JP2013095642A - 強化ガラス基板のスクライブ方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基板Mの一端縁より内側に入り込んだ位置で、点状の尖端または線状の尖端を有するけがき部材11を、基板Mに対し上方から下降するようにして衝突させて衝突痕を形成することで基板M表面の圧縮応力層を剥離し、当該衝突痕をスクライブの起点となるトリガ溝T1として形成する剥離工程と、カッターホイール12をトリガ溝に当接して圧接転動させることによりスクライブラインSを形成するスクライブ工程とによるスクライブを行う。
【選択図】図4
Description
ここで、「強化ガラス」とは、製造工程中におけるイオン交換による化学的処理により、ガラス基板の基板表面層(基板表面から深さが5μm〜50μm程度)に圧縮応力が残留する圧縮応力層が形成され、基板内部に引張応力が残留するように製造されたガラスをいう。
強化ガラスの特徴は、圧縮応力層の影響で外力に対し割れにくい性質を有する反面、一旦、基板表面に亀裂が生じて残留引張応力が存在する基板内部まで進むと、今度は逆に亀裂が深く浸透しやすくなる性質を有している。
前者のスクライブラインを形成する工程では、基板表面に対して円盤状のカッターホイール(スクライビングホイールともいう)を圧接転動させることによりスクライブする方法が知られており、例えば特許文献1などで開示されている。
このように、外切りと内切りとは、それぞれ長所短所を有しているため、基板の種類や用途によって、外切りと内切りとを使い分けている。
そのため、強化ガラスでは、外切りよりも内切りでのスクライブの方が好ましいと考えられる。
すなわち、本発明のスクライブ方法では、基板表面に圧縮応力層が形成された強化ガラス基板に対し、スクライブラインを形成する強化ガラス基板のスクライブ方法であって、
(a)基板の一端縁より内側に入り込んだ位置で、点状の尖端または線状の尖端を有するけがき部材を、基板に対し上方から下降するようにして衝突させて衝突痕を形成することで基板表面の圧縮応力層を剥離し、当該衝突痕をスクライブの起点となるトリガ溝として形成する剥離工程と、
(b)カッターホイールをトリガ溝に当接して圧接転動させることによりスクライブラインを形成するスクライブ工程とからなるようにしている。
以下において本発明に係るスクライブ方法の詳細を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明方法を実施する際に用いるスクライブ装置の一例を示す正面図である。スクライブ装置SC1では、けがき部材としてダイヤポインタを用いる。
スクライブ装置SC1は、強化ガラス基板Mを上面に保持するとともに、水平方向の回転機構を有するテーブル4と、このテーブル4を一方向(紙面に垂直方向)に移動可能に保持するレール5と、テーブル4の上方でレール5と直交する方向(図1の左右方向)に橋架されたガイドバー6とを備えている。
このガイドバー6には、水平方向に移動可能に設けられた2基のスクライブヘッド7a、7bと、スクライブヘッド7a、7bの下端に昇降可能に装着されたホルダ8a、8bとを備えている。このうち、一方のホルダ8aには衝突痕を形成するためのけがき部材であるダイヤポインタ11が取り付けられ、他方のホルダ8bにはカッターホイール12が取り付けられている。
まず図4(a)〜(c)に示すように、基板Mに想定したスクライブ予定ライン上で、基板Mの一端縁より内側(例えば3mm内側)に入り込んだ箇所にダイヤポインタ11を、あらかじめ予備実験で求めた衝突圧で、上からガラス基板Mの表面を軽く打ちつけるように降下させ、その後、上昇させることにより、点状の衝突痕T1を形成する。この衝突痕は次工程でスクライブの起点として用いるので、「トリガ溝T1」とも呼ぶ。衝突痕T1を大きくするときは、続いて図4(d)に示すように、ダイヤポインタ11を衝突痕T1に再び当接させてスクライブ予定ラインの方向に水平移動させて拡張し、長さが1mm〜3mm程度のトリガ溝T1’とする。拡張したトリガ溝T1’を形成することにより、カッターホイール12の刃先が合わせやすくなる。
