JP2019048741A - 多孔質アルミナ焼結体及びその製造方法 - Google Patents

多孔質アルミナ焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた気孔率や比表面積などの細孔特性を有する多孔質アルミナ焼結体及びその製造方法を提供する。【解決手段】分散剤としてのカルボン酸を含みアルミニウム含有コロイドを含む原料液の液滴を噴霧熱分解法で多孔質アルミナ粒子材料を取得し、当該粒子材料を含む成形材料を焼結することで、結晶性アルミナを含有し、平均孔径が0.2μm以上1.0μm以下であり、D10/D90が2.0以下である、多孔質アルミナ焼結体を得る。【選択図】なし

Description

本明細書は、多孔質アルミナ焼結体及びその製造方法等に関する。
セラミックス材料であって多孔質焼結体は、触媒担体等の材料として期待されている。アルミニウムの酸化物であるアルミナ(Al23)は、研磨材料、各種の耐熱性材料、耐靱性材料、耐熱衝撃性材料のほか、自動車排ガス浄化触媒等の触媒の担体等として有用である。なかでも、アルミナの多孔質焼結体は、こうした用途に好適である。
セラミックス焼結体の製造方法は、種々存在するが、概して、合成されたアルミナ粉体を用いて仮成形体とし、その後アルミナの焼結温度で焼成する、というものである。また、多孔質焼結体は、所定の粒子径の粒子を成形し、焼成して、粒子間隙としての空孔を形成して多孔体を得る方法や、発泡材料や焼失材料などの細孔源材料を含んだ成形体を焼成し、細孔源材料を焼成の過程で除去して多孔体を得る方法などが知られている(非特許文献1)。
国立科学博物館 技術の系統化調査報告書第12集、p.183−p.187
しかしながら、上記のような手法が開示されているにしろ、多孔質アルミナ焼結体の細孔径、連通率、比表面積などの細孔特性を制御することは困難であった。したがって、現在までのところ、触媒担体等として好適に用いる多孔質アルミナ焼結体を製造することは困難であった。
本明細書は、本明細書は、優れた細孔特性を有する多孔質アルミナ焼結体及びその製造方法等を提供する。
本発明者らは、噴霧熱分解法における消失剤(焼失剤)及び分散剤としてカルボン酸を用いる原料液の調製について検討した。その結果、原料液の調製方法を工夫することで、良好な気孔率や比表面積を備えうる多孔質アルミナ粒子を噴霧熱分解法で製造できるという知見を得た。さらに、本発明者らは、こうした多孔質アルミナ粒子を用いて焼結体を製造したところ、極めて高精度に孔径や気孔率を制御をした多孔質アルミナ焼結体を得ることができることを見出した。本明細書は、こうした知見に基づき以下の手段を提供する。
本明細書は、多孔質アルミナ焼結体の製造方法であって、
カルボン酸を含有するアルミニウム含有コロイドである原料液を調製する原料液調製工程と、
前記原料液の液滴を加熱して粒子化する多孔質アルミナ粒子材料の製造工程と、
前記多孔質アルミナ粒子材料を含む成形材料を焼結して多孔質アルミナ焼結体を取得する工程と、
を備える、方法を提供する。
また、本明細書は、多孔質アルミナ焼結体を製造するための多孔質アルミナ粒子材料の製造方法であって、
カルボン酸を含有するアルミニウム含有コロイドである原料液を調製する原料液調製工程と、
前記原料液の液滴を加熱して粒子化する多孔質アルミナ粒子材料の製造工程と、
を備える、方法を提供する。
また、本明細書は、多孔質アルミナ焼結体であって、
結晶性アルミナを含有し、平均孔径が0.2μm以上1.0μm以下であり、D10/D90が2.0以下である、焼結体を提供する。
[1]多孔質アルミナ焼結体の製造方法であって、
カルボン酸を含有するアルミニウム含有コロイドである原料液を調製する原料液調製工程と、
前記原料液の液滴を加熱して粒子化する多孔質アルミナ粒子材料の粒子化工程と、
前記多孔質アルミナ粒子材料を含む成形材料を焼結して多孔質アルミナ焼結体を取得する焼成工程と、
を備える、方法。
[2]前記原料液調製工程は、アルミニウム塩水溶液にカルボン酸を加えたのち、アルカリを添加して前記原料液を調製する工程である、[1]に記載の方法。
[3]前記原料液調製工程は、アルミニウム塩水溶液にアルカリを加えたのち、カルボン酸を添加して前記原料液を調製する工程である、[1]に記載の方法。
[4]前記原料液調製工程は、不溶物である水酸化アルミニウムを含む分散液にカルボン酸を加えることで前記原料液を調製する工程である、[3]に記載の方法。
[5]前記水酸化アルミニウムはゲル状の水酸化アルミニウムである、[4]に記載の方法。
[6]前記原料液調製工程は、アルミニウム塩を溶解した前記液体のpHを調整して水酸化アルミニウムを析出させることを含む、[3]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記原料液調製工程は、前記カルボン酸を、前記アルミニウムに対してモル比で1以上2以下加えることを含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記カルボン酸は、酢酸、クエン酸、シュウ酸及びリンゴ酸からなる群から選択される1種又は2種以上である、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記カルボン酸は、クエン酸である、[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]前記粒子化工程後に、前記粒子化工程で得られた前記粒子を加熱してアルミナの結晶化を促進する結晶化工程をさらに備える、[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11]前記結晶化工程は、前記アルミナの少なくとも一部をγ−アルミナ相とする工程である、[10]に記載の方法。
[12]前記焼成工程は、前記成形材料を、α−アルミナ相が生成できる温度で焼成する工程である、[11]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[13]多孔質アルミナ粒子材料であって、
結晶性アルミナを含有し、相対密度が60%以上80%以下、比表面積が5m/g以上80m/g以下である多孔質アルミナ粒子を含む、材料。
[14]前記結晶性アルミナは、少なくとも一部にγ−アルミナ相を含む、[13]に記載の材料。
[15]多孔質アルミナ焼結体を製造するための多孔質アルミナ粒子材料の製造方法であって、
カルボン酸を含有するアルミニウム含有コロイドである原料液を調製する原料液調製工程と、
前記原料液の液滴を加熱して粒子化する多孔質アルミナ粒子材料の粒子化工程と、
を備える、方法。
[16]多孔質アルミナ焼結体であって、
結晶性アルミナを含有し、平均孔径が0.2μm以上1.0μm以下であり、孔径累積分布においてD10/D90が2.0以下である、焼結体。
[17]全気孔率が50%以上である、[16]に記載の焼結体。
[18]開気孔率が50%以上である、[16]又は[17]に記載の焼結体。
[19]孔径分布が1様性分布である、[16]〜[18]のいずれかに記載の焼結体。
