JP2013107805A - 窒化アルミニウム粉末および窒化アルミニウム粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 還元窒化法により窒化アルミニウム粉末を製造する方法であり、アルミナ粉末、カーボン粉末、ナトリウム化合物、及び、上記還元窒化温度下でアルミナと共融解し得るアルカリ土類金属化合物又は希土類金属化合物を特定量使用した組成物を、1300℃〜1750℃の温度で還元窒化する。
【選択図】 なし
Description
本発明の方法においては、還元窒化反応に供するアルミナ粉末とカーボン粉末と共にナトリウム化合物を使用する。その際、ナトリウム化合物はカーボン粉末表面において、触媒的な作用をしてカーボンの酸化分解およびアルミナの還元窒化を促進させる。また、上記ナトリウム化合物は、アルミナとアルカリ土類金属化合物又は希土類金属化合物とが共溶融した液相中において、前記粉末内部に存在する炭素に有効に作用すると共に、還元窒化の高温雰囲気下でも直ぐには揮発せず、前記焼成温度下において、有効な時間、該液相中に存在することにより、還元窒化における高温雰囲気下でもナトリウム化合物のカーボン酸化分解効果を十分発現させることができる。
本発明の窒化アルミニウム粉末の出発原料として用いるアルミナ粉末は、アルミナ又はその水和物が特に制限無く使用される。アルミナ粉末は、α、γ、θ、δ、η、κ、χ等の結晶構造を持つアルミナやベーマイトやダイアスポア、ギブサイト、バイヤライト、トーダイトなど加熱により脱水転移して最終的に全部又は一部がα−アルミナに転移するアルミナ水和物が全て利用可能である。
本発明で用いるカーボン粉末は、カーボンブラック、黒鉛粉末が使用できる。上記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャンネル法などのカーボンブラックおよび、アセチレンブラックが使用できる。
本発明において、ナトリウム化合物は、還元窒化反応において、アルミナ粉末の粒子間に存在し、生成する窒化アルミニウム粉末に粒界内炭素として残存する炭素に対して、後述する共融解剤により形成される液相で作用により、アルミナ或いは生成した窒化アルミニウムの粒界に存在する酸素による酸化分解を促進し、得られる窒化アルミニウム粉末の粒界内炭素の含有量を低減するものである。
本発明で用いる共融解剤は、還元窒化反応において、一部又は全部のアルミナ粉末と共融解し、還元窒化反応を促進すると共に、これに相溶した前記ナトリウム化合物が揮散する時間を延長せしめ、還元窒化における高温雰囲気下でもナトリウム化合物のカーボン酸化分解効果を十分発現させるためのものである。
本発明において、原料の混合方法としては、アルミナ粉末、カーボン粉末、ナトリウム化合物、及び、共融解剤が均一な組成で存在する方法であれば、湿式、乾式を問わず、いずれの方法でも良いが、ブレンダー、ミキサー、ボールミルによる混合が好適である。
本発明の窒化アルミニウム粉末の製造方法において、還元窒化は、アルミナ粉末とナトリウム化合物、アルカリ土類金属化合物又は希土類金属化合物を窒素流通下、カーボン及び還元性ガスの存在下で、1300〜1750℃、好ましくは1400℃〜1730℃、さらに好ましくは1550℃〜1700℃の温度で実施される。この場合、昇温速度は、いかなる速度でもよく、また、昇温途中にいかなる保持時間をとってもよいが、一般には、5〜20℃/分が好ましい。
また、混合粉末中に窒素を効率よく流通させるため、原料を造粒してもよい。その場合、上記造粒体は、圧縮造粒、押し出し造粒、転動造粒、噴霧造粒など、公知の造粒方法は何等制限なく採用して作製できる。また、造粒体の粒子径は特に制限されないが、特に、0.01mm〜50mmが好ましく、0.1mm〜10mmがさらに好ましい。
造粒体作製時に必要に応じて使用される界面活性剤、ならびに、バインダーは、本発明の効果を妨げない範囲で、公知のものが何等制限なく使用される。例えば、界面活性剤として、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキソエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられ、バインダーとしては、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、砂糖、セルロースエーテル、デキストリン、でんぷん、糖蜜、ポリビニルピオリドンなどが挙げられる。
本発明において、還元反応後の窒化アルミニウム粉末は、フリーの余剰カーボン粉末を含んでいるため、脱炭素処理を行うのが好ましい。脱炭素処理は高温で、酸化性ガスを用いて余剰のカーボン粉末を燃焼する方法が一般的である。脱炭素処理を行う際の酸化性ガスとしては、空気、酸素、など炭素を除去できるガスならば何等制限無く採用できるが、経済性や得られる窒化アルミニウムの酸素濃度を考慮して、空気が好適である。また、処理温度は一般的に500〜900℃がよく、脱炭素の効率と窒化アルミニウム表面の過剰酸化を考慮して、600〜750℃が好適である。
〔後処理〕
本発明において、酸化後の窒化アルミニウム粉末は、必要に応じて粉砕、分級を実施することができる。
さらに、本発明の窒化アルミニウム粉末は、次いで成形され、更に、焼成することによって窒化アルミニウム焼結体が得られる。そのための方法には公知の方法が特に制限なく採用されるが、具体例を挙げると、原料窒化アルミニウム粉末に、焼結助剤粉末を1〜10重量部の範囲で添加し、更には必要に応じて有機バインダー、可塑剤、分散剤、溶剤などを添加し、遊星ボールなどで混合機によって、乾式または湿式により混合したものを、例えば、ドクターブレード法、プレス成形法、押出し成形法、射出成形法などによって成形することが好ましい。本発明において、前記有機バインダーによって成形された場合、その成形体は、焼成に先立ち、脱脂処理を行うのが一般的である。上記脱脂処理の条件は、公知の条件が特に制限なく採用されるが、例えば、酸化性雰囲気下或いは非酸化性雰囲気下で、温度300〜1000℃で1〜10時間処理する方法が一般的である。焼成は、公知の焼成条件が特に制限なく採用されるが、例えば、上記脱脂体を、窒素などの非酸化性雰囲気下で温度1600〜1900℃、好ましくは1650〜1850℃、さらに好ましくは1680〜1820℃で1〜100時間、好ましくは2〜50時間、更に好ましくは2〜30時間で焼成を行うことが好ましい。
