JP2007231861A - 内燃機関の油温推定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン始動時に演算する推定油温初期値の誤差を小さくして始動後の推定油温の精度を向上させる。
【解決手段】エンジン始動時に推定油温初期値THOstart を次式により算出する。
THOstart =THWstart −(THWstop−THOstop)×K1
ここで、THWstart はエンジン始動時の冷却水温、THWstopはエンジン停止時の冷却水温、THOstopはエンジン停止時の推定油温、K1 はエンジン停止時間に応じた補正値である。そして、推定油温初期値THOstart の下限ガード値としてエンジン始動時の外気温を設定し、推定油温初期値THOstart の下限をエンジン始動時の外気温でガードする。これにより、推定油温初期値の誤差を小さくして、エンジン始動後の推定油温の精度を向上させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関又はその周辺装置に使用される作動油、潤滑油等の油温を推定する内燃機関の油温推定装置に関する発明である。
近年、車両に搭載される内燃機関においては、出力向上、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを油圧で可変する油圧駆動式の可変バルブタイミング装置を搭載したものがある。この油圧駆動式の可変バルブタイミング装置は、内燃機関の始動直後等で作動油(エンジンオイル)の油温が低いときには、作動油の粘性が増加し、流動性が低下して、バルブタイミング制御の応答性が低下するという特性がある。
そこで、例えば、特許文献1(特開平10−227235号公報)に記載されているように、可変バルブタイミング装置の作動油の油温を推定し、その推定油温が所定の判定温度以下の領域では、バルブタイミング制御(可変バルブタイミング装置の作動)を禁止するようにしたものがある。このものでは、内燃機関の運転中に油温を推定するために、内燃機関の始動時に冷却水温センサで検出した冷却水温を推定油温の初期値として設定し、内燃機関の運転中は、この推定油温の初期値と内燃機関の運転状態(回転速度、負荷等)とに基づいて推定油温を算出するようにしている。
一般に、内燃機関の暖機運転中は、実水温が実油温よりも早く上昇して、実水温が実油温よりも高くなる傾向があるため、この暖機運転の途中で内燃機関を停止して、すぐに再始動した場合には、始動時の実水温と実油温との差が大きくなっている可能性が高い。
しかし、上記特許文献1の油温推定方法では、始動時の検出水温をそのまま推定油温の初期値として設定するため、始動時の検出水温と実油温との差が大きい条件下では、推定油温初期値と実油温との差(推定油温初期値の誤差)が大きくなってしまい、内燃機関の運転中に推定油温初期値に基づいて推定する油温の推定精度が低下してしまい、例えば、次のような不具合が発生する可能性がある。
前述したように、推定油温が所定の判定温度以下の領域で、バルブタイミング制御を禁止するシステムでは、推定油温の誤差が大きいと、実油温が十分に上昇する前に推定油温が所定の判定温度を越えて、バルブタイミング制御を開始してしまう可能性がある。この対策として、従来システムでは、推定油温の誤差を見込んで判定温度を高めに設定しているため、実際には、既に実油温がバルブタイミング制御の応答性を十分に確保できる温度域に上昇しているにも拘らず、推定油温が判定温度を越えずに、バルブタイミング制御が禁止されてしまう運転領域が発生する。このため、バルブタイミング制御の開始時期が遅れて、その分、出力、燃費、排気エミッションが悪化するという欠点がある。
また、内燃機関のトルク制御システムでは、推定油温に基づいてフリクションロス(機械摩擦損失)を算出して要求図示トルクを算出する場合に、油温推定精度が低下すると、フリクションロスの算出精度ひいては要求図示トルクの算出精度が低下してトルク制御精度が低下してしまう。
そこで、本出願人は、特許文献2(特開2005−207297号公報)に示すように、エンジン始動時に前回のエンジン停止時の検出水温と推定油温と、エンジン停止時間と、今回のエンジン始動時の検出水温とに基づいて推定油温初期値を算出する技術を出願している。
特開平10−227235号公報(第2頁〜第4頁等) 特開2005−207297号公報(第1頁等)
