JP2005096792A - ピンホールの発生を抑制した積層包装材料および積層包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素の進入により内容物の品質が容易に劣化するような、医療、医薬品や、食品などの分野で使用されて、輸送工程等で発生するピンホールの発生を制御し、内容物の変質防止を可能とする、酸素バリア性を有し、耐ピンホール性に優れた積層包装材料および積層包装袋を提供する。
【解決手段】易酸化性物質を収納する酸素バリア性を持つ積層包装材料10において、印刷基材層a、中間層c、熱融着可能なシーラント層eとがこの順序で積層され、印刷基材層aと中間層cとの間は押出ラミネーション法により積層され、中間層cとシーラント層eとの間はウレタン系接着剤dを用いたドライラミネーション法により積層されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素などの気体バリア性および透明性を有し、ピンホールの発生を抑制した積層包装材料およびその積層包装材料を用いた積層包装袋に関する。さらに詳細には、本発明は、酸素の進入により内容物の品質が容易に劣化するような、医療、医薬品や、食品などの分野で使用される包装材料および包装袋として好適に利用される。とりわけ、500ml〜1500mlと大容量の注射剤を柔軟なプラスチック容器に充填してなる輸液バックなどの外装材料および外装袋として、特に輸送工程などでピンホールの発生を防止した積層包装材料を用いた積層包装袋に関する。
比較的大容量の注射剤が充填される輸液バックは、近年、ハンドリング(取り扱い)性の良さや、輸液バックの軽量化、ゴミの減容化などの観点から、柔軟なプラスチック包装袋に充填されたものが増えている。
輸液バックに充填されるアミノ酸液や糖・電解質液などの薬剤は、酸素によって著しく変質しやすく、更には直接体内に薬剤を注入する事からも、輸液バックの最内装は無添加のプラスチック包装材料を用いられる事が多く、酸素バリア性はほとんど無いに等しい。そのため、輸液バックを大気中に放置しておくと、大気中の酸素が輸液バックを透過し経時的に薬剤を変質させてしまう。そこで、近年は輸液バックを酸素バリア性の高い包装材料で2次包装することが行われている。
この輸液バック外装材には上記しているように酸素バリア性が高く要求されるため、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)コートを施したプラスチックフィルムや、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、酸化アルミニウムや酸化珪素などを蒸着したポリエステルテレフタレート(PET)フィルムなどが中間層などに用いられた積層包装材料が用いられている。
通常はアミノ酸などの高カロリー輸液が充填されたバックが上記した輸液外装袋に入れられ、さらにダンボールに積載梱包され輸送される。輸送工程中の振動により、輸液外装袋にピンホールが生じる事があり、そのため酸素バリア性が維持できなくなる。
ピンホールは3つの要素が加味して発生する事が多く、(1)屈曲疲労によるピンホール、(2)包装材料同士が摩耗する事による摩耗ピンホール、(3)包装材料の突起部が突き刺すことによる突き刺しピンホールに大別される。
本発明は、酸素の進入により内容物の品質が容易に劣化するような、医療、医薬品や、食品などの分野で使用されて、輸送工程等で発生するピンホールの発生を制御し、内容物の変質防止を可能とする、酸素バリア性を有し、耐ピンホール性に優れた積層包装材料および積層包装袋を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、
請求項1に係る発明は、易酸化性物質を収納する酸素バリア性を持つ積層包装袋において、
印刷基材層、中間層、熱融着可能なシーラント層とがこの順序で積層され、印刷基材層
と中間層との間は押出ラミネーション法により積層され、中間層とシーラント層との間はウレタン系接着剤を用いたドライラミネーション法により積層されてなるを特徴とするピンホールの発生を抑制した積層包装材料である。
請求項2に係る発明は、前記印刷基材層および中間層が、2軸延伸フィルムからなり、少なくともいずれかの片側は、酸化アルミニウム、または、酸化珪素が蒸着されていることを特徴とする請求項1記載のピンホールの発生を抑制した積層包装材料である。
