JP2013100558A - プロピレン系重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロピレン系重合体において、高い割合でビニル構造を持つように高度に末端構造が制御されたプロピレン系重合体の提供。
【解決手段】Mnが5万より大きく13万未満、Q値が2.0以上4.0以下、末端ビニル率が0.7以上、末端ビニリデン率が0.1未満、オルトジクロロベンゼンを溶媒として使用した昇温溶出分別の測定における40℃以下の温度で溶出する成分が3重量%以下、および13C−NMR分析によって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上のプロピレン系重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系重合体に関し、詳しくは、ビニル末端構造を高い割合で含有するように末端構造を高度に制御したプロピレン系重合体であり、かつ分岐構造をもったプロピレン系重合体に関する。
従来、ポリプロピレンは、高融点、高引張強度、高剛性、耐薬品性であるという特徴を有するため、多くの分野において広範囲に用いられている。しかしながら、通常のポリプロピレンは溶融物性が脆弱であり、つまり溶融張力、溶融粘弾性が低い。そのため、発泡成形、シート成形、ブロー成形などへの使用に制限が出てしまうという状況である。そこで、従来のポリプロピレが持つ溶融物性の悪さを改良する方法として、最近になって、主としてメタロセン触媒を利用したマクロマー共重合法が提案されている。
メタロセン触媒とは、広義には共役五員環配位子を少なくとも一個有する遷移金属化合物であり、プロピレン重合用としては架橋構造を有する配位子が一般に使用される。当初、アイソタクチックポリオレフィンが製造可能な錯体として見出されたエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドやエチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献1参照。)、シリレン基を架橋基として持つジメチルシリレンビス置換シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献2参照。)、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献3参照。)、シクロペンタジエニル化合物の架橋基の隣(2位−)に置換基をつけることにより立体規則性及び分子量をある程度改良したジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献4参照。)、さらに4位の位置にアリール基を導入して活性、立体規則性及び分子量をさらに改良したジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献5参照。)やジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)ジルコニウムジクロリド(例えば、特許文献6参照。)、さらに最近になって、4位アリール基の特定部位に特定の置換基を導入したジクロロ(1,1’−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(3−クロロ4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル))ハフニウム(例えば、特許文献7参照。)、2位の位置に嵩高いヘテロ置換基を導入した技術が開示されている(例えば、特許文献8〜11参照。)。これらは、主として触媒活性や得られるポリプロピレンの融点及び分子量の改良を目的としており、マクロマーや長鎖分岐を持つポリプロピレンの製造適性については示唆されていない。
メタロセン触媒を利用したマクロマー製造方法に関しては、βメチル脱離反応を利用してビニル構造を末端に導入する方法が知られている(例えば、特許文献12、非特許文献1参照。)。しかしながら、この方法では高選択的に末端ビニル構造を効率的に得るために比較的高温かつ低圧でスラリー重合する必要がある。こういった重合を行った場合、生成するポリマーは分子量が低く、また錯体の構造により生成する重合体の立体規則性も十分高いものにはならない。
従来のマクロマー共重合では、このようなマクロマーとプロピレンとを共重合することにより分岐を導入するマクロマー共重合法を行うが、マクロマーの仕込み量に対して共重合するマクロマー量が少ないため、製品となるマクロマー共重合体の中に無視出来ない量で、こういった低分子量で低立体規則性のマクロマー残存してしまう。また、こういったマクロマーを使用すると、合成時に副生する低分子量で規則性の低い飽和末端やビニリデン末端の成分が、共重合されることなく含有されることになり、結果として、製品の剛性や衝撃強度といった機械的物性を損なったり、また、溶出成分が増大してクリーン性がよくないという欠点が生じてしまう。
そこで、そういった問題を解決するため、特定の部位に嵩高い置換基を有する錯体を使用することにより、立体規則性が高く更にビニル末端を有するポリプロピレンを提供する方法が見出されている(例えば、特許文献13参照。)。
しかしながら、末端ビニル率は、十分に高くないためマクロマー共重合用の原料としては不十分であり、また錯体のマクロマー共重合能力が高くないために分岐成分が導入されていないか、不十分なためスウェルや歪硬化性などの溶融物性が悪いという問題がある。
また、末端にビニル基を持つポリマーはいわゆるマクロマーとして共重合のモノマーとしての利用する以外に、ビニル基部分をさらに化学変性して官能基を導入し機能性を持たせるという方法が考えられる。しかしながら、従来のマクロマーにそのような方法を用いても、同様に低分子量で低規則性であるために機械物性そのものが低すぎたり、溶出成分が多すぎるという問題が生じる。また分岐構造がない、または少ないために溶融物性が十分でなく使用に制限があるといった問題が生じる。
特開昭61−130314号公報 特開平1−301704号公報 特開平1−275609号公報 特開平4−268307号公報 特開平6−100579号公報 特開平10−226712号公報 特開2003−292518号公報 特開2002−194016号公報 特表2002−535339号公報 特開2004−2259号公報 特開2004−352707号公報 特表2001−525461号公報 特開平11−349634公報
Macromol.Rapid Commun.2000,21,1103−1107
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、プロピレン系重合体において高い割合でビニル構造を持つように高度に末端構造が制御されたプロピレン系重合体を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の数平均分子量(Mn)、Q値、末端ビニル率、末端ビニリデン率、昇温溶出分別における40℃以下の温度で溶出する成分量、13C−NMR分析によって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率を有する、ポリプロピレン単独重合体が上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(1)〜(5)の特性を有することを特徴とするプロピレン系重合体が提供される。
特性(1):GPCによって得られる数平均分子量(Mn)が5万より大きく13万未満。
特性(2):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が2.0以上4.0以下。
特性(3):全ポリマー鎖のうち末端にビニル基を持つ鎖の割合(末端ビニル率)と、末端にビニリデン基を持つ鎖の割合(末端ビニリデン率)が、それぞれ下式を満たす。
(末端ビニル率)=Mn/21000×[Vi]≧0.7
(末端ビニリデン率)=Mn/21000×[Vd]<0.1
(ただし、Mnは、GPCによりもとめた数平均分子量、[Vi]は、13C−NMRより算出する1000C当りの末端ビニル基の数、[Vd]は、13C−NMRより算出する1000C当りの末端ビニリデン基の数である。)
特性(4):オルトジクロロベンゼンを溶媒として使用した昇温溶出分別(TREF)の測定において、40℃以下の温度で溶出する成分が3重量%以下。
特性(5):13C−NMR分析によって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上。
本発明は、上記した如く、プロピレン系重合体に係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)第1の発明において、さらに、下記(7)の特性を有することを特徴とするプロピレン系重合体。
特性(7):メモリーエフェクト(ME)が下式を満たす。
(ME)≧−0.26×Log(MFR)+1.55
(2)第1の発明において、180℃伸張粘度測定における歪硬化性を有し、180℃伸張粘度測定において、歪速度が1.0/secにおける歪硬化度(λmax)の値が2.0以上であることを特徴とするプロピレン系重合体。
本発明のプロピレン系重合体は、ビニル末端構造を高い割合で含有し、ビニリデン末端を実質的に含まないように、末端構造を高度に制御したプロピレン系重合体であり、かつ分岐構造をもったプロピレン系重合体である。そのような特性により、本発明のプロピレン系重合体をマクロマー共重合用の原料や末端変性の原料として用いた場合に、未反応で残存する重合体が少なく、マクロマー効率や変性効率が高く機械物性や機能性を低下させることなく、また、副生物であるビニリデン末端が無いことにより、色相や耐候性を悪化させることなく、変性時の副生成物を抑制する効果が期待できる。
また、分岐構造を持つという特性により、本発明のプロピレン系重合体単独で、高い溶融張力や大きな歪硬化性、大きいスウェルといった優れた溶融物性を保持する効果が期待できる。
GPCにおけるクロマトグラムのベースラインと区間の説明の図である。 歪硬化度算出方法を説明する図である。 実施例におけるMEとMFRの相関を示す図である。 実施例6の伸長粘度の測定結果を示す図である。 実施例9のNMRによる構造式(1)の帰属を示す図である。 実施例5のGPC−VISの測定結果を示す図である。
本発明のプロピレン系重合体は、特性(1)〜(5)を有し、さらに必要に応じて、特性(6)〜(7)を有する。
以下、プロピレン系重合体の特性、製造法等について項目毎に、順次説明する。
1.プロピレン系重合体
特性(1):GPCで測定する数平均分子量(Mn)
本発明のプロピレン系重合体の数平均分子量(Mn)は、5万より大きく13万未満の範囲であることが必要である。このMnが5万より小さいと、溶融加工性に劣るとともに、機械的強度が不足する。したがって、Mnは、5万以上が必要であり、好ましくは5.5万以上であり、さらに好ましくは6万以上である。一方、Mnが13万を超えると、溶融粘度が高く、溶融加工性が低下する。また、共重合または変性の原料として用いる場合、分子量が大きすぎると、末端自体の濃度が低下してしまい、効率を低下させてしまう。したがって、Mnは、13万以下が必要であり、好ましくは10万以下であり、更に好ましくは7万以下である。
このプロピレン系重合体の数平均分子量(Mn)は、停止反応であるβメチル脱離反応速度が速い特殊な構造の錯体を選ぶことによって、制御が可能である。そのような錯体構造としては、2位に嵩高い複素環基を有し、4位に置換されてもよいアリール基等を有するビスインデン錯体を挙げることができる。また、この脱離反応速度は重合温度を変えることによっても、制御することができる。例えば、実施例に示す錯体では、重合温度が高くなる程、数平均分子量(Mn)を小さくすることができる。
ここで、数平均分子量(Mn)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られるものであるが、その測定法、測定機器の詳細は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製は、試料をODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して、溶解させて行う。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1のように行う。
また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
銘柄:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
特性(2):Q値
本発明のプロピレン系重合体のGPC測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mn(Q値)は、2.0以上、4.0以下の範囲であることが必要である。Q値が2.0未満のものは、溶融流動性と加工性のバランスが悪くなり、4.0を超えると、必要としない低分子量成分の量が増えて満足する物性のものが得られない。また、好ましくは2.3以上、3.5以下であり、さらに好ましくは2.5以上、3.0以下である。
特性(3):末端ビニル率と末端ビニリデン率
本発明のプロピレン系重合体の全ポリマー鎖のうち末端にビニル基を持つ鎖の割合(末端ビニル率)と、末端にビニリデン基を持つ鎖の割合(末端ビニリデン率)は、それぞれ下式を満たす。
(末端ビニル率)=Mn/21000×[Vi] ≧0.7
(末端ビニリデン率)=Mn/21000×[Vd] <0.1
(ただし、Mnは、GPCにより求めた数平均分子量、[Vi]は、13C−NMRより算出する1000C当りの末端ビニル基の数、[Vd]は、13C−NMRより算出する1000C当りの末端ビニリデン基の数である。
ここで、1000Cとは、全骨格形成炭素1000個を意味し、全骨格形成炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する。すなわち、[Vi]は、全骨格形成炭素1000個当りの末端ビニル基の数であり、[Vd]は、全骨格形成炭素1000個当り当りの末端ビニリデン基の数である。)
プロピレンの重合においては、一般的にβ水素が脱離して、下記構造式(2−b)に示すビニリデン構造の末端が生成する。また、水素を用いた場合には、通常水素へ連鎖移動が優先的に起こり構造式(2−c)に示すような飽和末端(イソブチル構造)が末端に生成する。
しかしながら、特殊な構造の錯体を用いた場合には、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応が起こり、構造式(2−a)に示すプロペニル構造(ビニル構造)を末端にもったポリマーが生成する(参照文献:Macromol.Rapid Commun.2000,21,1103−1107)。また、本発明で例示する非常に特殊な構造の錯体を用いた場合には、水素を用いた場合には、驚くべきことに、活性は増大するものの優先的にβメチル脱離反応がおこり構造式(2−a)のプロペニル構造(ビニル構造)が主に生成することが分かってきた。
Figure 2013100558
構造式(2−a)、構造式(2−b)、構造式(2−c)のうち、メタロセン錯体やチーグラー触媒で共重合可能なものは、構造式(2−a)に示すビニル構造のみである。したがって、全末端構造の内、共重合可能な末端ビニル率が高いほうがマクロマーとして効率が高いことを意味する。故に、本発明のプロピレン系重合体は、この末端ビニル率が0.70以上必要であり、好ましくは0.75以上である。更に好ましくは0.80以上であり、理想的には1.0(すべての末端がビニル基)である。
また、βメチル脱離反応とは反対に、β水素脱離反応の結果生成する構造式(2−b)に示す末端ビニリデン構造は、共重合できない。したがって、末端ビニリデン構造を多く含むような重合体をマクロマー共重合に使用した場合には、末端ビニリデンは、そのまま残存してしまい、マクロマーとしての効率を低下させる。また、そのような低分子量体は、機械物性を悪化させる。また、末端変性原料として用いた場合には、変性効率が悪く機能性を低下させる。また、ビニリデン末端が多く残存すると、色相や耐候性を悪化させる。そこで、末端ビニリデン率が0.1より小さいことが必要であり、更に好ましくは0.05未満であり、さらに好ましくは0.01未満であり、理想的には0(末端ビニリデンが実質的に存在しない)である。
