JP2013106649A - 歩行器兼用移動椅子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基礎部11の前後それぞれに1対の旋回可能なキャスター4c、4dを設けた歩行器兼用移動椅子であって、脚基部11には椅子部12と歩行器部14を設けて、該椅子部の背面に歩行器用の把持部15、16を配置し、該把持部15、16は椅子部12のほぼ全幅に亘って把持棒を両側部に掛け渡し、該把持部15、16の近傍に全キャスターを一括して同時にロック及びロック解除操作を行うキャスター操作レバー21を設けた歩行器兼用移動椅子。
【選択図】図2
Description
ところで、これら移動可能な車椅子と歩行器を合体して1つの装置にしたものは多数開示され提案されている。例えば、特許文献1(特開2000-142419号公報)の「折りたたみ式歩行器」は、前後左右に一対の全4個のキャスターを設け、後方の左右のキャスターのタイヤの表面を制度ピンで押圧してブレーキをかけるものが開示されている。この装置で、車椅子及び歩行器はブレーキレバーを把持した時にキャスターは制動状態になり、通常は非制動状態にある。
なお、歩行器や車椅子ではないが、キャスターの全てを一括して、同時にロック及びロック解除操作をする装置は、本出願人がテレビ等を載置する床頭台のキャスターとして開発し、特許文献3(特開2010-143290号公報)として開示している。
また、病院において近年ベッドサイドの転倒を防ぐためポータブルトイレをなくすよう進めている。しかし、なくすことによって、看護師が患者のトイレ補助として呼ばれることが多くなる。そこで、通常イスとして利用していたものを用いて歩行補助機となるものを使用することで、看護師の付き添いが減らすことができ、業務軽減となる。
また、来客用の椅子として使用する場合には、通常はロック状態にする必要があるが、通常の歩行器や車椅子は常時は移動するように設定され、制動する場合はレバーを操作する構成が多く、大車輪も剥き出しで来客用としては、外観も劣るものであった。
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の歩行器兼用移動椅子において、前記背面に設けた歩行器用の把持部は、椅子部のほぼ全幅に亘って把持棒を左右の側部に掛け渡したことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、請求項1又は2に記載の歩行器兼用移動椅子において、前記把持棒は上下2段にして左右の側部に掛け渡し、下段の把持棒の下側にキャスター操作レバーを配置し、上段の把持棒は高さ位置を調整可能としたことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、請求項1又は2又は3又は4に記載の歩行器兼用移動椅子において、前記キャスターは、側板で外部に露出しないようにカバー部を設けて覆うことを特徴とする。
請求項6の発明によれば、請求項1又は2又は3又は4又は5に記載の歩行器兼用移動椅子において、前記キャスターのロック及びロック解除操作機構は、該操作機構のハンドルを把持したときにキャスターのロックを解除するようにしたことを特徴とする。
また、近年、病院において患者等がベッドサイドの転倒を防ぐためポータブルトイレをなくすよう進めている。しかし、ポータブルトイレをなくすことによって、看護師が患者のトイレ補助として呼ばれることが多くなっているが、通常イスとして利用していたものを用いて歩行補助機となるものを使用することで、看護師の付き添いが減らすことができ、結果として業務軽減となる。
更に、椅子部は通常の状態では全キャスターがロックされているので、来客用の固定椅子として使用でき、全キャスターを一括してロック解除の操作を行えば、従来の車椅子のように座ったままの移動椅子として使用できる。
請求項2の歩行器兼用移動椅子の発明によれば、把持部の近傍に、全キャスターを一括して同時にロック及びロック解除操作を行うキャスター操作レバーを設けたので、把持部に掴まった使用者の手でキャスター操作レバーを簡単に操作することができる。
請求項3の歩行器兼用移動椅子の発明によれば、前記把持棒は2段にして両側部に掛け渡したので、背の高さ等が異なっても適切に対応することができる。
