JP2007071047A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エンジン冷却水温に基づいて暖機直後であると判断された場合であっても、ISCVに対する補正量を的確に算出する。
【解決手段】 ECUは、ISC制御を開始すると(S100)、暖機補正空気量Qを算出する処理を開始し(S110)、エンジン冷却水温THWを検知するステップ(S120)と、自動変速機のAT油温THOを検知するステップ(S130)と、エンジン冷却水温THWに基づいて水温補正空気量Q(A)を算出するステップ(S140)と、AT油温THOに基づいて油温補正空気量Q(B)を算出するステップ(S150)と、Q(A)−Q(B)>0でないと(S160にてNO)、暖機補正空気量Qに、Q(B)またはQ(A)+Q(B)を代入するステップ(S180)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図4
【解決手段】 ECUは、ISC制御を開始すると(S100)、暖機補正空気量Qを算出する処理を開始し(S110)、エンジン冷却水温THWを検知するステップ(S120)と、自動変速機のAT油温THOを検知するステップ(S130)と、エンジン冷却水温THWに基づいて水温補正空気量Q(A)を算出するステップ(S140)と、AT油温THOに基づいて油温補正空気量Q(B)を算出するステップ(S150)と、Q(A)−Q(B)>0でないと(S160にてNO)、暖機補正空気量Qに、Q(B)またはQ(A)+Q(B)を代入するステップ(S180)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、内燃機関の回転数を制御する装置に関し、特に、アイドリング時にアイドルスピードコントロールバルブ等のアイドル回転数制御機構により内燃機関の回転数を制御する装置に関する。
一般に、エンジンのアイドル時の回転数制御装置として、たとえば吸気通路とは別にスロットルバルブを迂回するように設けられたバイパス通路の途中に、アイドルスピードコントロールバルブ(ISCV(Idle Speed Control Valve))が設けられたものが知られている。この技術ではISCVの開度を調整することで、内燃機関の吸入空気量が制御され、アイドル回転数が制御される。
ところで、このようなアイドル回転数制御装置において、エンジンの始動時には、エンジンのフリクションが大きいため、暖機を図る必要がある。そのため、始動後所定時間は、この暖機のために制御回転数が増大される。そして、エンジンの冷却水温度が所定温度以上に達した場合には、それ以降において、エンジン回転数が目標回転数となるようISCVがフィードバック制御される。
このような場合において、実際には、冷却水温度は必ずしもエンジンの燃焼室内に対応したデータを与えるとは限らなかった。たとえば、冷却水温度が所定温度に達した直後(すなわち、「暖機直後」)に、暖機を完了させ、フィードバック制御に移行したような場合には、エンジンのフリクションに対するアイドル回転数が一致せず、ラフアイドルが発生するおそれがあった。
特に、たとえば、走行停止後、寒冷地においてエンジンを再始動させるような場合には、外気温(吸気温)は比較的低いにもかかわらず、冷却水温は比較的高いものとなっている。このため、再始動時の冷却水温は比較的高いため、再始動後比較的短時間で暖機が完了されてしまうこととなる。このため、シリンダヘッドポートや、燃焼室内の温度が充分に高くなっていないにもかかわらず、ISCVによるフィードバック制御に移行してしまい、エンジン回転数が低下してしまう場合があった。
このような問題に対して、特開平9−32614号公報(特許文献1)は、内燃機関の始動直後から定常状態に至るまでの間における燃焼状態の安定化を図ることができるとともに、ラフアイドル等の不具合の発生を防止することができる、内燃機関の回転数制御装置を開示する。