また、βメチル脱離反応、β水素脱離反応の後の開始末端は、それぞれ、イソブチル末端、n―プロピル末端であり、飽和炭化水素末端となる。すなわち、開始末端は、必ず飽和炭化水素末端であり、両末端に不飽和結合が現れることはない。
末端ビニル率と末端ビニリデン率は、13C−NMRから得られる1−プロペニル(ビニル)末端濃度[Vi]と、ビニリデン末端濃度[Vd]を、GPCより求めた数平均分子量(Mn)から得られる全ポリマー鎖数に対する割合として、下式を用いて算出する。
(末端ビニル率)=(Mn/42)×2×[Vi]/1000
(末端ビニリデン率)=(Mn/42)×2×[Vd]/1000
(ただし、Mnは、GPCにより求めた数平均分子量である。)
ここで、13C−NMRによる1−プロペニル(ビニル)末端濃度[Vi]およびビニリデン末端濃度[Vd]の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料390mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定した。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
このプロピレン系重合体の末端ビニル率と末端ビニリデン率は、βメチル脱離反応をβ水素脱離反応に対して選択的におこすような特殊な構造の錯体を選ぶことによって、制御が可能である。そのような錯体構造としては、2位に嵩高い複素環基を有し、4位に置換されてもよいアリール基等を有するビスインデン錯体を挙げることができる。
また、この選択率は、重合温度を変えることによっても制御することができる。例えば、実施例に示す錯体では、重合温度が高くなる程、末端ビニル率を高くすることができる。
[Vi]は、構造式(2−a)の炭素1と炭素2が115.5ppm、137.6ppmに検出されることを利用し、[Vd]は、構造式(2−b)の炭素3と炭素4が111.2ppm、144.5ppmに検出されることを利用して。それぞれ全骨格形成炭素1000個に対する個数として下式のように算出する。ここで全骨格形成炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する。
[Vi]=[炭素1のピーク強度]/[全骨格形成炭素のピーク強度の総和]×1000
[Vd]=[炭素3のピーク強度]/[全骨格形成炭素のピーク強度の総和]×1000
特性(4):TREFの測定における40℃以下の溶出量
本発明のプロピレン系重合体のオルトジクロロベンゼンを溶媒として使用した昇温溶出分別(TREF)の測定において、40℃以下の温度で溶出する成分は、3.0重量%以下であり、好ましくは1.0重量%以下であり、更に好ましくは0.5重量%以下である。40℃以下の温度で溶出する成分量が3.0重量%を超えると、結晶性が低下し、製品の剛性といった機械的強度が低下してしまう。
ここで、昇温溶出分別(TREF)による溶出成分の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器、FOXBORO社製、MIRAN、1A
測定波長:3.42μm
特性(5):プロピレン単位3連鎖のmm分率
本発明のプロピレン系重合体の13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率(アイソタクチックトライアッド分率(mm))は、95%以上、すなわち、95%以上の立体規則性を有するものである。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクティックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。
結晶性成分(A)のmm分率が、この値より小さいと、製品の弾性率が低下するなど機械的物性が低下してしまう。従って、mm分率は、好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。
13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法の詳細は、上記[Vi]の測定と同様に13C−NMRスペクトルを用いて行う。
スペクトルの帰属は、Macromolecules,(1975年)8卷,687頁やPolymer,30巻 1350頁(1989年)を参考に行う。
以下に、mm分率決定のより具体的な方法を述べる。
プロピレン単位を中心として頭尾結合した3連鎖の中心プロピレンのメチル基に由来するピークは、その立体配置に応じて、3つの領域に生じる。
mm:約24.3〜約21.1ppm
mr:約21.2〜約20.5ppm
rr:約20.5〜約19.8ppm
各領域の化学シフト範囲は、分子量や、共重合体組成により若干シフトするが、上記3領域の識別は、容易である。
ここで、mm、mrおよびrrは、それぞれ下記の構造式(3−a)〜(3−c)で表される。
Figure 2013100558
mm分率は、次の数式(I)から、算出される。
mm分率=mm領域のピーク面積/(mm領域のピーク面積+mr領域のピーク面積+rr領域のピーク面積)×100[%] …(I)
また、本発明に係るプロピレン系共重合体の結晶性成分(A)には、エチレン単位を含む以下の構造式(4−a)〜(4−b)で表される部分構造を持ち得る。
Figure 2013100558
部分構造PPEの中心プロピレン単位のメチル基(PPE−メチル基)は、20.9ppm付近のmr領域で共鳴し、部分構造EPEの中心プロピレン単位のメチル基(EPE−メチル基)は、20.2ppm付近のrr領域で共鳴するため、このような部分構造を有する場合には、mr、rr両領域のピーク面積から、PPE−メチル基及びEPE−メチル基に基づくピーク面積を減ずる必要がある。PPE−メチル基に基づくピーク面積は、対応するメチン基(31.0ppm付近で共鳴)のピーク面積により評価でき、EPE−メチル基に基づくピーク面積は、対応するメチン基(33.3ppm付近で共鳴)のピーク面積により評価できる。
また、位置不規則ユニットを含む部分構造として、下記構造式(5−a)〜(5−d)を有することがある。
Figure 2013100558
このうち、炭素A、A’、A”ピークは、mr領域に、炭素B、B’ピークは、rr領域に現れる。さらに、炭素C、C’ピークは、16.8〜17.8ppmに現れる。
従って、上記数式(I)に従って、mm分率を算出する場合には、それぞれmr領域のピーク面積、rr領域のピーク面積から、頭−尾結合した3連鎖に基づかないピークでmr及びrr領域に現れる炭素A、A’、A”、B、B’に基づくピーク面積を減ずる必要がある。
炭素Aに基づくピーク面積は、位置不規則部分構造[構造式(5−a)]の炭素D(42.4ppm付近で共鳴)、炭素E及びG(36.0ppm付近で共鳴)及び炭素F(38.7ppm付近で共鳴)のピーク面積の和の1/4より評価できる。
炭素A’に基づくピーク面積は、位置不規則部分構造[構造式(5−b)及び構造式(5−c)]の炭素H及びI(34.7ppm付近及び35.0ppm付近で共鳴)と炭素J(34.1ppm付近で共鳴)のピーク面積の和の2/5と炭素K(33.7ppm付近で共鳴)のピーク面積の和により評価できる。
炭素A”に基づくピーク面積は、炭素L(27.7ppm付近で共鳴)のピーク面積の和により評価できる。
炭素Bに基づくピーク面積は、炭素Jにより評価できる。また、炭素B’に基づくピーク面積は、炭素Kにより評価できる。
なお、炭素Cピーク及び炭素C’ピークの位置は、注目するmm、mr、rr領域と全く関与しないので考慮する必要はない。
以上により、mm、mrおよびrrのピーク面積を評価することができるので、上記数式(I)に従って、プロピレン単位を中心として頭−尾結合からなる3連鎖部のmm分率を求めることができる。
本発明のプロピレン系重合体は、特性(1)〜(5)を有する他に、さらに必要に応じて、異種結合(2,1結合と1,3結合)量に関して下記の特性を有する。
異種結合(2,1結合と1,3結合)量:
13C−NMR分析における2,1結合は、0.2mol%以下であり、かつ1,3結合は、0.2mol%以下である。
異種結合の量が多いと、重合体の結晶性を下げてしまう。たとえマクロマー共重合の原料として使用した場合にも、共重合体全体の結晶性を下げてしまい機械物性を損なうという問題が生じる。したがって、本発明のプロピレン重合体の異種結合量は2,1結合が0.2mol%以下かつ1,3結合が0.2mol%以下となることが必要であり、好ましくは、2,1結合が0.15mol%以下であり、更に好ましくは0.12mol%以下、特に好ましくは0.10mol%以下がよく、1,3結合に関しても好ましくは0.15mol%以下であり、更に好ましくは0.12mol%以下、特に好ましくは0.10mol%以下がよい。
異種結合の量は、触媒の調整方法や重合の種類、添加する水素の量、コモノマー種、量によって制御することが可能であるが、その方法は、同時に、Mnや[Vi]、[Vd]、mm、分岐の量にも影響を及ぼす。本発明の分岐状マクロマーは、バルク重合を用い重合温度を70℃以上で重合することで得ることができるが、中でも触媒の調整方法において錯体の種類を適切に選択することにより、異種結合の量を制御することが可能である。具体的には、触媒成分(a)の一般式(a−1)上のR11〜R14(インデン上の2位または4位)をより嵩高くすることで異種結合の量を減少することができる。
2,1−結合含有量(2,1−挿入による異種結合量)は、以下の式に従って求める。
Figure 2013100558
ただし、上記式中の記号は、以下を意味する。
αβ(i):構造(5−a)に含まれるαβメチレン炭素(構造図中のG及びG’炭素)に由来するピーク強度であり、36.0ppm付近に2本観測される。
αβ(ii):構造(5−b)に含まれるメチレン炭素(構造図中のH及びI炭素)に由来するピーク強度であり、34.8ppm付近に2本観測される。
CH(iii):構造(5−c)に含まれるメチン炭素(構造図中のK炭素)に由来するピークの強度であり、33.7ppm付近に生じる。
αα:1,2−結合したプロピレン2連鎖にはさまれたメチレン炭素に由来するピーク強度であり、45.5〜47.0ppm付近に生じる。
αγ+αδ:メチン炭素に直接結合、かつ直接結合したメチン炭素とは反対側の最隣接メチン炭素の位置がγ位またはそれより先であるメチレン炭素に由来するピーク強度であり、37.2〜38.4ppm付近に生じる。
βγ:構造(5−d)のメチレン炭素Lに由来するピーク強度であり、27.7ppm付近に生じる。
1,3−結合含有量(1,3−挿入による異種結合量)は、以下の式に従って求める。
Figure 2013100558
(ただし、上式中の記号の意味は前記したとおりである。)
特性(6):分岐構造部分
本発明のプロピレン系重合体は、好ましくは、構造式(1)で示される分岐構造部分を有する。
Figure 2013100558
[但し、構造式(1)において、Ca、Cb、Ccは、分岐炭素に隣接するメチレン炭素を示し、Cbrは、分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、P、P、Pは、プロピレン系重合体残基を示す。]
本発明のプロピレン系重合体は、長鎖分岐を有するという特徴により、溶融物性が格段に向上していると、考察されている。
一般的には、分岐構造や分岐数を直接的に検出、定量には、13C−NMRが用いられる。また、分岐数や分岐分布の検出、定量には、13C−NMRやGPC−vis、GPC−mallsが用いられる。
しかしながら、上記手法では定量限界が存在する。現時点においては、分岐を評価する方法としては、レオロジー的な方法が最も感度が高いと考えられている。例えば、線形粘弾性測定における流動の活性化エネルギーや、伸長粘度測定における歪硬化度を測定することが、微量の分岐を検出する方法としては現段階では一般的に用いられる。
分岐構造に関しては、分岐構造ができる機構、メカニズムを考慮して、本発明者らは、下記のように推察している。
すなわち、後述するプロピレン系重合体の製造方法で用いられる触媒成分(a)から、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応により、本発明の規定する末端がプロペニル構造(ビニル構造:構造式(2−a))のマクロマーが生成する。
Figure 2013100558
このマクロマーが更に、系中で同じく触媒成分(a)に取り込まれ、マクロマー共重合が進行していると、推察している。したがって、本発明のプロピレン系重合体は、構造式(1)に示すような特定の分岐構造を有する。
構造式(1)において、プロピレン系重合体の主鎖は、P−Cbr−Pのライン、P−Cbr−Pのライン又はP−Cbr−Pのラインの3通りが存在する。従って、それぞれに対応して、Cbr−Pのライン、Cbr−Pのライン又はCbr−Pのラインが上記分岐鎖になり得る。P、P、Pは、それぞれ炭素数1〜2000のプロピレン系重合体残基を示す。
、P、Pは、それ自体の中に、構造式(1)に記載されたCbrとは、別の分岐炭素(Cbr)を含有することもあり得る。
このような分岐構造は、13C−NMR分析により同定される。本発明において、各ピークの帰属は、Macromolecules,Vol.35、No.10.2002年、3839−3842頁の記載を参考にして決定した。
すなわち、43.9〜44.1ppm、44.5〜44.7ppm及び44.7〜44.9ppmにそれぞれ1つ、合計3つのメチレン炭素(Ca、Cb、Cc)が観測され、31.5〜31.7ppmにメチン炭素(Cbr)が観測される。上記の31.5〜31.7ppmに観測されるメチン炭素を、以下、分岐炭素(Cbr)と略称することがある。
分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、ジアステレオトピックに非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である。
本発明のプロピレン系重合体の分岐数は、上記の13C−NMRによる帰属を利用して、31.5〜31.7ppmに観測される分岐炭素(Cbr)の全骨格形成炭素1000個あたり個数を分岐数(密度)と定義する。但し、全骨格形成炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する。
本発明の改良された溶融物性を示すプロピレン系重合体には、13C−NMRの測定の結果、微量の分岐成分が存在する。分岐構造が導入されることにより、溶融物性が向上していると考える。溶融物性が向上するとは、例えば、伸長粘度の測定において歪硬化性が発現し、スウェルが増大しMEの値が大きくなることと、考える。
一方、分岐の量が多すぎると、ゲルが生成して成形品の外観を損ねるという懸念がある。さらに、成形時に高速で延伸した場合に、溶融体が破断を起こすという、いわゆる溶融延展性の悪化を引き起こすという問題がある。
したがって、分岐数は、上限としては0.4個以下、好ましくは0.2個以下である。また、下限としては0.01個以上、好ましくは0.1個以上である。
しかしながら、分岐の量が0.1個以下の少量の分岐度を定量するには、非常に高磁場のNMRを用いるか、非常に長時間の測定を行わないと、定量が困難である。
そこで、分岐が13C−NMRで定量限界以下の場合には、これに替えて、より感度の高いレオロジー的手法で分岐の評価を行った。その結果、得られる歪硬化度(λmax)が2.0以上と規定する。
また、本発明のプロピレン系重合体の分岐長に関しては、本発明にいう13C−NMRで帰属される分岐鎖は、プロピレン系重合体の主鎖から分岐した炭素数5以上のプロピレン系重合体残基を示す。それ炭素数4以下の分岐とは、分岐炭素のピーク位置が異なることにより区別できる(Macromol.chem.phys.2003年、Vol.204、1738頁参照。)。
また、分岐長に関しては、ポリプロピレンの絡み合い分子量である7000以上が必要とされる(参考文献:Macromolecules.1998,31,1335、Macromolecules.2002,35,10062.)。これは、骨格炭素数に換算すると、約400以上に相当する。ここでいう骨格炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する。分岐長がより長くなると、溶融物性は、より向上すると考えられる。
