JP2013092157A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却水の流通が制限されて通常とは異なる温度環境下におかれる内燃機関において、信頼性の低い制御が実行されたり、不適切な時期をもって制御が実行されたりすることを抑制する。
【解決手段】内燃機関(1)は、冷却水温を検出する水温センサ(92)と電動式のウォータポンプ(56)とを有している。電子制御装置(91)は冷却水温が基準温度よりも低いときにはウォータポンプ(56)の駆動を停止する。一方、電子制御装置(92)は、冷却水温が基準温度よりも高いときにはウォータポンプ(56)を冷却水温に応じて駆動する。内燃機関(1)は、ウォータポンプ(56)の駆動が停止されているときには、機関制御の少なくとも1つをウォータポンプ(56)の駆動停止が解除されるまで禁止するとともに、その解除後、冷却水温が所定値に収束して平衡状態に移行するまでその禁止を継続する。
【選択図】図1
【解決手段】内燃機関(1)は、冷却水温を検出する水温センサ(92)と電動式のウォータポンプ(56)とを有している。電子制御装置(91)は冷却水温が基準温度よりも低いときにはウォータポンプ(56)の駆動を停止する。一方、電子制御装置(92)は、冷却水温が基準温度よりも高いときにはウォータポンプ(56)を冷却水温に応じて駆動する。内燃機関(1)は、ウォータポンプ(56)の駆動が停止されているときには、機関制御の少なくとも1つをウォータポンプ(56)の駆動停止が解除されるまで禁止するとともに、その解除後、冷却水温が所定値に収束して平衡状態に移行するまでその禁止を継続する。
【選択図】図1
Description
本発明は、機関回転速度に依存することなく吐出量を変更できるポンプにより冷却水を循環させる冷却装置を備える内燃機関の制御装置に関する。
近年、内燃機関においては、電動式のウォータポンプなど、機関運転状態に依存することなく吐出量を変更することのできるポンプを用いた冷却装置が実用化されるに至っている。このようなポンプを備える内燃機関においては、例えば、機関暖機時など冷却水温が低いときにはポンプの吐出量を制限することで、機関本体と冷却水との熱交換を抑制してその暖機を促進するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
内燃機関においては機関運転状態を適切な状態に維持すべく各種制御が実行されている。例えば、実空燃比の理論空燃比に対する定常的なずれを燃料噴射弁等の個体差、経年変化として学習する空燃比学習制御や、バルブタイミングを適正に維持して内燃機関の性能を向上させるバルブタイミング可変機構の制御などがこれらの一例として挙げられる。
このような制御においては、内燃機関の各部の温度状態を把握した上で、同制御を実行する必要がある。例えば、空燃比制御において、内燃機関の暖機が完了していないときには、噴射燃料の過度な壁面付着や不完全燃焼等々の影響を大きく受けるため、検出される実空燃比の理論空燃比に対する乖離は燃料噴射弁等の個体差としてこれを学習するには不適切な値となる。また、バルブタイミング可変機構の制御においては、作動油の温度に応じて同制御に対する応答性が変化するため、同制御の実行にあたっては、作動油の温度を把握する必要がある。
このような内燃機関の各部の温度状態は、一般に冷却水温の検出値との間に相関関係があるため、同冷却水温に基づいて判断される。しかしながら、上述のように早期暖機を図るべくポンプの吐出量が制限される期間においては、冷却水温の検出値と内燃機関の各部の温度状態との間には必ずしも相関関係が成立しない。このため、このような期間に上述のような制御が行われると、その制御は信頼性の低いものとなるおそれがある。また、冷却水温の検出値が所定の条件を満たすことをもって実行する制御については、これが不適切な時期に実行されるおそれもある。
また、このような問題は、空燃比学習制御及びバルブタイミング可変機構の制御に限られるものではなく、内燃機関の各部における温度状況が影響を及ぼす内燃機関の各種制御において概ね共通したものとなっている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却水の流通が制限されて通常とは異なる温度環境下におかれる内燃機関において、信頼性の低い制御が実行されたり、不適切な時期をもって制御が実行されたりすることを抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、冷却水が流通する機関冷却系と、前記冷却水の温度を検出する水温検出部と、機関運転状態に依存することなく前記冷却水の吐出量を変更可能なポンプと、冷却水温が基準温度よりも低いときには高いときと比較して前記機関冷却系における冷却水の流通が制限されるように前記ポンプの吐出量を制御する制御部とを備える内燃機関の制御装置において、機関制御の少なくとも1つを冷却水の流通にかかる制限が解除されるまで禁止するとともに、その冷却水の流通にかかる制限が解除された後、前記検出される冷却水温が所定値に収束して平衡状態に移行するまで、前記機関制御の禁止を継続するようにしている。
上述したように、冷間始動時等において早期暖機を図るために冷却水の流通を禁止する等、その流通を制限するようにした場合には、こうした流通の制限を実行しない場合と異なり、水温検出部により検出される冷却水の温度と内燃機関の各部における温度との相関関係が低下するようになる。また、冷却水の流通が制限されることにより、内燃機関において局所的に大きな温度差が生じる等、通常の機関運転時には発生しないような温度状況となることもある。このため、こうした状況のもとで機関制御を行った場合、その機関制御の内容如何によっては、制御の信頼性が低下したり、制御の実行そのものが不要であるにもかかわらずこれが実行されたりするといったこととなる。
同構成によれば、上述したように冷却水の流通が制限されて通常とは異なる温度環境下におかれる内燃機関において、信頼性の低い制御が実行されたり、不適切な時期をもって制御が実行されたりすることを回避することができる。
なお、冷却水の流通にかかる制限が解除された後であっても、冷却水が機関冷却系においてある程度循環して冷却水温が平衡状態に移行するまでは、その程度は徐々に緩和されるとはいえ、内燃機関は通常とは異なる温度環境下におかれることとなる。この発明によれば、信頼性の低い制御が実行されたり、不適切な時期をもって制御が実行されたりすることをより確実に回避することができるようになる。
