JP3527816B2 - 窒化アルミニウム質焼結体の製造方法 - Google Patents
窒化アルミニウム質焼結体の製造方法Info
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Description
体パッケージ材料等に利用される窒化アルミニウム質焼
結体を安価に製造することのできる窒化アルミニウム粉
末組成物と、焼結体の製造方法に関する。
体装置から発生する熱も増加している。半導体装置の誤
動作をなくすためには、このような熱を装置外に放出す
る基板が必要となる。しかしながら、従来から用いられ
てきた基板用のアルミナ材料は、熱伝導率が約20W/
m・Kと低い。そこで、高熱伝導性の窒化アルミニウム
が注目され始めた。窒化アルミニウムは、単結晶で理論
熱伝導率が320W/m・Kと高く、最近では200W
/m・Kを越えるような焼結体も開発されている。
ては、窒化アルミニウム粉末に、希土類化合物および/
またはアルカリ土類化合物等の焼結助剤を添加して18
00℃以上の高温で焼成することによって作製されてい
る(特公昭63−46032号、特公58−49510
号、特開昭61−10071号)。
ックスを製造する場合には、成形性を高めるために成形
用の有機樹脂を必要とし、その有機樹脂を分解除去す
る、いわゆる脱脂工程も当然必要とする。
からなる基板を作製する場合における脱脂は、加湿され
た非酸化性雰囲気中で行われるが、窒化アルミニウム質
焼結体を作製する場合、例えばアクリル系樹脂等を成形
用樹脂として添加した成形体を脱脂するにあたり、加湿
雰囲気中で行うと、窒化アルミニウムの酸化が急激に進
み熱伝導率が大幅に低下してしまうために、乾燥した窒
素などの非酸化性雰囲気中で行う必要があった。
の脱脂では、成形用樹脂を完全に脱脂するのに長時間を
要し、製造工程にかかる時間が長くなったり、また、脱
脂性に優れた特殊な成形用樹脂を必要とするために、製
造コストの上昇の大きな要因となっていた。
全に脱脂できない場合があり、そのために残留する炭素
成分によって焼結体の特性や色調に悪影響を及ぼし、歩
留まりが低下するという問題があった。一方、焼成工程
においては、高熱伝導化を図る上では、1800℃を越
える高温で焼成することが望まれるが、高温での焼成
は、焼成に使用する治具の消耗が激しく、また焼成炉の
構造も特殊なものとなってしまうために製造コストが高
くなるもう1つの要因となっていた。
脂が可能であるとともに、低温焼成可能な安価な焼結体
を製造し得る窒化アルミニウム質焼結体の製造方法を提
供することを目的とするものである。
点に対して検討を重ねた結果、窒化アルミニウム原料と
して、比較的多量の酸素を含むとともに、大気中での重
量増加が小さい窒化アルミニウム粉末組成物を用いる
と、酸化性雰囲気中での脱脂においても窒化アルミニウ
ムの酸化が進行せず、効率的な脱脂が可能となることを
見いだし、本発明に至った。
以上、大気中900℃まで加熱したときの重量増加分が
5%以下の窒化アルミニウム粉末組成物を主体とし、周
期率表第2a族元素および/または周期率表第3a族元
素を酸化物換算による合計量で5〜13重量%含有し、
かつ成形用有機樹脂を含む成形体を、実質的に水分を含
まない酸素含有雰囲気中で700〜1000℃の温度範
囲で熱処理して前記成形用有機樹脂を除去した後、窒素
含有雰囲気中で1600〜1800℃の温度で焼成する
ことを特徴とするものであり、特に、前記成形用有機樹
脂除去後の成形体中の不純物酸素量が2〜4重量%であ
ることを特徴とするものである。
換算で0.2〜3.0重量%、周期率表第3a族元素を
酸化物換算で5〜10重量%の割合で含むことにより、
さらに低温での焼成を行うことができる。
ム原料として、酸素含有量1.2重量%以上、特に、
1.5重量%以上、大気中900℃まで加熱したときの
重量増加分が5%以下、特に4%以下の粉末組成物を用
いることが、酸化性雰囲気中での脱脂を実施する上で重
要である。
よりも少ないと、後述する脱脂後の成形体中の不純物酸
素量が少なすぎて特性が劣化し、大気中900℃まで加
熱したときの重量増加分が5%を越えると、酸化性雰囲
気中での熱処理によって、窒化アルミニウム粉末の酸化
が進行してしまい、特性の劣化が生じるためである。但
