JP2013096944A - 有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率の測定方法 - Google Patents

有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率の測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機顔料の一次粒子だけでなく、二次粒子や三次粒子といった高次粒子の平均粒径及び規格化分散値を測定する方法を提供すること。また、一次粒子と高次粒子の体積分率を測定する方法を提供すること。
【解決手段】 超小角エックス線散乱測定を利用することにより、有機顔料の一次粒子だけでなく、二次粒子や三次粒子といった高次粒子の平均粒径及び規格化分散値を測定する。また、一次粒子と高次粒子の体積分率を測定する。さらには、有機顔料が紛体、分散液、印刷物、塗膜の状態であっても、有機顔料の一次粒子および高次粒子の平均粒径、規格化分散値及び体積分率といった粒径物性値を測定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率の測定方法に関する。
一般的に、有機顔料の輝度や色調は、有機顔料の粒子径や粒度分布に影響することが知られている。さらには、有機顔料の一次粒子が凝集してできた、二次や三次粒子といった高次粒子の存在する場合、その存在割合(体積分率)が有機顔料の輝度や色調に大きく影響されることが経験的に知られている。そのため、有機顔料中の高次粒子径の存在を把握するのは重要であり、従来では、透過型電子顕微鏡を用いて直接観察し、視野中の顔料粒子の大きさを測定する方法や凝集状態を目視で観察する方法がとられている。
しかしながら、この方法では、100個以上の顔料粒子を計測しなければならないため手間がかかることや、粒子が重なって写っている場合、そのサイズを判別するのが難しく計測対象から外してしまうため、計測対象の粒子を選別する作業に計測者による恣意が働きやすいこと等があり、このようにして求めた粒子径やその規格化分散値が、顔料全体を代表した数値であるのか疑問があるという問題があった。
また、有機顔料は、一般的に、分散体中では一次粒子のままの状態では存在しておらず、一部は二次粒子、三次粒子といった高次の凝集体を形成しているとされている。色材としての特性、例えば、インキの透明性や着色力、カラーフィルターのコントラスト等は、いずれも、顔料の一次粒子径のみならず、高次粒子径にも大きく左右される。よって、顔料の一次粒子のみならず、高次粒子の平均粒子径や粒度分布、さらには体積分率といった、粒径物性値を知ることが、色材としての特性を利用する上で非常に重要である。
このような顔料の高次粒子径を測定する方法としては、一般的に、レーザー散乱式、超音波方式、遠心沈降式等による方法が知られている。従来法によれば、測定時に分散体を溶剤で大量に希釈しなければならず、この希釈により状態の変化が生じる場合には、測定値の信頼性が低いという問題があった。
ただし、近年の測定技術の進歩により、被測定物の希釈を最小限に抑えられるようになったため、この問題は解消されつつある。しかしながら、これまでは一次粒子径と高次粒子径は、あくまで別々の方法でしか測定することができなかった。
そこで、本発明者らは小角エックス線散乱法およびエックス線透過法を用いて、一次粒子の平均粒子径、粒径分布と、凝集粒子の粒子径を測定する方法を特許文献1にて開示した。しかし、特許文献1の方法において、平均粒子径と粒径分布が測定できるのは一次粒子のみであり、それ以上大きい凝集粒子は沈降法によって測定するため、分散液のみでしか測定できないという問題があった。
また、小角エックス線散乱法では、塗膜の基板がガラスなどエックス線が吸収されやすい場合には、入射エックス線のほとんどが基板に吸収され、目的の塗膜の散乱データが採取できなくなるという問題があった。
特開2006−113052号公報
本発明の課題は、有機顔料の一次粒子だけでなく、二次粒子や三次粒子といった高次粒子の平均粒径及び粒度分布を測定する方法を提供することである。また、一次粒子と高次粒子の体積分率を測定する方法を提供することである。また、有機顔料の形態が分散液だけでなく、紛体や塗膜、カラーチップの状態での測定する方法を提供することである。さらには、有機顔料をガラス基板に塗布した塗膜、たとえばカラーフィルターにおける有機顔料の一次粒子、二次粒子や三次粒子といった高次粒子の平均粒径、粒度分布及び体積分率といった粒径物性値を測定する方法を提供することである。
かかる課題を解決するため本発明者らは、超小角エックス線散乱法に基づき、有機顔料の超小角エックス線散乱プロファイル(測定散乱プロファイル)を測定する工程(A)と、前記有機顔料を、半径Rの球状粒子であって粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、仮の半径Rの値と仮の規格化分散値から、理論散乱プロファイルをシミュレーションにより求める工程(B)と、該理論散乱プロファイルと前記測定散乱プロファイルとをカーブフィッティングさせて、前記理論散乱プロファイルと前記測定散乱プロファイルとの残差二乗和Z値を得る工程(C)と、工程(C)にて得られる残差二乗和Z値が2%以下となるまで、新たな半径Rn+1の値(nは整数、 R<Rn+1)とそれぞれ仮の規格化分散値を加えて複数の粒径分布モデルを設定して前記工程(B)から(C)をn回繰り返し、前記理論散乱プロファイルと前記測定散乱プロファイルとをカーブフィッティングさせた結果から有機顔料の一次粒子径及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率のうちの少なくとも一種を決定する工程(D)とを有することを特徴とする、有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率のうちの少なくとも一種である、有機顔料の粒径物性値の測定方法を見出した。