以下、この発明にかかる内燃機関の制御装置を具体化した実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の構成について説明する。
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の構成について説明する。
同図1に示すように、内燃機関1のシリンダブロック11には、複数のシリンダ21(図1ではその1つのみを図示)が形成されるとともに、それらシリンダ21の内部にはピストン23が往復動可能に設けられている。また、このシリンダブロック11の上部にはシリンダヘッド12が組み付けられる一方、その下部には作動油が貯留されるオイルパン14が組み付けられている。内燃機関1の燃焼室22は、ピストン23の頂面、シリンダ21の内壁面及びシリンダヘッド12の下面によって区画形成されている。
シリンダブロック11の内部にはウォータジャケット52が形成されている。シリンダブロック11には、この冷却水の水温(以下、冷却水温THW)を検出する水温センサ92が取り付けられている。なお、この冷却水温THWは、内燃機関1の各部位や作動油の温度と相関があるため、それらの代替値として用いられる。
燃焼室22に連通する吸気通路30において、その一部を構成するスロットルボディ63には電子制御式のスロットル弁60が内蔵されている。このスロットル弁60は、モータ61によってその開度(以下、スロットル開度TA)が調節されることにより、燃焼室22に導入される吸入空気の量(以下、吸入空気量GA)を調節する。なお、このスロットルボディ63にはスロットル弁60の開度を全閉状態に機械的に規制する規制部64と、その開度TAを検出するスロットルセンサ96とが設けられている。
また、シリンダヘッド12には、燃焼室22の内部に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁26、及び燃焼室22の混合気の点火を行う点火プラグ27が設けられている。混合気の燃焼によってピストン23が押し下げられることによりクランクシャフト24が回転して駆動力が得られる。このクランクシャフト24の回転速度、すなわち機関回転速度NEはクランク角センサ98により検出される。一方、吸気カムシャフト34の近傍にはその回転位相を検出するカム角センサ94が設けられている。また、燃焼室22の近傍には、混合気が異常燃焼したときに発生するノッキングを検出するノッキングセンサ95が取り付けられている。
燃焼室22に連通する排気通路31には、排気を浄化するための排気浄化触媒41が設けられている。なお、この排気浄化触媒41は理論空燃比近傍での燃焼が行われる状態において、排気中の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)を酸化するとともに同排気中の窒素酸化物(NOx)を還元して排気を浄化する機能を有している。また、排気通路31において、排気浄化触媒41の近傍には排気中の酸素濃度DOを検出する空燃比センサ97が取り付けられている。
さらに、シリンダヘッド12には、燃焼室22と吸気通路30とを連通・遮断する吸気バルブ32と、燃焼室22と排気通路31とを連通・遮断する排気バルブ33とが往復動可能に設けられている。これら吸気バルブ32、排気バルブ33は、クランクシャフト24と同期して回転する吸気カムシャフト34、排気カムシャフト35によりそれぞれ開閉駆動される。また、吸気カムシャフト34には、クランクシャフト24に対する相対回転位相を調節して吸気バルブ32のバルブタイミングを進角又は遅角させるバルブタイミング可変機構70が設けられている。
このバルブタイミング可変機構70には、油圧回路71を通じて作動油が供給される。この油圧回路71の一部を構成する進角側油路72及び遅角側油路73は、バルブタイミング可変機構70とオイルコントロールバルブ74とをそれぞれ接続している。また、油圧回路71は、オイルコントロールバルブ74に一端が接続される供給通路76及び排出通路77を有している。これら供給通路76及び排出通路77は、他端がオイルパン14に接続されている。また、供給通路76の途中にはオイルパン14の作動油をオイルコントロールバルブ74に向けて吐出するオイルポンプ75が設けられている。
また、オイルコントロールバルブ74は、電子制御装置91から出力される駆動信号のデューティ比DVTに基づいてそのスプール(図示略)を変位させることにより、バルブタイミング可変機構70に対する作動油の給排状態を制御する。換言すれば、進角側油路72及び遅角側油路73における作動油の供給状態と排出状態とを制御する。
電子制御装置91は、これに接続された水温センサ92、カム角センサ94、ノッキングセンサ95、スロットルセンサ96、空燃比センサ97、クランク角センサ98、アクセルセンサ99等の各種センサの検出値を取り込むとともに、これらセンサの検出値に基づいて燃料噴射制御、点火時期制御、スロットル開度制御といった各種制御を実行する。
次に、図2を参照して内燃機関1の冷却装置50について説明する。この冷却装置50は、電動式のウォータポンプ56の他、ウォータジャケット52等を含めた冷却水通路53、冷却水温THWを検出する水温センサ92、ラジエータ51、及びサーモスタット57を含めて構成される。また、スロットルボディ63には冷却水通路53の一部を構成する流通路53aが形成されている。
また、機関冷却系としての冷却水通路53は、ラジエータ51を迂回する迂回通路55を含み、この迂回通路55の下流端部にサーモスタット57が設けられている。このサーモスタット57は、内部に設けられた弁体の位置が冷却水温THWに応じて変化する感温式のものであり、冷却水通路53においてラジエータ51の下流側部分からウォータポンプ56の上流側部分に至る部分の連通状態を変更することにより、同ラジエータ51を流通する冷却水の流量を調整する。すなわち、冷却水温THWが低いときには、ラジエータ51からウォータジャケット52への冷却水の流入を禁止し、迂回通路55からウォータジャケット52への冷却水の流入を許容する。一方、冷却水温THWが高くなるとラジエータ51からウォータジャケット52への冷却水の流入を許容する。換言すれば、ウォータポンプ56からウォータジャケット52に吐出された冷却水は、ラジエータ51を介して再びウォータポンプ56に戻されるようになる。その結果、ラジエータ51では冷却水と外気との間で熱交換が行われるようになり、冷却水温THWが低下するようになる。
