JP2013111961A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、アミノシランに対する耐食性に優れた積層フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】印刷層、アルミニウム箔層、シーラント層及び共押出層がこの順で隣り合う層と接着された積層フィルムであり、該印刷層は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート又は二軸延伸ナイロンで形成され、該アルミニウム箔層は、その厚みが5μm以上であり、該シーラント層は熱可塑性樹脂で形成され、該共押出層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体層及び熱可塑性樹脂層を含む、積層フィルムを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性及び耐食性に優れた積層フィルム及びその応用に関する。
従来から積層フィルムは、種々の構成のものが様々な目的で使用するために開発されている。例えば、水蒸気や酸素等のガスの遮断性に優れたフィルムは、飲食品分野から、化学薬品分野、重工業分野に至る様々な分野において利用されている。接着剤やシーリング材(以下、これらを纏めて「シーリング材」とする)の容器を形成するフィルムとしての利用もその一つである。
シーリング材として使用される湿気硬化性組成物は、空気中の水蒸気(湿気)と反応することで硬化するため、一般に使用時までに水蒸気と接触しないように水蒸気を遮断する容器に収容された状態で販売され、保管されている。このような水蒸気の遮断性に優れた容器として、アルミニウム箔を水蒸気バリア層として利用したフィルムで形成されたリジッドな筒状の容器や柔軟なチューブ型の容器が知られている。柔軟な材質のフィルムで形成されたチューブ型の容器は、内容物の使用後の嵩を低くすることができるという観点及び使用時の取り扱い性の観点でリジッドな筒状容器よりも好まれる傾向がある。
湿気硬化性組成物には、通常、硬化性樹脂、可塑剤、希釈剤、接着性付与剤、硬化触媒等の成分が含まれており、湿気硬化性組成物を上記のようなリジッドな筒状容器や柔軟なチューブ型容器に収容した場合、それらの成分が、容器を形成するフィルム内部に浸透し、フィルムを膨潤させ、又は、フィルム内で層間剥離を起こすといった不具合が存在する。中でも、シランカップリング剤を含むシーリング材を用いた場合にそのような問題が顕著であることが報告されており、その問題を解決すべく、アルミ箔層を有するフィルム中に酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の蒸着層を設けたフィルムが開発されている(特許文献1)。
国際公開第2009/075145号パンフレット
本発明者等は、特許文献1に開示されるようなシーリング材を収容するために使用されるフィルムについて種々の観点から検討を重ねた結果、更なる改善の余地があることを見出した。即ち、本願発明者等は、これまでに開発・改良されてきた積層フィルムで形成した容器に、アミノシランを含有する湿気硬化性組成物を収容し、長期間保存すると、フィルム内部に気泡や層間剥離が発生するおそれが依然として存在することを見出した。そこで、本発明は、アミノシランを含有する湿気硬化性組成物に対する優れた耐食性を備えたフィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、エチレン−ビニルアルコール共重合体層を含む共押出層とアルミニウム箔層とを組合せ、更に、下記の特定の印刷層及びシーラント層とを接着させて積層フィルムとすることにより、従来の積層フィルムよりも格段にアミノシランに対する耐食性が改善されることを見出した。本発明者等は、かかる知見に基づいて更なる検討を重ね、そのような積層フィルムで作製した容器にアミノシランを含むシーラント材を収容することにより、フィルム内部での層間剥離や気泡の発生を抑制しつつ、長期間安定にシーリング剤を保管することが可能であることを確認した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
即ち、本発明の代表例は以下の通りである。
(リクレーム)
項1.
印刷層、アルミニウム箔層、シーラント層及び共押出層がこの順で隣り合う層と接着された積層フィルムであり、
該印刷層は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート又は二軸延伸ナイロンで形成され、
該アルミニウム箔層は、その厚みが5μm以上であり、
該シーラント層は熱可塑性樹脂で形成され、
該共押出層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体層及び熱可塑性樹脂層を含む、
積層フィルム。
項2.
アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物収容容器を形成するための積層フィルムである、項1に記載の積層フィルム。
項3.
アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物が、アミノシラン又はシラノール硬化触媒を含有する湿気硬化性組成物である、項1に記載のフィルム。
項4.
該共押出層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体層の両側に、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体から成る群より選択される1種以上で形成された層が積層された共押出層である、項1又は2に記載のフィルム。
項5.
該熱可塑性樹脂層は、直鎖低密度ポリエチレンで形成される、項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
項6.
該エチレン−ビニルアルコール共重合体層の厚みが2μm以上である、項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
項7.
該フィルム全体の厚みが、80〜120μmである、項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
項8.