したがって、本発明のプロピレン系重合体の分岐鎖長は、骨格炭素数500(ポリプロピレン分子量換算:1.1万)以上であり、好ましくは骨格炭素数1000(ポリプロピレン分子量換算:2.1万)以上である。
また、分岐長の上限に関しては、全体の分子量が数平均分子量Mnが13万以下であることを考慮して、構造式(1)の3つの分岐鎖P、P、Pに均等に分配された場合を最長と考えると、分岐鎖は、骨格炭素数2000(分子量換算4.2万)以下となる。
また、分岐構造が含まれるかどうかは、レオロジー的に確認することができる。例えば、一軸伸長粘度の測定において、歪硬化が観測される場合には、その重合体に分岐構造が導入されていると、推定することができる。
ここで、歪硬化度の測定方法に関しては、一軸伸長粘度を測定できれば、どのような方法でも原理的に同一の値が得られるが、例えば、測定方法及び測定機器の詳細は、公知文献Polymer 42(2001)8663に記載の方法があるが、好ましい測定方法及び測定機器として、以下を挙げることができる。
測定方法:
装置:Rheometorics社製 Ares
冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
測定温度:180℃
歪速度:0.5/sec以上、2.0/sec以下の範囲から選択
試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
算出方法:
横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、歪量が4.0となるまでの伸長粘度ηの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの近似直線上の粘度をηlinとする。
図2は、伸長粘度のプロット図の一例である。ηmax/ηlinを、λmaxと定義し、歪硬化度の指標とする。
なお、歪硬化度は、歪速度に対する依存性があるため、上記の歪速度:0.5/sec以上、2.0/sec以下で測定するものとする。
特性(7):メモリーエフェクト(ME)
本発明のプロピレン系重合体は、ポリマー鎖に分岐成分が存在することにより、MFR見合いでのメモリーエフェクト(ME)が大きいことが特徴であり、メモリーエフェクト(ME)とポリマーの平均分子量を表す指標であるMFRとの相関は、好ましくは下式(II)を満たし、
(ME)≧−0.26×log(MFR)+1.55 …(II)
より好ましくは下記式(II’)を満たし、
(ME)≧−0.26×log(MFR)+1.70 …(II’)
更に好ましくは下記式(II”)を満たす。
(ME)≧−0.26×log(MFR)+1.90 …(II”)
ポリマー中の高分子量成分の存在比率を表す指標となるメモリーエフェクト(ME)は、ポリマーの非ニュートン性を表す指標であり、MEが大きいことは、その重合体に緩和時間の長い成分が存在することを示している。
すなわち、同一のMFRでMEが大きい場合には、より長期緩和成分が重合体に分布していることを意味する。また、MEは、MFRと1次の相関を有することが経験的に知られており、一般には、分子量が大きくなるほど(すなわちMFRの値が小さくなるほど)、MEの値は大きくなる。本発明の重合体は、ポリマー鎖に分岐成分が存在することにより、MFR見合いでのMEが従来公知のポリマーと比較して、大きいことが特徴である。長期緩和成分の量が多いと、スウェルが大きくなり射出成型時フローマークの発生が抑制されるなど成形特性に優れることが知られており、本発明のプロピレン系重合体は、成形特性に優れる。
2.プロピレン系重合体の製造方法
本発明のプロピレン系重合体を製造する方法については、前記を満たすプロピレン系重合体が得られる方法であればよく、特に制限はないが、下記触媒成分(a)、(b)、(c)を用いてプロピレン単独、又は、プロピレンとエチレン若しくはα−オレフィンを重合すること、また、重合方法としては、プロピレンを溶媒として用いるバルク重合または各モノマーをガス状に保つ気相重合を行うことにより、本発明の特性を有するプロピレン系重合体を製造することができる。
(1)触媒
成分(a):
本発明に用いられる触媒成分(a)は、下記一般式(a−1)で表されるハフニウムを中心金属とするメタロセン化合物である。
Figure 2013100558
[一般式(a−1)中、各々R11およびR12は、独立して、炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を示す。また、各々R13およびR14は、独立して、炭素数6〜16の、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基、炭素数6〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を表す。さらに、X11及びY11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、またはゲルミレン基を表す。]
上記R11およびR12の炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基は、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
なかでも、複素環基上に適当な大きさの置換基を導入することにより、複素環と遷移金属上の配位場、成長ポリマー鎖との相対的な位置関係を適切にすることにより、本発明に規定する末端にビニル基を高選択的に導入した分岐状マクロマーを得ることができる。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
上記R13およびR14は、炭素数6〜16の、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基、炭素数6〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基であるが、特に、R13とR14を、より嵩高くすることで、より立体規則性が高く、異種結合の少なく、分岐成分を多く含有するマクロマーを得ることができる。
そこで、R13およびR14は、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有するアリール基が好ましく、そのようなR13およびR14の具体例としては、4−tブチルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジtブチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基である。
また、R13およびR14としては、更に好ましくは、炭素数6〜16になる範囲で、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有するフェニル基である。また更に、その置後される位置は、フェニル基上の4位が好ましい。そのようなR13およびR14の具体例としては、4−tブチルフェニル基、4−ビフェニリル基、4−クロロフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基である。また、R13とR14が互いに同一である場合が好ましい。
一般式(a−1)中、X11およびY11は、補助配位子であり、成分(b)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りXとYは、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。
一般式(a−1)中、Q11は、二つの五員環を結合する、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、ゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基、またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
上記一般式(a−1)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(12)ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(20)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル)]ハフニウム、
(21)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル)]ハフニウム、
(22)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル)]ハフニウム、
(23)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(24)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(25)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(26)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(27)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(28)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(29)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{(2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル)}ハフニウム、
(30)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(31)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(32)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(33)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(34)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデニル}]ハフニウム、
などを挙げることができる。
これらのうち、更に好ましいのは、
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデニル}]ハフニウム、
である。
また、特に好ましいのは、
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル}]ハフニウム、
である。
成分(b):
次に、本発明に用いられる触媒成分(b)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(I)イオン交換性層状珪酸塩の種類
本発明において、イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出され、水中に分散/膨潤させ、沈降速度等の違いにより精製することが一般的であるが、完全に除去することが困難であることがあり、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)を含んでいることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、成分(b)に含まれる。
尚、本発明の原料とは、後述する本発明の化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、本発明で使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
また、本発明においては、化学処理を加える前段階でイオン交換性を有していれば、該処理によって物理的、化学的な性質が変化し、イオン交換性や層構造がなくなった珪酸塩も、イオン交換性層状珪酸塩であるとして取り扱う。
イオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1988年)等に記載される1:1型構造や2:1型構造をもつ層状珪酸塩が挙げられる。
1:1型構造とは、前記「粘土鉱物学」等に記載されているような1層の四面体シートと1層の八面体シートが組み合わさっている1:1層構造の積み重なりを基本とする構造を示し、2:1型構造とは、2層の四面体シートが1層の八面体シートを挟み込んでいる2:1層構造の積み重なりを基本とする構造を示す。
1:1層が主要な構成層であるイオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族珪酸塩、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族珪酸塩等が挙げられる。
2:1層が主要な構成層であるイオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族珪酸塩、バーミキュライト等のバーミキュライト族珪酸塩、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族珪酸塩、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、主成分が2:1型構造を有するイオン交換性層状珪酸塩であるものが好ましい。より好ましくは、主成分がスメクタイト族珪酸塩であり、さらに好ましくは、主成分がモンモリロナイトである。
層間カチオン(イオン交換性層状珪酸塩の層間に含有される陽イオン)の種類としては、特に限定されないが、主成分として、リチウム、ナトリウム等の周期律表第1族のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等の周期律表第2族のアルカリ土類金属、あるいは鉄、コバルト、銅、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金、金等の遷移金属などが、工業原料として比較的容易に入手可能である点で好ましい。
(II)イオン交換性層状珪酸塩の造粒
前記イオン交換性層状珪酸塩は、乾燥状態で用いてもよく、液体にスラリー化した状態で用いてもよい。また、イオン交換性層状珪酸塩の形状については、特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、粉砕、造粒、分級などの操作によって形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩を用いてもよい。このうち造粒されたイオン交換性層状珪酸塩を用いると、該イオン交換性層状珪酸塩を触媒成分として用いた場合に、良好なポリマー粒子性状を与えるため特に好ましい。
造粒、粉砕、分級などのイオン交換性層状珪酸塩の形状の加工は、化学処理の前に行ってもよい(すなわち、あらかじめ形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩に下記の化学処理を行ってもよい)し、化学処理を行った後に形状を加工してもよい。
ここで用いられる造粒法としては、例えば、撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、ブリケッティング、コンパクティング、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法、液中造粒法、圧縮成型造粒法等が挙げられるが、特に限定されない。好ましくは、撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、流動造粒法が挙げられ、特に好ましくは撹拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられる。
