JP2013101927A - 発光モジュール、発光モジュールの作製方法 - Google Patents

発光モジュール、発光モジュールの作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光の取り出し効率と共に信頼性が改善された発光モジュールを提供する。また、光の取り出し効率と共に信頼性が改善された発光モジュールの作製方法を提供する。
【解決手段】ガスバリア性を備える素子基板を用いるものであり、当該素子基板の一方の表面の側には発光素子が光学的に接続され、他方の表面の側には拡散反射層が接する構成を有する。なお、当該拡散反射層は拡散反射率が75%以上100%未満である。また、当該発光素子は一対の透光性を有する電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備えるものである。そして、当該素子基板は発光素子が発する光を透過し、その屈折率は発光性の有機化合物を含む層との屈折率の差が0.2以下であって、且つその形成温度が当該発光素子の形成温度または拡散反射層の形成温度のいずれよりも高いものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子を封止された空間に備える発光モジュールおよびその発光モジュールの作製方法に関する。
膜状に広がる発光性の化合物を含む層を、一対の電極の間に備える発光素子が知られている。このような発光素子の一例として、有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子ともいう)や無機EL素子を挙げることができる。有機EL素子は、一対の電極に電圧を印加すると、発光性の有機化合物を含む層から発光が得られる。そして、有機EL素子を用いた発光装置(具体的には照明装置や表示装置など)が近年盛んに研究されている。
有機EL素子は発光性の有機化合物を含む層から光を発する。当該発光性の有機化合物を含む層は大気より高い屈折率を有する。大気より高い屈折率を有する層が発する光は大気中に取り出し難いため、有機EL素子から大気中に、その光を効率良く取り出すには特別な工夫が必要である。
例えば、特許文献1に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子は、背面電極、有機エレクトロルミネッセンス発光層、および光透過性前面電極が、この順に積層された構成を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、背面電極が光透過性電極であり、背面電極の背面側に、有機エレクトロルミネッセンス発光層の屈折率の80%以上の屈折率を有する材料を主構成成分とする高屈折率光散乱層が設けられている。そして、発光層と高屈折率光散乱層との間に介在する層の屈折率が、該発光層から背面側に向けて発せられる光の40%以上の光が該高屈折率光散乱層に入射するように、調整されている。
また、特許文献2に記載された分散型エレクトロルミネッセンス素子は、光散乱性の背面シートを備える。このような構成により、外部への光の取り出し効率が高められている。なお、分散型エレクトロルミネッセンス素子は無機EL素子の一態様である。
一方、有機EL素子は、大気中の不純物(代表的には水および/または酸素)が存在する環境において、信頼性が損なわれ易い。そのため、有機EL素子を封止するさまざまな構成が開発されている。例えば、透湿性の低い基板上に形成された有機EL素子を透湿性の低い封止膜で覆う封止構造が知られている。
特開2004−14385号公報 国際公開第2002/080626号公報
上述の特許文献1に記載された有機エレクトロルミネッセンス素子は、光透過性の背面電極と高屈折光散乱層との間に介在する層から、有機エレクトロルミネッセンス発光層へ不純物が拡散し、当該有機エレクトロルミネッセンス素子の信頼性が損なわれてしまう恐れがある。
本発明の一態様は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって、光の取り出し効率と共に信頼性が改善された発光モジュールを提供することを課題の一とする。または、光の取り出し効率と共に信頼性が改善された発光モジュールの作製方法を提供することを課題の一とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、発光素子と拡散反射層との間に介在する層に着眼した。そして、以下の構成を備える発光モジュールに想到し、上記課題の解決に至った。
本発明の一態様の発光モジュールは、ガスバリア性を備える素子基板を用いるものであり、当該素子基板の一方の表面の側には発光素子が光学的に接続され、他方の表面の側には拡散反射層が設けられた構成を有する。なお、当該拡散反射層は拡散反射率が75%以上100%未満である。また、当該発光素子は一対の透光性を有する電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備えるものである。そして、当該素子基板は発光素子が発する光を透過し、その屈折率は発光性の有機化合物との屈折率の差が0.2以下であって、且つその形成温度が当該発光素子の形成温度または当該拡散反射層の形成温度のいずれよりも高いものである。
すなわち、本発明の一態様は、ガスバリア性を備える素子基板と、素子基板の一方の面に光学的に接続された第1の電極を接する発光素子と、素子基板の一方の面との間に、発光素子を封止する封止材と、素子基板の他方の面に拡散反射層と、を有する。そして、拡散反射層は、拡散反射率が75%以上100%未満である。発光素子は、第1の電極と、第1の電極と重なる第2の電極と、その間に発光性の有機化合物を含む層と、を備える。第1の電極と第2の電極は、いずれも発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過し、封止材は、発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過する領域を発光素子と重なるように備える。素子基板は、発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過し、発光性の有機化合物の屈折率との差が0.2以下である屈折率を備え、且つ少なくとも一方の面に、発光素子の形成温度または拡散反射層の形成温度のいずれよりも高い温度で形成されるガラス層を備える、発光モジュールである。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、ガスバリア性を備える素子基板を用いるものであって、当該素子基板の一方の表面の側には発光素子が光学的に接続され、他方の表面の側には拡散反射層が設けられた構成を有する。ここで、発光素子と拡散反射層の間にある素子基板は、発光性の有機化合物を含む層の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有するため、発光性の有機化合物を含む層が発する光のうち第1の電極側から拡散反射層に向かう光は、高い効率で拡散反射層に到達できる。そして、当該拡散反射層は入射してきた光を拡散反射する(入射光は、入射角とは異なる角度で射出する光を含み反射する)ため、発光素子との間に導波路が形成されにくい。その結果、光の取り出し効率が改善された発光モジュールを提供できる。加えて、素子基板は、少なくとも一方の面に、発光素子の形成温度または拡散反射層の形成温度のいずれよりも高い温度で形成されるガラス層を備えるため、一方の面に光学的に接続された発光素子に不純物が拡散する現象が抑制される。その結果、信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
また、本発明の一態様は、素子基板の一方が平坦な面を有するガラスの平坦な面に、第1の電極が光学的に接続する上述の発光モジュールである。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、ガスバリア性を備える素子基板の一方の表面が平坦な面を有するガラスであって、当該平坦な面の側に上に発光素子の第1の電極が設けられ、他方の表面の側には拡散反射層が設けられた構成を有する。これにより、第1の電極の表面を容易に平坦に形成でき、第1の電極と第2の電極が短絡し難くなる。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
また、本発明の一態様は、ガラスが300℃以上1700℃以下で形成され、且つ、鉛、亜鉛、バリウム、チタン乃至ランタンから選ばれた一をケイ素の他に含む酸化物ガラスである、上述の発光モジュールである。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、素子基板の少なくとも一方の面に、300℃以上1700℃以下で形成され、且つ、鉛、亜鉛、バリウム、チタン乃至ランタンから選ばれた一をケイ素の他に含む酸化物ガラスを備える。ここで、ケイ素を含む酸化物ガラスは、300℃以上1700℃以下の温度で加熱処理されることにより、その構造が緻密になって自由体積が減り、不純物の拡散が抑制される。その結果、信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。加えて、ケイ素を含む酸化物ガラスは、鉛、亜鉛、バリウム、チタン乃至ランタンから選ばれた一を含むことにより、発光性の有機化合物を含む層の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有するものとなる。その結果、光の取り出し効率が改善された発光モジュールを提供できる。
また、本発明の一態様は、素子基板の厚さが50μm以上1000μm以下である、上述の発光モジュールである。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、厚さが50μm以上1000μm以下である素子基板を有する。素子基板の側に発光素子が発する光は、さまざまな角度で素子基板に進入し、拡がりながら拡散反射層に向かう。その光は、発光素子と拡散反射層の距離が長いほど、言い換えると素子基板が厚いほど広い範囲に拡がる。また、拡散反射層に到達した光は、拡散反射層により様々な角度で拡散反射され、さらに拡がりながら素子基板の発光素子が設けられた側に戻る。
ここで、一の発光素子の発する光が拡散反射層に拡散反射されて戻ってくる範囲に、他の発光素子を設けると、それぞれの発光素子が発する光が互いに混ざり合うため、隣接して設けられた複数の発光素子が発する光は平均化される。
このような構成によれば、複数の発光素子の一が異常な発光(具体的には、他の発光素子より暗い発光、または明るい発光)をした場合であっても、その異常な発光を平均化して目立ちにくいものにできる。具体的には、素子基板の厚さが50μm以上であると、複数の発光素子からの光が平均化され、異常な発光を目立たなくする効果を奏する。また、面状または線状に広げて設けられた発光性の有機化合物を含む層の一部が、他の部分より明るくまたは暗く発光する場合であっても同様の効果を奏する。
また、素子基板の側に発光素子が発する光は、発光素子と拡散反射層の距離が長いほど、言い換えると素子基板が厚いほど広い範囲に拡がる。よって、素子基板が厚すぎると、基板の端部から光が漏れだしてしまう場合がある。具体的には、素子基板の厚さは1000μm以下が好ましい。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
また、本発明の一態様は、拡散反射層は、発光素子が発する光に対し25%未満の透過率となるように、中心粒径が1μm以上100μm以下である粒子を母材中に含み、母材の屈折率は、素子基板の屈折率との差が0.2以下、または素子基板の屈折率以上であって、粒子の屈折率と母材の屈折率の差が0.3以上である上述の発光モジュールである。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、素子基板と同程度以上の屈折率を備える母材と、当該母材の屈折率との差が0.3以上の屈折率を備える粒子を含む拡散反射層が、素子基板の他方の面に設けられている。これにより、発光素子から素子基板を介して拡散反射層に進入する光は発光素子が設けられた基板の側に拡散反射されることになる。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