本発明の測定方法によれば、有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率といった粒径物性値を、正確に精度よく、簡便に測定することができる。
また、有機顔料の形態が分散液だけでなく、紛体や塗膜、カラーチップの状態でも測定することができる。さらには、有機顔料をガラス基板に塗布した塗膜、たとえばカラーフィルターにおける有機顔料の一次粒子、二次粒子や三次粒子といった高次粒子の平均粒径及び粒度分布、体積分率を測定することができる。
参考例11として、塗膜1についてTEM画像を撮影し、図1に示した。 参考例12として、塗膜3についてTEM画像を撮影し、図2に示した。 参考例13として、塗膜4についてTEM画像を撮影し、図3に示した。 参考例14として、塗膜7についてTEM画像を撮影し、図4に示した。 参考例15として、塗膜1についてTEM画像を撮影し、図5に示した。 参考例16として、塗膜3についてTEM画像を撮影し、図6に示した。 参考例17として、塗膜4についてTEM画像を撮影し、図7に示した。 参考例18として、塗膜7についてTEM画像を撮影し、図8に示した。
本発明の測定方法について、以下に詳細に説明する。
本実施形態における有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率の測定方法は、超小角エックス線散乱法に基づき、有機顔料の超小角エックス線散乱プロファイル(測定散乱プロファイル)を測定する工程(A)と、前記有機顔料を、半径Rの球状粒子であって粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、仮の半径Rの値と仮の規格化分散値から、理論散乱プロファイルをシミュレーションにより求める工程(B)と、該理論散乱プロファイルと前記測定散乱プロファイルとをカーブフィッティングさせて、前記理論散乱プロファイルと前記測定散乱プロファイルとの残差二乗和Z値を得る工程(C)と、工程(C)にて得られる残差二乗和Z値が2%以下となるまで、新たな半径Rn+1の値(nは整数、R<Rn+1)とそれぞれ仮の規格化分散値を加えて複数の粒径分布モデルを設定して前記工程(B)から(C)をn回繰り返し、前記理論散乱プロファイルと前記測定散乱プロファイルとをカーブフィッティングさせた結果から有機顔料の一次粒子径及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率のうちの少なくとも一種を決定する工程(D)とを有することを特徴とする。
本実施形態の測定対象物である有機顔料としては、フタロシアニン系、不溶性アゾ系、アゾレーキ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、アントラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、チオインジゴ系等が挙げられる。また、これら有機顔料は、粉末、分散体、塗膜、及びプラスチックなどに練り込まれたカラーチップのいずれかに含有された状態で測定することが可能である。さらに、高輝度エックス線散乱装置を用いることで、ガラス基板上に形成した有機顔料を含有する塗膜であっても測定することが可能である。粉末形状以外の分散体、塗膜、印刷物、プラスチックなどに練り込まれたカラーチップ中に含まれた形状であっても測定できることから、例えば、カラーフィルター用のインキを製造する際に、その有機顔料の平均粒子径及び規格化分散値を粉末原料の状態から分散体であるペースト、あるいは塗膜化された最終工程まで、工程毎に追跡することができ、製品管理の上でも有用となる。
超小角エックス線散乱法(Ultra−Small Angle X−ray Scattering:USAXS)とは、散乱角が0.1<(2θ)<10℃である小角領域だけでなく、0°<(2θ)≦0.1°という超小角領域で生じる散漫な散乱・回折も同時に測定する方法である。小角エックス線散乱法では、物質中に1〜100nm程度の大きさの電子密度の異なる領域があると、その電子密度差によりエックス線の散漫散乱を計測することができるが、この超小角エックス線散乱法では、物質中に1〜1000nm程度の大きさの電子密度の異なる領域があると、その電子密度差によりエックス線の散漫散乱が計測される。この散乱角と散乱強度に基づいて測定対象物の粒子径を求める。
超小角エックス線散乱法を実現する主要技術は、入射X線の波長幅やビーム径を絞り超小角領域のバックグラウンド散乱強度を低減する高度な光学系制御技術を用い、できるだけサンプルから検出器までの距離、いわゆるカメラ長を長くして散乱角の小さい部分を高精度に測定する2つの技術で達成される。実験室用の小型の装置では主に前者の技術で達成される。