また、下段の把持棒の下側にキャスター操作レバーを配置したので、立ち上がり補助として握る場合、下段の把持棒があるために、とっさに手を付く場合に下段の把持棒に触れてキャスター操作レバーには触れることを防ぐので、歩行器兼用移動椅子のキャスターのロックが解除されような誤作動することが防止できる。
請求項5の歩行器兼用移動椅子の発明によれば、キャスターは、外部に露出しないように外側カバーで覆うようにしたので、車輪に衣服等を巻き込むこともなく、従来のように大車輪やキャスターが剥き出しで来客用としての外観も良好にすることができ、来客用の椅子として使用することができる。
請求項6の歩行器兼用移動椅子の発明によれば、前記キャスターのロック及びロック解除操作機構は、該操作機構のハンドルを把持したときにキャスターのロックを解除するようにしたので、来客用の椅子として使用できるように、通常はロック状態であり、通常の歩行器や車椅子は常時は移動するようできる。
図1は実施例の歩行器兼用移動椅子1の全体の右側方からの外観斜視図、図2は背面からの斜視図、図3は背面図である。
キャスター付きの基礎部11の底面には、前側の左右両側に1対の双輪キャスター4a,4bが配置され、後側の左右両側にも1対の双輪キャスター4c,4dが配置されており、この基礎部の上面の前側には台形の脚部13とその上に椅子部12が載置固定されている。
この椅子部12は臀部を受けるクッション部121と背もたれ部122と左右に一対の肘掛け部123が設けられ、来客用の椅子としても使用可能な高級感のある椅子を形成している。
更に、上段把持棒16は背もたれ部122のやや高い位置に配置され、必要に応じて高さ位置を調整可能に固定されており、患者や看護師等の使用者にとって操作しやすい構成にしてある。
また、実施例ではキャスター操作レバー21が配置されていない方の側板17の取付柱部172には、必要に応じて点滴棒(図示せず)が取り付けることができる点滴部取付部材18(図2)が設けられているが、この取付部18の位置は歩行器兼用移動椅子1の歩行器部14又は椅子部12の適宜の箇所でよく、この歩行器兼用移動椅子1が重量があり、かなり安定した移動装置であることから、取り付けた点滴部棒も倒れづらいものとなっている。
4本の分岐ワイヤー33(33a,33b,33c,33d)も元に戻って、車輪ロック機構5で各双輪キャスター4a,4b,4c,4dがロックされる。
以下の操作構造の詳細を説明する。
図1及び図2は、キャスター操作部2で前後左右の複数の全4個の双輪キャスター4をロック状態にした外観斜視図であるが、図2は4個の双輪キャスター4のロック状態の図であり、図4a〜cはこのロック状態からからロックを解除した状態を説明するキャスター操作部2の部分断面である。
先ず、図4aからcは、4個の双輪キャスター4のロック状態からロックを解除した状態を図3及び図4であり、その機構概略を示す図4(a)〜(c),図10,図11,図12を参照して説明すると、キャスター操作部2は主に操作レバー21、回動軸22、ワイヤー末端(球)係止部23、ワイヤー案内プーリ24、ワイヤー被覆(外周)係止部25、回転ストパー26、キャスターロック解除保持レバー27、及びケース28から構成されている。
これに伴い、キャスター操作レバー21は、インナーワイヤー312の末端部311がワイヤー末端(球)係止部23に係止されているので、ワイヤー案内プーリ24で引っ張り方向を変更した後に、斜め上方に引き上げられ、その結果、操作レバー21は反時計回りに回動して下げられた状態(図4(a))になり、通常は、車輪ロック機構5のバネによりロックし固定されている。
なお、過度にキャスター操作レバー21が回動し過ぎないように、回転ストパー係止部211がケース28側に固定されている回転ストパー26を係止してしいる。
図4(c)において、キャスター操作部2のキャスター操作レバー21を挙げると、操作レバー21はキャスターロック機構のバネの力に抗して、ワイヤー分岐盤32、各分岐ワイヤー33を介してレバー連結ワイヤー31を図で上向に引っ張り、キャスター操作レバー21を図4(c)の状態まで挙げる。その結果、操作レバー21は時計回りに回動した図10(c)の状態になり、車輪ロック機構5のバネに抗してロックを解除する。
もっとも、キャスターロック解除保持レバー27やロック保持係止部212は、車輪ロックをしなければならない通常の状態でも、誤ってロック解除をしてしまうのを防止するためには、削除しておいてもよい。
