JP2010185433A - 内燃機関の触媒暖機制御装置 - Google Patents

内燃機関の触媒暖機制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、内燃機関の触媒暖機制御装置に関し、ホット再始動時においても触媒暖機制御を適切に実行することを目的とする。
【解決手段】本発明の内燃機関の触媒暖機制御装置は、内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化用の触媒と、内燃機関の始動時の触媒温度を取得する始動時触媒温度取得手段と、内燃機関の始動時の冷却水温を検出する冷却水温検出手段と、取得された始動時の触媒温度に基づいて、触媒暖機制御を実行する必要があるか否かを判定する暖機要求判定手段と、触媒暖機制御が実行される場合に、始動時の冷却水温に基づいて、触媒暖機制御における内燃機関の制御パラメータを修整する制御パラメータ修整手段と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関の触媒暖機制御装置に関する。
内燃機関の排気ガスを浄化する触媒が良好な浄化性能を発揮するためには、触媒が活性温度以上に暖められていることが必要である。従って、エミッションを低減する上では、エンジン始動後に触媒温度をなるべく早く活性温度以上まで上昇させることが重要である。そこで、エンジン始動後に、触媒を早く活性化させるための触媒暖機制御を行う技術が従来から知られている。
例えば、特開2004−116310号公報には、触媒温度が活性温度以下であった場合に、点火時期を遅角する触媒暖機制御(触媒活性化制御)を行う装置が開示されている(同公報の図10参照)。
特開平8−284651号公報 特開2004−116310号公報 特許第3975726号公報 特許第3087298号公報 特許第3077418号公報
上述した特開2004−116310号公報に開示された装置では、触媒に取り付けられた触媒温センサによって触媒温度を検出している(同公報の図9および段落0043〜0045参照)。しかしながら、触媒は極めて高温となるため、性能やコスト面で満足のできる触媒温センサは未だ実用化されていない。このため、従来は、エンジン冷却水温が触媒の暖機状態を表しているものとみなして、冷却水温に基づいて、触媒暖機制御を実行するかどうかを判定するのが普通である。以下、図14を参照して、更に説明する。
図14の左側のグラフは、冷間始動時、つまりエンジンが長時間停止していた場合の始動時における触媒温度および冷却水温の変化を示している。エンジンを長時間停止していた場合には、触媒と冷却水は、何れも、外気温とほぼ同じ温度になっている。この状態からエンジンを始動し、触媒暖機制御を開始すると、同グラフに示すように、触媒温度と冷却水温が共に上昇していく。この場合、触媒温度の上昇と冷却水温の上昇との間には相関がある。そこで、この場合には、冷却水温が所定の触媒暖機判定水温に達した時点で、触媒温度が活性温度に達したものと判断して、触媒暖機制御を終了するようにしている。
しかしながら、短いエンジン停止時間の後に再始動を行う場合(以下「ホット再始動」と称する)には、上記のような制御では、次のような問題がある。図14の右側のグラフは、エンジン停止後の触媒温度および冷却水温の変化を示している。このグラフに示すように、エンジン停止後、触媒温度は急速に低下するのに対し、冷却水温は下がりにくく、低下速度が遅い。このため、エンジン停止からそれほど時間が経過していない場合には、触媒温度は活性温度より低くなっているが冷却水温は触媒暖機判定水温より高い、という状態が存在する。図14の右側のグラフに示したように、そのような状態でエンジンの再始動が行われた場合には、触媒温度が活性温度より低いにもかかわらず、冷却水温が触媒暖機判定水温より高いために、触媒暖機制御が実行されないという問題がある。
一方、点火時期を遅角すると、エンジンの熱効率が低下する。このため、触媒暖機制御を必要以上に実行すると、燃費が悪化するという問題がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ホット再始動時においても触媒暖機制御を適切に実行することのできる内燃機関の触媒暖機制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の触媒暖機制御装置であって、
内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化用の触媒と、
前記内燃機関の始動時の触媒温度を取得する始動時触媒温度取得手段と、
前記内燃機関の始動時の冷却水温を検出する冷却水温検出手段と、
前記取得された始動時の触媒温度に基づいて、触媒暖機制御を実行する必要があるか否かを判定する暖機要求判定手段と、
前記触媒暖機制御が実行される場合に、前記始動時の冷却水温に基づいて、前記触媒暖機制御における前記内燃機関の制御パラメータを修整する制御パラメータ修整手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記制御パラメータ修整手段は、前記始動時の冷却水温が高い場合には、前記始動時の冷却水温が低い場合に比して、前記制御パラメータを、前記触媒がより早期に活性化する方向に修整することを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記制御パラメータ修整手段は、前記始動時の冷却水温が高い場合には、前記始動時の冷却水温が低い場合に比して、点火時期遅角量を大きくすることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記制御パラメータ修整手段は、前記始動時の冷却水温が高い場合には、前記始動時の冷却水温が低い場合に比して、前記内燃機関の空燃比をリーンにすることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記触媒暖機制御の実行中に、運転者の走行意思を判定する走行意思判定手段と、
