JP4386238B2 - ステイの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のバンパーリインフォースを支持するステイ(バンパーリインフォースがサイドメンバの前端部に直接支持されている場合、前記サイドメンバの前端部)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車やトラック等の自動車車体の前端(フロント)及び後端(リア)に設置されるバンパー内部には、補強部材としてバンパーリインフォースが設けられている。バンパーリインフォースは一般に荷重方向に略垂直に向く前壁と後壁、及びそれらを連結する横壁を有する断面中空の部材であり、後方側から一対のステイにより支持され、各ステイは後端がサイドメンバ(フロント又はリア)の前端に固定されている。なかには、サイドメンバの前端にバンパーリインフォースが直接固定された車体もある。
なお、本件明細書において、車両のフロント側、リア側に関わらず、衝突面側を前とする。
【0003】
バンパーリインフォースとステイの取り付けは、通常、ボルト・ナットによる締結又は溶接により行われている。例えば下記特許文献1〜3では、アルミニウム合金押出材からなるステイの先端取付面にバンパーリインフォースの後壁をボルト・ナット又はネジにより固定している。下記特許文献4〜6では、同じくアルミニウム合金押出材からなるステイを用い、その先端に取付用フランジを一体的に設け、そのフランジの前面にバンパーリインフォースの後壁をボルト・ナットにより固定している。また、下記特許文献7では、ステイの先端に取付用フランジを設け、そのフランジ前面にバンパーリインフォースの前壁を溶接している。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−227333号公報
【特許文献2】
特開平11−208392号公報
【特許文献3】
特開平11−208393号公報
【特許文献4】
特開平8−91154号公報
【特許文献5】
特開2001−294106号公報
【特許文献6】
特開2002−19553号公報
【特許文献7】
特開2002−67840で号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの取付部構造によれば、オフセットバリヤ衝突やポール衝突のように取付部に大きい曲げモーメントがかかる衝突、あるいは斜めバリヤ衝突のように特に取付部の車幅方向外側に強い荷重が掛かる衝突の場合に、種々の問題点が生じる。この点を図11を用いて具体的に説明する。
図11をみると、サイドメンバ1の前端にステイ2が固定され、ステイ2のフランジ3にバンパーリインフォース4の後壁が左右のボルト・ナット5,6により固定されている。
【0006】
ここで、ポール衝突によりバンパーリインフォース4の中央に荷重F1が掛かったとすると、発生する曲げモーメントにより、フランジ3の車幅方向内側にはバンパーリインフォース4をフランジ3に押し付ける圧縮荷重F1aが掛かり、フランジ3の車幅方向外側にはバンパーリインフォース4をフランジ3から引き離そうとする引張荷重F1bが掛かる(図11の左半部参照)。その結果、外側のボルト・ナット6のボルトが引き伸ばされて破断したり、そうでない場合、ボルトのヘッド又はナットが後壁に食い込んで該壁部が破れ、いずれにしてもバンパーリインフォース4がフランジ3の前面から浮き上がり、バンパーリインフォース4の反力が低下し、座屈(曲げ変形)が急速に進行して変位が拡大する。このような事態は、バンパーリインフォースとステイの固定を溶接により行った場合にも発生し得る。
【0007】
また、斜めバリヤ衝突によりバンパーリインフォース4の端部に荷重F2が掛かったとすると、フランジ3の特に車幅方向外側に集中的に大きい荷重F2aが掛かり(図11の右半部参照)、フランジ3の車幅方向外側外周がバンパーリインフォース4の後壁に食い込んで該壁部が破壊される事態が発生し得る。正面からの衝突であれば、荷重は両方のステイに分散されるが、斜めバリヤ衝突では荷重は一方のステイ(特に車幅方向外側のフランジ)に集中するため、このようなことが起こるものと考えられる。こうなるとバンパーリインフォースの反力が小さくなり、衝突エネルギーに対応して座屈が急速に進行し、変位が拡大する。