本実施形態における超小角エックス線散乱法に用いる装置は、市販のエックス線散乱装置を用いることができる。たとえば、SmartLab(株式会社リガク製)、NANO−Viewer(株式会社リガク製)、SAXSess(Anton Paar社製)等を好適に用いることができる。
また、大型放射光施設、たとえば兵庫県のSPring−8や茨城県のPhoton Factory等の、高指向性、および1〜15m程度のカメラ長のエックス線散乱装置、すなわち超小角領域測定に適した設備を利用することができる。このような設備では、任意のカメラ長を選択することで目的の散乱領域を設定できる。また、十分な散乱強度を得るためや、試料ダメージを防ぐため、さらには検出器の保護のために入射側にアテネータと呼ばれる数種の金属製の吸収板を使用したり、露光時間を0.5〜60秒程度で任意で調整することにより、最適な測定条件を広範囲の目的から選択することができる。アテネーターは、例えばAu、Ag、モリブデン製の薄膜などが挙げられる。
また、X線小角散乱曲線から粒径分布を求めるためのプログラムとしては、NANO−solver(株式会社リガク製)又はGIFT(PANalytical製)等のプログラムを用いることが好ましい。
有機顔料の粒径物性値を測定する場合、エックス線散乱装置の入射エックス線の輝度が10Brilliance(photons/sec/mm2/mrad2/0.1%bandwidth)以上であれば、十分な散乱強度を測定することが可能であり、好ましくは10Brilliance以上である。塗膜の基板がガラスなどの場合、エックス線を吸収しやすいため、入射エックス線の輝度が著しく不足するので、有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率を精度よく測定するには、入射X線の輝度が1016Brilliance以上であることが好ましく、より好ましくは1018Brilliance以上である。
1016Brilliance以上の高輝度エックス線源を得るために、前記の大型放射光施設、たとえば兵庫県のSPring−8や茨城県のPhoton Factory等の光源を用いることができる。
測定の具体的な手順としては、まず、工程(A)で、有機顔料の粉末や分散液や塗膜を市販のエックス線回折装置の試料ホルダー、試料台等に設置した後、散乱角(2θ)が10°未満の範囲の各散乱角(2θ)における散乱強度Iを測定して、小角エックス線散乱プロファイル(測定散乱プロファイル)を測定する。
基板がガラスである塗膜の場合に用いる放射光による超小角散乱装置は、蓄積リングと呼ばれる円形加速器から取り出した白色光を二結晶分光器で単色化し、X線領域の波長(例えば1Å)を線源とし、試料台に設置した塗膜に入射させ、散乱光を2次元検出器で一定時間露光し、同心円状に得られた散乱プロファイルを1次元に平均化し、散乱角(2θ)が10°未満の範囲の各散乱角(2θ)における散乱強度Iに変換し、小角エックス線散乱プロファイル(測定散乱プロファイル)を得る作業を工程(A)とする。
次いで、工程(B)では、得られた測定散乱プロファイルから、有機顔料を半径Rの球状粒子であって粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、仮の半径R1の値と仮の規格化分散値から、市販の解析ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、理論散乱プロファイルを求める。
一般に、物質中にΔρ(r)の電子密度差領域が存在した場合、散乱強度Iは下記式(1)のように近似することができる。
上記式(1)において、qは散乱ベクトル、Vは体積積分の領域を示し、物質全体で積分を行うことを意味する。また、F(q)は形状因子、S(q)は構造因子であり、粒子が物質中で無秩序に存在する場合、S(q)=1となる。また、散乱ベクトルqは、下記式(2)で表される。
上記式(2)において、λはエックス線の波長であり、2θは散乱角である。上記式(1)において、粒子が半径Rの球状であれば、形状因子F(q)は、下記式(3)で表される。
したがって、上記式(1)、(2)、及び(3)より、仮の半径Rの値を仮定して、形状因子F(q)が計算されるならば、散乱強度Iが記述できる。しかしながら、上記散乱強度Iは、物質中の粒子が、ある一定の大きさ(半径Rが一定)を持つ場合しか想定していない。ところが、実際の物質中では、粒子が一定の大きさで存在していることは稀で粒子の大きさには、ある程度のばらつき(粒径分布のばらつき)が存在するのが一般的である。また、本発明で目的としているのは、このような粒径分布のばらつきがある有機顔料の粒径分布を正確に精度よく測定することであるから、必然的に、粒径分布のばらつきという仮定が必要となってくる。
この粒径分布のばらつきがあると、上記散乱強度Iは、様々なサイズを持つ粒子から生じる散乱の重ね合わせで与えられる。粒径分布のばらつきの仮定に用いる分布関数は、統計学で用いられる公知の分布関数を使用することができるが、実際の物質における粒径分布のばらつきを考慮すると、Γ分布関数を使用するのが好ましい。このΓ分布関数は、下記式(4)で表される。
ここで、R0は球状粒子の平均半径、Mは粒径分布の広がりパラメータである。さて、物質中の粒径分布が上記Γ分布関数で与えられ、散乱強度Iが様々な半径Rの粒子(平均半径はR0)から生じる散乱の重ね合わせで与えられると仮定できるとすると、粒径分布のばらつきが存在する場合の散乱強度Iは、上記式(3)及び(4)を用いて、下記式(5)で表される。