しかし、上記特許文献2の技術を用いても、推定油温初期値の精度向上には限界があり、図6に示すように、エンジン停止時間が長くなるほど、推定油温初期値の誤差(ばらつき範囲)が拡大する傾向があり、推定油温を利用した各種の制御(例えば、バルブタイミング制御、トルク制御等)の制御精度を悪化させる可能性がある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、推定油温初期値の誤差を小さくして機関始動後の推定油温の精度を向上できる内燃機関の油温推定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関又はその周辺装置に使用される油の推定油温を機関始動時の推定油温(以下「推定油温初期値」という)に基づいて算出する推定油温算出手段を備えた内燃機関の油温推定装置において、外気温検出手段により外気温を検出又は推定し、ガード手段により前記推定油温初期値の下限を前記外気温でガードするようにしたものである。
図6に示すように、内燃機関の停止時間が長くなるほど、推定油温初期値の誤差(ばらつき範囲)が拡大する傾向があり、内燃機関の停止時間が長くなると、推定油温初期値が推定誤差によって外気温よりも低くなる可能性があるが、内燃機関の停止中の油温は外気で冷やされて温度低下することを考えると、実際の油温が外気温よりも低くなることはほとんど発生しないと考えられる。従って、本発明のように、推定油温初期値の下限を外気温でガードすれば、推定油温初期値の誤差を小さくすることができ、機関始動後の推定油温の精度を向上させることができる。
尚、推定油温初期値の下限ガード値に設定する外気温は、機関始動時の外気温を用いても良いし、或は、内燃機関の停止期間中の外気温の変化を考慮して、内燃機関の停止期間中の平均的な外気温(前回の機関停止時の外気温と今回の機関始動時の外気温との中間の外気温)を用いたり、或は、今回の機関始動時の外気温を機関停止期間中の外気温の変化量(前回の機関停止時の外気温と今回の機関始動時の外気温との差分)に応じて補正した値を用いるようにしても良い。
この場合、請求項2のように、推定油温初期値の下限ガード値として、外気温に代えて、所定値を用いても良い。この所定値は、請求項4のように、適合定数及び/又は機関始動時の温度情報(例えば冷却水温、外気温、吸気温等)に基づいて設定するようにしても良い。推定油温初期値の下限を所定値でガードしても、推定油温初期値の誤差を従来より小さくすることができ、機関始動後の推定油温の精度を向上させることができる。
また、請求項3のように、推定油温初期値の下限ガード値として外気温と所定値のいずれか一方を選択するようにしても良い。この場合、請求項5のように、下限ガード値として外気温と所定値のうちの高い方を選択したり、或は、請求項6のように、下限ガード値として外気温と所定値のうちの低い方を選択しても良い。その他、例えば、外気温が所定範囲内の時には、外気温を下限ガード値として選択し、外気温が所定範囲外の時には、所定値を下限ガード値として選択する等、下限ガード値の選択条件は、様々な条件が考えられる。
例えば、推定油温をトルク制御に使用する場合は、機関始動直後のフリクションロスを過大に算出することを避けるために、外気温と所定値のうちの高い方を下限ガード値として選択したり、また、例えば、推定油温をバルブタイミング制御に使用する場合は、機関始動直後のバルブタイミング制御の応答性を過大に評価することを避けるために、外気温と所定値のうちの低い方を下限ガード値として選択することが考えられる。このようにすれば、推定油温を利用する制御に適した下限ガード値を選択することができる。
また、請求項7のように、内燃機関の停止中に前記推定油温初期値を算出するのに必要なデータを記憶保持する書き換え可能な不揮発性メモリの記憶データが破壊されている場合には、推定油温初期値にその下限ガード値(外気温又は所定値)を設定するようにすると良い。このようにすれば、車載バッテリの取り替え等で不揮発性メモリの記憶データが破壊された場合でも、推定油温初期値を使用可能な精度で設定することができ、推定油温を利用する制御を実行できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した5つの実施例1〜5を説明する。
本発明の実施例1を図1乃至図6に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、DCモータ等によって開度調節されるスロットルバルブ15と、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ21が取り付けられ、各点火プラグ21の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
また、エンジン11の吸気バルブ28には、該吸気バルブ28のバルブタイミングを油圧で可変する油圧駆動式の可変吸気バルブタイミング装置29が設けられている。この可変吸気バルブタイミング装置29の油圧回路には、オイルパン(図示せず)内の作動油(エンジンオイル)がオイルポンプ(図示せず)により供給され、その油圧を油圧制御弁30(OCV)で制御することで、吸気バルブタイミング(吸気バルブ28のバルブタイミング)が制御される。
