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Description

放射線発生管および放射線発生装置
本発明は、放射線発生管、および、それを備えた放射線発生装置に関するものである。
従来より放射線発生装置の小型化や、放出される放射線の高エネルギー化に際して、放射線発生管の耐電圧特性(以下耐圧)向上が求められている。放射線発生管において耐圧が懸念される部位の1つとして、絶縁管と陰極との接合部が挙げられる。特に前記接合部が放射線発生管の外部からみて露出した場合については、露出部の近傍が電界集中しやすく、放電を起こしやすい。特許文献1には、ガラス製の真空外囲器と陰極との融着部を覆うようにコロナリングを設け、融着部近傍の電界集中を緩和し、局所的な放電の衝撃に起因する真空外囲器の破損を防ぐことが開示されている。
また、特許文献2には、コロナリングと真空外囲器との間の電界の乱れから発生する放電を防ぐことを目的として、放射線出射窓側に位置する導電部と、電圧印加部側に位置する電気絶縁部とを固定し、この電気絶縁部の外面に、電気抵抗膜を配置した構造を開示している。
特開平07−296754号公報 特開2009−245806号公報
従来の高耐圧化の対策を施した場合においても、放射線の出力変動や微小な放電が生じる場合があった。これらの微小放電は、動作時のターゲットへ照射される電子の電流密度や入射エネルギーを変動させる原因と成り、結果的に放射線の出力強度が変動する。また、前述の微小放電の頻度が高い状態となれば、持続的にターゲットと電子放出素子間に加速電圧を印加できない。
本発明は、陰極や陽極と絶縁管との接合部に発生する電界集中を生じにくくして、放電を抑制し、放射線出力安定性の高い、信頼性の高い放射線発生管および放射線発生装置を提供することを目的とする。
本発明の放射線発生管は、少なくとも二つの開口端を備えた絶縁管と、前記絶縁管の一方の開口端に接続された陰極と、前記絶縁管の他方の開口端に接続された陽極とを備えた外囲器と、前記陰極に接続された電子放出源と、前記陽極に接続されたターゲットとを備え、前記外囲器の内部空間が外部空間に対して負圧である放射線発生管において、前記陰極と前記陽極のうちの少なくともいずれか一方と前記外囲器とは、導電性の接合材を介して接合されており、前記接合材を介して接合されている接合部は、誘電体層により被覆されている事を特徴とする。
本発明によれば、長期間に渡り高い耐圧特性を維持した信頼性の高い放射線発生装置を提供することを可能とする。
本発明における放射線発生装置の断面図 本発明における放射線発生管の断面図 本発明における放射線発生管の断面図 本発明における放射線発生管の断面図 本発明における実験装置のブロック図 本発明における実験装置のブロック図 本発明の作用を説明するための模式図 本発明の他の作用を説明するための模式図 本発明の放射線発生管の他の実施形態を示す断面図 本発明の放射線発生管における誘電体層の接合部の被覆形態を示す断面
図1および図2を用いて本発明の放射線発生管および放射線放出装置の構成例について説明する。
図2は、本発明の放射線発生管の実施形態を示す断面図であり、図1は本発明の放射線発生管を内部に収納した放射線発生装置の実施形態を示す断面図である。
放射線発生管1は、陰極19と、陰極19に接続された電子放出源3と、陽極20と、陽極20に接続されたターゲット8と、絶縁管21とを備え、陰極19と陽極20とは、互いに離れた位置で絶縁管21が備える二つの開口にそれぞれ接続されている。陰極19と陽極20と絶縁管21とからなり内部空間12を規定している容器6を、本発明において外囲器6と称する。外囲器6の内部空間12に配置された電子放出源3が備える電子放出部2から放出された電子が、電子線5としてターゲット8に照射可能な程度に、外囲器6の内部空間12は減圧(真空排気)されている。内部空間12の真空度は、使用する電子放出源3の種類や、駆動条件等を考慮して適宜選択する事が可能であるが、例えば、1E−4〜1E−8 Paの真空度とすることが可能である。Spindt型、MIM等の冷陰極型電子放出源を使用した場合には、1E−6 Pa以下の真空度とする事が、電子放出特性の安定性の点でより好ましい。真空度の維持の為に、不図示のゲッタを内部空間12、若しくは、内部空間12に連通している不図示の補助スペースに設置する事も可能である。
電子放出源3としては、外囲器6の外部より放出電子量を制御可能な電子放出源であれば良く、前述の冷陰極型電子放出源の他、熱陰極型電子放出源を適宜適用する事が可能である。大電流の電子線5を安定に取り出せる点で、含浸型カソードの熱陰極電子放出源を好適に使用することができる。
電子放出源3は、陰極19に設けた電流導入端子4を介して、電子放出量および電子放出のオン・オフタイミングを制御可能なように、外囲器6の外部に設置した駆動回路14に電気的に接続される。駆動回路14は、これに限らず、外囲器6の内部に設置することも可能である。