操作伝達機構3は、芯を形成するインナーワイヤーと同軸で被覆部でもあるアウターワイヤーとからなる同軸の所謂ロックワイヤーを用いたもので、図5に示すように、主に、操作伝達ワイヤ30とワイヤー分岐盤32とから構成され、この操作伝達ワイヤ30はレバー連結ワイヤー31(31a,31b)と4本の分岐ワイヤー33(33a,33b,33c,33d)とから構成される。
したがって、スライダー322をインナーワイヤー312,332の前進後退方向と平行に移動させるための平行進退移動手段として、ワイヤー分岐盤32の内側の両側壁は勿論こと、これだけでは、平行移動には不十分であるので、スライダー322の上面には平行な山部3223が複数設けられ、蓋321側にも山部3223を左右方向に案内する案内溝3211が設けられている。
分岐ワイヤー33(33a,33b,33c,33d)は、図7に示すようなもので、その1本について図5での符号Bの拡大図である図7に示すように、芯のインナーワイヤー332、それを覆う被覆部333からなり、ワイヤー332の先端には中心に係合孔を有する末端部331が設けられ、被覆部333の先端には取付固定部334が設けられ、インナーワイヤー332が取付固定部334に対して、末端部331が進退可能に構成される。
このように、一方の末端部331a(図8(b))がレバー連結ワイヤー31の末端部331bと同じで円筒形であり、4個の双輪キャスター4(4a,4b,4c,4d)に連結する末端部311b(図8(a))は、ロック機構枠体51に連結するために嵌合孔が設けられていることが異なるだけであるので、他の説明は省略する。
このような構成であるので、レバー連結ワイヤー31の末端部311bが引っ張られると、スライダー322が側板323a側に移動(図8:右方向)するが、スライダー322に嵌合される4個の末端部331aも一括して側板323bから離れるように移動(図8:右方向)する。
言い換えれば、キャスター操作部2からの1本のレバー連結ワイヤー31を4本の分岐ワイヤー33に分岐して4個の車輪ロック機構5であるキャスター操作機構に接続し、1本のレバー連結ワイヤー31のインナーワイヤー312の前進/後退を4本の分岐ワイヤー33のインナーワイヤー332の前進/後退に伝達しており、4本の分岐ワイヤー33に分岐するためにワイヤー分岐機構としてワイヤー分岐盤32を設け、これらワイヤー分岐盤32には分岐ワイヤー33(33a,33b,33c,33d)の4本の末端部331を並列にして固定するスライダー322を設け、このスライダー322をインナーワイヤー312,332の前進後退方向とて正確に平行に移動伝達できる。
前述した図8は、キャスター付き基礎部11の裏面の平面図で、前後に一対の双輪キャスター4(4a,4b,4c,4d)が取り付けられ、これらのキャスター4の外観概略は、図9に示すようなもので、キャスター4の構成の詳細は後述するが、キャスター操作機構である車輪ロック機構5のロック機構枠体51の両側に一対の車輪41A、41Bがそれぞれ回転可能に軸支されており、ロック機構枠体51の上面には、キャスター4が取付枠に対して旋回可能に軸支するための旋回支持部52が設けられ、旋回支持部52の軸心Xと同軸に、上下動するノック部材531が設けられており、ノック部材531を押圧バネ543により押し上げられると双輪キャスター4がロックされ車輪部41は回転することができない。逆に、ノック部材531の押し上げを解除して下方に押し下げると、双輪キャスター4の内歯車45への歯部542が離反しロックが解除され、双輪が自由に回転することができる。
ところで、本実施例で使用する双輪キャスター4(4a,4b,4c,4d)は、双輪の巾が単輪よりも広いので、単輪キャスターに比べて走行安定性があり、また、双輪の回転をロックすると進行方向は勿論のこと、双輪の巾が広いことから旋回阻止できる。
したがって、本実施例のように、4箇所のキャスターをロックしようとした場合は、仮に、4箇所のうち一箇所のキャスターのロック機構が不完全、或いは、破損した場合でも、ベッドサイドテーブルを確実に固定及び解除できる。