前記走行意思判定手段により走行意思がないと判定された場合には、走行意思があると判定された場合に比して、前記触媒暖機制御における点火時期遅角量を小さくするとともに、前記内燃機関の空燃比をリーンにするリーン化手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、
前記取得された始動時の触媒温度に基づいて、前記触媒暖機制御の終了条件を設定する終了条件設定手段を備えることを特徴とする。
また、第7の発明は、第6の発明において、
前記始動時の冷却水温が高い場合には、前記始動時の冷却水温が低い場合に比して、前記終了条件設定手段により設定された終了条件を、前記触媒暖機制御がより早期に終了する方向に補正する終了条件補正手段を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、始動時のエンジン冷却水温ではなく、始動時の触媒温度に基づいて、触媒暖機制御を実行する必要があるか否かを判定することができる。このため、ホット再始動時に、冷却水温はまだ高いが、触媒温度は活性温度より低くなっているという状況の場合にも、触媒暖機制御を確実に実行することができる。すなわち、ホット再始動の場合でも、触媒暖機制御の必要性を正確に判定することができる。また、第1の発明によれば、触媒暖機制御が実行される場合に、始動時の冷却水温に基づいて、触媒暖機制御におけるエンジン制御パラメータを修整することができる。このため、始動時の冷却水温が高い場合、つまりホット再始動の場合には、触媒暖機制御におけるエンジン制御パラメータをより有利な方向へ修整することができる。すなわち、始動時の冷却水温に応じた、最適な条件で触媒暖機制御を実行することができる。よって、触媒を更に早期に活性化させることができ、エミッションを更に低減することができる。
第2の発明によれば、始動時の冷却水温が高い場合には、始動時の冷却水温が低い場合に比して、触媒暖機制御におけるエンジン制御パラメータを、触媒がより早期に活性化する方向に修整することができる。始動時の冷却水温が高い場合には、エンジンの燃焼が安定するので、このような修整を行うことが可能である。このような修整を行うことにより、始動時の冷却水温が高い場合、つまりホット再始動の場合には、触媒を更に早期に活性化させることができるので、エミッションを更に低減することができる。
第3の発明によれば、始動時の冷却水温が高い場合には、始動時の冷却水温が低い場合に比して、触媒暖機制御における点火時期遅角量を大きくすることができる。始動時の冷却水温が高い場合には、エンジンの燃焼が安定するので、始動時の冷却水温が低い場合よりも点火時期遅角量を大きくすることが可能である。これにより、始動時の冷却水温が高い場合には、点火時期遅角量を大きくし、排気温度を更に高くすることができる。よって、触媒を更に早期に活性化させることができ、エミッションを更に低減することができる。
第4の発明によれば、始動時の冷却水温が高い場合には、始動時の冷却水温が低い場合に比して、触媒暖機制御における内燃機関の空燃比をリーンにすることができる。始動時の冷却水温が高い場合には、エンジンの燃焼が安定するので、始動時の冷却水温が低い場合よりも空燃比をリーンにすることが可能である。これにより、始動時の冷却水温が高い場合には、空燃比をリーンにして、触媒の活性温度を低下させることができる。よって、触媒を更に早期に活性化させることができ、エミッションを更に低減することができる。
第5の発明によれば、触媒暖機制御の実行中に、運転者の走行意思を判定し、走行意思がない場合には、走行意思がある場合に比して、触媒暖機制御における点火時期遅角量を小さくするとともに、内燃機関の空燃比をリーンにすることができる。運転者の走行意思がなく、アイドル運転がしばらく継続すると判断できる場合には、エンジンから出るエミッションの絶対量が少ない。このような場合には、空燃比のリーン化によって触媒の早期活性化を図れば、点火時期遅角量が小さくても、エミッションを十分に低減することができる。そこで、第5の発明では、運転者の走行意思がなく、アイドル運転がしばらく継続すると判断できる場合には、点火時期遅角量を小さくすることにより、燃費を改善することができる。
第6の発明によれば、始動時の触媒温度に基づいて、触媒暖機制御の終了条件を設定することができる。始動時の触媒温度が低い場合には、触媒暖機制御の実行期間が長く必要であるが、始動時の触媒温度が高い場合には、触媒暖機制御の実行期間は短くて十分である。第6の発明よれば、必要とされる触媒暖機制御の実行期間を、始動時の触媒温度に基づいて適切に設定することができる。このため、触媒暖機制御を無駄なく実行することができ、燃費の悪化を抑制することができる。
第7の発明によれば、始動時の冷却水温が高い場合には、始動時の冷却水温が低い場合に比して、触媒暖機制御の終了条件を、触媒暖機制御がより早期に終了する方向に補正することができる。始動時の冷却水温が高い場合には、エンジンの燃焼が安定するので、始動時の冷却水温が低い場合に比して、触媒暖機制御におけるエンジン制御パラメータを、触媒がより早期に活性化する方向に修整することができる。従って、始動時の冷却水温が高い場合には、始動時の冷却水温が低い場合に比して、触媒暖機制御の実行期間は短くて済む。そこで、第7の発明では、始動時の冷却水温が高い場合には、触媒暖機制御の実行期間を短縮することにより、燃費を改善することができる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 暖機終了判定値と、始動時の触媒推定温度との関係を定めたマップである。 暖機終了判定値の補正に用いられる補正係数を算出するためのマップである。 点火時期遅角量を算出するためのマップである。 点火時期遅角量を補正するための補正量を算出するためのマップである。 