JP2013101839A - サージアブソーバおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 互いに間隔を空けて対向配置された一対の主放電電極部材5と、一対の主放電電極部材5の少なくとも互いの対向面を内部に放電制御ガスと共に封止するガラス製の絶縁性管7とを備え、絶縁性管7の外表面のうち少なくとも主放電電極部材5の周囲の面に、絶縁性容器のガラス材料よりもアルカリ金属の含有量が少ない又は含有しない金属酸化物膜9が形成されている。
【選択図】 図1
Description
電源ラインのライン−グランド(GND)間のサージ対策に使用されるサージアブソーバでは、JIS C 6065或いはIEC−60065により規定されたAC耐電圧に対して絶縁性を保持する必要がある。しかしながら、放電空間の小さい小型サージアブソーバにおいては、通常環境において十分なAC耐電圧を有しているが、放電部分とガラス製の絶縁性容器である支持筐体との距離が大きく取れないため、アルカリ成分の多いガラスが湿気にさらされるとアルカリ成分がガラスの外表面に出て、電界を生じさせ内部の放電電圧を低下させてしまう不都合があった。このため、湿気による絶縁抵抗の劣化に派生してAC耐電圧の低下が生じてしまうことから、AC耐電圧のさらなる向上が望まれている。特に、高温多湿の地理的環境にある地域及び季節の場合には、その影響が顕著に表れることがあり、規定を外れてしまうおそれがあるため、高温多湿環境下でも高いAC耐電圧が要求されている。
従来のサージアブソーバにおける耐電圧の低下は、(1)ガラス表面が水と結合しやすく取り込みやすいこと、(2)ガラスに含有されているナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属元素が(1)を起因として増加した表面における水の層で荷電担体となり、(3)それがガラス表面に意図した構造とは異なる第三の電極として表れる、ことからサージアブソーバ内部の電界強度が増加することが生じると考えられる。これに対して本発明のサージアブソーバでは、金属酸化物膜が、アルカリ金属が少ない又は極力含有しない膜であるので、ガラス表面の荷電担体の層を無くす若しくは減少させることで、第三の電極としての役割を無くす若しくは減ずる効果を得ることができる。特に、放電電極の周囲に位置する絶縁性容器の外表面に少なくとも金属酸化物膜が形成されているので、放電電極の近傍で電界が生じ難く、放電電圧の低下を効果的に抑制することができる。
すなわち、このサージアブソーバでは、金属酸化物膜が、シリコン酸化膜であるので、高い絶縁性及び耐湿度性を得ることができる。
すなわち、このサージアブソーバでは、周面に中央の放電ギャップを介して導電性被膜が分割形成された柱状又は筒状の絶縁性部材を、絶縁性容器である絶縁性管の内部に放電制御ガスと共に封止した、いわゆるマイクロギャップタイプのサージアブソーバであるので、絶縁性管の外表面のうち少なくとも主放電電極部材の周囲の面に形成された金属酸化物膜により主放電電極部材間における放電電圧の低下を抑制することができる。
すなわち、このサージアブソーバの製造方法では、絶縁性容器の外周面に金属アルコキシド及びその加水分解体を含有した液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、塗布膜を加熱して前記金属酸化物膜を形成する焼成工程とを有しているので、塗布した金属アルコキシド及びその加水分解体から金属酸化物膜を容易に得ることができる。
すなわち、このサージアブソーバの製造方法では、テトラエトキシシラン,テトラメトキシシラン又はメチルトリメトキシシランなどのシリコンアルコキシドを含有する塗布膜を加熱してシリコン酸化膜を形成するので、容易にシリコン酸化膜を得ることができる。
すなわち、このサージアブソーバの製造方法では、絶縁性容器の外周面に金属アルコキシド及びその加水分解体を含有した液を液滴し、液滴された状態の絶縁性容器を、中心軸を中心にして回転させ金属アルコキシド及びその加水分解体を含有した液を絶縁性容器の外周面全体に行き渡らせるので、金属アルコキシド及びその加水分解体を含有した液を絶縁性容器の外周面全体に均一に塗布でき、この状態で焼成することで、外表面全体に均一な金属酸化物膜を形成することができる。
すなわち、本発明に係るサージアブソーバによれば、ガラス製の絶縁性容器の外表面のうち少なくとも放電電極の周囲の面に、前記絶縁性容器のガラス材料よりもアルカリ金属の含有量が少ない又はアルカリ金属を含有しない金属酸化物膜が形成されているので、金属酸化物膜が水分の侵入を防ぐことで、AC耐電圧の低下を抑制することができ、特に高温多湿の環境においても安定した絶縁性を有することができる。特に、本発明に係るサージアブソーバの製造方法によれば、絶縁性容器の外周面に金属アルコキシド及びその加水分解体を含有した液を塗布し、この膜を焼成して金属酸化物膜を形成するので、金属アルコキシドを用いたゾルゲル法によって耐湿度性の高い金属酸化物の膜を容易に形成することができる。
