JPH0543209A - 焼結用窒化アルミニウム粉末及びその製造方法 - Google Patents

焼結用窒化アルミニウム粉末及びその製造方法

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JPH0543209A
JPH0543209A JP3358280A JP35828091A JPH0543209A JP H0543209 A JPH0543209 A JP H0543209A JP 3358280 A JP3358280 A JP 3358280A JP 35828091 A JP35828091 A JP 35828091A JP H0543209 A JPH0543209 A JP H0543209A
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weight
powder
alumina
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sintering
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JP3358280A
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Koji Iwase
浩司 岩瀬
Masanori Kokuni
正則 小国
Akira Murase
晃 村瀬
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Nippon Light Metal Co Ltd
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Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高熱伝導率かつ遮光性のある焼結体用の易焼
結性AlN粉末及びその製造法を提案する。 【構成】 ジプサイト型水酸化アルミニウムの段階でカ
ルシウムイオンを担持させて遷移アルミナとすることに
よってカルシウムイオンを均一に分散させ、それに微粒
二酸化チタニウム粉末を混合し、且つカーボン使用量を
少量に規制した原料混合物を窒化反応させ、重量%で二
酸化チタニウム(Ti換算)0.10〜0.70%,カ
ルシウム化合物(Ca換算)0.010〜0.030
%,酸素0.7〜1.4%及びFe・Si等の不可避的
陽イオン不純物(金属単体換算)0.040%以下、平
均粒径1〜5μm,500kg/cm2での加圧嵩密度1.
50〜1.90g/cm3としたAlN粉末を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は易焼結性であり、焼結し
た際に高熱伝導率で遮光性のある焼結体を得ることが可
能な焼結用窒化アルミニウム粉末とその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器材料として用いられる窒化アル
ミニウム(以下「AlN」という)焼結体の特性として
次のような理由で遮光性が必要とされる場合が多い。即
ち、 a)AlN焼結体上に印刷した回路パターンを隠蔽し
て、そのデザインの秘密保持を図る。 b)AlN焼結体上に光学式メモリーを形成する場合に
は、透光性のある焼結体をそれに適用すると、メモリー
の消去等の誤作動があり得る。 c)実質的に製品の要求品質に影響のないAlN焼結体
に於ける色ムラや焼けムラの現象が見られることがある
が、それらを隠蔽することが望まれる。 等のことから遮光性が要求されることがある。
【0003】遮光性を付与する方法として、チタニウム
化合物添加による着色提案として例えば特開昭61−2
70262号,特開昭62−72570号,特開平2−
124772号があり、またAlN粉末自体の製造段階
でのカルシウム化合物の添加提案として特開昭60−6
5768号がある。しかしながら、これらの発明ではA
lN粉末の易焼結性が劣るとか、得られたAlN焼結体
の熱伝導率が低かったりする等の欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、1)
AlN粉末として、AlN焼結体とする時に焼結温度を