また、本発明の一態様は、拡散反射層は、発光素子が発する光に対し25%未満の透過率となるように、中心粒径が1μm以上100μm以下である粒子を母材中に含み、粒子の屈折率は、素子基板の屈折率との差が0.2以下、または素子基板の屈折率以上であって、粒子の屈折率と母材の屈折率の差が、0.3以上である上述の発光モジュールである。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、素子基板と同程度以上の屈折率を備える粒子と、当該粒子の屈折率との差が0.3以上の屈折率を備える母材を含む拡散反射層を、素子基板の他方の面に設けられている。これにより、発光素子から素子基板を介して拡散反射層に進入する光は、当該拡散反射層によって発光素子が設けられた基板の側に拡散反射されることになる。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
また、本発明の一態様は、素子基板の他方の面と拡散反射層の一方の面の間に、素子基板の屈折率との差が0.2以下の接続層を備え、拡散反射層は他方の面に凹凸と、凹凸に沿った反射層が設けられている上述の発光モジュールである。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、素子基板の他方の面と、拡散反射層を接続する層を備える。これにより、発光素子から素子基板を介して、拡散反射層の一方の面から進入する光は、拡散反射層により拡散反射されることになる。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
また、本発明の一態様は、ガスバリア性を備える素子基板の一方の面に光学的に接続するように設けられた第1の電極と、第1の電極に重なる第2の電極との間に、発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を形成する第1のステップと、素子基板の一方の面と封止材の間に、発光素子を封止する第2のステップと、素子基板の他方の面に、拡散反射層を形成する第3のステップと、を有し、素子基板、第1の電極および第2の電極が、いずれも発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過する発光モジュールの作製方法である。
上記本発明の一態様の発光モジュールの作製方法は、素子基板の一方の面に発光素子を設けてから封止材で封止し、素子基板の他方の面(つまり、封止された発光素子が形成された面とは反対の面)に拡散反射層を設けるものである。これにより、光の取り出し効率と共に信頼性が改善された発光モジュールの作製方法を提供できる。
また、不純物の混入による信頼性の低下を防ぐために、一般に、発光素子の形成工程は極めて清浄化された環境を必要とする。しかし、本発明の一態様の発光モジュールの作製方法においては、発光素子の形成後であって拡散反射層の形成前に、発光素子を封止する。したがって、発光素子の形成工程に比べて清浄でない環境下で拡散反射層を形成できる。その結果、簡略化された製造設備を用いて、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられた層を示すものとする。従って、電極間に挟まれた発光物質である有機化合物を含む発光層はEL層の一態様である。
また、本明細書において、物質Aを他の物質Bからなるマトリクス中に分散する場合、マトリクスを構成する物質Bをホスト材料と呼び、マトリクス中に分散される物質Aをゲスト材料と呼ぶものとする。なお、物質A並びに物質Bは、それぞれ単一の物質であっても良いし、2種類以上の物質の混合物であっても良いものとする。
本発明の一態様によれば、光の取り出し効率と共に信頼性が改善された発光モジュールを提供できる。または、光の取り出し効率と共に信頼性が改善された発光モジュールの作製方法を提供できる。
実施の形態に係る発光モジュールを説明する図。 実施の形態に係る発光モジュールの拡散反射層を説明する図。 実施の形態に係る発光モジュールの内部を通る光の軌跡を説明する概念図。 実施の形態に係る発光モジュールの作製方法を説明する図。 実施の形態に係る発光モジュールの補助電極を説明する図。 実施の形態に係る発光モジュールに用いることができる発光素子を説明する図。 実施の形態に係る発光モジュールに用いた発光装置を説明する図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールの構成を説明する。具体的には、ガスバリア性を備える素子基板を用いるものであり、当該素子基板の一方の表面の側には発光素子が光学的に接続され、他方の表面の側には拡散反射層が設けられた構成を有する。なお、当該拡散反射層は拡散反射率が75%以上100%未満である。また、当該発光素子は一対の透光性を有する電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備えるものである。そして、当該素子基板は発光素子が発する光を透過し、その屈折率は発光性の有機化合物との屈折率の差が0.2以下であって、且つその形成温度が当該発光素子の形成温度または当該高屈折散乱層の形成温度のいずれよりも高いものである。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、ガスバリア性を備える素子基板を用いるものであって、当該素子基板の一方の表面の側には発光素子が光学的に接続され、他方の表面の側には拡散反射層が設けられた構成を有する。ここで、発光素子と拡散反射層の間にある素子基板は、発光性の有機化合物を含む層の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有するため、発光性の有機化合物を含む層が発する光のうち第1の電極側から拡散反射層に向かう光が、効率良く拡散反射層に到達する。そして、当該拡散反射層は入射してきた光を拡散反射する(入射光は、入射角とは異なる角度で射出する光を含み反射する)ため、発光素子との間に導波路が形成されにくい。その結果、光の取り出し効率が改善された発光モジュールを提供できる。加えて、素子基板は、少なくとも一方の面に、発光素子の形成温度または拡散反射層の形成温度のいずれよりも高い温度で形成されるガラス層を備えるため、一方の面に光学的に接続された発光素子に不純物が拡散する現象が抑制される。その結果、信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
上記の構成を備える本発明の一態様の発光モジュールについて図1乃至図3を参照して説明する。
本発明の一態様の発光モジュールの構成を図1に示す。図1(A)は本発明の一態様の発光モジュールの上面図であり、図1(B)は図1(A)の切断線A−Bにおける断面図である。図1に例示する発光モジュールは、ガスバリア性を備える素子基板101と、発光素子110と、封止基板102およびシール材131を含む封止材と、拡散反射層120と、を有する。そして、発光素子110は、その第1の電極111が素子基板101の一方の面に光学的に接続されており、素子基板101の一方の面と封止材の間に封止されている。
<発光素子>
発光素子110は、第1の電極111と、第1の電極111と重なる第2の電極112と、その間に発光性の有機化合物を含む層113と、を備える。第1の電極111と第2の電極112は、いずれも発光性の有機化合物を含む層113が発する光を透過する。また、第1の電極111は封止材の外側に延在する第1の端子103と電気的に接続され、第2の電極112は封止材の外側に延在する第2の端子104と電気的に接続されている。
本発明の一態様の発光素子110の第1の電極111と第2の電極112に用いることができる材料としては、導電性を有し、発光性の有機化合物を含む層113が発する光を透過する層であればよい。具体的には、波長が400nm以上800nm未満の範囲の光の一部を透過する金属酸化物、電気伝導性化合物、金属、合金、およびこれらの混合体または積層体で形成された層を用いることができる。
波長が400nm以上800nm未満の範囲の光の一部を透過する金属酸化物としては、インジウム−錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウム−錫酸化物及びインジウム−亜鉛酸化物、タングステンを含有したインジウム−亜鉛酸化物等が挙げられる。
波長が400nm以上800nm未満の範囲の光の一部を透過する電気伝導性化合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の導電性ポリマー等が挙げられる。
波長が400nm以上800nm未満の範囲の光の一部を透過する程度の厚さの金属層としては、例えば、厚さが0.1nm以上100nm未満である、アルミニウム、銀、金、白金、銅等が挙げられる。また、波長が400nm以上800nm未満の範囲の光の一部を透過する程度の厚さの合金層としては、アルミニウムを含む合金(例えば、アルミニウム−ニッケル−ランタン合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−ネオジム合金)、または銀を含む合金(銀−ネオジム合金、マグネシウム−銀合金)等が挙げられる。
なお、本発明の一態様の発光モジュールに用いることができる発光素子の構成は、実施の形態4において詳細に説明するものとする。
<素子基板>
素子基板101は発光性の有機化合物を含む層113が発する光を透過し、発光性の有機化合物を含む層113の屈折率との差が0.2以下である屈折率を備える。屈折率をこのような範囲とすることにより、発光性の有機化合物を含む層113が発する光が素子基板101に効率よく進入できる。
素子基板101は少なくともガラスを含む層を備え、当該ガラス層は発光素子110または拡散反射層120のいずれの形成温度よりも高い温度で形成される。なお、ガラスを含む層を形成した後に他の構成を貼り合わせて素子基板101を構成してもよく、素子基板101はガラスを含む層の単層構造であっても、2層以上の積層構造であってもよい。
例えば、単体でその形態を保つことができる極薄のガラス板(例えば、ダウンドロー法等で形成された厚さが30μm〜300μm程度のガラス板)はガラスを含む層に用いることができる。また、例えばこの極薄ガラス板を製造装置中でプラスチックフィルム等と貼り合わせて素子基板を構成してもよい。
また、その厚さは特に限定されない。2層以上の積層構造である場合、それぞれの層の屈折率は発光性の有機化合物を含む層113の屈折率との差が0.2以下であるだけでなく、それぞれの層の屈折率の差も0.2以下である構成が好ましい。本実施の形態では、ガラス層101aと基材101bを貼り合わせた構成を例示して説明する。
素子基板101の少なくとも一方の面(言い換えると発光素子110が設けられる側の面)に発光素子110の形成温度または拡散反射層120の形成温度のいずれよりも高い温度で形成されるガラス層101aを備える。発光素子の形成温度または拡散反射層の形成温度のいずれよりも高い温度で形成されたガラス層101aは、発光素子110の信頼性を損なう不純物の濃度が低減されている。そして、一方の面に光学的に接続された発光素子に不純物が拡散する現象を抑制できる。
素子基板101に適用可能なガラスとしては特に限定はなく、例えば無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、クリスタルガラス等を用いることができる。
また、2層以上の積層構造とする場合、基材101bに適用可能な材料としては、プラスチック材料、繊維強化プラスチック(FRP)、プリプレグ等を用いることができる。2層以上の積層構造とすることで、発光モジュールの耐衝撃性を向上できる。