し、酸素含有量が過度に大きいと最終焼結体中に不純物
酸素が大量に残存することになり、焼結体の熱伝導性を
損なう場合があるため、不純物酸素含有量は、4.0重
量%を上限とするのが望ましい。
粒径が1.0〜2.5μmであることが望ましく、この
ような原料を用いることにより、焼結性を高め、低温で
の焼成を実現することができる。
は、従来より酸化アルミニウムを還元窒化する方法と、
金属アルミニウムを直接窒化する方法が知られている
が、本発明において用いられる、上記の酸素含有量およ
び酸化特性を有する窒化アルミニウム粉末組成物は、上
記のいずれの製法によって作製されたものであってもよ
い。しかし、一般には、還元窒化原料は、酸素量が少な
くかつ大気中900℃まで加熱したときの重量増加分の
比較的少ない傾向にあり、直接窒化原料は、酸素量が多
くかつ大気中900℃まで加熱したときの重量増加分の
多い傾向にあり、それぞれ単一原料では、上記の特性を
満足することが難しい。従って、本発明によれば、還元
窒化原料と、直接窒化原料を混合することにより、酸素
含有量および重量増加分を上記のように制御するのが最
も簡単である。
上記の窒化アルミニウム粉末組成物に対して、少なくと
も周期率表第2a族元素および/または周期率表第3a
族元素を酸化物換算による合計量で5〜13重量%、特
に8〜12重量%の割合で添加することも重要である。
これらの焼結助剤を含有量が5重量%よりも少ないと、
焼結性が低下し、1800℃を越える高温でないと緻密
化することができず、また、13重量%よりも多いと焼
結体中の粒界相量が多くなり過ぎる結果、熱伝導性が低
下してしまうためである。
で添加することができ、例えば、酸化物、フッ化物、炭
酸塩、硝酸塩、酢酸塩等が挙げられるが、これらの中で
も酸化物、あるいは焼成によって酸化物となり得る炭酸
塩、硝酸塩、酢酸塩等が最も望ましい。
族元素は、窒化アルミニウム原料中に含まれる不純物酸
素と反応し液相を生成することにより焼結を促進する効
果がある。また焼結体の粒界にてガーネット型(YAG
型)、ペロブスカイト型(YAP型)、メリライト型
(YAM型)等の希土類元素アルミネートの結晶相を生
成し窒化アルミニウム結晶粒子に固溶する酸素を粒界に
トラップして、焼結体の高熱伝導化を図ることができ
る。周期率表第3a族元素としては、Y、La、Ce、
Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Luのいずれの元素でも用いる
ことができるが、耐薬品性の点でErまたは/およびY
bが好ましい。
ミニウム粉末中の不純物酸素と反応し、希土類元素に比
べて低温で液相を生成し得ることができるために焼結性
を大きく促進する。また、焼結中にアルカリ土類金属ア
ルミネートに結晶化し、周期率表第3a族元素と同様に
窒化アルミニウム結晶粒子中の酸素を減少させ高熱伝導
化を図ることができる。アルカリ土類金属としてはM
g、Ca、Sr、Ba等が挙げられるが、焼結性向上効
果の点でCaおよび/またはSrが望ましい。
る上では、上記の周期律表第3a族元素化合物および周
期律表第2a族元素化合物を併用することが好適であ
る。具体的には、周期率表第2a族元素を酸化物換算で
0.2〜3.0重量%、特に0.5〜2.5重量%、周
期率表第3a族元素を酸化物換算で5〜10重量%、特
に7.0〜10重量%の割合で含むのがよい。この組成
範囲に制御することにより、1700℃以下の温度での
焼成緻密化を実現することができる。なお、周期率表第
2a族元素量の上限は、多量に含むと焼結体の耐薬品性
が劣化するに基づき定めた。
体特性に影響を及ぼさない範囲で、少量の珪素化合物や
W、Mo、Ti、Cr、Ta、Tiなどの化合物を着色
剤として添加しても差し支えない。
性を高める上で、成形用有機樹脂を添加する。用いられ
る成形用有機樹脂としては、メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イ
ソブチル等のアクリル酸エステルを単量体とする単独重
合体や、これを共重合可能な他の単量体、例えばメタク
リル酸、アクリル酸などのアクリル系単量体、スチレ
ン、オレフィン、塩化ビニル、酢酸ビニル等との共重合
体などのアクリル系樹脂、ポリビニルブチラールなどの
ブチラール系樹脂、ポリビニルアルコール等のアルコー