なお、噴霧造粒を行う場合、原料スラリーの分散媒として、水あるいはメタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒を用いる。好ましくは水を分散媒として用いる。球状粒子が得られる噴霧造粒の原料スラリー液中における成分(b)の濃度は、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。球状粒子が得られる噴霧造粒の熱風の入口温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると80〜260℃、好ましくは100〜220℃で行う。
造粒において、粒子強度の高い担体を得るため、及び、プロピレン重合活性を向上させるためには、珪酸塩を必要に応じ微細化する。珪酸塩は、如何なる方法において微細化してもよい。微細化する方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕いずれの方法でも可能である。好ましくは、水を分散媒として使用し珪酸塩の膨潤性を利用した湿式粉砕であり、例えば、ポリトロン等を使用した強制撹拌による方法やダイノーミル、パールミル等による方法がある。造粒する前の平均粒径は、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜1μmである。
また、造粒の際に有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダーを用いてもよい。用いられるバインダーとしては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルコール類、グリコール等が挙げられる。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉発生を抑制するためには、0.2MPa以上の圧縮破壊強度を有することが好ましい。また、造粒されたイオン交換性層状珪酸塩の粒径は、0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μmの範囲である。粉砕法についても特に制限はなく、乾式粉砕、湿式粉砕のいずれでもよい。
(III)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
本発明に係る触媒成分(b)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を行うことが望ましく、イオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、酸類、塩類、アルカリ類、有機物等とイオン交換性層状珪酸塩とを接触させることをいう。
化学処理による共通の影響として、層間陽イオンの交換を行うことが挙げられるが、それ以外に各種化学処理は、次のような種々の効果がある。例えば、酸類による酸処理によれば、珪酸塩表面の不純物が取り除かれる他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって、表面積を増大させることができる。これは、珪酸塩の酸強度を増大させ、また、単位重量当たりの酸点量を増大させることに寄与する。
アルカリ類によるアルカリ処理では、粘土鉱物の結晶構造が破壊され、粘土鉱物の構造の変化をもたらす。
以下に、処理剤の具体例を示す。なお、本発明では、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
(i)酸類
酸処理は、表面の不純物を除く、あるいは層間に存在する陽イオンの交換を行うほか、結晶構造の中に取り込まれているAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、などが挙げられる。中でも無機酸が好ましく、硫酸、塩酸、硝酸が好ましく、さらに好ましくは硫酸である。
(ii)塩類
塩類としては、有機陽イオン、無機陽イオン、金属イオンからなる群から選ばれる陽イオンと、有機陰イオン、無機陰イオン、ハロゲン化物イオンからなる群から選ばれる陰イオンとから構成される塩類が例示される。例えば、周期律表第1〜14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンの陰イオン、無機ブレンステッド酸及び有機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから構成される化合物が好ましい例として挙げられる。
このような塩類の具体例としては、LiCl、LiBr、LiSO、Li(PO)、LiNO、Li(OOCCH)、NaCl、NaBr、NaSO、Na(PO)、NaNO、Na(OOCCH)、KCl、KBr、KSO、K(PO)、KNO、K(OOCCH)、CaCl、CaSO、Ca(NO、Ca(C、Ti(OOCCH、MgCl、MgSO、Mg(NO、Mg(C、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl等が挙げられる。
また、Cr(OOCHOH、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、MnBr、FeI、FeC、Co(OOCH等が挙げられる。
さらに、CuCl、CuBr、Cu(NO、CuC、Cu(ClO、CuSO、Cu(OOCCH、Zn(OOCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnI、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO等が挙げられる。
これらのなかで好ましくは、陰イオンが無機ブレンステッド酸やハロゲンからなり、陽イオンがLi、Mg、Znからなる化合物である。
そのような塩類で特に好ましい化合物は、具体的にはLiCl、LiSO、MgCl、MgSO、ZnCl、ZnSO、Zn(NO、Zn(POある。
(iii)その他の処理剤
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,5−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルオクタデシルアンモニウム、オクタドデシルアンモニウム、が例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また、化学処理は、同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
(iv)化学処理条件
上述した各種処理剤は、適当な溶剤に溶解させて処理剤溶液として用いてもよいし、処理剤自身を溶媒として用いてもよい。使用できる溶剤としては、特に制限はないが、水、アルコール類が一般的であり、特に水が好ましい。例えば、化学処理として酸処理を行う場合、酸処理剤濃度、イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率、処理時間、処理温度等の酸処理条件を制御することによって、イオン層状珪酸塩化合物を所定の組成、構造へと変化させ制御することが可能である。
そのような酸処理剤濃度に関しては、下式を満たす酸濃度(N)の酸で処理することが好ましい。
N≧1.0
ここで示す酸濃度Nは、酸のモル数×酸の価数/酸水溶液の体積(単位:モル/リットル)と定義する。ただし、塩を共存させたときには、塩化合物に含まれる結晶水量は考慮するが、塩による体積変化は考慮しないものとする。なお、酸水溶液の比重は、化学便覧の基礎編IIp6(日本化学会編集,丸善発行,改訂3版)を引用した。なお、上限は取り扱い上の安全性、容易性、設備面の観点から、酸濃度Nが、20以下、特に15以下であることが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率に関しては、特に限定されないが、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩[g]:処理剤[酸の価数×mol数]=1:0.001〜1:0.1程度である。
また、酸処理温度は、室温〜処理剤溶液の沸点の範囲が好ましく、処理時間は5分〜24時間の条件を選択し、イオン交換性層状珪酸塩を構成している物質の少なくとも一部が除去又は交換される条件で行うことが好ましい。酸処理条件は、特には制限されないが、上記化学処理として硫酸を用いた場合、処理温度は80℃から、処理剤溶媒沸点以下で、処理時間は0.5時間以上5時間未満にすることが好ましい。
(IV)イオン交換性層状珪酸塩の乾燥
上記化学処理を実施した後に、過剰の処理剤及び処理により溶出したイオンの除去をすることが可能であり、好ましい。この際、一般的には、水や有機溶媒などの液体を使用する。脱水後は、乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は、100〜800℃、好ましくは150〜600℃で実施可能である。800℃を超えると、珪酸塩の構造破壊を生じるおそれがあるので好ましくない。
これらのイオン交換性層状珪酸塩は、構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。乾燥方法に関しては特に限定されず各種方法で実施可能である。
(V)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理後の組成
化学処理されたイオン交換性層状珪酸塩を、本発明に係る触媒成分(b)としては、Al/Siの原子比として、0.01〜0.25、好ましくは0.03〜0.24のもの、さらには0.05〜0.23の範囲のものがよい。Al/Si原子比は、粘土部分の酸処理強度の指標となるものとみられる。また、上記の範囲にAl/Si原子比を制御する方法としては、化学処理前のイオン交換性層状珪酸塩として、モンモリロナイトを使用し、上記(III)に記載の化学処理をおこなう方法が挙げられる。
イオン交換性層状珪酸塩中のアルミニウム及びケイ素は、JIS法による化学分析による方法で検量線を作成し、蛍光X線で定量するという方法で測定される。
成分(c):
本発明に用いられる触媒成分(c)は、有機アルミニウム化合物であり、好ましくは、一般式:(AlR3−nで表される有機アルミニウム化合物が使用される。式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を表し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1〜3の、mは1〜2の整数を各々表す。有機アルミニウム化合物は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、m=1、n=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
(2)触媒の調整
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記成分(a)、成分(b)及び成分(c)を含む。これらは、重合槽内で、あるいは重合槽外で接触させオレフィンの存在下で予備重合を行ってもよい。
本発明で使用する成分(a)、成分(b)及び成分(c)の使用量は任意である。例えば、成分(b)に対する成分(a)の使用量は、成分(b)1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。また、成分(a)に対する成分(c)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×10、特に好ましくは0.1〜1×10、の範囲内が好ましい。
前記成分(a)、成分(b)及び成分(c)を接触させる順番は、任意であり、これらのうち2つの成分を接触させた後に残りの1成分を接触させてもよいし、3つの成分を同時に接触させてもよい。これらの接触において、接触を充分に行うため、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素やこれらのハロゲン化物、また予備重合モノマーなどが例示される。脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素の例として、具体的にはヘキサン、ヘプタン、トルエン等が挙げられる。また、予備重合モノマーとしては、プロピレンを溶媒として用いることができる。
(3)予備重合
本発明に係る触媒は、前記のように、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付されることが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、前記のように、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができ、好ましくはプロピレンである。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、成分(b)に対する予備重合ポリマーの重量比が好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に成分(c)を添加、又は追加することもできる。
上記各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
予備重合後に触媒を乾燥してもよい。乾燥方法には、特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いても良いし、2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし静置させてもよい。
(4)重合方法
重合形態は、前記成分(a)、成分(b)及び成分(c)からなるオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相重合法などが採用できる。
また、重合方式は、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。
また、重合段数は、本発明の物質を製造できるのであればとくに制限はないが、バルク重合2段、バルク重合後気相重合、気相重合2段といった様式も可能であり、さらにはそれ以上の重合段数で製造することが可能である。
しかしながら、プロピレンを溶媒として用いるバルク重合、または各モノマーをガス状に保つ気相重合を行うことにより、本発明のプロピレン系重合体を製造することが好ましい。
プロピレンを溶媒として用いるバルク重合法の場合は、重合温度は、0〜80℃であり、好ましくは60〜80℃であり、さらに好ましくは65〜75℃である。重合圧力は、0〜5MPaG、好ましくは0〜4MPaGが適当である。
気相重合の場合は、重合温度は、0〜200℃であり、好ましくは60〜120℃であり、さらに好ましくは70〜100℃である。重合圧力は、0〜4MPaG、好ましくは0〜3MPaGが適当である。
さらに、活性向上効果のために、補助的に水素を用いることができる。通常水素は、連鎖移動剤として機能して、飽和末端を生成するが、本発明のプロピレン系重合体の製造法では、驚くべきことに水素を加えても、依然ビニル末端割合が高いまま保たれる。しかも水素を加えることにより、活性が向上する。
3.プロピレン系重合体の用途
本発明のプロピレン系重合体は、必要に応じて、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、着色剤、無機質または有機質の充填剤等の各種添加剤、更には種々の合成樹脂を配合した後、溶融混練機を用いて加熱溶融混練後、更に粒状に切断されたペレットとして、成形材料に供することが可能である。
また、本発明のプロピレン系重合体は、ビニル末端構造を高い割合で含有するように末端構造を高度に制御したプロピレン系重合体であり、かつ分岐構造をもったプロピレン系重合体であるので、その特性により、マクロマー共重合用の原料として用いることができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例における物性測定、分析等は、下記の方法に従ったものである。
