JP2013107091A - 多角形断面部材の電磁成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム合金素材21の断面が、略円形の基本断面24の周方向に沿った複数の円弧状領域22と、円弧状領域22に挟まれた複数の凹凸領域23からなる。凹凸領域23では、周壁が基本断面24から外れて外向きに突出し、各凹凸領域23の周壁の周長L1は、同領域が基本断面24の周方向に沿って円弧状に形成された場合の周長L0より長い。各凹凸領域23は金型3のコーナー部3aに対向して配置される。電磁成形用コイル2がアルミニウム合金素材21の中に配置される。
【選択図】図1
Description
例えば特許文献1には、アルミニウム合金素材の端部を拡開して、フランジ付きのバンパーステイを成形することが記載されている。特許文献2には、アルミニウム合金素材の前方部分をバンパーリインフォースに形成した貫通穴に挿入し、後方部分の周囲を金型で包囲し、前記アルミニウム合金素材の全長を拡管成形し、バンパーリインフォースにかしめ締結することが記載されている。特許文献3には、1回目の拡管成形でアルミニウム合金素材の後方部分を径大に成形すると同時に後端にフランジを成形し、2度目の拡管成形では、前半部をバンパーリインフォースに形成した貫通穴に挿入して拡管成形し、バンパーリインフォースにかしめ締結することが記載されている。また、特許文献4には、円形断面のアルミニウム合金素材を、多角形等の異形断面に拡管成形することが記載されている。
まず、図6(a)では、円筒状のアルミニウム合金素材1を内周面が四角形断面(この例では正四角形)を有する金型3の内部に配置し、かつアルミニウム合金素材1の内部に円形断面の電磁成形用コイル2を配置している。金型3のコーナー部3aの内周面のRは、目標とする四角形断面部材の断面形状に合わせて比較的小さく形成されている。
この例でも、電磁成形力の制約、電磁成形用コイルの耐久性、及び材料の延び限界のため、目標断面形状(金型13の内周面に沿った形状)が得られず、実際に成形される四角形断面部材14は、大断面部14A、小断面部14B、及び打差部14Cの全てのコーナー部のRが、前記目標断面形状のコーナー部のRに比べて大きくなってしまう。
上記電磁成形方法において、前記アルミニウム合金素材を拡管成形すると同時に、前記アルミニウム合金素材の一方又は両方の端部を外向きに拡開してフランジを成形することができる。
上記電磁成形方法において、前記多角形断面部材は例えば軸方向に圧縮の荷重を受けたとき圧壊変形してエネルギーを吸収するエネルギー吸収部材である。この場合、前記アルミニウム合金素材を拡管成形すると同時に、周壁に内向きに窪む複数個のクラッシュビード(膨出量が相対的に少ないため窪みとなる)を形成することができる。このエネルギー吸収部材は、特に自動車用として用いるに好適である。
上記電磁成形方法において、前記アルミニウム合金素材を電磁成形で拡管し、多角形断面のバンパーステイを成形すると同時に、バンパーリインフォースにかしめ接合することができる。この場合、バンパーリインフォースに前後方向に貫通する穴を形成し、前記穴に前記アルミニウム合金素材の一部を挿入し、前記アルミニウム合金素材の前記穴から後方側に突出した箇所を前記金型で包囲して電磁成形を行う。なお、バンパーステイに関して前後方向をいう場合、衝突面側が前、車体側(サイドメンバー側)が後である。
前記アルミニウム合金素材は、長手方向に沿って実質的に同一断面を有するものが望ましく、押出材のほか、板材を筒状に成形したものも含まれる。
また、アルミニウム合金素材の周壁は、前記凹凸領域が一部に形成されているほかは、前記基本断面の周方向に沿った複数個の円弧状領域からなるので、従来どおりアルミニウム合金素材と電磁成形用コイルの隙間を小さくして、アルミニウム合金素材に十分な電磁成形力を作用させることができる。
図1は、本発明に係る電磁成形方法を説明する模式図である。金型3及び電磁成形コイル2は、図6に示すものと同じである。
アルミニウム合金素材21は、筒状の周壁を有するアルミニウム合金押出材を所定長さに切断したもので、前記周壁が、周方向に沿った複数の円弧状領域22と、円弧状領域22に挟まれた複数の凹凸領域23からなる。
円弧状領域22は略円形の基本断面24(図1に2点鎖線で示す)の周方向に沿って配置され、この例では円弧状領域22の中心角(円弧状領域22の両端と基本断面の24の中心Oのなす角度)はいずれもθ1に設定されている。基本断面24は、先に述べたとおり、円弧状領域22を連結して得られる仮想的な断面であり、従来のアルミニウム合金素材1(図6参照)の断面に相当する。