【0008】
フランジの車幅方向外側においてこれらの問題点が発生するのを防止するため、例えばボルト・ナットを大型のものに代えると同時に、取付壁であるバンパーリインフォースの後壁の肉厚を大きくすることが考えられるが、その場合、取付部構造やバンパーリインフォースの重量が増加する。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、重量増加をほとんど伴うことなく、ポール衝突時等に発生する引張荷重によりバンパーリインフォースとステイが分離するのを防止し、同時に斜めバリヤ衝突時等にステイのフランジによりバンパーリインフォースの取付壁が破壊されるのを防止することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、バンパーリインフォースの後方側に位置して前記バンパーリインフォースを支持するステイの製造方法に関する。このステイは、軸方向が車体前後方向を向き、前端にバンパーリインフォースに取り付けるためのフランジが一体的に形成され、前記フランジの車幅方向外側の張り出し幅が車幅方向内側の張り出し幅より大きく形成されたもので、管状のアルミニウム合金押出材の周囲を金型で包囲し、前記金型の端面から前記アルミニウム合金押出材の端部を、車幅方向外側に相当する側において長く、車幅方向内側に相当する側においてそれより短くなるように所定長さ突出させ、前記端面から突出した前記端部を電磁成形により拡径して前記金型の端面に押圧し、これにより前記フランジを形成して製造する。
なお、サイドメンバの前端に直接バンパーリインフォースが固定されている場合もあり、その場合、本発明において前記ステイはサイドメンバの前端部を意味する。
【0010】
バンパーリインフォースと前記ステイの取付部構造において、フランジの車幅方向外側の張り出し幅が内側の張り出し幅より大きく形成されていることにより、フランジの車幅方向外側の張り出し部の面積を内側の張り出し部に比べて大きく、またフランジ周長を長くすることができる。フランジはステイの軸部の全周に設けられるのが望ましい。フランジはバンパーリインフォースの後壁又は前壁にボルト等により締結し、又はフランジの周囲をバンパーリインフォースの後壁又は前壁に溶接接合をする。フランジの車幅方向外側の張り出し幅が大きいため、この部分において大型のボルト・ナットで締結したり、多数個のボルト・ナットで締結することができる。また、溶接であれば溶接長を長く取ることができる。
【0011】
この取付部構造によれば、ポール衝突時等にバンパーリインフォースとフランジの間に引張荷重が掛かっても、その荷重を前記のごときボルト・ナット又は溶接部で支持できるので、従来に比べて大きい荷重を支持することができ、バンパーリインフォースとフランジの分離(バンパーリインフォースの浮き上がり)を防止することができる。また、斜めバリヤ衝突時等にフランジの車幅方向外側に集中的に大きい荷重が掛かっても、当該部分の面積が大きく、またフランジ周長が長くなることで、荷重が分散され、ステイのフランジによりバンパーリインフォースの取付壁が破壊されるのを防止することができる。しかも、その作用効果を最小の重量増加で実現し得る。
また、この取付部構造において、管状のアルミニウム合金押出材からなるステイを用い、その軸方向を車体前後方向に向けたことにより、前面側から強い衝撃荷重が掛かったとき、このステイが蛇腹状に軸方向圧壊して前記衝撃荷重の一部を吸収する。前記特許文献1〜6に開示された押出材を使用した場合、ステイはこのように蛇腹状に軸方向圧壊しない。
【0012】