エンジンの空燃比と触媒の活性温度との関係を示す図である。 始動時の冷却水温に基づいて、触媒暖機制御実行中のエンジンの目標空燃比を設定するためのマップである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 始動後の触媒温度の上昇と、エンジン10の空燃比との関係を表したグラフである。 本発明の実施の形態4において実行されるルーチンのフローチャートである。 冷間始動時の触媒温度および冷却水温の変化と、エンジン停止後の触媒温度および冷却水温の変化とを表すグラフである。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、車両の動力源として用いられる内燃機関(以下、単に「エンジン」と称する)10を備えている。エンジン10には、吸気通路12および排気通路14が接続されている。
吸気通路12には、吸入される空気の温度を検出する吸気温センサ15と、吸入空気量を検出するエアフローメータ16とが設置されている。エアフローメータ16の下流には、スロットル弁18が配置されている。スロットル弁18は、後述するECU50からの指令に従い、スロットルモータ20によって開閉駆動される電子制御式スロットル弁である。スロットル弁18の近傍には、スロットル弁開度を検出するスロットルポジションセンサ22が配置されている。
エンジン10は、複数の気筒を有しており、図1には、そのうちの一つの気筒の断面が示されている。各気筒には、吸気通路12に連通する吸気ポートと、排気通路14に連通する排気ポートが設けられている。吸気ポートには、その内部に燃料を噴射するための燃料インジェクタ26が配置されている。また、各気筒には、吸気ポートと燃焼室との間を開閉する吸気弁28と、排気ポートと燃焼室との間を開閉する排気弁29と、燃焼室内の混合気に点火するための点火プラグ30と、ピストン34とが設けられている。なお、エンジン10は、図示の構成に限らず、燃料を筒内に直接噴射する方式のものでもよい。
各気筒のピストン34の往復運動は、クランク機構を介して、クランク軸36の回転運動に変換される。クランク軸36の近傍には、クランク軸36の回転角を検出するためのクランク角センサ38が取り付けられている。クランク角センサ38の出力によれば、エンジン回転数を検出することもできる。
エンジン10の排気通路14には、排気ガスを浄化するための触媒40が設置されている。触媒40としては、例えば、三元触媒、NOx触媒等が好ましく用いられる。
また、図1に示すシステムは、車両のアクセルペダル位置を検出するアクセルポジションセンサ24と、エンジン10の冷却水の温度を検出する冷却水温センサ41と、ECU(Electronic Control Unit)50とを備えている。ECU50には、上述した各種のセンサおよびアクチュエータが電気的に接続されている。
本実施形態では、エンジン10が搭載された車両は、自動変速機(図示せず)を備えているものとする。ECU50は、その自動変速機を制御するATCU(Automatic Transmission Control Unit)42と相互に通信可能になっている。また、ECU50には、自動変速機のレンジ位置を検出するレンジ位置センサ43と、車両の駐車ブレーキの位置を検出する駐車ブレーキ位置センサ44とが電気的に接続されている。
本実施形態では、エミッションを低減するため、エンジン10の始動後、触媒40の温度(床温)を迅速に活性温度以上まで上昇させるための触媒暖機制御を行う。触媒暖機制御においては、点火時期を通常の点火時期(基本点火時期)よりも遅くする。点火時期を遅くすると、排気温度が高くなるので、触媒40の温度(以下、「触媒温度」と称する)を速く上昇させることができる。
また、本実施形態では、始動時の触媒温度を推定し、その推定された始動時の触媒温度が活性温度より低い場合に、触媒暖機制御を実行することとした。始動時の触媒温度は、次のようにして推定することができる。ECU50は、エンジン10の運転中、運転状態や排気温度センサ(図示せず)により検出される排気温度などに基づいて、触媒温度を推定することができる。そして、エンジン10を停止させる際、その停止直前の触媒温度を記憶する。エンジン10の停止中における触媒40の温度降下代は、停止時間が長くなるにつれて大きくなり、また、外気温が低いほど大きくなる。そこで、エンジン10の始動時に、エンジン停止時点からの経過時間や外気温などに基づいて温度降下代を算出し、エンジン停止直前に記憶した触媒温度からその温度降下代を差し引くことにより、始動時の触媒温度を精度良く推定することができる。
前述したように、エンジン停止後、触媒40は冷めやすいが、冷却水は冷めにくい。よって、エンジン停止からあまり時間が経過していない状態では、触媒温度は活性温度より低い温度まで下がっているが、冷却水の温度はまだ高いという状態が存在する。このため、冷却水温に基づいて触媒暖機制御を実行するか否かを判定した場合には、上記のような状態において再始動が行われたとき、触媒が活性温度未満にまで冷えているにもかかわらず、触媒暖機制御が不要であると判定されてしまい、触媒暖機制御が実行されないという問題がある。
これに対し、本実施形態によれば、触媒暖機制御を実行する必要があるか否かを始動時の触媒温度に基いて判定するので、その必要性を正確に判定することができる。すなわち、始動時の冷却水温が高い場合であって、触媒温度が低下している場合には、触媒暖機制御を確実に実行することができる。よって、ホット再始動が行われるときのエミッションを確実に低減することができる。