本明細書に開示される多孔質アルミナ粒子材料の製造工程の一例を示す図である。 実施例1における多孔質アルミナ粒子材料の製造工程を示す図である。 900℃、2時間焼成によって得られた各材料のX線回折スペクトルを示す図である。 900℃、2時間焼成によって得られた各材料のSEM観察結果を示す図である。 900℃、2時間焼成によって得られた各材料の比表面積と相対密度の計測結果を示す図である。 1100℃、2時間焼成によって得られた各材料のX線回折スペクトルを示す図である。を示す図である。 1100℃、2時間焼成によって得られた各材料のSEM観察結果を示す図である。 1100℃、2時間焼成によって得られた各材料の比表面積と相対密度の計測結果を示す図である。 実施例5で得た多孔質アルミナ焼結体(粒子材料の焼成温度が950℃)の各種評価結果を示す図である。 粒子材料の焼成温度を950℃とした場合における多孔質アルミナ焼結体の相対密度を示す図である。 粒子材料の焼成温度を900℃及び950℃とした場合における多孔質アルミナ焼結体の孔径分布を示す図である。
本明細書は、多孔質アルミナ焼結体及びその製造方法等に関する。本明細書に開示される多孔質アルミナ焼結体(本焼結体ともいう。)の製造方法(以下、単に、本焼結体製造方法ともいう。)によれば、まず、内部に粒子外形に倣った比較的大きな空隙を有するなど、多孔質性に優れ、比表面積が増大された多孔質アルミナ粒子材料(以下、本粒子材料ともいう。)を得ることができる。さらに、必要に応じて本粒子材料を焼成し、本粒子材料を含む成形体を焼成して焼結させることで、細孔特性に優れる多孔質アルミナ焼結体(本焼結体ともいう。)を得ることができる。
本粒子材料を用いて焼結体とすることで、焼結によりこれらの粒子が結合しそれぞれの粒子が有する空隙が連通し、かつ本粒子材料間に空隙が形成されるが、この際、本粒子材料を用いることで、本粒子材料間の空隙に由来する孔と、本粒子材料が内部に有する空隙に由来する孔とが、焼結過程において、均質化される。このため、全気孔率や開気孔率が高く、しかも孔径の均一性に優れる本焼結体を得ることができる。なお、かかる作用は、推論であって、本明細書における開示を拘束するものではない。なお、従来、多孔質アルミナ焼結体として、高い多孔質性及び孔径の均一性の結体を得ることは困難であった。また、内部の空隙性に優れる多孔質アルミナ粒子材料も得るのが困難であった。
また、本粒子材料は、それ自体、高い多孔質性や比表面積が求められる多孔質アルミナ粒子材料として好適に用いることができる。
以下、本焼結体製造方法の一部でもある本粒子材料の製造方法、本粒子材料、本焼結体製造方法、本焼結体等の種々の実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。図1は、本粒子材料の製造方法の概要を示す図である。
(多孔質アルミナ粒子材料の製造方法)
本粒子材料の製造方法は、アルミニウム含有コロイドである原料液調製工程と、この原料液の液滴を加熱して粒子化する粒子化工程と、を備えることができる。さらに、必要に応じて、本粒子材料製造方法は、粒子を加熱(焼成)して結晶化を促進する結晶化工程を備えることができる。
本粒子材料製造方法は、いわゆる噴霧熱分解法と称される粉末合成方法を利用する。すなわち、得ようとする粉末の原料を含む溶液又は分散液を、適切な手段で液滴とし、この液滴を加熱することで、液体を蒸発させて、少なくとも部分的に原料を熱分解するとともに粒子化する方法である。なお、噴霧熱分解法の本製造方法への適用については後段で詳述する。
(原料液調製工程)
原料液調製工程は、カルボン酸を含有するアルミニウム含有コロイドである原料液を調製する工程である。原料液は、例えば、2段階で製造することができる。以下、第1の原料液をまず調製し、その後、第2の原料液を調製して、噴霧熱分解に供する場合について説明する。すなわち、本粒子材料製造方法においては、アルミニウム塩を含有する液体に対して、カルボン酸及びアンモニアなどのアルカリをそれぞれ順次を添加することで原料液を製造することができる。カルボン酸及びアルカリの添加順序は、最初にアルカリ、その後、カルボン酸であってもよいし、最初にカルボン酸、その後にアルカリであってもよい。
(原料液調製の第1の態様)
(第1の原料液)
第1の原料液は、不溶物として水酸化アルミニウムを含む液体とすることができる。かかる第1の原料液は、種々の方法によって準備することができる。例えば、概して、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)は、水に不溶であるが、水酸化アルミニウムを水に投入した水であってもよい。
また、第1の原料液は、アルミニウム塩を溶解した液体のpHを調整して水酸化アルミニウムを析出させて調製してもよい。この第1の原料液においては、水酸化アルミニウムを、ゲル状の沈殿物として含むことになる。さらにまた、第1の原料液は、別途準備した水酸化アルミニウムゲルを水等に投入して調製してもよいし、水等に投入するとゲル化するように予め調製された水酸化アルミニウムゲル粉末(商業的に入手可能である。)を水に投入して調製してもよい。
第1の原料液は、操作性やその後の第2の原料液の調製を考慮すると、アルミニウム塩から生成させたゲル状の水酸化アルミニウムを含むことが好ましい。こうした水酸化アルミニウムを含むことで、カルボン酸の添加により、噴霧熱分解法による多孔質粒子化に適したアルミニウム含有コロイドを形成することができて、消失剤としてのカルボン酸含有量を多孔質化に好適に多様な形態で分散が可能であること、比較的大きなコロイド粒子を形成可能であることから、多孔質性及び/又は比表面積の制御が容易になる。
第1の原料液は水酸化アルミニウムを保持又は分散する液体は、例えば、水又は水と相溶する有機溶媒との混液である。有機溶媒としては、メタノール、エタノールなどの炭素数1〜4程度の低級アルコール、アセトニトリル、DMSO等が挙げられる。なお、かかる混液は、水を主体とすることが好ましく、すなわち、水を体積%で50%超含み、例えば、60体積%以上、また例えば、70体積%以上、また例えば、80体積%以上、さらに例えば、90体積%以上、さらにまた例えば、95体積%以上とすることができる。
第1の原料液に含まれる水酸化アルミニウム(Al(OH)3)の濃度は特に限定しないが、0.05M以上5M以下とすることができ、また例えば、0.05M以上2M以下とすることができる。さらに例えば、0.1M以上1.5M以下とすることができる。
第1の原料液をアルミニウム塩から調製するとき、アルミニウム塩としては、特に限定しないで、水溶性のアルミニウム塩を用いることができる。例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等のほか、アルミニウムセカンダリーブチレート等、さらにはアルミニウムイソプロピレート等も挙げられる。アルミニウム塩の濃度は、既に説明した水酸化アルミニウムのモル濃度が得られる濃度とすることができる。
第1の原料液を、アルミニウム塩から調製するとき、pHは、アンモニアなどのアルカリを用いて、アルミニウム塩溶液のpHを4以上11以下程度に調整することができる。こうすることで、水酸化アルミニウムのゲル状沈殿を析出させることができる。アンモニアなどのアルカリの添加量は、特に限定しない。例えば、アルミニウム塩(アルミニウム)に対してアンモニアを添加するとき、アルミニウム1モルに対してアンモニアは2モル以上8モル以下程度とすることができる。また、例えば、3モル以上6モル以下程度とすることもできる。
(第2の原料液)
第2の原料液は、第1の原料液に対して、カルボン酸を加えて、不溶物である水酸化アルミニウムを、コロイド粒子として分散させたコロイド溶液として調製することができる。第2の原料液では、ゲル状の沈殿として生成した水酸化アルミニウムに、カルボン酸が吸着して、その結果、粒子間に反発力を生じさせて、コロイド粒子として分散させることができるようになるほか、カルボン酸が水酸化物イオンを一部置換したアルミニウム含有化合物も含む多様な分散質(コロイド粒子)を含むことになる。