また、素子基板101に適用可能な材料としては、発光性の有機化合物を含む層113が発する光を透過し、発光性の有機化合物を含む層113の屈折率との差が0.2以下である屈折率を備えるものであればよく、例えば発光性の有機化合物を含む層113の屈折率が1.7であるとき、その屈折率は1.5以上1.9以下の範囲であればよい。
《素子基板の変形例1.》
なお、素子基板の一方の表面が平坦な面を有するガラスであって、第1の電極がその平坦な面に光学的に接続する構成であると好ましい。その理由は以下の通りである。
後に、本実施の形態で例示する拡散反射層の構成について詳細に説明するが、例えば母材に粒子を分散した層を拡散反射層に用いることができる。このような構成の拡散反射層は、分散された粒子に起因する凹凸が、その表面に生じやすい。凹凸が生じた表面に重ねて発光素子の第1の電極を形成すると、その表面に凹凸が反映され、発光素子の第1の電極と第2の電極が短絡してしまう場合がある。
下地となる膜の凹凸を平坦化する方法としては、例えば、平坦化膜を乾式法や湿式法を用いて堆積する方法がある。しかし、下地となる膜の凹凸が大きいと、平坦化膜を厚く形成する必要に迫られ、乾式法や湿式法を用いると生産性が低下する場合がある。
本実施の形態で例示する素子基板の変形例1.は、一方の表面が平坦な面を有するガラスであって、拡散反射層上に乾式法や湿式法を用いて堆積するものではない。従って、その表面は、拡散反射層の表面に生じる凹凸の影響を受けることがない。そして当該表面に発光素子の第1の電極を当該平坦なガラスの表面の側に光学的に接続して設ける構成とすることで、表面が平坦な第1の電極の作製が容易になり、発光素子の第1の電極と第2の電極が短絡し難くなる。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
《素子基板の変形例2.》
また、素子基板の少なくとも一方の面に、300℃以上1700℃以下で形成され、且つ鉛、亜鉛、バリウム、チタン乃至ランタンから選ばれた一をケイ素の他に含む酸化物ガラスを備える構成が好ましい。ここで、ケイ素を含む酸化物ガラスは、300℃以上1700℃以下の温度で加熱処理されることにより、その構造が緻密になって自由体積が減り、不純物の拡散が抑制される。例えば、その密度は2.4g/cm以上であると不純物の拡散を抑制する効果を奏し、特に2.5g/cm以上であると好ましい。その結果、信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。加えて、ケイ素を含む酸化物ガラスは、鉛、亜鉛、バリウム、チタン乃至ランタンから選ばれた一を含むことにより、発光性の有機化合物を含む層の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有するものとなる。その結果、光の取り出し効率が改善された発光モジュールを提供できる。
《素子基板の変形例3.》
また、素子基板の厚さが50μm以上1000μm以下であると好ましい。素子基板の側に発光素子が発する光は、さまざまな角度で素子基板に進入し、拡がりながら拡散反射層に向かう。その光は、発光素子と拡散反射層の距離が長いほど、言い換えると素子基板が厚いほど広い範囲に拡がる。また、拡散反射層に到達した光は、拡散反射層により様々な角度で拡散反射され、さらに拡がりながら素子基板の発光素子が設けられた側に戻る。
ここで、発光性の有機化合物を含む層が発する光が辿る軌跡について、図3に示す概念図を用いて説明する。なお、図3に示す発光モジュールの概念図は、図1(B)に示す発光モジュールの断面図から、隔壁と端子を省略したものである。
一の発光素子の発する光が拡散反射層に拡散反射されて戻ってくる範囲に、他の発光素子を設けると、それぞれの発光素子が発する光が互いに混ざり合うため、隣接して設けられた複数の発光素子が発する光は平均化される。具体的には、図3(A)に示すように、発光素子110の点q1で発光した光は、点q2で全反射され、点q3を通過して、拡散反射層120の点q4で拡散反射される。点q4が直上に反射する光は、点q4の直上に延在する発光素子110が発する光と混ざり合い、平均化される。
このような構成によれば、複数の発光素子の一が異常な発光(具体的には、他の発光素子より暗い発光、または明るい発光)をした場合であっても、その異常な発光を平均化して目立ちにくいものにできる。具体的には、素子基板の厚さが50μm以上であると、複数の発光素子からの光が平均化され、異常発光を目立たなくする効果を奏する。また、面状または線状に広げて設けられた発光性の有機化合物を含む層の一部が、他の部分より明るくまたは暗く発光する場合であっても同様の効果を奏する。
また、素子基板の側に発光素子が発する光は、発光素子と拡散反射層の距離が長いほど、言い換えると素子基板が厚いほど広い範囲に拡がる。例えば、図3(B)に示す発光モジュールは図3(A)に示す発光モジュールよりも厚い素子基板101を有する。その結果、発光素子110の点q1で発光した光は、点q2で全反射され、点q3を通過して、拡散反射層120の点q5で拡散反射される。図示されるように、発光素子110の点q1が発する光は、素子基板101が厚い発光モジュールの方が離れた点(具体的には、点q4より離れた点q5)で拡散反射される。よって、素子基板が厚すぎると、基板の端部から光が漏れだしてしまう場合がある。具体的には、素子基板の厚さは1000μm以下が好ましい。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
なお、素子基板の厚さを厚くする場合は、図3(B)に示すように素子基板101の端部を拡散反射層120で覆う構成とし、端部から漏れ出す光を素子基板101の内部に拡散反射してもよい。
<拡散反射層>
拡散反射層120は、発光素子110が発する光に対して75%以上100%未満の拡散反射率を有する。また、発光素子110が発する光に対して25%未満の透過率を有する。
拡散反射層120の構成の一例としては、要素Aおよび要素Bを含む構成が挙げられる。この構成において、要素Aおよび要素Bはいずれも発光性の有機化合物を含む層113が発する光を透過し、且つさまざまな角度の面を備えるものである。また、要素Aの屈折率は素子基板101の屈折率以上であって、要素Bの屈折率は要素Aの屈折率と0.3以上の差がある。以下に、このような構成を備える拡散反射層120が、入射された光を拡散反射する過程を説明する。
《素子基板101から拡散反射層120の要素Aに光が進行する場合》
はじめに発光素子110が発する光が素子基板101から拡散反射層120の要素Aに進行する場合について説明する。要素Aの屈折率は素子基板101の屈折率以上であるから、発光素子110が発する光は全反射の条件を満たすことなく素子基板101から要素Aに進入する。要素Aに進入した光は要素Aから素子基板101へは進入し難い場合がある(全反射の条件を満たす場合がある)。しかしながら、要素Aはさまざまな角度の面を備えるため、全反射の条件が繰り返し満たされることにより要素Aの内部に光が閉じ込められる現象はおこらず、素子基板101に進入する場合がある。
要素Aに要素Bが接している部分に注目すると、要素Bの屈折率が要素Aの屈折率より小さくその差が0.3以上あるときは、光は要素Aから要素Bに進入し難い(全反射の条件を満たし易い)。しかしながら、要素Aはさまざまな角度の面を備えるため、全反射の条件が繰り返し満たされることにより要素Aの内部に光が閉じ込められる現象はおこらず、要素Bに進入する場合がある。
また、要素Bの屈折率が要素Aの屈折率より大きくその差が0.3以上あるときは、光は要素Aから要素Bに進入し易い(全反射の条件を満たし難い)。要素Bの屈折率は素子基板101および要素Aのいずれの屈折率よりも大きいため、要素Bに進入した光は素子基板101または要素Aに進入し難い(全反射の条件を満たし易い)。しかしながら、要素Bはさまざまな角度の面を備えるため、全反射の条件が繰り返し満たされることにより要素Bの内部に光が閉じ込められる現象はおこらず、素子基板101または要素Aに進入する場合がある。
《素子基板101から拡散反射層120の要素Bに光が進行する場合》
次に、発光素子110が発する光が素子基板101から拡散反射層120の要素Bに進行する場合であって、要素Bの屈折率が素子基板101の屈折率以上であって且つ要素Aの屈折率より大きい場合(要素Bの屈折率が素子基板101以上の屈折率を有する要素Aより大きく、要素Aの屈折率との差が0.3以上の場合)について説明する。
発光素子110が発する光は、全反射の条件を満たすことなく素子基板101から要素Bに進入する。要素Bに進入した光は要素Bから素子基板101へは進入し難い(全反射の条件を満たし易い)。しかしながら、要素Bはさまざまな角度の面を備えるため、全反射の条件が繰り返し満たされることにより要素Bの内部に光が閉じ込められる現象はおこらず、素子基板101に進入する場合がある。
要素Bに要素Aが接している部分に注目すると、要素Aの屈折率が要素Bの屈折率より小さくその差が0.3以上あるため、光は要素Bから要素Aに進入し難い(全反射の条件を満たし易い)。しかしながら、要素Bはさまざまな角度の面を備えるため、全反射の条件が繰り返し満たされることにより要素Bの内部に光が閉じ込められる現象はおこらず、要素Aに進入する場合がある。
また、発光素子110が発する光が素子基板101から拡散反射層120の要素Bに進行する場合であって、要素Bの屈折率が素子基板101の屈折率以上であって且つ要素Aの屈折率より小さい場合(要素Bの屈折率が素子基板101以上の屈折率を有する要素Aより小さく、要素Aの屈折率との差が0.3以上の場合)について説明する。
発光素子110が発する光は全反射の条件を満たすことなく素子基板101から要素Bに進入する。要素Bに進入した光は要素Bから素子基板101へは進入し難い(全反射の条件を満たし易い)。しかしながら、要素Bはさまざまな角度の面を備えるため、全反射の条件が繰り返し満たされることにより要素Bの内部に光が閉じ込められる現象はおこらず、素子基板101に進入する場合がある。
要素Bに要素Aが接している部分に注目すると、要素Aの屈折率が要素Bの屈折率より大きくその差が0.3以上あるため、光は要素Bから要素Aに進入し易い(全反射の条件を満たし難い)。要素Aの屈折率は、素子基板101および要素Bのいずれの屈折率よりも大きいため、要素Aに進入した光は要素Aから素子基板101および要素Bに進入し難い(全反射の条件を満たし易い)。しかしながら、要素Aはさまざまな角度の面を備えるため、全反射の条件が繰り返し満たされることにより要素Aの内部に光が閉じ込められる現象はおこらず、素子基板101および要素Bに進入する場合がある。
また、発光素子110が発する光が素子基板101から拡散反射層120の要素Bに進行する場合であって、要素Bの屈折率が素子基板101の屈折率未満であって且つ要素Aの屈折率より小さい場合(要素Aの屈折率が素子基板101以上であってその差が0.3未満であり、要素Bの屈折率が要素Aより小さくその差が0.3以上の場合)について説明する。
要素Bの屈折率は素子基板101の屈折率未満であるから、素子基板101から要素Bに進行する光が全反射の条件を満たし、素子基板101において全反射の条件が繰り返される場合がある。しかしながら、拡散反射層120が要素Aおよび要素Bを含むため、素子基板101が要素Bにのみ接する構成とはならない。従って、素子基板101と要素Bが接する場所で全反射された光が、要素Aに接する場所に進行する場合があり、全反射の条件が繰り返し満たされることにより要素Bの内部に光が閉じ込められる現象はおこらず、要素Aに進入する場合がある。
《要素Aおよび要素Bに適用可能な材料》
要素Aおよび要素Bに適用可能な材料について説明する。要素Aおよび要素Bはいずれも発光性の有機化合物を含む層113が発する光を透過し、且つさまざまな角度の面を備えるものである。また、要素Aの屈折率は素子基板101の屈折率以上であって、要素Bの屈折率は要素Aの屈折率と0.3以上の差がある。