低下させつつ、焼結体としても高熱伝導性であると共
に、遮光性,強度を充分満足するものであること,2)
上記AlN粉末の製法発明としてカルシウム(Ca)イ
オンを均一に水酸化アルミニウム中に分散させ、且つ窒
化アルミニウム生成反応後の脱炭処理を容易にすると共
に原料カーボンからの不純物の混入を抑制することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
窒化アルミニウム中に、内割で二酸化チタニウム(Ti
2)を金属Ti換算で0.10〜0.70重量%,カ
ルシウム化合物を金属Ca換算で0.010〜0.03
0重量%、 及び酸素0.7〜1.4重量%を含有する
と 共に鉄(Fe)・珪素(Si)等の不可避的陽イオ
ン不純物が金属単体換算で合計で0.040重量%以下
であり、平均粒径1〜5μm,500kg/cm2での加圧嵩
密度が1.50〜1.90g/cm3であることを特徴とす
る焼結用窒化アルミニウム粉末であること及び、上記窒
化アルミニウム粉末の最適の製造法として後述のように
ジプサイト型水酸化アルミニウムの段階でカルシウムイ
オン(Ca2+)を担持させて遷移アルミナとすることに
よってカルシウムイオンを均一に分散させ、それに微粒
二酸化チタニウム粉末を混合粉砕し、且つカーボン使用
量を少量に規制した条件下で窒化反応を進行させ、次い
で脱炭処理することによって各々達成される。
【0006】本発明に係る焼結用窒化アルミニウム粉末
の組成としては、全て内割であるが以下の条件を充足す
ることが必要である。 1)Ti02含有量が金属Ti換算で 0.10〜0.7
0重量%であることが必要で、0.10重量%未満では
焼結体の遮光性が不十分であり、一方0.70重量%を
超えると焼結体の熱伝導率の低下が著しいからであり、
特には0.15〜0.50重量%が好ましい。 2)カルシウム化合物含有量は金属Ca換算で0.01
0〜0.030重量%の範囲が好ましく、0.010重
量%未満ではAlN粉末の低温焼結性が不十分であり、
0.030重量%を超えるとカルシウムの分布に偏在を
生じて焼結体に焼結ムラが出易くなる。ここでカルシウ
ム化合物とは、窒化アルミニム粉末中での存在状態が正
確に確認されていないが、アルミン酸カルシウム,酸化
カルシウム,窒化カルシウムのいずれか又はこれらの共
存状態にあるものと推定される。 3)酸素含有量は、0.7〜1.4重量%の範囲で、
0.7重量%未満ではAlN粉末の焼結性が悪く焼結温
度が高くなり、1.4重量%を超えると焼結体の熱伝導
率が低下する。 4)Fe・Si等の不可避的陽イオン不純物含有量はA
lN粉末の焼結性や焼結体の熱伝導率の低下等から金属
単体換算で0.040重量%以下であることが必要であ
る。 5)更にアルミナ還元法によって得られるAlN粉末の
場合には、脱炭処理が不十分であると、カーボンが残留
する。この残留カーボンは陽イオン不純物扱いとされな
いがAlN焼結時にAlN中のアルミナと反応してAl
Nとなる一方では液相焼結に有効な酸素成分を消費する
ため、AlN粉末の焼結性を悪化させる。従って、Al
N粉末中に不純物として含有されるカーボン量は500
ppm以下とすることが望ましい。
【0007】次に、本窒化アルミニウム粉末の具備すべ
き特性値としては、下記の要件を充足することが必要で
ある。 1)平均粒径範囲は1〜5μmで、1μm未満ではAlN
粉末の酸素吸着量が大きくなり焼結体の熱伝導率を低下
させ、5μmを超えると焼結性が悪くなり、焼結温 度が
高くなる。 2)加圧嵩密度(500kg/cm2での)の好ましい範囲
は1.50〜1.90 g/cm3で、1.50 g/cm3未満
では成形時のグリーン密度が小さく、焼結温度が高くな
り、1.90 g/cm3を超えると成形時のグリーン密度
が大きくなり過ぎ、脱 脂等が困難になり、焼結ムラが
生じ易く、焼結ソリ等が発生し易くなる。
【0008】以下に、上記組成及び特性値を有する焼結
用窒化アルミニウム粉末の製造方法を説明する。 A.原料 1)純度99.5重量%以上のジプサイト型水酸化アル
ミニウム 得られる窒化アルミニウム粉末の所望純度を達成するた
めには、水酸化アルミニウムとしては、アルミナ換算で
純度99.5重量%以上のものを適用するのが好まし