本発明における陰極19は、電子放出源3の周辺の静電場の空間的な非対称性を緩和するとともに局所的な電界集中が生じないように、外囲器6に対する電子放出源3の取り付け部周辺の静電場を規定している。電子放出源3は、電子放出部2を有し、電子放出部2は、放出電子電流を供給する2極の電極をエミッタ電極対として備える(不図示)。電子ビーム収束、非点収差補正等の電子光学的な機能を付加する場合は、さらに数極の補助電極(不図示)を備える。前述のエミッタ電極対と補助電極とからなる電極群は、陰極19側から、放射線発生管1の外部の駆動回路14と、電流導入端子4を介して接続する事が可能である。前述の静電場の非対称性緩和の観点からは、陰極19は、陽極20の電極電位に対して充分低い定電位に規定されることが好まく、電子放出部2に電位を供給するエミッタ電極対のいずれか一方と同電位に規定するか、もしくは、エミッタ電極対のそれぞれの電位の中間電位により電位規定することも可能である。
陽極20は、不図示の電圧源によりターゲット8を電位規定し、ターゲット8に流れる陽極電流を、前記電圧源を介して接地端子16に通電する機能を有する。さらに、陽極20は、陰極19と同様にして、放射線発生管1のターゲット8周辺の静電場を規定する機能を有する電極である。従って、陰極19および陽極20は、電子放出源3およびターゲット8のそれぞれの近傍の静電場において局所的に電界集中が生じないようにするため、及び、陰極19と陽極20間の電界分布を平行電場になるべく近づけるため、前記陰極19および前記陽極20のそれぞれは、所定の面積の範囲を電位規定することが好ましく、誘電性の絶縁管21の開口断面積に一致させることがより好ましい。陽極20は、放射線15の照射範囲を規定可能な不図示の遮蔽体を別途備えることも可能であり、陽極20とターゲット8とは、前記遮蔽体を介して接続することも可能である。
陰極19と陽極20の材料は、導電性、気密性、強度、及び絶縁管21との線膨張係数整合によって決めることが可能であり、コバールやタングステン等を適用することが可能である。
ターゲット8は、電子放出部2から放出された電子の照射を受けることが可能なように、放射線発生管1の内部に配置される。陰極19と陽極20間の電場の対称性の観点からは、ターゲット8が電子放出部2と対向して配置される事が好ましい。
ターゲット8には、電子放出部2に対して10kV〜200kVの正電位が印加されており、電子放出部2から放出された電子が電子線5として、10keV〜200keVの入射エネルギーを有してターゲット8に入射し、ターゲット8で放射線を発生する。従って、陰極19と陽極20間の電界分布の非対称性を抑制する観点から、陽極20には陰極19に対して、電子放出部2に対するターゲット8の電位と同程度の正電位が印加されることが好ましい。ターゲット8は、電子の衝突によって放射線を発生する重元素を含有したターゲット材を備えている。ターゲット8は、ターゲット材のみからなる自立型の形態とすることが可能であり、自立型の形態としては、ダイアフラム状の金属薄膜が陽極20に接続されている形態を含む。またターゲット8は、放射線を透過するま材料中にターゲット材料を分散した状態で含有した分散型形態とすることや、ターゲット材料を含む金属薄膜を放射線を透過する材料からなる基板上に積層させた積層型の形態とすることも可能である。放射線を透過する基板としては、ベリリウムやダイアモンドのような低原子番号材料からなる基板をターゲット8は、ターゲット層と前記ターゲット層を支持する支持基板とからなる積層形態とすることも可能であり、支持された形態として、基板上に数μmの厚さの金属薄膜として支持されている形態が、放射線の減衰を抑制する点、ターゲット8の熱変形によるデフォーカスを抑制する点で好ましい。この金属薄膜は、放射線量/入射電子量の変換効率の観点から、原子番号26以上の重金属材料を用いることが好ましく、具体的には、タングステン、モリブデン、クロム、銅、コバルト、鉄、ロジウム、レニウム等、あるいはこれらの合金材料とすることが可能である。ターゲット8のターゲット材料として金属薄膜を支持基板上に形成する場合は、支持基板との密着性が確保されれば、特定の製法には限定されず、スパッタ、CVD、蒸着等の各種成膜方法が利用可能である。
絶縁管21は誘電性を有し、陰極19と陽極20のそれぞれを接続する少なくとも2つの開口を備えている。絶縁管21は、2つの開口が外囲器6の内部で、電子放出部2から放出された電子がターゲット8に照射されるように、連通している。すなわち、図1のように陰極19と陽極20が互いに露出して対向している形態だけでなく、図9(D)のように、絶縁管21の内部空間が仕切りにより隔てられていて、電子放出源3が仕切を貫通しているような形態も含まれる。また、図9(A)および、図9(A)に示す放射線発生管1のH−H’面における断面図9(B)に示すように、陽極20(陰極19でもよい)が、絶縁管21の側面に接続された形態としても良い。さらには、図9(C)に示すように、陰極19と陽極20が互いに対向せずに、非平行な位置関係とすることも可能である。絶縁管21は、図1のようにその断面が円管状の形態に限らず、その断面の外周形状や内周形状が多角形であってもよい。絶縁管21の材料は、電気絶縁性、気密性、低ガス放出性、耐熱性、および、陰極19や陽極20との線膨張係数整合の観点で選ばれるが、ボロンナイトライド、アルミナ等の絶縁性セラミック、ホウケイ酸ガラス等の絶縁性の無機ガラスが適用可能である。