例えば、要素Aと要素Bのいずれか一方を母材とし、他方を母材に分散または相分離せしめて、拡散反射層を構成してもよい。
母材に適用可能な材料としては、さまざまな角度で分散質と接するもの、または相分離するものであって、有機化合物を含む層113が発する光を透過すればよい。具体的にはガラス、樹脂、液晶、液体等を挙げることができる。
要素Aに適用可能な母材としては、有機化合物を含む層113が発する光を透過し、素子基板101以上の屈折率を備えるものであればよく、具体的には、クリスタルガラス、高屈折樹脂等を挙げることができる。
要素Bに適用可能な母材としては、有機化合物を含む層113が発する光を透過し、要素Aの屈折率と0.3以上の差があればよく、具体的には、低屈折ガラス、低屈折樹脂、クリスタルガラス、高屈折樹脂等を挙げることができる。
母材に分散する分散質に適用可能な材料としては、さまざまな角度で母材と接するものであって、有機化合物を含む層113が発する光を透過すればよい。具体的には、中心粒径が1μm以上100μm以下の粒子(無機物粒子、高分子粒子)や気泡、ラメラ構造を形成する母材との相溶し難い材料を選択して用いることができる。
要素Aに用いることができる分散質としては、有機化合物を含む層113が発する光を透過し、素子基板101以上の屈折率を備えるものであればよい。具体的には、クリスタルガラス、高屈折樹脂、塩化銀、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化イットリウム、チタン酸バリウム等を含む粒子を適用できる。
要素Bに用いることができる分散質としては、有機化合物を含む層113が発する光を透過し、要素Aの屈折率と0.3以上の差があればよい。具体的には、低屈折ガラス、低屈折樹脂、クリスタルガラス、高屈折樹脂、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム等を適用できる。
本発明の一態様の拡散反射層の概念図を図2に示す。図2(A)は素子基板101の他方の面に拡散反射層120が設けられた構成を示す断面図である。また、図2(A)の破線で囲まれた範囲を進行する光を説明する概念図を図2(B)および図2(C)に示す。
例えば、素子基板101の屈折率以上、または基板との屈折率との差が0.2以内の母材120b(要素A)に、母材120bの屈折率との差が0.3以上の粒子120a(要素B)を含ませて、拡散反射層120を構成できる(図2(B)参照)。
図2(B)の左側の図は、粒子120aの屈折率に比べて母材120bの屈折率が低く、素子基板101の屈折率が他のいずれの構成よりも低い場合を説明する図である。この構成においては、発光素子110が発する光は全反射の条件を満たすことなく素子基板101から拡散反射層120に入射し、粒子120aの内部を優先的に通過しながら散乱されて、発光素子110が設けられた側に反射される。
図2(B)の右側の図は、母材120bの屈折率に比べて粒子120aの屈折率が低く、素子基板101の屈折率が他のいずれの構成よりも低い場合を説明する図である。この構成においては、発光素子110が発する光は全反射の条件を満たすことなく素子基板101から拡散反射層120に入射し、母材120bの内部を優先的に通過しながら散乱されて、発光素子110が設けられた側に反射される。
また、素子基板の屈折率以上、または基板との屈折率との差が0.2以内の粒子120a(要素A)を、粒子120aの屈折率との差が0.3以上の母材120b(要素B)に含ませて、拡散反射層120を構成できる(図2(C)参照)。
図2(C)の左側の図は、粒子120aの屈折率に比べて母材120bの屈折率が低く、素子基板101の屈折率が他のいずれの構成よりも低い場合を説明する図である。この構成においては、発光素子110が発する光は全反射の条件を満たすことなく素子基板101から粒子120aに入射し、粒子120aの内部を優先的に通過しながら散乱されて、発光素子110が設けられた側に反射される。なお、素子基板101から母材120bに進行する光は、全反射の条件を満たす場合があり、進入し難い場合がある。
図2(C)の右側の図は、母材120bの屈折率に比べて粒子120aの屈折率が低く、素子基板101の屈折率が他のいずれの構成よりも低い場合を説明する図である。この構成においては、発光素子110が発する光は全反射の条件を満たすことなく素子基板101から母材120bに入射し、母材120bの内部を優先的に通過しながら散乱されて、発光素子110が設けられた側に反射される。なお、素子基板101から粒子120aに進行する光は、全反射の条件を満たす場合があり、進入し難い場合がある。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、発光素子から素子基板を介して拡散反射層に進入する光は発光素子が設けられた基板の側に拡散反射されることになる。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
《拡散反射層の変形例1》
また、本実施の形態で例示する発光モジュールの変形例として、素子基板101の他方の面に凹凸を形成し、当該凹凸に接して拡散反射層を設ける構成について、図2(D)を用いて説明する。
素子基板101の他方の面は、一方の面に平行でない面を含む凹凸が形成されている。言い換えると発光素子110が設けられる側とは反対側の面は、発光素子110が設けられる側の面と平行でない面を含む凹凸が形成されている。また、この凹凸に接して、素子基板101の屈折率よりも高い屈折率を有する粒子120aと、素子基板101の屈折率よりも低い屈折率を有する母材120bが設けられている。
このような構成とすると、素子基板101が一方の面と、一方の面と平行でない面を備える。その結果、素子基板101と母材120bの間で全反射の条件が繰り返し満たされることがなくなり、発光モジュールの内部に光が閉じ込められる現象はおこらず、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
《拡散反射層の変形例2》
また、本実施の形態で例示する発光モジュールの変形例として、素子基板101の他方の面と拡散反射層120の間に、素子基板101の屈折率との差が0.2以下の接続層125を設けて、発光モジュールを構成してもよい(図2(E))。
このような構成とすることで、表面に凹凸がある拡散反射層を素子基板101の他方の面に接続できる。これにより、発光素子から素子基板を介して、拡散反射層の一方の面から進入する光は、拡散反射層により拡散反射されることになる。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
<封止材>
封止材は、発光素子110が発する光を透過する領域を発光素子110に重ねて備え、且つ素子基板101の一方の面と封止材の間に、発光素子110を封止する。封止材としては、水蒸気透過率が10−5g/m・day以下、好ましくは10−6g/m・day以下程度のガスバリア性を有するものを用いる。
本実施の形態では、発光素子110が発する光を透過する封止基板102と、シール材131とで封止材を構成する例を説明する(図1参照)。この構成においては素子基板101と、封止基板102と、シール材131に囲まれた空間130に発光素子110が封止されている。
ガスバリア性に優れた素子基板の一方の面に封止材が接する構成であるため、空間130に不純物が浸透し難い。
シール材131は、発光素子110を囲むように素子基板101の一方の面に設けられ、素子基板101と封止基板102を貼り合わせる。また、シール材131はガスバリア性を備える。
シール材131に適用可能な材料としては、例えばフリットガラス、紫外線硬化型または熱硬化型のエポキシ樹脂等が挙げられる。
封止基板102は発光素子110が発する光を透過する領域を備える。当該領域を発光素子110の第2の電極に重ねて設けると、直接照明型の発光モジュールを構成できる。また、当該領域を発光素子110の第2の電極と重ならないようにずらして設けると、間接照明型の発光モジュールを構成できる。発光モジュールの用途に合わせて、いずれかの構成を選択すればよい。
また、封止基板102はガスバリア性を備える。封止基板102に用いることができる材料としては、例えば透光性のガラス、ガスバリア膜が設けられた透光性の樹脂、透光性のセラミックス等が挙げられる。
なお、封止基板102の発光素子110が発する光を透過する領域に重なるように、光学フィルム等を設けても良い。光学フィルム等としては、拡散フィルム、光学フィルタ、マイクロレンズアレイ、レンチキュラレンズ等をその例に挙げることができる。
空間130は発光素子110の特性を劣化する不純物の濃度が低減されている。
空間130を満たす材料としては、発光素子110に対し不活性な気体(例えば窒素、希ガス等)、液体(例えばパラフィン等)乃至固体(例えば樹脂等)を用いることができる。特に、気体(例えば窒素、希ガス等)を用いる構成が好ましい。気体は液体や固体に比べて不純物の濃度を低減し易いだけでなく、封止材に外部から加わる応力を発光素子110に伝搬しないため好ましい。
なお、空間130を満たす材料に含まれる不純物の濃度を低減するために、発光素子と共に乾燥材やゲッタリング剤を封入してもよい。
<発光性の有機化合物が発する光の軌跡>
次に、発光性の有機化合物が発する光が辿る軌跡について、図1(C)に示す概念図を用いて説明する。なお、図1(C)に示す発光モジュールの概念図は、図1(B)に示す発光モジュールの断面図から、隔壁と端子を省略したものである。
空間130が発光素子110に設けられた発光性の有機化合物を含む層113の屈折率よりも充分低い材料で満たされている場合、発光性の有機化合物を含む層が発する光の一部が、全反射の条件を満たす角度で発光素子110と空間130の界面に入射し、当該界面で全反射してしまう場合がある。
具体的には、空間130が不活性な気体で満たされている場合、空間130の屈折率は1程度であり、発光性の有機化合物を含む層113は1.4程度であるため、全反射の条件を満たす場合がある。図1(C)には、発光性の有機化合物を含む層113中の点p1で発光した光の一部が、発光素子110と空間130の界面にある点p2で全反射される場合が図示されている。もし、発光素子110を挟む2つの界面が、いずれも全反射の条件を満たすように設けられていると、そこに導波路が形成され、発光素子110が発する光は効率よく取り出せなくなってしまう。
本発明の一態様においては、発光素子110の第1の電極が素子基板101の一方の面に光学的に接続されている。その結果、発光素子110と空間130の界面で反射された光は、素子基板101に進入し拡散反射層120に到達する。図1(C)には発光素子110と空間130の界面にある点p2で全反射された光が、発光素子110と素子基板101の界面にある点p3を通過して、拡散反射層120に含まれる点p4に到達する様子が図示されている。
このとき、拡散反射層120は、拡散反射層120に到達した光を拡散反射し、素子基板101にさまざまな角度(入射角とは異なる角度を含む)で射出する。これにより発光素子110を挟む2つの界面で同時に全反射の条件を満たす確率が低減され、その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、ガスバリア性を備える素子基板を用いるものであって、当該素子基板の一方の表面の側には発光素子が光学的に接続され、他方の表面の側には拡散反射層が設けられた構成を有する。ここで、発光素子と拡散反射層の間にある素子基板は、発光性の有機化合物を含む層の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有するため、発光性の有機化合物を含む層が発する光のうち第1の電極側から拡散反射層に向かう光が、効率良く拡散反射層に到達する。そして、当該拡散反射層は入射してきた光を拡散反射する(入射光は、入射角とは異なる角度で射出する光を含み反射する)ため、発光素子との間に導波路が形成されにくい。その結果、光の取り出し効率が改善された発光モジュールを提供できる。加えて、素子基板は、少なくとも一方の面に、発光素子の形成温度または拡散反射層の形成温度のいずれよりも高い温度で形成されるガラス層を備えるため、一方の面に光学的に接続された発光素子に不純物が拡散する現象が抑制される。その結果、信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した本発明の一態様の発光モジュールとは別の構成、具体的には発光モジュールの第1の電極と第2の電極のそれぞれにその導電性を補助する導電層が設けられた構成について説明する。