ところで、機関始動後においては、内燃機関1の暖機を早期に完了させることが燃費や燃焼安定性を向上させる上で望ましい。そこで、本実施形態の冷却装置50では、内燃機関1の暖機が完了するまではウォータポンプ56の駆動を停止し、冷却水通路53における冷却水の流通を禁止するようにしている。
以下、図3を参照して、こうしたウォータポンプ56における駆動制御の具体的な処理手順について説明する。なお、この処理は電子制御装置91により所定の演算周期毎に繰り返し行われる。
まず、電子制御装置91は、水温センサ92により検出される冷却水温THWが基準温度TX未満か否かを判断する(ステップS110)。基準温度TXは、内燃機関1の暖機が完了したか否かを判断するための値であり、サーモスタット57の開弁温度よりも低い値に予め設定されている。
電子制御装置91は、冷却水温THWが基準温度TX以上であると判断した場合は(ステップS110:NO)、ウォータポンプ56を駆動する(ステップS130)。ちなみにこの場合、電子制御装置91は、冷却水温THWに応じてウォータポンプ56の吐出量を変更する。
一方、冷却水温THWが基準温度TX未満であると判断した場合は(ステップS110:YES)、ウォータポンプ56の駆動を停止する(ステップS120)。すなわち、冷間時等、冷却水温THWが基準温度TX未満である状態の下で機関始動が実行された場合には、ウォータポンプ56はその駆動が停止されたままの状態に維持される。電子制御装置91は、このような制御を通じて内燃機関1の暖機を速やかに完了する。
ところで、電子制御装置91は、空燃比センサ97で検出される排気中の酸素濃度DOに基づいて燃焼される混合気の空燃比が理論空燃比となるように燃料噴射量等をフィードバック補正し、このフィードバック補正量に相当する空燃比補正係数FAFに基づいて空燃比学習値KGを更新する空燃比制御処理を行っている。空燃比学習値KGの更新は、機関個体差などに起因して発生する理論空燃比と実空燃比との間の定常的な乖離度に相当する値であるため、内燃機関1の暖機が完了して、内燃機関が通常の運転状態にあるときに行う必要がある。
この点、ウォータポンプ56の駆動を停止しているときには、内燃機関1の各部において局所的に大きな温度差が生じる等、通常の機関運転時、すなわち内燃機関1等に冷却水が流通しているときには発生しないような温度状態となることがある。このため、ウォータポンプ56の駆動を停止しているときは、理論空燃比と実空燃比との定常的な乖離度としては不適切な値が空燃比学習値KGとして更新されてしまうおそれがある。例えば、通常の運転状態であれば、冷却水温THWがある値以上であるときには、燃焼室22の内部の温度もその冷却水温THWに応じて上昇していると想定できる。しかしながら、ウォータポンプ56の駆動を停止しているときにはこうした相関がほとんど無くなるため、例えば冷却水温THWがある値以上であっても燃焼室22の温度はほとんど上昇しておらず、燃焼室22の壁面に多量の燃料が付着するような状況にあることもあり得る。このため、本実施形態においてはウォータポンプ56の駆動を停止しているときには、空燃比学習値KGの更新は行わないようにしている。以下、図4を参照して、本実施形態における空燃比制御処理の実行手順について説明する。
この処理ではまず、機関回転速度NEと、吸入空気量GAから算出される機関負荷とに基づいて基本燃料噴射量QBASEを算出する(ステップS210)。
次に、空燃比センサ97の検出値に基づいて空燃比補正係数FAFを算出する(ステップS220)。この空燃比補正係数FAFは、実空燃比が理論空燃比である場合の排気の酸素濃度である基準酸素濃度と空燃比センサ97により検出される実際の酸素濃度DOとの一時的な乖離を補償するものである。すなわち、空燃比センサ97により検出される酸素濃度DOが基準酸素濃度よりも低い場合、すなわち実空燃比がリッチ側にある場合には、空燃比補正係数FAFはその基準値「1.0」よりも小さい値に変更される。この場合、酸素濃度DOから算出される実空燃比の理論空燃比に対する乖離度に比例して、空燃比補正係数FAFは小さくなるように変更される。一方、空燃比センサ97により検出される酸素濃度DOが基準酸素濃度よりも高い場合、すなわち実空燃比がリーン側にある場合には、空燃比補正係数FAFはその基準値「1.0」よりも大きい値に変更される。この場合、酸素濃度DOから算出される実空燃比の理論空燃比に対する乖離度に比例して、空燃比補正係数FAFは大きくなるように変更される。
次に、空燃比センサ97の検出値に基づいて空燃比補正係数FAFを算出する(ステップS220)。この空燃比補正係数FAFは、実空燃比が理論空燃比である場合の排気の酸素濃度である基準酸素濃度と空燃比センサ97により検出される実際の酸素濃度DOとの一時的な乖離を補償するものである。すなわち、空燃比センサ97により検出される酸素濃度DOが基準酸素濃度よりも低い場合、すなわち実空燃比がリッチ側にある場合には、空燃比補正係数FAFはその基準値「1.0」よりも小さい値に変更される。この場合、酸素濃度DOから算出される実空燃比の理論空燃比に対する乖離度に比例して、空燃比補正係数FAFは小さくなるように変更される。一方、空燃比センサ97により検出される酸素濃度DOが基準酸素濃度よりも高い場合、すなわち実空燃比がリーン側にある場合には、空燃比補正係数FAFはその基準値「1.0」よりも大きい値に変更される。この場合、酸素濃度DOから算出される実空燃比の理論空燃比に対する乖離度に比例して、空燃比補正係数FAFは大きくなるように変更される。
次に、ウォータポンプ56が駆動状態にあるか否かを判断する(ステップS230)。
ウォータポンプ56が駆動していると判断した場合は(ステップS230:YES)、次に空燃比補正係数FAFの平均値FAFAVを算出する(ステップS240)。そして、この空燃比補正係数FAFの平均値FAFAVが所定値α(>1.0)を上回っているか否かを判断する(ステップS242)。ここで、平均値FAFAVが所定値αを上回っている場合は(ステップS242:YES)、以下の式(1)に基づいて空燃比学習値KGを更新する(ステップS244)。