陰極19または陽極20と、絶縁管21との接続部は、放射線発生管1の動作時に電界集中領域となり、放電の発生確率が高い領域で、放射線発生管1の耐圧特性を制限する。特に陰極19と絶縁管21との接続部は、3重点と呼ばれ、陰極19側から、電界電子放出が発生しやすい。従って、放電抑制の観点から特に陰極側の接合部23近傍の電界分布の不均一性を抑制することが対策の一つとなる。接続部を導電性の接合材22を介した接合部23とすることで、3重点の電界分布を、接合部23の周方向(以下、環方向と称する。)に沿った均一化を図る事が可能となる。接合材22としては、導電性を有し、耐熱性と金属―絶縁体の異種材料間の接合性が良好な銀ろう、銅ろう等の硬ろう(ろう付け用合金)が好ましく適用できる。絶縁管21と、陰極19又は陽極20との接合部23の環方向の電界の均一性の観点からは、図2(A)、(C)に示すように、接合材22は環状であって、接合部23を環状に気密接合している事が好ましい。図2(A)、(C)は、それぞれ図2(B)に示す放射線発生管1のP−P‘面及びQ−Q’面の断面図である。
放射線発生管1の陰極19または陽極20の少なくともいずれか一方は接合材22を介して接合されており、接合材22を介した接合部23は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、酸化アルミニウム、酸化珪素、窒化ボロン等の誘電体材料からなる誘電体層24により被覆されている。
誘電体層24は、放射線発生管1の実施態様により、放射線発生管1の耐圧特性を向上させる複数の作用を発現する。
誘電体層24は、接合材22に生じる電界集中が、接合材22が面している空間の静電場にまで、直接及びにくくする作用を備える。この作用について以下に具体的に述べる
接合材22は、陰極19と実質的に同電位に規定される。但し、微視的なスケールにおいて、導電性を有する接合材22と誘電性を有する絶縁管21と真空の内部空間12との境界は3重点となり、電界集中が発生する。一方で、実際の製造プロセスを経て製造された放射線発生管では、接合材22の表面が完全な平滑面で形成されない場合や、絶縁管21との境界が完全に平滑な環状となるように形成されない場合がある。例えば、接合材22は、接合工程において、陰極19および絶縁管21よりも軟化変形しやすい性質を備えるとともに、被接合部材に濡れる性質を有することで、被接合部材に密着して接合面を確保する材料である。接合の結果として、接合材22に局所的に生じる突起形状の変形や、局所的な濡れ広がりが生じて、接合材22の形状分布が生じる観察事実も認められた。このような接合材22の形状分布は、3重点の電界集中を一層助長する。図10(A)〜(F)の各図に示す接合部23において、誘電体層24は、いずれも、少なくとも、接合材22と絶縁管21との境界を被覆している。このように誘電体層24で、接合部23を被覆することにより、接合材22の表面や絶縁管21との境界に生じる電界集中を緩和することが可能である。また、接合部23近傍の空間におよぼす電界集中の緩和効果は、誘電体層24の比誘電率、形状、および、被覆範囲に依存する。誘電体層24の比誘電率は、絶縁管21の比誘電率より小さいことが好ましい。誘電体層24の形状としては、その層厚が100μm以上であるか、絶縁管21の側壁の壁厚の10%以上の層厚を有することにより効果的に電界集中を抑制可能である。また、層厚を、絶縁管21の側壁の壁厚の100%以下とすることにより、電界集中領域が、陰極19の電流導入端子4又は電極群に近づきすぎることが抑制され、耐圧低下を防ぐことが可能となる。誘電体層24の被覆範囲は、被覆のアライメント交差を考慮して、接合材22と絶縁管21との境界に隣接する絶縁管21の少なくとも一部の領域を連続的に被覆することが好ましい。また、接合材22の厚さ方向(陰極19と絶縁管21との間隙距離)を含めて接合部23を被覆することがより望ましい。すなわち、図10(B)より同図(C)の方が、同図(C)よりも同図(A)の方が、電界集中の緩和効果としてより好ましい形態となる。また、本発明における誘電体層24の被覆とは、図10(D)(F)に示すように、接合材22と誘電体層24とが、必ずしも密着している必要はなく、誘電体層24と接合材22との間に間隙が存在していることも、本発明の態様として含まれる。また、図3および図10(A)〜(D)、(F)に示すように、前記接合材22の前記外囲器6の内部空間12に面する側と、前記接合材22の前記外囲器6の外部空間に面する側のいずれか一方を前記誘電体層24により被覆している形態を本発明の態様として含まれる。さらには、図10(E)に示すように、前記接合材22の前記外囲器6の内部空間12に面する側と、前記接合材22の前記外囲器6の外部空間に面する側の双方を、接合材22を挟むように被覆している形態も、本発明の態様として含まれる。接合部23の環方向の電界の均一性の観点からは、図2(A)(C)に示すように、誘電体層24は環状であって、接合部23を環状に被覆している事が好ましい。
以上のように、誘電体層24は、接合部23近傍の電界集中を、直接的に抑制する作用効果を奏する。さらに、図10(E)、図10(A)(D)(E)に示すように、誘電体層24の被覆形態によっては、接合部23近傍の電界集中を間接的に抑制する作用効果を奏する場合を含む。このことについて、以下に説明する。
