JP2008074643A - 窒化アルミニウムの焼成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】焼結助剤を含有する窒化アルミニウム焼結体、または、窒化アルミニウム脱脂体を、酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素ならびに不活性ガスの存在下で、1700℃以上の温度で熱処理することを特徴とする窒化アルミニウムの焼成方法。更には、窒化ホウ素からなる容器内で、酸化アルミニウム及び不活性ガスの存在下で1700℃以上の温度で熱処理する方法である。
【選択図】なし
Description
は、高熱伝導率の窒化アルミニウム成形体を製造する上で非常に有用である。
[窒化アルミニウムの焼成方法]
本発明の窒化アルミニウム(具体的には、窒化アルミニウム焼結体または窒化アルミニウム脱脂体)の焼成方法は、焼結助剤を含有する窒化アルミニウム焼結体または窒化アルミニウム脱脂体を、酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素ならびに不活性ガスの存在下で、1700℃以上の温度で熱処理することを特徴としている。
焼成の対象である、前記の焼結助剤を含有する窒化アルミニウム焼結体または窒化アルミニウム脱脂体(以下「焼結助剤含有窒化アルミニウム成形体」ともいう。)は、従来公知の方法によって製造することができる。この助剤含有窒化アルミニウム成形体としては、たとえば、焼結助剤と窒化アルミニウム粉末とを有機バインダーによって板状に成形してなるグリーン体から、酸化性雰囲気あるいは非酸化性雰囲気下にて有機物を分解除去(脱脂)して得られた脱脂体(仮焼結体);焼結助剤と窒化アルミニウム粉末との混合粉を加熱プレス成形して得られた焼結体;前記脱脂体(脱脂後の仮焼結体)を中性雰囲気下で焼成して、焼結を進行せしめた焼結体等が挙げられる。
前記アルカリ土類金属化合物としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の金属の酸化物、リン酸塩等が挙げられ、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率の向上を勘案すると、これらの中でも酸化カルシウム、アルミン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ピロリン酸カルシウム等の、カルシウムの酸化物、アルミン酸塩およびリン酸塩が好適である。
また、前記希土類金属化合物と前記アルカリ土類金属化合物とは併用しても良く、さらに、それぞれ数種類を用いても良い。
前記焼結助剤粉末の添加量は、特に制限されないが、窒化アルミニウム粉末100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは1〜7質量部である。焼結助剤粉末の添加量がこの範囲にあると、焼結体を十分緻密化して得られる焼結体の熱伝導率を向上せしめると共に、後述の焼成により焼結助剤を速やかに除去できる点で好ましい。
前記有機バインダーは、窒化アルミニウム粉末100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは1〜15重量部の割合で配合することが望ましい。
前記脱脂体(仮焼結体)を得るための脱脂条件は、公知の条件が特に制限なく採用される。たとえば、酸化性雰囲気下あるいは非酸化性雰囲気下で、温度300〜1200℃で1〜10時間処理する方法が一般的である。
本発明の窒化アルミニウムの焼成方法においては、前記した焼結助剤を含有する窒化アルミニウム焼結体または窒化アルミニウム脱脂体を、酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素ならびに不活性ガスの存在下で、1700℃以上で熱処理する。この熱処理によって、前記した焼結助剤を含有する窒化アルミニウム焼結体または窒化アルミニウム脱脂体から焼結助剤を除去することができる。
(1)容器内に酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素を入れておく。
(2)内面の一部または全部が窒化ホウ素からなる容器内に酸化アルミニウムを入れておく。
(3)内面の一部または全部が酸化アルミニウムからなる容器内に窒化ホウ素を入れておく。
などの態様が挙げられる。
5.0×10-5〜5.0×10-4g/cm3の範囲にあると、焼結助剤の除去量の制御が
容易である点で好ましい。
熱処理温度(焼成温度)は1700℃以上、好ましくは1800℃以上であり、その上限は、たとえば2000℃である。