また、カルボン酸は、加熱により消失して粒子に孔部を形成することができる。したがって、不溶物として生成させた水酸化アルミニウム粒子に対してカルボン酸を用いてアルミニウム含有コロイドを調製することは、比較的な大きな水酸化アルミニウムコロイド粒子を生成させることができることと、アルミニウムイオンと消失剤との多様な形態で分散させうることから、多孔質アルミナ粒子材料製造のための噴霧熱分解に好適な原料液を調製することができる。
第2の原料液中には、こうしたアルミニウム含有コロイド粒子が多数形成される。このため、第2の原料液から形成する液滴が高濃度にかつ多様な形態でカルボン酸を含有することができることとなり、得られるアルミナ粒子の多孔質性や比表面積増大に寄与することができる。
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、負又はループ酸、マレイン酸、リンゴ酸などのジカルボン酸、クエン酸、アコニット酸などのトリカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などのα−ヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。あるいは、EDTA又はその塩であってもよい。好ましくは、α−ヒドロキシカルボン酸を用いることができる。より好ましくは、かつ2価、クエン酸などの、α−ヒドロキシトリカルボン酸である。
水酸化アルミニウムコロイドの形成は、第1の原料液に対してカルボン酸を添加して、ゲル状の沈殿が消失していって液体が徐々に澄明になることで確認できる。特に限定するものではないが、ゲル状沈殿がおおよそなくなり、液体がほとんど澄明〜澄明になるまでカルボン酸を添加することが好ましい。
カルボン酸の量は、多孔質性及び比表面積にも影響する。本製造方法によれば、水酸化アルミニウムをカルボン酸によりコロイドとするため、多量のカルボン酸とともに水酸化アルミニウムを第2の原料液に分散させることができる。したがって、多孔質性や比表面積の設計自由度が向上している。
カルボン酸の添加量は特に限定するものではなく、用いるカルボン酸の種類や意図する多孔質性及び/又は比表面積にもよるが、概して、第1の原料液中のアルミニウム(アルミニウム塩)に対して当量比で、1以上4以下程度とすることができる。また、例えば、1以上3以下程度とすることもできる。なお、アルミニウムは三価であるため、アルミニウム1モルに対して当量比で1のカルボン酸は、酢酸であれば3モルであり、クエン酸であれば1モルとなる。
こうして調製した第2の原料液は、上記したように、各種態様のコロイド粒子を含むアルミニウム含有コロイドとなっている。このため、第2の原料液は、アルミニウムもカルボン酸も第2の原料液内において良好に分散して含まれている。
アルミニウム含有コロイドは、不溶物である水酸化アルミニウムに対してカルボン酸を加えてコロイドとしたものである。このため、このコロイドは、比較的大きな粒子径のコロイド粒子(分散質)を有するものと考えられる。
また、このコロイドには、水酸化アルミニウムに対して、Al(OH)3に対してカルボン酸が吸着したコロイド粒子のほか、例えば、Al(OH)2(R(COOH)31/3、Al(OH)(R(COOH)32/3、Al(R(COOH)33等、Al(OH)2(RCOOH)1〜Al(OH)1(RCOOH)2〜Al(RCOOH)3など、カルボン酸の種類によっても多様な態様のアルミニウム含有化合物である分散質を含んでいるものと考えられる。
こうした態様のアルミニウム含有コロイドである第2の原料液を液滴として蒸発〜熱分解することで、液滴表面や内部での焼結の進行が抑制されて液滴表面及び液滴内部においても空隙を形成されやすくなるものと考えられる。
(原料液調製の第2の態様)
(第1の原料液)
第1の原料液は、アルミニウム塩を含む溶液(液体)とすることができる。かかる第1の原料液は、種々の方法によって準備することができる。例えば、概して、既述の水溶性のアルミニウム塩を水に溶解して製造することができる。第2の態様の第1の原料液に含まれるアルミニウム塩の濃度は、特に限定しないが、0.05M以上5M以下とすることができ、また例えば、0.05M以上2M以下とすることができる。さらに例えば、0.1M以上1.5M以下とすることができる。
第1の原料液をアルミニウム塩から調製するとき、アルミニウム塩としては、特に限定しないで、水溶性のアルミニウム塩を用いることができる。例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム等のほか、アルミニウムセカンダリーブチレート等、さらにはアルミニウムイソプロピレート等も挙げられる。アルミニウム塩の濃度は、最終的に既に説明した水酸化アルミニウムのモル濃度が得られる濃度とすることができる。
第2の態様の第1の原料液は、カルボン酸を含有している。カルボン酸は、カルボン酸塩を一部置換したアルミニウム含有化合物も生成させる。カルボン酸は、第1の態様におけるのと同様の態様(種類、濃度)で用いることができる。
(第2の原料液)
第2の態様の第1の原料液に、アルミニウム含有コロイドを形成させる程度に、アンモニアなどのアルカリを供給することで、第2の原料液を調製することができる。アルカリは、第1の態様におけるのと同様の態様(種類、濃度等)で用いることができる。
すなわち、第2の態様の第2の原料液では、アルカリを加えることにより、アルミニウムのカルボン酸塩のカルボン酸イオンを水酸化物イオンが一部置換したアルミニウム含有化合物も含む「多様なアルミニウム分散質(コロイド粒子)」をカルボン酸とともに均一に分散させたアルミニウム含有コロイドを生成させることができる。すなわち、この原料液中のアルミニウム含有コロイドは、Al(OH)2(R(COOH)31/3、Al(OH)(R(COOH)32/3、Al(R(COOH)33等、Al(OH)2(RCOOH)1〜Al(OH)1(RCOOH)2〜Al(RCOOH)3など、カルボン酸の種類によっても多様な態様のアルミニウム含有化合物である分散質を含んでいるものと考えられる。したがって、アルミニウムイオンと消失剤であるカルボン酸との多様な形態で分散させうることから、多孔質アルミナ粒子材料製造のための噴霧熱分解に好適な原料液を調製することができる。
第2の原料液中には、こうしたアルミニウム含有コロイド粒子が多数形成される。このため、第2の原料液から形成する液滴が高濃度にかつ多様な形態でカルボン酸を含有することができることとなり、得られるアルミナ粒子の多孔質性や比表面積増大に寄与することができる。
(粒子化工程)
粒子化工程は、原料液、より具体的には、第2の原料液の液滴を、加熱して粒子化することができる。粒子化工程は、第2の原料液を適当な液滴形成手段により液滴とし、当該液滴を加熱して液体を蒸発させるとともに第2の原料中の原料を熱分解して、アルミナを含む粒子を生成することができる。粒子化工程は、例えば、いわゆる従来の噴霧熱分解法に準じて実施することができる。
第2の原料液から得られる液滴は、比較的大きく、かつ各種態様のコロイド粒子を含むアルミニウム含有コロイドである。すなわち、第2の原料液のアルミニウム含有コロイドは、種々の態様を有しているため、このため、粒子化工程における温度、ガス流量、霧化などの各種条件や、その後の焼成工程における温度条件によって、所望の比表面積や相対密度の制御の自由度が大きいものとなっている。また、第1の態様の第2の原料液は、水溶性であるアルミニウム塩に対してカルボン酸を供給して得られるアルミニウム−カルボン酸キレート(第2の態様による第2の原料液)よりも大きな粒子となっている傾向がある。このため、より、粒子特性の制御の自由度が高いものとなっている。