ウォータポンプ56が駆動していると判断した場合は(ステップS230:YES)、次に空燃比補正係数FAFの平均値FAFAVを算出する(ステップS240)。そして、この空燃比補正係数FAFの平均値FAFAVが所定値α(>1.0)を上回っているか否かを判断する(ステップS242)。ここで、平均値FAFAVが所定値αを上回っている場合は(ステップS242:YES)、以下の式(1)に基づいて空燃比学習値KGを更新する(ステップS244)。
KG←KG−a ・・・(1)
なお、上式(1)において「a(>0)」は予め定められた修正値であり、空燃比補正係数FAFの変化量と比較して小さい値に設定されている。
一方、平均値FAFAVが所定値α未満である場合は(ステップS242:NO)、更に平均値FAFAVが所定値β(<1.0)未満であるか否かを判断する(ステップS252)。そして、平均値FAFAVが所定値β未満である場合は(ステップS252:YES)、以下の式(2)に基づいて空燃比学習値KGを更新する(ステップS254)。
KG←KG+b ・・・(2)
なお、上式(2)において「b(>0)」は予め定められた修正値であり、先の修正値aと同様に空燃比補正係数FAFの変化量と比較して小さい値に設定されている。
空燃比補正係数FAFの平均値FAFAVが(β≦FAFAV≦α)の範囲にある場合(ステップS242:NO、ステップS252:NO)、あるいは空燃比学習値KGが更新された場合(ステップS244,S254)、以下の式(3)に基づいて最終燃料噴射量QFINが算出する(ステップS270)。
QFIN←QBASE・FAF・KG・K ・・・(3)
なおここで、上式(3)の右辺における「K」は始動時増量等、その他の補正係数を示す。
これに対して、先のステップS230において、ウォータポンプ56の駆動が停止されていると判断した場合、すなわち、暖機が完了していないため、冷却水通路53における冷却水の流通が禁止されていると判断した場合は(ステップS230:NO)、空燃比学習値KGとして、前回までに学習した空燃比学習値KGを設定する(ステップS260)。このように、ウォータポンプ56の駆動が停止されて内燃機関1のウォータジャケット52を含めた冷却水通路53における冷却水の流通が禁止されている場合には、空燃比学習値KGを更新することなく、前回の通常運転時、すなわちウォータポンプ56が駆動されて冷却水の流通禁止が解除されている場合に更新された空燃比学習値KGを用いて最終燃料噴射量QFINを算出する。
電子制御装置91は、最終燃料噴射量QFINに基づいて燃料噴射時間TAUを算出し、この燃料噴射時間TAUに基づいて燃料噴射弁26を開弁駆動する。この結果、最終燃料噴射量QFINに相当する量の燃料が燃料噴射弁26から噴射されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、以下に記載の作用効果を奏することができる。
(1)冷間始動時などにおいて内燃機関1の早期暖機を図るためにウォータポンプ56の駆動を停止して冷却水の流通を禁止している場合には、ウォータポンプ56を駆動して冷却水を流通させている場合と異なり、内燃機関1において局所的に大きな温度差が生じるなど、通常の機関運転時には発生しないような温度状態となることがある。こうした状況のもとで空燃比学習制御を行った場合、例えば、燃焼室22における燃料の壁面付着量が極めて多い状態のもとで空燃比学習値KGが学習される等、理論空燃比と実空燃比との定常的な乖離度としては不適切な値が空燃比学習値KGとして学習されて、同制御の信頼性が低下してしまうおそれがある。本実施形態によれば、ウォータポンプ56の駆動を停止している期間は、空燃比学習値KGの更新を行わないようにしているため、信頼性の低い空燃比学習値KGに基づいて空燃比制御が行われることを回避することができるようになる。
(1)冷間始動時などにおいて内燃機関1の早期暖機を図るためにウォータポンプ56の駆動を停止して冷却水の流通を禁止している場合には、ウォータポンプ56を駆動して冷却水を流通させている場合と異なり、内燃機関1において局所的に大きな温度差が生じるなど、通常の機関運転時には発生しないような温度状態となることがある。こうした状況のもとで空燃比学習制御を行った場合、例えば、燃焼室22における燃料の壁面付着量が極めて多い状態のもとで空燃比学習値KGが学習される等、理論空燃比と実空燃比との定常的な乖離度としては不適切な値が空燃比学習値KGとして学習されて、同制御の信頼性が低下してしまうおそれがある。本実施形態によれば、ウォータポンプ56の駆動を停止している期間は、空燃比学習値KGの更新を行わないようにしているため、信頼性の低い空燃比学習値KGに基づいて空燃比制御が行われることを回避することができるようになる。
(第2実施形態)
この発明にかかる第2実施形態について図1、図5、図6を併せ参照して第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付すことにより詳細な説明を割愛する。
この発明にかかる第2実施形態について図1、図5、図6を併せ参照して第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付すことにより詳細な説明を割愛する。
図1に示すように、バルブタイミング可変機構70には油圧回路71を通じて作動油が供給される。オイルコントロールバルブ74は、供給通路76及び排出通路77と、進角側油路72及び遅角側油路73との連通状態を変更することによって、バルブタイミング可変機構70に対する作動油の給排状態を制御する。
すなわち、遅角側油路73と排出通路77とが連通されるとともに進角側油路72と供給通路76とが連通されると、オイルポンプ75の駆動によって、オイルパン14の作動油は進角側油路72に送り出されるとともに遅角側油路73の作動油はオイルパン14に戻される。これにより、クランクシャフト24に対する吸気カムシャフト34の相対回転位相を進角させるようにバルブタイミング可変機構70が駆動されて、吸気バルブ32のバルブタイミングは進角される。
一方、オイルコントロールバルブ74によって遅角側油路73と供給通路76とが連通されるとともに進角側油路72と排出通路77とが連通されると、オイルポンプ75の駆動によって、オイルパン14の作動油は遅角側油路73へ送り出されるとともに進角側油路72の作動油はオイルパン14に戻される。これにより、クランクシャフト24に対する吸気カムシャフト34の相対回転位相を遅角させるようにバルブタイミング可変機構70が駆動されて、吸気バルブ32のバルブタイミングは遅角される。