く、バイヤー法による高純度ジプサイト型水酸化アルミ
ニウムの市販品で平均粒径が3μm以下のものが適用さ
れる。 2)カルシウムイオンの担持 工業用水をそのまま使用したり、又、工業用水をイオン
交換樹脂法等によってFe,Si,Mgイオン等を除去
した純水や工場内の加熱源として使用された水蒸気の凝
縮水にカルシウム塩、例えば炭酸水素カルシウム,塩化
カルシウム,硝酸カルシウム,酢酸カルシウム等を溶解
し、Ca2+イオン濃度が50〜500mg/lに調整した
カルシウムイオン液に浸漬して所定量担持させる。 3)水酸化アルミニウムから遷移アルミナへの変換 前述の微粒の水酸化アルミニウムを常法によって例えば
昇温速度50℃/hr程度で昇温後500〜800℃で
焼成することによってBET比表面積30m2/g以上の
遷移アルミナ(α−アルミナを含有しない中間アルミナ
で活性がある)が得られる。なお、所望によって、得ら
れた遷移アルミナを解砕処理することによって所定の平
均粒径の調整を行なってもよい。
【0009】4)二酸化チタニウム 純度90重量%以上で、平均粒径としては0.01〜1
0μmのものが好ましく、0.01μm未満では原料が高
価となり、且つハンドリング性も悪くなり、一方、10
μmを超えると均一分散・混合が不十分となる。また、
その添加量は,AlN粉末中のTiO2量が所定濃度範
囲内に止まるような範囲のものとされるがAlN粉末製
造時の歩留りを考慮して、金属Ti換算で0.07〜
0.56重量%とするのが好適である。 5)カーボンブラック 純度99.7重量%以上、灰分0.3重量%以下で、平
均粒径としては0.3μm以下が好ましく、この比が
0.3μmを超えるとアルミナに対する表面被覆が不十
分となる。カーボンブラックの添加量はアルミナ:カー
ボン=1:0.36〜0.45(重量比)の範囲が好ま
しく、この比が0.36未満では窒化反応が不十分とな
る虞がある。この比が0.45を超えると脱炭処理を長
時間行なう必要があり、得られるAlN粉末中の酸素含
有量が増加したり、又、製造コストの上昇を来たすので
望ましくない。 6)有機高分子化合物 有機高分子化合物としては、1000℃以下で、液相を
経ることなく固相のまま、又は気相を経由して炭素化す
るもので、平均粒径30μm以下で、フェノールホルム
アルデヒド樹脂,ポリフェニレン,ポリ塩化ビニリデ
ン,セルロース等が好ましく用いられる。添加量として
はアルミナとカーボンブラックとの総量に対して1〜5
重量%で、1重量%未満では、アルミナ表面の被覆効果
が劣り、生成AlN粉末の微粒化効果が小さい。5重量
%を超えると、脱炭処理後のAlN粉末中に残存するカ
ーボン量が多くなり、不適当である。 7)有機粉砕助剤 通常使用されるもので良く、プロピレングリコール,高
級脂肪酸例えばパルミチン酸,ステアリン酸,オレイン
酸等、及び高級脂肪酸のMg,Ca,Ba塩等が用いら
れ、添加量は0.5〜3重量%である。
【0010】B.AlN粉末の製造方法 1)軽装嵩密度 窒化反応時の反応性,生産性を良好に保つため、上記原
料の乾式混合に際して軽装嵩密度を0.3〜0.6g/c
m3とする。0.3g/cm3未満では生産性が悪く、0.6
g/cm3を超えると未反応アルミナが残存し易くなるなど
反応性が悪くなるので好ましくない。 2)窒化反応 窒化反応炉で1500〜1700℃にてN2ガス雰囲気
で窒化反応を10〜70時間行なう。反応温度が150
0℃未満では反応速度が低く、1700℃を超えると、
AlN粉末が粗粒化して焼結性が悪くなるので実用的で
ない。 3)解砕操作 所望のAlN粉末の平均粒径範囲等に応じて凝集粒をほ
ぐすように粉砕機で解砕することが出来る。その場合脱
炭処理前に解砕することによって、得られるAlN粉末
中の酸素含有量の増加を防止出来る利点がある。 4)脱炭処理 窒化反応混合物から残存カーボンを除去するため乾燥空
気の流通加熱炉で、500〜800℃,5〜10時間処
理する。800℃を超えるとAlN粉末中の酸素含有量
が増加するので好ましくない。なお、この処理によっ
て、窒化物化したチタニウム分は酸化物(TiO2)に
戻る反応も進行するものと想定される。
【0011】C.AlN焼結体の製造プロセス AlN粉末100重量部,焼結助剤1〜5重量部,成形
用バインダー7〜15重量部、及びドクターブレード法