請求項3に係る発明は、前記シーラント層が、未延伸ポリオレフィンフィルムからなることを特徴とする請求項1または2記載のピンホールの発生を抑制した積層包装材料である。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピンホールの発生を抑制した積層包装材料を成形してなることを特徴とするピンホールの発生を抑制した積層包装袋である。
本発明により、酸素の進入により内容物の品質が容易に劣化するような、医療、医薬品や、食品などの分野で使用されて、輸送工程等で発生するピンホールの発生を防止し、内容物の変質を防止を可能とする、酸素バリア性を有し、耐ピンホール性に優れた積層包装材料および積層包装袋を提供できる。特に、本発明の積層包装袋は、輸液バック外装袋等として好適に用いられる。
すなわち、本発明の積層包装材料および積層包装袋は、JIS規格Z0200に準拠した輸送試験(振動加速度:±0.75G)を行っても、ピンホールの発生は見られない。また、本発明の積層包装材料および積層包装袋は、印刷基材層、中間層、熱融着可能なシーラント層とがこの順序で積層され、印刷基材層と中間層との間は押出ラミネーション法により積層され、中間層とシーラント層との間はウレタン系接着剤を用いたドライラミネーション法により積層された構成であることから、2軸延伸フィルムを用いた印刷基材層と中間層の間は、押出ラミネーション法を採用したことで緩衝作用が期待でき、一方中間層と未延伸ポリオレフィンフィルムを用いたシーラント層との間は、ウレタン系接着剤を用いたドライラミネーション法を採用したことで、伸縮性を持つ未延伸ポリオレフィンフィルムをリジットに固定することができピンホールの抑制が可能となった。
以下、本発明の一実施例としての最良の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の積層包装材料の構成の一例を示す断面図である。図2は、本発明の積層包装袋を輸液バッグの外装袋として用いた一例を示す平面図である。
図1に示すように、例えば、本発明のピンホールの発生を抑制した積層包装材料は、の印刷基材層(a)、接着樹脂層(b)、中間層(c)、接着剤層(d)、シーラント層(e)を順次積層した構成からなる。
本発明における印刷基材層(a)および中間層(c)は、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、2軸延伸ナイロン(ONy)フィルムなど延伸フィルムであれば各社から上市されているものが使用可能であり、さらには、上記フィルムに酸化アルミニウムや、酸化珪素を蒸着したバリア性フィルムでも良い。更にはエチレン−ビニルアルコール共重合(EVOH)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムなども使用可能である。各種フィルムの厚みに関しては特に制限はないが、OPPフィルムであれば20μm〜40μm程度、PETフィルムで
あれば30μm以下、ONyフィルムであれば10μm〜30μm程度が適当である。
本発明におけるシーラント層(e)は、200℃以下で熱融着が可能な未延伸ポリオレフィンフィルムであれば使用でき、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合(EVA)フィルム、エチレン‐メタクリル酸共重合(EMAA)フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、アイオノマーフィルム、塩化ビニリデンポリマー(PVC)フィルムなどが使用可能である。
上記のポリエチレンに関しては、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン触媒を使用したLLDPE(m−LLDPE)などが利用でき単層よりも2層以上の多層フィルムの方が望ましく、その際中間層とのラミネートされる側は密度0.91[g/cm3]以下の低密度ポリエチレン、輸液バックに接する側には密度0.93〜0.94[g/cm3]程度の中密度ポリエチレンとの少なくとも2層以上の多層ポリエチレンにする事が望ましい。厚みに関しても制限はないが、シーラント層の総厚で40μm〜120μmが最もピンホールの抑制に関しては有用である。
上記のポリプロピレンに関しては、ホモPP、ランダムPP、ブロックPPなど全て利用でき、単層でも多層でも使用可能であるが、ピンホールの抑制に関してはランダムPP、ブロックPPを使用した多層未延伸ポリプロピレンが最も有用である。厚みに関しても特に制限はないが、シーラント層の総厚で40μm〜120μmが最も有用である。
本発明における押出ラミネーション法とは、2つのフィルムの層間を200℃〜300℃程度熱を加え溶融した樹脂により接着させる方法であり、フィルムと樹脂との相溶性や、高分子中の官能基同士の化学的相互作用によって接着性を発現するものである。