上述した双輪キャスター4の車輪部41を説明するが、図9に示すように、4個のそれぞれの双輪キャスター4の両側に1個ずつ車輪部41(41A,41B:車輪)が配置され、その内の片方の車輪部41は、図10に示すように、車輪軸42は、車輪ロック機構5(図11参照)の車輪軸受部511に回転自在に軸支され、車輪部41の車輪軸固定部43に軸支される(車輪軸固定部43は、車輪を回転自在に軸支する構成でもよい。)。車輪部41の外輪44はゴム製で振動を吸収し走行を滑らかにし雑音を軽減するとともに、床へのグリップを強くしている。
また、双輪キャスター4の車輪部41の内側の外輪44近傍には、車輪軸42と同軸心の内歯車45が形成され、後述するロック歯部542が押圧バネ543により上昇した際には、内歯車45に歯部542が噛み合い車輪部41の回転を阻止する。
本実施例のキャスターは、図9でも説明したように、車輪ロック機構5のロック機構枠体51を挟んで、所定の間隔を持った車輪41A,41Bの双輪キャスター4であり、移動時には単輪キャスターに比べて走行に安定性がある。また、車輪41(41A,41B)の両車輪(双輪)がロックすると走行が出来なくなり、キャスターの旋回も制限されて、更に、本実施例のように、歩行器兼用移動椅子1の基礎部11の枠体132の両端の2箇所の双輪キャスター4a,4b、及び、双輪キャスター4c,4dの各車輪41A,41Bが固定されると、キャスター4自体の旋回を固定しなくても、車輪の回転の固定だけで歩行器兼用移動椅子1は、ほぼ完全に固定されることを見出し、この知見を基礎とするものである。
図11は、キャスターロック状態の図で、ノック部材531が、分岐ワイヤー33が弛緩し、コイルバネ567によりスライダーカム56が図で左側に移動し、ノック部53が上方に上がった状態の図であり、図14(a)は車輪ロック機構5の横断面図で、図11(b)は図11(a)の側断面図である。また、図12は、図12(a)のa−a線での断面図であり、歯部542が双輪キャスター4の内歯車45に嵌合してロックした状態の図である。
図13は、歯部542を内歯車45から離反させて、双輪キャスター4のロック解除状態の図で、ノック部材531が分岐ワイヤー33により引っ張られ、コイルバネ567の引張力に抗してスライダーカム56が図で右側に移動し、また、キャスター内部の押圧バネ543に抗して、歯部542が下った状態の図、即ち、キャスターのロック解除状態の図で、図14は図13(a)の上方からの平面図である。
また、収納部513は下側面及び片側面が開放口となっており(必要に応じて、防塵のための蓋部を設けてもよい。)、これは組み立て作業で、キャスター取付金具55に固着される旋回支持部52を嵌合部512に回動自在に、旋回補助ワッシャー523及び止め金具(固定スナップリング)524を取り付ける際のためのものである。
旋回支持部52を嵌合部512に挿入した後、旋回支持部52の下部末端には、旋回補助ワッシャー523を挿入し、旋回支持部52の下端に設けられた止め金具(固定スナップリング)524用のスナップリング用の固定円周溝525に、旋回支持部52を固定するためスナップリング524を係止して、旋回支持部52からロック機構枠体51が抜け落ちないようにしている。
次に、図11での嵌合部512と旋回支持部52とノック部材531について説明する。
旋回支持部52の固定支持筒部材521は金属製の円筒(パイプ)で、その上端部を金属のキャスター取付金具55の底板554に取付縁部522の上端を溶接等で固着する。ここで、双輪キャスター4の旋回とは、図9に示されるように、通常の双輪キャスター4の接地箇所X2の垂直線とノック部材531の軸心の接地箇所X1とが偏芯することによって、歩行器兼用移動椅子1を移動させる際に、自動的に双輪キャスター4の進行方向が移動方向に向くようにしたものであるが、当然、双輪キャスター4がロック状態では、双輪キャスター4が回動しないことによって旋回は阻止されるが、逆に、歩行器兼用移動椅子1の移動時のロック状態で無い場合には自由に旋回させなければならない。そのため、旋回支持部52とキャスター取付金具55の底板554との間に突出輪514を介在させて、ロック機構枠体51の上面での旋回をスムーズにさせるようにしてある。
旋回支持部52は、キャスターの旋回軸を構成するとともに、ノック部材531を嵌合して収納するが、このノック部53は旋回支持部52の同心上の嵌合部512に上下動が自在に嵌合されている。