による成形の場合には溶媒50〜70重量部を加え混合
物の粘度が100〜200ポイスになるように調整す
る。上記焼結助剤としては、汎用されている希土類元素
の酸化物(Y23等),アルカリ土類金属酸化物(例え
ばCaO,BaO,SrO)が用いられ、所望の焼結条
件に応じて添加量はAlN粉末100重量部に対して例
えばY231〜5重量部,CaO1〜3重量部である。
成形用バインダーとしては、ポリビニルブチラール,パ
ラフィン,ステアリン酸等、溶媒としてはブタノール,
メチルエチルケトン,トルエン,エタノール等の単独ま
たはこれらの混合溶媒が用いられる。以上のものは、例
えばドクターブレード法で成形する場合、ナイロン製ポ
ット中での20〜48時間のボールミル湿式粉砕を伴う
湿式混合後、0.1気圧以下で10分ないし5時間攪拌
処理し脱泡と粘度調整を行ない、シート状に成形し、乾
燥後、所望の大きさに切断加工する。次いで溶媒の揮散
除去後、空気中では400〜600℃,窒素(N2)ガ
ス中では700〜800℃で脱脂処理を行ない乾燥グリ
ーン成形体を得る。なお、常法の金型プレスや静水圧
プレス等の成形加工も適用出来ることは勿論である。次
いで、焼結反応炉による例えば常圧焼結を行ないAlN
焼結体を得る。常圧焼結の条件は、N2ガスの1気圧雰
囲気(流量1〜10リットル/分)下、焼結温度1800℃
以下(1700〜1800℃),焼結時間2〜10時間
である。なお、同様に通常のホットプレス焼結法による
ことも出来ることは勿論である。
【0012】
【作用】
(1)AlN粉末として、添加される微粒のTiO2
アルミナと窒化反応前に混合することによって、均一に
分散するので少量の添加量でAlN焼結体の遮光性が向
上すると共に熱伝導率の低下を小さくすることができ
る。また、添加されたカルシウム化合物は窒化反応時の
昇温によってAlN粉末の表面に濃縮されるようになる
ので、添加しない場合より低温焼結が可能となり、Ti
2添加との複合効果としてAlN焼結体の強度が向上
するものと想定される。さらに加圧嵩密度を規定範囲内
に調整することにより低温焼結が可能となる。
【0013】(2)本発明によるAlN粉末の製造法で
は、水酸化アルミニウムに、水に溶解させたCa2+イオ
ンを担持させるので、生成アルミナ中にCaO粉末とし
て添加されるよりもカルシウム化合物が均一に分散した
ものが得られる。例えば、固相炭素化有機高分子化合物
を少量用いることによって、発生するカーボン(例えば
CO,CH4等を経由して生じる「スス」等の炭素)が
アルミナ粒子近傍をカバーするので、カーボンブラック
使用量を削減出来ると共にこのカバーにより窒化アルミ
ニウムの粒子成長を抑制する作用も果す。しかし、ガス
化したカーボンの凝縮物が脱炭処理し難いことがあるこ
とから、その使用量は少量であることが好ましい。軽装
嵩密度が0.3〜0.6g/cm3にあるとき、アルミナの
窒化反応が均一に行われ、未反応アルミナも少なくな
り、生産性が良いことが判った。窒化反応後の脱炭処理
前に解砕操作をすると、生成したAlN粉末をカーボン
が包み込んだ状態で解砕出来るので、解砕による“Al
N粉末中の酸素含有量の増加”を抑制することができ
る。
【0014】
【実施例】以下に実施例,比較例により本発明を具体的
に説明する。 (1)実施例,比較例(AlN粉末の製法) 原料水酸化アルミニウムとして、次の二種類のバイヤー
法ジプサイト型水酸化アルミニウム[A]及び[B]を
用いた。 [A] [B] アルミナ(Al23)としての純度 99.9重量% 99.7重量% ソーダ(Na2O)濃度 0.06重量% 0.15重量% カルシウム(Ca2+)濃度 0.001重量% 0.006重量% 平均粒径 2 μm 0.3 μm 上記水酸化アルミニウムを、炭酸水素カルシウムをCa
CO3換算で300〜1000ppm含有する水溶液中に適
宜浸漬した。上記処理した水酸化アルミニウムを650
℃,5時間ロータリーキルンで、か焼させαアルミナを
含有しない遷移アルミナ(BET比表面積は[A]で8
0m2/g,[B]で95m2/gであった。)とした。この
遷移アルミナ100重量部に対して特性の異なる二酸化
チタニウム粉末をを所定量配合し、乾式混合した。即ち
実施例1〜3及び比較例1〜3については、純度96.