この内燃機関の回転数制御装置は、内燃機関の吸気通路の途中に設けられ、アクチュエータにより開閉駆動される吸入空気量調整手段と、内燃機関の冷却水温を含む運転状態を検出する運転状態検出手段と、少なくとも内燃機関のアイドリング時において、運転状態検出手段の検出結果に基づき、吸入空気量調整手段の目標開度を演算する目標開度演算手段と、少なくとも内燃機関のアイドリング時において、目標開度演算手段により演算された目標開度に基づき、アクチュエータをフィードバック制御するフィードバック制御手段と、少なくとも内燃機関が始動してから、運転状態検出手段により検出された冷却水温が所定温度に達するまでの間、内燃機関を暖機させるべく吸入空気量調整手段の開度を目標開度よりも大きな所定開度に保持して、アクチュエータをオープンループ制御するファーストアイドルアップ制御手段とを備えた内燃機関の回転数制御装置であって、内燃機関の燃焼室内の温度に相当する値を検出する燃焼室温検出手段と、運転状態検出手段により検出された冷却水温が所定温度に達した後、吸入空気量調整手段の開度が目標開度に移行するまでの収束時間を、燃焼室温検出手段により検出された温度が低いほど長くなるよう設定する収束時間設定手段とを設けたことを特徴とする。
この内燃機関の回転数制御装置によると、燃焼室温検出手段により内燃機関の燃焼室内の温度に相当する値が検出される。そして、冷却水温が所定温度に達した後、吸入空気量調整手段の開度が目標開度に移行するまでの収束時間が、収束時間設定手段によって、燃焼室温検出手段により検出された温度が低いほど長くなるよう設定される。このため、冷却水温が所定温度に達した場合であっても、内燃機関の燃焼室の温度が未だ低いような場合には、吸入空気量調整手段の開度が目標開度に移行するまでの収束時間が長いものとなる。したがって、内燃機関の燃焼室の温度が充分に高まった時点で、吸入空気量調整手段の開度が目標開度近傍に収束した状態でのフィードバック制御手段によるフィードバック制御が可能となり、燃焼状態の悪化が回避され得る。
特開平9−32614号公報(特許第3425757号公報)
ところで、最近の傾向として、燃費向上を図るために、エンジンの摩擦トルク(エンジンフリクション)が、完全暖機後には非常に小さいエンジンがある。このようなエンジンでは、完全暖機後と暖機直後とのフリクションの差が大きい。また、エンジンの出力軸に接続された自動変速機においても、その容量係数が大きい場合、エンジン冷却水温に基づく暖機完了判断時(暖機直後)においても、自動変速機の油温が十分に上昇していないために自動変速機のフリクションが大きい場合がある。
このように、エンジン冷却水温度に基づいて暖機完了を判断して暖機直後からISCVによる空気量制御(空気量を低下させてエンジン回転数も低下させる)を行なうと、エンジンフリクションが未だ大きかったり、自動変速機のフリクションが大きかったりして、これらが想定外のフリクションとなって、吸入空気量に対する目標回転数が得られない場合がある。
しかしながら、特許文献1においては、エンジン冷却水温度に基づいて暖機完了の直後であっても、吸気の温度および外気の温度(空気温度)の少なくとも一方を内燃機関の燃焼室内の温度に相当する値として、この値が低いほど長く設定された時間だけ長く暖機を行なうようにしているに過ぎない。このため、上記したように空気温度に基づいて完全に暖機が完了したか否かが判断しても、その判断した状態が、低フリクションエンジンの完全暖機状態と一致していない場合や、自動変速機のフリクションが低下していない状態と一致していない場合であると、これらが想定外のフリクションとなって、吸入空気量に対する目標回転数が得られない問題を解決できない。
特に、完全暖機後の空気量(=学習値)と暖機直後の要求空気量との差が大きい場合、以下のような問題がある。暖機直後付近において、車両が停車してエンジンが停止すると、ISC(Idle Speed Control)は、完全暖機時(前のトリップの最後にエンジンを停止させる前の状態で、通常はエンジンおよび自動変速機が完全に暖機された状態)のエンジンに必要な空気量を記憶(ISC学習値として記憶)しており、その値を反映させる。ところが、暖機直後である場合(ファーストアイドルアップが終了してISC制御に入る場合)においてはエンジン冷却水の温度は十分に上昇していても、完全暖機の状態ではないので、エンジンのフリクションが未だ大きい状態であったり(さらにエンジンオイルの温度が上昇すればさらにエンジンフリクションが小さくなる)、自動変速機のフリクションが大きい状態であって、必要空気量に対して、学習空気量が小さくて、空気量が不足して、エンジンの回転低下が発生する。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関の冷却水温度に基づいて暖機直後であると判断された場合であっても、アイドル回転数制御機構に対する補正量を的確に算出することができる、内燃機関の制御装置を提供することである。