前記取付部構造において、バンパーリインフォースとしては、例えば、荷重方向に略垂直に向く前壁と後壁、及びそれらを荷重方向に略平行に連結する横壁を有する断面中空のアルミニウム合金押出材が使用できる。
前記バンパーリインフォースの両端が後方側に傾斜又は湾曲し、前記ステイが前記バンパーリインフォースの傾斜又は湾曲した箇所に固定される場合、前記フランジは同様に傾斜又は湾曲している必要がある。つまり、アルミニウム合金押出材の軸方向に垂直な面に対し車幅方向外側が後方側にくるように傾斜又は湾曲している。
【0013】
前記ステイのフランジは電磁成形により容易に形成することができる。電磁成形を行う場合、断面円形又は楕円形(それに近い形状を含む)のアルミニウム合金押出材が好適である。しかし、例えば4角形、5角形、6角形等の多角形断面あるいはその他の断面形状の管状アルミニウム合金押出材を使用することもできる。電磁成形は、管状のアルミニウム合金押出材を包囲する金型の端部から前記押出材の端部を所定長さ突出させ、該端部を電磁成形により瞬間的に拡径して前記金型の端面に押圧する。これにより、押出材の端部(金型の端部から突出していた部分)がフランジに成形される。このフランジは前記金型の端面に沿った形状に仕上げられ、従って、金型の端面が押出材の軸方向に垂直な面であれば、押出材の端部には該押出材の軸方向に垂直なフランジが形成され、金型の端面が押出材の軸方向に垂直な面に対し傾斜し又は湾曲しているのであれば、軸部の端部には該押出材の軸方向に垂直な面に対し傾斜し又は湾曲したフランジが形成される。フランジの外周への張り出し幅は金型の端面からの突出長さにより決まる。電磁成形を利用することで、フランジの成形が短時間で確実に行われ、かつ変形による加工硬化作用によりフランジが強化される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図10を参照して、本発明に係るステイ、及びバンパーリインフォースとステイの取付部構造について、より具体的に説明する。ここに開示するのは、全てサイドメンバに取り付けられるステイとバンパーリインフォースからなるバンパー構造体の例であるが、いうまでもなく、サイドメンバの前端に直接バンパーリインフォースが固定されるバンパー構造体にも同様に適用できる。
図1において、バンパーリインフォース11とステイ12はともにアルミニウム合金押出材からなる。バンパーリインフォース11は前壁11a、後壁11b及び横壁11c,11dからなる断面矩形状の部材であり、その両端部が車体後方側に曲げられて傾斜している。ステイ12は軸部12aが円形断面を有し、その前端にバンパーリインフォース11への取付用のフランジ12bが形成され、後端に図示しないサイドメンバへの取付用のフランジ12cがそれぞれ一体的に形成されている。
【0015】
ステイ12の軸部12aの軸方向は車体前後方向を向き、フランジ12cは軸部12aの軸方向に対して垂直な面内に形成され、フランジ12bは軸部12aの軸方向に垂直な面に対し車幅方向外側が後方側にくるように傾斜して形成されている。フランジ12bの傾斜はバンパーリインフォース11の後壁11bの傾斜部の後面に沿ったものであり、フランジ12bは当該後面に固定される。固定方法は、例えばボルト・ナット、溶接等が用いられる。
フランジ12cは軸部12aの全周に形成され、外周が円形である。フランジ12bも軸部12aの全周に形成され、その外周は楕円形に近い形状であり、かつ車幅方向外側の張り出し幅W1が車幅方向内側の張り出し幅W2より大きく形成されている(図2(c)参照)。従って、フランジ12bの車幅方向外側の張り出し部の面積が内側の張り出し部に比べて大きく、またフランジ周長が長くなっている。フランジ12bの車幅方向外側の張り出し部分及び内側に張り出し部分にバンパーリインフォースに対する締結用のボルト穴を設ける場合、前者の部分には、大型のボルト・ナットに対応するより大径のボルト穴を形成したり、より多数のボルト穴を形成することができる。また、溶接により固定する場合、溶接長をより長くとることができる。
【0016】