本発明における接着樹脂層(b)は、押出ラミネーション法で用いられるポリオレフィン系樹脂であるなら各社から上市されているのもを使用する事が可能である。印刷基材層、中間層にPETフィルム、ナイロンフィルムを用いる場合は、アンカーコート処理なしで接着可能である日本ポリオレフィン株式会社から上市されている高機能性押し出しラミネート用樹脂ジェイレクスLDを用いるのが適当である。密度は0.91〜0.94[g/cm3]がピンホールの抑制には有用であり、溶融フロー速度(MFR)は3〜9[g/10分]程度、押し出し樹脂の厚みは、30μm以下である事が加工適性上望ましい。
本発明におけるドライラミネーション法とは、1液、2液硬化型接着剤であり、ウレタン系接着剤とそれに付随した各種硬化剤が用いられ、溶剤(酢酸エチルなど)によって希釈された液を通常用いる。2つのフィルムの層間を接着剤(3μm程度の厚み)が介し、貼り合わされた後温度をかける事によって、接着剤を硬化させラミネートする技術である。
接着剤(d)は、ドライラミネーション法に用いられる1液、あるいは2液硬化型ウレタン系接着剤ならどれも使用可能であり、乾燥時の塗布量は2g/m2〜3g/m2程度であれば接着剤強度の観点からも望ましい。
以下に本発明の具体的実施例について説明する。
<実施例1>
下記の構成の本発明の積層包装材料を作成した。
(a)印刷基材層:2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(U1,東セロ(株)、
20μm)
(b)接着樹脂層:高機能性押し出しラミネート樹脂(JH607D、日本ポリオレフィン(株)、20μm)
(c)中間層:酸化アルミニウム蒸着2軸延伸ナイロンフィルム(GL−AEY、凸版印刷(株)、15μm)
(d)接着剤層:2液硬化型ウレタン系接着剤(乾燥塗布量3g/m2
(e)シーラント層:未延伸多層ポリプロピレンフィルム(ET−20、昭和電工(株)、60μm)
<実施例2>
下記の構成の本発明の積層包装材料を作成した。
(a)印刷基材層:2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(U1,東セロ(株)、20μm)
(b)接着樹脂層:高機能性押し出しラミネート樹脂(JH607D、日本ポリオレフィン(株)、20μm)
(c)中間層:酸化アルミニウム蒸着2軸延伸ナイロンフィルム(GL−AEY、凸版印刷(株)、15μm)
(d)接着剤層:2液硬化型ウレタン系接着剤(乾燥塗布量3g/m2
(e)シーラント層:未延伸多層ポリエチレンフィルム(タマポリ(株)、60μm)
(中間層側←LLDPE15μm/VLDPE30μm/MDPE15μm)
以下、本発明の比較例について説明する。
<比較例1>
下記の構成の積層包装材料を作成した。
(a)印刷基材層:2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(U1,東セロ(株)、20μm)
(b)接着樹脂層:2液硬化型ウレタン系接着剤(乾燥塗布量3g/m2
(c)中間層:酸化アルミニウム蒸着2軸延伸ナイロンフィルム(GL−AEY、凸版印刷(株)、15μm)
(d)接着剤層:2液硬化型ウレタン系接着剤(乾燥塗布量3g/m2
(e)シーラント層:未延伸多層ポリプロピレンフィルム(ET−20、昭和電工(株)、60μm)
<比較例2>
下記の構成の積層包装材料を作成した。
(a)印刷基材層:2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(U1,東セロ(株)、20μm)
(b)接着樹脂層:高機能性押し出しラミネート樹脂(JH607D、日本ポリオレフィン(株)、20μm)
(c)中間層:酸化アルミニウム蒸着2軸延伸ナイロンフィルム(GL−AEY、凸版印刷(株)、15μm)
(d)接着剤層:押し出し用ポリエチレン樹脂(M14P、三井化学、15μm)
(e)シーラント層:未延伸多層ポリエチレンフィルム(タマポリ(株)、45μm)
(中間層側←LLDPE11μm/VLDPE22μm/MDPE11μm)
<比較例3>
下記の構成の市場品の積層包装材料を用いた。
2軸延伸ポリプロピレン(OPP)30μm/ポリビニルアルコール(PVA)12μm/[LLDPE60μm/MDPE30μm]
なお、上記の2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムは、東セロ(株)製の商品名「U1」、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムは、日本合成化学(株)製の商品名「ボブロン」である。