本実施の形態で説明する発光モジュールは、ガスバリア性を備える素子基板を用いるものであり、当該素子基板の一方の表面の側には発光素子が光学的に接続され、他方の表面の側には拡散反射層が設けられた構成を有する。なお、当該拡散反射層は拡散反射率が75%以上100%未満である。また、当該発光素子は一対の透光性を有する電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備えるものであって、透光性を有する電極のそれぞれはその導電性を補助する補助電極を備え、当該補助電極は互いに絶縁されて、且つ互いに重なる位置に設けられている。そして、当該素子基板は発光素子が発する光を透過し、その屈折率は発光性の有機化合物との屈折率の差が0.2以下であって、且つその形成温度が当該発光素子の形成温度または当該拡散反射層の形成温度のいずれよりも高いものである。
上記本発明の一態様の発光モジュールは、ガスバリア性を備える素子基板を用いるものであって、当該素子基板の一方の表面の側には発光素子が光学的に接続され、他方の表面の側には拡散反射層が設けられた構成を有する。ここで、発光素子と拡散反射層の間にある素子基板は、発光性の有機化合物を含む層の屈折率との差が0.2以下の屈折率を有するため、発光性の有機化合物を含む層が発する光のうち第1の電極側から拡散反射層に向かう光が、効率良く拡散反射層に到達する。そして、当該拡散反射層は入射してきた光を拡散反射する(入射光は、入射角とは異なる角度で射出する光を含み反射する)ため、発光素子との間に導波路が形成されにくい。その結果、光の取り出し効率が改善された発光モジュールを提供できる。
また、透光性を有する電極のそれぞれはその導電性を補助する補助電極を備え、且つ当該補助電極は互いに重なる位置に設けられている。このような構成によれば、発光素子の面積に対する補助電極の面積の割合を小さくできる。特に、透光性を有しない導電層(例えば金属層)を用いて補助電極を構成する場合、光をとりだす面積を広くでき、補助電極を互いに重ならない位置に設ける構成に比べて、均一な発光が得られる。
加えて、素子基板は、少なくとも一方の面に、発光素子の形成温度または拡散反射層の形成温度のいずれよりも高い温度で形成されるガラス層を備えるため、一方の面に光学的に接続された発光素子に不純物が拡散する現象が抑制される。その結果、信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
上記の構成を備える本発明の一態様の発光モジュールについて図4を参照して説明する。
本発明の一態様の発光モジュールの構成を図4に示す。図4(A)は本発明の一態様の発光モジュールの断面図であり、図4(B)および図4(C)はいずれも図4(A)に示す構成とは異なる構成を有する本発明の一態様の発光モジュールの断面図である。
図4(A)に例示する発光モジュールは、ガスバリア性を備える素子基板101と、発光素子110と、図示されないシール材を用いて素子基板101と対向するように設けられた封止基板102と、拡散反射層120と、を有する。そして、発光素子110は、その第1の電極111が素子基板101の一方の面に光学的に接続されており、素子基板101の一方の面と封止材の間に封止されている。また、第1の補助電極121が第1の電極111と電気的に接続され、第2の補助電極122が第2の電極112と電気的に接続されている。そして、隔壁114は第1の補助電極121と第2の補助電極122の間に設けられ、第1の電極111と第2の電極112を電気的に絶縁している。
本実施の形態で例示する発光モジュールは、透光性を有する電極のそれぞれがその導電性を補助する補助電極を備え、当該補助電極は互いに重なる位置に設けられている構成以外は、実施の形態1で説明した発光モジュールと同じ構成を備える。よって、補助電極以外の構成については実施の形態1の説明を参酌するものとし、ここでは詳細な説明を省略する。
<補助電極>
第1の補助電極121は第1の電極111の導電性を補助し、第2の補助電極122は第2の電極112の導電性を補助する。第1の補助電極121または第2の補助電極122は導電性の優れた材料が好ましく、その断面積が大きいほど、補助電極として有効に働く。
なお、補助電極の形態は特に限定されず、例えば縞状、島状、網状等の形態を適用できる。
第1の補助電極121または第2の補助電極122は導電性を有する金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物等の単層または積層体で構成される。
金属、または合金材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)等の金属材料またはこれらを含む合金材料が挙げられる。
電気伝導性化合物としては、例えば、金属材料の酸化物、金属材料の窒化物、導電性高分子が挙げられる。
金属材料の酸化物の具体例として、インジウム−錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウム−錫酸化物、チタンを含有したインジウム−錫酸化物、インジウム−チタン酸化物、インジウム−タングステン酸化物、インジウム−亜鉛酸化物、タングステン及を含有したインジウム−亜鉛酸化物等が挙げられる。また、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。
金属材料の窒化物の具体例として、窒化チタン、窒化タンタル等が挙げられる。
導電性高分子の具体例として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等が挙げられる。
第1の補助電極121は、例えば第1の電極111上に導電性の金属層を形成し、フォトリソグラフィ法を用いて所望の形態に形成すればよい。また、シャドーマスク法、印刷法、インクジェット法等を用いてもよい。
第2の補助電極122は、例えばシャドーマスク法を用いて形成すればよい。
第1の電極111または/および第2の電極112の電気抵抗(シート抵抗ともいえる)が高い場合、その電極の面内で生じる電圧の降下に起因して、発光素子の輝度にムラが生じてしまう。特に、第1の電極111または/および第2の電極112の面積が広い場合に、この不具合は目立ちやすい。しかし、本実施の形態で例示する発光モジュールは、それぞれの電極に補助電極が設けられているため、面内で電圧降下が生じがたく、発光素子の輝度にムラが生じがたい。
第1の補助電極121と第2の補助電極122とを、共に設ける場合は、互いに重なる位置に設ける構成が好ましい。このような構成によれば、発光素子の面積に対する補助電極の面積の割合を小さくできるからである。特に、透光性を有しない導電層(例えば金属層)を用いて補助電極を構成する場合、光をとりだす面積を広くでき、補助電極を互いに重ならない位置に設ける構成に比べて、均一な発光が得られる。
<補助電極の変形例1.>
補助電極の変形例1.として、図4(A)とは異なる構成を図4(B)に示す。図4(B)に例示する構成は、第2の補助電極122上に逆テーパ状の構造物123を設けて、逆テーパ状の構造物123の上部の陰となる領域(言い換えると、逆テーパ状の構造物123の脚部が第2の補助電極122に接する部分の周囲)に発光性の有機化合物を含む層113が形成されない領域が形成されている。そして、当該領域を介して第2の補助電極122と第2の電極112が電気的に接続されている。
逆テーパ状の構造物123は、絶縁性であっても、導電性であってもよい。例えば、フォトポリマをもちいて絶縁性の逆テーパ状の構造物123を形成してもよく、フォトリソグラフィ工程を用いて導電層を導電性の逆テーパ状の構造物に加工してもよい。
この補助電極の変形例1.によれば、発光性の有機化合物を含む層113を形成する前に第2の補助電極を形成することができる。第2の補助電極を形成する際に、発光性の有機化合物を含む層113に不純物が拡散する恐れがないため、多様な方法を用いて第2の補助電極を形成できる。具体的は、シャドーマスク法の他、フォトリソグラフィ法、印刷法、インクジェット法などを適用できる。
なお、発光性の有機化合物を含む層113は異方性の強い成膜方法、例えば真空蒸着法を用いると、逆テーパ状の構造物123の上部の陰となる領域(言い換えると、逆テーパ状の構造物123の脚部が第2の補助電極122に接する部分の周囲)に、発光性の有機化合物を含む層113が成膜されない領域を形成できる。
その後、発光性の有機化合物を含む層113を形成する方法に比べて等方性を有する成膜方法(例えばスパッタリング法や、基板に対し斜めから真空蒸着する方法)を用いて、第2の電極112を成膜すると、逆テーパ状の構造物123の上部の陰(言い換えると、逆テーパ状の構造物123の脚部が第2の補助電極122に接する部分の周囲)に、第2の電極112を成膜でき、第2の補助電極122と第2の電極112を電気的に接続できる。
なお、本実施の形態の補助電極の変形例1.においては、発光素子110の第1の電極111は隣接する発光素子の第1の電極から電気的に分離されている。このような構成とすることにより、発光素子110を独立して点灯することができる。また、他の発光素子と直列に接続して点灯することも、並列に接続して点灯することもでき、多様な態様で点灯が可能な発光モジュールを提供できる。
<補助電極の変形例2.>
補助電極の変形例2.として、図4(A)および図4(B)とは異なる構成を図4(C)に示す。図4(C)に例示する構成において、第1の補助電極121は第1の電極111の導電性を補助し、第2の補助電極122は第2の電極112の導電性を補助する。また、第1の補助電極121を覆う隔壁114は、第1の補助電極121と第2の補助電極122を電気的に絶縁する。
本実施の形態の補助電極の変形例2.に用いる第2の補助電極122は導電性の粒子を含み、その粒子の粒径は発光性の有機化合物を含む層113に被覆されない程度である。具体的には、粒径が100nm以上100μm以下、好ましくは1μm以上50μm以下の範囲の粒子を含む。なお、導電性の粒子の形状は球状に限られず、多角形や、不規則な形状を備えていてもよい。
このような第2の補助電極122に重ねて形成された発光性の有機化合物を含む層113は、第2の補助電極に含まれる粒子を覆うことができず、当該粒子の一部が、発光性の有機化合物を含む層113から露出する。例えば、数百nmの厚さの発光性の有機化合物を含む層113を異方性の強い成膜方法(具体的には真空蒸着法等)で形成すると、粒子の蒸着源に対峙していない部分(言い換えると、陰になる部分)が成膜されずに、発光性の有機化合物を含む層113から露出する。
第2の電極112は、発光性の有機化合物を含む層113から露出した第2の補助電極122の粒子と電気的に接続する。例えば、第2の電極112を発光性の有機化合物を含む層113を形成する方法に比べて等方性を有する成膜方法(例えばスパッタリング法や、基板に対し斜めから真空蒸着する方法)を用いて、第2の電極112を成膜すると、露出した第2の補助電極122の粒子に、第2の電極112を成膜できる。
なお、本実施の形態の補助電極の変形例2.の第1の補助電極121も、導電性の粒子を含む構成とすることができる。第1の補助電極121が導電性の粒子を含む場合は、当該粒子が充分に覆われるように、被覆性のよい方法で隔壁114を充分な厚さで形成する。例えば、印刷法(具体的には、スクリーン印刷法)を用いて、絶縁性の樹脂で隔壁114を形成し、数十μmの厚さで第1の補助電極121に含まれる導電性の粒子を覆う構成とすればよい。
