JP2013111713A - 切削水の供給装置及び供給方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレード及び被切削物における付着物の除去及び抑制を効果的に実行して、切削品質及びブレードの寿命性の向上を図る。
【解決手段】ノズル41に接続した給水管45には、純水中にマイクロナノバブルBを発生させるマイクロナノバブル発生器49が接続され、ノズル41の先端はブレード26とワークWの被切削部近傍に配置されている。ノズル41の吐出口部には圧力維持バルブ51が設けられ、マイクロナノバブル発生器49で生成した加圧過飽和状態のマイクロナノバブルBを含む切削水Cが、切削加工中にノズル41から吐出して、ブレード26とワークWの被切削部に至近距離から供給される。
【選択図】図4

Description

本発明は、切削水の供給装置及び供給方法に関し、特に、ブレードで切削加工中のワーク(被切削物)に切削水を供給する切削水の供給装置及び供給方法に関するものである。
従来、半導体装置や電子部品が形成されたウェーハ等のワークに対して、切断や溝入れ加工を施すダイシング装置は、主にスピンドルによって高速に回転されるブレードと、ワークが固定(吸着保持)されるワークテーブルと、ワークテーブルとブレードとの相対的位置を変化させるX、Y、Z、θの各移動軸とが設けられている。ワークを加工する際には、冷却や洗浄(潤滑)用の切削水(二流体を含む)をノズルより、ブレードとワークの切削加工点へ供給しながら各移動軸の動作によって切断や溝入れ加工を実施している(特許文献1〜3参照)。
特開2007-188974号公報 特開2005-057160号公報 特開2000-306878号公報
この切削加工においては、切削に伴いワークから研削屑や汚染物等のパーティクル(コ
ンタミ)が発生し、ワーク上に滞留したパーティクルは、ワークの切削部に挟み込まれて
、ワークにクラックを発生させる等、ワークの切削品質を低下させる。
そこで、ブレードやワークへ付着したパーティクルを除去する為に、例えば、ノズルから純水を加圧状態で噴射させる方式が採用される。しかし、前記パーティクルの一部が、ブレードの回転により切削水とともに移動して、ワークに再び接触・付着することにより、ワークを汚染する原因となっていた。
又、付き回り性の良くない純水のみをウェーハ等のワークに供給しても、数十nm〜数十μmの微細な切削屑等のパーティクルを除去することは困難である。結果として、ブレードやワークに付着したパーティクルが原因となって、ワークを傷付けて切削品質を低下させるとともに、ブレードの寿命性を低下させるという問題があった。
近年では、シリコンデバイスの高集積化に伴い、ワークの切削品質及びブレードの寿命性の向上が要求されており、特に、ブレード及びワークへの微細な付着物の除去及び抑制が大きな課題になっている。
そこで、本発明は上記事情に鑑み、ブレード及びワークへの付着物の除去及び抑制を効果的に実行して、ワークの切削品質及びブレードの寿命性の向上を図るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、ワーク支持体上のワークをブレードで切削しながら、ノズルから吐出した切削水を前記ブレード及びワークに供給する切削水の供給装置において、前記ノズルに接続した給水管に
は、純水中にマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生器が接続され、前記ノズルの先端はワークの被切削部の近傍に配置され、マイクロナノバブルを含む切削水を、前記ブレードとワークの被切削部に供給できるように構成したことを特徴とする切削水の供給装置を提供する。
この構成によれば、マイクロナノバブルを含む切削水は、切削加工中、ワークの被切削部に至近距離から供給される。このマイクロナノバブルの気泡径は数十nm〜数十μmと極微小であるため、数十nm〜数十μmの微細なパーティクルに対しても、高い吸着作用や水面浮上作用を有する。その結果、ワークの切削に伴い数十nm〜数十μmのパーティクルが生じて、このパーティクルがブレードやワークの被切削部へ付着又は接近した場合でも、これを効果的に除去・抑制することが可能になる。
請求項2記載の発明は、上記ノズルの吐出口部近傍には、上記切削水の水圧を保持する圧力維持バルブが設けられていることを特徴とする請求項1記載の切削水の供給装置を提供する。