式(5)内の粒子径分布の広がりパラメータであるMは、解析結果としては式(6)の変換により、規格化分散値σ(%)として出力される。

上記式(5)より、工程(B)では、仮の半径Rの値と仮の規格化分散値から、シミュレーションにより散乱角(2θ)における散乱強度Iを計算し、理論散乱プロファイルを求める。
次いで、工程(C)では、散乱強度Iから計算される理論散乱プロファイルと測定散乱プロファイルとのカーブフィッティングを最小自乗法により実行する。
プロファイルフィッティングにおいて精密化する変数は、平均粒子径(nm)、規格化分散値(%)である。また、プロファイルフィッティングは測定プロファイルと理論散乱プロファイルとの残差二乗和Z値が最小自乗法により最小となるよう実行され、この残差二乗和Z値は小さいほど粒径解析の精度が高いとされる。一般にZ値は2%未満にまで下がると両プロファイルは目視レベルでほぼ重なり、収束したと判断してよい。好ましくはZ値が1%未満であり、より好ましくは0.5%未満である。収束時の変数である平均一次粒子径及び規格化分散値が解析結果として得られる。
工程(A)で超小角散乱領域を含めてエックス線散乱を測定すると、比較的大きな粒子径まで解析範囲に含まれるため、工程(B)で仮定した一種類の粒径分布、すなわち一種類の平均一次粒子径、および規格化分散値を仮定した工程Cのフィッティング解析では、残差二乗和Z値が十分に下がらず、測定プロファイルと理論散乱プロファイルが良好な一致を示さないことがある。
その理由が、粒径分布が一種類ではなく、より大きな粒子径を持つ顔料粒子や高次に凝集した粒子も含まれるなど、複数の粒径分布を持っているからと仮定し、新たな粒径分布モデルを導入する。
工程(D)では、工程(C)にて得られる残差二乗和Z値が2%以下となるまで、新たな半径Rn+1の値(nは整数、 R<Rn+1)とそれぞれ仮の規格化分散値を加えて複数の粒径分布モデルを設定して前記工程(B)から(C)をn回繰り返す。
具体的には、より大きな平均粒子径を持つ新たな粒径分布モデルを仮定し、その半径をRとし(このときR>Rとする)、各成分の散乱強度IをI(1)、およびI(2)とすると、前期散乱強度式(5)の左項は式(7)、(8)のように修正される。

は1種類目の粒径分布広がりパラメータである。

は2種類目の粒径分布広がりパラメータである。
同様に3つ目の半径Rやそれ以上の分布を仮定した場合もI(3)、I(4)・・I(n)と記述することができる。
2個の平均粒子径をもつ粒径分布モデル系の全散乱強度ITotalは式(9)で表される。
Total=k(1)I(1)+k(2)I(2) ...(9)
k(1)、k(2)は、それぞれの成分の組成比を表すスケールファクターである。
同様に、3つ以上の平均粒子径をもつ粒径分布モデルを仮定し、合計n個の粒径分布モデルで全散乱強度を式(10)のように記述することができる。
Total=k(1)I(1)+k(2)I(2)+・・・+k(n)I(n)
...(10)
前期複数の粒径分布において、たとえばn個の各粒径分布成分の体積分率w(1)、w(2)・・・w(n)は、式(11)に示す比で表される。
w(1):w(2):・・・:w(n)=k(1):k(2):・・・:k(n)
・・・(11)
プロファイルフィッティングにおいて精密化する変数は、各粒径分布成分の平均粒子径(nm)、各粒径分布の幅を表す規格化分散値(%)、および各成分の体積分率(%)である。また、プロファイルフィッティングは測定プロファイルと全理論散乱プロファイルの残差二乗和であるZ値が最小となるよう実行され、前記各変数が決定される。
本(D)工程におけるプロファイルフィッティングが良好に収束しない場合、すなわち残差二乗和Z値の最小値が求められないとき、決定すべき変数が多過ぎることが原因になっていることがある。このとき、(C)工程で求められた規格化分散値を参考にして各粒径分布成分の規格化分散値を固定してもよい。本操作により、変数の少なくなった最小自乗法によるプロファイルフィッティングは収束が容易になる。こうして各粒径分布成分の平均粒子径、規格化分散値(%)、および各成分の体積分率(%)が解析結果として得られる。
有機顔料は、粉末、分散体、塗膜、及びカラーチップのいずれかに含有された状態であっても、一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率といった粒径物性値を測定することができる。また、ガラス基板上の塗膜であっても、1016Brilliance以上といった高輝度エックス線源も用いたX線散乱測定により有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率を測定することが可能であり、例えばカラーフィルター上の有機顔料を直接測定することが可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、特に言及がない場合、部及び%は質量換算である。
〈合成例1〉 ポリマーAの合成
キシレン100部を、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながらメタクリル酸エチル68部、メタクリル酸2−エチルヘキシル29部、チオグリコール酸3部、および重合開始剤(「パーブチル(登録商標)O」〔有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製〕)0.2部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチル(登録商標)O」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後不揮発分調整のためキシレンを加え、不揮発分50%の共重合体aのキシレン溶液を得た。