ル系樹脂、メチルセルロース、ニトロセルロース等のセ
ルロース系樹脂等が用いられる。
剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、トリクロ
ルエチレン等が挙げられる。その他、周知の可塑材や解
膠剤などを添加してもよい。
機樹脂や溶剤を添加し混合したものを所望の成形手段、
例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、射出成形、押
出し成形等により任意の形状に成形する。また、シート
状に成形する場合には、ドクターブレード法、圧延法等
によって作製することができる。
熱処理を行い、成形体中の溶剤や成形用樹脂分を分解除
去する。本発明によれば、この脱脂工程を、実質的に水
分を含まない酸素含有雰囲気中で処理することが重要で
ある。
酸素含有雰囲気中で脱脂を行うことにより、従来窒素な
どの非酸化性雰囲気中での脱脂処理に比較して分解除去
を短時間で効率的に行うことができ、脱脂不良による残
炭に起因する特性の劣化を防止することができる。な
お、実質的に水分を含まない酸素含有雰囲気とは、具体
的にはAr、He、N2 などのガスと、O2 、NO2 、
CO2 との混合ガス雰囲気からなり、露点が−30℃以
下の雰囲気であるのがよい。また、脱脂温度は、700
〜1000℃の温度範囲内で用いる成形用樹脂が分解可
能な温度に設定されるが、例えばアクリル系樹脂を用い
た場合には、800〜900℃が最適である。
窒化アルミニウム原料粉末の酸素量および酸化特性を前
述した範囲に規定することとの相関性を有し、原料中の
酸素量が1.2重量%より低い原料では、脱脂後の成形
体中の不純物酸素量が少なすぎて焼結体の特性が劣化
し、大気中900℃まで加熱した時の重量増加分が5%
を越えると、脱脂中に窒化アルミニウムが酸化されてし
まい脱脂後の不純物酸素量が多すぎて特性が劣化してし
まう。
は、2〜4重量%であることが望ましい。この脱脂後の
成形体中の不純物酸素量は、焼結体特性と相関関係があ
る。この不純物酸素量が2重量%より少ないと焼結密度
が上がらず、またたとえ緻密体になっても焼結体の耐ア
ルカリ性が劣る。また、4重量%より多くなると、熱伝
導率が低下する傾向にある。ここで不純物酸素量とは、
焼結助剤金属が酸化物として存在するときに必要な酸素
量を、成形体中に存在する全酸素量から差し引いた残り
の酸素量のことである。 次に、上記のようにして得られた成形体を窒素、または
窒素と水素との混合ガスなどの非酸化性雰囲気中で焼成
し、嵩密度3.3g/cm3 以上に緻密化する。焼成温
度としては、1600℃以上であることが緻密性を高め
る上で必要である。なお、焼成温度が高すぎると焼成炉
や焼成治具などとして耐熱性に優れた特殊なものを使用
する必要があるため、コストの低減化を図る上では、1
800℃以下であるのがよい。また、焼結助剤として、
周期率表第2a族元素化合物および周期率表第3a族元
素化合物を前述した比率で含む場合には、1600〜1
700℃の温度での緻密化することができる。
2.0μm、酸素量:1.7重量%、)と還元窒化アル
ミニウム原料(平均粒径:1.5μm、酸素量:0.9
重量%)を重量比で87.5:12.5に混合して窒化
アルミニウム原料粉末を得た。本粉末の酸素量を燃焼法
により、大気中900℃まで加熱したときの重量増加分
をTGAにより測定した。 この窒化アルミニウム原料粉末に表1に示すような焼結
助剤と、成形用有機樹脂として、ポリメチルメタクリレ
ートをトルエンを溶媒として混合した後、ドクターブレ
ード法にてシート状に成形した。 得られたシートを35
mm角に切断し成形体を得た。 得られた成形体は実質的
に水分を含まない酸素含有雰囲気中(N2 +O2 :酸素
分圧10-2atm)で890℃で1時間脱脂を行った。
そして、この脱脂後の成形体中の不純物酸素量および残
存する炭素量を燃焼法で測定した。その後、この焼結体
を1650℃、3時間、窒素気流中で焼成した。
アルキメデス法により測定した。熱伝導率は、レーザー
フラッシュ法(厚み0.5mm試料)により室温で測定
した。耐薬品性は、アルカリ性の薬品として4N−Na
OH溶液を用いて、70℃で1時間浸した後の重量変化
を試料表面積で除した値で評価した。結果を表1に示
す。