この状態で電磁成形用コイル2に通電すると、アルミニウム合金素材21は拡管成形され、周壁が全周にわたり金型3の内周面(コーナー部3aを含めて)に達して拡管成形が終了する。この場合、アルミニウム合金素材21の拡管は、金型3の内周面の全周で拘束されることになる。
この四角形断面部材25は、例えば軸方向に圧縮の荷重を受けたとき圧壊変形してエネルギーを吸収するエネルギー吸収部材として用いるのに適する。四角形断面部材25は、圧壊変形時にエネルギー吸収量への寄与の多いコーナー部(稜線部)の肉厚減少が抑制されているので、軽量でエネルギー吸収特性に優れたエネルギー吸収部材となる。
アルミニウム合金素材31は、アルミニウム合金素材21と全く同様に、筒状の周壁を有するアルミニウム合金押出材を所定長さに切断したもので、前記周壁が、周方向に沿った複数の円弧状領域32と、円弧状領域32に挟まれた複数の凹凸領域33からなる。円弧状領域32は略円形の基本断面34(図2に2点鎖線で示す)の周方向に沿って配置され、凹凸領域33では周壁が基本断面34から外れて外向きに突出している。従って、凹凸領域33の周壁は、アルミニウム合金素材21の凹凸領域23と同様に余剰線長を有する。
この状態で電磁成形用コイル12に通電すると、アルミニウム合金素材31は拡管成形され、周壁が全周にわたり金型13の内周面(コーナー部13aを含めて)に達して拡管成形が終了する。余剰線長を有する凹凸領域33が、金型13のコーナー部の内周面に対向して配置されているため、電磁成形で拡管するとき、凹凸領域23の周壁は周長の変化が少なく、つまり肉厚を大きく減少させることなく比較的容易に前記コーナー部の奥まで達し、全体的に金型13の内周面に沿った断面形状、すなわち図2(c)に示すようにコーナー部のRが小さく稜線が明確に出たバンパーステイ35が成形される。
図3において、アルミニウム合金素材41は、筒状の周壁を有するアルミニウム合金押出材を所定長さに切断したもので、前記周壁はアルミニウム合金素材31と同じく、周方向に沿った複数の円弧状領域42と、円弧状領域42に挟まれた複数の凹凸領域43からなり、円弧状領域42はこれまで述べたような略円形の基本断面(図示せず)の周方向に沿って配置されている。ただし、アルミニウム合金素材41は、サイドメンバー44(図4参照)の断面形状が上下にやや長い長方形であるため、それに合わせて、凹凸領域43の上下間隔d1を左右間隔d2より少し大きく設定している。
なお、前記穴46,47はバーリング穴とすることが望ましい。前方(衝突)側の穴46をバーリング穴とする場合、該バーリング穴の穴フランジは、衝突時にバンパーカバーが破断するのを防止する観点から、後方側(サイドメンバー44側)に向いて突出するように形成することが望ましい(特開2010-116129号公報参照)。
前記金型は、内周面が四角形断面(ただしこの例では上下方向がやや長い長方形)で、金型13と同様に、小断面部と大断面部及び両者の間の段差部からなる。前記大断面部の内周面形状は、サイドメンバー44の断面の外側輪郭とほぼ同一形状に形成されている。ただし、前記金型の大断面部の平面領域(コーナー部以外の箇所)には、内側に突出する突起が複数個、適当な配置で形成されている。この突起はバンパーステイにクラッシュビードを形成するためのものである。前記小断面部の内周面形状は、サイドメンバー44の断面の内側輪郭(内周形状)とほぼ同一形状に形成されている。
前記電磁成形用コイルは、電磁成形用コイル12と同様の円断面コイルである。
アルミニウム合金素材41の前記後方部分は、前記金型の内部で拡管してコーナー部を含めて前記金型の内周面に拘束されて変形し、ここに大断面部48A、小断面部48B、及び両者の間の段差部48Cが成形される。大断面部48Aはコーナー部48aを含めてサイドメンバー44の断面の外側輪郭とほぼ同形状の四角形断面を有し、小断面部48Bは、コーナー部48bを含めてサイドメンバー44の断面の内側輪郭とほぼ同形状の四角形断面を有する。大断面部48Aと小断面部48Bは、いずれもコーナー部48a,48bのRが小さく、稜線部が明確な四角形断面を有している。また、大断面部48Aの平面領域には、前記金型の突起に対応する窪み(クラッシュビード49)が成形されている。隣接する平面領域において、クラッシュビード49,49,・・は軸方向にみて異なる位置に、すなわち千鳥足配置で形成されている。
電磁成形後、バンパーステイ48の小断面部48Bの両側面にボルト穴52が形成される。続いてバンパーステイ48の小断面部84Bがサイドメンバー44の断面内に挿入され、段差部48Cがサイドメンバー44の先端のフランジ44aに当接し、小断面部48Bとサイドメンバー44がボルト締結され、これによりバンパーステイ48がサイドメンバー44に固定される。