一方、エンジン11の排気管22には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒等の触媒23が設けられ、この触媒23の上流側に、排出ガスの空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排出ガスセンサ24(空燃比センサ、酸素センサ等)が設けられている。
また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ25や、エンジン11のクランク軸が所定クランク角回転する毎にパルス信号を出力するクランク角センサ26が取り付けられている。このクランク角センサ26の出力パルスに基づいてクランク角やエンジン回転速度が検出される。その他、外気温を検出する外気温センサ31(外気温検出手段)等が設けられている。尚、外気温センサ31は、吸気温を検出する吸気温センサで代用するようにしても良い。
これら各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)27に入力される。このECU27は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁20の燃料噴射量や点火プラグ21の点火時期を制御する。
また、ECU27は、後述する図2乃至図5に示す推定油温算出用の各プログラムを実行することで、作動油の推定油温THOを次のようにして算出する。まず、エンジン停止時に、冷却水温センサ25で検出した実水温(検出水温)THWstopと、この油温推定方法により推定した推定油温THOstopをECU27のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリ32に記憶する。
そして、次のエンジン始動時に、エンジン停止時間に応じた補正値K1 を算出し、このエ補正値K1 と、前回のエンジン停止時に記憶した検出水温THWstopと推定油温THOstopとの差と、今回のエンジン始動時に検出した検出水温THWstart とを用いて推定油温初期値THOstart を算出する。
一般に、エンジン停止後の実水温と実油温は、時間経過に伴って徐々に低下して最終的にほぼ同じ温度(ほぼ外気温)に収束するように変化するため、エンジン停止後の実水温と実油温との差は、エンジン停止後の経過時間に応じて変化する。従って、エンジン始動時の検出水温THWstart と実油温THOstart との差は、エンジン停止時の検出水温THWstopと推定油温THOstop(実油温の代用情報)との差と、エンジン停止時間に応じた補正値K1 とを用いて、下記(1)式により推定することができる。
THWstart −THOstart =(THWstop−THOstop)×K1 ……(1)
上記(1)式を、エンジン始動時の実油温THOstart について解くことにより、下記(2)式が導き出される。
THOstart =THWstart −(THWstop−THOstop)×K1 ……(2)
尚、補正値K1 は、エンジン停止時間と外気温に応じてマップ等により設定したり、或は、エンジン停止時間とエンジン始動時の検出水温THWstart に応じてマップ等により設定しても良い。
このようにして得られた(2)式により、エンジン始動時の検出水温THWstart と、エンジン停止時の検出水温THWstopと推定油温THOstopとの差と、エンジン停止時間に応じた補正値K1 とを用いて、エンジン始動時の実油温の推定値である推定油温初期値THOstart を算出することができる。
しかし、推定油温初期値THOstart の精度向上には限界があり、図6に示すように、エンジン停止時間が長くなるほど、推定油温初期値THOstart の誤差(ばらつき範囲)が拡大する傾向があり、推定油温THOを利用した各種の制御(例えば、バルブタイミング制御、トルク制御等)の制御精度を悪化させる可能性がある。
図6に示すように、エンジン停止時間が長くなると、推定油温初期値THOstart が推定誤差によって外気温よりも低くなる可能性があるが、エンジン停止中の油温は外気で冷やされて温度低下することを考えると、実際の油温が外気温よりも低くなることはほとんど発生しないと考えられる。
この点を考慮して、本実施例1では、推定油温初期値THOstart の下限ガード値としてエンジン始動時の外気温を設定し、推定油温初期値THOstart の下限をエンジン始動時の外気温でガードすることで、推定油温初期値の誤差を小さくして、エンジン始動後の推定油温THOの精度を向上させるようにしている。
また、エンジン停止期間中に車載バッテリ(図示せず)の取り替え等で不揮発性メモリ32の記憶データが破壊されると、上記(2)式による推定油温初期値THOstart の算出は不可能になる。