また、本実施形態では、始動時の触媒温度に基づいて、触媒暖機制御の終了条件を設定することとした。始動時の触媒温度と活性温度との差が小さい場合には、触媒温度を短時間で活性温度まで上昇させることができる。一方、始動時の触媒温度と活性温度との差が大きい場合には、触媒温度が活性温度まで上昇するのに長い時間がかかる。そこで、本実施形態では、始動時の触媒温度に応じて、触媒暖機制御を実行する期間の長さを調節することとした。点火時期を遅角すると、エンジン10の熱効率が低下するので、触媒暖機制御を行うと、燃費が悪化する傾向がある。本実施形態では、上記の制御により、触媒暖機制御を実行する期間が必要十分な長さとなるように調節することができるので、燃費悪化を抑制することができる。
更に、本実施形態の触媒暖機制御では、始動時の冷却水温が高い場合には、始動時の冷却水温が低い場合に比して、点火時期遅角量をより大きくすることとした。始動時の冷却水温が高い場合には、燃焼が安定し易いので、点火時期遅角量を大きくしても、燃焼が不安定になりにくい。点火時期遅角量が大きいほど、排気温度が高くなるので、触媒温度をより速く上昇させることができる。よって、始動時の冷却水温が高い場合には、点火時期遅角量を大きくすることにより、触媒暖機を更に促進することができ、エミッションを更に低減することができる。
図2および図3は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。なお、これらのルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行されるものとする。
図2に示すルーチンは、触媒暖機制御を実行する必要があるか否かの判定と、エンジン始動からの吸入空気量の積算値(以下「積算空気量」と称する)の算出とを行うための処理を表している。図2に示すルーチンによれば、まず、現時点がエンジン始動時点であるか否かが判定される(ステップ100)。この判定は、例えばエンジン回転数に基づいて行うことができる。すなわち、エンジン回転数が400rpm未満であった場合には、エンジン始動時点であると判定され、エンジン回転数が400rpm以上であった場合には、エンジン10が既に始動されていると判定される。
上記ステップ100で、現時点がエンジン始動時点であると判定された場合には、ECU50に記憶されている始動後の積算空気量の値がクリアされる(ステップ102)。すなわち、積算空気量の値がゼロとして記憶される。
上記ステップ102の処理に続いて、始動時の触媒推定温度が算出される(ステップ104)。このステップ104では、エンジン停止時点からの経過時間や外気温などに基づいて触媒40の温度降下代を算出し、ECU50に記憶されたエンジン停止直前の触媒温度からその温度降下代を差し引くことにより、始動時の触媒推定温度が算出される。なお、外気温は、吸気温センサ15で検出される吸気温を代用することができる。また、温度降下代の算出に際しては、冷却水温等の他のパラメータを更に利用するようにしてもよい。
続いて、上記ステップ104で算出された始動時の触媒推定温度と、触媒40の活性温度に対応する所定値とが比較される(ステップ106)。その比較の結果、始動時の触媒推定温度が上記所定値未満であった場合には、触媒暖機制御の実行が必要であると判定される(ステップ108)。これに対し、始動時の触媒推定温度が上記所定値以上であった場合には、触媒暖機制御を行う必要がないと判断できるので、触媒暖機制御の実行が禁止される(ステップ110)。
一方、上記ステップ100で、エンジン10が既に始動されていると判定された場合には、まず、前回記憶された積算空気量の値が読み込まれる(ステップ112)。次いで、エアフローメータ16で検出される吸入空気量が読み込まれる(ステップ114)。そして、上記ステップ112で読み込まれた積算空気量の値に上記ステップ114で読み込まれた吸入空気量の値を加算することにより、積算空気量の値が更新される(ステップ116)。
図3に示すルーチンは、触媒暖機制御の処理を表している。図3に示すルーチンによれば、まず、基本点火時期が算出される(ステップ120)。ECU50には、エンジン回転数およびエンジン負荷と、基本点火時期との関係を定めたマップが予め記憶されている。ステップ120では、そのマップに基づいて、基本点火時期が算出される。
次いで、触媒暖機制御の実行が要求されているか否かが確認される(ステップ122)。前述したように、触媒暖機制御を実行する必要があるか否かは、図2のルーチンによって判定されており、その判定結果がこのステップ122で読み込まれる。このステップ122で、触媒暖機制御の実行が要求されていないと認められた場合には、点火時期遅角量がゼロに設定されるとともに(ステップ124)、触媒暖機制御の実行が禁止される(ステップ126)。この場合には、点火時期遅角量がゼロであるので、上記ステップ120で算出された基本点火時期が、実際に実行する点火時期として設定される(ステップ144)。
一方、上記ステップ122で、触媒暖機制御の実行が要求されていると認められた場合には、まず、始動後の積算空気量の値と、始動時の触媒推定温度とがそれぞれ読み込まれる(ステップ128,130)。これらの値は、前述したように、図2に示すルーチンによって算出されている。
本実施形態において、ECU50は、エンジン始動と同時に冷却水温センサ41によって冷却水温を検出し、その値を始動時の冷却水温として記憶している。上記ステップ130の処理に続き、その記憶された始動時の冷却水温の値が読み込まれる(ステップ132)。
続いて、触媒暖機制御の終了判定に用いる積算空気量の判定値(以下「暖機終了判定値」と称する)が図4に示すマップに基づいて算出される(ステップ134)。本実施形態では、始動後の積算空気量が暖機終了判定値に達した時点で触媒暖機制御を終了することとしている。図4は、暖機終了判定値と、始動時の触媒推定温度との関係を定めたマップである。このマップによれば、触媒40の活性温度と、始動時の触媒推定温度との差が小さい場合ほど、暖機終了判定値が小さくされる。このため、本実施形態では、始動時の触媒温度が高い場合、すなわち、触媒温度を短時間で活性温度まで上昇させることができる場合には、それに合わせて、触媒暖機制御が早く終了される。よって、触媒暖機制御が必要以上に長い期間実行されることがないので、燃費の悪化を抑制することができる。