キシレン100部を、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながらメタクリル酸エチル66部、メタクリル酸2−エチルヘキシル28部、チオグリコール酸6部、および重合開始剤(「パーブチル(登録商標)O」〔有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製〕)0.3部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチル(登録商標)O」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分50%の、共重合体bのキシレン溶液を得た。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、キシレン54.5部、合成例2で得た共重合体aを19.0部、共重合体bを38.0部、およびポリアリルアミン20%水溶液(日東紡績(株)製「PAA−05」、数平均分子量約5,000)7.5部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら8時間140℃で反応を行った。
反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分40%の、変性ポリアミンであるポリマーAを得た。該樹脂の重量平均分子量は10,000、アミン価は22.0mgKOH/gであった。
〈製造例1〉粉末顔料1の製造
DIC株式会社製のFASTOGEN Green A110(C.I.Pigment Green 58、臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン)を、粉末顔料1とした。
〈製造例2〉粉末顔料2の製造
粉末顔料1を10部、粉砕した塩化ナトリウムを100部、ジエチレングリコール10部を双腕型ニーダーで100℃8時間近連した。混練後、80℃の水1000部を加え、一時間撹拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、粉末顔料2を得た。
〈製造例3〉粉末顔料3の製造
製造例1で得た粉末顔料1を100部、ヘプタンを300部、ポリマーAを10部混合し、1.25mmジルコニアビーズを300部加えて、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社製)で常温にて、1時間撹拌したのち、ヘプタン200部で希釈し、ジルコニアビーズを濾別し、顔料混合液を得た。
得られた顔料混合液の400部を温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、メタクリル酸メチルの5部およびエチレングリコールジメタクリレートの5部の重合性単量体組成物に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の2部を溶解したものを加えた。室温で30分間攪拌を続けた後、80℃に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、濾過を行い、得られたウエットケーキを熱風乾燥機により100℃で5時間乾燥後、粉砕機にて粉砕を行い、粉末顔料3を得た。
〈製造例4〉粉末顔料4の製造
製造例1で得た粉末顔料1を200部、ポリマーAを20部、水300部に1.25mmジルコニアビーズを300部投入し、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社製)で1時間混合したのち、pH2になるまで塩酸を加えて粉末顔料前駆体を析出させ、濾過を行った。その後、粉末顔料前駆体110部ヘプタン300部とジルコニアビーズ300部を加え、ペイントシェーカーを用いて1時間混合し1時間撹拌したのち、ヘプタン200部で希釈し、ジルコニアビーズを濾別し、顔料混合液を得た。
得られた顔料混合液の400部を温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、メタクリル酸メチルの5部およびエチレングリコールメタクリレートの5部の重合性単量体組成物に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の2部を溶解したものを加えた。室温で30分間攪拌を続けた後、80℃に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、濾過を行い、得られたウエットケーキを熱風乾燥機により100℃で5時間乾燥後、粉砕機にて粉砕を行い、粉末顔料4を得た。
〈製造例5〉粉末顔料5の製造
製造例1で得た粉末顔料1を100部、ポリマーAを10部、それぞれを温度計、攪拌機、還流冷却器を備えたセパラブルフラスコで、120℃1時間撹拌した。得られた混合液に、ヘプタン300部、1.25mmジルコニアビーズを300部投入し、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社製)で1時間混合したのち、ヘプタン200部で希釈し、ジルコニアビーズを濾別し、顔料混合液を得た。