前記ステイ12は電磁成形法により形成することができる。電磁成形法とは、コイルに瞬間的に例えば20kA以上のレベルの大電流を流して強力な磁界を作り、その中に置いた被成形体(導体)の中を流れる渦電流と磁界の相互作用で成形する方法であり、例えば特開昭58−4601号公報、特開平6−312226号公報、特開平7−116751号公報、特開平9−166111号公報、特開平10−314869号公報、特開平11−20434号公報、特開2000−86228号公報及び特開2000−264246号公報等に記載されているように、それ自体、公知技術である。また、特願2002−200386及び特願2002−357820に添付された明細書及び図面にも記載されている。
【0017】
図2(a)に示すように、ステイ素材13の後端を軸方向に垂直にカットし、前端を湾曲形状にカットする。このステイ素材13の周囲を分割金型14(14a〜14d)により包囲し、かつステイ素材13の前端及び後端を所定長さ、分割金型14の端面15,16から突出させる。分割金型14は縦に4つに分割可能とされ、組み合わせたときステイ素材13の外径にほぼ等しい内径の貫通穴17が構成される。端面15は平面でありステイ素材13の軸方向に垂直な面に対し傾斜し、端面16は同じく平面でありステイ素材13の軸方向に垂直であり、両端面15,16はいずれも電磁成形時の成形面として機能する。ステイ素材13が分割金型14の端面15から突出する長さは、車幅方向外側に相当する側(矢印15a)において最も長く、車幅方向内側に相当する側(矢印15b)においてそれより短くなっている。
【0018】
次に、図2(b)に示すように、ステイ素材13内に電磁成型用コイル体18を挿入し、図示しない衝撃電流発生装置から電磁成形用コイル体18に瞬間大電流を流すと、磁界の相互作用によりステイ素材13は瞬間的に拡径し、分割金型14の端面15,16から突出している前端及び後端が前記端面15,16に押し付けられ、ステイ12のフランジ12b、12cが形成される。なお、ステイ12の軸部12aは分割金型14の貫通穴17の内面に押し付けられ、その内面形状に沿った形状に成形される。成形後は、分割金型14を開いてステイ12を取り出す。
【0019】
図3は別の構造のステイ及びその電磁成形の例である。図2に示す電磁成形との違いは、金型24の端面25が平面でなく、車幅方向内側から外側に向けて後方側に傾斜して湾曲している点のみであり、成形手順は図2と同じである。成形後のステイ22のフランジ22bは平面でなく、軸部22aの軸方向に垂直な面に対し車幅方向外側が後方側にくるように湾曲している。
このステイ22はバンパーリインフォースの両端が後方側に傾斜して湾曲している場合に用いられ、フランジ22bの湾曲は図示しないバンパーリインフォースの後壁の湾曲部の後面に沿ったものであり、フランジ22bは当該後面に固定される。
ステイ22において、フランジ22bは軸部22aの全周に形成され、その外周は楕円形に近い形状であり、かつ車幅方向外側の張り出し幅W1が車幅方向内側の張り出し幅W2より大きく形成されている。従って、フランジ22bの車幅方向外側の張り出し部の面積が内側の張り出し部に比べて大きく、またフランジ周長が長くなっている。
【0020】
図4は別の構造のステイ及びその電磁成形の例である。図2に示す電磁成形との違いは、ステイ素材33の前端が湾曲形状でなく、軸方向に垂直にカットされている点のみであり、成形手順は図2と同じである。成形後のステイ32のフランジ32bは平面で軸部32aの全周に形成され、軸部32aの軸方向に垂直な面に対し車幅方向外側が後方側にくるように傾斜して形成され、その外周はほぼ円形であり、車幅方向外側の張り出し幅W1が車幅方向内側の張り出し幅W2より大きく形成されている。従って、フランジ32bの車幅方向外側の張り出し部の面積が内側の張り出し部に比べて大きく、またフランジ周長が長くなっている。