導電性の粒子としては、例えば金属粒子、半導体粒子またはハロゲン化銀の他、導電性の層で被覆された粒子などを用いることができる。具体的には、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等およびこれらの一を含む合金が挙げられる。
導電性の粒子を含む第2の補助電極122の形成方法としては、例えば印刷法、インクジェット法等を用いることができる。なお、導電性の粒子の他に結着剤、溶媒乃至分散剤を含む混合物で形成したものを、焼成して第2の補助電極122としてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールの作製方法を説明する。具体的には、ガスバリア性を備える素子基板を用いるものであり、当該素子基板の一方の表面の側には発光素子が光学的に接続され、他方の表面の側には拡散反射層が設けられた構成を有する発光モジュールの作製方法について説明する。なお、当該拡散反射層は拡散反射率が75%以上100%未満である。また、当該発光素子は一対の透光性を有する電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備えるものである。そして、当該素子基板は発光素子が発する光を透過し、その屈折率は発光性の有機化合物を含む層との屈折率の差が0.2以下であって、且つその形成温度が当該発光素子の形成温度または当該拡散反射層の形成温度のいずれよりも高いものである。
より具体的には、ガスバリア性を備える素子基板の一方の面に光学的に接続するように設けられた第1の電極と、第1の電極に重なる第2の電極との間に、発光性の有機化合物を含む層が挟持される発光素子を形成する第1のステップと、当該素子基板の一方の面と封止材の間に、当該発光素子を封止する第2のステップと、当該素子基板の他方の面に、拡散反射層を形成する第3のステップと、を有する発光モジュールの作製方法について図5を参照して説明する。
上記本発明の一態様の発光モジュールの作製方法は、素子基板の一方の面に発光素子を設けて封止し、素子基板の他方の面(つまり、封止された発光素子が形成された面とは反対の面)に拡散反射層を設けるものである。これにより、光の取り出し効率と共に信頼性が改善された発光モジュールの作製方法を提供できる。
また、不純物の混入による信頼性の低下を防ぐために、発光素子の形成工程は極めて清浄化された環境を必要とする。しかし、本発明の一態様の発光モジュールの作製方法においては、発光素子の形成後に発光素子を封止するため、発光素子の形成工程に比べて清浄でない環境下であっても、拡散反射層を形成できる。その結果、簡略化された製造設備を用いて、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
本実施の形態では、図1に例示した発光モジュール100の作製方法について説明する。
<第1のステップ>
第1のステップにおいては、ガスバリア性を備える素子基板101の一方の面に光学的に接続するように設けられた第1の電極111と、第1の電極111に重なる第2の電極112との間に、発光性の有機化合物を含む層113を挟持する発光素子110を形成する(図5(A)参照)。
まず、素子基板101のガラス層101a上に透光性を有する導電層を成膜する。次いで、第1の電極111と、第1の電極111と電気的に接続する第1の端子103と、第2の端子104と、を含む導電層を、フォトリソグラフィ法を用いて形成する。さらに、第1の電極111の端部を覆い、且つ第1の電極111と重なる開口部を有する隔壁114を形成する。また、第1の電極111上に発光性の有機化合物を含む層113を形成し、発光性の有機化合物を含む層113を挟むように第1の電極111に重ねて第2の電極112を形成する。
なお、ガラス層101aは発光素子の形成温度または拡散反射層の形成温度のいずれよりも高い温度で形成されているため、ガラス層101aは、発光素子110の信頼性を損なう不純物を放出し難い。
また、第1の電極の表面を容易に平坦に形成でき、第1の電極と第2の電極が短絡し難くなる。その結果、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
<第2のステップ>
第2のステップにおいては、発光素子110を素子基板101の一方の面と、封止材の間に封止する(図5(B)参照)。なお、本実施の形態ではシール材131として紫外線硬化型のエポキシ樹脂と封止基板102を用いて封止材を構成する。
封止基板102上に、ディスペンサを用いてシール材131を、発光素子110を囲むように形成する。次いで、封止基板102と素子基板101のガラス層101aの間にシール材131を挟んで紫外線を照射して硬化し、発光素子110を封止基板102とガラス層101aの間に封止する。
また、シール材131にフリットガラスを用いる場合は、例えば封止基板102上に、ディスペンサを用いてフリットガラスと媒材を含む分散体を、発光素子110を囲むように形成する。次いで、分散体を加熱して媒材を除去し、フリットガラスを含むシール材131を形成する。次いで、封止基板102と素子基板101のガラス層101aの間にシール材131を挟んでレーザを照射して融着し、発光素子110を封止基板102とガラス層101aの間に封止する。
なお、発光素子110が封止された後は、不純物が発光素子に拡散する可能性が低減されるため、第3のステップ以降は、第1のステップおよび第2のステップで必要とされた清浄化された環境を要しない。
<第3のステップ>
第3のステップにおいては、素子基板の他方の面(発光素子が形成されていない面)に、拡散反射層を形成する(図5(C)参照)。
拡散反射層の形成方法としては、印刷法、転写法などさまざまな方法を適用できる。
印刷法を用いる場合、例えば屈折率が異なる母材と粒子を溶剤に含ませた組成物を、素子基板101の他方の面に印刷し、乾燥または硬化して、拡散反射層120を形成できる。
転写法を用いる場合、例えば工程紙上に屈折率が異なる母材と粒子を含む組成物を層状に形成し、その層状の組成物を素子基板101の他方の面に転写して、拡散反射層120を形成できる。転写に際し、例えば粘着性が付与された母材を用いてもよいし、接着剤または粘着材を用いて、層状の組成物を素子基板101の他方の面の間に接着してもよい。接着剤または粘着材を用いる場合は、その屈折率を素子基板101と同程度(具体的にはその差を0.2以下)とするとよい。
上記本発明の一態様の発光モジュールの作製方法は、素子基板の一方の面に発光素子を設けて封止し、素子基板の他方の面(つまり、封止された発光素子が形成された面とは反対の面)に拡散反射層を設けるものである。これにより、光の取り出し効率と共に信頼性が改善された発光モジュールの作製方法を提供できる。
また、不純物の混入による信頼性の低下を防ぐために、一般に発光素子の形成工程は極めて清浄化された環境を必要とする。しかし、本発明の一態様の発光モジュールの作製方法においては、発光素子の形成後であって拡散反射層の形成前に、発光素子を封止する。したがって、発光素子の形成工程に比べて清浄でない環境下で拡散反射層を形成できる。その結果、簡略化された製造設備を用いて、光の取り出し効率が改善された信頼性に優れた発光モジュールを提供できる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールに用いることができる発光素子の構成について説明する。具体的には、一対の電極に発光性の有機化合物を含む層が挟持された発光素子の一例について、図6を参照して説明する。
本実施の形態で例示する発光素子は、第1の電極、第2の電極及び第1の電極と第2の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を備える。第1の電極または第2の電極のいずれか一方は陽極、他方は陰極として機能する。EL層は第1の電極と第2の電極の間に設けられ、該EL層の構成は第1の電極と第2の電極の材質に合わせて適宜選択すればよい。以下に発光素子の構成の一例を例示するが、発光素子の構成がこれに限定されないことはいうまでもない。
<発光素子の構成例1.>
発光素子の構成の一例を図6(A)に示す。図6(A)に示す発光素子は、陽極1101と陰極1102の間にEL層が挟まれている。
陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極1101の側から正孔が注入され、陰極1102の側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
本明細書においては、両端から注入された電子と正孔が再結合する領域を1つ有する層または積層体を発光ユニットという。よって、当該発光素子の構成例1は発光ユニットを1つ備えるということができる。
発光ユニット1103は、少なくとも発光物質を含む発光層を1つ以上備えていればよく、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えば正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔輸送性に乏しい(ブロッキングする)物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。
発光ユニット1103の具体的な構成の一例を図6(B)に示す。図6(B)に示す発光ユニット1103は、正孔注入層1113、正孔輸送層1114、発光層1115、電子輸送層1116、並びに電子注入層1117が陽極1101側からこの順に積層されている。
<発光素子の構成例2.>
発光素子の構成の他の一例を図6(C)に示す。図6(C)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間に発光ユニット1103を含むEL層が挟まれている。さらに、陰極1102と発光ユニット1103との間には中間層1104が設けられている。なお、当該発光素子の構成例2の発光ユニット1103には、上述の発光素子の構成例1が備える発光ユニットと同様の構成が適用可能であり、詳細については、発光素子の構成例1の記載を参酌できる。
中間層1104は少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域以外の層と積層された構成であってもよい。例えば、第1の電荷発生領域1104c、電子リレー層1104b、及び電子注入バッファー1104aが陰極1102側から順次積層された構造を適用することができる。
中間層1104における電子と正孔の挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、第1の電荷発生領域1104cにおいて、正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102へ移動し、電子は電子リレー層1104bへ移動する。電子リレー層1104bは電子輸送性が高く、第1の電荷発生領域1104cで生じた電子を電子注入バッファー1104aに速やかに受け渡す。電子注入バッファー1104aは発光ユニット1103に電子を注入する障壁を緩和し、発光ユニット1103への電子注入効率を高める。従って、第1の電荷発生領域1104cで発生した電子は、電子リレー層1104bと電子注入バッファー1104aを経て、発光ユニット1103のLUMO準位に注入される。
また、電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cを構成する物質と電子注入バッファー1104aを構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を防ぐことができる。
当該発光素子の構成例2の陰極に用いることができる材料の選択の幅は、構成例1の陰極に用いることができる材料の選択の幅に比べて、広い。なぜなら、構成例2の陰極は中間層が発生する正孔を受け取ればよく、仕事関数が比較的大きな材料を適用できるからである。