得られた粉末顔料混合液の400部を温度計、攪拌機、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、メタクリル酸メチルの5部およびエチレングリコールジメタクリレートの5部の重合性単量体組成物に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の2部を溶解したものを加えた。室温で30分間攪拌を続けた後、80℃に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、濾過を行い、得られたウエットケーキを熱風乾燥機により100℃で5時間乾燥後、粉砕機にて粉砕を行い、粉末顔料5を得た。
〈製造例6〉分散液1の製造
製造例1で得た粉末顔料1を5部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMA)を33.3部、ポリマーAを3部混合し、0.5mmセプラビーズを65部加えて、ペイントシェーカー(東洋精機株式会社製)で4時間撹拌した。得られた混合液からセプラビーズを濾別し、分散液1を得た。
〈製造例7、8〉分散液2および3の製造
製造例6において、粉末顔料1を粉末顔料2及び3に、ポリマーAをBYK6919(ビックケミージャパン株式会社製)に変えた以外は同様にして、分散液2及び3を得た。
〈製造例9〉分散液4の製造
製造例7において、粉末顔料2を5部、PGMAを33.3部、BYK6919を3部に対し、さらにピリジンを0.1部添加した以外は同様にして、分散液4を得た。
〈製造例10〉分散液5の製造
製造例9において、ピリジンをモルホリンに変更した以外は同様にして、分散液5を得た。
〈製造例11〉塗膜1の製造
カバーガラス(東京硝子器械社製、硼珪酸製カバーガラス)をスピンコーター(ミカサ(株)社製、Opticoat MS−A100)にセットし、製造例6で得た分散液1を1.5ml供し、600rpmで塗工した。得られた塗工物を恒温機中で90度3分間乾燥させ、塗膜1を得た。
〈製造例12〉塗膜2の製造
製造例11において、90℃3分間を230℃3時間に変更した以外は同様にして、塗膜2を得た。
〈製造例13、14〉塗膜3及び4の製造
製造例10及び11において、分散液1を分散液2に変更した以外は同様にして、塗膜3及び4を得た。
〈製造例15、16〉塗膜5及び6の製造
製造例10及び11において、分散液1を分散液3に変更した以外は同様にして、塗膜5及び6を得た。
〈製造例17、18〉塗膜7及び8の製造
製造例10及び11において、分散液1を分散液4に変更した以外は同様にして、塗膜7及び8を得た。
〈製造例19、20〉塗膜9及び10の製造
製造例10及び11において、分散液1を分散液5に変更した以外は同様にして、塗膜9及び10を得た。
〈実施例1〉USAXSでの粉末顔料1の測定
粉末顔料1を10mg、石英製ガラスキャピラリー(直径 1mm)に3cm程充填し、ステンレス製試料ホルダーに固定した。その後、ホルダーを透過用試料台にセットした。以下の条件で超小角エックス線散乱解析を行い、結果を表1に示した。
測定機器、測定方法は以下の通り。
測定装置:大型放射光施設:SPring−8の中で、フロンティアソフトマター開発産学連合が所有するビームライン:BL03XU 第2ハッチ
測定モード:超小角X線散乱(USAXS)
測定条件:波長0.1nm、カメラ長6m、ビームスポットサイズ 140μm×80μm、アテネーター 厚さ10μmのAu薄膜ないし厚さ20μmのAu薄膜、露光時間 1〜20秒、2θ= 0.01〜1.5°
解析ソフト:2次元データの画像化と1次元化をFit2D (European Synchrotron Radiation Facilityのホームページ[http://www.esrf.eu/computing/scientific/FIT2D/]より入手)
粒度分布の解析を(株)リガク社製ソフトウェアNANO−Solverで行った。
解析の詳細は以下の通りである。
散乱体モデルを球、測定方法を透過法、粒子をBr化−ZnPc、マトリックスをairで選択する。
Z値:一次粒子のみ計算時に10%以下であり、2次粒子まで設定し計算した時に0.5%以下であること。
〈実施例2〜5〉USAXSでの粉末顔料2〜5の測定
実施例1において、粉末顔料1を粉末顔料2〜5に変えた以外は同様にして、超小角エックス線散乱解析を行い、結果を表1に示した。
〈比較例1〉SAXS(小角エックス線散乱解析)での粉末顔料1の測定
粉末顔料1を約10mg、SUS製試料ホルダーの四角形孔(縦10mm、横7mm、厚さ0.3mm)にポリプロピレンフィルムで両面から挟み込んで固定し、透過用試料台にセットした。以下の条件で小角エックス線散乱解析を行い、結果を表1に示した。
測定機器、測定方法は以下の通り。
測定装置:(株)リガク社製X線回折装置RINT−TTRII
測定モード:小角X線散乱(SAXS)
測定条件:CuKα特性X線(波長 0.154nm)、管電圧50kV、管電流300mA、露光時間 40分、2θ= 0.1〜8°
解析ソフト:粒度分布の解析を(株)リガク社製ソフトウェアNANO−Solverで行った。解析の詳細は以下の通りである。
[1] 散乱体モデルを球、測定方法を透過法、粒子をBr化−ZnPc、マトリックスをairで選択する。