この対策として、本実施例1では、車載バッテリの取り替え等で不揮発性メモリ32の記憶データが破壊された場合には、推定油温初期値THOstart にその下限ガード値(エンジン始動時の外気温)を設定するようにしている。これにより、車載バッテリの取り替え等で不揮発性メモリ32の記憶データが破壊された場合でも、推定油温初期値THOstart を使用可能な精度で設定できるようにしている。
エンジン始動後は、冷却水温センサ25で検出した今回の検出水温THW(i) となまし率Lを用いて、次式により推定油温THOを所定周期で算出する。その際、推定油温THOの第1回目の値として推定油温初期値THOstart を用いる。
THO(i) =THW(i) +{THO(i-1) −THW(i) }×L
ここで、THO(i) は今回の推定油温、THO(i-1) は前回の推定油温である。
更に、ECU27は、図示しないバルブタイミング制御用のプログラムを実行することで、推定油温THOが所定の判定温度よりも低いときに、バルブタイミング制御(可変吸気バルブタイミング装置29の作動)を禁止し、その後、推定油温THOが判定温度を越えたときに、バルブタイミング制御を許可して、実吸気バルブタイミングが目標吸気バルブタイミングに一致するように油圧制御弁30を制御する。
また、ECU27は、図示しないトルク制御用のプログラムを実行することで、要求軸トルクに、内部損失トルク、フリクションロス(機械摩擦損失)、ポンピング損失等を加算して要求図示トルクを算出し、この要求図示トルクを実現するように燃料噴射量、点火時期、スロットル開度等を制御する。その際、油温に応じてフリクションロスが変化するため、ECU27は、推定油温THO等に基づいてフリクションロスを算出する。
以下、ECU27が実行する図2乃至図5に示す推定油温算出用の各プログラムの処理内容を説明する。
[油温推定メインルーチン]
図2に示す油温推定メインルーチンは、ECU27の電源オン中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう推定油温算出手段としての役割を果たす。尚、IGスイッチ(イグニッションスイッチ)33のオフ後も、暫く本ルーチンを実行するために、ECU27への通電が暫く継続されるようになっている。
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、エンジン停止操作(IGスイッチ33をオンからオフに切り換える操作)が行われたか否かを判定し、エンジン停止操作が行われたと判定されれば、ステップ102に進み、エンジン停止操作時に冷却水温センサ25で検出した検出水温THWstopと、後述する図5に示す推定油温算出ルーチンで算出した推定油温THOstopと、エンジン停止時刻の各データをECU27の不揮発性メモリ32に保存して、本ルーチンを終了する。この際、エンジン停止時刻は、車両に搭載された時計(図示せず)等から読み込む。
一方、上記ステップ101で、エンジン停止操作が行われていないと判定されれば、ステップ103に進み、エンジン始動操作(IGスイッチ33をオフからオンに切り換える操作)が行われたか否かを判定し、エンジン始動操作が行われたと判定されれば、ステップ104に進み、不揮発性メモリ32の記憶データが破壊されているか否かを判定する。その結果、不揮発性メモリ32の記憶データが破壊されていないと判定されれば、ステップ106に進み、後述する図3の推定油温初期値算出ルーチンを実行して、エンジン始動時の推定油温初期値THOstart を算出する。
この後、ステップ107に進み、図4の下限ガード値設定ルーチンを実行して、外気温センサ31で検出したエンジン始動時の外気温を推定油温初期値THOstart の下限ガード値に設定する。この後、ステップ108に進み、上記ステップ106で算出した推定油温初期値THOstart を下限ガード値(エンジン始動時の外気温)でガード処理して本ルーチンを終了する。このガード処理では、上記ステップ106で算出した推定油温初期値THOstart が下限ガード値よりも低ければ、推定油温初期値THOstart のデータを下限ガード値で書き換え(推定油温初期値THOstart =下限ガード値)、上記ステップ106で算出した推定油温初期値THOstart が下限ガード値以上であれば、その推定油温初期値THOstart をそのまま変更せずに用いる。これらのステップ107、108の処理が特許請求の範囲でいうガード手段としての役割を果たす。