上記の実施例1〜2および比較例1〜3で得られた積層包装材料をヒートシールした後、輸液バックを充填し、残りの一方をヒートシールし、輸液外装袋を作成した。作成した輸液外装袋を2行×5段でダンボールに梱包積載し、下記条件で振動試験を行い。輸液外装袋のピンホール数をカウントした。その結果を表1に示す。
振動条件:振動加速度±4G、振動数11Hz、垂直方向30分、水平方向15分×2回計1時間
表1より、実施例1〜2で得られた本発明の積層包装材料を用いた輸液バッグ外装袋は、比較例1〜3で使用した積層包装材料を用いた輸液バッグ外装袋に比較して、耐ピンホール性に優れている。このことは、印刷基材層、中間層、熱融着可能なシーラント層とがこの順序で積層され、印刷基材層と中間層との間は押出ラミネーション法により積層され、中間層とシーラント層との間はウレタン系接着剤を用いたドライラミネーション法により積層されてなる本発明の積層包装材料を用いて輸液バッグの外装袋としたことで、2軸延伸フィルムを用いた印刷基材層と中間層の間は、押出ラミネーション法を採用したことによる緩衝作用が期待でき、一方中間層と未延伸ポリオレフィンフィルムを用いたシーラント層との間は、ウレタン系接着剤を用いて伸縮性を持つ未延伸ポリオレフィンフィルムをリジットに固定することができピンホールの抑制が可能となるものである。
また、実施例1、2における本発明の積層包装材料およびその積層包装袋は、中間層に用いている酸化アルミニウム蒸着された2軸ナイロンフィルムにより酸素バリア性を維持しており、いずれも0.6[cc/m2/day/atm.](JIS K7126準拠、Mocon社 測定条件:30℃、70%RH)以下の測定値を示した。
本発明のピンホールの発生を抑制した積層包装材料および積層包装袋は、酸素の進入により内容物の品質が容易に劣化するような、医療、医薬品や、食品などの分野で使用されて、輸送工程等で発生するピンホールの発生を防止し、内容物の変質を防止を可能とする、酸素バリア性を有し、耐ピンホール性に優れた、特に輸液バック外装袋等として好適に用いられる。
本発明の積層包装材料の構成の一例を示す断面図である。 本発明の積層包装袋を輸液バッグの外装袋として用いた一例を示す平面図であり、 輸液バッグを収納し(2−1)、残りの1方をシールした輸液バッグを収納した外装袋(2−2)を示す図である。
符号の説明
(a)印刷基材層
(b)接着樹脂層
(c)中間層
(d)接着剤層
(e)シーラント層
10積層包装材料
20積層包装袋
21開口部シール部
22開口部
23シール部
30輸液バッグ

Claims (4)

  1. 易酸化性物質を収納する酸素バリア性を持つ積層包装材料において、
    印刷基材層、中間層、熱融着可能なシーラント層とがこの順序で積層され、印刷基材層と中間層との間は押出ラミネーション法により積層され、中間層とシーラント層との間はウレタン系接着剤を用いたドライラミネーション法により積層されてなるを特徴とするピンホールの発生を抑制した積層包装材料。
  2. 前記印刷基材層および中間層が、2軸延伸フィルムからなり、少なくともいずれかの片側は、酸化アルミニウム、または、酸化珪素が蒸着されていることを特徴とする請求項1記載のピンホールの発生を抑制した積層包装材料。
  3. 前記シーラント層が、未延伸ポリオレフィンフィルムからなることを特徴とする請求項1または2記載のピンホールの発生を抑制した積層包装材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のピンホールの発生を抑制した積層包装材料を成形してなることを特徴とするピンホールの発生を抑制した積層包装袋。
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JP2007307783A (ja) * 2006-05-18 2007-11-29 Toppan Printing Co Ltd 線状押し出しラミネート方法を用いた耐ピンホール性包装フィルム及びその包装袋
JP2013028360A (ja) * 2011-07-28 2013-02-07 Toppan Printing Co Ltd 医薬品用包装袋
JP2017214143A (ja) * 2016-05-31 2017-12-07 共同印刷株式会社 ブリスターパック用積層体、及びそれを用いたブリスターパック

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