粒子化工程で用いる液滴化手段は、特に限定しないで、公知の噴霧熱分解法に適用されている手段を用いることができる。したがって、特に限定しないで、スプレーノズル、超音波霧化手段、静電霧化手段等を適宜選択して用いることができる。好ましくは、超音波霧化手段などである。
また、粒子化工程では、各種熱源を利用した加熱炉を用いることができる。加熱炉についても特に限定しないで公知の噴霧熱分解法に適用される赤外線加熱炉、マイクロ波加熱炉、抵抗加熱炉などの各種の加熱炉を適宜用いることができる。
粒子化工程における、第2の原料液における原料濃度のほか、温度、ガスの種類及びガス流量等については、粒径制御、組成制御、粒子構造制御及び生産性の観点から適宜設定することができる。例えば、温度は、一定温度であってもよいが、加熱炉の導入部から排出部までの間を、徐々に昇温する形態を採ることができる。典型的には、液滴の乾燥から熱分解を意図した温度設定とすることができる。液滴の乾燥のためには、おおよそ、200℃〜600℃程度の温度を設定することができる。また、例えば、熱分解のためには、600℃〜1600℃程度の温度を設定することができる。
一例としては、加熱炉全体で、200℃〜1000℃、また例えば、200℃〜800℃の範囲で加熱するような加熱形態とし、これらの温度範囲を、2以上の、より好ましくは3以上の、さらに好ましくは4以上の異なる温度(例えば、200℃、400℃、600℃及び800℃など)に制御した熱源を配置して加熱することが好ましい。
また、ガスについては、アルミナ生成の観点から、酸素を含んだ酸化性ガス、典型的には空気を用いることができる。その流量は、公知の噴霧熱分解法に準じて設定することができるが、例えば、2L/分〜10L/分、また、例えば、3L/分〜7L/分の範囲で適宜設定することができる。
粒子化工程によって得られた粒子は、少なくとも一部にアルミナ粒子を含むことができる。また、少なくとも一部は、カルボン酸が消失したことによる多孔質あるいは中空状の粒子となっている。例えば、粒子化工程によって得られる粒子は、概して多孔質性であり、典型的には、中空部を備えることができる。また、アルミナは、非晶質であってもよいし結晶質であってもよい。アルミナの生成やその種類(結晶性や、結晶型)や多孔性については、粒子化工程における温度条件やガス流通条件によって適宜制御することができる。
粒子化工程で得られた粒子は、公知の捕捉手段で適宜捕捉される。こうした捕捉手段も、噴霧熱分解法において一般的に用いられる捕捉手段を適宜採用することができる。
(焼成工程)
粒子化工程で得られた粒子について、アルミナの結晶性や結晶型、多孔質性や比表面積などの粒子特性をさらに調節したり、確実にするには、追加の焼成工程を行うことが好ましい。焼成工程は、例えば、粒子化工程で得られた粒子を加熱してアルミナの結晶化を促進する結晶化工程として実施してもよいし、カルボン酸を完全に消失させて多孔質性を向上させる及び/又は比表面積を調節(減少や増大)する工程として実施してもよい。
例えば、結晶化工程を実施する場合には、得ようとするアルミナの結晶形態に合わせて焼成温度を設定することができる。例えば、γ−アルミナを主要な結晶形とする場合には、例えば、800℃以上、また例えば、850℃以上1100℃未満程度することができる。また、α−アルミナを主要な結晶形とする場合には、例えば、1100℃以上、また例えば1100℃以上1400℃以下程度、より好適には、1150℃以上1200℃以下程度とすることができる。また、焼成時間も適宜設定できるが、例えば、1時間から3、4時間以下程度、典型的には2、3時間以内とすることができる。
例えば、本粒子材料が、γ−アルミナを結晶形として含む場合、後段の焼結体製造工程においてα−アルミナとなるような焼成温度を採用することができる。その場合、γからαへの相変化を、焼結体の孔径やその均質性を制御する要素とすることができ、意図した多孔質アルミナ焼結体を得られやすくなる場合がある。
なお、焼成工程は、酸化性雰囲気で実施することができる。すなわち、酸素雰囲気ないし空気雰囲気下で行うことができるほか、アルゴンガスや窒素などの還元性雰囲気で実施してもよいが、好ましくは、酸化性雰囲気である。
単に、多孔質性向上や比表面積の増大のためには、400℃以上800℃以下程度で必要な時間行えばよい。
本製造方法によれば、各種態様でアルミニウムとカルボン酸とを含有するアルミニウム含有コロイドである第2の原料液を調製することができる。このため、第2の原料液、すなわち、第2の原料液の液滴から多孔質性及び/又は比表面積に優れた粒子を得ることができる。したがって、後述する本明細書に開示される多孔質アルミナ粒子材料のような多孔質性及び/又は比表面積、すなわち、所望の多孔質性及び/又は比表面積の多孔質アルミナ粒子材料を製造に適したものとすることができる。
なお、本製造方法においては、粒子化工程後のいずれかの段階で、得られた粒子の凝集状態を解除するための粒子の解砕工程を実施してもよい。こうした解砕工程は、通常の粉砕のほか、液相中での超音波破砕であってもよい。
(多孔質アルミナ粒子材料)
本明細書に開示される多孔質アルミナ粒子材料は、結晶性アルミナを含有し、20m2/g以上90m2/g以下の比表面積と、60%以上80%以下の相対密度を有することができる。本製造方法によれば、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩濃度やカルボン酸濃度を制御して多孔質性や比表面積を調整できるからである。
本明細書に開示される多孔質アルミナ粒子材料は、γ−アルミナを含有し、相対密度が60%以上98%以下である多孔質アルミナ粒子を含むことができる。また例えば、同60%以上95%以下、また例えば、同60%以上90%以下、また例えば、同60%以上、85%以下、また例えば、同60%以上80%以下である。かかる材料は、従来のアルミナの用途に好適である。特に、触媒担体など、比表面積、多孔質性が求められる材料に有用であるである傾向がある。
本粒子材料は、γ−アルミナ(相)を有することができる。γ−アルミナは、X線回折スペクトルにより確認することができる。また、本粒子材料は、相対密度が60%以上80%以下である。こうした相対密度の範囲であると、本粒子材料の多孔質アルミナ粒子の有する孔構造(多孔質性、中空性等)は好適である。また、例えば、相対密度は、60%以上70%以下であってもよい。本明細書において、相対密度は、アルミナの真密度(3.7g/cm3)に対する、本粒子材料に関して窒素吸着等温線から導き出される細孔容積(Vp(cm3/g))から得られる本粒子材料の密度とアルミナの真密度から得られる本粒子材料の密度(ρ=1/((1/3.7)+Vp) (g/cm3))の比率として算出することができる。