また、上記ステップ104で、不揮発性メモリ32の記憶データが破壊されていると判定されれば、ステップ105に進み、外気温センサ31で検出したエンジン始動時の外気温をそのまま推定油温初期値THOstart に設定して本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ103で、エンジン始動操作が行われていないと判定されれば、ステップ109に進み、IGスイッチ33のオン中(エンジン運転中)であるか否かを判定し、IGスイッチ33のオン中であれば、ステップ110に進み、後述する図5の推定油温算出ルーチンを実行して、エンジン運転中の推定油温THOを算出して本ルーチンを終了する。尚、上記ステップ109で、IGスイッチ33のオフ中(エンジン停止中)と判定されれば、そのまま本ルーチンを終了する。
[推定油温初期値算出ルーチン]
図3に示す推定油温初期値算出ルーチンは、上記図2の油温推定メインルーチンのステップ106で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、時計等から読み込んだエンジン始動時刻(IGスイッチ33のオン時刻)と、エンジン停止時に不揮発性メモリ32に保存したエンジン停止時刻とからエンジン停止時間を算出する。
この後、ステップ202に進み、エンジン停止時間に応じた補正値K1 をテーブル又は数式等により算出する。一般に、エンジン停止時間が長くなるほど、実水温と実油温との差が小さくなって、エンジン始動時の実油温が実水温に近付くため、補正値K1 のテーブルは、エンジン停止時間が長くなるほど、補正値K1 が小さくなって、推定油温初期値THOstart がエンジン始動時の検出水温THWstart に近付くように設定されている。
この後、ステップ203に進み、今回のエンジン始動時に検出した検出水温THWstart と、前回のエンジン停止時に記憶した検出水温THWstopと推定油温THOstopとの差と、エンジン停止時間に応じた補正値K1 とを用いて、推定油温初期値THOstart を次式により算出する。
THOstart =THWstart −(THWstop−THOstop)×K1
[推定油温算出ルーチン]
図5に示す推定油温算出ルーチンは、上記図2の油温推定メインルーチンのステップ110で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、クランク角センサ26の出力パルスの周期(パルス間隔)に基づいてエンジン回転速度を算出し、次のステップ302で、エアフローメータ14で検出した吸入空気量を読み込む。
この後、ステップ303に進み、現在のエンジン回転速度と吸入空気量に応じたなまし率Lをマップにより算出する。このなまし率Lのマップの特性は、吸入空気量が大きくなるほど、なまし率Lが小さくなり、エンジン回転速度が高くなるほど、なまし率Lが小さくなるように設定されている。
そして、次のステップ304で、冷却水温センサ25で検出した今回の検出水温THW(i) と前回の推定油温THO(i-1) となまし率Lを用いて、次式により今回の推定油温THO(i) を算出する。その際、推定油温THOの第1回目の値として推定油温初期値THOstart を用いる。
THO(i) =THW(i) +{THO(i-1) −THW(i) }×L
以上説明した本実施例1では、推定油温初期値THOstart の下限ガード値としてエンジン始動時の外気温を設定し、推定油温初期値THOstart の下限をエンジン始動時の外気温でガードするようにしたので、推定油温初期値THOstart の誤差を小さくすることができて、エンジン始動後の推定油温THOの精度を向上させることができる。
しかも、本実施例1では、車載バッテリの取り替え等で不揮発性メモリ32の記憶データが破壊された場合には、推定油温初期値THOstart にその下限ガード値(エンジン始動時の外気温)を設定するようにしたので、車載バッテリの取り替え等で不揮発性メモリ32の記憶データが破壊された場合でも、推定油温初期値THOstart を使用可能な精度で設定できる利点がある。
尚、本実施例1では、推定油温初期値THOstart の下限ガード値にエンジン始動時の外気温を設定するようにしたが、エンジン停止期間中の外気温の変化を考慮して、エンジン停止期間中の平均的な外気温(前回のエンジン停止時の外気温と今回のエンジン始動時の外気温との中間の外気温)を下限ガード値に設定したり、或は、今回のエンジン始動時の外気温をエンジン停止期間中の外気温の変化量(前回のエンジン停止時の外気温と今回のエンジン始動時の外気温との差分)に応じて補正した値を下限ガード値に設定するようにしても良い。
上記実施例1では、図2のステップ107で図4の下限ガード値設定ルーチンを実行することで、外気温を推定油温初期値THOstart の下限ガード値に設定するようにしたが、本発明の実施例2では、図4の下限ガード値設定ルーチンに代えて、図7の下限ガード値設定ルーチンを実行することで、推定油温初期値THOstart の下限ガード値に予め決められた所定値(適合定数)を設定するようにしている。ここで、所定値(適合定数)は、例えば1年間の平均気温、夏季の平均気温、冬季の平均気温、これらよりも少し低い温度又は少し高い温度等のいずれかを用いることが考えられる。