ターゲット8は、電子線5の照射を受けて放射線15を発生するが、その変換効率は、1に対して極めて小さく、ターゲット8に投入された電子線の運動エネルギーの大部分が熱に変換され、放射線発生に寄与しない。従って、放射線発生管1の接合部23には、非動作時の保管温度(環境温度または室温)から動作温度(数百℃程度)の温度変化履歴にさらされることとなる。また、放射線発生管内外の圧力差(大気圧)に起因して接合部23には、持続的に圧縮応力が発生する。また、放射線発生管1は、前述の温度変化により、陰極19や陽極20と絶縁管21との間の線膨張係数差や温度分布に起因した線膨張量差が各部材間に生ずる。これらの線膨張係数および線膨張量の不整合は接合部23に断続的かつ変動した応力を発生させる。
銀ろう等の金属を含有した接合材22を適用した場合において、前述の動作温度変化、温度変化由来の線膨張差に起因して接合部に生ずる応力、放射線発生管内外の圧力差に起因して接合部23に生ずる応力のいずれもが、接合材22が粘弾性変形等の歪(変形)を発生することで、放射線発生管1の他の部材に亀裂、破断等が生じることを緩和する作用を有している。しかしながら、前述の接合部23に対する応力の長期間にわたる発生および、その繰り返しは、接合材22からウィスカと呼ばれる針状結晶を成長させる駆動力となる。具体的には、銀ろう等の硬ろうからなる接合材22は合金であって、応力特に圧縮応力を受け続けると応力を緩和する作用として、その合金組成のうちの銀、銅、金、亜鉛、錫等を選択的に合金組織の表面から外部に向かって、針状結晶を発生させて、該合金に生じた圧縮応力を緩和する性質を備えている。本発明者等は、接合材22の表面から突出した針状結晶により耐圧特性が低下する場合があることを知見するに至った。図7(A)は、絶縁管21と、陰極19および陽極20との接合部に誘電体層を被覆していない放射線発生管1の初期状態を示す。図7(B)は、同じ放射線発生管1を1000時間動作させた後の状態を模式的に示したものである。針状結晶28は、導電性でありかつ、高アスペクト比な形状(成長方向長さ/断面幅)を有するので、接合部23近傍の電界集中をさらに助長させる原因となっていた。
誘電体層24は、接合部23を覆うことで接合材22の表面から接合部23近傍の空間に針状結晶28が突出することを物理的に防ぐ作用を備える。従って、誘電体層24を接合部23に被覆する事は、導電性の接合材22に、銀、錫、亜鉛、金の中から選ばれるいずれかの金属元素を単体金属として、又は合金の成分として、もしくは金属混合物の成分として含有している場合に、特に効果的である。
さらに、図10(A)(D)(F)のように、誘電体層24は、陰極19と絶縁管21とを接続するように、陰極19の一部と絶縁管21の一部との両方を被覆している形態をとる事が可能である。言い換えると、接合部23に関わる被接合部材間を橋渡すように被接合部材のそれぞれの一部を誘電体層24により被覆する形態とすることができる。このような形態をとることにより、接合材部23に生ずる応力の一部を、誘電体層24が分担して受け持つことになり、接合材22に生ずる応力を減少させて、針状結晶28の発生を抑制することができる。さらに、図10(E)のように、接合材22を挟むように、接合材22の外囲器6の内部空間12に面する側と、接合材22の外囲器6の外部空間に面する側の双方を被覆する形態と、被接合部材である陰極19と絶縁管21とを橋渡すように被覆する形態とを同時に備えることにより、より一層、前述の接合部23に生ずる応力の一部を負担する作用を強めることが可能となる。図10の各図は、陰極19側の接合部23について説明しているが、陽極側20の接合部23についても、陰極19側と同様な形態を採用することにより、陰極19側と同様な作用効果もたらす。
さらには、の放射線発生装置1を製造する段階において、陰極19と陽極20のうちの少なくともいずれか一方と、絶縁管21が備える開口端とを、導電性の接合材22を介して接合する工程と、前記陰極19と前記陽極20のうちの少なくともいずれか一方の一部と前記絶縁管21の一部とを橋渡しするように誘電体層24を前記接合部23に被覆する工程と、前記陰極19と前記陽極20と前記絶縁管21とを気密封止することにより内部空間12を規定して外囲器6を形成する工程と、前記外囲器6の内部空間12を外部空間に対して相対的に負圧とする減圧工程とを備えるとともに、前記減圧工程を、前記誘電体層24を前記接合部23に被覆する工程の後に行う事により、外囲器6の内部空間が負圧であることに起因して接合部23に、とりわけ接合材22に生じる圧縮応力が発生する前に、誘電体層24を形成することにより、前記外囲器6の内部空間12が負圧であることに起因した接合部23に生ずる圧縮応力をより一層効果的に低減することが可能となる。