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS K6758のポリプロピレン試験方法のメルトフローレート(試験条件:230℃、荷重2.16kgf)に従って、測定した。単位はg/10分である。
(2)分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値):
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、上記本明細書記載の方法で、測定した。
(3)ME(メモリーエフェクト):
タカラ社製のメルトインデクサーを用い、190℃でオリフィス径1.0mm、長さ8.0mm中を、荷重をかけて押し出し、押し出し速度が0.1g/min.の時に、オリフィスから押し出されたポリマーを、メタノール中で急冷し、その際のストランド径の値をオリフィス径で除した値とした。
(4)mm分率:
日本電子社製、GSX−400、FT−NMRを用い、上記本本明細書記載の方法で測定した。単位は%である。
(5)エチレン含量の測定:
13C−NMRをもちいて検量線を作成し、IRを用いて測定した。
(6)組成分析:
JIS法による化学分析により検量線を作成し、蛍光X線により測定した。
(7)融点(Tm):
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して、結晶化させた時の結晶最大ピーク温度(℃)として、結晶化温度(Tc)を求め、その後、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度(℃)として融点(Tm)を求めた。
(8)伸長粘度:
上記本明細書記載の方法で測定した。
[実施例1]
(1)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムの合成:
(1−a)ジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}シランの合成:
特開2004−124044号公報の実施例1に記載の方法にしたがって、合成を行った。
(1−b)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムの合成:
100mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}シラン5.3g(8.8ミリモル)、ジエチルエーテル150mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.50モル/リットルのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液12ml(18ミリモル)を滴下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液の溶媒を20ml程度まで減圧濃縮し、トルエン200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム2.8g(8.7ミリモル)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら3日間攪拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムのラセミ体(純度99%以上)を黄橙色結晶として2.9g(収率39%)得た。
得られたラセミ体についてのプロトン核磁気共鳴法(H−NMR)による同定値を以下に記す。
H−NMR(CDCl)同定結果:
ラセミ体:δ1.12(s,6H),δ2.42(s,6H),δ6.06(d,2H),δ6.24(d,2H),δ6.78(dd,2H),δ6.97(d,2H),δ6.96(s,2H),δ7.25〜δ7.64(m,12H)。
(2)触媒の合成
(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
セパラブルフラスコ中で蒸留水3456gに96%硫酸(1044g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)600gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水2400g加えた後にろ過したところケーキ状固体1230gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム648g、蒸留水1800gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ上固体を全量投入し、更に蒸留水522gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水1980g加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH3まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体1150gを得た。
得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に215℃、窒素気流下、滞留時間10分の条件でロータリーキルン乾燥することにより、化学処理スメクタイト340gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:7.81重量%、Si:36.63重量%、Mg:1.27重量%、Fe:1.82重量%、Li:0.20重量%であり、Al/Si=0.222[mol/mol]であった。
(2−2)触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に上で得られた化学処理スメクタイト20gを入れヘプタン(114mL)を加えてスラリーとし、これにトリエチルアルミニウム(50mmol:濃度68mg/mLのヘプタン溶液を84mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、全容量を200mLとなるように、ヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、トルエン(85mL)にrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム(0.3mmol)を加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.85mL)を加えて45分室温で攪拌し反応させた。この溶液を、先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコに加えて、室温で45分攪拌した。その後ヘプタンを214mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にした後、プロピレンを20g/時の速度でフィードし2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃で0.5時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、再びヘプタンを加えてデカンテーションすることにより予備重合触媒の洗浄をおこなった。上記デカンテーションにより残った部分にトリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分攪拌した。
この固体を2時間減圧乾燥することにより乾燥予備重合触媒47.6gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.38であった。
(3)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で150mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ75gの重合体が得られた。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1で合成した触媒を用い下記の重合を行った。
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、エチレン16g、次いで液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、実施例1で合成した予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で150mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ164gの重合体が得られた。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
[実施例3]
(1)触媒の合成
(1−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
実施例1において、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径23μm)を使用し、90℃、120分の化学処理をするところを、390分に変更する以外は、実施例1と同様に行った。得られた化学処理スメクタイトの組成は、Al:4.5重量%、Si:40.7重量%、Mg:0.7重量%、Fe:1.3重量%であり、Al/Si=0.116[mol/mol]であった。また、X線回折を測定したところ、2θ=19゜〜21゜未満(A)及び21゜〜23゜(B)にピークが観測され、その強度比(B)/(A)は1.70であった。
(1−2)触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(114mL)を加えてスラリーとし、これにトリエチルアルミニウム(50mmol:濃度68mg/mLのヘプタン溶液を84mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、全容量を200mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、ヘプタン(85mL)にrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム(0.3mmol)を加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.85mL)を加えて45分室温で攪拌し反応させた。この溶液を、化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコに加えて、室温で45分攪拌した。その後ヘプタンを214mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にした後、プロピレンを20g/時の速度でフィードし2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃で0.5時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、再びヘプタンを加えてデカンテーションすることにより予備重合触媒の洗浄を行った。上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分攪拌した。この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒25.2gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.26であった。
(2)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で400mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ85gの重合体が得られた。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
[実施例4]
(1)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に、実施例1の(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(65mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を35mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、トルエン(60mL)にrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム(0.3mmol)を加えてスラリー溶液とした。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を1.7mL)を加えた後、上記スラリー溶液を加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを340mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にした後、プロピレンを20g/時の速度でフィードし1.5時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃で0.5時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した。上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒26.1gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.61であった。
(2)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で450mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ145gの重合体が得られた。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
[実施例5]
(1)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に、実施例1で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(132mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(50mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を70mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、全容量を200mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム(0.30mmol)をトルエン(86mL)に溶解した。
化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコに、トリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.85mL)を加え、さらに先ほどの錯体溶液を加えて、室温で60分攪拌した。その後ヘプタンを213mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にした後、プロピレンを20g/時の速度でフィードし、2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃で0.5時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分攪拌した。この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒51.4gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.57であった。