また、本粒子材料の比表面積は、例えば、5m2/g以上であってもよく、また例えば、10m2/g以上であってもよく、また例えば、15m2/g以上であってもよく、また例えば、20m2/g以上であってもよく、また例えば40m2/g以上であってもよく、また例えば、50m2/g以上とすることができ、また、例えば、60m2/g以上とすることもでき、また例えば、80m2/g以上とすることができる。特に限定するものではないが、非表面積が40m2/g以上、または50m2/g以上、または60m2/g以上、または80m2/g以上であると、触媒担体や固体酸化物形燃料電池等に用いるのに十分な表面積を有しているといえる。なお、比表面積の測定は、ガスとして窒素、装置として吸着等温線測定装置(ベルソープミニ、日本ベル製)を用い、測定条件を0.1〜0.5kPa、5点測定して得ることができる。すなわち、これらの点に直線外挿し、傾きから比表面積の値を得ることができる。なお、その他の測定条件は、使用する装置のデフォルト設定で測定することができる傾向がある。
また、本明細書に開示される他の多孔質アルミナ粒子材料は、α−アルミナを含有していてもよい。α−アルミナは、X線回折スペクトルにより確認することができる。また、この材料においても、γ−アルミナを含有する場合と同様の相対密度を備えることができる。特に限定するものではないが、例えば、相対密度が60%以上80%以下であることが好ましい。また、例えば、60%以上70%以下であってもよい。さらに、この材料は比表面積が、例えば、5m2/g以上であってもよく、また例えば、10m2/g以上であってもよく、また例えば、15m2/g以上であってもよく、また例えば、20m2/g以上であってもよく、また例えば、40m2/g以上、または50m2/g以上、または60m2/g以上であってもよい。比表面積は大きいほど、反応面積や担持面積を確保できるため高性能を発揮できる。
また、本明細書に開示される多孔質アルミナ粒子材料は、噴霧熱分解法によって合成されているため、個々の粒子は、外形的には、真球状粒子の形態を採ることができる。噴霧熱分解におけるミスト径の調節や温度制御などによって、得られる本粒子材料の平均粒径を適宜調節することが可能である。例えば、超音波を用いたミストを利用する噴霧熱分解法によれば、本粒子材料の平均粒子径が0.5μm以上3μm以下とすることができる。また、噴霧熱分解法によると、原料溶液の濃度を調整することで得られる粒子の嵩密度を調節することができる。例えば、0.3g/cm3以上1g/cm3以下の範囲の本粒子材料を得ることができる。噴霧熱分解法による本粒子材料によると、開気孔率及び全気孔率がそれぞれ高く、かつ、開気孔率/全気孔率の比率が、例えば、80%以上、また例えば例えば、85%以上、また例えば、90%以上、また例えば、95%以上、また例えば98%以上の焼結体を得やすくなる。
本粒子材料の平均粒子径は、SEM観察画像から、ランダムに選択した400個の二次粒子について、2方向から測定した2つの直径を測定し、その平均値を平均粒子径として採用することができる。
(多孔質アルミナ焼結体の製造方法)
本明細書に開示される多孔質アルミナ焼結体の製造方法(以下、本焼結体製造方法ともいう。)は、本粒子材料の製造工程を備え、こうした製造工程で得られた本粒子材料を含む成形材料を焼結して多孔質アルミナ焼結体を取得する工程を、備えることができる。すなわち、本焼結体の製造方法は、アルミニウム含有コロイドを含有する原料液を調製する原料液調製工程と、前記原料液の液滴を加熱して粒子化する粒子化工程と、前記粒子化工程で得られた多孔質アルミナ粒子材料を焼成する工程と(必要に応じて)、前記焼成した多孔質アルミナ粒子材料を含む成形材料を焼結して多孔質アルミナ焼結体(以下、単に、本焼結体ともいう。)を取得する工程と、を備える、ことができる。
本粒子材料を得るまでの工程は、既に説明したとおりである。本粒子材料を用いて本焼結体を得るには、例えば、常法に従い、焼成した本粒子材料の仮成形体を製造し、焼結させることにより得ることができる。
本焼結体を得るのにあたって、本粒子材料の噴霧熱分解後における焼成工程温度を適宜選択することで、調節することができる。例えば、焼成温度が900℃程度よりも950℃のほうが焼結体における平均孔径が大きくなる傾向がある場合があるが、いずれも、0.1μm以上1μm以下の範囲の平均孔径の焼結体を得ることができる。
焼結体を得るためには、通常、焼成用原料の調製、成形体の調製及び成形体の焼成を実施することができる。焼成用原料の調製は、アルミナ焼結体に適用される公知の方法を適用することができる。特に限定するものではないが、例えば、本粒子材料のみを成形材料とすることもできる。本粒子材料のみを焼成用原料とすることで、他の材料に起因する孔部の生成を回避できるため、孔径や開孔率等の制御が容易となる。なお、本粒子材料に、水、有機溶媒などの分散剤などを適宜使用し、ボールミルやビーズミルなどを必要に応じて用いて混合(湿式混合又は乾式混合)し、必要に応じて乾燥することで得ることもできる。焼成用原料には、公知の添加剤、例えば、バインダー、助剤などを用いることができる。なお、焼成用原料は、成形体の調製において用いるプロセスに応じて、粉末、顆粒、スラリーなどの形態とすることができる。分散剤、バインダー、助剤などは、いずれも公知のものを適宜使用することができる。例えば、ポリビニルアルコールを2質量%程度混合することで好適な成形体を得ることができ、また、本粒子材料の使用に基づく焼結体の孔径制御に対する影響を回避又は抑制できる。
なお、本焼結体は、セラミックスとしては、本粒子材料のみを用いることができるほか、必要に応じて、本粒子材料の他、アルミナと共焼結可能な他のセラミックス材料を含んでいてもよい。他のセラミックス材料を用いる場合において、セラミックス材料の総質量に対して、本粒子材料は例えば、90質量%以上、また例えば、95質量%以上、また例えば、98質量%以上、また例えば、99質量%以上、また例えば、99.5質量%以上、また例えば、99.8質量%以上、また例えば、99.9質量%以上とすることができる。かかる他のセラミックス材料としては、特に限定するものではないが、例えば、ジルコニア、マグネシアなどが挙げられる。なお、こうした他のセラミックス材料も、本粒子材料と同様に、ミストを用いた噴霧熱分解法によって得られる球状の粒子材料を用いることが好ましい。
焼成用原料を意図した成形体として調製するには、公知の種々のプロセスを採用できる。特に限定するものではないが、例えば、一軸加圧成形やCIPなどの加圧成形、鋳込み成形、ゲルキャスト成形、フィルター成膜、射出成形、ラバープレス、押出し成形、ドクターブレード成形、テープ成形など公知の成形プロセスを適宜採用することができる。成形体は、必要に応じて適宜乾燥される。
次に、成形体を焼成して、原料粒子を焼結させる。焼結は、本粒子材料のアルミナの焼結のために一般的に用いられている温度を用いることができる。特に限定するものではないが、例えば、1400℃以上1600℃以下の温度とすることができる。かかる焼結温度で、特に限定するものではないが、数時間、例えば、2時間から10時間程度で適宜設定することができる。なお、焼成雰囲気は、酸素や空気などの酸化性雰囲気であってもよいし還元性雰囲気であってもよい。上記焼結温度に昇温し、一定時間保持され、その後、冷却される。
なお、成形体中にバインダーなどを含む場合には、バインダーを予め除去するために、バインダーの焼失温度近傍、例えば、数百℃程度で一定時間維持するプロセスを実施することができる。
成形体の焼成は、公知の焼成プロセスを採用できる。特に限定するものではないが、例えば、マイクロ波などを用いた常圧焼結、ガス圧焼結、ホットプレス焼結、熱間静水圧加圧焼結(HIP)、パルス通電加圧焼結、マイクロ波焼結など適宜採用することができる。
(多孔質アルミナ焼結体)