なお、ステイ素材の前端を平面的な切断面でカットすることは、湾曲形状にカットするより容易であり、特にこの例のように、軸方向に垂直な切断面でカットするのが最も簡単でコスト的にも有利である。一方、軸方向に垂直な面に対して傾斜してカットする場合、車幅方向外側の張り出し幅W1と車幅方向内側の張り出し幅W2の比率を調整することができる。
【0021】
図5は別の構造のステイ及びその電磁成形の例である。ステイ素材43の前端の形状と分割金型44の特に端面45の形状が図2の例と異なっている。
ステイ素材43の前端を段付き加工(2段にカット)し、このステイ素材の周囲を分割金型44(44a〜44d)により包囲し、かつステイ素材43の前端及び後端を所定長さ、分割金型44の端面45,46から突出させる。分割金型44の端面45,46はいずれもステイ素材43の軸方向に垂直な平面であり、電磁成形時の成形面として機能する。ステイ素材43が分割金型44の端面45から突出する長さは、車幅方向外側に相当する側(矢印45a)において長く、車幅方向内側に相当する側(矢印45b)においてそれより短くなっている。
【0022】
ステイ素材43内部に電磁成形用コイル体48を挿入し、電磁成形を行うと、図5(b)に示すように、ステイ素材43は瞬間的に拡径し、分割金型44の端面45,46から突出している前端及び後端が前記端面45,46に押し付けられ、ステイ42のフランジ42b、42cが形成される。フランジ42b、42cはいずれも軸部42aに垂直な平面で軸部42aの全周に形成され、フランジ42bは車幅方向外側の張り出し幅W1が車幅方向内側の張り出し幅W2より大きく形成されている。従って、フランジ42bの車幅方向外側の張り出し部の面積が内側の張り出し部に比べて大きく、またフランジ周長が長くなっている。このステイ42は、バンパーリインフォースの両端(ステイ取付部)が後方側に傾斜せず、車幅方向にまっすぐである場合に用いられる。
【0023】
図6は別の構造のステイ及びその電磁成形の例であり、図2に示す電磁成形とは、金型54の端面55の車幅方向外側に相当する箇所(矢印55a)及び車幅方向内側に相当する箇所(矢印55b)に複数個の突起59が形成され、端面56にも同じく複数個の突起59が等間隔に形成されているている点のみで異なる。成形手順は図2と同じである。図6及び図7に示すように、金型54の端面55,56に形成された各突起59に対応して、成形後のステイ52のフランジ部52bの車幅方向外側及び内側には突起52d(裏からみればくぼみ)が形成され、フランジ52cにも突起52eが形成される。フランジ52bの車幅方向外側の張り出し幅W1が車幅方向内側の張り出し幅W2より大きく形成され、車幅方向外側に多くの突起52dが形成されている。
【0024】
この突起52d,52eは例えばボルト穴打抜き用の印として利用できる。すなわち、突起52d,52eの形成はセンターポンチの代わりである。分割金型54の端面55,56に突起52d,52eではなく凹部を形成した場合、フランジ52b,52cに凹部(裏からみれば突起)が形成される。
また、図6を借りて説明すると、特願2002−357821に添付した明細書及び図面(特にその図5(c))に開示されたように、金型54の端面55,56に小さいリング状の切断刃を形成しておけば、フランジ52b,52cに打抜き穴(例えばボルト穴用)を電磁成形時に同時に形成することができる。
【0025】
図8は別の構造のステイ及びその電磁成形の例であり、図2に示す電磁成形とは、金型64の貫通穴67の壁面にリング状の凹部67aが形成されている点のみで異なる。成形手順は図2と同じである。図8及び図9に示すように、凹部67aに対応して、成形後のステイ62の軸部62aの周囲にはリング状の凸部62fが形成される。この凸部62fは軸方向圧壊の起点(軸方向に高荷重が掛かったとき蛇腹状に変形する起点)として機能する。フランジ62bの車幅方向外側の張り出し幅W1が車幅方向内側の張り出し幅W2より大きく形成されている。