図5に、オイルコントロールバルブ74を駆動する際の駆動信号におけるデューティ比DVTとバルブタイミングの変更速度との関係を示す。なお、実線LP1、1点鎖線LP2、2点鎖線LP3はその順に作動油温度THOが高いと推定された場合の各推移を示している。すなわち、実線LP1は作動油温度THOが最も高い場合、1点鎖線LP2は作動油温度THOがこれより低い場合、そして2点鎖線はLP3が作動油温度THO最も低い場合の各推移を示す。
図5に示すように、バルブタイミングを遅角する際には、デューティ比DVTが「0%」に近づくほど遅角側油路73への作動油の供給量が増大するため、より大きな変更速度をもってバルブタイミングが遅角される。一方、バルブタイミングを進角する際には、デューティ比DVTが100%に近づくほど進角側油路72への作動油の供給量が増大するため、より大きな変更速度をもってバルブタイミングが進角されるようになる。
ところで、同図5に示すように、例えばバルブタイミングを進角させる場合、作動油温度THOが低いときほど、バルブタイミングの変更速度に対応する駆動信号のデューティ比DVTは大きい値に設定される。一方、バルブタイミングを遅角させる場合、作動油温度THOが低いときほど、バルブタイミングの変更速度に対応する駆動信号のデューティ比DVTは小さい値に設定される。すなわち、作動油温度THOが低いときほど作動油の粘度が上昇してバルブタイミング可変機構70に対して作動油を給排する際の応答性が低下するため、これを補償するために、デューティ比DVTは作動油温度THOに基づいて補正される。そして通常、作動油温度THOは冷却水温THWと高い相関関係を有するため、作動油温度THOは冷却水温THWから推定される。しかしながら、上述したようにウォータポンプ56の駆動を停止しているときには、冷却水温THWと作動油温度THOとの相関関係が失われるため、こうした作動油温度THO(冷却水温THW)に基づく補正を禁止するようにしている。
以下、図6を参照してバルブタイミング制御の処理手順について説明する。なお、この処理は電子制御装置91により所定の演算周期毎に繰り返し行われる。
まず、電子制御装置91は機関運転状態に基づいて目標バルブタイミング算出する(ステップS310)。具体的には、機関始動時やアイドル運転時などの低回転・低負荷域では、吸気バルブ32と排気バルブ33とのバルブオーバーラップ量を少なくして燃焼室22内に吹き替えされる排気の量を低減することによって燃焼の安定化を図るようにしている。一方、発進加速時等の中負荷域では、吸気バルブ32を進角させることによりバルブオーバーラップを大きくしてポンピングロスを低減するようにしている。
まず、電子制御装置91は機関運転状態に基づいて目標バルブタイミング算出する(ステップS310)。具体的には、機関始動時やアイドル運転時などの低回転・低負荷域では、吸気バルブ32と排気バルブ33とのバルブオーバーラップ量を少なくして燃焼室22内に吹き替えされる排気の量を低減することによって燃焼の安定化を図るようにしている。一方、発進加速時等の中負荷域では、吸気バルブ32を進角させることによりバルブオーバーラップを大きくしてポンピングロスを低減するようにしている。
次に、目標バルブタイミングと、カム角センサ94及びクランク角センサ98から検出される実際のバルブタイミングとの偏差からオイルコントロールバルブ74の駆動信号におけるデューティ比DVTを演算用マップを参照して算出する(ステップS320)。
例えば、目標バルブタイミングに対して実際のバルブタイミングが遅角側にあるときには、同バルブタイミングを進角させるべく、デューティ比DVTは50%<DVT≦100%の範囲の値に設定される。ここで、目標バルブタイミングと実際のバルブタイミングとの偏差が大きいときほど、デューティ比DVTは上記範囲において相対的に大きい値に設定される。したがって、図5に示されるように、より大きな変更速度をもってバルブタイミングが進角されるようになる。一方、目標バルブタイミングと実際のバルブタイミングとの偏差が小さいときには、デューティ比DVTは上記範囲において相対的に小さい値に設定される。したがって、バルブタイミングの変更速度は小さくなり、目標バルブタイミングに実際のバルブタイミングを収束させる際の安定性が高められるようになる。
これに対して、目標バルブタイミングに対して実際のバルブタイミングが進角側にあるときには、同バルブタイミングを遅角させるべく、デューティ比DVTは0%≦DVT<50%の範囲の値に設定される。ここで、目標バルブタイミングと実際のバルブタイミングとの偏差が大きいときほど、デューティ比DVTは上記範囲において相対的に小さい値に設定される。したがって、図5に示されるように、より大きな変更速度をもってバルブタイミングが遅角されるようになる。一方、目標バルブタイミングと実際のバルブタイミングとの偏差が小さいときには、デューティ比DVTは上記範囲において相対的に大きい値に設定される。したがって、バルブタイミングを進角させる場合と同様、その変更速度は小さくなり、目標バルブタイミングに実際のバルブタイミングを収束させる際の安定性が高められるようになる。
このようにしてバルブタイミングを変更し目標バルブタイミングとの偏差が極めて小さくなった場合には、デューティ比DVTは50%に設定される。この場合はバルブタイミング可変機構70に対する作動油の給排が停止され、バルブタイミングは現状のまま維持されるようになる。
次に、ウォータポンプ56が駆動状態にあるか否かを判断する(ステップS330)。ウォータポンプ56が駆動していると判断した場合は(ステップS330:YES)、作動油温度THOと相関を有する冷却水温THWに基づいて先に算出されたデューティ比DVTを補正する。具体的には、冷却水温THWが低く、作動油の粘度が高いときには、次式(4)及び(5)に基づいてデューティ比DVTを補正する。
DVT←DVT+ΔDL1 ・・・(4)
(50%<DVT≦100%)
DVT←DVT−ΔDL1 ・・・(5)
(0%≦DVT<50%)
なおここで、「ΔDL1」は冷却水温THWの関数であって、冷却水温THWが低いときほど大きな値に設定される。
一方、冷却水温THWが高く、作動油の粘度が低いときには、次式(6)及び(7)に基づいてデューティ比DVTを補正する。
DVT←DVT−ΔDL2 ・・・(6)
(50%<DVT≦100%)
DVT←DVT+ΔDL2 ・・・(7)
