアリングキャップ4である。
【選択図】図2
Description
また、ベアリングキャップには通常、下面の肩部側の端部からベアリングキャップ内を貫通して当接面部に至るボルト孔が形成され、このボルト孔とシリンダブロックの下面に形成されたボルト孔にボルトを挿通して締結することで、ベアリングキャップがシリンダブロックに固定される。そのため、ボルト孔の周辺部では薄肉となる結果、応力が集中し易く、クラックが生じ易い。例えばV型6気筒エンジンのように、クランクシャフトの軸方向に直交する方向の斜め上方からベアリングキャップに対して押圧力が加わる場合において、従来のように肩部を落とさずにボルト孔の周辺部の剛性が高いままであると、押圧力が加わることで生じる引張応力に対して、断面真円形状のボルト孔が耐えるようにボルト孔の周辺部に大きな応力が生じる。
これに対して、本発明のように高剛性の肩部を落とすことにより固定端を減少させてボルト孔の周辺部の剛性を低減すると、押圧力が加わることで生じる引張応力によって、断面真円形状のボルト孔が他の部位に対して相対的に変位して歪み、断面楕円形状となる結果、ボルト孔の周辺部に生じる応力を低減できる。従って、本発明によれば、肩部を落とすことで応力の集中を抑制できるため、従来よりもクラックや破断を抑制できる。
また、傾斜部の内部を肉抜きしたことで、ボルト孔の周辺部の剛性がより低減するため、ボルト孔の相対的変位がより助長される。従って、この発明によれば、ボルト孔の周辺部に生じる応力をより低減でき、応力の集中をより抑制できる結果、クラックや破断をより抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るベアリングキャップが適用されたエンジンの分解斜視図である。なお、図1中の矢印で示されるFR方向は、車体前方を意味する。
図1に示すように、エンジン1は、V型6気筒エンジンである。エンジン1は、シリンダブロック2と、シリンダブロック2の上部に設けられる図示しないシリンダヘッドと、シリンダブロック2の下部に設けられる図示しないオイルパンと、を含んで構成される。
支持面部41は、メインベアリング34を介して、ジャーナル部31を回転自在に支持する。当接面部42,42は、支持面部41がジャーナル部31を回転自在に支持した状態で、ボルト5でベアリングキャップ4をシリンダブロック2に固定することにより、シリンダブロック2の下面に当接する。
図2(A)に示すように、ベアリングキャップ4は、クランクシャフト3の軸線30方向に沿う側面43,43と、下面44との角部(肩部)を落とすことにより形成された傾斜部45,45を備える。即ち、本実施形態に係るベアリングキャップ4は、図2(B)に示すように、クランクシャフト3の軸線30方向に沿う側面93,93と下面94との角部(肩部)95,95を落とした形状である点において、従来のベアリングキャップ9と相違する。
同様に、下面44の傾斜部45側の両端部には、それぞれ、ボルト孔442を有するボルト座面部441が形成されている。これらのボルト孔442,442は、それぞれ、ベアリングキャップ4内を上下方向に貫通して当接面部42にまで至っている。
これらのボルト孔と、シリンダブロック2の下面等に形成されたボルト孔にボルト5を挿通して締結することで、ベアリングキャップ4はシリンダブロック2に固定される。
なお、これら肉抜き部46,46及び板状のリブ47,47は、鋳造によってベアリングキャップ4と一体成形されることにより、成形後の煩雑な加工が不要となっている。
そこで、肩部有りのもの(従来品)、肩部を落としたもの(傾斜部45を形成したもの)、肩部を落として肉抜きをしたもの(肉抜き部46及びリブ47を形成した本実施形態のベアリングキャップ4)について、下面44の左側の応力と、右側のボルト孔442周辺部の応力を相対値(肩部有りの従来品の下面44左側の応力を100とした相対値)で比較した結果を表1に示す。なお、表1の3つのベアリングキャップは、肩部の有無と肉抜きの有無以外は、同一の構成である。