項1〜7のいずれかに記載のフィルムで形成された、アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物を収容するための容器。
項9.
アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物を収容した項8に記載の容器。
項10.
該アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物が、アミン系化合物又はシラノール硬化触媒を含有する湿気硬化性組成物である、項9に記載の容器。
本発明の積層フィルムは、アミノシランを含む湿気硬化性組成物に対する耐食性に優れる。ここで、耐食性に優れるとは、アミノシランを含む湿気硬化性組成物と長期間(例えば、約2年)接しても層間剥離が生じず、フィルム内に気泡が生じることによってフィルム表面に凹凸や皺が発生しないことを意味する。よって、本発明の積層フィルムはアミノシランを含む湿気硬化性物質を収容するための容器の材料として適しており、それを長期間安定的に保管することが可能である。
また、本発明の積層フィルムは、ガスバリア性に優れるため、空気や水蒸気と遮断して保管すべき物質を収容する容器を形成するための材料として適している。更に、本発明の積層フィルムは、適度な柔軟性を有するため、本発明の積層フィルムでチューブ形状等の容器を形成すると手で容器に圧力を掛けるだけで内容物を押出すことができ、更に、使用後は容量を小さくすることができるため、取り扱い性に優れる。
図1は、本発明の積層フィルムの代表的な構造を示す。 図2は、本発明の積層フィルムの代表的な構造を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、印刷層、アルミニウム箔層、シーラント層及び共押出層がこの順で隣り合う層と接着された積層フィルムである。前記「この順で隣り合う層と接着された」とは、印刷層とアルミニウム箔層とが接着されており、アルミニウム箔層とシーラント層が接着されており、シーラント層と共押出層が接着されていることを意味する。本発明の積層フィルムの代表的な構造を図1及び2に示す。「層が接着されている」とは、隣り合う層が単に重ねられているのではなく、各層が、例えば、接着剤や溶融樹脂を介して接着されることにより、各層の間に実質的に空気層が存在しない状態を意味する。尚、実質的に空気層が存在しないとは、例えば、ドライラミネーションによって層が接着される場合に、不可避的な空気の層が存在することは許容されることを意味する。各層間に空気層が存在しないことにより積層フィルム全体の気密性を向上させることができる。
各層の接着には当該技術分野において公知の手法を適宜選択して使用することが可能である。例えば、二液反応型ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエステル・ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネーション、ウェットラミネーション、押出ラミネーション、サーマルラミネーション等を利用して積層することができる。
各層を接着させるための接着剤としては、アミノシランに対する耐食性を阻害しない限り特に制限されず、当該技術分野に公知の接着剤を適宜選択して使用することができる。例えば、ポリウレタン系接着剤を好適に使用することができる。
印刷層は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート又は二軸延伸ナイロンで形成される。印刷層に用いられる二軸延伸ポリエチレンテレフタレート及び二軸延伸ナイロンとしては、当該技術分野に公知のものを使用することができる。ポリエチレンテレフタレートとしては、一般的に、エチレングリコールとテレフタル酸の脱水縮合によって得られるが、更なる共重合成分等が加えられた改良型のポリエチレンテレフタレートを使用することも可能である。ナイロン(即ち、ポリアミド)としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、PA11、PA12、PA610等の脂肪族PAや、芳香族PAに加え、更に改質されたPA等から適宜選択して使用することができる。ポリエチレンテレフタレートやナイロンは、表面処理を施すことなく印刷可能であるため好ましい。
印刷層の厚みは、特に制限されないが、例えば、10〜20μmであることが好ましい。
アルミニウム箔層は、水蒸気ガスや酸素ガス等の気体の透過を遮断するためのガスバリア層として機能する。アルミニウム箔層は、十分なガスバリア性を発揮させるという観点から、その厚みは少なくとも5μm以上であり、より好ましくは7μm以上、より好ましくは9μm以上、更に好ましくは12μm以上である。厚みの上限は特に制限されないが、20μm以上の厚みを有してもそれ以上のガスバリア性は期待できず製造コストが増すことになるため、約20μm以下とすることが好ましい。また、アルミニウム箔層が過度に厚くなると、積層フィルムで形成した容器の取り扱い性(例えば、手絞りの容易性)が低下すると考えられる。
アルミニウム箔としては、ガスバリア性を有する限り、当該技術分野において使用される各種のアルミニウム箔を適宜選択して使用することができる。例えば、積層フィルム全体の柔軟性を向上させるという観点から軟質アルミニウム箔を用いることも可能である。また、アルミニウム箔は、純アルミニウム系のものだけでなくAl−Mn系、Al−Mg系、Al−Fe系のものを使用することも可能である。