リング状の凹部67aに限らず、前記特願2002−357821に添付した明細書及び図面に開示されたように、金型64の貫通穴67の壁面に適宜形状の凹部を形成して、電磁整形後のステイ62の軸部62aに、例えば不連続に周方向に連なる凸部、軸方向に所定の間隔を置いて形成された複数個のリング状の凸部等の軸方向圧壊の起点を形成することができる。
【0026】
図10は、ステイ72のフランジ72bがバンパーリインフォース11の前壁11aの後面側に固定される例である。バンパーリインフォース11の後壁11bにステイ72のフランジ72bが通過する穴79が形成され、ステイ72の軸方向長さがバンパーリインフォース11の前後方向厚み(前壁11aと後壁11bの間隔)だけ長くなっている。その他の点は、バンパーリインフォース11とステイ12の構造と同じである。
この構造の場合、ステイがバンパーリインフォースの後壁に固定されるものと比べ、ステイが軸方向に長くなるので、バリヤ衝突、オフセットバリヤ衝突時のエネルギー吸収性に関して優れている。通常、中空部材における軸方向の圧壊は、それ以外の方向の圧壊と比較してエネルギー吸収性に優れており、そういった軸方向の圧壊距離を長くとれる点で有利である。
【0027】
【発明の効果】
本発明に係るバンパーリインフォースとステイの取付部構造、特にステイの構造によれば、重量増加をほとんど伴うことなく、ポール衝突時等に発生する引張荷重によりバンパーリインフォースとステイが分離するのを防止し、同時に斜めバリヤ衝突時等にステイのフランジによりバンパーリインフォースの取付壁が破壊されるのを防止し、衝突時の反力の低下、座屈の急速な進行及び変位の拡大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るバンパーリインフォースとステイの取付部構造を示す要部斜視図(a)及び断面図(b)である。
【図2】 そのステイの構造と電磁成形による製造方法を示す断面図(a)、(b)及び平面図(c)である。
【図3】 本発明に係る他のステイの構造及び製造方法を示す断面図(a)、(b)である。
【図4】 本発明に係るさらに他のステイの構造及び製造方法を示す断面図(a)、(b)である。
【図5】 本発明に係るさらに他のステイの構造及び製造方法を示す断面図(a)、(b)及び平面図(c)である。
【図6】 本発明に係るさらに他のステイの構造及び製造方法を示す断面図(a)、(b)である。
【図7】 その斜視図である。
【図8】 本発明に係るさらに他のステイの構造及び製造方法を示す断面図(a)、(b)である。
【図9】 その斜視図である。
【図10】 本発明に係るバンパーリインフォースとステイの他の取付構造を示す要部斜視図である。
【図11】 バンパーリインフォースとステイの取付部に掛かる荷重について説明する図である。
【符号の説明】
11 バンパーリインフォース
12、22,32,42,52,62,72 ステイ
12b、22b,32b,42b,52b,62b,72b フランジ
12c、22c,32c,42c,52c,62c,72c フランジ
Claims (2)
- 軸方向が車体前後方向を向き、軸部の前端にバンパーリインフォースに取り付けるためのフランジが形成され、前記フランジの車幅方向外側の張り出し幅が車幅方向内側の張り出し幅より大きく形成されたステイの製造方法であり、管状のアルミニウム合金押出材の周囲を金型で包囲し、前記金型の端面から前記アルミニウム合金押出材の端部を、車幅方向外側に相当する側において長く、車幅方向内側に相当する側においてそれより短くなるように所定長さ突出させ、前記端面から突出した前記端部を電磁成形により拡径して前記金型の端面に押圧し、これにより前記フランジを形成することを特徴とするステイの製造方法。
- 前記金型の端面が、前記金型で包囲された前記アルミニウム合金押出材の軸方向に垂直な面に対し車幅方向外側が後方側にくるように傾斜又は湾曲していることを特徴とする請求項1に記載されたステイの製造方法。
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