アルミニウム合金素材61は、アルミニウム合金素材21と全く同様に、筒状の周壁を有するアルミニウム合金押出材を所定長さに切断したもので、前記周壁が、周方向に沿った複数の円弧状領域62と、円弧状領域62に挟まれた複数の凹凸領域63からなる。円弧状領域62は略円形の基本断面64(図5に2点鎖線で示す)の周方向に沿って配置され、凹凸領域63では周壁が基本断面64から外れて外向きに突出している。従って、凹凸領域63の周壁は、アルミニウム合金素材21の凹凸領域23と同様に余剰線長を有する。
この状態で電磁成形用コイル65に通電すると、アルミニウム合金素材61は拡管成形され、金型66の内部では周壁が全周にわたり金型66の内周面(コーナー部66aを含めて)に達し、金型66の端面66bから突出した部分では、周壁が拡開して端面66bに打ち当たり、拡管成形が終了する。
(1)以上説明した例では、アルミニウム合金素材の凹凸領域には、各1個の凸部が形成されていたが、この凹凸領域には、複数個の凸部、1又は複数個の凹部(周壁が前記基本断面から外れて内向きに突出した箇所)、あるいは凸部と凹部の両方が例えば波形状に形成されていてもよい。いずれにしても、この凹凸領域において前記余剰線長が生じていなければならない。
また、アルミニウム合金素材の凹凸領域は、電磁成形で成形される多角形断面部材の各コーナー部(稜線部)に対応して同数個形成することが望ましいが、電磁成形時にアルミニウム合金素材の周長の変化(材料の延び)が小さい箇所(例えば多角形断面部材のコーナー部のうちコーナー角度が比較的大きい箇所)では、同箇所に対応する凹凸領域を形成しなくてもよい。
(4)アルミニウム合金素材の外周長をLb、電磁成形時にアルミニウム合金素材の変形を拘束する金型の内周面の周長をLaとしたとき、0.9<La/Lb<1.3に設定する。La/Lbが0.9以下だと電磁成形された多角形断面部材にシワが発生し、1.3以上だと材料が破断するおそれがある。LaとLbはほぼ同等であることが望ましい。
(7)アルミニウム合金素材として、金属板をプレス成形又はロール成形し、筒状としたものを用いることができる。
13,66 金型
21,31,41,61 アルミニウム合金素材
22,32,42,62 円弧状領域
23,33,43,63 凹凸領域
24,34,64 基本断面
25,35,48,67 四角形断面部材(バンパーステイ)
44 サイドメンバー
45 バンパーリインフォース
Claims (6)
- 筒状の周壁を有するアルミニウム合金素材を内周面が多角形断面を有する金型の内部に配置し、かつ電磁成形用コイルを前記アルミニウム合金素材の内部に配置し、その状態で前記電磁成形用コイルに通電して、前記アルミニウム合金素材を前記金型の内周面に沿った断面形状に拡管成形する多角形断面部材の電磁成形方法において、前記アルミニウム合金素材の周壁の断面は、略円形の基本断面の周方向に沿った複数の円弧状領域と、前記円弧状領域に挟まれた複数の凹凸領域からなり、前記凹凸領域では周壁が前記基本断面から外れて内向き又は/及び外向きに突出し、各凹凸領域の周壁の周長は同領域が前記基本断面の周方向に沿って円弧状に形成された場合より長く、前記アルミニウム合金素材は、前記凹凸領域が前記金型のコーナー部に対向して配置されることを特徴とする多角形断面部材の電磁成形方法。
- 前記電磁成形用コイルが、導体を螺旋状に巻いた円断面コイルであることを特徴とする請求項1に記載された多角形断面部材の電磁成形方法。
- 前記アルミニウム合金素材を拡管成形すると同時に、前記アルミニウム合金素材の一方又は両方の端部を外向きに拡開してフランジを成形することを特徴とする請求項1又は2に記載された多角形断面部材の電磁成形方法。
- 前記多角形断面部材がエネルギー吸収部材であり、前記アルミニウム合金素材を拡管成形すると同時に、周壁に内向きに窪む複数個のクラッシュビードを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された多角形断面部材の電磁成形方法。
- 前記多角形断面部材がバンパーステイであることを特徴とする請求項4に記載された多角形断面部材の製造方法。
- バンパーリインフォースに前後方向に貫通する穴が形成されており、前記穴に前記アルミニウム合金素材の一部を挿入し、前記アルミニウム合金素材の前記穴から後方側に突出した箇所を前記金型で包囲して電磁成形を行い、前記バンパーリインフォースにかしめ締結することを特徴とする請求項5に記載された多角形断面部材の電磁成形方法。
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