(0%≦DVT<50%)
なおここで、「ΔDL2」は冷却水温THWの関数であって、冷却水温THWが高いときほど大きな値に設定される。
DVT←DVT−ΔDL2 ・・・(6)
(50%<DVT≦100%)
DVT←DVT+ΔDL2 ・・・(7)
(0%≦DVT<50%)
なおここで、「ΔDL2」は冷却水温THWの関数であって、冷却水温THWが高いときほど大きな値に設定される。
このように、冷却水温THWに基づいてデューティ比DVTを補正することにより、作動油の粘度が異なる場合であっても、バルブタイミング可変機構70の作動応答性を同粘度にかかわらず一定に保つことができるようになる。
これに対して、ウォータポンプ56が停止状態にあると判断した場合には(ステップS330:NO)、上述した冷却水温THWに基づく補正処理を行うことなく、この処理を終了する。すなわち、冷却水温THWと作動油温度THOとの相関関係が低く、冷却水温THWによりバルブタイミング可変機構70の作動応答性を推定することができない場合には、信頼性の低い補正処理が実行されないようにこれを禁止する。
以上説明した本実施形態によれば、以下に記載の作用効果を奏することができる。
(2)ウォータポンプ56の駆動を停止している場合、冷却水温THWと作動油温度THOとの間の相関関係が低下することがある。こうした状況の下、冷却水温THWに基づいてバルブタイミング可変機構70を駆動するデューティ比DVTの補正を行った場合、同制御の信頼性が低下してしまうおそれがある。本実施形態によれば、ウォータポンプ56の駆動を停止しているときには、冷却水温THWに基づいたオイルコントロールバルブ74を駆動するデューティ比DVTの補正を行わないようにしているため、バルブタイミング可変機構70の制御の信頼性が低下することを抑制することができるようになる。
(2)ウォータポンプ56の駆動を停止している場合、冷却水温THWと作動油温度THOとの間の相関関係が低下することがある。こうした状況の下、冷却水温THWに基づいてバルブタイミング可変機構70を駆動するデューティ比DVTの補正を行った場合、同制御の信頼性が低下してしまうおそれがある。本実施形態によれば、ウォータポンプ56の駆動を停止しているときには、冷却水温THWに基づいたオイルコントロールバルブ74を駆動するデューティ比DVTの補正を行わないようにしているため、バルブタイミング可変機構70の制御の信頼性が低下することを抑制することができるようになる。
(第3実施形態)
次に、図7を参照してこの発明にかかる第3実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付すことにより詳細な説明を割愛する。
次に、図7を参照してこの発明にかかる第3実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付すことにより詳細な説明を割愛する。
点火時期制御では、ノッキングセンサ95の検出値に基づいてノッキングが発生している旨判断した場合は、ノッキングが起こらなくなる限界時期まで点火時期を遅角補正する。一方、ノッキングが発生していない旨判断した場合は、ノッキングが発生する限界時期まで点火時期を進角させる点火時期設定処理を行う。そしてこのようにノッキングを発生させることなく進角可能な量を進角学習量としてする学習するようにしている。こうした進角学習量は、例えば燃焼室22の内壁に付着したデポジットの量(換言すれば圧縮比の経年変化量)、燃料噴射弁26から噴射される燃料の噴霧形態にかかる経年変化等々に応じて異なるものとなる。したがって、この進角学習量を予め学習しておくことにより、ノッキングを発生させることなく点火時期をより進角側の時期に設定することが可能になり、例えば機関出力の向上を図ることができるようになる。
しかしながらウォータポンプ56の駆動を停止して冷却水の流通を禁止しているときは、内燃機関1の温度状態、特に燃焼室22内の温度状態が通常の機関運転時には発生しないような温度状態となることがある。このような状況の下で上述した進角学習量を学習すると、内燃機関1の燃焼状態が反って悪化するおそれがある。そこで、本実施形態においては、ウォータポンプ56の駆動を停止しているときには、こうした進角学習量の学習を禁止するようにしている。
以下、図7を参照して本実施形態における点火時期制御の処理手順について説明する。なお、この処理は電子制御装置91により所定の演算周期毎に繰り返し行われる。
この処理が開始されると、電子制御装置91は機関回転速度NE及び機関負荷に基づいて基本点火時期θBASE及び最大遅角量θMAXを算出する(ステップS405)。ここで、基本点火時期θBASEは、その機関運転状態において最も大きい機関出力が得られる時期である。一方、最大遅角量θMAXは、その運転状態において種々の状況を考慮したとしてもノッキングが発生し得ないと想定できる時期まで基本点火時期θBASEを遅角させるための遅角量である。すなわち、点火時期を(θBASE+θMAX)に設定すれば、機関出力は低下するものの、ノッキングの発生についてはこれを確実に防止することができる。
この処理が開始されると、電子制御装置91は機関回転速度NE及び機関負荷に基づいて基本点火時期θBASE及び最大遅角量θMAXを算出する(ステップS405)。ここで、基本点火時期θBASEは、その機関運転状態において最も大きい機関出力が得られる時期である。一方、最大遅角量θMAXは、その運転状態において種々の状況を考慮したとしてもノッキングが発生し得ないと想定できる時期まで基本点火時期θBASEを遅角させるための遅角量である。すなわち、点火時期を(θBASE+θMAX)に設定すれば、機関出力は低下するものの、ノッキングの発生についてはこれを確実に防止することができる。
ここで、ウォータポンプ56が駆動状態にある、すなわち冷却水の循環が行われていると判断した場合は(ステップS410:YES)、次にノッキング判定フラグFKNOCKが「1」であるか否かを判断する(ステップS430)。このノッキング判定フラグFKNOCKは他の判定処理を通じて設定されるものであり、ノッキングが頻繁に発生しているか否か、あるいはノッキングの発生していない状態が継続しているか否かに基づいて設定される。