以上のようなプロセスを適宜用いて、本粒子材料を原料として用いる本焼結体を得ることができる。本焼結体は、その孔径分布(体積基準)0.1μm以上1.0μm以下の平均孔径及び孔径の累積分布(アンダーサイズ:孔径の大きい側がゼロ側とする)における累積率10%における孔径であるD10及び同累積率90%における孔径であるD90の比、すなわち、D10/D90の比として2.0以下を有することができる。これは、原料として用いる本粒子材料の個々の粒子の空隙性、形状、比表面積等によるものであると考えられるが、従来にないシャープな孔径分布の多孔質アルミナ焼結体となっている。平均孔径は、例えば、0.2μm以上、また例えば、0.3μm以上、また例えば、0.4μm以上、また例えば、0.5μm以上であってもよい。また、平均孔径は、例えば、0.9μm以下、また例えば、0.8μm以下、また例えば、0.7μm以下、また例えば、0.6μm以下、また例えば、0.5μm以下であってもよい。平均孔径の範囲は、これらの下限及び上限を適宜組み合わせて設定することができるが、例えば、0.1μm以上0.7μm以下、また例えば、0.2μm以上0.5μm以下などとすることができる。
また、本焼結体のD10/D90の比は、例えば、2.0以下、また例えば、1.8以下、また例えば、1.6以下、また例えば、1.5以下であってもよい。特に、平均孔径が0.2μm以上0.5μm以下のとき、例えば、上記比が2.0以下、また例えば、1.5以下であってもよい。
なお、本焼結体の平均孔径は、水銀ポロシメータにより測定することができる。水銀ポロシメータによる測定条件は、実施例と同様とすることができる。また、孔径分布におけるD10、D90も実施例に開示されるように常法により求めることができる。
本焼結体は、原料となる本粒子材料がそれ自体空隙を有する真球状粒子であることなどから、高い開気孔率、全気孔率及び開気孔率/全気孔率を有することができる。
本焼結体は、例えば、40%、また例えば、45%以上、また例えば、50%以上、また例えば、52%以上、また例えば、53%以上、また例えば、54%以上、また例えば、55%以上の全気孔率を備えることができる。また、本焼結体は、例えば、40%以上、また例えば、45%以上、また例えば、50%以上の開気孔率を備えることができる。
また、本焼結体は、例えば、40%、また例えば、45%以上、また例えば、50%以上、また例えば、52%以上、また例えば、53%以上、また例えば、54%以上、また例えば、55%以上の開気孔率を備えることができる。
さらにまた、本焼結体は、例えば、80%以上、また例えば、85%以上、また例えば、90%以上、また例えば、95%以上、また例えば、96%以上、また例えば、97%以上、また例えば、98%以上、また例えば99%以上の開気孔率/全気孔率の比率を有することができる。
好ましくは、本焼結体は、例えば、全気孔率50%以上であり、開気孔率が48%以上、また例えば、全気孔率が50%以上であり、開気孔率が49%以上、また例えば、全気孔率が50%以上であり、開気孔率が50%以上である。さらにまた、これらの組合せにおいて、例えば、全気孔率が51%以上、また例えば、同52%以上、また例えば、同53%以上、また例えば54%以上、また例えば55%以上である。
また、本焼結体は、上記平均孔径の一様性細孔構造を有することができる。従来、空隙を有する粒子を多孔質原料とする場合には、2様性の細孔構造を有する多孔質体となるのが一般的である。すなわち、粒子間空隙に基づく孔と粒子内空隙に基づく孔とのそれぞれの孔径分布(孔径ピーク)を有するのが一般的である。これに対して、本粒子材料によれば、当該材料が空隙を有する多孔質性であるにも係わらず、シャープな分布の1様性の細孔構造を有することができる。この結果、本焼結体は、シャープな1様性細孔構造を有し、しかも、全気孔率及び開気孔率が高いという、従来にない多孔質アルミナ焼結体となっている。
また、本焼結体剤の開気孔率は、アルキメデス法により測定することができる。本焼結体の全気孔率はアルキメデス法により測定することができる。
本焼結体は、本粒子材料に由来してアルミナを含有している。本粒子材料がα−アルミナ相を有する場合には、本焼結体も、α−アルミナ相を有することができる。また、本粒子材料がγ−アルミナ相を有する場合には、焼結時においてα−アルミナ相とすることができる。
なお、以上の説明に基づいて、本明細書には、以下の手段が含まれる。
(1)多孔質アルミナ粒子材料の製造方法であって、
不溶物として水酸化アルミニウムを含む第1の原料液に対して、カルボン酸を加えて、アルミニウム含有コロイドである第2の原料液を調製する原料液調製工程と、
前記第2の原料液の液滴を加熱して粒子化する粒子化工程と、
を備える、方法。
(2)前記水酸化アルミニウムはゲル状の水酸化アルミニウムである、(1)に記載の方法。
(3)前記カルボン酸は、酢酸、クエン酸、シュウ酸及びリンゴ酸からなる群から選択される1種又は2種以上である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記カルボン酸は、クエン酸である、(3)に記載の方法。
(5)前記第2の原料液はほぼ透明である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記原料液調製工程は、アルミニウム塩を溶解した前記液体のpHを調整して水酸化アルミニウムを析出させて前記第1の原料液を調製することを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)前記原料液調製工程は、前記カルボン酸を、前記第1の原料液中のアルミニウムに対してモル比で1以上2以下加えることを含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)前記粒子化工程で得られた前記粒子を加熱してアルミナの結晶化を促進する結晶化工程をさらに備える、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)多孔質アルミナ粒子材料であって、
結晶性アルミナを含有し、相対密度が60%以上80%以下、比表面積が20m2/g以上90m2/g以下である多孔質アルミナ粒子を含む、材料。
(10)多孔質アルミナ粒子材料であって、
γ−アルミナを含有し、相対密度が60%以上80%以下、比表面積が60m2/g以上である多孔質アルミナ粒子を含む、材料。
(11)多孔質アルミナ粒子材料であって、
α−アルミナを含有し、相対密度が60%以上80%以下、比表面積が20m2/g以上である多孔質アルミナ粒子を含む、材料。
以下の実施例は、本明細書の開示を具現化して説明するものであるが、本明細書の開示を限定するものではない。
(噴霧熱分解法による多孔質アルミナ粒子材料の合成)
多孔質アルミナ粒子材料を図2に示すスキームに従い合成した。
(1)原料溶液の調製
(実施例試料1)
原料として、硝酸アルミニウム9水和物(Al(NO33・9H2O)について以下の表に示す濃度の液を調製し、以下の濃度となるようにアンモニア水を添加して、ゲル状の水酸化アルミニウムの沈殿を生じさせた後、クエン酸水溶液をアルミニウム1モルに対して以下の表に示す濃度となるように撹拌しつつ徐々に添加して、アルミニウム含有コロイドを含有する透明な液とした。(アンモニア⇒クエン酸の例)
(実施例試料2〜3)
原料として、硝酸アルミニウム9水和物(Al(NO33・9H2O)について以下の表に示す濃度の液を調製し、以下の濃度となるようにクエン酸水溶液及びアンモニア水を添加して、アルミニウム含有コロイドを含有する透明な液とした。(クエン酸⇒アンモニアの例)
(比較例試料1〜2)