本実施例2においても、推定油温初期値THOstart を下限ガード値(所定値)でガード処理するため、推定油温初期値THOstart の誤差を従来より小さくすることができ、エンジン始動後の推定油温THOの精度を向上させることができる。
図6に示すように、エンジン停止後、実際の油温が外気温付近まで温度低下するまでは、冷却水温が油温よりも少し高い状態が続く。この点を考慮して、本発明の実施例3では、図2のステップ107で、図8の下限ガード値設定ルーチンを実行することで、冷却水温センサ25で検出した始動時の冷却水温から適合定数を減算した値を推定油温初期値THOstart の下限ガード値に設定するようにしている。
下限ガード値=始動時冷却水温−適合定数
このようにすれば、油温や冷却水温が外気温よりもある程度高い状態でエンジン11を始動する、いわゆる温間再始動時(高温再始動時)でも、推定油温初期値THOstart の下限ガード値を適正な値に設定できる。
本発明の実施例4では、図2のステップ107で、図9の下限ガード値設定ルーチンを実行することで、外気温と始動時冷却水温をパラメータとする下限ガード値設定マップを参照して、始動時の外気温と冷却水温に応じた下限ガード値を算出する。下限ガード値設定マップは、始動時の外気温や冷却水温が低くなるほど、下限ガード値が低くなるように設定されている。このようにすれば、推定油温初期値THOstart の下限ガード値をより適正な値に設定できる。
本発明の実施例5では、図2のステップ107で、図10の下限ガード値設定ルーチンを実行することで、エンジン始動時の外気温と所定値のいずれか一方を推定油温初期値THOstart の下限ガード値として設定するようにしている。
図10の下限ガード値設定ルーチンでは、まずステップ401で、外気温センサ31で検出したエンジン始動時の外気温を第1の仮下限ガード値に設定し、次のステップ402で、所定値を第2の仮下限ガード値に設定する。ここで、所定値は、前記実施例2の下限ガード値と同じように適合定数を用いても良いし、前記実施例3の下限ガード値と同じように「始動時冷却水温−適合定数」を用いても良いし、前記実施例4の下限ガード値と同じように外気温と始動時冷却水温をパラメータとする第2の仮下限ガード値設定マップを参照して、始動時の外気温と冷却水温に応じた第2の仮下限ガード値を算出するようにしても良い。
この後、ステップ403に進み、第1の仮下限ガード値(外気温)と第2の仮下限ガード値(所定値)のどちらを最終的な下限ガード値として選択するのかを次のいずれかの判定方法で判定して最終的な下限ガード値を設定する(ステップ404、405)。
(1) 第1の仮下限ガード値(外気温)と第2の仮下限ガード値(所定値)とを比較して高い方を最終的な下限ガード値として選択する。
(2) 第1の仮下限ガード値(外気温)と第2の仮下限ガード値(所定値)とを比較して低い方を最終的な下限ガード値として選択する。
(3) 第1の仮下限ガード値(外気温)が所定範囲内の時には、第1の仮下限ガード値(外気温)を最終的な下限ガード値として選択し、第1の仮下限ガード値(外気温)が所定範囲外の時には、第2の仮下限ガード値(所定値)を最終的な下限ガード値として選択する。
例えば、推定油温THOをトルク制御に使用する場合は、エンジン始動直後のフリクションロスを過大に算出することを避けるために、上記(1) の判定方法により第1の仮下限ガード値(外気温)と第2の仮下限ガード値(所定値)のうちの高い方を最終的な下限ガード値として選択したり、また、例えば、推定油温をバルブタイミング制御に使用する場合は、エンジン始動直後のバルブタイミング制御の応答性を過大に評価することを避けるために、上記(2) の判定方法により第1の仮下限ガード値(外気温)と第2の仮下限ガード値(所定値)のうちの低い方を最終的な下限ガード値として選択することが考えられる。このようにすれば、推定油温THOを利用する制御に適した下限ガード値を選択することができる。
尚、第1の仮下限ガード値(外気温)と第2の仮下限ガード値(所定値)との中間値を最終的な下限ガード値として選択したり、第1の仮下限ガード値(外気温)と第2の仮下限ガード値(所定値)との差分に応じて第1の仮下限ガード値(外気温)を補正して最終的な下限ガード値を設定する等、第1の仮下限ガード値(外気温)と第2の仮下限ガード値(所定値)とに基づいて最終的な下限ガード値を設定するようにしても良い。
また、外気温センサ31を備えていないシステムに本発明を適用する場合は、吸気管に設置した吸気温センサで検出した吸気温を外気温の代用情報として用いるようにしても良い。