ノッキング判定フラグFKNOCKが「1」であると判断する場合には(ステップS430:YES)、遅角補正を行う。具体的には、ノッキングが繰り返し発生する場合、現在の進角学習量θGに対して所定の補正量γ1を減算しこれを新たな進角学習量θGとして設定する(ステップS440)。この補正量β1は予め設定された値である。一方、ノッキング判定フラグFKNOCKが「1」ではないと判断した場合には(ステップS430:NO)、進角補正を行う。具体的には、ノッキングが発生していない状態が継続している場合、現在の進角学習量θGに対して所定の補正量γ2を加算しこれを新たな進角学習量θGとして設定する。(ステップS450)。この補正量γ2は予め設定された値である、先の補正量γ1よりも極めて小さい値に設定されている。
そして、このように進角学習量θGを算出した後、最終点火時期θFINを以下の式(8)に基づいて算出する(ステップS470)。
θFIN←θBASE+θMAX−θG ・・・(8)
なお、先のステップS410において、ウォータポンプ56が駆動状態にない、すなわち冷却水の循環が行われていないと判断した場合は(ステップS410:NO)、上記進角学習量θGを「0」に設定する(ステップS460)。すなわち、冷却水の循環が行われていないため、燃焼室22における温度分布や混合気の燃焼状況がそのときどきによって異なるものとなるため、点火時期を進角することによるノッキング等、異常燃焼の発生を避けるために、最終点火時期θFINは上式(8)から(θBASE+θMAX)に設定されることとなる。
θFIN←θBASE+θMAX−θG ・・・(8)
なお、先のステップS410において、ウォータポンプ56が駆動状態にない、すなわち冷却水の循環が行われていないと判断した場合は(ステップS410:NO)、上記進角学習量θGを「0」に設定する(ステップS460)。すなわち、冷却水の循環が行われていないため、燃焼室22における温度分布や混合気の燃焼状況がそのときどきによって異なるものとなるため、点火時期を進角することによるノッキング等、異常燃焼の発生を避けるために、最終点火時期θFINは上式(8)から(θBASE+θMAX)に設定されることとなる。
以上説明した本実施形態によれば、以下に記載の作用効果を奏することができる。
(3)ウォータポンプ56の駆動を停止した場合には、ウォータポンプ56を駆動した場合と異なり、燃焼室22において局所的に大きな温度差が生じるなど、燃焼室22の状態が通常の機関運転時には発生しないような温度状態となることがある。こうした状況のもとで進角学習量θGを学習した場合、同進角学習量θGとして不適切な値が設定されてしまい、内燃機関1の燃焼状態が反って悪化するおそれがある。本実施形態によれば、ウォータポンプ56の駆動を停止した場合には、進角学習量θGが「0」に設定され、点火時期が最大遅角時期まで遅角されるため、進角学習量θGが不適切な値が設定されることで内燃機関1の燃焼状態が悪化することを抑制することができるようになる。
(3)ウォータポンプ56の駆動を停止した場合には、ウォータポンプ56を駆動した場合と異なり、燃焼室22において局所的に大きな温度差が生じるなど、燃焼室22の状態が通常の機関運転時には発生しないような温度状態となることがある。こうした状況のもとで進角学習量θGを学習した場合、同進角学習量θGとして不適切な値が設定されてしまい、内燃機関1の燃焼状態が反って悪化するおそれがある。本実施形態によれば、ウォータポンプ56の駆動を停止した場合には、進角学習量θGが「0」に設定され、点火時期が最大遅角時期まで遅角されるため、進角学習量θGが不適切な値が設定されることで内燃機関1の燃焼状態が悪化することを抑制することができるようになる。
(第4実施形態)
以下、図8を参照してこの発明にかかる第4実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付すことにより詳細な説明を割愛する。
以下、図8を参照してこの発明にかかる第4実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付すことにより詳細な説明を割愛する。
スロットルセンサ96においては、その個体差等によって、スロットル開度TAを検出する際の誤差があり、こうした検出誤差はスロットル開度TAの制御に際してその精度低下を招く要因となる。そこで、本実施形態では、スロットル弁60の開度を規制部64を通じて機械的に規制し、その状況下で検出されるスロットルセンサ96の検出値をスロットル弁60が全閉状態であるときの基準値として学習するようにしている(スロットル開度基準位置学習制御)。
しかしながら、スロットルセンサ96の出力特性において温度依存性を有しているため、ウォータポンプ56の駆動が停止され、スロットルボディ63の流通路53aにおける冷却水の流通が停止されている状態で、こうしたスロットル弁60の基準開度を学習するようにしても、その学習結果は、通常の機関運転状態、すなわちスロットルボディ63の流通路53aに冷却水が流通している状態におけるスロットル弁60の開度制御に適合するものとはならない。このため、本実施形態では、ウォータポンプ56が駆動されておらず冷却水の流通が停止されているときには、こうしたスロットル開度基準位置学習制御を禁止するようにしている。
以下、図8を参照して、本実施形態にかかるスロットル開度基準位置学習制御について説明する。なお、この処理は電子制御装置91により所定の演算周期毎に繰り返し行われる。
この処理では、まずウォータポンプ56が駆動状態にあるか否かを判断する(ステップS510)。ウォータポンプ56が駆動していると判断した場合には(ステップS510:YES)、次に全閉位置学習が完了しているか否かを判断する(ステップS520)。基準位置学習が完了していないと判断した場合には(ステップS520:YES)、モータ61を駆動してスロットル弁60の開度が規制部64により機械的に規制された状態に維持する。そして、電子制御装置91は、このときのスロットルセンサ96の出力値をスロットル弁60の全閉状態に対応した値(スロットル開度TA)として学習する(ステップS540)。一方、基準位置学習が既に完了したと判断した場合には(ステップS520:NO)、スロットル弁60について通常の開閉制御を実行する(ステップS530)。
また、先のステップS510において、ウォータポンプ56の駆動が停止されていると判断した場合も(ステップS510:NO)、スロットル弁60について通常の開閉制御を実行する(ステップS530)。すなわち、ステップS540の基準位置学習が実行されることはない。