シーラント層は熱可塑性樹脂で形成されており、耐食性、ガスバリア性、柔軟性といった本発明の効果を阻害しない限り、その種類は特に制限されず、当該技術分野に公知の熱可塑性樹脂を適宜選択して使用することが可能である。具体的には、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン、ポリスチレン、ポリイミド、フッ素樹脂及びこれらの共重合体等から成る群より選択される一種以上からなる単層又は二層以上の層として使用することが可能である。中でも、ポリプロピレンやポリエチレンを用いることが一般的である。
シーラント層の厚みは特に制限されず、例えば、積層フィルム全体の厚みが80〜120μmとなるように他の層の厚みとの関係で調整して設定することができる。
共押出層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体層及び熱可塑性樹脂層を含む。共押出層を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、上記シーラント層を構成する熱可塑性樹脂として例示したものを使用することができる。共押出層の構造は、エチレン−ビニルアルコール共重合体層と熱可塑性樹脂層とを含む限り特に制限されないが、好ましくは熱可塑性樹脂層でエチレン−ビニルアルコール共重合体層が挟まれた構造を有する。エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を挟む2つ以上の熱可塑性樹脂層は、同一の熱可塑性樹脂から成る層であっても、異なる熱可塑性樹脂層であってもよい。
具体的な共押出層の構造としては、例えば、ポリエチレン/EVOH/ポリエチレン、ポリプロピレン/EVOH/ポリプロピレン、ポリエチレン/EVOH/ナイロン/ポリエチレン、ポリエチレン/ナイロン/EVOH/ナイロン/ポリエチレン、ポリプロピレン/EVOH/ナイロン、ポリエチレン/EVOH/ポリプロピレン、ポリエチレン/EVOH/ナイロン/MXDナイロン6/ポリエチレン等を挙げることができる。このように、共押出層は、EVOHを熱可塑性樹脂で挟んだ3層構造から更に熱可塑性樹脂層を組み合わせた多層(例えば、6層や7層)の構造であることが好ましい。また、一実施形態において、EVOHは同種の熱可塑性樹脂で挟まれていることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてポリエチレンを用いる場合は、低密度ポリエチレン(LDPE)又は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましく、LLDPEがより好ましい。特に、優れた耐食性を発揮するという観点から、LLDPE/EVOH/LLDPE又はLLDPE/ナイロン/EVOH/ナイロン/LLDPE)という構造を有する共押出層が好ましく、LLDPE/EVOH/LLDPEが特に好ましい。
本発明の積層フィルムは、上記のようにEVOH層と熱可塑性樹脂との共押出層をバリア層として採用することにより、単にEVOH層と熱可塑性樹脂とを積層した場合よりも格段に優れた耐食性を奏する。この効果は、共押出層は層間にドライラミネート等の接着層がないため、接着層の劣化に伴う層間強度の低下を回避できることによると考えられる。
共押出層を構成するエチレン−ビニルアルコール層の厚みは、優れた耐食性を付与するという観点から2μm以上であることが好ましく、より好ましくは3μm以上である。厚みの上限は、特性制限ないが、通常50μm以下であり、好ましくは40μm以下である。50μm以上にしても更なる機能の構造は望めず、製造コストが増加することとなる。
共押出層全体の厚みは、特に制限されないが、EVOH層の厚みに応じて、20〜100μmに調整することが好ましい。
上記のような共押出層は、一般的な共押出法を用いて得ることができる。共押出層は、延伸されていても無延伸のものでも良いが、無延伸フィルムの方が、より柔軟性に優れるため、容器を形成した際の取り扱い性の観点から好ましい。
本発明の積層フィルムの厚みは、全体として、優れた耐食性、柔軟性、ガスバリア性を備える限り、特に制限はないが、経済的な観点及び嵩高さを解消するという観点から通常80〜150μmである。また、本発明の積層フィルムは、前記性質が阻害されないことを限度として、上記に説明した層以外の層を含んでいてよい。例えば、本発明の積層フィルムを用いて容器を形成する場合、最外層と最内層に熱融着性に優れたヒートシール層を必要に応じて設けることができる。ヒートシール層としては、例えば、LLDPEを挙げることができる。
本発明の積層フィルムは、特に、アミノシランに対する耐食性に優れるため、アミノシランを含有する組成物を収容し、保管するための容器を形成する材料に適している。本発明の積層フィルムを用いて形成することが可能な容器の形状としては、例えば、接着剤等の組成物を収容するための容器として公知の任意の形状を採用することができる。具体的には、スタンディングパウチ、チューブ、封筒型、背貼型、GZ型、変形三方型等の柔軟性容器とすることができる。
本発明の積層フィルムで形成される容器に収容される物質は、特に制限されないが、積層フィルムの耐食性を利用するという観点から、接着剤やシーリング材等の流動性のある組成物が好ましく、シランカップリング剤であるアミノシランを含有する組成物が好ましい。更に、積層フィルムは、ガスバリア性にも優れるため、収容物としては、アミノシランを含有する湿気硬化性組成物が好ましい。