基部541は、図15に示すように、基部541の断面コの字状(反対側からは、逆コの字状)の上部水平部5412の下面の(図14での)中央部分には、押圧バネ543の上端を係止する上部バネ係合部544を設け、さらに、双輪キャスター4の一対の車輪部41の各内歯車45に嵌合するように左右に一対の2本の歯部542a,bが固着してあり、外側に拡がるような押圧する押圧バネ543で、常に上方に押し上げる構成になっている。
したがって、車輪歯噛合ロック部54の歯部542a,bは、図10、図12に示すように、ノック部材531の規制がなければ、常に、押圧バネ543によって上側に押圧され上昇するようになっており、歩行器兼用移動椅子1をベッド近傍に設置した通常の場合は、歯部542a,bは押圧バネ543によって各双輪キャスター4の内歯車45に嵌合して、双輪キャスター4の回転を阻止し、ロック状態になり歩行器兼用移動椅子1の移動を不可能にしている。
なお、車輪歯噛合ロック部54の上下動は、ロック機構枠体51に設けた車輪歯噛合ロック部54の収納部515の案内溝516の側壁に沿って降下・上昇する。
また、双輪キャスター4の車輪部41の内側の外輪44近傍には、車輪軸42に同心の内歯車45が形成され、歯部542a,bが上昇した際には、内歯車45に歯部542が噛み合い車輪部41の回転を阻止する。
図13乃至図16におけるキャスター取付金具55とノック部材531を操作するスライダーカム56について説明する。
キャスター操作部2の操作レバー21(図4を参照)を上方に挙げる操作によって、レバー連結ワイヤー31が引っ張られ、ワイヤー分岐盤32によって4本の分岐ワイヤー33も引っ張られる。更に、この各分岐ワイヤー33a,33b,33c,33dのインナーワイヤー332が引っ張られるが、これをノック部53の動きに変換するのがキャスター取付金具55に装着されたスライダー状のカム機構を有したスライダーカム56である。
このスライダーカム56は、主に、図16に示すように、全体形状は扁平で下面が傾斜するカム面561が設けられ、スライダーカム56が移動する方向の一端には分岐ワイヤー33の末端部331を接続し、キャスター取付金具55の前板551(図14参照)に取付固定部334を装着し、レバー連結ワイヤー31及び分岐ワイヤー33(33a,33b,33c,33d:図11,16を参照)に引っ張られることにより、全体として水平移動するようにしている。図13、図14、図16に示すように、中心部にはスライダーカム56の水平上面563に平行して案内長孔564が設けられ、この案内長孔564にはキャスター取付金具55の両側板552に固定された案内軸565が嵌合している。
なお、図14において、キャスター取付金具55(全4個)の両側板552には枠体取付部555が設けられ、キャスター付き枠体132a,bの両端部に、ボルト孔556にボルト(図示せず)等を挿入して固着する。
逆に、図11、図12に示すように、通常でのレバー連結ワイヤー31及び分岐ワイヤー33が弛緩された状態では、コイルバネ567により、スライダーカム56は、図11、図12のように左側に移動し、カム面561は最も高い位置である最上点5612にあり、歯部542の押圧バネ543の作用により、ノック部材531の上部先端部532も上昇し、歯部542も上昇して、双輪キャスター4の内歯車45に嵌合し、双輪キャスター4をロック状態に維持する。
この扁平のスライダーカム56は、カム面561の最下点5611から最上点5612がノック部材531の上部先端部532を移動するように作動するが、スライダーカム56の分岐ワイヤー33の末端部331の移動距離Z(図11参照)は、カム面561の最下点5611から最上点5612の距離Y(図16参照)とほぼ同じとなる。
したがって、カム面561の傾斜角度により、最下点5611から最上点5612の距離が変えられるので、キャスター取付金具55の高さを低くしたままで、分岐ワイヤー33の移動距離(ストローク)に合わせることができる。
本実施例の歩行器兼用移動椅子1を固定する末端操作装置は、以上のような構成であるので、大凡、次のように作動する。
歩行器兼用移動椅子1の基礎部11に設けたキャスター4のロック解除の操作レバー21(テーブル昇降操作兼用)は、図1(図2)に示すように、通常の設置状態では、キャスター4がロックされ、歩行器兼用移動椅子1を移動する際には、図3(図4)に示すように、解除維持のための操作レバー21を上方に持ち上げ、キャスター4のロックを解除する。