続いて、上記ステップ134で算出された暖機終了判定値が、始動時の冷却水温に基づいて補正される(ステップ136)。図5は、暖機終了判定値の補正に用いられる補正係数を算出するためのマップである。このステップ136では、上記ステップ134で算出された暖機終了判定値に、図5に示すマップにより算出される補正係数を乗ずることにより、暖機終了判定値が補正される。本実施形態では、後述するように、始動時の冷却水温が高い場合、点火時期遅角量を増大させる補正を行う。点火時期遅角量が増大されると、排気温度がより高くなるので、触媒温度がより速く上昇し、活性温度に到達するまでの時間が短くなる。このステップ136の処理は、このことに対応したものである。すなわち、図5に示すマップによれば、始動時の冷却水温が所定値(例えば40℃)以下の場合には補正係数の値が1.0とされる。一方、始動時の冷却水温がこの所定値を超えて高くなるにつれて、補正係数の値が小さくされる。このような補正係数が暖機終了判定値に乗ぜられるので、始動時の冷却水温が高くなるにつれて、触媒暖機制御の実行期間が短縮される。
続いて、上記ステップ128で読み込まれた始動後の積算空気量が、上記ステップ134で得られた補正後の暖機終了判定値に達したか否かが判定される(ステップ138)。
上記ステップ138で、始動後の積算空気量が暖機終了判定値に達していないと判定された場合には、次に、触媒暖機制御のための点火時期遅角量が算出される(ステップ140)。図6に示すマップは、点火時期遅角量を算出するためのマップである。ステップ140では、このマップに従って、点火時期遅角量が算出される。
続いて、上記ステップ140で算出された点火時期遅角量が、始動時の冷却水温に基づいて補正される(ステップ142)。図7は、点火時期遅角量を補正するための補正量を算出するためのマップである。このステップ142では、上記ステップ140で算出された点火時期遅角量に、図7に示すマップにより算出される補正量を加算することにより、点火時期遅角量が補正される。図7に示すマップによれば、始動時の冷却水温が所定値(例えば40℃)以下の場合には補正量の値が0とされる。一方、始動時の冷却水温がこの所定値を超えて高くなるにつれて、補正量の値が大きくされる。すなわち、ステップ142の処理によれば、始動時の冷却水温が高くなるにつれて、点火時期遅角量の値が増大される。
続いて、実際に実行する点火時期を算出する処理が行われる(ステップ144)。ここでは、上記ステップ120で算出された基本点火時期から、上述した点火時期遅角量だけ遅くした点火時期が、実行する点火時期として算出される。
一方、上記ステップ138で、始動後の積算空気量が暖機終了判定値に達したと判定された場合には、点火時期遅角量がゼロに設定されるとともに(ステップ124)、触媒暖機制御の実行が禁止される(ステップ126)。これにより、触媒暖機制御が終了する。
上述した図3のルーチンの処理によれば、始動時の冷却水温が高く、安定した燃焼が可能であると判断できる場合には、触媒暖機制御における点火時期遅角量を大きくすることができる。このため、触媒暖機を更に促進することができ、触媒温度を更に迅速に活性温度まで上昇させることができる。よって、触媒40をより早く活性化させることができ、エミッションを更に低減することができる。また、その場合には、触媒暖機制御の実行期間を短縮することができるので、燃費を改善することができる。
なお、本実施形態では、始動時の触媒温度を推定によって求めることとしているが、本発明では、触媒40の温度を検出する温度センサを設け、触媒温度を直接に検出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、始動後の積算空気量が暖機終了判定値に達した時点で触媒暖機制御を終了するようにしているが、本発明では、触媒暖機制御の終了判定を行う方法はこれに限定されるものではない。例えば、始動後の触媒温度を推定または検出し、触媒温度が所定の判定温度(活性温度)に到達した時点で触媒暖機制御を終了するようにしてもよい。
一般に、触媒40の劣化が進行するほど、触媒40の活性温度が高くなっていく。このため、触媒暖機制御の終了条件を触媒40の劣化度に基づいて補正するようにしてもよい。すなわち、触媒40の劣化度が大きい場合ほど、触媒温度がより高い温度になるまで触媒暖機制御が継続されるように、触媒暖機制御の終了条件を補正してもよい。触媒40の劣化度は、公知の手法によって算出することができる。
なお、上述した実施の形態1においては、冷却水温センサ41が前記第1の発明における「冷却水温検出手段」に相当している。また、ECU50が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「始動時触媒温度取得手段」が、上記ステップ106〜110の処理を実行することにより前記第1の発明における「暖機要求判定手段」が、上記ステップ142の処理を実行することにより前記第1乃至第3の発明における「制御パラメータ修整手段」が、上記ステップ134の処理を実行することにより前記第6の発明における「終了条件設定手段」が、上記ステップ136の処理を実行することにより前記第7の発明における「終了条件補正手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図8乃至図10を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。本実施形態のハードウェア構成は、前述した実施の形態1と同様(図1)である。
前述した実施の形態1では、触媒暖機制御を行う場合に、始動時の冷却水温が高い場合には、点火時期遅角量を大きくすることとしていた。これに対し、本実施形態では、始動時の冷却水温が高い場合には、冷却水温が低い場合に比して、エンジン10の制御空燃比をリーン化することとした。始動時の冷却水温が低い場合には、空燃比(A/F)をリーンにすると燃焼が不安定になるので、空燃比のリーン化は困難である。これに対し、始動時の冷却水温が高い場合には、空燃比をリーンにしても、安定した燃焼が可能である。