以上説明した本実施形態によれば、以下に記載の作用効果を奏することができる。
(4)ウォータポンプ56の駆動を停止した場合には、ウォータポンプ56を駆動した場合と異なり、スロットル弁60やスロットルセンサ96において局所的に温度上昇が生じるなど、通常の機関運転時には発生しないような温度状態となることがある。こうした状況のもとでスロットル開度基準位置学習制御を行った場合、スロットル弁60の基準位置(全閉位置)としては不適切な値が学習されて、スロットル開度制御の信頼性が低下してしまうおそれがある。本実施形態によれば、ウォータポンプ56の駆動を停止している場合にはスロットル開度基準位置学習制御を行わないようにしているため、信頼性の低い制御が行われることを抑制することができるようになる。
(4)ウォータポンプ56の駆動を停止した場合には、ウォータポンプ56を駆動した場合と異なり、スロットル弁60やスロットルセンサ96において局所的に温度上昇が生じるなど、通常の機関運転時には発生しないような温度状態となることがある。こうした状況のもとでスロットル開度基準位置学習制御を行った場合、スロットル弁60の基準位置(全閉位置)としては不適切な値が学習されて、スロットル開度制御の信頼性が低下してしまうおそれがある。本実施形態によれば、ウォータポンプ56の駆動を停止している場合にはスロットル開度基準位置学習制御を行わないようにしているため、信頼性の低い制御が行われることを抑制することができるようになる。
なお、以上説明した実施形態は次のようにその形態を適宜変更した態様にて実施することができる。また、上記実施形態及び変形例は可能であればそれらを適宜組み合わせて実施することもできる。
・冷却水が循環されるヒータコア(図示せず)を有し、そのヒータコアにおいて昇温した空気をブロワモータにより車室内に送風してその暖房に供するようにした空調装置を備える内燃機関にあって、ウォータポンプ56の駆動を停止しているときには、ブロワモータによる送風を行わないようにすることもできる。ウォータポンプ56の駆動を停止した場合には、ウォータポンプ56を駆動した場合と異なり、ヒータコアにおいて局所的に温度上昇が生じるなど、通常の機関運転時には発生しないような温度状態となることがある。こうした状況のもとで暖房性能が要求されて同制御が行われると、ヒータコアが過度に冷却されてしまうといった問題が生じる。本実施形態によれば、このような問題が生じることを抑制することができるようになる。
・上記実施形態では、ウォータポンプ56が駆動された後、機関制御の実行を許可するようにしているが、ウォータポンプ56が駆動された後、冷却水温THWが所定値に収束して定常状態に移行するまで機関制御の実行を禁止するようにしてもよい。
ウォータポンプ56が駆動された後であっても、冷却水が冷却水通路53においてある程度循環して冷却水温THWが平衡状態に移行するまでは、その程度は徐々に緩和されるとはいえ、内燃機関1は通常運転とは異なる温度環境下に置かれることとなる。本実施形態によれば、冷却水がある程度循環して、冷却水温THWが平衡状態に移行するまでの間は、上述の機関制御の実行を禁止している。このため、信頼性の低い制御が行われたり、不適切な時期をもって制御が行われたりすることをより確実に抑制することができるようになる。
・上記実施形態では、ウォータポンプ56として電動ポンプを用いるようにしているが、機関駆動式のポンプを機関駆動式のポンプを採用するともできる。機関駆動式のポンプはクラッチを介してクランクシャフトに接続される。クラッチが接続されているときには、機関駆動式のポンプがクランクシャフトの動力により駆動され、クラッチが切断されているときには、機関駆動式のポンプの動作が停止する。本実施形態においても、上記作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
・上記実施形態では、冷却水温THWが基準温度TX未満であるときにはウォータポンプ56の駆動を停止するようにしているが、ウォータポンプ56の駆動を完全に停止しなくてもよく、冷却水温THWが基準温度TX以上であるときの吐出量よりも少ない吐出量で吐出するものであればよい。
・冷却水の流通を制限する期間に実行を禁止する制御としては、上記実施形態で挙げた制御に限られるものではない。冷却水の流通が制限されて通常とは異なる温度条件下におかれる内燃機関において、信頼性が低下する制御であればいずれも適用対象とすることができる。
1…内燃機関、11…シリンダブロック、12…シリンダヘッド、14…オイルパン、21…シリンダ、22…燃焼室、23…ピストン、24…クランクシャフト、26…燃料噴射弁、27…点火プラグ、30…吸気通路、31…排気通路、32…吸気バルブ、33…排気バルブ、34…吸気カムシャフト、35…排気カムシャフト、41…排気浄化触媒、50…冷却装置、51…ラジエータ、52…ウォータジャケット、53…冷却水通路、53a…流通路、55…迂回通路、56…ウォータポンプ(ポンプ、制御部)、57…サーモスタット、60…スロットル弁、61…モータ、63…スロットルボディ、64…規制部、70…バルブタイミング可変機構、71…油圧回路、72…進角側油路、73…遅角側油路、74…オイルコントロールバルブ、75…オイルポンプ、76…供給通路、77…排出通路、91…電子制御装置(制御部、補正部、点火時期学習部、基準開度学習部)、92…水温センサ(水温検出部)、94…カム角センサ、95…ノックセンサ、96…スロットル開度センサ、97…空燃比センサ、98…クランク角センサ、99…アクセルセンサ。
Claims (1)
- 冷却水が流通する機関冷却系と、前記冷却水の温度を検出する水温検出部と、機関運転状態に依存することなく前記冷却水の吐出量を変更可能なポンプと、冷却水温が基準温度よりも低いときには高いときと比較して前記機関冷却系における冷却水の流通が制限されるように前記ポンプの吐出量を制御する制御部とを備える内燃機関の制御装置において、
機関制御の少なくとも1つを冷却水の流通にかかる制限が解除されるまで禁止するとともに、冷却水の流通にかかる制限が解除された後、前記検出される冷却水温が所定値に収束して平衡状態に移行するまで前記機関制御の禁止を継続する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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