第1の発明に係る制御装置は、アイドル回転数制御機構を備えた内燃機関を制御する。この制御装置は、内燃機関の冷却水温度を検知するための手段と、内燃機関に接続された自動変速機の作動油温度を検知するための手段と、冷却水温度および作動油温度に基づいて、アイドル回転数制御機構における補正量を算出するための算出手段とを含む。
第1の発明によると、内燃機関の冷却水温度に基づくと暖機完了であると判断された直後であっても、アイドル回転数制御機構における補正量が算出される。このとき、(冷却水温度に基づいて判断すると)暖機直後であっても、アイドル回転数制御機構において空気量を増量する補正をさらに継続するようにして、完全暖機状態になるようにしたり、回転数を上昇させて(想定外のフリクションが発生しても)エンジンストールを回避するようにしたりできる。このような完全暖機状態にすると、内燃機関のフリクションロスのさらなる低下を実現するのみならず(特に低フリクションエンジンの場合)、作動油温に基づいて補正量を算出した場合には自動変速機の完全暖機によるフリクションロスの低下を実現することができる。その結果、内燃機関の冷却水温度に基づいて暖機直後であると判断された場合であっても、アイドル回転数制御機構に対する補正量を的確に算出することができる、内燃機関の制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、算出手段は、冷却水温度に基づいて算出された補正量と作動油温度に基づいて算出された補正量とを比較して、より大きい補正量を、アイドル回転数制御機構における補正量として算出するための手段を含む。
第2の発明によると、冷却水温度が低いほど大きな補正量、作動油温度が低いほど大きな補正量が算出される。このようにして、算出された補正量のうちで、より大きい補正量が選択されて、アイドル回転数制御機構における補正量として算出される。このため、エンジンフリクションのさらなる低下が図れたり、自動変速機のフリクションのさらなる低下が図れたりする。
第3の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、算出手段は、冷却水温度に基づいて算出された補正量と作動油温度に基づいて算出された補正量とを比較して、冷却水温度に基づいて算出された補正量よりも作動油温度に基づいて算出された補正量のほうが大きい場合には、冷却水温度に基づいて算出された補正量と作動油温度に基づいて算出された補正量との合算量を、アイドル回転数制御機構における補正量として算出するための手段を含む。
第3の発明によると、冷却水温度が低いほど大きな補正量、作動油温度が低いほど大きな補正量が算出される。冷却水温度に基づいて算出された補正量よりも作動油温度に基づいて算出された補正量のほうが大きい場合には、冷却水温度に基づいて算出された補正量と作動油温度に基づいて算出された補正量との合算量が、アイドル回転数制御機構における補正量として算出される。このため、必ず、自動変速機の作動油が十分に暖められた状態(完全暖機状態)になるまで空気量が補正される。そのため、自動変速機のフリクションを低下せしめて、安定したアイドル回転数制御を実現できる。
第4の発明に係る制御装置は、第1〜3のいずかの発明の構成に加えて、制御装置は、冷却水温度に基づいて暖機完了を判断するための手段をさらに含む。算出手段は、暖機完了と判断された直後以降において、アイドル回転数制御機構における補正量を算出するための手段を含む。
第4の発明によると、一般的に暖機完了を判断する冷却水温度に基づけば暖機が完了していると判断された直後以降においても、アイドル回転数制御機構における補正量が算出され、エンジンフリクションや自動変速機フリクション等の想定していないフリクションがあっても、エンジン回転数が低下しないようにできる。
第5の発明に係る制御装置は、アイドル回転数制御機構を備えた内燃機関を制御する。この制御装置は、内燃機関の冷却水温度を検知するための手段と、内燃機関に吸入された空気量および内燃機関の回転数についての、始動後からの積算値を検知するための手段と、冷却水温度に基づいて暖機完了を判断するための手段と、暖機完了と判断された直後以降において、積算値が予め定められた値よりも小さい場合には、空気量および回転数の少なくともいずれかについての、始動後からの積算値に基づいて、アイドル回転数制御機構における補正量を算出するための算出手段とを含む。