図8は、エンジン10の空燃比と触媒40の活性温度との関係を示す図である。触媒40は、エンジン10の空燃比が理論空燃比よりややリーン(以下、「弱リーン」と称する)であると、活性が良くなり、より低温から活性化する。このため、図8に示すように、理論空燃比の前後では、空燃比がリーンになるにつれて、触媒40の活性温度が低くなる。従って、エンジン10を理論空燃比(ここではA/F=14.6とする)で運転した場合には、触媒40の活性温度はtSとなるが、エンジン10を弱リーンな空燃比(A/F=15.0)で運転した場合には、触媒40の活性温度tLへと低下させることができる。従って、空燃比をリーン化することにより、触媒温度が活性温度に達するまでの時間が短くなるので、触媒40をより早期に活性化することができる。
図9は、始動時の冷却水温に基づいて、触媒暖機制御実行中のエンジン10の目標空燃比を設定するためのマップである。本実施形態では、このマップに基づいて、触媒暖機制御実行中のエンジン10の目標空燃比を設定する。図9に示すように、始動時の冷却水温が所定値(例えば40℃)以下の場合には、目標空燃比が理論空燃比(14.6)に設定される。一方、始動時の冷却水温がこの所定値を超えて高くなるにつれて、目標空燃比がリーンな値に設定される。
本実施形態は、ECU50に、実施の形態1の図3に示すルーチンに代えて、図10に示すルーチンを実行させることにより、実現することができる。以下、図10において、図3に示すステップと同様のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。図10に示すルーチンは、図3に示すルーチンと比べて、ステップ142がステップ146に置換されていること以外は同様である。
図10に示すルーチンによれば、触媒暖機制御が実行される場合に、エンジン10の目標空燃比が図9に示すマップに基づいて算出される(ステップ146)。すなわち、ステップ146の処理によれば、始動時の冷却水温が高い場合には、始動時の冷却水温が低い場合に比して、目標空燃比がリーンな値に設定される。このため、始動時の冷却水温が高く、安定した燃焼が可能であると判断できる場合には、エンジン10の空燃比を弱リーンにすることができる。エンジン10の空燃比を弱リーンにすると、触媒40の活性温度が低くなるので、触媒温度をより迅速に活性温度まで上昇させることができる。よって、触媒40をより早く活性化させることができ、エミッションを更に低減することができる。
また、エンジン10の空燃比がリーン化された場合には、エンジン10から排出されるHC量が少なくなるので、HCの低減にも寄与する。
更に、図10に示すルーチンによれば、エンジン10の空燃比がリーン化される場合には、触媒40の活性化が早くなることに対応して、ステップ136の処理により、触媒暖機制御の実行期間を短縮するようにしている。これにより、燃費を改善することができる。
また、上述した実施の形態2においては、ECU50が、上記ステップ146の処理を実行することにより、前記第1、第2および第4の発明における「制御パラメータ修整手段」が実現されている。
実施の形態3.
次に、図11を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。本実施形態のハードウェア構成は、前述した実施の形態1と同様(図1)である。
上述した実施の形態1の触媒暖機制御においては、点火時期を遅角することによって、排気温度を高め、触媒40の早期活性化を図るようにしている。また、上述した実施の形態2の触媒暖機制御においては、始動時の冷却水温が高い場合には、点火時期の遅角に加えて、空燃比のリーン化を併用することによって、触媒40の早期活性化を図るようにしている。
ところで、エンジン始動後、車両が走行せず、アイドル運転が継続して実行されている場合には、エンジン負荷が小さいため、エンジン10から出る絶対的なエミッション排出量(特にNOxの絶対量)は少ない。このため、点火時期を遅角せず、空燃比のリーン化のみによって触媒40の早期活性化を図った場合であっても、エミッションを十分に低減することが可能である。
そこで、本実施形態では、運転者に車両を走行(発進)させようとする意思がなく、アイドル運転がしばらく継続されると判断できる場合には、点火時期遅角を行わず、空燃比のリーン化のみによって触媒40の早期活性化を図ることとした。これにより、点火時期の遅角による燃費の悪化を回避することができる。なお、本実施形態では、運転者の走行意思を、自動変速機のレンジ位置に基づいて判定することとした。
本実施形態は、ECU50に、図11に示すルーチンを実行させることにより、実現することができる。以下、図11において、図3または図10に示すステップと同様のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。図11に示すルーチンのステップ120〜144の処理は、図3および図10に示すルーチンと同様である。また、図11に示すルーチンでは、図10に示すルーチンと比べ、ステップ150〜154が追加されている。
図11に示すルーチンによれば、触媒暖機制御が実行される場合に、自動変速機がDレンジ(ドライブレンジ)にあるかどうかが判定される(ステップ150)。自動変速機がDレンジにある場合には、運転者に走行意思があるものと判定される。これに対し、自動変速機がDレンジでなく、Nレンジ(ニュートラルレンジ)やPレンジ(パーキングレンジ)にある場合には、運転者に走行意思がないものと判定される。なお、このステップ150においては、駐車ブレーキあるいは通常のブレーキが作動しているかどうかを考慮して運転者の走行意思を判定してもよい。