5重量%で平均粒径1μmの二酸化チタニウム粉末を、
実施例4〜8については純度95.0重量%で平均粒径
0.02μmの二酸化チタニウムを用いた。次いで、更
にカーボンブラック粉末(新日鉄化学社製商品名ニテロ
ン#200),フェノールフォルムアルデヒド樹脂粉末
(旭有機材工業社製商品名AVライト)及びプロピレン
グリコールを所定量配合し、表1に示すように所定の軽
装嵩密度まで乾式混合粉砕した。
【0015】上記混合原料をトレー内に薄層状に収納
し、そのトレーを棚段状に窒化反応炉中に配置し、16
00℃まで昇温させ、N2ガスを流しながら1600℃
で50時間窒化反応を行なった。室温に降下したAlN
粉末をボールミル中に移した後、残存カーボンの存在下
で1時間解砕処理した。次いで、乾燥空気が流気してい
る脱炭炉中にて600℃,7時間の脱炭処理を行なっ
た。上記AlN粉末の原料組成,化学分析値,特性値等
を、それぞれ実施例1〜4を表1に、実施例5〜8を表
2に示す。なお、比較例1は遷移アルミナ中のCa含有
量を多くし二酸化チタニウムの添加量を少なくした場合
を、比較例2はカーボンブラックと二酸化チタニウムの
添加量を多くし且つ粉砕混合時の嵩密度が高い場合を示
し、更に比較例3はAlN粉末の微細化剤としてのフェ
ノール樹脂の添加量を多くした場合であり、各々実施例
と同様の工程で処理したものであり、その結果を表3に
示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】(2)実施例1〜8,比較例1〜3による
AlN焼結体の特性評価 AlN粉末:前項(1)で得られたもの 100重量部 焼結助剤:イットリア 1重量部 成形バインダー:ポリビニルブチラール 10重量部 溶媒:ブタノール 60重量部 以上のものをナイロン製ポット中で24時間湿式混合
後、減圧下で攪拌しながら脱泡処理し、ドクターブレー
ド法によってシート化し、乾燥後、切断し50mm角で1
mm厚の試験片を作成した。これを500℃の乾燥炉内で
脱脂処理し焼結反応炉でN2ガス雰囲気下で、500℃
/hrの昇温速度で焼結温度まで昇温し、その焼結温度で
2時間焼結させAlN焼結体の密度が理論密度の99%
以上と成る焼結温度を求めた。結果を表4に示す。
【0020】
【表4】
【0021】(3)比較例4(アルミナ粉に二酸化チタ
ニウム粉末,酸化カルシウム粉末等を混合した場合) アルミナ換算で99.9重量%純度の水酸化アルミニウ
ムをそのまま、(1)項の実施例と同様に遷移アルミナ
とした後、平均粒径1μmのTiO2粉末と平均粒径5
μmのCaO粉末を添加して実施例1と同一組成のAl
N粉末を得た。次いで、前記の焼結方式で焼結温度とそ
の時の特性値を求めた。結果は次のとおり。 焼結温度 熱伝導率 吸収係数 密度 抗折強度 (℃) (W/m・K) (cm-1) (g/cm3) (kg/cm2) 1780 160 79 3.27 38
【0022】(4)比較例5(AlN粉(Caが20pp
mのもの)にTiO2粉末,CaO粉末等を混合した場
合) AlN粉末(金属Tiとして0.004重量%,金属C
aとして0.002重量%含有)に平均粒径1μmのT
iO2粉末を金属Ti換算で0.52重量%,平均粒径
5μmのCaO粉末を金属Ca換算で0.020重量%
添加し、前記の焼結方式で焼結温度とその時の特性値を
求めた。結果は次のとおり。 焼結温度 熱伝導率 吸収係数 密度 抗折強度 (℃) (W/m・K) (cm-1) (g/cm3) (kg/cm2) 1800 148 54 3.27 35
【0023】上記表1,表2,表3及び表4の化学分析
値,物性値の測定方法について説明する。 (1)金属チタニウム(Ti),カルシウム(Ca),
鉄(Fe),珪素(Si)は蛍光X線分析(理化電機工
業(株)製システム3070)に拠った。 (2)BET比表面積は、比表面積自動測定装置(カウ
ンタークロム社製モノソーブMS15型)で測定した。 (3)平均粒径はセディグラフ(島津−マイクロメリテ
ィックス社製5000ET)により測定した。 (4)α−アルミナ量はX線回折により求めた。 (5)酸素含有量は放射化分析法(東芝製放射化分析装
置NAT−200型)により求めた。 (6)吸収係数は赤外分光光度計(日本分光工業社製F