第5の発明によると、一般的に暖機完了を判断する冷却水温度に基づけば暖機が完了していると判断された直後以降においても、アイドル回転数制御機構における補正量が算出される。このときに、エンジン始動後からの吸入空気量の積算値およびエンジン始動後からのエンジン回転数の積算値の少なくともいずれかに基づいて、アイドル回転数制御機構における補正量が算出される。このため、吸入空気量やエンジン回転数の積算値に基づいて、エンジンや自動変速機の暖機状態を的確に判断することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、本実施の形態に係る内燃機関の制御装置が搭載された車両は、エンジン150と、吸気系152と、排気系154と、ECU(Electronic Control Unit)100とを含む。
図1に示すように、本実施の形態に係る内燃機関の制御装置が搭載された車両は、エンジン150と、吸気系152と、排気系154と、ECU(Electronic Control Unit)100とを含む。
吸気系152は、吸気通路110と、エアクリーナ118と、エアーフローメータ104と、スロットルモータ114Aと、スロットルバルブ112と、スロットルポジションセンサ114Bとを含む。さらに、吸気系152には、ISCV116が設けられている。
エアクリーナ118から吸気された空気は、吸気通路110を通り、エンジン150に流通する。吸気通路110の途中には、スロットルバルブ112が設けられる。スロットルバルブ112は、ECU100からの制御信号に基づいて動作するスロットルモータ114Aにより所望の空気量がエンジン150に供給されるように開閉される。このとき、スロットルバルブ112の開度は、スロットルポジションセンサ114Bにより検知することが可能である。エアクリーナ118とスロットルバルブ112との間における吸気通路には、エアーフローメータ104が設けられており、吸入された空気量を検知する。エアーフローメータ104は、吸入吸気量信号としてECU100に送信する。
ISCV116は、エンジン150のアイドル運転時の回転数を制御する機構である。スロットルバルブ112のバイパス通路116Aを流れる空気量を調整してアイドル回転数を制御する。バイパス通路116Aの断面積をアクチュエータ116Cによりバルブ116Bを移動させることにより変化させて、空気量を調整する。
エンジン150は、冷却水通路122と、シリンダブロック124と、インジェクタ126と、ピストン128と、クランクシャフト130と、水温センサ106と、クランクポジションセンサ132とを含む。
シリンダブロック124の気筒数に対応した数のシリンダ内には、それぞれピストン128が設けられる。ピストン128上部の燃焼室に吸気通路110を通って、インジェクタ126から噴射された燃料と吸気された空気との混合気が導入されて、点火プラグ(図示せず)の点火により燃焼する。燃焼が生じると、ピストン128が押し下げられる。このとき、ピストン128の上下運動は、クランク機構を介して、クランクシャフト130の回転運動に変換される。なお、エンジン150の回転数NEは、クランクポジションセンサ132により検知された信号に基づいてECU100が検知する。
シリンダブロック124内には、冷却水通路122が設けられており、ウォータポンプ(図示せず)の作動により、冷却水が循環する。この冷却水通路122内の冷却水は、冷却水通路122に接続されたラジエータ(図示せず)へと流通して冷却ファン(図示せず)により放熱される。冷却水通路122の通路上には水温センサ106が設けられており、冷却水通路122内の冷却水の温度を検知する。水温センサ106は、検知した水温を、水温検知信号としてECU100に送信する。
排気系154は、排気通路108と、三元触媒コンバータ120とを含む。この三元触媒コンバータ120の上流側および下流側にそれぞれ空燃比センサが設けられる。
エンジン150の排気側に接続された排気通路108は、三元触媒コンバータ120に接続される。すなわち、エンジン150において燃焼室内の混合気の燃焼により生じる排気ガスは、三元触媒コンバータ120に流入する。この三元触媒コンバータ120に流入した排気ガス中に含まれるHC、COは、三元触媒コンバータ120において酸化される。また、三元触媒コンバータ120に流入した排気ガス中に含まれるNOxは、三元触媒コンバータ120において、還元される。この三元触媒コンバータ120は、エンジン150の近くに設置され、エンジン150の冷間始動時においても速やかに昇温されて触媒機能を発現する。