<発光素子の構成例3.>
発光素子の構成の他の一例を図6(D)に示す。図6(D)に例示する発光素子は、陽極1101と陰極1102の間に2つの発光ユニットが設けられたEL層を備えている。さらに、第1の発光ユニット1103aと、第2の発光ユニット1103bとの間には中間層1104が設けられている。
なお、陽極と陰極の間に設ける発光ユニットの数は2つに限定されない。図6(E)に例示する発光素子は、発光ユニット1103が複数積層された構造、所謂、タンデム型の発光素子の構成を備える。但し、例えば陽極と陰極の間にn(nは2以上の自然数)層の発光ユニット1103を設ける場合には、m(mは自然数、1以上(n−1)以下)番目の発光ユニットと、(m+1)番目の発光ユニットとの間に、それぞれ中間層1104を設ける構成とする。
また、当該発光素子の構成例3の発光ユニット1103には、上述の発光素子の構成例1と同様の構成を適用することが可能であり、また当該発光素子の構成例3の中間層1104には、上述の発光素子の構成例2と同様の構成が適用可能である。よって、詳細については、発光素子の構成例1、または発光素子の構成例2の記載を参酌できる。
発光ユニットの間に設けられた中間層1104における電子と正孔の挙動について説明する。陽極1101と陰極1102の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、中間層1104において正孔と電子が発生し、正孔は陰極1102側に設けられた発光ユニットへ移動し、電子は陽極側に設けられた発光ユニットへ移動する。陰極側に設けられた発光ユニットに注入された正孔は、陰極側から注入された電子と再結合し、当該発光ユニットに含まれる発光物質が発光する。また、陽極側に設けられた発光ユニットに注入された電子は、陽極側から注入された正孔と再結合し、当該発光ユニットに含まれる発光物質が発光する。よって、中間層1104において発生した正孔と電子は、それぞれ異なる発光ユニットにおいて発光に至る。
なお、発光ユニット同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、発光ユニット同士を接して設けることができる。具体的には、発光ユニットの一方の面に電荷発生領域が形成されていると、当該電荷発生領域は中間層の第1の電荷発生領域として機能するため、発光ユニット同士を接して設けることができる。
発光素子の構成例1乃至構成例3は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、発光素子の構成例3の陰極と発光ユニットの間に中間層を設けることもできる。
<発光素子に用いることができる材料>
次に、上述した構成を備える発光素子に用いることができる具体的な材料について、陽極、陰極、並びにEL層の順に説明する。
<陽極に用いることができる材料>
陽極1101は導電性を有する金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物等の単層または積層体で構成される。特に、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)の材料をEL層に接する構成が好ましい。
金属、または合金材料としては、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)等の金属材料またはこれらを含む合金材料が挙げられる。
電気伝導性化合物としては、例えば、金属材料の酸化物、金属材料の窒化物、導電性高分子が挙げられる。
金属材料の酸化物の具体例として、インジウム−錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウム−錫酸化物、チタンを含有したインジウム−錫酸化物、インジウム−チタン酸化物、インジウム−タングステン酸化物、インジウム−亜鉛酸化物、タングステン及を含有したインジウム−亜鉛酸化物等が挙げられる。また、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、チタン酸化物等が挙げられる。
金属材料の酸化物を含む膜は、通常スパッタリング法により成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、インジウム−亜鉛酸化物膜は、酸化インジウムに対し1wt%以上20wt%以下の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム膜は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5wt%以上5wt%以下、酸化亜鉛を0.1wt%以上1wt%以下含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。
金属材料の窒化物の具体例として、窒化チタン、窒化タンタル等が挙げられる。
導電性高分子の具体例として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等が挙げられる。
なお、陽極1101と接して第2の電荷発生領域を設ける場合には、仕事関数の大きさを考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いることができる。具体的には、仕事関数の大きい材料だけでなく、仕事関数の小さい材料を用いることもできる。第2の電荷発生領域を構成する材料については、第1の電荷発生領域と共に後述する。
<陰極に用いることができる材料>
陰極1102に接して第1の電荷発生領域1104cを、発光ユニット1103との間に設ける場合、陰極1102は仕事関数の大小に関わらず様々な導電性材料を用いることができる。
なお、陰極1102および陽極1101のうち少なくとも一方を、可視光を透過する導電膜を用いて形成する。例えば、陰極1102または陽極1101の一方を、可視光を透過する導電膜を用いて形成し、他方を、可視光を反射する導電膜を用いて形成すると、一方の面に光を射出する発光素子を構成できる。また、陰極1102および陽極1101の両方を、可視光を透過する導電膜を用いて形成すると、両方の面に光を射出する発光素子を構成できる。
可視光を透過する導電膜としては、例えば、インジウム−錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有したインジウム−錫酸化物、チタンを含有したインジウム−錫酸化物、インジウム−チタン酸化物、インジウム−タングステン酸化物、インジウム−亜鉛酸化物、タングステン及を含有したインジウム−亜鉛酸化物等が挙げられる。また、光を透過する程度(好ましくは、5nm以上30nm以下程度)の金属薄膜を用いることもできる。
可視光を反射する導電膜としては、例えば金属を用いれば良く、具体的には、銀、アルミニウム、白金、金、銅等の金属材料またはこれらを含む合金材料が挙げられる。銀を含む合金としては、銀−ネオジム合金、マグネシウム−銀等を挙げることができる。アルミニウムの合金としては、アルミニウム−ニッケル−ランタン合金、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−ネオジム合金等が挙げられる。
<EL層に用いることができる材料>
上述した発光ユニット1103を構成する各層に用いることができる材料について、以下に具体例を示す。
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することができる。
なお、第2の電荷発生領域を用いて正孔注入層を形成してもよい。正孔注入層に第2の電荷発生領域を用いると、仕事関数を考慮せずに様々な導電性材料を陽極1101に用いることができるのは前述の通りである。第2の電荷発生領域を構成する材料については第1の電荷発生領域と共に後述する。
<正孔輸送層>
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層は、単層に限られず正孔輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子よりも正孔の輸送性の高い物質であればよく、特に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物(例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD))やカルバゾール誘導体(例えば、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA))などが挙げられる。また、高分子化合物(例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK))等を用いることができる。
<発光層>
発光層は、発光物質を含む層である。発光層は、単層に限られず発光物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。発光物質は蛍光性化合物や、燐光性化合物を用いることができる。発光物質に燐光性化合物を用いると、発光素子の発光効率を高められるため好ましい。
発光物質は蛍光性化合物(例えば、クマリン545T)や燐光性化合物(例えば、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)))等を用いることができる。
発光物質は、ホスト材料に分散させて用いるのが好ましい。ホスト材料としては、その励起エネルギーが、発光物質の励起エネルギーよりも大きなものが好ましい。
ホスト材料として用いることができる材料としては、上述の正孔輸送性の高い物質(例えば、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、高分子化合物等)、後述の電子輸送性の高い物質(例えば、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール系やチアゾール系配位子を有する金属錯体等)などを用いることができる。
<電子輸送層>
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層は、単層に限られず電子輸送性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。正孔よりも電子の輸送性の高い物質であればよく、特に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
電子輸送性の高い物質としては、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq))、オキサゾール系やチアゾール系配位子を有する金属錯体(例えば、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)))、その他の化合物(例えば、バソフェナントロリン(略称:BPhen))などが挙げられる。また、高分子化合物(例えば、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py))等を用いることができる。
<電子注入層>
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層は、単層に限られず電子注入性の高い物質を含む層を二層以上積層したものでもよい。電子注入層を設ける構成とすることで陰極1102からの電子の注入効率が高まり、発光素子の駆動電圧を低減できるため好ましい。
電子注入性の高い物質としては、アルカリ金属(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs))、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム(Ca))、またはこれらの化合物(例えば、酸化物(具体的には酸化リチウム等)、炭酸塩(具体的には炭酸リチウムや炭酸セシウム等)、ハロゲン化物(具体的にはフッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)))などが挙げられる。