図5は、本発明方法を実施する際に用いるスクライブ装置の他の一例を示す概略的な正面図である。なお、図1と同じ部分については同符号を付すことにより、説明を省略する。このスクライブ装置SC2では、けがき部材として直刃の固定刃13を用いる。
図6(a)は、固定刃13の正面図、図6(b)は側面図である。固定刃13は超硬合金の円柱ロッド13aの片側端に、直刃13bが形成してある。直刃13bの刃先長さaは1mm〜3mmにしてあり、刃先を基板Mに衝突させると、刃先長さaの直線状の衝突痕T2が形成される(図7参照)。なお、直刃13bの刃先長さaを短くし、上述した実施形態1と同様に、衝突後に直刃13bの刃先を当接した状態で水平移動することにより衝突痕を拡張するようにして1mm〜3mmにしてもよい。このようにして形成された衝突痕T2は、トリガ溝T2を形成することになる。
次に、このスクライブ装置SC2を用いたスクライブ方法を説明する。
図8は、本発明方法を実施する際に用いるスクライブ装置のさらに他の一例を示す概略的な正面図である。なお、図1と同じ部分については同符号を付すことにより、説明を省略する。このスクライブ装置SC3では、けがき部材として、図3で示したカッターホイール12を用いる。すなわち、衝突痕を形成するけがき部材として、カッターホイール12を兼用する。
そのため、ガイドバー6には、図1におけるスクライブヘッド7bだけが用いられ、図1におけるスクライブヘッド7a、および、これに装着されるホルダ8a、けがき部材11、13(図1,5参照)は取り付けられていない。
まず図9(a)〜(c)に示すように、基板Mに想定したスクライブ予定ライン上で、基板Mの一端縁より内側に入り込んだ箇所にカッターホイール12を、上からガラス基板Mの表面を軽く打ちつけるように降下させ、そのあと上昇させることにより、稜線に対応した線状の衝突痕T3(トリガ溝T3)を形成する。ここでは長さが2mm程度のトリガ溝T3が形成されたものとする。
また、上記実施形態では、カッターホイール12に溝無しホイールを用いたが、溝付きホイールにしてもよい。溝付きホイールを用いることによりさらに食いつきがよくなる。
上記実施形態では、衝突痕であるトリガ溝を形成したが、衝突痕を設けた位置は基板の端縁近傍であるため、この部分を端材領域としておき、最終的には端材として廃棄するようにすれば、製品には衝突痕がついていないので衝突痕による問題は発生しない。
その他本発明では、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
S スクライブライン
T1、T2、T3 衝突痕(トリガ溝)
11 ダイヤポインタ
12 カッターホイール
13 固定刃
Claims (5)
- 基板表面に圧縮応力層が形成されている強化ガラス基板に対し、スクライブラインを形成する強化ガラス基板のスクライブ方法であって、
(a)前記基板の一端縁より内側に入り込んだ位置で、点状の尖端または線状の尖端を有するけがき部材を、前記基板に対し上方から下降するようにして衝突させて衝突痕を形成することで基板表面の圧縮応力層を剥離し、当該衝突痕をスクライブの起点となるトリガ溝として形成する剥離工程と、
(b)カッターホイールを前記トリガ溝に当接して圧接転動させることによりスクライブラインを形成するスクライブ工程とからなる強化ガラス基板のスクライブ方法。 - 前記けがき部材は、先端が尖ったポインタ、または、先端に直刃が形成された固定刃である請求項1に記載の強化ガラスのスクライブ方法。
- 前記けがき部材がカッターホイールである請求項1に記載の強化ガラスのスクライブ方法。
- 前記剥離工程において、前記けがき部材を前記衝突痕から水平に移動させることにより1mm〜3mmの長さのトリガ溝に拡大する請求項1または2に記載の強化ガラスのスクライブ方法。
- 衝突痕の深さが圧縮応力層の厚さより小さくなるようにけがき部材を衝突させる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の強化ガラスのスクライブ方法。
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