三元触媒コンバータ120の上流側に設けられた酸素センサは、三元触媒コンバータ120に到達した排気ガス中に含まれる酸素の濃度を検知する。酸素の濃度を検知することにより、排気ガス中に含まれる燃料と空気との比、いわゆる空燃比を検知することができる。検知された空燃比が目標空燃比になるように、ECU100による空燃比制御が行なわれる。
本実施の形態に係る制御装置であるECU100によりISCV116が制御される場合において、完全暖機後は、目標回転数になるように空気量をフィードバック制御する。一方、完全暖機前は、吸入空気量を増大せしめて、オープンループで制御される。本実施の形態においては、暖機直後(エンジン冷却水温に基づいて暖機が完了したと判断された直後)においても、補正量を算出して、その補正量分だけ空気量を増大させるようにISCV116が制御される。
以下、このような制御に用いられる補正量算出マップについて説明する。図2は、エンジンの冷却水の温度(エンジン冷却水温)THWに基づいて、吸入空気量の補正量Q(A)を算出するマップである。エンジンの冷却水温THWが低いほど補正量Q(A)が大きく設定されている。図3は、自動変速機の作動油の温度(AT油温)THOに基づいて、吸入空気量の補正量Q(B)を算出するマップである。AT油温THOが低いほど補正量Q(B)が大きく設定されている。
なお、図2および図3に示したマップは一例であって、本発明がこのマップに限定されるものではない。
図4を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECU100で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、ECU100は、ISC制御を開始する。エンジン150が予め定められたアイドル状態になると、ISC制御が開始される。
S110にて、ECU100は、暖機補正空気量Qを算出する処理を開始する。暖機直後であるときに、このような暖機補正空気量Qを算出する処理を開始される。
S120にて、ECU100は、エンジン冷却水温THWを検知する。このとき、ECU100は、エンジン150の冷却水通路に設けられた水温センサ106から受信した信号に基づいて、エンジン冷却水温THWを検知する。
S130にて、ECU100は、自動変速機の作動油の温度(AT油温)THOを検知する。このとき、ECU100は、自動変速機を制御するECT(Electronically Controlled Automatic Transmission)_ECUから受信したAT油温信号に基づいて、AT油温THOを検知する。
S140にて、ECU100は、エンジン冷却水温THWに基づいて、図2に示すようなマップを用いて、水温補正空気量Q(A)を算出する。
S150にて、ECU100は、AT油温THOに基づいて、図3に示すようなマップを用いて、油温補正空気量Q(B)を算出する。なお、自動変速機の油温もエンジンオイルの油温も同じような挙動を示す(すなわち、同じような温度上昇傾向がある)。
S160にて、ECU100は、水温補正空気量Q(A)−油温補正空気量Q(B)>0であるか否かを判断する。Q(A)−Q(B)>0すなわち、Q(A)>Q(B)であると(S160にてYES)、処理はS170へ移される。もしそうでないと(S160にてNO)、処理はS180へ移される。
S170にて、ECU100は、暖機補正空気量Qに、水温補正空気量Q(A)を代入する。その後、この処理は終了する。
S180にて、ECU100は、暖機補正空気量Qに、油温補正空気量Q(B)を代入する。なお、S180にて、ECU100は、暖機補正空気量Qに、{水温補正空気量Q(A)+油温補正空気量Q(B)}を代入するようにしてもよい。その後、この処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置であるECU100で制御されるエンジンのアイドル回転数制御の動作について説明する。
車両が停止してエンジン150がアイドル状態になると、ISC制御が開始される(S100)。暖機直後であって完全暖機に到達するまでは、暖機補正空気量Qが算出される処理が行なわれる(S110)。