て、直接窒化原料(平均粒径2.0μm)と、還元窒化
原料(平均粒径1.6μm)とを混合して表1に示すよ
うな酸素量と、酸化増量の異なる種々の窒化アルミニウ
ム粉末組成物と焼結助剤を混合、成形し、特性評価を行
った後、試料1と同等の方法により焼結体を得た。結果
を表1に示す。
1.6重量%、酸化増量が3.3%の窒化アルミニウム
粉末組成物に対して表1、2に示す焼結助剤を添加し
て、試料1と同等の方法により焼結体を得た。なお、試
料27〜28においては脱脂時の酸素源を水蒸気にする
ことにより、脱脂後の不純物酸素量を変化させた。結果
を表1、2に示す。
料を用いた試料No.2、3では、脱脂後の不純物酸素量
が十分でなく、焼結性が劣り、熱伝導率、耐アルカリ性
ともに低下した。また、原料の酸化増量が5重量%を越
える原料を用いた試料No.8では脱脂後の不純物酸素量
が4重量%を越えて多くなった結果、焼結性が劣り熱伝
導率・耐アルカリ性ともに低下した。
い試料No.20では、1600〜1800℃では十分に
緻密化することができず、13重量%を越える試料No.
26では焼結体の熱伝導率が低下した。
元素を酸化物換算で0.2〜3.0重量%、周期率表第
3a族元素を酸化物換算で5〜10重量%の割合で添加
した本発明試料No.1、4〜7、12〜18、21〜2
5はいずれも1700℃以下での焼成温度で緻密化する
ことができ、アルカリに対する重量減少も10mg/c
m2 以下が達成された。
測定した結果、水蒸気含有雰囲気で1時間処理した試料
No.27では、残炭量が0.4重量%と多く、5時間処
理した試料No.28において残炭量0.1重量%以下が
達成され、脱脂に長時間を要することがわかった。これ
に対して、本発明の試料は、いずれも脱脂1時間の短時
間で脱脂できることがわかった。
酸素雰囲気中での脱脂が可能であり、しかも、低温焼成
が可能であるために、安価に優れた特性を有する窒化ア
ルミニウム質焼結体を作製することができる。これによ
り、高熱伝導性が要求される各種配線基板、パッケージ
などの絶縁基板の他、ヒータ、静電チャック等の半導体
製造用治具など産業用部品としての汎用性を高めること
ができる。
Claims (3)
- 【請求項1】酸素含有量1.2重量%以上、大気中90
0℃まで加熱したときの重量増加分が5%以下の窒化ア
ルミニウム粉末組成物を主体とし、周期率表第2a族元
素および/または周期率表第3a族元素を酸化物換算に
よる合計量で5〜13重量%含有し、かつ成形用有機樹
脂を含む成形体を、実質的に水分を含まない酸素含有雰
囲気中で700〜1000℃の温度範囲で熱処理して前
記成形用有機樹脂を除去した後、窒素含有雰囲気中で1
600〜1800℃の温度で焼成することを特徴とする
窒化アルミニウム質焼結体の製造方法。 - 【請求項2】前記成形用有機樹脂除去後の成形体中の不
純物酸素量が2〜4重量%である請求項1記載の窒化ア
ルミニウム質焼結体の製造方法。 - 【請求項3】前記周期率表第2a族元素を酸化物換算で
0.2〜3.0重量%、周期率表第3a族元素を酸化物
換算で5〜10重量%の割合で含む請求項1または請求
項2記載の窒化アルミニウム質焼結体の製造方法。
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JP31495696A JP3527816B2 (ja) | 1996-11-26 | 1996-11-26 | 窒化アルミニウム質焼結体の製造方法 |
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JPH10158002A JPH10158002A (ja) | 1998-06-16 |
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JP (1) | JP3527816B2 (ja) |
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- 1996-11-26 JP JP31495696A patent/JP3527816B2/ja not_active Expired - Fee Related
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