放射線発生管1は、収納容器11に収納して放射線発生装置13とする態様をとることが可能である。放射線発生管1と収納容器11との間の内部空間17には、放射線発生装置13の耐圧特性と駆動時の動作特性の安定化の観点から、絶縁性の流体(絶縁性液体18)を配置する事が好ましい。絶縁性液体18を導入することにより、放射線発生管1の陰極19と陽極20の間の絶縁性を確保した上で、放射線発生管1の動作時の放熱性を向上することが可能となる。絶縁性液体18は、電気絶縁性が高く、冷却能力の高く、熱による変質の少ないものが好ましく、例えば、シリコーン油、トランス油、フッ素系オイル等の電気絶縁油、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系の絶縁性液体等が使用可能である。しかしながら、絶縁性液体18を放射線発生管1の周囲に配置した場合においては、図8(A)に示すように、絶縁性液体18中に、異物31が混入したり、異物30が発生する場合があった。混入異物31の由来としては、放射線発生装置を構成する部材のうちのいずれかの一部が、動作時の発熱による変性や動作時の振動によって脱離する事や、製造時に不可避的に絶縁性液18中に混入する事が考えられる。また、発生する異物30の由来としては、放射線発生装置の動作にともなう絶縁性液体の温度上昇や電磁波吸収等によって絶縁性液体18自体が変性して固形物となることが考えられる(以下、混入異物31と発生異物30を総じて異物と称する)。
これらの異物が、図8(B)に示すように、絶縁性液体18の流動に伴い陰極19や陽極20と絶縁管23との接合部23に接触することがあった。接合部23と異物との接触は、異物が導電性であっても、誘電性であったとしても、接合部23近傍の電界分布が局所的に乱されて、新たに電界集中領域が発生する可能性があることを意味する。
誘電体層24は、このような絶縁性液体18中の異物と接合部23との接触自体を阻止することによって、絶縁性液体18中の異物と接合部23との接触に起因する電界集中領域の発生を抑制する効果も備えるものである。従って、図1に示すように、誘電体層24によって絶縁性液体18と接合部23を分離するように、絶縁管6の外表面の少なくとも一部と接合材22とを連続的に被覆する態様とすることが好ましい。
さらに、誘電体層24の比誘電率よりも、絶縁性液体18の比誘電率を小さくすることにより、接合部23近傍の電界集中をより一層緩和することが可能である。
放射線発生管1を駆動する為の駆動回路14は、収納容器11の内外のいずれに配置することも可能である。
収納容器11は、放射線発生装置13の動作安定性や安全性の観点から、所定の電位に規定する事が好ましく、好適な所定の規定電位としては、接地端子16を介して規定した接地電位である。収納容器11の材料としては、各種の材料を選択することが可能であるが、放射線遮蔽性、強度、表面電位規定性能の観点から、鉄、ステンレス、鉛、真鍮、銅等の金属が使用可能である。
補助電極は、放射線放出管1の外部に配置した不図示の補正回路と接続することが可能である。前記補正回路および前記電圧源は、いずれも、駆動回路14が備えるようにすることも可能である。
(第1の実施例)
本実施例は上記実施形態で例示された構成の例であり、以下、図4および、図5を用いて詳細に説明する。図2は、本実施例の放射線発生管1の断面であり、図5は、本実施例の放射線発生管の動作特性を確認する実験装置のブロック図である。
本実施例の放射線発生管を以下のようにして作成した。
まず、住友電気工業株式会社製の高圧合成ダイアモンドを支持基板して用意した。前記支持基板は、直径5mm、厚さ1mmのディスク状(円柱状)の形状である。用意した支持基板を、UV−オゾンアッシャにより支持基板の表面にある有機物を除去した。
この支持基板の直径1mmの円形の2面のうちの一方の面上に、スパッタ法により、Arをキャリアガスとして、チタンからなる密着層を10nmの厚さで形成した。チタンの成膜時の支持基板は、260℃となるようにステージ加熱により加熱した。次に、成膜装置の雰囲気をベントする事なしに、連続成膜により、密着層の上に、Arをキャリアガスとして、スパッタにより、タングステンからなるターゲット層を7μmの厚さに形成した。タングステンの成膜時のダイアモンドからなる支持基板は、チタンの成膜時と同様に、260℃となるようにステージ加熱により加熱した。
チタンからなる密着層およびタングステンからなるターゲット層の各層の厚さは、積層成膜する前に、予め、単層膜で成膜した膜厚と成膜時間との検量線データを取得し、成膜時間により指定の膜厚となるようにして調整した。検量線データを取得する為の膜厚の測定は、株式会社 堀場製作所製の分光エリプソメータUVISEL ERを用いた。このようにして、ダイアモンドからなる支持基板、チタンからなる密着層、タングステンからなるターゲット層がこの順に積層したターゲット8を得た。
次に、直径60mmΦで厚さ3mmのディスク状のコバールからなる金属板の中心部に、直径1.1mmΦの円柱状の開口を形成するように加工して陽極20とした。陽極20に対して、有機溶媒洗浄、リンス、UV−オゾンアッシャ処理によって、陽極20の表面にある有機物を除去した。
次に、陽極20の開口と、ディスク状のターゲット8の外周部との間に、銀ろうを接合材として付与し、ろう付けを行い、ターゲット8が接続された陽極20を得た。
次に、直径60mmΦで厚さ3mmのディスク状のコバールからなる金属板の中心部に、予め、電流導入端子4を備え付けて陰極19とした。陰極19に対して、陽極20にした洗浄と同様の洗浄を行い、有機溶媒洗浄、リンス、UV−オゾンアッシャ処理によって、陽極20の表面にある有機物を除去した。
