JP2013111686A - 実切込み量測定方法および加工方法および工作機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒の加工部を備えた工作物Wを回転支持して砥石車7を半径方向に切込む加工方法において、加工部表面の測定開始点を含む直径である開始直径D0を測定し、測定開始点が加工作用部を通過した後に、測定開始点を含む直径である終了直径D1を測定する。測定開始点が加工された時の実切込み量Uを式U=|D0−D1|を用いて演算し、加工部の回転方向の位置に対応する実切込み量Uの相互差から加工部の振れを演算し、振れを除去するような砥石車7の切込み制御を行う。
【選択図】図3
Description
前記軸心に直交する軸線と前記加工部表面との交点の一方である測定開始点と他方である測定終了点の距離である開始直径D0を測定する開始径測定工程と、
前記測定開始点が前記加工作用部を通過し、かつ前記測定終了点が前記加工作用部を通過する前に、前記測定終了点を含む前記加工部の直径である終了直径D1を測定する終了径測定工程と、
前記測定開始点が加工された時の実切込み量Uを式U=|D0−D1|を用いて演算する実切込み量演算工程を備えることである。
前記軸心に直交する軸線と前記加工部表面との交点の一方である測定開始点と他方である測定終了点の距離である開始直径D0を測定する開始径測定工程と、
前記測定開始点が前記加工作用部を通過し、かつ前記終了点が前記加工作用部を通過する前に、前記測定終了点を含む前記加工部の直径である終了直径D1を測定する終了径測定工程と、
前記測定開始点が加工された時の実切込み量Uを式U=|D0−D1|を用いて演算する実切込み量演算工程と、
前記実切込み量Uを用いて加工動作を制御する加工工程を備えることである。
前記加工部の直径寸法を測定する工作物径測定装置と、
前記工作物径測定装置により測定した前記軸心に直交する軸線と前記加工部表面との交点の一方である測定開始点と他方である測定終了点の距離である開始直径D0と、前記工作物径測定装置により前記測定開始点が前記加工作用部を通過し、かつ前記終了点が前記加工作用部を通過する前に測定した、前記測定終了点を含む前記加工部の直径である終了直径D1と、式U=|D0−D1|を用いて実切込み量Uを演算する実切込み量演算装置を備えることである。
図1に示すように、円筒研削盤1は、ベッド2を備え、ベッド2上にX軸方向に往復可能に支持され送り用のモータ8により駆動される砥石台3と、X軸に直交するZ軸方向に往復可能なテーブル4を備えている。砥石台3は砥石車7を回転自在に支持し、砥石車7は砥石軸回転モータ(図示省略する)により回転駆動される。テーブル4上には、工作物Wの一端を把持して回転自在に支持し主軸モータ(図示省略する)により回転駆動され、主軸の回転位相を検出する位相検出器9を備えた主軸5と、工作物Wの他端を回転自在に支持する心押し台6が設置されている。工作物Wは主軸5と心押し台6により支持されて、研削加工時に回転駆動される。工作物Wの加工部の直径を測定する工作物径測定装置10がテーブル上に設置されている。
図2に示すように、工作物径測定装置10は、テーブルに固定されたベース11に保持された直径測定装置本体101と、直径測定装置本体101に係合し工作物Wの軸心に対して180°対向して配置された接触子102a、102bで構成されている。ここでは、接触子102a、102bの対向方向はX軸に直交する位置に配置されている。
図3(a)において、研削作用位置で砥石車に接触している工作物Wの点Aを工作物Wの測定開始点A(測定開始点)とし、この位置における工作物Wの位相を0°とする。図3(b)に示すように、測定開始点Aと工作物回転軸心に対して180度対向する工作物Wの表面位置の点Bを測定終了点B(測定終了点)とする。開始径測定工程は、工作物Wが270°回転し、測定開始点Aが接触子102aと接触し、測定終了点Bが接触子102bと接触した時に実施され、工作物直径D0(開始直径D0)を測定する工程である。図3(c)に示すように、工作物Wが360°回転すると、測定開始点Aの部位は砥石車7により研削される。終了径測定工程は、図3(d)に示すように、工作物Wが450°回転し、測定終了点Bが接触子102aと接触した時に工作物直径D1(終了直径D1)を測定する工程である。以上の一連の測定により、測定開始点Aを研削する前と研削後における工作物径を測定でき、工作物直径D0の値から工作物直径D1の値を差引くことで、測定開始点Aが研削された量、すなわち砥石車7の工作物Wに対する実切込み量Uの測定ができ、U=D0−D1となる。