歩行器兼用移動椅子1のキャスター4を元のロック状態にし、テーブル部11の高さを固定するには、操作レバー21を手から離せば、テーブル昇降機構23内のバネやキャスター4内のロック機構によるワイヤーの引張力のバネにより、自然に操作レバー21は下降するとともにテーブル部11は固定し双輪キャスター4のロック状態になる。
双輪キャスター4のロック状態は図11に示したような状態である。
歩行器兼用移動椅子1を病室の適所やベッドの近傍に配置した通常の状態で、操作レバー21が自動的に下方に位置する(図4参照)。
分岐ワイヤー33は結果的にキャスター内の押圧バネ543によって歯部542をキャスターの内歯車45に嵌合させるとともに、押圧バネ543にノック部材531も上方にあり、分岐ワイヤー33も弛緩状態にある。この場合の状態は長時間に亘るが、操作レバー21がワイヤー31を常に引っ張る状態に維持する必要がないので、各ワイヤーは緊張状態にはなく(弛緩状態)、経年でワイヤーが伸びるようなことがなく、装置の保守も容易になる。
[双輪キャスターのロック解除状態]
双輪キャスターのロック解除状態は図13に示したような状態である。
この場合には、歩行器兼用移動椅子1を移動する状態で、操作レバー21を挙げて、レバー連結ワイヤー31を引っ張り上げて緊張状態にし、分岐ワイヤー33によってノック部材531を下方に押し下げ、結果的にキャスター内の押圧バネ543に抗し、歯部542をキャスターの内歯車45から開放する。したがって、操作レバー21が挙がっている状態では、双輪キャスターのロック解除状態にあり、歩行器兼用移動椅子1は移動可能となる。
また、把持部の近傍にキャスターのロック/解除のキャスター操作レバー21を設けたので、歩行器兼用移動椅子1の操作部が集中させることができ、使用者が操作に戸惑うことが少なくなる。かつ、歩行器兼用移動椅子1の歩行器部14にキャスター操作レバー21を設けたので、容易に使用者に近いキャスター操作レバー21を使用すれば、キャスターのロック/解除を一括操作できるので、操作が単純になり操作を一回で完結する。
このように、一回の操作で歩行器兼用移動椅子1の全てのキャスターをロック状態及び解除状態にでき、従来のように各キャスター毎にロックをする必要がなく、特に、忙しい看護師や使用者の労力を軽減することができ、歩行器兼用移動椅子1にキャスター操作部2を設けたので、患者や看護師が簡単に歩行器兼用移動椅子1とキャスターロック・解除操作を一回の操作で終えることができる。
更に、ワイヤー分岐機構の高さも小さく薄くできるので、基礎部11の裏面に設けても基礎部11を高く或いは厚くする必要がなく、デザイン的にも制約がなくスッキリとしたデザインが可能となり、各キャスターまでの分岐ワイヤー33の長さを自由に設定でき、キャスターのロック及びロック解除作動が均一に働かせることが可能となる。
更に、近年、病院において患者等がベッドサイドの転倒を防ぐためポータブルトイレをなくすよう進めている。しかし、ポータブルトイレをなくすことによって、看護師が患者のトイレ補助として呼ばれることが多くなっているが、通常イスとして利用していたものを用いて歩行補助機となるものを使用することで、看護師の付き添いが減らすことができ、結果として業務軽減となる。
また、把持棒は2段にして左右の側部に掛け渡したので、背の高さ等が異なっても適切に対応することができる。下段の把持棒の下側にキャスター操作レバーを配置したので、立ち上がり補助として握る場合、下段の把持棒があるために、とっさに手を付く場合に下段の把持棒に触れてキャスター操作レバーには触れなくてよいので、歩行器兼用移動椅子のキャスターのロックが解除されような誤作動することが防止できる。
更に、上段把持棒16は背もたれ部122のやや高い位置に配置され、必要に応じて高さ位置を調整可能に固定されており、患者や看護師等の使用者にとって適切な高さに適宜調整すれば操作しやす。
また、歩行器としては、把持棒は2段にして左右の側部に掛け渡したので、背の高さ等が異なっても適切に対応することができる。
なお、歩行器部14或いは肘掛け部123歩行器兼用移動椅子1の適所には、点滴棒を取り付ける取り付け部を設けたので、倒れにくい点滴棒とすることができる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