また、電子注入性の高い物質を含む層を電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む層(具体的には、Alq中にマグネシウム(Mg)を含有させたものなど)で形成してもよい。なお、電子輸送性の高い物質に対するドナー性物質を添加量の質量比は0.001以上0.1以下の比率が好ましい。
ドナー性の物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、またはこれらの化合物の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。
<電荷発生領域に用いることができる材料>
第1の電荷発生領域1104c、及び第2の電荷発生領域は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む領域である。なお、電荷発生領域は、同一膜中に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含有する場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層とアクセプター性物質を含む層とが積層されていても良い。但し、第1の電荷発生領域を陰極側に設ける積層構造の場合には、正孔輸送性の高い物質を含む層が陰極1102と接する構造となり、第2の電荷発生領域を陽極側に設ける積層構造の場合には、アクセプター性物質を含む層が陽極1101と接する構造となる。
なお、電荷発生領域において、正孔輸送性の高い物質に対して質量比で、0.1以上4.0以下の比率でアクセプター性物質を添加することが好ましい。
電荷発生領域に用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。なお、酸化モリブデンは、吸湿性が低いという特徴を有している。
また、電荷発生領域に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
<電子リレー層に用いることができる材料>
電子リレー層1104bは、第1の電荷発生領域1104cにおいてアクセプター性物質がひき抜いた電子を速やかに受け取ることができる層である。従って、電子リレー層1104bは、電子輸送性の高い物質を含む層であり、またそのLUMO準位は、第1の電荷発生領域1104cにおけるアクセプター性物質のアクセプター準位と、当該電子リレー層が接する発光ユニット1103のLUMO準位との間に位置する。具体的には、およそ−5.0eV以上−3.0eV以下とするのが好ましい。
電子リレー層1104bに用いる物質としては、ペリレン誘導体(例えば、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA))や、含窒素縮合芳香族化合物(例えば、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN))などが挙げられる。
なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定な化合物であるため電子リレー層1104bに用いる物質として好ましい。さらに、含窒素縮合芳香族化合物のうち、シアノ基やフルオロ基などの電子吸引基を有する化合物を用いることにより、電子リレー層1104bにおける電子の受け取りがさらに容易になるため、好ましい。
<電子注入バッファーに用いることができる材料>
電子注入バッファーは、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入バッファー1104aは、第1の電荷発生領域1104cから発光ユニット1103への電子の注入を容易にする層である。電子注入バッファー1104aを第1の電荷発生領域1104cと発光ユニット1103の間に設けることにより、両者の注入障壁を緩和することができる。
電子注入性が高い物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、またはこれらの化合物などが挙げられる。
また、電子注入性の高い物質を含む層を電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含む層で形成してもよい。
<発光素子の作製方法>
発光素子の作製方法の一態様について説明する。第1の電極上にこれらの層を適宜組み合わせてELを形成する。EL層は、それに用いる材料に応じて種々の方法(例えば、乾式法や湿式法等)を用いることができ。例えば、真空蒸着法、転写法、印刷法、インクジェット法またはスピンコート法などを選んで用いればよい。また、各層で異なる方法を用いて形成してもよい。EL層上に第2の電極を形成し、発光素子を作製する。
以上のような材料を組み合わせることにより、本実施の形態に示す発光素子を作製することができる。この発光素子からは、上述した発光物質からの発光が得られ、その発光色は発光物質の種類を変えることにより選択できる。
また、発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、発光スペクトルの幅を拡げて、例えば白色発光を得ることもできる。白色発光を得る場合には、例えば、発光物質を含む層を少なくとも2つ備える構成とし、それぞれの層を互いに補色の関係にある色を呈する光を発するように構成すればよい。具体的な補色の関係としては、例えば青色と黄色、あるいは青緑色と赤色等が挙げられる。
さらに、演色性の良い白色発光を得る場合には、発光スペクトルが可視光全域に拡がるものが好ましく、例えば、一つの発光素子が、青色を呈する光を発する層、緑色を呈する光を発する層、赤色を呈する光を発する層を備える構成とすればよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光モジュールを搭載した発光装置の一例について、図7を用いて説明する。具体的には照明に用いる発光装置(照明装置または照明器具)について説明する。
本発明の一態様では、発光部が曲面を有する照明装置を実現することもできる。
本発明の一態様は、自動車の照明にも適用することができ、例えば、ダッシュボードや、天井等に照明を容易に設置することもできる。
図7(A)では、本発明の一態様を適用した、室内の天井に設ける照明装置901、壁面に設ける照明装置904及び卓上照明器具903を示す。発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。
図7(B)に別の照明装置の例を示す。図7(B)に示す卓上照明装置は、照明部9501、支柱9503、支持台9505等を含む。照明部9501は、本発明の一態様の発光モジュールを含む。このように、本発明の一態様では、曲面を有する照明装置を実現することができる。
100 発光モジュール
101 素子基板
101a ガラス層
101b 基材
102 封止基板
103 端子
104 端子
110 発光素子
111 電極
112 電極
113 有機化合物を含む層
114 隔壁
120 拡散反射層
120a 粒子
120b 母材
121 補助電極
122 補助電極
123 構造物
125 接続層
130 空間
131 シール材
901 照明装置
903 卓上照明器具
904 照明装置
1101 陽極
1102 陰極
1103 発光ユニット
1103a 発光ユニット
1103b 発光ユニット
1104 中間層
1104a 電子注入バッファー
1104b 電子リレー層
1104c 電荷発生領域
1113 正孔注入層
1114 正孔輸送層
1115 発光層
1116 電子輸送層
1117 電子注入層
9501 照明部
9503 支柱
9505 支持台

Claims (8)

  1. ガスバリア性を備える素子基板と、
    前記素子基板の一方の面に光学的に接続された第1の電極を接する発光素子と、
    前記素子基板の一方の面との間に、前記発光素子を封止する封止材と、
    前記素子基板の他方の面に拡散反射層と、を有し、
    前記拡散反射層は、拡散反射率が75%以上100%未満であり、
    前記発光素子は、前記第1の電極と、前記第1の電極と重なる第2の電極と、その間に発光性の有機化合物を含む層と、を備え、
    前記第1の電極と前記第2の電極は、いずれも前記発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過し、
    前記封止材は、前記発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過する領域を前記発光素子と重なるように備え、
    前記素子基板は、前記発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過し、前記発光性の有機化合物の屈折率との差が0.2以下である屈折率を備え、且つ少なくとも一方の面に、前記発光素子の形成温度または前記拡散反射層の形成温度のいずれよりも高い温度で形成されるガラス層を備える、発光モジュール。
  2. 前記素子基板の一方の面が平坦な面を有するガラスであって、
    前記第1の電極が前記平坦な面に光学的に接続する請求項1記載の発光モジュール。
  3. 前記ガラスが300℃以上1700℃以下で形成され、且つ、鉛、亜鉛、バリウム、チタン乃至ランタンから選ばれた一をケイ素の他に含む酸化物ガラスである、請求項1または請求項2に記載の発光モジュール。
  4. 前記素子基板の厚さが50μm以上1000μm以下である、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の発光モジュール。
  5. 前記拡散反射層は、前記発光素子が発する光に対し25%未満の透過率となるように、中心粒径が1μm以上100μm以下である粒子を母材中に含み、
    前記母材の屈折率は、前記素子基板の屈折率との差が0.2以下、または前記素子基板の屈折率以上であって、
    前記粒子の屈折率と前記母材の屈折率の差が0.3以上である請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の発光モジュール。
  6. 前記拡散反射層は、前記発光素子が発する光に対し25%未満の透過率となるように、中心粒径が1μm以上100μm以下である粒子を母材中に含み、
    前記粒子の屈折率は、前記素子基板の屈折率との差が0.2以下、または前記素子基板の屈折率以上であって、
    前記粒子の屈折率と前記母材の屈折率の差が、0.3以上である請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の発光モジュール。
  7. 前記素子基板の他方の面と前記拡散反射層の一方の面の間に、前記素子基板の屈折率との差が0.2以下の接続層を備え、
    前記拡散反射層は他方の面に凹凸と、前記凹凸に沿った反射層が設けられている請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の発光モジュール。
  8. ガスバリア性を備える素子基板の一方の面に光学的に接続するように設けられた第1の電極と、第1の電極に重なる第2の電極との間に、発光性の有機化合物を含む層を有する発光素子を形成する第1のステップと、
    前記素子基板の一方の面と封止材の間に、前記発光素子を封止する第2のステップと、
    前記素子基板の他方の面に、拡散反射層を形成する第3のステップと、を有し、
    前記素子基板、前記第1の電極および前記第2の電極が、いずれも前記発光性の有機化合物を含む層が発する光を透過する発光モジュールの作製方法。
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