この構成によれば、ノズルの吐出口部近傍に設けた圧力維持バルブにより、切削水の水圧が保持される。依って、マイクロナノバブル発生器で生成したマイクロナノバブルが加圧過飽和状態に維持されるので、小さな気泡の中に多量のガス成分が閉じ込められる。
請求項3記載の発明は、上記圧力維持バルブの断面積は、上記ノズルの吐出口の断面積よりも小さく、前記圧力維持バルブの水圧が前記ノズルの水圧よりも高くなるように構成したことを特徴とする請求項2記載の切削水の供給装置を提供する。
この構成によれば、圧力維持バルブの水圧が前記ノズルの水圧よりも高くなるので、圧力維持バルブ内の切削水がノズルから吐出する際に、切削水の圧力減少が急激になる。そのため、急激な圧力低下に伴う気体溶解性の急低下により、加圧過飽和状態の溶質が一気に析出する。
請求項4記載の発明は、ワーク支持体上のワークをブレードで切削しながら、ノズルから吐出した切削水を前記ブレード及びワークに供給する切削水の供給方法において、前記切削水として、純水中にマイクロナノバブルを含ませたものを用い、切削加工中に、マイクロナノバブルを含む切削水を、前記ブレードとワークの被切削部に至近距離から供給することを特徴とする切削水の供給方法を提供する。
この方法によれば、切削加工中に、マイクロナノバブルを含む切削水が、前記ブレードとワークの被切削部に至近距離から供給される。この場合、マイクロナノバブルの気泡径は、数十nm〜数十μmと極微小であるため、微細なパーティクルに対しても、高い吸着作用や水面浮上作用が発揮される。従って、数十nm〜数十μmのパーティクルが、ブレードやワークの被切削部へ付着又は接近した場合でも、これを効果的に除去・抑制することが可能になる。
請求項1記載の発明は、数十nm〜数十μmの微細なパーティクルが、ブレードやワークの被切削部へ付着又は接近した場合でも、これを効率良く除去・抑制できるので、ワークの切削品質及びブレードの寿命性の向上を図ることができる。
又、切削水中の気泡表面にはゼータ電位が生じ、気泡がマイナス電位に帯電していることと、気泡消滅時の生成で得られたフリーラジカルが水溶液中に存在する様々な化学物質を分解し、金属イオン等と反応することにより、前記付着物の除去・抑制効果が静電気的
作用の観点からも著しく増大する。
請求項2記載の発明は、マイクロナノバブルの加圧過飽和状態を所要の高圧に設定して、小さな気泡の中に多量のガス成分が閉じ込められるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、微細なパーティクルに対する吸着作用、水面浮上作用及び静電気的吸引力作用が更に高まり、高濃度のマイクロナノバブルを容易に作製することができる。
請求項3記載の発明は、ノズルから切削水が吐出する際に、気体溶解性の急低下により、加圧過飽和状態の溶質が一気に析出して、より高濃度のマイクロナノバブルが生成されるので、請求項2記載の発明の効果に加えて、パーティクルに対する吸着作用、水面浮上作用及び静電気的吸引力作用並びにキャビテーション作用が相乗的に促進され、マイクロナノバブルの更なる高濃度化が図られ、微細なパーティクルに対する分離除去・抑制効果が一層増大する。又、ノズルの吐出口部近傍に、断面積の小さい圧力維持バルブを取り付けたことにより、ノズルから吐出する切削水の直進性が向上する。
請求項4記載の発明は、数十nm〜数十μmのパーティクルが、ブレードやワークの被切削部へ付着又は接近した場合でも、これを効率良く除去・抑制することができるので、ワークの切削品質及びブレードの寿命性の向上を図ることができる。
又、気泡表面にゼータ電位が生じ、マイナス電荷にチャージされることと、気泡消滅時の生成で得られたフリーラジカルが水溶液中に存在する様々な化学物質を分解し、金属イオン等と反応することにより、微細なパーティクルに対する除去・抑制効果が静電気的作用の観点からも著しく増大する。
本発明の一実施例が適用されたダイシング装置の斜視図。 図1のダイシング装置の加工部を説明する斜視図。 実施例に係る切削水ノズルから切削水を被切削部に供給するときの状態を示す説明図。 切削水ノズルに接続したマイクロナノバブル発生器の設置例を説明する解説図。 切削水ノズルへの圧力維持バルブの取付例を断面して説明する解説図。 マイクロナノバブルの気液界面におけるイオンと電位の状態を示し、(a)はイオン分布を説明する解説図、(b)は電位変化を説明する解説図。 蒸留水中でのマイクロナノバブルのゼータ電位を説明するグラフ。 マイクロナノバブルのゼータ電位の上昇とフリーラジカルの発生を説明するグラフ。 マイクロナノバブルのゼータ電位とpHの関係を説明するグラフ。