エンジン冷却水温THWが検知され(S120)、AT油温THOが検知され(S130)、図2に示すようなマップを用いてエンジン冷却水温THWに基づいて水温補正空気量Q(A)が、図3に示すようなマップを用いてAT油温THOに基づいて油温補正空気量Q(B)がそれぞれ算出される(S140、S150)。
水温補正空気量Q(A)から油温補正空気量Q(B)が減算された値が正であると(S160にてYES)、未だ水温補正空気量Q(A)の方が油温補正空気量Q(B)よりも大きいので、大きい方の補正空気量である水温補正空気量Q(A)が暖機補正空気量として代入される(S170)。さらに暖機が進むと、エンジン冷却水温THWがより早く上昇して水温補正空気量Q(A)が小さくなる(図2参照)。一方、容量係数の大きな自動変速機の作動油は、その温度上昇の度合いが緩やかである。そのため、エンジン150の冷却水温度THWの上昇よりも遅れて自動変速機の作動油の温度であるAT油温THOが上昇する。このため、エンジン冷却水温THWが高くAT油温THOが低く、水温補正空気量Q(A)から油温補正空気量Q(B)が減算された値が正でなくなり(S160にてNO)。水温補正空気量Q(A)の方が油温補正空気量Q(B)よりも小さくなる。このようになると、大きい方の補正空気量である油温補正空気量Q(B)が暖機補正空気量Qとして代入されたり、水温補正空気量Q(A)と油温補正空気量Q(B)との合算値が暖機補正空気量Qとして代入されたりする(S180)。
このようにすると、暖機運転が行なわれ、エンジン冷却水温THWが上昇して暖機直後になっても、自動変速機の作動油の油温が上昇していないでそのフリクションが大きい時には、さらにAT油温THOに基づいて算出された油温補正空気量Q(B)か、水温補正空気量Q(A)と油温補正空気量Q(B)との合算値が、ISCV116の補正空気量とされて、吸入空気量が上昇される。このため、暖機直後(エンジン冷却水温THWが暖機完了しきい値に到達した直後)以降において、自動変速機のフリクションが大きくても、アイドル運転時において、そのフリクションによるエンジン150の回転数低下を回避することができる。その結果、エンジン冷却水温に基づいて暖機直後であると判断された場合であっても、ISCVに対する補正量を的確に算出することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前述の第1の実施の形態とは異なるプログラムを実行する。その異なるプログラムを実行するために異なるマップが用いられる。それ以外のハードウェア構造(図1を用いて説明したもの)は、第1の実施の形態と同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前述の第1の実施の形態とは異なるプログラムを実行する。その異なるプログラムを実行するために異なるマップが用いられる。それ以外のハードウェア構造(図1を用いて説明したもの)は、第1の実施の形態と同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
図5は、エンジンの冷却水の温度(エンジン冷却水温)THWに基づいて、吸入空気量の補正量Q(C)を算出するマップである。エンジンの冷却水温THWが低いほど補正量Q(C)が大きく設定されている。図6は、エンジン150の始動後からのエンジン150に吸入された空気量の積算値(以下、積算空気量ΣAIRと記載する)またはエンジン150の始動後からのエンジン150の回転数の積算値(以下、積算エンジン回転数ΣNEと記載する)に基づいて、吸入空気量の補正量Q(D)を算出するマップである。積算空気量ΣAIRまたは積算エンジン回転数ΣNEが小さいほど補正量Q(D)が大きく設定されている。
なお、図5および図6に示したマップも図2および図3に示したマップと同様に、一例であって、本発明がこのマップに限定されるものではない。
図7を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECU100で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図7に示すフローチャートの中で前述の図4と同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
S230にて、ECU100は、エンジン150の始動後からのエンジン150に吸入された空気量の積算値である積算空気量ΣAIRまたはエンジン150の始動後からのエンジン150の回転数の積算値である積算エンジン回転数ΣNEを検知する。