研削が可能になるためには、砥石車7が工作物Wに所定の力で押付けられる必要があり、この押付け力Fは、砥石車7が工作物Wに押付けられて工作物Wと砥石車7の相対撓みTが発生した時に、砥石車7と工作物Wの間のばね定数である機械剛性kmと撓みTの積で求められる力Pから砥石車7が工作物に食い込むために必要な力F0を差し引いた力になる。すなわち、F=P−F0=T×km−F0が成り立つ。押付け力Fの強さに応じて実切込み量Uの大きさが決まり、極端に砥石車が磨耗した場合などを除いた通常の研削においては、押付け力Fは実切込み量Uに比例することが知られており、この比例定数を研削剛性kgとすると、F=U×kgが成り立つ。
ここで、撓みと実切込みに変動がある場合を考え、撓みTの変動差ΔTをΔT=T1−T2、実切込み量Uの変動差ΔUをΔU=U1−U2、力Fの変動差ΔFをΔF=F1−F2とする。F1=T1×km−F0でありF2=T2×km−F0なのでΔF=F1−F2=(T1×km−F0)−(T2×km−F0)=(T1−T2)km=ΔT×kmとなる。また、力Fと実切込み量Uは比例するのでその差についても比例し、ΔF=ΔU×kgとなる。結局、ΔF=ΔT×km=ΔU×kgとなり、ΔT=ΔU×kg/kmが成り立つ。
図4に示すように、砥石車7を工作物Wに押付け、その時の工作物Wの回転中心を点Pとし、砥石車7の表面と撓みの無い時の工作物Wの回転中心である点Oの距離Lを一定とする。図4(a)の位相Ckにおける工作物Wの砥石車7に接触する部位の半径Rminが最小半径とする。位相Ckにおける撓みTCkはTCk=Rmin−Lにより求められ、図4(b)の位相C1における撓みTC1はTC1=RC1−Lにより求められる。ここで、位相C1における撓みTC1と位相Ckにおける撓みTCkの差をΔTC1とするとΔTC1=TC1−TCk=(RC1−L)−(Rmin−L)=RC1−Rminとなる。結局、IRC1=RC1−Rmin=ΔTC1となり振れIRC1と撓みの差ΔTC1は等しくなり、撓みの差を測定すれば振れを測定でき、撓みの差を低減できれば振れを低減できることになる。
以上のことを研削中にあてはめると、先に説明したように、撓みの差ΔTは実切込み量Uの差であるΔUを用いてΔT=ΔU×kg/kmと表される。この関係は工作物の1回転中の各位相についても成り立つので、位相C1における関係をΔTC1=ΔUC1×kg/kmと表すことができる。
結局、IRC1=ΔTC1=ΔUC1×kg/kmとなり、実切込み量Uの各位相間における変動量ΔUC1を測定すれば、振れIRを求めることができる。
はじめに、メイン工程について図5のフローチャートに基づき説明する。機械剛性kmと研削剛性kgはあらかじめ記録部351に記録しておき、主軸5と砥石車7を回転させた状態で、砥石台3を早送りで前進させて、砥石車7を工作物Wに接近させる(S1)。所定の砥石台送り速度で工作物Wの全周が研削されるように粗研削を実施する(S2)。中仕上げ研削工程を開始し、所定の回転数(3〜5回転が好適)工作物Wを回転する(S3)。振れ測定工程(詳細は後に説明)を実施し工作物Wの位相に対する振れ量を測定する(S4)。中仕上げ研削工程を終了する(S5)。振れ補正研削工程(詳細は後に説明)を実施し振れを除去する(S6)。仕上げ研削工程を実施する(S7)。砥石台を早送り後退させる(S8)。
位相をカウントするカウンターC1の値を0に設定する(S20)。位相検出器9により測定された工作物の位相C1における、工作物径測定装置10により測定した工作物の直径を工作物直径DC1として記録部351に記録する(S21)。主軸5を5°回転させる(S22)。カウンターC1の値に5を加算する(S23)。カウンターC1の値が540以上か否か判定する。C1≧540であればステップS25へ移動し、そうでないならステップS21へ移動する(S24)。実切込み量Uを演算部35において演算する。工作物Wの位相C1における実切込み量UC1を式UC1=DC1−DC1+180を用いてC1=0〜355について演算し記録部351に記録する(S25)。実切込み量差ΔUを演算部35において演算する。実切込み量UC1(C1=0〜355)の中の最小の実切込み量であるminUを選定し、式ΔUC1=UC1−minUを用いてC1=0〜355について演算し記録部351に記録する(S26)。振れ量IRC1を式IRC1=ΔUC1×kg/kmを用いてC1=0〜355について演算部35において演算し記録部351に記録する(S27)。