また、前記実施例1では、エンジン停止時の検出水温THWstopと推定油温THOstopとの差を用いて推定油温初期値THOstart を算出したが、エンジン停止時の検出水温THWstopと推定油温THOstopとの比を用いて推定油温初期値THOstart を算出しても良い等、推定油温初期値THOstart の算出方法は、適宜変更しても良い。更に、推定油温初期値THOstart に基づく推定油温THOの算出方法を適宜変更しても良いことは言うまでもない。
本発明の実施例1におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。 実施例1の油温推定メインルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の推定油温初期値算出ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の下限ガード値設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の推定油温算出ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 エンジン停止後の油温と冷却水温と推定油温初期値の誤差(ばらつき範囲)との関係を説明するタイムチャートである。 実施例2の下限ガード値設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3の下限ガード値設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例4の下限ガード値設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 実施例5の下限ガード値設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
11…内燃機関(エンジン)、12…吸気管、14…エアフローメータ、15…スロットルバルブ、20…燃料噴射弁、21…点火プラグ、22…排気管、25…冷却水温センサ(冷却水温検出手段)、27…ECU(推定油温算出手段,ガード手段)、29…可変吸気バルブタイミング装置、31…外気温センサ(外気温検出手段)、32…不揮発性メモリ、33…IGスイッチ(イグニッションスイッチ)

Claims (7)

  1. 内燃機関又はその周辺装置に使用される油の推定油温を機関始動時の推定油温(以下「推定油温初期値」という)に基づいて算出する推定油温算出手段を備えた内燃機関の油温推定装置において、
    外気温を検出又は推定する外気温検出手段と、
    前記推定油温初期値の下限を前記外気温でガードするガード手段と
    を備えていることを特徴とする内燃機関の油温推定装置。
  2. 内燃機関又はその周辺装置に使用される油の推定油温を機関始動時の推定油温(以下「推定油温初期値」という)に基づいて算出する推定油温算出手段を備えた内燃機関の油温推定装置において、
    前記推定油温初期値の下限を所定値でガードするガード手段と
    を備えていることを特徴とする内燃機関の油温推定装置。
  3. 内燃機関又はその周辺装置に使用される油の推定油温を機関始動時の推定油温(以下「推定油温初期値」という)に基づいて算出する推定油温算出手段を備えた内燃機関の油温推定装置において、
    外気温を検出又は推定する外気温検出手段と、
    前記推定油温初期値の下限を前記外気温又は所定値でガードするガード手段と
    を備えていることを特徴とする内燃機関の油温推定装置。
  4. 請求項2又は3に記載の内燃機関の油温推定装置において、
    前記ガード手段は、前記所定値を適合定数及び/又は機関始動時の温度情報に基づいて設定することを特徴とする内燃機関の油温推定装置。
  5. 請求項3に記載の内燃機関の油温推定装置において、
    前記ガード手段は、前記推定油温初期値の下限ガード値として前記外気温と前記所定値のうちの高い方を選択することを特徴とする内燃機関の油温推定装置。
  6. 請求項3に記載の内燃機関の油温推定装置において、
    前記ガード手段は、前記推定油温初期値の下限ガード値として前記外気温と前記所定値のうちの低い方を選択することを特徴とする内燃機関の油温推定装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の内燃機関の油温推定装置において、
    内燃機関の停止中に前記推定油温初期値を算出するのに必要なデータを記憶保持する書き換え可能な不揮発性メモリを備え、
    前記推定油温算出手段は、前記不揮発性メモリの記憶データが破壊されているときには前記推定油温初期値に前記ガード手段が用いる前記推定油温初期値の下限ガード値を設定することを特徴とする内燃機関の油温推定装置。
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