本発明の積層フィルムで形成される容器への収容に適したアミノシランとは、分子内に1個以上のアミノ基と加水分解性ケイ素を有する化合物である。そのようなアミノシランとしては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン、ビス(3−トリメトキシプロピル)アミン、ビス(3−メチルジメトキシプロピル)アミン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−プロペニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アミノシラン含有組成物中に含有されるアミノシランの量は特に制限されないが、通常0.01〜20質量%であり、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が特に好ましい。
本発明の積層フィルムはアミノシランだけでなく、錫系の硬化触媒に対しても優れた耐食性を有する。よって、好適な一実施形態において、本発明の積層フィルムで形成される容器には、錫系硬化触媒が含有される。錫系硬化触媒は単独で接着剤やシーリング材に含有されていてもよく、上記アミノシランと共に接着剤やシーリング材に含有されていてもよい。本発明の積層フィルムで形成された容器への収容に適した錫系触媒としては、例えば、アルキルスズ系化合物(例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレエート、ジブチルスズジベンゾエート、ジフェニルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジメチルスズジバーサテート、ジブチルスズジバーサテート、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)、ジブチルスズビス(ベンゾイルアセトネート)、ジエチルスズビス(ラウロイルアセトネート)、ジメチルスズビス(ピバロイルアセトネート)、ジオクチルスズビス(アセチルアセトネート)、ジプロピルスズビス(1,1,1−トリフルオロアセチルアセトネート)、ジブチルスズビス(エチルアセトアセテート)、ジブチルスズ(アセトネート)(エチルアセトアセテート)、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルビス(トリエトキシ)スズ、ジブチルスズジオキシドなど)、スズエステル系化合物(例えば、スズテトラアセテートなど)、スタノキサン系化合物(例えば、テトラブチル−1,3−ジアセトキシスタノキサンなど)の他、有機酸スズ塩(例えば、酪酸第1スズ、イソ酪酸第1スズ、オクタン酸第1スズ、エチルヘキサン酸第1スズ、デカン酸第1スズ、ラウリン酸第1スズ、ステアリン酸第1スズ、ナフテン酸第1スズ、オクテン酸第1スズ、オレイン酸第1スズ等のカルボン酸のスズ塩など)や、スズ系無機化合物(例えば、塩化第1スズ、塩化第2スズなど)が挙げられる。また、スズ系硬化触媒としては、珪素原子を含有するスズ系硬化触媒、窒素原子を含有するスズ系硬化触媒、イオウ原子を含有するスズ系硬化触媒などを用いることもできる。これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。これらの錫系触媒が組成物中に含まれる場合は、0.1〜10質量%の濃度で含まれることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を参照して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
外層から内層にかけて、以下の層を順にドライラミネートにより積層した積層フィルムを作製し、更にヒートシールによりパウチを製袋した。ドライラミネート用接着剤には、ポリエステル系ポリウレタン接着剤を使用した。
(実施例1)
印刷層:PA層(15μm厚)
アルミニウム箔層:AL箔(9μm厚)
シーラント層:LDPE層(15μm厚)
共押出層:LLDPE層(25μm厚)/EVOH層(20μm厚)/LLDPE層(25μm厚)の共押出多層フィルム(タマポリ株式会社製「マルチトロンZE」)
積層フィルム全体の厚み:109μm
(実施例2)
印刷層:PA層(15μm厚)
アルミニウム箔層:AL箔(9μm厚)
シーラント層:LDPE層(20μm厚)
共押出層:LLDPE層(6μm)/PA層(5μm)/EVOH層(3μm)/PA層(5μm)/LLDPE層(6μm)の共押出多層フィルム(25μm厚:グンゼ株式会社製「ヘプタックスBH25」
シーラント層:LLDPEフィルム(40μm厚)
積層フィルム全体の厚み:109μm
実施例1及び2と同様に、外層から内層にかけて、以下の順にドライラミネートにより積層した積層フィルムを用いて、ヒートシールによりパウチを製袋した。
(比較例1)
外層:LLDPE層(30μm厚)
印刷層:PA層(15μm厚)
アルミニウム箔層:AL箔(7μm厚)
バリア層:PET層(12μm厚)
シーラント層:LLDPE層(50μm厚)
(比較例2)
外層:CPP層(30μm厚)
印刷層:PA層(15μm厚)
アルミニウム箔層:AL箔(9μm厚)
バリア層:シリカ片面蒸着PAフィルム(15μm厚)
大日本印刷株式会社製「IBフィルム IB−ON−C」
(但し、シリカ蒸着面はアルミニウム層側に配置)
シーラント層:CPP層(40μm厚)
(比較例3)
外層:PA層(15μm厚)
アルミニウム層:AL箔(9μm厚)
バリア層:EVOH層(12μm厚)
シーラント層:CPP層(40μm厚)
試験例