Z値:計算時に2%以下であること。
〈比較例2〜5〉SAXSでの粉末顔料2〜5の測定
比較例1において、粉末顔料1を粉末顔料2〜5に変えた以外は同様にして、小角エックス線散乱解析を行い、結果を表1に示した。
〈実施例6〉USAXSでの分散液1の測定
分散液1を0.5 ml、石英製ガラスキャピラリー(直径 2mm)に充填し、ステンレス製試料ホルダーに固定した。その後、ホルダーを透過用試料台にセットした。以下の条件で超小角エックス線散乱解析を行い、結果を表2に示した。
測定機器、測定方法は以下の通り。
測定装置:大型放射光施設:SPring−8の中で、フロンティアソフトマター開発産学連合が所有するビームライン:BL03XU 第2ハッチ
測定モード:超小角X線散乱(USAXS)
測定条件:波長0.1nm、カメラ長6m、ビームスポットサイズ 140μm×80μm、アテネーター 厚さ10μmのAu薄膜ないし厚さ20μmのAu薄膜、露光時間 1〜20秒、2θ= 0.01〜1.5°
解析ソフト:2次元データの画像化と1次元化をFit2D (European Synchrotron Radiation Facilityのホームページ[http://www.esrf.eu/computing/scientific/FIT2D/]より入手)
粒度分布の解析を(株)リガク社製ソフトウェアNANO−Solverで行った。解析の詳細は以下の通りである。
散乱体モデルを球、測定方法を透過法、粒子をBr化−ZnPc、マトリックスをairで選択する。
Z値:計算時に2%以下であること。
〈実施例7〉USAXSでの分散液2の測定
実施例6において、分散液1を分散液2に変えた以外は同様にして、超小角エックス線散乱解析を行い、結果を表2に示した。
〈実施例8〉USAXSでの塗膜1の測定
塗膜1をAl製試料ホルダーにテープで貼り付け、透過用の試料台にセットした。以下の条件で超小角エックス線散乱解析を行い、結果を表3に示した。
測定機器、測定方法は以下の通り。
測定装置:大型放射光施設:SPring−8の中で、フロンティアソフトマター開発産学連合が所有するビームライン:BL03XU 第2ハッチ
測定モード:超小角X線散乱(USAXS)
測定条件:波長0.1nm、カメラ長6m、ビームスポットサイズ 140μm×80μm、アテネーター なし、露光時間 30秒、2θ= 0.01〜1.5°
解析ソフト:2次元データの画像化と1次元化をFit2D (European Synchrotron Radiation Facilityのホームページ[http://www.esrf.eu/computing/scientific/FIT2D/]より入手)
粒度分布の解析を(株)リガク社製ソフトウェアNANO−Solverで行った。解析の詳細は以下の通りである。
散乱体モデルを球、測定方法を透過法、粒子をBr化−ZnPc、マトリックスをairで選択する。
Z値:一次粒子のみ計算時に10%以下であり、2次粒子まで設定し計算した時に5%以下であり、3次粒子まで設定し計算した時に0.5%以下であること。
〈実施例9〜17〉USAXSでの塗膜2〜10の測定
実施例8において、塗膜1を塗膜2〜10に変えた以外は同様にして、超小角エックス線散乱解析を行い、結果を表3に示した。
〈比較例6〉SAXSでの塗膜1の測定
塗膜1をAl製試料ホルダーにテープで貼り付け、透過用の試料台にセットした。以下の条件で小角エックス線散乱解析を行い、結果を表4に示した。
測定機器、測定方法は以下の通り。
測定装置:大型放射光施設:SPring−8の中で、フロンティアソフトマター開発産学連合が所有するビームライン:BL03XU 第2ハッチ
測定モード:小角X線散乱(SAXS)
測定条件:波長0.1nm、カメラ長2m、ビームスポットサイズ 140μm×80μm、アテネーター なし、露光時間 30秒、2θ= 0.1〜4°
解析ソフト:2次元データの画像化と1次元化をFit2D (European Synchrotron Radiation Facilityのホームページ[http://www.esrf.eu/computing/scientific/FIT2D/]より入手)
粒度分布の解析を(株)リガク社製ソフトウェアNANO−Solverで行った。解析の詳細は以下の通りである。
散乱体モデルを球、測定方法を透過法、粒子をBr化−ZnPc、マトリックスをairで選択する。
Z値:計算時に2%以下であること。
〈比較例7−15〉SAXSでの塗膜2〜10の測定
比較例6において、塗膜1を塗膜2〜10に変えた以外は同様にして、小角エックス線散乱解析を行い、結果を表4に示した。
〈参考例1−10〉 塗膜の輝度測定
製造例11−20で得られた塗膜1−10に対して、輝度の測定を行い、結果を表3に示した。
測定方法は以下の通り。
輝度(Y値)は、大塚電子(株)製分光光度計MCPD−3000を使用して、C2光源測色でCIE発色系色度におけるY値を測定した。ここでは、輝度(Y値)が大きいほど視覚明度が高いと評価した。なお、用いた塗膜は色度座標y値が0.48となるように作製したものである。
〈参考例11−14〉透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた粒径の測定
参考例11として、塗膜1についてTEM画像を撮影し、図1に示した。
参考例12として、塗膜3についてTEM画像を撮影し、図2に示した。
参考例13として、塗膜4についてTEM画像を撮影し、図3に示した。