本発明は、ブレード及び被切削物における付着物の除去及び抑制を効果的に実行して、切削品質及びブレードの寿命性の向上を図るという目的を達成するために、ワーク支持体上のワークをブレードで切削しながら、ノズルから吐出した切削水を前記ブレード及びワークに供給する切削水の供給装置において、前記ノズルに接続した給水管には、純水中にマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生器が接続され、前記ノズルの先端はワークの被切削部の近傍に配置され、マイクロナノバブルを含む切削水を、前記ブレードとワークの被切削部に供給できるように構成したことにより実現した。
本発明では、切削水供給源から給水管内に切削水を供給し、ノズルから切削水をブレードとワークの被切削部に噴射するが、マイクロナノバブル発生器により切削水中にはマイ
クロナノバブルを含むことで、その表面積が増大して切削水の表面張力を低下させ、切削水の付き回り性が良くなる。これにより、切削水はワークの被切削部の細部まで浸透でき、切削時の切削能力が向上するとともに、ブレードとワーク表面上における洗浄能力も向上する。
又、マイクロナノバブルを含む切削水が被切削部に至近距離から供給されることで、微細なパーティクルに対する吸着包囲効果、水面浮上効果、キャビテーション効果並びに電気的吸引効果が発揮される。よって、切削水がブレードとワークの細部まで一層浸透して、洗浄能力が更にアップする。
以下、本発明の好適な実施例を図1乃至図9に基づいて説明する。図1は本実施例に係るダイシング装置10を示す斜視図である。同図に示すように、ダイシング装置10は、主にウェーハWを供給・回収する供給・回収部12と、ウェーハWを加工する加工部14と、加工後のウェーハWを洗浄する洗浄部16と、ウェーハWを搬送する搬送部18と、各種操作を行う操作パネル20と、全体の動作を制御する制御部21とで構成される。
供給・回収部12は、ロードポート22を備え、ロードポート22にはウェーハWが多数枚格納されたカセットがセットされる。なお、ウェーハWは、所定のフレーム(ワーク支持体)FにダイシングテープTを介してマウントされた状態でカセットに格納される。
加工部14は、図2に示すように、ウェーハWを吸着保持(固定)するワークテーブル24と、ワークテーブル24に保持されたウェーハWを切削する一対のブレード26A、26Bと、ブレード26A、26Bが取り付けられるスピンドル28A、28Bと、ウェーハWの表面を撮影するカメラ部20とで構成される。
ワークテーブル24は、水平なX軸テーブル30及びθ軸テーブル38の上に設けられ、θ軸テーブル38に駆動されて、中心軸θ回りに回転する。X軸テーブル30は、リニアモータ36に駆動されて、X軸ガイド34、34の上をX方向にスライドする。
ブレード26A、26Bは、切削方向がワークテーブル24の移動方向Xと平行になるようにスピンドル28A、28Bの先端に取り付けられ、スピンドル28A、28Bに駆動されて回転する。ブレード26A、26Bの近傍には、後述の切削ノズルが設けられ、該ノズルからは切削水がウェーハWの加工点に供給される。
スピンドル28A、28Bは、ワークテーブル24の移動方向と直交するようにワークテーブル24の上方に互いに対向配置され、6,000rpm〜80,000rpmの高速で回転される。
スピンドル28A、28Bは、それぞれ垂直に設置されたブレード用Z軸テーブル40A、40Bに取り付けられる。Z軸テーブル40A、40Bは、それぞれブレード用Y軸テーブル42A、42Bに設けたZ軸ガイド44、44上をスライド自在に駆動動作する。Y軸テーブル42A、42Bは、Y軸ベース46の取付面46aに設けられた一対のY軸ガイド48上をスライド自在に駆動動作する。
次に、ダイシング加工方法について説明する。多数枚のウェーハWを収納したカセットがロードポート22に載置されると、ウェーハWは、搬送部18によってカセットから引出されてワークテーブル24に載置される。この後、ウェーハWがワークテーブル24上に吸引保持される。