アルミナ粉末、カーボン粉末、ナトリウム化合物、アルカリ土類金属化合物または希土類金属化合物の平均粒子径は、試料をホモジナイザーにてピロリン酸ソーダ水溶液中に分散させ、レーザー回折粒度分布装置(日機装株式会社製MICROTRAC HRA)にて測定した。
アルミナ粉末、カーボン粉末、ナトリウム化合物、アルカリ土類金属化合物または希土類金属化合物の比表面積は、島津製作所製流動式表面積自動測定装置フローソーブ2300形を用いてN2吸着によるBET法により求めた。
アルミナ粉末、カーボン粉末、アルカリ土類金属化合物または希土類金属化合物のナトリウム含有量は、試料に酸を加え加熱分解し(カーボン粉末の場合は酸化分解後、酸による加熱分解)、島津製作所製ICPS−1000−IIを用いてICP発光分光分析法により測定した。
窒化アルミニウム粉末中のイットリア濃度は、蛍光X線(XRF)により測定した。
窒化アルミニウム粉末中の炭素含有量は、堀場製作所製金属中炭素分析装置「EMIA−110」を使用して、粉末を酸素気流中で燃焼させ、発生したCO、CO2ガス量から定量した。
京都電子工業製LFA−502を用いてレーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定した。
平均粒子径0.9μm、比表面積6.7m2/gであり、Na2O含有量がアルミナ100質量部に対し0.005質量部含有するαアルミナ100質量部(含有のナトリウム化合物を含めると100.005質量部)に、比表面積125m2/gのカーボンブラック50質量部、平均粒子径1.2μmの水酸化ナトリウム1質量部、平均粒子径1.0μm、比表面積11.7m2/gの酸化カルシウム3.0質量部を混合した後、グラファイトのセッターに充填した。ついで、窒素雰囲気下において、焼成温度1650℃、焼成時間2時間の条件で窒化後、空気雰囲気下において700℃で12時間、酸化処理を行って窒化アルミニウム粉末を得た。前述の方法にて、得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
αアルミナを平均粒子径1.0μm、比表面積12.7m2/gであり、Na2O含有量がアルミナ100質量部に対し0.005質量部含有するγアルミナとし、水酸化ナトリウムを平均粒子径0.9μmの炭酸ナトリウムとし、該炭酸ナトリウムをアルミナ100質量部に対し0.333質量部添加し、酸化カルシウムを平均粒子径2.0μm、比表面積3.7m2/gの炭酸カルシウムとし、該炭酸カルシウムをアルミナ100質量部に対し5質量部添加した以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
水酸化ナトリウムを平均粒子径0.9μmの炭酸ナトリウムとし、該炭酸ナトリウムをアルミナ100質量部に対し0.162質量部添加し、酸化カルシウムを平均粒子径1.0μm、比表面積2.2m2/gの酸化イットリウムとし、該酸化イットリウムをアルミナ100質量部に対し3質量部添加した以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
水酸化ナトリウムをアルミナ100質量部に対し1.045質量部添加し、酸化カルシウムを平均粒子径1.0μm、比表面積2.2m2/gの酸化イットリウムとし、該酸化イットリウムをアルミナ100質量部に対し5質量部添加した以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
αアルミナを平均粒子径0.7μm、比表面積6.4m2/gであり、Na2O含有量がアルミナ100質量部に対し0.25質量部含有するαアルミナ(含有のナトリウム化合物を含めると100.25質量部)とし、ナトリウム化合物を添加しなかった以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
焼成温度を1400℃とした以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
酸化カルシウムを平均粒子径1.0μm、比表面積2.2m2/gの酸化イットリウムとし、該酸化イットリウムをアルミナ100質量部に対し3質量部添加した以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
酸化カルシウムを添加しなかった以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
ナトリウム化合物を添加しなかった以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
酸化カルシウムを平均粒子径1.0μm、比表面積2.2m2/gの酸化イットリウムとし、該酸化イットリウムをアルミナ100質量部に対し0.1質量部添加した以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
焼成温度1850℃とした以外には実施例1と同様にして窒化アルミニウム粉末を作製した。得られた窒化アルミニウム粉末の炭素含有量測定を実施した。結果を表1に示す。
Claims (1)
- 還元窒化法により窒化アルミニウム粉末を製造するに際し、(a)アルミナ粉末、(b)カーボン粉末、(c)ナトリウム化合物、並びに、(d)上記還元窒化温度下でアルミナと共融解し得るアルカリ土類金属化合物又は希土類金属化合物を含み、前記アルミナ粉末100質量部に対して、前記ナトリウム化合物を酸化物(Na2O)換算で0.02質量部〜3質量部、前記アルカリ土類金属化合物又は希土類金属化合物を酸化物換算で0.5質量部〜50質量部含有する組成物を、1300℃〜1750℃の温度で還元窒化することを特徴とする窒化アルミニウム粉末および窒化アルミニウム粉末の製造方法。
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