上記ステップ150において、運転者に走行意思があると判定された場合には、前述した実施の形態2と同様の触媒暖機制御が実行される。すなわち、まず、図6に示すマップに従って点火時期遅角量が算出される(ステップ140)。次いで、エンジン10の目標空燃比が図9に示すマップに基づいて算出される(ステップ146)。
これに対し、上記ステップ150において、運転者に走行意思がないと判定された場合、つまりアイドル運転がしばらく継続すると判断できる場合には、点火時期遅角量がゼロに設定される(ステップ152)。次いで、エンジン10の目標空燃比が算出される(ステップ154)。このステップ154では、目標空燃比が弱リーンな値に算出される。これにより、触媒40の活性温度が低くなるので、触媒温度が活性温度に到達するまでの時間が短くなり、エミッションを十分に低減することができる。また、この場合には、点火時期の遅角を行わないので、燃費を改善することができる。
なお、図11のルーチンでは、運転者に走行意思がないと判定された場合に点火時期遅角量をゼロにしているが、本発明では、運転者に走行意思がないと判定された場合に、必ずしも点火時期遅角量をゼロにしなくてもよく、運転者に走行意思があると判定された場合に比べて点火時期遅角量を小さくするだけでもよい。この場合であっても、燃費の悪化を抑制することができる。
上述した実施の形態3においては、ECU50が、上記ステップ150の処理を実行することにより前記第5の発明における「走行意思判定手段」が、上記ステップ152および154の処理を実行することにより前記第5の発明における「リーン化手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態4.
次に、図12および図13を参照して、本発明の実施の形態4について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。本実施形態のハードウェア構成は、前述した実施の形態1と同様(図1)である。
上述した実施の形態3の触媒暖機制御においては、運転者に走行意思がないと判定された場合、つまりアイドル運転がしばらく継続すると判断できる場合には、点火時期遅角量を小さくして燃費の悪化を抑制するとともに、空燃比をリーン化することによって、触媒40の早期活性化を図るようにしている。
図12は、始動後の触媒温度の上昇と、エンジン10の空燃比との関係を表したグラフである。図12中のtSは、エンジン10を理論空燃比(A/F=14.6)で運転した場合の触媒40の活性温度であり、tLは、エンジン10をリーン空燃比(A/F=15.0)で運転した場合の触媒40の活性温度である(前述した図8参照)。
図12に示すように、始動後最初の間は、エンジン10を理論空燃比で運転した場合でも、リーン空燃比で運転した場合でも、触媒温度はほぼ同じように上昇していく。時刻t1において、触媒温度がリーン空燃比での活性温度tLに到達すると、リーン空燃比運転の場合には、触媒40が活性化し、浄化反応が活発化するので、触媒40で発生する反応熱が増大する。このため、リーン空燃比運転の場合には、時刻t1を過ぎると、触媒温度の上昇速度が速くなる。これに対し、理論空燃比運転の場合には、触媒温度が活性温度tSに達しないと触媒40が活性化しないので、時刻t1においては触媒40がまだ活性化していない。このため、理論空燃比運転の場合には、時刻t1を過ぎた後も、触媒温度の上昇速度は変わらない。
このようなことから、理論空燃比運転の場合には、図12中の時刻t3において触媒温度が活性温度tSに到達する。これに対し、リーン空燃比運転の場合には、時刻t3よりも早い時刻t2において触媒温度が活性温度tSに到達する。従って、触媒暖機制御においてリーン空燃比運転を行った場合には、理論空燃比運転を行った場合よりも早く、触媒温度を理論空燃比での活性温度tSに到達させることができるという点でも有利である。
運転者に走行意思がないと判定され、空燃比のリーン化による触媒暖機制御を行っている最中に、自動変速機がDレンジに切り換えられた場合には、車両が走行(発進)し、エンジン負荷が増大することが予想される。点火時期遅角量が少なく、且つリーン空燃比で運転している場合に、エンジン負荷が増大すると、エンジン10から出るNOxの量が急増する。従って、このような場合には、エンジン10を理論空燃比制御に切り換えることが必要となる。このときに、触媒温度がまだ活性温度tSに到達していなかった場合(すなわち、図12で時刻t2より前だった場合)には、エンジン10から排出される理論空燃比の排気ガスを触媒40で十分に浄化することができない。そこで、本実施形態では、そのような場合には、点火時期遅角量を増大させ、排気温度をより高くすることにより、触媒温度を迅速に活性温度tSまで上昇させることとした。
図13は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。本ルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行されるものとする。本実施形態では、ECU50は、エンジン10の運転状態の履歴や排気ガス温度等に基づいて触媒温度を推定する手段を備えているものとする。
図13に示すルーチンによれば、まず、触媒暖機が完了しているか否かを表すフラグXCATの値が確認される(ステップ200)。このステップ200において、触媒暖機がまだ完了していないと判定された場合(XCAT=0)には、次に、自動変速機がDレンジであるか否か、つまり運転者に走行意思があるか否かが判定される(ステップ202)。
上記ステップ202において、自動変速機がDレンジにあると判定された場合には、エンジン10の目標空燃比が理論空燃比に設定されるとともに、点火時期遅角量を大とする触媒暖機制御が実行される(ステップ204)。続いて、触媒温度が理論空燃比での活性温度tSに到達したか否かが判定される(ステップ206)。触媒温度がまだ活性温度tSに到達していないと判定された場合には、本ルーチンの今回の実行が終了される。これに対し、触媒温度が活性温度tSに到達したと判定された場合には、触媒暖機が完了したと判定され、XCAT=1とされる(ステップ216)。