(2)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で270mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で3時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ210gの重合体が得られた。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
(GPC−VISによる分岐構造解析)
また、実施例5の重合体、および比較として線状ポリプロピレン(日本ポリプロ社製:グレード名FY6H)に関して、GPC−VISによる分岐構造解析を行った。測定および解析結果を図6に示す。
図6に示す測定結果から明らかなように、実施例5の重合体は、線状ポリプロピレンとくらべて、極限粘度が低下している。すなわち、分岐が導入された分布形態になっていることを示すものである。
(Triple−detector GPC測定):
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社、GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。
カラム、試料注入部および各検出器の温度は140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
参考文献:
1.Developments in polymer characterization, vol.4. Essex: Applied Science; 1984. Chapter1.
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
[実施例6]
(1)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に、実施例1で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(66mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(50mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を35mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム(0.30mmol)をトルエン(11mL)に溶解した。
化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコに、トリノルマルオクチルアルミニウム(0.6mmol:濃度144mg/mLのヘプタン溶液を1.5mL)を加え、さらに先ほどの錯体溶液を加えて、室温で60分攪拌した。その後ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にした後、プロピレンを10g/時の速度でフィードし、2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃で0.5時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分攪拌した。この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒29.1gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.91であった。
(2)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で400mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ264gの重合体が得られた。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
また、図4に伸長粘度の測定結果を示す。歪硬化が観測されることから、分岐構造が導入されていることが推定できる。また、歪速度0.5/sの場合、歪硬化λmaxは、2.0であり、歪速度2.0/sの時のλmaxは、2.5と算出された。高い歪硬化が観測されることから、重合体に分岐構造が導入されていることがわかる。
[実施例7]
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。
その後、実施例6で合成した予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で400mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ312gの重合体が得られた。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
[実施例8]
(1)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
(1−a)ジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}シランの合成:
1000mlのガラス製反応容器に、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)インデン(22g、66mmol)、THF(200ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(42ml、67mmol、1.60mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間攪拌した。再び−70℃まで冷却し、1−メチルイミダゾール(0.3ml、3.8mmol)を加え、ジメチルジクロロシラン(4.3g、33mmol)を含むTHF溶液(100ml)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}シランの淡黄色固体(22g、収率92%)を得た。
(1−b)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}シラン9.6g(13.0ミリモル)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59モル/リットルのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液16ml(26ミリモル)を滴下した。滴下後、室温に戻し3時間攪拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン250ml、ジエチルエーテル10mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.2g(13.0ミリモル)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜攪拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムのラセミ体(純度99%以上)を黄橙色結晶として1.3g(収率22%)得た。
得られたラセミ体についてのプロトン核磁気共鳴法(H−NMR)による同定値を以下に記す。
H−NMR(CDCl)同定結果:
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.18(s,18H),δ2.09(s,6H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.75(dd,2H),δ7.09(d,2H),δ7.34(s,2H),δ7.33(d,2H),δ7.35(d,4H),δ7.87(d,4H)
(2)触媒の合成
(2−1)触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、実施例1の(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(65mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を35mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、トルエン(60mL)にrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム(0.3mmol)を加えてスラリー溶液とした。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を1.7mL)を加えた後上記スラリー溶液を加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを340mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の速度でフィードし2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃で0.5時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した。上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒30gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.50であった。
(3)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で300mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ331gの重合体が得られた。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
[実施例9]
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、実施例8で合成した予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で300mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ331gの重合体が得られた。
得られたサンプルの評価結果を表1に示す。
また、NMRによる構造式(1)で表される帰属を図5に示す。本文中に記載のようにMacromolecules,Vol.35、NO.10.2002年、3839−3842頁の記載を参考にして決定した。すなわち、43.9〜44.1ppm、44.5〜44.7ppm及び44.7〜44.9ppmにそれぞれ1つ、合計3つのメチレン炭素(Ca、Cb、Cc)が観測され、31.5〜31.7ppmにメチン炭素(Cbr)が観測されることから、重合体中には構造(1)に示す分岐構造が存在することが確認できた。また、Cbrの個数は、全骨格形成炭素中0.1個であった
Figure 2013100558
表1より明らかなように、本発明のプロピレン系重合体は、末端ビニル率が0.7以上で末端ビニリデン率が実質的に0であり、重合体末端がビニル構造に制御された重合体であることが分かる。
また、規則性に関しても、mmが96%以上と高立体規則性であり、2,1結合、1,3結合といった異種結合量も小さく位置規則性も高度に制御されていることが分かる。
また、分子量がMnで5万以上で高立体規則性であるため、40℃可溶分が1.0%以下であり低温溶出成分が少ないことがわかる。
これらに加え、末端ビニルが一部共重合したことによる分岐構造が重合体中に存在していることが13C−NMRから確認できる。
また、分岐構造を含むことは、伸長粘度を測定したときに歪効果が観測されることからも確認できる。その結果重合体はMFR見合いでスウェル比(ME)が大きいという特徴を有する。なお、MEとMFRの相関を図3にプロットした。
特に、実施例8、9に示すように、本発明のプロピレン系重合体を製造時に触媒成分(a)として4位フェニル基上に嵩高い置換基を有するジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムを用いた場合には、末端ビニル率が0.9以上であり、mmが97%以上であり、実施例9では、分岐構造も0.1個/1000C存在することが分かる。
以上の実施例に示すように、本発明のプロピレン系重合体は、ビニル末端構造を高い割合で含有し、規則性も高く、かつ分岐構造をもつため、本発明のプロピレン系重合体を、マクロマー共重合用の原料として用いた場合に、共重合体の機械物性を低下させることなく、溶融張力や溶融流動性を改良することできる。そのような例を応用例1として、下記に示す。
(応用例1)プロピレン系共重合体の製造:
本発明の重合体をマクロマーとして用いたマクロマー共重合を下記のように行った。
(1)第一工程の重合:(マクロマー生成工程)
3Lオートクレーブを加熱下で窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを加え、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、実施例1で合成した予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で200mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより、第一工程の重合を停止した。
窒素置換したオートクレーブからテフロン(登録商標)チューブを用いて、第一工程後の重合体7gを回収し分析をおこなった。
(2)第二工程の重合:(マクロマー共重合工程)
上記の窒素置換したオートクレーブを50℃で大気圧で保持した後、プロピレンを分圧で1.0MPa、次いでエチレンを分圧で1.0MPa、まですばやく加えて第二工程の重合を開始した。重合中は、組成が一定になるように予め調整しておいたエチレン/プロピレンの混合ガスを導入して全圧2.0MPaに保ち、50℃を保持した。
この第二工程の重合の平均ガス組成は、C2:53.4%であった。
2時間後、未反応のエチレン/プロピレンの混合ガスをパージして重合を停止した。そうしたところ275gの重合体が得られた。
得られた重合体の一部は、東洋精機社製ラボプラストミル(モデル50C150)を用い下記条件で溶融混練して、重合体全体として評価を行った。
さらに、得られた重合体の一部は、p−キシレンを用いて25℃でキシレンに溶解する成分(CXS)と、25℃でキシレンに不溶な成分(CXIS)に分別し、それぞれ結晶性成分(CXIS)と非結晶性成分(CXS)とした。
重合体全体および各成分に関して、評価した結果を表2に示す。
Figure 2013100558
表2から明らかなように、応用例1で得られたプロピレン系共重合体は、重合体全体の伸長粘度の測定における歪速度0.5/sでの歪硬化度(λmax)が5.5と高い値を示している。また、結晶性成分のmmは、96%以上と規則性も高い。つまり、応用例1のプロピレン系共重合体は、機械的物性に優れ、溶融物性の向上した共重合体であることがわかる。
すなわち、そのようなプロピレン系共重合体を製造する場合の原料(中間体)として、本発明プロピレン系重合体は、好適であることがわかる。
[実施例10]
(1)錯体の合成:rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
(1−a)4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、4−トリメチルシリルフェニルボロン酸 25g(0.13mol)、ジメトキシエタン(DME) 200mlを加え、炭酸セシウム 90g(0.28mol)と水150mlの溶液を加え、4−ブロモインデン20g(0.10mol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム10g(8.6mmol)を順に加え、80℃で8時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの無色液体25.8g(収率95%)を得た。