S240にて、ECU100は、エンジン冷却水温THWに基づいて、図5に示すようなマップを用いて、水温補正空気量Q(C)を算出する。
S250にて、ECU100は、エンジン冷却水温THWが80℃(この80℃は一例であって、限定的なものではない)よりも高いか否かを判断する。エンジン冷却水温THWが80℃よりも高いと(S250にてYES)、処理はS260へ移される。もしそうでないと(S250にてNO)、処理はS290へ移される。
S260にて、ECU100は、積算空気量ΣAIRがAIRしきい値よりも小さいか、または積算エンジン回転数ΣNEがNEしきい値よりも小さいか否かを判断する。積算空気量ΣAIRがAIRしきい値よりも小さいまたは積算エンジン回転数ΣNEがNEしきい値よりも小さいのいずれかを満足すると(S260にてYES)、処理はS270へ移される。もしそうでないと(S250にてNO)、処理はS290へ移される。
S270にて、ECU100は、積算空気量ΣAIRまたは積算エンジン回転数ΣNEに基づいて、図6に示すようなマップを用いて、暖機補正空気量Q(D)を算出する。
S280にて、ECU100は、暖機補正空気量Qに、{水温補正空気量Q(C)+暖機補正空気量Q(D)}を代入する。その後、この処理は終了する。
S290にて、ECU100は、暖機補正空気量Qに、暖機補正空気量Q(C)を代入する。その後、この処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置であるECU100で制御されるエンジンのアイドル回転数制御の動作について説明する。なお、前述の第1の実施の形態と同じ動作についての説明はここでは繰り返さない。
エンジン150が始動された後において、エンジン150に吸入された空気量または回転数が積算されて、積算空気量ΣAIRまたは積算エンジン回転数ΣNEが検知される(S230)。
エンジン冷却水温THWが検知され(S120)、図5に示すようなマップを用いてエンジン冷却水温THWに基づいて水温補正空気量Q(C)が算出される(S240)。
エンジン冷却水温THWが80℃以下であるときには(S250にてNO)、エンジン冷却水温THWに基づいても未だ十分な暖機が必要であると判断されて、暖機補正空気量Qにエンジン冷却水温THWに基づいて算出された暖機補正空気量Q(C)が代入される。また、エンジン冷却水温THWが80℃よりも高くても(S250にてYES)、積算空気量ΣAIRがAIRしきい値以上か、または積算エンジン回転数ΣNEがNEしきい値以上であると(S260にてNO)、暖機補正空気量Qには、積算空気量ΣAIRや積算エンジン回転数ΣNEに基くのではなくエンジン冷却水温THWに基づいて算出された暖機補正空気量Q(C)が代入される。
エンジン冷却水温THWが80℃よりも高く(S250にてYES)、積算空気量ΣAIRがAIRしきい値よりも小さいか、または積算エンジン回転数ΣNEがNEしきい値よりも小さいと(S260にてYES)、積算空気量ΣAIRまたは積算エンジン回転数ΣNEに基づいて、図6に示すようなマップを用いて、暖機補正空気量Q(D)が算出される。この暖機補正空気量Q(D)に、エンジン冷却水温THWに基づいて算出された暖機補正空気量Q(C)を合算した補正量が暖機補正空気量Qとして算出される(S280)。
このようにすると、エンジン150の始動後からのエンジン150への吸入空気量の積算値やエンジン回転数の積算値が大きくないときには、ISCV116に対してさらに多くの空気量が補正されるように、それらの積算値に応じて算出された補正量分だけ、エンジン冷却水温THWに基づいて算出された補正量に加算されることになる。そのため、現実のエンジン150の状態(エンジン150の始動後において、エンジン150がどの程度の負荷で運転され、どの程度まで暖機できているかを表わす状態)を的確に把握して、ISCの補正量を算出することができる。
なお、いずれの実施の形態(第1の実施の形態および第2の実施の形態)においても、エンジン冷却水温THWがたとえば80℃以上(すなわち、エンジン冷却水温THWによると暖機完了)していても、実施の形態に記載した補正が行なわれるときには、アイドル学習制御が禁止される。