上記ステップ202において、自動変速機がDレンジでなかった場合、つまり運転者に走行意思がないと判定された場合には、エンジン10の目標空燃比がリーン空燃比に設定されるとともに、点火時期遅角量を小とする触媒暖機制御が実行される(ステップ208)。このように、本実施形態では、運転者に走行意思がない場合に、触媒温度がリーン空燃比での活性温度tLに到達するまでは、点火時期遅角を行うようにしている。これにより、触媒温度を迅速に活性温度tLまで上昇させることができる。
上記ステップ202の処理に続いて、触媒温度がリーン空燃比での活性温度tLに到達したか否かが判定される(ステップ210)。このステップ210で、触媒温度がリーン空燃比での活性温度tLに到達したと判定された場合には、目標空燃比はリーン空燃比にしたままで、点火時期遅角量をゼロとする触媒暖機制御が実行される(ステップ212)。このように、触媒温度がリーン空燃比での活性温度tLに到達した後は、点火時期遅角量をゼロとすることにより、燃費を改善することができる。
次いで、触媒温度が理論空燃比での活性温度tSに到達したか否かが判定される(ステップ214)。触媒温度がまだ活性温度tSに到達していないと判定された場合には、本ルーチンの今回の実行が終了される。これに対し、触媒温度が活性温度tSに到達したと判定された場合には、触媒暖機が完了したと判定され、XCAT=1とされる(ステップ216)。
以上説明したような図13のルーチンの処理によれば、自動変速機がDレンジ以外にあってリーン空燃比運転が実行されていた状態から、自動変速機がDレンジに切り換えられた場合において、触媒温度がまだ活性温度tSに到達していなかった場合には、XCAT=0であるので、ステップ200,202,204の順に処理が実行される。これにより、理論空燃比運転、且つ点火時期遅角量が大の触媒暖機制御に切り換えられる。よって、触媒温度を理論空燃比での活性温度tSまで迅速に上昇させることができる。このため、直後に車両が走行してエンジン負荷が増大した場合であっても、大気中へのエミッションの放出を十分に抑制することができる。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。上述した実施の形態では、点火時期の遅角を利用した触媒暖機制御を行う場合を例に説明したが、本発明は、排気系へ2次空気を供給する触媒暖機制御や、自動変速機の高速側の変速段の使用を制限してエンジン回転数を高める触媒暖機制御を行う場合にも適用可能である。
10 内燃機関
12 吸気通路
14 排気通路
15 吸気温センサ
18 スロットル弁
20 スロットルモータ
22 スロットルポジションセンサ
24 アクセルポジションセンサ
26 燃料インジェクタ
30 点火プラグ
40 触媒
41 冷却水温センサ
50 ECU

Claims (7)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化用の触媒と、
    前記内燃機関の始動時の触媒温度を取得する始動時触媒温度取得手段と、
    前記内燃機関の始動時の冷却水温を検出する冷却水温検出手段と、
    前記取得された始動時の触媒温度に基づいて、触媒暖機制御を実行する必要があるか否かを判定する暖機要求判定手段と、
    前記触媒暖機制御が実行される場合に、前記始動時の冷却水温に基づいて、前記触媒暖機制御における前記内燃機関の制御パラメータを修整する制御パラメータ修整手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の触媒暖機制御装置。
  2. 前記制御パラメータ修整手段は、前記始動時の冷却水温が高い場合には、前記始動時の冷却水温が低い場合に比して、前記制御パラメータを、前記触媒がより早期に活性化する方向に修整することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の触媒暖機制御装置。
  3. 前記制御パラメータ修整手段は、前記始動時の冷却水温が高い場合には、前記始動時の冷却水温が低い場合に比して、点火時期遅角量を大きくすることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の触媒暖機制御装置。
  4. 前記制御パラメータ修整手段は、前記始動時の冷却水温が高い場合には、前記始動時の冷却水温が低い場合に比して、前記内燃機関の空燃比をリーンにすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の触媒暖機制御装置。
  5. 前記触媒暖機制御の実行中に、運転者の走行意思を判定する走行意思判定手段と、
    前記走行意思判定手段により走行意思がないと判定された場合には、走行意思があると判定された場合に比して、前記触媒暖機制御における点火時期遅角量を小さくするとともに、前記内燃機関の空燃比をリーンにするリーン化手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の触媒暖機制御装置。
  6. 前記取得された始動時の触媒温度に基づいて、前記触媒暖機制御の終了条件を設定する終了条件設定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の内燃機関の触媒暖機制御装置。
  7. 前記始動時の冷却水温が高い場合には、前記始動時の冷却水温が低い場合に比して、前記終了条件設定手段により設定された終了条件を、前記触媒暖機制御がより早期に終了する方向に補正する終了条件補正手段を備えることを特徴とする請求項6記載の内燃機関の触媒暖機制御装置。
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