次に、電流導入端子4と含浸型電子銃を電気的および機械的に接続して、電子放出源3と接続された陰極19を得た。
次に、長さ70mm、外径60mm、内径50mmの円管状で、アルミナからなる絶縁管21を用意した。絶縁管21に対しても、陰極19や陽極20にしたのと同様の洗浄を行い、表面の有機物を除去した。
次に、電子放出源3と接続された陰極19の電子放出源3が供えられた面と、絶縁管21の一方の開口端との間に、環状に成形した日本工業規格BAg―8(Ag72−Cu28、融点780℃)の銀ろうを挿入して820℃でろう付けを行い、環状に気密接合した接合材22を備える接合部23を形成した。以上のようにして、陰極19と接合された絶縁管21を得た。
次に、陰極19と絶縁管21との接合部23に対して、図4に示すように、接合部23のうち、絶縁管21の管内部方向に露出している側と、絶縁管21の管外部方向に露出している側とに、2液混合型のエポキシ系接着剤を塗布し硬化させた。このようにして、エポキシ系接着剤の硬化により得られたエポキシ樹脂からなる誘電体層24により、接合部23を挟むようにして接合部23に被覆した。絶縁管21の内側と外側のいずれの側においても、誘電体層24の被覆範囲は、陰極19と接合材22の境界から陰極側に1mmの位置から、絶縁管21と接合材22の境界から陽極側に向かって5mmの位置までの範囲とした。誘電体層24の層厚は、1mmとした。使用した絶縁管21のアルミナの比誘電率は、9.5(室温、1MHz)で、あり、使用したエポキシ樹脂の比誘電率は、4.0(室温、1MHz)であった。また、絶縁管21のアルミナの融点は、2020℃であった。
次に、絶縁管21の他方の開口端と、ターゲット8のタングステンを露出している側の面と同じ側を露出している陽極20の面とを、陰極19側の接合と同様にして、環状に成形した日本工業規格BAg―8(Ag72−Cu28、融点780℃)の銀ろうを挿入してろう付けを行い、環状に気密接合した接合材22を備える接合部23を形成した。
以上によって、陰極19と陽極20とのそれぞれと、絶縁管21とを、絶縁管21の二つの開口端においてそれぞれに気密接合により接続した外囲器6を作成した。
次に、不図示の排気管と排気装置により、外囲器6の内部を1E−5Paの真空度となるように排気した後、排気管を封止することにより、放射線発生管1を作成した。
上記のような方法で、図4に示す放射線発生管1を5個作製した。
図5に示すように、作成した放射線発生管1を大気雰囲気中に配置し、前記放射線発生管1のそれぞれの陰極19と、陽極20と、電流導入端子4とを、駆動回路14に予め設けられた、−1/2Vaを出力するカソード端子、+1/2Vaを出力するアノード端子、および、電子銃3の放出電子線5の電子量を制御する端子群とに接続した。ここで、Vaは、電子放出部2とターゲット8との間の加速電圧である。
次に、放射線発生装置1のターゲット8の中心鉛直上で、すなわち、放射線の照射中心軸上となる位置で、ターゲット8から100cmの位置に、半導体検出器を備える放射線強度検出器26を配置した。放射線強度検出器26による出力安定性評価は、加速電圧Vaを60kVとして、電子放出源3を1秒間の照射期間と3秒間の休止期間を、100回繰り返す毎に、5秒間の放射線照射を行い、前後の1秒間を除いた3秒間の放射線出力を観測して、放射線発生管1の時間変動を測定した。さらに、なおいずれの電子照射も、ターゲット8上の焦点が予めターゲット8内に充分おさまるように電子線5の照射軸をアライメントしておき、電子線5のスポット半径は、0.5mmとなるようにし、陽極20と接地電極との径路に流れる電流を不図示の負帰還回路によりモニタリングして、陽極20に流れる電流密度を1%以内の変動値とするよう制御した。
放電カウンタ25は、陰極19から駆動回路14への接続配線、陽極20から駆動回路14への接続配線、および、電流導入端子から駆動回路14への接続配線群のそれぞれを、誘導プローブを配置して放電の有無を観測した。電子放出部への電流供給を停止しながら、加速電圧Vaを徐々に増大することによって、放電耐圧特性試験を行った。
本実施例の放射線発生管1の出力変動の平均値は、1.9%で良好な結果であった。
さらに、本実施例の放射線発生管1の最初に放電した電圧の平均が91kV、100kV印加までの累積放電回数は平均1.3回であって良好な結果である事を確認した。
なお、図5に示す通り、上記実験において、放電カウンタ25、駆動回路14、放射線強度検出器26のいずれも接地端子16を介して接地しておいた。
本実施例に使用した放射線発生管を、さらに5個作成し、実施例1と同様にして、環境試験装置にて、室温から300℃の範囲を100回くり返す1000時間の温度履歴を与える試験を行い、それぞれの接合部23を観測したところ、陰極側の接合部23にも、陽極側の接合部23にも、針状結晶は認められなかった。
(第1の比較例)
実施例1で作成した放射線発生管1の作成工程から、誘電体層24を被覆する工程のみ行わずに、そのほかの作成工程は、実施例1と同様にして行い、図7(A)に示す放射線発生管を5個作成した。