参考例14として、塗膜7についてTEM画像を撮影し、図4に示した。
測定機器、測定方法は以下の通り。
測定装置:JEM2200(日本電子(株)製)
測定モード:TEMモード(電子線透過モード)
測定条件:加速電圧 200kV、写真倍率 20,000倍。
〈参考例15−18〉走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた粒径の測定
参考例15として、塗膜1についてSEM画像を撮影し、図5に示した。
参考例16として、塗膜3についてSEM画像を撮影し、図6に示した。
参考例17として、塗膜4についてSEM画像を撮影し、図7に示した。
参考例18として、塗膜7についてSEM画像を撮影し、図8に示した。
測定機器、測定方法は以下の通り。
測定装置:JSM7500(日本電子(株)製)
測定モード:2次電子像観察モード
測定条件:加速電圧 0.5kV、写真倍率 50,000倍。
表1からわかるとおり、従来の小角エックス線散乱測定では、紛体顔料の一次粒子までしか測定できなかったが、超小角エックス線散乱測定では二次粒子まで粒子物性が測定可能となった。
塗膜中の有機顔料においては、参考例11−18のTEM・SEM画像によると、塗膜1、3、4と比較すると明らかに塗膜7において高次粒子が多くみられた。しかし、一次粒子と高次粒子の平均粒径や体積分率といった具体的な粒子物性値を正確に計算するのは非常に困難である。
一方、実施例9−18の超小角エックス線散乱測定においては、一次粒子だけでなく高次粒子の粒径や体積分率まで測定することができた。高次粒子が多く、一次粒子の体積分率が90%未満である塗膜7、8、9においては、輝度が58未満であった。また、一次粒子の体積分率が90%以上の塗膜1−6、及び10においては、塗膜の輝度が58以上であり、本発明の測定方法を用いることによって、塗膜状の有機顔料の粒径物性値と輝度との相関性がはっきりと示せることが明らかとなった。
一方、比較例6−15の小角エックス線散乱では一次粒子までしか測定できないため、高次粒子の存在はわからず、得られた一次粒子の平均粒径や規格化分散値からは、輝度との相関性が見いだせなかった。
本発明の測定方法によれば、有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率といった粒径物性値を正確に精度よく、簡便に測定することができる。
また、有機顔料の形態が分散液だけでなく、紛体、塗膜、印刷物やカラーチップの状態でも測定することができる。さらには、有機顔料をガラス基板に塗布した塗膜における有機顔料の一次粒子、二次粒子や三次粒子といった高次粒子の平均粒径及び規格化分散値、体積分率を測定することができ、例えば、カラーフィルター用のインキを製造する際に、その有機顔料の粒子径及び規格化分散値を粉末原料の状態から分散体であるペースト、あるいは塗膜化された最終工程まで、工程毎に追跡することができ、製品管理の上でも有用となる。

Claims (4)

  1. 超小角エックス線散乱法に基づき、有機顔料の超小角エックス線散乱プロファイル(測定散乱プロファイル)を測定する工程(A)と、
    前記有機顔料を、半径Rの球状粒子であって粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、仮の半径R1の値と仮の粒径分布モデルから、理論散乱プロファイルをシミュレーションにより求める工程(B)と、
    該理論散乱プロファイルと前記測定散乱プロファイルとをカーブフィッティングさせて、前記理論散乱プロファイルと前記測定散乱プロファイルとの残差二乗和Z値を得る工程(C)と、
    工程(C)にて得られる残差二乗和Z値が2%以下となるまで、新たな半径Rn+1の値(nは整数、 Rn<Rn+1)とそれぞれ仮の規格化分散値を加えて複数の粒径分布モデルを設定して前記工程(B)から(C)をn回繰り返し、前記理論散乱プロファイルと前記測定散乱プロファイルとをカーブフィッティングさせた結果から有機顔料の一次粒子径及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率のうちの少なくとも一種を決定する工程(D)とを有することを特徴とする、有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率のうちの少なくとも一種である、有機顔料の粒径物性値の測定方法。
  2. 前記有機顔料が、粉末、分散体、塗膜、及びカラーチップのいずれかに含有された状態である請求項1記載の有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率のうちの少なくとも一種である、有機顔料の粒径物性値の測定方法。
  3. 前記有機顔料が、ガラス基板に塗膜された有機顔料である、請求項2に記載の有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率の少なくとも一種である、有機顔料の粒径物性値の測定方法。
  4. 前記ガラス基板に塗膜化された有機顔料が、カラーフィルターに塗膜された有機顔料である、請求項3に記載の有機顔料の一次粒子及び高次粒子の平均粒子径、規格化分散値、体積分率のうちの少なくとも一種である、有機顔料の粒径物性値の測定方法。
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