続いて、ワークテーブル24は、カメラ部20の直下まで移動し、制御部21等によるアライメントが終了したら、カメラ部20がY軸テーブル42A、42Bの上方に配設される。次いで、ストリートとブレード26A、26Bとの精密位置合わせ作業が行われた後、ブレード26A、26BをZ方向に切り込み送りして回転させると共に、ワークテーブル24が切削送り方向Xに移動することにより、ウェーハWは、ブレード26A、26Bによりストリートに沿って切断される(切削工程)。
この後、ワークテーブル24をY方向に割り出し送りし、再度切断作業を実施する。そして、ストリートの全てに沿って切断作業を実施したら、このあと、ワークテーブル24を90度回転させて、切削作業を実行することにより、ウェーハWが個々のチップに分割される。
そして、ウェーハWは、ハンドリングロボット18Aを備えた搬送部18によって洗浄部16に搬送される。洗浄部16は、スピン洗浄装置16Aを備えており、このスピン洗浄装置16Aによって、ウェーハWをスピン洗浄して、乾燥される。この後、ウェーハWは、搬送部18によって仮置きテーブル15に搬出され、供給・回収部12のカセットに収納される。
次に、切削水供給システムについて詳述する。本システムは、図3に示すように、ブレード26とウェーハWの切削加工点に切削水Cを吐出するための切削水ノズル41を、必要に応じて1本又は複数本備え、切削水ノズル41は、ウェーハWの切削加工点に近接し、且つ、ブレード26とウェーハWとの切削加工点(又はその近傍)を指向するように配置設されている。
図示のように、切削水ノズル41はウェーハWの上方に設けられ、切削水ノズル41の先端は、ウェーハWの切削加工点の近傍に配置されている。切削水ノズル41は、必要に応じて、ブレード26を挟む両側位置若しくは片側位置にてブレード26側面に対し直角若しくは斜め方向に配設できるほか、図示例の如くブレード26外周端面の上流側(切削移動方向と反対側)に配設できる。切削水ノズル41にはフレキシブルな給水管45が接続され、この給水管45には、図4に示す切削水供給源47に接続され、切削水供給源47は純水タンクと圧送ポンプからなる。
更に、前記給水管45の途中には、マイクロナノバブル発生器49が接続されている。マイクロナノバブル発生器49は、純水中にマイクロナノバブルBを発生させる。これにより、切削加工中に、マイクロナノバブルBを含む切削水Cが、給水管45を介して切削水ノズル41側に供給されて、上記被切削部に向けて吐出される。
又、図5に示すように、切削水ノズル41の先端側吐出口部には、電磁弁である圧力維持バルブ51が設けられている。圧力維持バルブ51は、給水管45及び切削水ノズル41を通過する切削水Cの水圧を保持する。圧力維持バルブ51の開閉動作は、制御装置21により制御される。
又、圧力維持バルブ51の流出口の断面積dは、切削水ノズル41の流入側及び吐出口側の断面積D1、D2よりも小さく、前記圧力維持バルブ51の水圧が切削水ノズル41の水圧よりも高くなるように形成されている。
マイクロナノバブルBを含む切削水Cは、図6ないし図8に示すように、気液界面にゼータ電位が生じ気泡表面がマイナス電位に帯電して、気泡の界面がマイナス電荷にチャージされ、また、気泡消滅時にはフリーラジカルが生成される。フリーラジカルが水溶液中に存在する様々な化学物質を分解し、金属イオン等と反応する。従って、前記付着物に対する除去・効果が静電気的にも著しく増大する。
図6は、マイクロナノバブルBの気液界面におけるイオン分布と電位変化を示し、又、図7は、蒸留水中でのマイクロナノバブルBのゼータ電位の生成を示す。更に、図8は、マイクロナノバブルBのゼータ電位の上昇とフリーラジカルの発生の関係を説明するが、マイクロナノバブルは、水中での縮小過程において気液界面のイオン類を濃縮させ、消滅した瞬間にフリーラジカルの一部を放出する。
気泡の消滅とともにその消滅個数に比例して、気泡における電荷密度が上昇することで、濃縮したゼータ電位の電場が形成され、之を原因にフリーラジカルが発生する。発生したOH-(水酸基ラジカル)などのフリーラジカルは、水溶液中に存在する様々な化学物
質を分解し、金属イオン等と反応することが可能である。
また、図9に示すように、マイクロナノバブルのゼータ電位は、水のpHの影響を強く受ける傾向にあり、アルカリ性では-100mVを超える値となり、pHが4以下の強い酸性