実施例試料1と同様の原料を用いて以下の表に示す濃度の液を調製し、比較例試料1については、表1に示すように、クエン酸水溶液を添加した。比較例試料2については、クエン酸溶液もアンモニア水も添加しなかった。
(2)噴霧熱分解
調製した実施例試料1〜3及び比較例試料1〜2について、超音波霧化装置を備える噴霧熱分解装置を用いて、入口から順に200℃、400℃、600℃及び800℃の熱源を備えるに全長120cmの加熱炉に、キャリアガスとして空気を5L/分で供給して、噴霧熱分解による粒子合成を行った。
噴霧熱分解装置の捕集部にて各材料(アルミナ前駆体)を捕集後、各材料の一部を、さらに、900℃、2時間、空気下で焼成して白色粉末を得た。また、各材料の他の一部を、1100℃、2時間、空気下で焼成して白色粉末を得た。
本実施例では、実施例1で合成した各材料を、X線回折法、SEM観察並びに比表面積及び相対密度にて評価した。なお、比表面積については、ガスとして窒素、装置として吸着等温線測定装置(ベルソープミニ、日本ベル製)を用い、測定条件を0.1〜0.5kPa、5点測定して得た。すなわち、これらの点に直線外挿し、傾きから比表面積の値を得た。なお、その他の測定条件は、使用する装置のデフォルト設定で測定した。また、相対密度は、アルミナの真密度(3.7g/cm3)に対する、各試料に関して取得した窒素吸着等温線から導き出される細孔容積(Vp(cm3/g))から得られる本粒子材料の密度とアルミナの真密度から得られる本粒子材料の密度(ρ=1/((1/3.7)+Vp) (g/cm3))の比率として算出した。
(1)900℃、2時間焼成条件による多孔質アルミナ粒子材料の評価
(X線回折スペクトル)
実施例1で合成した実施例試料1〜3及び比較例試料1〜2について、X線回折スペクトルを取得した。結果を図3に示す。図3に示すように、全ての材料について、γ相を確認できるとともに、他の相を確認できなかった。したがって、900℃、2時間の焼成によって、ほぼ完全にγ−アルミナを得ることができることがわかった。
(SEM観察)
SEM観察の結果を図4に示す。図4に示すように、いずれの材料も真球に近い球状粒子であることがわかった。
(比表面積及び相対密度)
相対密度及び比表面積の測定結果を表2及び図5に示す。実施例試料1は、80m2/gを超える比表面積を有するとともに、その相対密度も約60%であった。他の実施例や比較例に対して良好な粒子特性を有していた。このことは、実施例試料1の原料液においては、沈殿させた水酸化アルミニウムにクエン酸を添加してアルミニウム含有コロイドを形成したためと考えられた。また、900℃と1100℃との間の比表面積の減少程度から、実施例試料1は、少なくとも内部や、あるいは粒子表面に空隙を有する多孔質性ことがわかった。また、同様に、実施例試料2、3もある程度の多孔質性を有しており、種々の態様の粒子を作製できることがわかった。また、本粒子材料製造方法によれば、多様な特性の多孔質粒子を製造できることがわかった。
これに対して、クエン酸のみを用いた比較例試料1では、相対密度が90%であり、比表面積は15m2/g程度であった。さらに、クエン酸もアンモニアも含まない比較例試料2は、相対密度は80%程度であり、比表面積は40m2/gであった。
以上のことから、実施例試料1によれば、水酸化アルミニウム(不溶物)に対してクエン酸を供給して形成した比較的大きく、かつ多様な形態でアルミニウムを含有するコロイド粒子を含むコロイド溶液となっていたため、液滴の乾燥〜熱分解の過程において、液滴表面及び液滴内部においても空隙を形成されやすくなっていたと考えられる。一方、実施例試料2、3では、予め十分にクエン酸が供給されているため、アンモニアを加えた後においても微細かつ均一なコロイド粒子が形成されており、液滴の乾燥〜熱分解の過程において、焼結が進行しやすく、細孔が少なくなったものと考えられた。
さらに、クエン酸のみを添加した比較例試料1でも、液滴中には、均一にアルミニウムとクエン酸とが含まれた結果、焼結が進行しやすく多孔質性が低くなったものと考えられた。また、無添加である比較例試料2では、分解の過程で水酸化アルミニウムが生成し、二次粒子内に複雑な微細構造を形成したためと考えられる。なお、900℃と1100℃との間の比表面積の減少程度から、比較例試料1は、空隙を有しているがその量が少ない粒子であり、比較例試料2は、空隙を有していない粒子であろうことがわかった。
(2)1100℃、2時間焼成条件による多孔質アルミナ粒子材料の評価
(X線回折スペクトル)
(1)と同様に、実施例1で合成した実施例試料1〜3及び比較例試料1〜2について、X線回折スペクトルを取得した。結果を図6に示す。図6に示すように、全ての材料について、α相を確認できたが、α相よりも少ないがγ相も確認した。したがって、1100℃、2時間の焼成によって、概ねα−アルミナ相を得ることはできることがわかった。
(SEM観察)
結果を図7に示す。図7に示すように、SEM観察により、いずれの材料も真球に近い球状粒子であることがわかった。
(比表面積及び相対密度)
結果を表2及び図8に示す。実施例試料1は、20m2/gを超える比表面積を有するとともに、その相対密度も約70%であった。すなわち、(1)と同様に、実施例試料2〜3に比較して高い比表面積を有する一方、低い相対密度を有していた。このことは、実施例試料1の原料液においては、クエン酸が有効に不溶物の水酸化アルミニウムに対して供給された結果、多様な形態でアルミニウムを含有するコロイド粒子を含むアルミニウム含有コロイドになったためと考えられた。また、(1)との比較から、1100℃、2時間焼成により、粒子内部での焼結が進行して相対密度が増大し、比表面積が減少したものと考えられた。
また、(1)と同様、クエン酸を用いるがアンモニアで中和した実施例試料2及び3では、相対密度も約90%を超えやや多孔質性に劣るとともに、比表面積も10m2/gを下回る結果となったが、900℃と1100℃との間の比表面積の減少程度を考慮すると、多孔質性を維持できていた。
また、クエン酸のみを用いた比較例試料1でも相対密度は同程度であったが、900℃と1100℃との間の比表面積の減少程度から、相当程度多孔質性が低下していた。一方、クエン酸もアンモニアも含まない比較例試料2は、相対密度は80%程度であり、比表面積も20m2/gであったが、900℃と1100℃との間の比表面積の減少程度を考慮すると、多孔質性はもはやないと考えられた、。
これらの結果から、(1)と同様、多孔質アルミナ粒子の製造にあたっては、比較例試料1〜2のような態様は好ましくないことがわかった。
以上の(1)及び(2)で得られた実施例試料1〜3の900℃及び1100℃の各焼成結果と、比較例試料1〜2の各焼成結果と、を対比すると、アルカリとクエン酸を含有する実施例試料1〜3では、噴霧熱分解後の焼成温度によって、相対密度及び比表面積が大きく変化するのに対し(すなわち、1100℃で焼成すると緻密化が進行する。)、クエン酸のみ含有する比較例試料1やなんら添加されていない比較例試料2では、そのような傾向が大変少なかった。このことから、実施例試料1〜3においては、噴霧熱分解後の焼成工程によっても、比表面積や相対密度を調整可能であることがわかった。また、実施例試料1〜3においては、噴霧熱分解における温度設定によっても、容易に比表面積や相対密度を調整可能であることがわかった。
本実施例では、実施例1に準じた方法で作製した多孔質アルミナ粒子材料を用いて焼結体を作製した。すなわち、実施例試料2〜3の手順に基づき以下の表に示す組成の原料液を調製し、同様の条件で噴霧熱分解で多孔質アルミナ粒子を合成した。