11・・キャスター付き基礎部、
12・・椅子部、121・・クッション部、122・・背もたれ部、123・・肘掛け部、
13・・脚部、
14・・歩行器部、15・・下段把持棒(把持部)、16・・上段把持棒(把持部)
17,17a,17b・・側板、
171・・キャスターのカバー部、172・・把持部(キャスター操作部)の取付柱部
18・・点滴部取付部材、
2・・キャスター操作部、
21,・・キャスター操作レバー、211・・回転ストパー係止部、
212・・ロック保持係止部、
22・・回動軸、23・・ワイヤー末端(球)係止部、24・・ワイヤー案内プーリ、
25・・ワイヤー被覆(外周)係止部、26・・回転ストパー、
27・・キャスターロック解除保持レバー、28・・ケース、
3・・操作伝達機構、30(31,32,33)・・操作伝達ワイヤー、
31,31a,31b・・レバー連結ワイヤー、311,311a,311b・・末端部、
312・・インナーワイヤー、313・・被覆部(アウターワイヤー)、
314・・取付固定部、
32・・ワイヤー分岐盤、321・・蓋、3211・・案内溝、
3212・・固定凸部、322・・スライダー、
3221・・嵌合部、32211・・半円筒部、32212・・貫通溝、
3223・・山部、323a,323b・・側板、
33(33a,33b,33c,33d)・・分岐ワイヤー、
331,331a,331b・・末端部、332・・インナーワイヤー、
333・・被覆部(アウターワイヤー)、334・・取付固定部、
4,4a,4b,4c,4d・・双輪キャスター、
41・・車輪部、41A,41B・・車輪、
42・・車輪軸、43・・車輪軸固定部、44・・外輪、45・・内歯車、
5・・車輪ロック機構、
51・・ロック機構枠体、511・・車輪軸受部、512・・嵌合部、
513,515・・収納部、514・・突出輪、516・・案内溝、
52・・旋回支持部、521・・固定支持筒部材、522・・取付縁部、
523・・旋回補助ワッシャー、524・・止め金具(固定スナップリング)、
525・・スナップリング用の固定円周溝、
53・・ノック部、531・・ノック部材、532・・上部先端部、533・・下部先端部、
54・・車輪歯噛合ロック部、541・・基部、
5411・・下部水平部、5412・・上部水平部、
5413・・連結部、542,542a,542b・・歯部、543・・押圧バネ、
544・・上部バネ係合部、545・・下部バネ係合部
55・・キャスター取付金具、551・・前板、552・・側板(側部)、
553・・背板、554・・底板、555・・枠体取付部、556・・ボルト孔、
56・・スライダーカム、561・・カム面、5611・・最下点、5612・・最上点、
562,566,568・・係止部、563・・水平上面、564・・案内長孔、
565・・案内軸、567・・コイルバネ、
Claims (6)
- 基礎部に前後左右に複数の旋回可能なキャスターを設けた歩行器兼用移動椅子であって、
前記脚基部には椅子部と歩行器部を設けて、該椅子部の背面に歩行器用の把持部を配置し、
該把持部の近傍に全キャスターを一括して同時にロック及びロック解除操作を行うキャスター操作レバーを設けたことを特徴とする歩行器兼用移動椅子。 - 前記背面に設けた歩行器用の把持部は、椅子部のほぼ全幅に亘って把持棒を左右の側部に掛け渡したことを特徴とする請求項1に記載の歩行器兼用移動椅子。
- 前記把持棒は上下2段にして左右の側部に掛け渡し、下段の把持棒の下側にキャスター操作レバーを配置し、上段の把持棒は高さ位置を調整可能としたことを特徴とする請求項2に記載の歩行器兼用移動椅子。
- 前記歩行器部又は椅子部には、点滴棒を取り付ける取り付け部を設けたことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の歩行器兼用移動椅子。
- 前記キャスターは、側板に外部に露出しないようにカバー部を設けて覆うことを特徴とする請求項1又2又は3又は4に記載の歩行器兼用移動椅子。
- 前記キャスターのロック及びロック解除操作機構は、該操作機構のハンドルを把持したときにキャスターのロックを解除するようにしたことを特徴とする請求項1又2又は3又は4又は5に記載の歩行器兼用移動椅子。
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