本比較例1で作成した放射線発生管を、実施例1と同様に、図5に示す実験装置で、放射線強度の出力安定性と、放電耐圧特性試験を行った。
本比較例の放射線発生管1の出力変動の平均値は、3.9%であり、実施例1に対して、劣る結果であった。
さらに、本実施例の放射線発生管1の最初に放電した電圧の平均が65kV、100kV印加までの累積放電回数は平均12.3回であって、実施例1に対して、劣る結果である事を確認した。
本比較例に使用した放射線発生管を、さらに5個作成し、実施例1と同様にして、環境試験装置にて、室温から300℃の範囲を100回くり返す1000時間の温度履歴を与える試験を行い、それぞれの接合部23を観測したところ、陰極側2箇所、陽極側に3個の針状結晶を確認した。
(第2の実施例)
実施例1で作成した放射線発生管1の作成工程における、陰極側の接合部23への誘電体層24を形成する工程において、絶縁管の内側からのみ誘電体層24を形成し、そのほかの作成工程は、実施例1と同様にして行い、図7(A)に示す放射線発生管を5個作成した。
本実施例1で作成した放射線発生管を、実施例1と同様に、図5に示す実験装置で、放射線強度の出力安定性と、放電耐圧特性試験を行った。
本実施例の放射線発生管1の出力変動の平均値は、2.3%で良好な結果であった。
さらに、本実施例の放射線発生管1の最初に放電した電圧の平均が84kV、100kV印加までの累積放電回数は平均1.6回であって良好な結果である事を確認した。
本実施例に使用した放射線発生管を、さらに5個作成し、実施例1と同様にして、環境試験装置にて、室温から300℃の範囲を100回くり返す1000時間の温度履歴を与える試験を行い、それぞれの接合部23を観測したところ、陰極側の接合部23にも、陽極側の接合部23にも、針状結晶は認められなかった。
(第3の実施例)
本実施例においては、実施例1と同様の作成方法のうち、接合部23への誘電体層24を形成する工程において、外囲器6の外側からのみ、但し、陰極19側と、陽極20側の接合部23の双方に対して、誘電体層で被覆した事以外は、実施例1と同様にして行い、図2(A)(B)(C)に示す放射線発生管1を5個作成した。次に、図6に示すように、得られた放射線発生管1を、真鍮製の収納容器11に、駆動回路14とともに収納した。次に、実施例1と同様にして、駆動回路14と放射線発生管1とを電気的に接続した。次に、実施例1と同様にして、収納容器11の外部に設置した放電カウンタ25の誘電プローブを、駆動回路14と放射線発生管との接続配線に配置した後、収納容器11内に、比誘電率電率2.8(室温、1MHz)のシリコーン油を充填して満たした後に、真鍮製の蓋で外機器を閉じた。このようにして、出力変動測定が可能な放射線発生装置13を作成した。
次に、得られた放射線発生装置13に対して、実施例1と同様にして、収納容器11の放射線取出し部10を臨み、放射線の照射中心軸27上であって、ターゲット8から100cmの位置に、半導体検出器を備える放射線強度検出器26を配置した。
本実施例の放射線発生管1の出力変動の平均値は、2.0%で良好な結果であった。
さらに、本実施例の放射線発生管1の最初に放電した電圧の平均が94kV、100kV印加までの累積放電回数は平均1.3回であって良好な結果である事を確認した。
本実施例の出力安定性評価試験を経た放射線発生装置13の5台を分解して、それぞれの放射線発生管1の接合部23を観察したところ、陰極19側の誘電体層24の上には、3.3個、陽極側の誘電体層24上には、7.2個の異物が認められた。
(第2の比較例)
実施例3で作成した放射線発生管1の作成工程から、誘電体層24を被覆する工程のみ行わずに、そのほかの作成工程は、実施例1と同様にして行い、図7(A)に示す放射線発生管を5個作成した。得られた放射線発生装置を実施例3と同様にして、収納容器11内に収納し、シリコーン油からなる絶縁性液体18を充填し、前記放射線発生管を、駆動回路14、放電カウンタ25、および、放射線強度検出器26と接続した。
本比較例1で作成した放射線発生管を、実施例3と同様に、図6に示す実験装置で、放射線強度の出力安定性と、放電耐圧特性試験を行った。
本比較例の放射線発生管1の出力変動の平均値は、3.8%であり、実施例1に対して、劣る結果であった。
さらに、本実施例の放射線発生管1の最初に放電した電圧の平均が62kV、100kV印加までの累積放電回数は平均11.1回であって、実施例1に対して、劣る結果である事を確認した。
本比較例の出力安定性評価試験を経た放射線発生装置13の5台を分解して、それぞれの放射線発生管1の接合部23を観察したところ、陰極側の接合部23と、陽極側の接合部23のそれぞれに、異物の付着が平均して3.2個、7.6個で認められた。
1 放射線発生管
3 電子放出源
6 外囲器
8 ターゲット
19 陰極
20 陽極
21 絶縁管
22 接合材
23 接合部
24 誘電体層

Claims (18)

  1. 少なくとも二つの開口端を備えた絶縁管と、前記絶縁管の一方の開口端に接続された陰極と、前記絶縁管の他方の開口端に接続された陽極とを備えた外囲器と、前記陰極に接続された電子放出源と、前記陽極に接続されたターゲットとを備え、前記外囲器の内部空間が外部空間に対して負圧である放射線発生管において、