また熱処理(焼成)に要する時間はたとえば10〜100時間である。
焼結助剤含有窒化アルミニウム成形体から焼結助剤の少なくとも一部が除去されたことは、焼成後の窒化アルミニウム焼結体または窒化アルミニウム脱脂体の表面の析出物の分析、焼成前後での窒化アルミニウムの熱伝導率の変化、焼結体断面のSEM観察等から確認することができる。
以下、本発明を好ましい態様である実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。
セッター(容器);
窒化ホウ素製のセッター内で窒化アルミニウムの焼成を行った。セッターとして、昭和電工(株)社製の窒化ホウ素製セッターを用いた。このセッターの内容積は806.88cm3であった。
ICP発光分析装置(株式会社島津製作所製ICPS−1000−II)にて窒化アルミニウム焼結体の成分分析を行い、窒化アルミニウム焼結体からの焼結助剤の除去を確認した。
窒化アルミニウム焼結体の変形の有無を目視により確認した。次いで、窒化アルミニウム焼結体の中央部の反り量を、(株)ミツトヨ製デジマチックインジケータを使用して測定した。ここで窒化アルミニウム焼結体中央部の反り量とは、図4に示すように水平面上に窒化アルミニウム焼結体を静置した際の、水平面に対する焼結体端部の高さから焼結体の厚さを差し引いた値である。
真空理工(株)製「LF/TCM−FA8510B」を使用して、レーザーフラッシュ法により、2次元法で測定した。
(グリーンシートの作成)
窒化アルミニウム粉末(株式会社トクヤマ製Hグレード粉末)100質量部と、焼結助剤として酸化イットリウム粉末5質量部およびリン酸三カルシウム粉末0.5質量部と、分散剤としてソルビタントリオレエートを0.65質量部と、結合剤としてポリビニルブチラールを8質量部と、可塑剤としてジブチルフタレートを4.72質量部と、溶媒としてトルエン62.4質量部、エタノール36.4質量部およびブタノール5.2質量部の混合物とを、ボールミルで混合し、脱溶媒した後、ドクタ−ブレード法によりシート成形した。
得られたシートより縦70mm×横70mm×厚さ1.0mmの成形体を複数枚作成した。この成形体を、脱脂炉内で、乾燥空気中、550℃で4時間加熱することにより脱脂した。
図1に示すように、窒化ホウ素製セッター3内に、押板2(電気化学工業(株)社製 窒化ホウ素押板;縦72mm×横72mm×厚さ1.6mm)と、前記窒化アルミニウム脱脂体1と、押板2とをこの順序で積み重ねてなる積層物を4箇所に置いた。図2に示すように、窒化ホウ素製セッター3の底面上に、この積層物を取り囲むように0.1gの酸化アルミニウム粉末(アルミナ粉末)(昭和電工(株)社 製A−43−L、平均粒子径1.4μm)を置いた。窒化ホウ素製セッター内の空間の体積(すなわち、{窒化ホウ素製セッターの内容積}−{窒化アルミニウム脱脂体および押板の体積})あたりの酸化アルミニウム量は、1.6×10-4g/cm3であった。
焼成後の窒化アルミニウム焼結体には、目視では変形は認められず、その中央部の反り量は5.0μmであった。また、焼結体中のイットリウム濃度は5000ppmであり、焼結体の熱伝導率は230W/m・Kであった。
[比較例1]
セッター内にアルミナ粉末を仕込まなかった以外は実施例1と同様にして、窒化アルミニウム脱脂体を焼成した。
窒化アルミニウム脱脂体と押板との積層物の下に板状のカーボン(メカニカルカーボン工業株式会社製、比表面積0.365m2/g)を置き、セッター内にアルミナ粉末を仕
込まなかった以外は実施例1と同様にして、窒化アルミニウム脱脂体を焼成した。
セッターとして窒化アルミニウム製セッターを使用した以外は実施例1と同様の方法で窒化アルミニウムを焼成した。
2・・・押板
3・・・セッター
4・・・酸化アルミニウム粉末(アルミナ(Al2O3)粉末)
5・・・板状カーボン
Claims (3)
- 焼結助剤を含有する窒化アルミニウム焼結体または窒化アルミニウム脱脂体を、酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素ならびに不活性ガスの存在下で、1700℃以上の温度で熱処理することを特徴とする窒化アルミニウムの焼成方法。
- 焼結助剤を含有する窒化アルミニウム焼結体または窒化アルミニウム脱脂体を、内面の一部または全部が窒化ホウ素からなる容器内で、酸化アルミニウムおよび不活性ガスの存在下で、1700℃以上の温度で熱処理することを特徴とする請求項1に記載の窒化アルミニウムの焼成方法。
- 請求項1または2に記載の方法により焼成して得られた窒化アルミニウム焼結体。
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