ではややプラス側の電位を示す。さらに、図7、図8及び図9示すように、pH7近傍の溶液で泡径約10μmから約30μmの場合は、約−30mVから約−40mVに帯電する。
本発明では、マイクロナノバブルBの表面がマイナス電荷に帯電することで、切削屑を含む汚染物質や、気泡と反対符号の電解質をもつイオン類(対イオン)及び金属イオン等の微細なパーティクルPに対し、之を静電気的な引力により気泡表面に効果的に引き付ける。
又、マイクロナノバブルBを含む切削水Cは、イオン化しているため、液体の表面張力を低下させて、切削水の潤滑性を向上させる。これにより、切削加工速度が向上するとともに切削加工品質が向上する。
更に、切削加工後のウェーハWに対する洗浄が容易になるとともに、廃液の処理も簡単になる。
上記した切削水供給システムおいては、切削加工を開始する際、制御装置21から圧力維持バルブ51に開弁指令信号が送信されることで、圧力維持バルブ51が開放され、これにより、切削水Cが切削水ノズル41から一気に吐出される。そのため、切削水Cがブレード26とウェーハWとの切削加工点に供給され、当該切削加工点を冷却・洗浄(潤滑)する。
ここで、切削水Cは、マイクロナノバブルBを含むので、従来の純水のみによる洗浄と比べて高い洗浄効果を得ることができる。殊に、切削水ノズル41の吐出口部近傍に設けた圧力維持バルブ51により、切削水Cの水圧が保持される。依って、マイクロナノバブル発生器49で生成したマイクロナノバブルBの加圧過飽和状態が良好に維持される。
そのため、小さな気泡の中に多量のガス成分が閉じ込められる。これにより、パーティクルPに対する吸着包囲作用、水面浮上作用及び静電気的吸引力作用並びにキャビテーション作用が増大する。
因みに、本発明は圧力維持バルブ51を設けたことにより、マイクロナノバブルBの加圧過飽和状態を100秒程度に維持できた。一方、圧力維持バルブ51を設けない場合は、マイクロナノバブル濃度が低下し、10秒程度でマイクロナノバブルの加圧過飽和状態が消失した。
実際に、マイクロナノバブルBを利用して、ウェーハWのダイシング加工及び洗浄を行った。表1にその加工条件を示す。
上記加工条件を共通にして、マイクロナノバブル発生器49を有する実施例と、マイクロナノバブル発生器49を有しない比較例とで、ウェーハWの加工品質を評価した。その結果、ウェーハWの表面、裏面、側面のチッピング並びにコーナー欠けについては、いずれも実施例の方が比較例に比し、顕著な加工品質の改善がみられた。特に、コーナー欠けについては、比較例では12個であったのに対して、実施例では1個以下に大幅に減少した。表2に加工品質結果を示す。
更に、マイクロナノバブルBを利用して、ウェーハWのダイシング加工を行った場合、
比較例では、ブレード26の先端部に相当量の付着物が観察されたが、実施例では、マイクロナノバブルBの濃度の依存性があるものの、ブレード26先端部への微細な切削屑等の付着が殆どなく、比較例に比し付着量が大幅に低減することが判明した。
叙上の如く本発明によると、マイクロナノバブルを含む切削水が、切削加工中に、被切削物の加工点に供給されるが、このマイクロナノバブルの気泡径は、数十nm〜数十μmと極めて微小である。それゆえ、微細なパーティクルを吸着して浮上させ、加えて、マイクロナノバブルの衝突時の衝撃力、ならびにキャビテーション作用による洗浄効果も相乗的に発揮される。
その結果、被切削物の切削に伴い生じた微細なパーティクルが、ブレードや被切削物の加工点へ付着又は接近しようとしても、この付着・接近現象が効果的に防止される、又、付着物に対しては、之を効率良く吸着又は水面浮上させて分離除去することができた。
斯くして、ブレード及び被切削物への付着物の除去及び抑制が有効に発揮され、以って、被切削物のクラック発生を防止して、被切削物の切削品質を向上させることができるとともに、ブレードの寿命を長くするメリットがある。
又、気泡にゼータ電位が生じることと、気泡消滅時のフリーラジカルの生成により、気泡が約−30mV乃至−40mVのマイナス電位に帯電して、気泡の界面がマイナス電荷にチャージされる。従って、前記付着物に対する分離除去・抑制効果が静電気的にも著しく増大する。
このことは、切削屑を含む汚染物質や、切削水と反対符号の電解質をもつイオン類(対イオン)若しくは金属イオン等の微細なパーティクルが、静電気的な引力により気泡の表面に引き付けられることを意味する。依って、気泡に電気二重層を形成して安定化し、ブレード及び被切削物への微細なパーティクルの付着防止効果が更に増大する。例えば、被切削物が微小凹凸面を有していても、微小凹凸面への微細なパーティクルの付着、接触現象を効果的に防止できる。