さらに、電子スロットルバルブを搭載した車両においては、ISCVの代わりに、電子スロットルバルブを用いてアイドル時のエンジン回転数制御を行なっている。したがって、ISCVの代わりに、この電子スロットルバルブを用いても、上述した実施の形態と同様の作用効果を発現することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 ECU、104 エアーフローメータ、106 水温センサ、108 排気通路、110 吸気通路、112 スロットルバルブ、114A スロットルモータ、114B スロットルポジションセンサ、116 ISCV、116A バイパス通路、116B バルブ、116C アクチュエータ、118 エアクリーナ、120 三元触媒コンバータ、122 冷却水通路、124 シリンダブロック、126 インジェクタ、128 ピストン、130 クランクシャフト、132 クランクポジションセンサ、150 エンジン、152 吸気系、154 排気系。
Claims (5)
- アイドル回転数制御機構を備えた内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の冷却水温度を検知するための手段と、
前記内燃機関に接続された自動変速機の作動油温度を検知するための手段と、
前記冷却水温度および前記作動油温度に基づいて、前記アイドル回転数制御機構における補正量を算出するための算出手段とを含む、内燃機関の制御装置。 - 前記算出手段は、前記冷却水温度に基づいて算出された補正量と前記作動油温度に基づいて算出された補正量とを比較して、より大きい補正量を、前記アイドル回転数制御機構における補正量として算出するための手段を含む、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記算出手段は、前記冷却水温度に基づいて算出された補正量と前記作動油温度に基づいて算出された補正量とを比較して、前記冷却水温度に基づいて算出された補正量よりも前記作動油温度に基づいて算出された補正量のほうが大きい場合には、前記冷却水温度に基づいて算出された補正量と前記作動油温度に基づいて算出された補正量との合算量を、前記アイドル回転数制御機構における補正量として算出するための手段を含む、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記制御装置は、前記冷却水温度に基づいて暖機完了を判断するための手段をさらに含み、
前記算出手段は、前記暖機完了と判断された直後以降において、前記アイドル回転数制御機構における補正量を算出するための手段を含む、請求項1〜3のいずかに記載の内燃機関の制御装置。 - アイドル回転数制御機構を備えた内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の冷却水温度を検知するための手段と、
前記内燃機関に吸入された空気量および内燃機関の回転数についての、始動後からの積算値を検知するための手段と、
前記冷却水温度に基づいて暖機完了を判断するための手段と、
前記暖機完了と判断された直後以降において、前記積算値が予め定められた値よりも小さい場合には、前記空気量および前記回転数の少なくともいずれかについての、始動後からの積算値に基づいて、前記アイドル回転数制御機構における補正量を算出するための算出手段とを含む、内燃機関の制御装置。
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JP2005256197A JP2007071047A (ja) | 2005-09-05 | 2005-09-05 | 内燃機関の制御装置 |
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JP2012007486A (ja) * | 2010-06-22 | 2012-01-12 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の制御装置 |
CN115095438A (zh) * | 2022-08-24 | 2022-09-23 | 盛瑞传动股份有限公司 | 一种车辆怠速转速控制方法、装置、设备及存储介质 |
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2005
- 2005-09-05 JP JP2005256197A patent/JP2007071047A/ja not_active Withdrawn
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