上記放電ギャップ2aは、導電性被膜2の中央に、絶縁性部材3の周面に沿ってYAGレーザからのレーザ光を照射し、導電性被膜2を分断することによって形成される。
上記放電制御ガスは、放電開始電圧などの電気特性が所望の値となるように組成などを調整された封止ガスであって、He、Ar、Ne、Xe、SF6、CO2、C3F8、C2F6、CF4、H2及びこれらの混合ガス等の不活性ガスである。
例えば、液Lとして、金属アルコキシド成分以外の1〜99重量部を、水;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレン、ヘキサンなどの炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;エチレングリコオールなどのグリコール類;エチルセロソルブなどのグリコールエーテル類などを含む。
特に、TEOS,TMOS又はメチルトリメトキシシランなどのシリコンアルコキシド及びその加水分解体を含む塗布膜を加熱してシリコン酸化膜を形成するので、容易に金属酸化物膜9としてシリコン酸化膜を得ることができる。
高湿度環境を模した周囲環境は、温度:35℃、湿度85%RHに設定し、低湿度環境を模した周囲環境は、温度:35℃、湿度40%RHに設定した。また、AC耐電圧は、放電しない最大電圧とした。
さらに、金属アルコキシド及びその加水分解体を含有とした液として、金属アルコキシドとしてTEOSを使用した実施例を実施例1とし、TMOSを使用した実施例を実施例2とし、さらに、メチルトリメトキシシランを使用した実施例を実施例3とした。
また、比較例として、上記製法による金属酸化物膜9が形成されていない従来例についても同様に作製し、評価した。
これらの結果からわかるように、従来例では、低湿度環境下に対して高湿度環境下で大幅にAC耐電圧の分布が低くなっているのに対し、本発明の実施例1〜3では、低湿度環境下と高湿度環境下とでAC耐電圧の分布がほとんど変わらず、AC耐電圧(絶縁性)の劣化が抑制されている。
図8の(a)は、焼成温度110℃、焼成時間5minとした場合のヒストグラムであり、図8の(b)は、焼成温度130℃、焼成時間5minとした場合のヒストグラムであり、図8の(c)は、焼成温度150℃、焼成時間5minとした場合のヒストグラムである。
さらに、上記実施形態及び実施例では、金属酸化物膜としてSiの酸化膜を採用しているが、Ti,Al,Zr等の酸化物膜を用いても構わない。
Claims (6)
- 互いに間隔を空けて対向配置された一対の放電電極と、
前記一対の放電電極の少なくとも互いの対向面を内部に放電制御ガスと共に封止するガラス製の絶縁性容器とを備え、
前記絶縁性容器の外表面のうち少なくとも前記放電電極の周囲の面に、前記絶縁性容器のガラス材料よりもアルカリ金属の含有量が少ない又はアルカリ金属を含有しない金属酸化物膜が形成されていることを特徴とするサージアブソーバ。 - 請求項1に記載のサージアブソーバにおいて、
前記金属酸化物膜が、シリコン酸化膜であることを特徴とするサージアブソーバ。 - 請求項1又は2に記載のサージアブソーバにおいて、
周面に中央の放電ギャップを介して導電性被膜が分割形成された柱状又は筒状の絶縁性部材と、
該絶縁性部材の両端に直接又は他の導電部材を介して対向配置され前記導電性被膜に電気的に導通する一対の前記放電電極である主放電電極部材と、
前記一対の主放電電極部材を両端に配して前記絶縁性部材を内部に前記放電制御ガスと共に封止する前記絶縁性容器である絶縁性管とを備えていることを特徴とするサージアブソーバ。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のサージアブソーバを製造する方法であって、
前記絶縁性容器の外周面に金属アルコキシド及びその加水分解体を含有した液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
前記塗布膜を加熱して前記金属酸化物膜を形成する焼成工程とを有していることを特徴とするサージアブソーバの製造方法。 - 請求項4に記載のサージアブソーバの製造方法において、
前記金属アルコキシドが、シリコンアルコキシドであり、
前記焼成工程で、前記塗布膜を加熱して前記シリコン酸化膜を形成することを特徴とするサージアブソーバの製造方法。 - 請求項4又は5に記載のサージアブソーバの製造方法において、
前記塗布工程が、前記絶縁性容器の外周面に金属アルコキシド及びその加水分解体を含有した液を液滴する工程と、
前記液滴された状態の前記絶縁性容器を、中心軸を中心にして回転させ前記金属アルコキシド及びその加水分解体を含有した液を前記絶縁性容器の外周面全体に行き渡らせる工程とを有していることを特徴とするサージアブソーバの製造方法。
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