更に、マイクロナノバブルを含む切削水が、切削加工中に、切削水ノズルから一気に吐出してブレードと被切削物の加工点に供給できる。この切削水中の気泡は、ヘンリーの法則の90%以上の飽和状態になり、切削水の吐出口の水圧よりも気泡の圧力が高くなる。
加圧過飽和状態の切削水が圧力維持バルブを通過して、ノズル吐出口より被切削物の加工点に向けて至近距離から吐出されるが、その際、圧力維持バルブにより、切削水の圧力が高くなり、微小なガス体の中に多量のガス分子を閉じ込めておくことができる。又、フレキシブルな給水管により、切削水ノズルの取付位置の自由度が得られ、切削水供給装置全体の小型化が図れる。
さらに、切削水ノズルの吐出口部近傍に、弁径の小さい圧力維持バルブを取り付けたことにより、一種の整流作用が形成されるため、切削水ノズルから吐出する切削水の直進性が向上する。
更に又、圧力維持バルブの流出部の断面積が、切削水ノズルの断面積よりも大きいので、マイクロナノバブル発生器は開放型でありながら、循環型のものと同様に高濃度の気泡を生成して、切削水の吐出安定性が確保される。
従って、切削水ノズルからの吐出圧が増大するので、切削ノズルから切削水が吐出する際の圧力減少が急激になり、之に伴う気体溶解性の急低下により、加圧過飽和状態の溶質
が一気に析出して、より高濃度のマイクロナノバブルが生成される。依って、微細なパーティクルに対する吸着包囲効果、水面浮上効果、静電気吸引効果及びキャビテーション効果を一層高めることができる。
即ち、マイクロナノバブル発生器で加圧過飽和状態になったマイクロナノバブルを良好に維持し、溶解気体を加圧過飽和状態から一気に析出させることで、より高濃度のマイクロナノバブルがブレードと被切削物の加工点に向かって至近距離から噴射される。従って、ブレード及び被切削物への微細な付着物の分離除去・抑制効果が格段にアップする。
本発明は、上記の実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
例えば、切削水ノズルの角度、個数、位置等は、ブレード等の直径や回転数に応じて任意に設定できる。
本発明は、切削加工時にノズルから切削水を供給する切削水供給システムであれば、被切削物や切削装置の種類や型式を問わず、全ての切削水供給システムに適用することができる。
10 ダイシング装置
14 加工部
16 洗浄部
21 制御部(制御装置)
24 ワークテーブル
26、26A、26B ブレード
28A、28B スピンドル
41 切削水ノズル
45 給水管
49 マイクロナノバブル発生器
51 圧力維持バルブ
W ワーク(被切削物)
F フレーム(ワーク支持体)
T ダイシングテープ(粘着テープ)

Claims (4)

  1. ワーク支持体上のワークをブレードで切削しながら、ノズルから吐出した切削水を前記ブレード及びワークに供給する切削水の供給装置において、
    前記ノズルに接続した給水管には、純水中にマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生器が接続され、前記ノズルの先端はワークの被切削部の近傍に配置され、マイクロナノバブルを含む切削水を、前記ブレードとワークの被切削部に供給できるように構成したことを特徴とする切削水の供給装置。
  2. 上記ノズルの吐出口部近傍には、上記切削水の水圧を保持する圧力維持バルブが設けられていることを特徴とする請求項1記載の切削水の供給装置。
  3. 上記圧力維持バルブの断面積は、上記ノズルの吐出口の断面積よりも小さく、前記圧力維持バルブの水圧が前記ノズルの水圧よりも高くなるように構成したことを特徴とする請求項2記載の切削水の供給装置。
  4. ワーク支持体上のワークをブレードで切削しながら、ノズルから吐出した切削水を前記ブレード及びワークに供給する切削水の供給方法において、
    前記切削水として、純水中にマイクロナノバブルを含ませたものを用い、切削加工中に、マイクロナノバブルを含む切削水を、前記ブレードとワークの被切削部に至近距離から供給することを特徴とする切削水の供給方法。
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