また、肩部を落として肉抜きをしたものは、右側のボルト孔442周辺部の応力が従来比で5%低減されており、肩部を落として肉抜きをすることによりクラックや破断をより抑制できることが分かる。これは、肉抜きをしたことによりボルト孔442の周辺部の剛性がさらに低減する結果、ボルト孔442の相対的変位がより助長されて、ボルト孔442の周辺部に生じる応力をより低減できるからである。
なお、肩部を落としたものと、肩部を落として肉抜きをしたものいずれにおいても、下面44の左側の応力が従来比で僅かに上昇しているが、従来品の右側のボルト孔442周辺部の応力よりは低いうえ、薄肉部位ではないためクラックや破断の問題は生じない。
従って、上記のシュミレーション結果から、肩部を落として傾斜部45を形成するとともに、傾斜部45を肉抜きしてリブ47を形成することにより、クラックや破断を抑制できることが検証された。
本実施形態では、クランクシャフト3の軸線30方向に沿うベアリングキャップ4の側面43,43と下面44との角部(以下、「肩部」という。)を落とすことにより、傾斜部45,45を形成した。これにより、肩部を落とした分、従来よりもベアリングキャップ4を軽量化できる。
また、ベアリングキャップ4には、下面44の傾斜部45側の両端部からベアリングキャップ4内を上下方向に貫通して当接面部42にまで至るボルト孔442が形成されるため、ボルト孔442の周辺部では薄肉となる結果、応力が集中し易く、クラックが生じ易い。本実施形態のようにV型6気筒エンジンでは、ベアリングキャップ4に対して軸線30方向に直交する方向の斜め上方から押圧力が加わるため、従来のように肩部を落とさずにボルト孔442の周辺部の剛性が高いままであると、押圧力が加わることで生じる引張応力に対して、断面真円形状のボルト孔442が耐えるようにボルト孔442の周辺部に大きな応力が生じる。
これに対して、本実施形態のように高剛性の肩部を落とすことにより固定端を減少させてボルト孔442の周辺部の剛性を低減すると、押圧力が加わることで生じる引張応力によって、断面真円形状のボルト孔442が他の部位に対して相対的に変位して歪み、断面楕円形状となる結果、ボルト孔442の周辺部に生じる応力を低減できる。従って、本実施形態によれば、肩部を落とすことで応力の集中を抑制できるため、従来よりもクラックや破断を抑制できる。
また、傾斜部45,45の内部を肉抜きしたことで、ボルト孔442の周辺部の剛性がより低減するため、ボルト孔442の相対的変位がより助長される。従って、本実施形態によれば、ボルト孔442の周辺部に生じる応力をより低減でき、応力の集中をより抑制できる結果、クラックや破断をより抑制できる。
2…シリンダブロック
3…クランクシャフト
30…軸線
31…ジャーナル部
4…ベアリングキャップ
41…支持面部
42…当接面部
43…側面
44…下面
45…傾斜部
46…肉抜き部
47…リブ
432,442…ボルト孔
431,441…ボルト座面部
Claims (3)
- クランクシャフトのジャーナル部を回転自在に支持する半円筒面状の支持面部と、
前記支持面部の両側でシリンダブロックの下面に当接する当接面部と、を備えるベアリングキャップであって、
前記クランクシャフトの軸方向に沿う側面と下面との角部を落とすことにより形成された傾斜部を備えることを特徴とするベアリングキャップ。 - 前記傾斜部の内部には、肉抜き部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベアリングキャップ。
- 前記側面の前記傾斜部側の端部及び前記下面の前記傾斜部側の端部には、ボルト孔を有するボルト座面部が形成され、
前記傾斜部には、両ボルト座面部間を連結する板状のリブが形成されていることを特徴とする請求項2に記載のベアリングキャップ。
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