実施例1及び2のパウチ並びに比較例1〜3のパウチにアミノシラン(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)又は下記組成の変成シリコーン系シーリング材Aを封入した後、50℃オーブンまたは60℃オーブン中での加熱促進(老化)を行った上で内容物を取り出し、老化後の積層フィルムの外観(気泡の有無)を調べた。
密閉式の撹拌機付き容器に下記の架橋性ポリマー、可塑剤、充填材(炭酸カルシウム、酸化チタン)を仕込んで均一になるまで撹拌混合し、その後、さらにアミノシラン化合物、脱水剤、及び硬化触媒を添加して均一になるまで撹拌混合してシーリング材Aを作成した。
架橋性ポリマー((株)カネカ製のMSポリマーS203): 100質量部
可塑剤(平均分子量2000のポリプロピレングリコール): 50質量部
炭酸カルシウム: 120質量部
酸化チタン:20質量部
(N-2-(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン):5質量部
脱水剤(ビニルトリメトキシシラン): 2質量部
硬化触媒(ジブチル錫化合物(日東化成(株)製のU−220H)):2質量部
合計 299質量部
(シーリング材全量に対するアミノシランの含有率:1.67質量%)
加熱促進(老化)及び外観試験は、以下の条件及び方法により実施した。
加熱促進条件
60℃・7日間
50℃・8週間
外観試験
加熱促進前後の容器状態の積層フィルムにおける気泡の発生の有無を肉眼で観察し、下記の評価基準に従って評価した。
○・・・微細な気泡がわずかに発生しているが、目立たない良好なレベル
△・・・気泡が少し発生しているが、使用には問題が無いレベル
×・・・気泡が目立つレベルで発生しているか、または、剥離している
試験結果を以下の表1に示す。
Figure 2013111961
上記表1に示される結果から、本発明の積層フィルムで作製したパウチは、アミノシランを含有するシーリング材を収容し、長期間保存しても、層間剥離や気泡が発生しないことが示された。一方、従来型の積層フィルムである比較例1〜3のフィルムで作製したパウチに同シーリング材を収容した場合、フィルム内に層間剥離又は気泡が発生してしまうことが判明した。この結果から、本発明の積層フィルムが従来の積層フィルムと比較して格段に優れたアミノシランに対する耐食性を有することが示された。
また、本発明積層フィルムで作製したパウチは、アミノシランに加えて、錫系硬化触媒が含有するシーリング材に対しても従来のフィルムと同等又はそれ以上の耐食性を有することが示された。更に、本発明の積層フィルムで作製したパウチは適度な柔軟性を有するため、手で握ることにより簡便に内容物を押出すことが可能であった。

Claims (10)

  1. 印刷層、アルミニウム箔層、シーラント層及び共押出層がこの順で隣り合う層と接着された積層フィルムであり、
    該印刷層は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート又は二軸延伸ナイロンで形成され、
    該アルミニウム箔層は、その厚みが5μm以上であり、
    該シーラント層は熱可塑性樹脂で形成され、
    該共押出層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体層及び熱可塑性樹脂層を含む、
    積層フィルム。
  2. アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物収容容器を形成するための積層フィルムである、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物が、アミノシラン又はシラノール硬化触媒を含有する湿気硬化性組成物である、請求項1に記載のフィルム。
  4. 該共押出層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体層の両側に、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体から成る群より選択される1種以上で形成された層が積層された共押出層である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  5. 該熱可塑性樹脂層は、直鎖低密度ポリエチレンで形成される、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 該エチレン−ビニルアルコール共重合体層の厚みが2μm以上である、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. 該フィルム全体の厚みが、80〜120μmである、請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のフィルムで形成された、アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物を収容するための容器。
  9. アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物を収容した請求項8に記載の容器。
  10. 該アミノシラン又はシラノール硬化触媒含有組成物が、アミン系化合物又はシラノール硬化触媒を含有する湿気硬化性組成物である、請求項9に記載の容器。
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