上記で作製した多孔質アルミナ粒子材料を900℃又は950℃でそれぞれ2時間焼成した実施例試料4〜9を用いて以下の操作により、焼結体を得た。すなわち、各実施例試料の約0.3gをメノウ乳鉢を用いてポリビニルアルコール2wt%と混合後、乾燥して、原料粉末とし、この原料粉末を、直径10mmの成形型に充填した上、1次成形(49MPa)及び2次成形(245Mpa)で加圧して直径10ミリで厚み約2〜3ミリの成形体を得た。この成形体を、常圧下、空気下で、1400℃で2時間焼成して、α−アルミナ相の焼結体試料4〜9を得た。
本実施例では、実施例3で作製した焼結体試料について評価を行った。以下に、その項目と評価方法を示す。
(かさ密度)
試料の乾燥質量を測定後、試料を水中に入れ、内部に含浸させ、試料を水中に浮かせた状態での水中質量を測定する。その後、試料を取り出し、表面の水分だけを除去したのち、飽水質量を測定する。
(かさ密度)=(乾燥質量)/((飽水質量)−(水中質量))×水密度
(開気孔率)
(開気孔率)(%)=(((飽水質量)−(乾燥質量))/((飽水質量)−(水中質量))×100
(閉気孔率)
(閉気孔率)(%)=(全気孔率)−(閉気孔率)
(全気孔率)
(全気孔率)(%)=100−(相対密度)
(相対密度)
(相対密度)=(かさ密度)/4.0×100
(αアルミナの真密度は4.0g/cm3である。)
(孔径分布)
水銀ポロシメータ法を用いた。具体的には、水銀ポロシメータAutoProbeIII(島津製作所製)を用い、アルミナ多孔体試料を容器内に入れ、真空排気したのちに水銀を満たした。水銀に圧力をかけ、細孔の中に水銀を導入し、水銀の導入量(空隙量)とそのときの圧力の関係から孔の体積を測定した。圧力の増加に伴い入る孔径は小さくなることから、以下の式を用いて孔径−空孔体積のグラフを作製した。
D=−4σcosθ/P
D:細孔の直径、σ:水銀の表面張力、θ:水銀の接触角、P:圧力
(結果)
焼結体試料4(900℃焼成)についての評価結果を表4、図9及び図10に示す。図9に示すように、焼結体試料4は、高い開気孔率(52.3%)と全気孔率(54.5%)を有し、また、開気孔率/全気孔率は、96%であった。また、相対密度は45.4%であった。さらに、表4に示すように、平均孔径は、0.27μmであり、D10/D90は1.8であった。
また、焼結体試料5〜9についての相対密度についての測定結果を図10に示す。いずれも相対密度は、50%以下であり、低いことがわかった。
また、焼結体試料4〜9についての粒度分布を図11に示す。図11に示すように、いずれの焼結体試料も、1様性でかつシャープな孔径分布を有することがわかった。また、粒子材料を得るための焼成温度を950℃とすることで、平均孔径は、それぞれ0.60μm、0.45μm、0.45μm、0.45μm及び0.45μmとなった。また、焼結体試料4〜9についてのD10/D90は、それぞれ1.4、1.6、1.5,1.5、1.7となった。したがって、粒子材料を得る際の焼成温度によって、焼結体における孔径を調節できることがわかった。
なお、市販のγ−アルミナ粉末を用いて同様の条件で焼結体を作製したところ、2様性の孔径分布(ピ−ク孔径:1μm未満及び1μm以上10μm以下)の細孔構造を有する多孔質アルミナ焼結体(相対密度53%)が得られた。これは、γ−アルミナ相を有する中実粒子粉末を用いても、焼結の過程で2様性の細孔分布ができてしまったものと考えられた。

Claims (19)

  1. 多孔質アルミナ焼結体の製造方法であって、
    カルボン酸を含有するアルミニウム含有コロイドである原料液を調製する原料液調製工程と、
    前記原料液の液滴を加熱して粒子化する多孔質アルミナ粒子材料の粒子化工程と、
    前記多孔質アルミナ粒子材料を含む成形材料を焼結して多孔質アルミナ焼結体を取得する焼成工程と、
    を備える、方法。
  2. 前記原料液調製工程は、アルミニウム塩水溶液にカルボン酸を加えたのち、アルカリを添加して前記原料液を調製する工程である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記原料液調製工程は、アルミニウム塩水溶液にアルカリを加えたのち、カルボン酸を添加して前記原料液を調製する工程である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記原料液調製工程は、不溶物である水酸化アルミニウムを含む分散液にカルボン酸を加えることで前記原料液を調製する工程である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記水酸化アルミニウムはゲル状の水酸化アルミニウムである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記原料液調製工程は、アルミニウム塩を溶解した前記液体のpHを調整して水酸化アルミニウムを析出させることを含む、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記原料液調製工程は、前記カルボン酸を、前記アルミニウムに対してモル比で1以上2以下加えることを含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記カルボン酸は、酢酸、クエン酸、シュウ酸及びリンゴ酸からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記カルボン酸は、クエン酸である、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記粒子化工程後に、前記粒子化工程で得られた前記粒子を加熱してアルミナの結晶化を促進する結晶化工程をさらに備える、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記結晶化工程は、前記アルミナの少なくとも一部をγ−アルミナ相とする工程である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記焼成工程は、前記成形材料を、α−アルミナ相が生成できる温度で焼成する工程である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 多孔質アルミナ粒子材料であって、
    結晶性アルミナを含有し、相対密度が60%以上80%以下、比表面積が5m/g以上80m/g以下である多孔質アルミナ粒子を含む、材料。
  14. 前記結晶性アルミナは、少なくとも一部にγ−アルミナ相を含む、請求項13に記載の材料。
  15. 多孔質アルミナ焼結体を製造するための多孔質アルミナ粒子材料の製造方法であって、
    カルボン酸を含有するアルミニウム含有コロイドである原料液を調製する原料液調製工程と、
    前記原料液の液滴を加熱して粒子化する多孔質アルミナ粒子材料の粒子化工程と、
    を備える、方法。
  16. 多孔質アルミナ焼結体であって、
    結晶性アルミナを含有し、平均孔径が0.2μm以上1.0μm以下であり、孔径累積分布においてD10/D90が2.0以下である、焼結体。
  17. 全気孔率が50%以上である、請求項16に記載の焼結体。
  18. 開気孔率が50%以上である、請求項16又は17に記載の焼結体。
  19. 孔径分布が1様性分布である、請求項16〜18のいずれかに記載の焼結体。
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