T/IR−3型)により6μmの波長の光の透過率を測
定し、−ln a=μtにより求めた。ここで、a:透過
率,μ:吸収係数(cm-1),t:試料の厚さ(cm)であ
る。 (7)加圧嵩密度は40mm×20mmの型にAlN粉末を
15g入れ、500 kg/cm2に加圧し、圧粉体の大き
さ,重量を測定して求めた。
【0024】
【発明の効果】
(1)焼結用窒化アルミニウム粉末自体として 1)カルシウムの存在によって焼結温度を30〜70℃
低下させることが出来、焼結温度を一定とすれば焼結助
剤の使用量も削減できる。 2)TiO2をAlN粉末中に均一に分散させることに
よってAlN焼結体の熱伝導率の低下を抑制 しながら
遮光性を適切に付与することが出来る。 3)チタニウムとカルシウムが共存することによって、
AlN焼結体の強度を一層向上させることが出来る。 4)上述の化学組成にあり、且つ平均粒径と加圧嵩密度
が所定の範囲にあるときには低温焼結が可能となる。
【0025】(2)焼結用窒化アルミニウム粉末の製造
法として 1)Ca2+イオンの状態で水酸化アルミニウムに担持さ
れるので、遷移アルミナとした時に均一にカルシウム分
が分散したものが生成し、遷移アルミナへの転換や窒化
反応等への昇温時にアルミナ粒子表面近傍にカルシウム
分が濃縮されるので、TiO2との親和性も少量で向上
することが出来る。これにより、TiO2添加量も少量
で済むと共に、AlN焼結体の強度の向上等も発現す
る。 2)AlN粉末の製造時に二酸化チタニウム、特に微粒
二酸化チタニウムを添加することによって、生成AlN
粉末中にTiO2分を均一に分散させることが可能であ
るし、少量の添加量で所望の焼結体を得ることが出来
る。 3)有機高分子化合物を使用しつつ乾式混合粉砕時の軽
装嵩密度を所定範囲のものとすることによって、a)カ
ーボンブラックの添加量が少なくて済み、脱炭処理によ
るAlN粉末中の酸素含有量の増加を抑制することが出
来、b)又、アルミナの粒子成長が抑えられるので、微
粒AlN粉末が得られ易い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化チタニウムを金属Ti換算で0.
    10〜0.70重量%,カルシウム化合物を金属Ca換
    算で0.010〜0.030重量%、及び酸素0.7〜
    1.4重量%を含有すると共に鉄・珪素等の不可避的陽
    イオン不純物が金属単体換算で合計で0.040重量%
    以下であり、平均粒径1〜5μm,500kg/cm2での加
    圧嵩密度が1.50〜1.90g/cm3であることを特徴
    とする焼結 用窒化アルミニウム粉末。
  2. 【請求項2】a)アルミナ換算で純度99.5重量%以
    上のジプサイト型水酸化アルミニウムをカルシウムイオ
    ンの含有水溶液で処理した後、焼成して得たカルシウム
    塩を金属Ca換算で0.008〜0.025重量%含有
    し、平均粒径が0.2〜5μm,BET比表面積が30m
    2/g以上である遷移アルミナ粉末中に、平均粒径0.0
    1〜10μmの二酸化チタニウム粉末を金属Ti換算で
    0.07〜0.56重量%添加して、一旦混合した後、
    更にそれに b)アルミナより微粒の平均粒径0.3μm以下で灰分が
    0.3重量%以下のカーボンブラックをアルミナに対し
    てアルミナ:カーボン=1:0.36〜0.45の重量
    比で、又、窒化アルミニウムの微粒化剤として1000
    ℃以下で、液相を経ることなく固相のまま、又は気相を
    経由して炭素化する有機高分子化合物をアルミナとカー
    ボンブラックとの総量に対して1〜5重量%を、それぞ
    れ添加した後、軽装嵩密度が0.3〜0.6g/cm3にな
    るように乾式混合粉砕し、 c)次いで、窒化反応炉内で窒素ガス雰囲気にて150
    0〜1700℃で窒化反応させた後、所望により解砕処
    理してから酸化性雰囲気下で脱炭処理することを特徴と
    する焼結用窒化アルミニウム粉末の製造方法。
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