    前記陰極と前記陽極のうちの少なくともいずれか一方と前記絶縁管とは、導電性の接合材を介して接合されており、前記接合材を介して接合されている接合部は、誘電体層により被覆されている事を特徴とする放射線発生管。
  2. 前記誘電体層は、前記接合材の少なくとも一部と、該接合材に隣接する前記絶縁管の少なくとも一部とを被覆している事を特徴とする請求項1に記載の放射線発生管。
  3. 前記誘電体層は、前記絶縁管の外表面の少なくとも一部を被覆している事と特徴とする請求項1または2に記載の放射線発生管。
  4. 前記誘電体層は、前記陰極と前記陽極のうちの少なくともいずれか一方の一部と前記絶縁管の一部とを橋渡しするように前記接合部を被覆している事と特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線発生管。
  5. 前記誘電体層は、前記接合材を間に挟むように、前記接合材の前記外囲器の内部空間に面する側と、前記接合材の前記外囲器の外部空間に面する側を被覆している事と特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の放射線発生管。
  6. 前記誘電体層は、前記絶縁管の比誘電率より小さい比誘電率を有している事を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線発生管。
  7. 前記誘電体層は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、酸化珪素、酸化アルミニウム、および、窒化ボロンの中から少なくとも1つ選択された誘電体材料からなる事を特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の放射線発生管。
  8. 前記誘電体層は、前記接合部に位置する前記外囲器の壁厚の10%以上100%以下の層厚を有する事を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線発生管。
  9. 前記接合材は、前記陰極および前記陽極の融点より、低い融点を有する事を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放射線発生管。
  10. 前記接合材は、銀、錫、亜鉛、金の中から選ばれるいずれかの金属元素を単体金属として、もしくは合金の成分として含有する事を特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の放射線発生管。
  11. 前記接合材は、銀ろうである事を特徴とする請求項10に記載の放射線発生管。
  12. 前記接合材は、環状であり、前記接合部を環状に気密接合している事を特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の放射線発生管。
  13. 前記誘電体層は、環状であり、前記接合部を環状に被覆している事を特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の放射線発生管。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載された放射線発生管と、該放射線発生管を内部に収納する収納容器と、該収納容器と前記放射線発生管との間を占める空間に絶縁性液体とを備えたことを特徴とする放射線発生装置。
  15. 前記絶縁性液体は、前記誘電体層の比誘電率より小さい比誘電率を有している事を特徴とする請求項14に記載の放射線発生装置。
  16. 前記絶縁性液体は、シリコーン油、トランス油、フッ素系オイルである事を特徴とする請求項14または15に記載の放射線発生装置。
  17. 少なくとも2つの開口端を備えた絶縁管と、前記絶縁管の一方の開口端に接続された陰極と、前記絶縁管の他方の開口端に接続された陽極とを備えた外囲器と、前記陰極に接続された電子放出源と、前記陽極に接続されたターゲットとを備え、前記外囲器の内部空間が外部空間に対して負圧である放射線発生管の製造方法であって、
    陰極と陽極のうちの少なくともいずれか一方と、絶縁管が備える開口端とを、導電性の接合材を介して接合する工程と、
    前記陰極と前記陽極のうちの少なくともいずれか一方の一部と前記絶縁管の一部とを橋渡しするように誘電体層を前記接合部に被覆する工程と、
    前記陰極と前記陽極と前記絶縁管と気密封止することにより内部空間を規定して外囲器を形成する工程と、
    前記外囲器の内部空間を外部空間に対して相対的に負圧とする減圧工程とを備えるとともに、
    前記減圧工程は、前記誘電体層を前記接合部に被覆する工程の後に行う事を特徴とする放射線発生管の製造方法。
  18. 前記誘電体層を被覆する工程において、前記絶縁管の管内部方向に露出している前記接合部と、前記絶縁管の管外部方向に露出している前記接合部とを、前記誘電体層により被覆することにより、前記誘電体層により前記接合部を挟むように被覆する事を特徴とする請求項17に記載の放射線発生管の製造方法。
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