工作物Wの回転位相を振れ補正研削開始位置(工作物位相は最小の振れ量minIRの位相Ckで、砥石台位置は中仕上げ研削終了の位置)へ割出す(S30)。振れ補正研削開始位置を基準として、主軸回転と砥石台切込みΔVを同期しながら1回転研削する。工作物の位相C1における砥石台切込みの量であるΔVC1は式ΔVC1=IRC1×(1+kg/km)となる。これは、振れ補正に必要な実切込み量の増加量をΔUsC1とし、その時の撓み量の増加量をΔTsC1とすると切込み量の増加量はΔVC1=ΔUsC1+ΔTsC1であり、ΔTsC1=ΔUsC1×kg/kmであるからΔVC1=ΔUsC1+ΔUsC1×kg/kmとなる。振れを無くするために必要な実切込み量の増加量ΔUsC1は、振れ測定工程で測定された振れ量IRC1であるから、ΔUsC1を振れ量IRC1に置き換えて、ΔVC1=IRC1+IRC1×kg/km=IRC1×(1+kg/km)となる。
これにより、砥石台切込みΔVは振れ補正研削開始位置でΔVCk=0となり、工作物Wの回転に連れて徐々に増加しながら最大切込みに達した後に、徐々に減少しながら振れ補正研削開始位置で再びΔVCk=0となる(S31)。
上記事例では本発明を円筒外径の研削に適用した例について説明したが、内面研削や、工具として切削工具を用いた加工にも適用できる。
また、工作物径測定装置10を1個用いて、はじめに測定した時刻から工作物が180°回転した後の時刻に測定された工作物径の差により実切込み量を演算したが、図8に示すようにΦの角度差で配置された2個の工作物径測定装置10a、10bを用いて測定してもよい。この場合、工作物径測定装置10aにより直径D0を測定した時刻から工作物がΦ回転した後に工作物径測定装置10bにより直径D1を測定し、各々で測定された工作物径の差により実切込み量を演算する。Φを180°より小さく設定しておくことでより短時間に実切込み量を演算でき、研削工程の制御の応答性を速くすることができる。
補正する位相間隔を小さくしたい場合5°より小さい間隔で測定をしてもよいし、測定点の中間の位相においては所望の位相間隔で補間計算することによりΔVC1を求めてもよい。
Claims (5)
- 円筒の加工部を備えた工作物を前記円筒の軸心の周りに回転支持して工具を前記円筒の半径方向に切込む工作機械を用いて、前記加工部を加工しながら前記工具の加工作用部における実切込み量を測定する実切込み量測定方法において、
前記軸心に直交する軸線と前記加工部表面との交点の一方である測定開始点と他方である測定終了点の距離である開始直径D0を測定する開始径測定工程と、
前記測定開始点が前記加工作用部を通過し、かつ前記測定終了点が前記加工作用部を通過する前に、前記測定終了点を含む前記加工部の直径である終了直径D1を測定する終了径測定工程と、
前記測定開始点が加工された時の実切込み量Uを式U=|D0−D1|を用いて演算する実切込み量演算工程を備える実切込み量測定方法。 - 前記開始径測定工程の終了時から前記工作物が180°回転した時に前記終了径測定工程を実施する請求項1に記載の実切込み量測定方法。
- 円筒の加工部を備えた工作物を前記円筒の軸心の周りに回転支持して工具を前記円筒の半径方向に切込み前記加工部を加工する加工方法において、
前記軸心に直交する軸線と前記加工部表面との交点の一方である測定開始点と他方である測定終了点の距離である開始直径D0を測定する開始径測定工程と、
前記測定開始点が前記加工作用部を通過し、かつ前記測定終了点が前記加工作用部を通過する前に、前記測定終了点を含む前記加工部の直径である終了直径D1を測定する終了径測定工程と、
前記測定開始点が加工された時の実切込み量Uを式U=|D0−D1|を用いて演算する実切込み量演算工程と、
前記実切込み量Uを用いて加工動作を制御する加工工程を備える加工方法。 - 前記加工工程において、前記加工部の回転方向の位置に対応する前記実切込み量Uの相互差から前記加工部の振れを演算し、振れを除去するような工具切込み制御を行う、請求項3に記載の加工方法。
- 円筒の加工部を備えた工作物を前記円筒の軸心の周りに回転支持して工具を前記円筒の半径方向に切込む工作機械において、
前記加工部の直径寸法を測定する工作物径測定装置と、
前記工作物径測定装置により測定した前記軸心に直交する軸線と前記加工部表面との交点の一方である測定開始点と他方である測定終了点の距離である開始直径D0と、前記工作物径測定装置により前記測定開始点が前記加工作用部を通過し、かつ前記測定終了点が前記加工作用部を通過する前に測定した、前記測定終了点を含む前記加工部の直径である終了直径D1と、式U=|D0−D1|を用いて実切込み量Uを演算する実切込み量演算装置を備える工作機械。
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