(1−b)2−ブロモ−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデン 25.8g(0.097mol)、蒸留水 7ml、DMSO 250mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド23g(0.13mol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2.8g(15mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの淡黄色液体17.1g(収率51%)を得た。
(1−c)2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの合成:
1000mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン 8.6g(0.11mol)、DME300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液63ml(0.11mol)を滴下し、そのまま5時間撹拌した。−70℃に冷却したまま、そこにトリイソプロピルボレート26ml(26mmol)とDME30mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水100mlを加え加水分解した後、炭酸ナトリウム22gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデン 17.1g(50mmol)、を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデンの無色固体12.8g(収率62%)を得た。
(1−d)ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)シランの合成:
500mlのガラス製反応容器に、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデン 11.4g(33mmol)、THF100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液20ml(33mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃で冷却したまま、1−メチルイミダゾール0.13ml(1.6mmol)、ジメチルジクロロシラン2.1g(16mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)シランの淡黄色固体11.2g(収率91%)を得た。
(1−e)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)シラン11.2g(15mmol)、ジエチルエーテル100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液19ml(32mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン300ml、ジエチルエーテル15mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.8g(15mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ハフニウムを黄色結晶として4.9g(収率33%)得た。
得られたラセミ体について、プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)による同定値を以下に記す。
H−NMR(CDCl)同定結果:
ラセミ体:δ0.27(s,18H),δ1.12(s,6H),δ2.41(s,6H),δ6.06(d,2H),δ6.24(d,2H),δ6.79(dd,2H),δ6.97(d,2H),δ6.99(s,2H),δ7.29(d,2H),δ7.56〜δ7.62(m,8H)。
(2)触媒の調整
(2−1)触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、実施例1の(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(65mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度142mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、最終的に全容量を50mLとなるように調製した。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、トルエン(30mL)にrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ハフニウム(0.15mmol)を加えてスラリー溶液とした。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度142mg/mLのヘプタン溶液を0.86mL)を加えた後、上記スラリー溶液を加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にした後、プロピレンを10g/時の速度でフィードし4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した。上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度142mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒15.0gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は0.50であった。
(3)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(142mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で200mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ233gの重合体が得られた。
得られた重合体の評価結果を表3に示す。
[実施例11]
(1)錯体の合成:rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
(1−a)4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、4−イソプロピルフェニルボロン酸 15g(91mmol)、ジメトキシエタン(DME) 200mlを加え、炭酸セシウム 90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデンの無色液体15.4g(収率99%)を得た。
(1−b)2−ブロモ−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデン 15.4g(66mmol)、蒸留水 7ml、DMSO 200mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド16.6g(93mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で3時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2.0g(10mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデンの淡黄色液体19.8g(収率88%)を得た。
(1−c)2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデンの合成:
1000mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.7g(82mmol)、DME150mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液51ml(0.11mol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水100mlを加え加水分解した後、炭酸カリウム23gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデン 19.8g(63mmol)、を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムを濾過した。そこから、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデンの無色液体19.6g(収率99%)を得た。
(1−d)ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル)シランの合成:
500mlのガラス製反応容器に、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデン9.1g(29mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液17ml(28mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃で冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(1.5mmol)、ジメチルジクロロシラン1.8g(14mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル)シランの淡赤色固体8.6g(収率88%)を得た。
(1−e)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル)シラン8.6g(13mmol)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(25mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン400ml、ジエチルエーテル40mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.0g(13mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル}]ハフニウムを黄色結晶として7.6g(収率65%)得た。
得られたラセミ体について、プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)による同定値を以下に記す。
H−NMR(CDCl)同定結果:
ラセミ体:δ1.11(s,6H),δ1.25(d,12H),δ2.41(s,6H),δ6.05(d,2H),δ6.24(d,2H),δ6.77(dd,2H),δ6.95(d,2H),δ6.99(s,2H),δ7.27(d,6H),δ7.55(d,4H)。
(2)触媒の調整
(2−1)触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、実施例1の(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(65mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度142mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、最終的に全容量を50mLとなるように調製した。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、トルエン(30mL)にrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−イソプロピル−フェニル)−インデニル}]ハフニウム(0.15mmol)を加えてスラリー溶液とした。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度142mg/mLのヘプタン溶液を0.86mL)を加えた後上記スラリー溶液を加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にした後、プロピレンを10g/時の速度でフィードし4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した。上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度142mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒22.3gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.23であった。
(3)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(142mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で200mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ178gの重合体が得られた。
得られた重合体の評価結果を表3に示す。
[実施例12]
(1)錯体の合成:rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
(1−a)4−(4−ビフェニリル)−インデンの合成:
500mlのガラス製反応容器に、4−ビフェニルボロン酸24g(0.12mol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、炭酸セシウム90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−ビフェニリル)−インデンの淡黄色結晶27.1g(収率99%)を得た。
(1−b)2−ブロモ−4−(4−ビフェニリル)−インデンの合成:
1000mlのガラス製反応容器に4−(4−ビフェニリル)−インデン18.8g(70mmol)、蒸留水5ml、DMSO 350mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド16.2g(91mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸3.7g(19mmol)を加え、水分を除去しながら2時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−ビフェニリル)−インデンの無色結晶21.6g(収率89%)を得た。
(1−c)2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデンの合成:
1000mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.6g(81mmol)、DME200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.57mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液52ml(81mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水100mlを加え加水分解した後、炭酸ナトリウム22gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−ビフェニリル)−インデン21.6g(62mmol)、を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムを濾過した。そこから、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデンの無色結晶19.0g(収率88%)を得た。
(1−d)ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデニル)シランの合成:
500mlのガラス製反応容器に、2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデン8.5g(24mmol)、THF250mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液15ml(24mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃で冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(1.5mmol)、ジメチルジクロロシラン1.6g(12mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデニル)シランの淡黄色固体9.1g(収率91%)を得た。
(1−e)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデニル}]ハフニウムの合成:
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデニル)シラン9.1g(12mmol)、ジエチルエーテル200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(24mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で半分程度まで濃縮し、トルエン300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム3.9g(12mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデニル}]ハフニウムを黄色結晶として1.3g(収率10%)得た。
得られたラセミ体について、プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)による同定値を以下に記す。
H−NMR(CDCl)同定結果:
ラセミ体:δ1.15(s,6H),δ2.43(s,6H),δ6.07(d,2H),δ6.27(d,2H),δ6.81(dd,2H),δ7.00(d,2H),δ7.03(s,2H),δ7.34(d,4H),δ7.43(t,4H),7.61−7.72(m,12H)。
(2)触媒の調整
(2−1)触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、実施例1の(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(65mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度142mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、最終的に全容量を50mLとなるように調製した。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、トルエン(30mL)にrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニリル)−インデニル}]ハフニウム(0.15mmol)を加えてスラリー溶液とした。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度142mg/mLのヘプタン溶液を0.86mL)を加えた後、上記スラリー溶液を加え、60分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にした後、プロピレンを10g/時の速度でフィードし4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、40℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した。上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度142mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒25.8gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.58であった。
(3)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(142mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で200mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ117gの重合体が得られた。
得られた重合体の評価結果を表3に示す。
[比較例1]
(1)錯体の合成:
特開平8−208733号公報の実施例1に記載の方法に準じて、(r)−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリドを合成した。
充分に窒素置換した1Lオートクレーブに、トルエン500ml、有機アルミニウムオキシ化合物(東ソーファインケム社製ヘキサン溶液、MMAO−3A 1.47mmolAl/ml)3.4ml導入し、105℃に加熱した。
更に、ジメチルシリレンビス(2−メチルー4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド0.12μmolをトルエンに溶解して導入した。その後プロピレンを0.35MPaになるまですばやく導入し、60分間105℃でこの圧力を保った。最終的にエタノールを圧入することで重合を停止した。
得られたポリマー溶液をエタノール中に加え、ろ過した後に、減圧乾燥を行ったところ、31gのポリマーが得られた。該ポリマーの分子量は、Mn:19300、Mw/Mn:2.3、また、融点は153.0℃であった。
得られた重合体の評価結果を表3に示す。
また、13C−NMR解析の結果は、末端ビニル率が0.78、末端ビニリデン率が0.14であった。
実施例に示す重合体と比較して、比較例1に示す重合体には、末端がビニリデンの重合体が多数存在することがわかる。比較例1の重合体をマクロマーとして使用した場合には、ビニリデンは、共重合不可能であるため残存してしまうことが予想できる。
また、特表2001−525461号公報には、同一の錯体を用いて、広い温度領域で種々の分子量の重合体が製造できることが示されているが、いずれの場合にも同程度にビニリデン末端が生成していることが示されている。
[比較例2]
(1)錯体の合成:ジクロロジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムの合成:
1−ブロモ−4−クロロベンゼン(2.04g,10.7mmol)をジエチルエーテル(15mL)とヘキサン(15mL)の混合溶媒に溶かし、t−ブチルリチウムのペンタン溶液(13.3ML,21.3mmol,1.59N)を−65℃で滴下した。−5℃で1.5時間攪拌した。この溶液に2−イソプロピルアズレン(1.72g,10.1mmol,神戸天然物社製)を加え室温で2時間攪拌した。0℃に冷却しテトラヒドロフラン(15mL)を加えた。N−メチルイミダゾール(15μL)とジメチルジクロロシラン(0.6mL,5.0mmol)を加え、室温まで昇温し、室温で1時間攪拌した。この後、水を加え、分液した後有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去すると、ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−(4−クロロフェニル)−1,4−ジヒドロアズレン)の粗精製物(3.35g)が得られた。
次に、上記で得られた粗精製物をジエチルエーテル(14mL)に溶かし、−70℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(6.5mL,10.0mmol,1.54N)を滴下し、徐々に昇温して室温で2時間攪拌した。さらに、トルエン(110mL)を加えた。−70℃に冷却し、四塩化ハフニウム(1.6g,5.0mmol)を加え、徐々に昇温し、室温で一夜攪拌した。得られたスラリー溶液を溶媒留去し粉状とした。ジエチルエーテル(20mL)を加え、0℃でしばらく放置し濾過した。得られた固体を減圧乾燥し、エタノール(5mL,3mL)、ヘキサン(3mL×2)で洗浄し、減圧乾燥すると、ジクロロジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムのラセミ・メソ混合物(980mg,23%)が得られた。
得られた混合物(980mg)を塩化メチレン(20mL)に溶解し、高圧水銀灯(100W)を40分間照射した。照射終了後、濾液を濃縮乾固した。乾固して得られた固体をジエチルエーテル(10mL,5mL)で攪拌し、フリットで濾過した。濾過した固体分を減圧下乾燥することによりラセミ体(765mg)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.04(s,6H,SiMe2),1.07(d,J=6Hz,6H,CH3CH),1.09(d,J=6Hz,6H,CH3CH),3.04−3.16(m,2H,(CH3)2CH),5.05(brd,2H,4−H),5.85(d,4H),5.93(s,2H,3−H),5.98−6.05(m,2H),6.78(d,J=15Hz,2H,8−H),7.30(s,8H,arom).
(2)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に、実施例1の(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(114mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を84mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液が1/100になるまで洗浄し、全容量を200mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、トルエン(85mL)にrac−ジクロロジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウム(0.3mmol)を加えてスラリー溶液とした。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.85mL)を加えた後、上記スラリー溶液を加え、45分室温で攪拌し反応させた。その後ヘプタンを216mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを20g/時の速度でフィードし2.0時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃で1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した。上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分攪拌した。
この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒59.2gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.96であった。
(3)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で1000mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で0.5時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。そうしたところ328gの重合体が得られた。
得られた重合体の評価結果を表3に示す。
また、13C−NMR解析の結果は、末端ビニル率が0.17、末端ビニリデン率が0.33であった。
実施例に示す重合体と比較して、比較例2に示す重合体には、末端がビニリデンの重合体が多数存在することがわかる。比較例2の重合体をマクロマーとして使用した場合には、ビニリデンは、共重合不可能であるため、残存してしまうことが予想できる。
[比較例3]
(1)重合
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、窒素で槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを投入し、ヘプタン1500MLを導入した後、70℃まで昇温した。
続いてプロピレンを槽内の圧力が0.7MPaになるまで導入し、実施例8で製造した予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で500mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送して重合を開始した。70℃で2時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止した。
そうしたところ156gの重合体が得られた。このもののMnは35800であった。
得られた重合体の評価結果を表3に示す。
Figure 2013100558
[溶融張力(MT)の測定]:
実施例2、3、9で得られた重合体に関して、溶融物性を現す指標として下記の条件でMTの測定をおこなった。
東洋精機社製キャピログラフ1Bを用い、下記の条件で樹脂を紐状に押し出して、ローラーに巻き取っていった時にプーリーに検出される張力を溶融張力(MT)とする。
キャピラリー:直径2.1mm
シリンダー径:9.6mm
シリンダー押出速度:10mm/分
巻き取り速度:4.0m/分
温度:190℃
その結果、溶融張力(MT)は、それぞれ、実施例2が1.9g、実施例3が0.5g、実施例9が0.2gであった。
これに対し、比較例3で得られた重合体でMTの測定を試みたところ、非常に高い流動性を示し、実質的にMTの値は、0gとなった。このことから分かるように、本発明のプロピレン系重合体は、5万以上の分子量で、適量の分岐構造が導入されることによって、溶融物性が改良されていると考える。
本発明のプロピレン系重合体は、ビニル末端構造を高い割合で含有するように末端構造を高度に制御したプロピレン系重合体であり、かつ分岐構造をもったプロピレン系重合体であるので、その特性により、マクロマー共重合用の原料として用いた場合に、共重合体の機械物性を低下させることなく、溶融張力や溶融流動性を改良することができ、また、末端に官能基を有したプロピレン系重合体を得る原料として用いた場合にも、優れた溶融物性と機械物性を保持することができることが期待できる。

Claims (1)

  1. 下記(1)〜(5)の特性を有することを特徴とするプロピレン系重合体。
    特性(1):GPCによって得られる数平均分子量(Mn)が5万より大きく13万未満。
    特性(2):GPCによって得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値)が2.0以上4.0以下。
    特性(3):全ポリマー鎖のうち末端にビニル基を持つ鎖の割合(末端ビニル率)と、末端にビニリデン基を持つ鎖の割合(末端ビニリデン率)が、それぞれ下式を満たす。
    (末端ビニル率)=Mn/21000×[Vi]≧0.7
    (末端ビニリデン率)=Mn/21000×[Vd]<0.1
    (ただし、Mnは、GPCによりもとめた数平均分子量、[Vi]は、13C−NMRより算出する1000C当りの末端ビニル基の数、[Vd]は、13C−NMRより算出する1000C当りの末端ビニリデン基の数である。)
    特性(4):オルトジクロロベンゼンを溶媒として使用した昇温溶出分別(TREF)の測定において、40℃以下の温度で溶出する成分が3重量%以下。
    特性(5):13C−NMR分析によって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上。
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